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  • 北朝鮮制裁委員会の年次報告書に掲載された「違反ベンツ」の記念写真

    国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは12日、年次報告書を発表した。パネルは同報告書の中で「言外」の問題提起を行った。

    昨年9月、平壌での歓迎パレードで金正恩氏とベンツに同乗した文在寅氏(朝鮮中央通信)
    昨年9月、平壌での歓迎パレードで金正恩氏とベンツに同乗した文在寅氏(朝鮮中央通信)

    韓国の文在寅大統領が昨年9月、平壌で金正恩氏と共に問題のベンツに乗った写真が掲載されたのだ。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    朝鮮日報(日本語版)の14日付の報道によれば、「韓国政府は今年1月にこの報告書の草案が作成された際、『報告書に文大統領の写真が掲載される』との情報を入手し、これを阻止するための外交に全力を挙げた」というが、結局のところ聞き入れられなかったということだ。

  • 金正恩氏「違反ベンツ」での記念写真を公開された文在寅氏の泣き所

    金正恩氏「違反ベンツ」での記念写真を公開された文在寅氏の泣き所

    国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは12日、年次報告書を発表した。報告書は、北朝鮮がサイバー攻撃で仮想通貨5億7100万ドル(約630億円)を盗み取ったと指摘。また、弾道ミサイルの開発・実験を民間の工場や空港などで続けている実態も明らかにしたほか、制裁逃れの実態を広範に明らかにした。

    報告書が問題視しているものの中に、「ぜいたく品禁輸」に違反して北朝鮮に持ち込まれたと見られる、金正恩党委員長の専用ベンツがある。クルマ好きで「走り屋」との説もある金正恩氏が、あらゆる手段を講じて欲しい車種を手に入れていることは、以前から知られていることだ。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    【写真】北朝鮮制裁委員会の年次報告書に掲載された「違反ベンツ」の記念写真

    そうした既存の情報に加え、報告書は今回、新たに「言外」の問題提起を行った。

  • 「北の人権問題」で文在寅政権が米国から批判されてしまう理由

    「北の人権問題」で文在寅政権が米国から批判されてしまう理由

    米国務省は13日(現地時間)に公開した人権報告書で、北朝鮮における人権侵害について、政治的殺害や強制失踪、当局による拷問、任意拘束などが横行する実態を告発した。ただし、前年にあった「ひどい人権侵害」という表現が削除され、当面の対話相手に若干の「配慮」がなされたとの見方がある。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    その一方、韓国については、「政府が北朝鮮との対話に出たことで、脱北者団体は北朝鮮に対する非難を控えるよう直接的・間接的な圧力を政府から受けている」と指摘した。北朝鮮の人権問題を巡り、韓国政府が米国政府に非難される異例の事態である。

  • 「韓国は米朝の仲裁者ではない」北朝鮮にハシゴを外された文在寅の窮地

    「韓国は米朝の仲裁者ではない」北朝鮮にハシゴを外された文在寅の窮地

    北朝鮮の崔善姫(チェ・ソニ)外務次官は15日、平壌で記者会見を開き、「われわれは米国の要求に対し、いかなる形であれ譲歩するつもりはない」とした上で、非核化交渉の中止を検討していると明かした。

    これを受け、韓国大統領府の尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官は「いかなる状況にあっても韓国政府は朝米交渉の再開に向け努力したい」とコメントした。韓国政府はこれまでにも、米朝間の「仲裁者」を自任していた。しかしもはや、韓国政府がどれだけの役割を果たせるかは怪しくなっている。

    このところ、北朝鮮の韓国軽視は明らかだった。

    (参考記事:金正恩氏、韓国との約束をまたも「スルー」…文在寅政権に打撃

    そして崔善姫氏はこの会見で、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は朝米対話のため苦労しているが、南朝鮮は米国の同盟であるため『プレイヤー』であって、『仲裁者』ではない」と明言したのだ。

    そもそも、北朝鮮は韓国を全面的に信頼してきたわけではない。あくまで是々非々で対話を続けてきたのであり、気に入らないことがあれば、北朝鮮メディアは遠慮なく毒舌を振るった。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    それでも韓国政府は、北朝鮮との信頼構築に賭けてきた。それが、この結果である。保守系の朝鮮日報(日本語版)は16日、「これまで米国と足並みがそろっていないと批判されてきたのにもかかわらず、米朝対話再開のため南北経済協力を推進してきた韓国政府が、北朝鮮にも信じてもらえない状況になっているということだ」として、文在寅政権の窮地を指摘した。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

    韓国はなぜ、このような立場に追い込まれてしまったのか。理由は多々あるだろうが、大きな原因のひとつとして、文在寅氏が金正恩党委員長に「民主主義」を説くことを忘れた部分があったのではないか。

    民主主義国家の政治は、非常に「移り気」である。民主主義国家における政治家にとっての最優先事項は、経済でもなければ安全保障でもない。「再選」である。これは、ごく当然のことだ。政治家は、選挙で勝たなければ政治家として存在することができず、自らが信じる理念も政策も追求できない。

    だから、次期選挙での当選が危うくなれば、すべての行動は再選を最優先するモードに切り替わる。たとえば、トランプ米大統領は非核化を優先し、北朝鮮の人権問題を無視しているが、世論の風向きが変わればどうなるかわからないのだ。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    これは、文在寅氏も同じだ。彼自身の大統領任期は1期限りと定められているが、彼を支える与党・共に民主党が政権を掌握し続けなければ、北朝鮮との対話路線も危うくなる。

    ただ、国内経済が迷走し、「南北統一の未来」を描いて見せる以外に支持率維持の手段のない文在寅氏にとっては、理念先行で北朝鮮と融和することが、すべての政治的利害と一致しているのだ。そのような自分の立場を客観視できず、トランプ政権の出方について、北朝鮮に客観的なアドバイスを与えられなかった韓国政府を、金正恩氏が「仲裁者」としてあてにする道理はないのである。

  • 「異常な女性遍歴」が原因か…実は「父親嫌い」だった金正恩氏

    「異常な女性遍歴」が原因か…実は「父親嫌い」だった金正恩氏

    北朝鮮の平壌で6、7の両日、朝鮮労働党の第2回党初級宣伝活動家大会が行われた。初級宣伝活動家とは、行政機関や工場など末端の職場単位で置かれた党組織で、思想教育やプロパガンダを担当する人々だ。

    金正恩党委員長はこの大会に「斬新な宣伝・鼓舞によって革命の前進原動力を倍加していこう」というタイトルの書簡を送っているのだが、その中に、実に衝撃的な内容が含まれている。何と、父である故金正日総書記を、婉曲な表現ながらも否定しているのだ。

    強烈な皮肉

    金正恩氏は、父の「異常な女性遍歴」を忌み嫌っていたとの説は以前からあるが、このような形で父親批判が出てくるとは思わなかった。
    (参考記事:夜な夜な金正日の「個人指導」に呼び出された天才美女の運命

    書簡には、次のように書かれている。

  • 空母化「いずも」は「水準がすごく高い!」…北朝鮮がやたらと高評価

    空母化「いずも」は「水準がすごく高い!」…北朝鮮がやたらと高評価

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は11日、海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化は「軍事大国化と海外膨張野望の明確な発露」であると非難する論評を配信した。

    北朝鮮メディアはこれまで、再三にわたり「いずも」の空母化に言及している。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

    今回、同通信が配信した論評はまず、「先日、首相の安倍が衆議院の公開席上に現れて海上『自衛隊』の護衛艦いずもの空母化に関連して『いずもは空母に該当するものではない』と図々しく言いふらした」と指摘。これは、2月13日の衆院予算委員会での答弁を指すものと思われる。

    これに続いて論評は、「いずもはいろいろな面から現代の空母と類似したり、果ては先んじている。最多14機のヘリを搭載できるだけでなく、同時に5機を離着陸させられるいずもには、離着陸甲板、格納庫、飛行機昇降機など、空母に必要なものが備えられており、その現代化の水準もたいへん高い」などと、「いずも」の性能をやたらと高く評価している。

    北朝鮮と日本の海軍力を比較してみれば、当然といえば当然の反応ではある。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    しかしもちろん、何も北朝鮮は「日本はすごい!」と褒めちぎっているわけではない。論評は続けて、「先制攻撃能力を備えたいずもなど、再侵略熱気によって熱くなったサムライの後えいを乗せて20世紀のように『旭日旗』を翻し、銃弾・砲弾を撃ちながら世界を意のままにばっこしようとするのが、安倍一味の変わらぬ野望である」と決めつけている。

    北朝鮮メディアは少し前から、このような論調を張っている。当初、その目的は非核化のための米朝対話の中で、弾道ミサイルなどの戦力を維持するため、日本の軍備増強を口実にすることが目的と思われた。

    しかし、ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談で米国は、「北に妥協するのでは」との事前の予想を覆し、弾道ミサイルと生物化学兵器の全廃要求にまで踏み込んだ。もはや、日本を口実に利用してゴネればどうにかなる次元ではなくなっているのである。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    それでも北朝鮮は、これまでの論調を捨てることはないだろう。米朝関係が結果的に上手く行くかどうかはわからないが、少なくとも多くの曲折を経ることになる。

    しかし金正恩党委員長とすれば、せっかくここまで来ながら、米国との対話ラインを断つのも簡単ではなかろう。北朝鮮メディアは今しばらく、米国に対する非難を控えるはずだ。

    となるとやはり、日本に対するこのような非難は続くことになるだろう。

    (参考記事:北朝鮮「日本の核武装化こそ問題」主張でドツボにはまる

  • 「韓国は欲張り過ぎだ」米国から対北朝鮮で厳しい声

    「韓国は欲張り過ぎだ」米国から対北朝鮮で厳しい声

    米紙ニューヨークタイムズは10日(現地時間)、米情報当局の分析として、北朝鮮が昨年6月に初の米朝首脳会談が開かれてから先月の2回目の米朝首脳会談までの8カ月間、プルトニウムと濃縮ウランの生産を継続。その分量は核弾頭6発分に達すると伝えた。事実ならば、由々しき事態と言える。

    これを受けて、韓国の保守系メディアが文在寅政権に噛みついている。朝鮮日報(日本語版)は11日付で「『北朝鮮の非核化の意志』を保証してきた韓国政府が難しい立場に追い込まれている。米国の一部では『韓国の責任論』がささやかれ、対北朝鮮制裁の緩和推進に対しても批判論が高まっている」と述べている。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開
    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    具体的には、同紙は青瓦台(大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が昨年3月9日に訪米し、トランプ大統領に「金正恩国務委員長は非核化の意志を抱いている」と伝えたことを問題視している。

  • 代議員選挙の結果 中央選挙委

    代議員選挙の結果 中央選挙委

    【平壌3月12日発朝鮮中央通信】中央選挙委員会は、チュチェ108(2019)年3月10日に実施した朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第14期代議員選挙の結果に関する報道を12日に発表した。

    報道によると、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第14期代議員選挙は各級人民会議代議員選挙法に徹底的に準じて実施された。

    全ての選挙人は、われわれの人民主権を磐石のごとく打ち固めるための選挙にこぞって参加した。

    他国に居たり、遠海で作業中の選挙人は選挙に参加できなかった。

    選挙の結果を集計したところ、全国的に選挙人名簿に登録された全ての選挙人の99.99%が選挙に参加し、当該選挙区に登録された最高人民会議代議員候補に100%賛成投票した。

    中央選挙委員会は、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第14期代議員選挙のための全国の全ての区選挙委員会が提出した選挙の結果に関する報告を審議し、当選した687人の最高人民会議代議員の名前を発表した。---

  • 米朝決裂で金正恩氏「最愛の妹」の憂鬱なこれから

    米朝決裂で金正恩氏「最愛の妹」の憂鬱なこれから

    北朝鮮の朝鮮中央放送は12日、国会に相当する最高人民会議第14期代議員選挙(10日投票)で当選した687人の名前を発表した。その中には、金正恩党委員長の名前は入っていないもようだ。金正恩氏は、2014年3月に実施された前回選挙で当選しており、背景が気になる。

    もっとも、北朝鮮の選挙は国家が立てた候補に事実上、賛成票を投じるだけの仕組みだ。北朝鮮の最高指導者が代議員にならなかったのは史上初だが、だからといって、本質的な意味での「異変」とは言えない。

    一方、今回の選挙では金正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が当選した。前回選挙には出なかったが、2016年と17年に最高人民会議の会議に出席しており、欠員が生じた代議員のポストを引き継いでいたのかもしれない。

    今や、金与正氏が兄の最側近のひとりであることを疑う向きはないだろうが、彼女の今後については気になる部分もある。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    金正恩氏が、昔から妹を大事にしてきたことはつとに知られている。大事にし過ぎて、彼女の友人を大量に失踪させる「事件」まで起こしたほどだ。

    (参考記事:金正恩氏実妹・与正氏の同級生がナゾの集団失踪

    金与正氏は現在、朝鮮労働党中央委員会の第1副部長の肩書を持っているが、これは日本で言うなら、中央省庁の事務次官とか官房長とかに匹敵する役職だ。そして、彼女が党内で籍を置いているのは、思想教育やプロパガンダ、対外宣伝を統括する宣伝扇動部であると見られている。

    実際、金正恩政権になって以降の北朝鮮の宣伝活動は、以前と比べて柔軟というか、あけっぴろげというか、とにかく金正日総書記の頃の神秘主義とは一線を画すものに変わった。そこにももしかしたら、金与正氏の若い感性が反映されているのかもしれない。

    (参考記事:北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    しかし、そのような路線が続くかどうかは、ひとえに北朝鮮を取り巻く国際情勢に関わっている。金正恩氏は、平壌で6、7日に開かれた党宣伝活動家大会に書簡を送り、「宣伝活動をもっと斬新に行え」と激を飛ばしたが、それも現在の米韓などとの対話ムードが維持されることが前提ではないのか。情勢が険悪化すれば、宣伝活動の自由度も狭まるかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    ちなみにこの大会を主管したのは党宣伝扇動部である。部長を兼務する朴光浩(パク・クァンホ)党副委員長は、病気のためか長らく公の場に姿を現していない。そこで、もしかしたらこの大会で、金与正氏が中心的な役割を担い、国内における政治的な「格」をもう一段上げるかもしれないとも思ったのだが、そうはならなかった。

    金与正氏は金正恩氏にとって、日本の大阪にルーツを持つ血を分け合った数少ない家族のひとりである。今後も兄の側近としての地位は変わらないだろうが、その活躍の形は、今後の情勢に大きく影響を受けるはずだ。

  • 「金正恩が手ぶらで帰って来た」…北朝鮮国民の毒舌に「うわさ話禁止令」

    「金正恩が手ぶらで帰って来た」…北朝鮮国民の毒舌に「うわさ話禁止令」

    北朝鮮では今月10日、国会議員にあたる最高人民会議の代議員を選出する選挙が行われた。選挙とは言っても、国が決めた顔も名前も知らない候補者に賛成票を投じるだけの儀式のようなものだ。

    北朝鮮には民主主義の仕組みに基づき、国民の意思を政治に反映する装置は存在しないが、だからといって同国に世論が存在しないということではない。その世論を誰よりも気にし、そして誰よりも恐れているのは、北朝鮮政府であり金正恩党委員長だろう。

    先月末にベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談が物別れに終わったとの知らせは、既報のとおり、北朝鮮国内でも急速に拡散している。これを受けて、当局は世論を抑えつけるのに必死になっている。

    (参考記事:「金正恩が恥をかかされた!」首脳会談の失敗情報、北朝鮮で拡散

    金正恩氏がベトナムから帰国した今月初め、平安南道(ピョンアンナムド)の人民委員長(知事)、道党(朝鮮労働党平安南道委員会)の委員長、平城(ピョンソン)市の人民委員長(市長)、市党委員長、保安局長(警察本部長)、保安署長(警察署長)が市内の玉田(オクチョン)市場を視察した。

    その直後に、市場の労働者糾察隊が増員され、市場外で無許可で営業する行為や、市場内で商人や市民が集って世間話をすることを厳しく取り締まった。それは、米朝首脳会談に関する「うわさ話」をブロックするための措置だ。現地の内部情報筋が伝えたうわさ話とは、次のようなものだ。

    「元帥様(金正恩氏)がトランプ(大統領)に会ったが、元も取れないまま帰ってきた」

    中にはこんな毒舌を吐く人もいるそうだ。

    「賢く振る舞えなかったせいで、もらえるものももらえずに帰ってきて、その結果として制裁が強化されるだろう」

    このような取り締まりは、平城の市場が全国有数の卸売市場であると同時に、全国の口コミネットワークの発信地であることと関係している。

    地方から平城にやってきた商人は品物を買い付けると同時に、市場で様々な話を聞いて地元に持ち帰る。そして、地元の市場でそれを話す。このような形で、うわさがあっという間に全国に広がってしまうのだ。

    本来、北朝鮮で最高指導者の権威を貶めるような行為は重罪に問われるが、これほど大きなイベントの後とあっては、人の口には戸が立てられない。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    当局は自分たちに都合の悪いうわさ話が急速に広まるたびに、箝口令を敷くなどして抑えつけてきたが、今回も同じ手法を使っているというわけだ。

    (参考記事:北朝鮮、世間話にも禁止令…庶民の間で失墜する金正恩氏の権威

    そんな雰囲気の中で、市場の景気はさらに冷え込んでいる。特に電化製品など贅沢品が売れないため、商人は値段を下げているものの、それでも売れない。通常この季節は、秋の収穫の分配を受けて電化製品を買おうとする農民が市場に多くやってくる。しかし昨年の凶作で懐が寒い農民が、財布の紐を固く締めているというのだ。

    また、市場を訪れる人そのものが減っており、商人は苦しい思いをしている。国際社会の制裁の影響がますます深刻化し、米朝首脳会談も物別れに終わったことから消費心理が冷めきっていることを表す。相変わらず賑わっているのは、穀物を売る店くらいだという。

    取締官に品物をすべて没収され、泣きながら激しく抗議するような光景が繰り返されており、商人の反発も高まっている。世論を安定させようと商人を強権で抑えつけると、当局はとんでもない形の反発を買う可能性すらある。結局のところ、国内を安定させるためには、金正恩氏が「良い結果」を持ち帰るしかないのだ。

    (参考記事:「いい加減にしないと暴動起こす」北朝鮮国民の不満が爆発寸前

  • 金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない「もうひとつ」の理由

    金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない「もうひとつ」の理由

    先月末、ベトナムのハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談は物別れに終わった。しかし、北朝鮮の金正恩党委員長は首脳会談にある程度の自信をもって臨んでいたようだ。会談前日の26日午前に特別列車でベトナム入りした金正恩氏は、出迎えた儀仗兵や市民に笑顔で手を振るなど、余裕を見せていた。

    その後、専用ベンツに乗ってハノイ市内を移動した金正恩氏はさぞかし悦に入っていただろう。注目されるなかでの移動もさることながら、金正恩氏が乗る専用ベンツは、多忙な彼が気分転換できる空間のひとつだからだ。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    金正恩氏はとりわけベンツが好みらしく、4月27日の板門店(パンムンジョム)での南北首脳会談と6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談では、「ベンツS600プルマンガードリムジン」に乗っていた。また、金正恩氏が乗るベンツには、同氏が普通のトイレを使えない事情を考えて、特殊な装備が搭載されているとも言われる。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    金正恩氏が専用ベンツにこだわるのは、もうひとつ理由があるようだ。

    韓国の大手紙である中央日報は、ベトナム入りした金正恩氏がタバコを吸い始めると実妹である金与正氏が灰皿を持って近寄り、吸殻を回収する様子に注目した。まるでヤクザ映画にでも出てくるようなシーンだが、同紙はこの行動には、金正恩氏の秘密情報、すなわち生体情報を秘匿するための意図があると指摘する。

    金正恩氏に限らず、国家の最高指導者の生体情報はトップシークレットだ。逆に言えば、アメリカや韓国のみならず全世界の情報機関にとって金正恩氏の生体情報は喉から手が出るほどほしいだろう。金正恩氏の健康状態から、北朝鮮内部で今後、何らかの異変が起きる可能性を推測することもできる。

    例えば、現在は肥満体である金正恩氏だが、2011年に最高指導者になった直後はそれほどではなかった。しかし、ある時期から急に肥満体型となる。その前後に北朝鮮では粛清の血の雨が降った。残虐な粛清をするなかで、金正恩氏が精神状況と身体に何らかの異変をもたらした可能性は十分ある。

    (参考記事:金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

    金正恩氏のDNA情報も貴重である。金正恩氏の実母は日本生まれの高ヨンヒ氏だが、血統を重んじる北朝鮮では、この情報は絶対に明かすことができない。しかし、高ヨンヒ氏の実妹である高ヨンスク氏は亡命してアメリカに在住している。つまり金正恩氏のDNA情報を採取できれば、北朝鮮の最高指導者のルーツが大阪にある絶対的証拠を入手できるのだ。既に米国の情報機関が入手していてもおかしくはない。

    (参考記事:金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈

    中央日報は、北朝鮮当局は金正恩氏のタバコの吸殻はもちろん汗や鼻水を拭いたティッシュペーパーやタオル、ホテルなどに落ちた髪の毛を徹底的に回収し、「大小便の場合は完全密封して化学処理するなど特殊な過程を経るか、それが不可能な場合は北朝鮮に回収して行く」という情報関係者の話を紹介している。

    身辺警護だけでなく生体情報をもらさないためにも、金正恩氏は専用ベンツの特殊装備で用を足すのかもしれない。

  • 「日本の反動にビンタをくらわせたい」北朝鮮、米国と決裂でヒステリー

    「日本の反動にビンタをくらわせたい」北朝鮮、米国と決裂でヒステリー

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は8日、ハノイでの米朝首脳会談が合意なしで終わったことに言及した論評を掲載。論評は、会談が物別れとなった結果を受けて「唯一、日本の反動層だけはまるで待ち焦がれていた朗報に接したかのように拍手をしながら小憎らしく振る舞っている」と主張した。論評はさらに、日本について次のように表現している。

    「実に憎たらしく、ビンタをくらわせたい輩だと言わざるを得ない」

    北朝鮮メディアが日本に言いがかりを付けるのは今に始まったことではない。しかし最近は、どうもその傾向に拍車がかかっている。

    (参考記事:北朝鮮「日本の核武装化こそ問題」主張でドツボにはまる

    しかしいくら何でも、「ビンタ」とは呆れてしまう。米朝首脳会談が物別れに終わったことで、ヒステリーでも起こしているのだろうか。

    最近になってわかってきたのは、今回の米朝首脳会談は、どうやら始まる前から成功する可能性が低かったということだ。例えばボルトン米大統領補佐官は、北朝鮮に対して核だけでなく弾道ミサイルと生物化学兵器の全廃を北朝鮮に要求したことを明かしたが、これは金正恩党委員長には飲めない条件だ。ただでさえ北朝鮮の軍事力は弱体化が著しいのに、ほとんど「丸腰」になってしまう。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    ボルトン氏によれば、米国側はその対価として経済発展も含めた「ビッグディール」を持ちかけたというが、それでも北朝鮮にとってはハードルが高い。対話の途中で米国側から人権問題を持ち出されたら、どのような「ディール」も吹き飛んでしまうからだ。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    このように見ると、米朝首脳会談が「上手く行かない理由」はたくさんある。仮に「日本の反動層」が米朝の決裂を期待しようがしまいが、そのようなことはまったく関係ないのだ。

    北朝鮮としては、米国との関係改善が上手く運んだ場合、それをテコに、日本に対して過去清算を迫るつもりなのだろう。実際、最近の北朝鮮メディアはその線で論陣を張ってきている。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

    しかしもとより、米朝対話が上手く行くことなしに、日朝対話が本格的に始まることもないだろう。北朝鮮は他人に難癖を付ける前に、本当に米朝対話と非核化に運命を賭けることが出来るかどうか、自分の胸の内と相談すべきなのだ。

  • 北朝鮮、美女レストランの裏側「騙されていたんだな、と気づいた」

    北朝鮮、美女レストランの裏側「騙されていたんだな、と気づいた」

    中国、ロシア、東南アジアの各国に進出し、朝鮮料理を舌鼓を打ちながら美女従業員の歌や踊りを楽しむ北朝鮮レストラン、通称「北レス」。

    国際社会の経済制裁により、一時は全店閉店の噂も囁かれたが、朝鮮半島情勢の変化で復活の兆しを見せている。デイリーNK特別取材班は、そんな北朝鮮レストランの関係者とのインタビューに成功した。

    (参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

    遼寧省の主要都市にある北朝鮮レストランでインタビューに応じた彼は、まず当局による上納金の執拗な催促について語った。

    「最近に入っても出せと言われ続けています。1ヶ月に1回から3回。農作業の季節には、肥料やカネを出せと言われる。給料から出せないときは、あちこちから貸りるしかない。1ヶ月に(給料は)1000元(約1万6500円)なのに、1500元(約2万5000円)を出せと言われるので、カネを借りてようやく出せたと思ったら、今度は来月分を出せと言われる。そんなもの出せますか?総和(総括)の時に出せなかった(という人もいるが)どうしようもないですよ」

    現在、北朝鮮は、金正恩党委員長が旗振り役となり三池淵(サムジヨン)地区、元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区という2大開発プロジェクトを進めている。その建設費確保のために、全国民に物品の上納と労働動員を強いているが、北朝鮮レストランの従業員に対しては、給料を上回る上納を要求しているということだ。

    (参考記事:中国の北朝鮮レストランで「強制売春」説が浮上

    この1000元から1500元という月給も、当初の契約とは異なる。従業員らは月3000元(約4万9500円)もらうという契約で中国にやってきたが、実際にもらえるのは3分の1か、それ以下だ。

    「(2015年に契約を交わして以来)従業員たちの給料は今に至るまで上がってません。女性(従業員)たちはいろいろと物入りです。化粧品代や服代として使う分として、1ヶ月に150元(約2500円)から200元(約3000円)だけ受け取ります。それを月給800元(約1万3200円)から差し引いて、残りは故郷に帰る時に渡されます。3年働くと3000ドル(約33万2000円)ほどになります。最初は給料をくれないと泣き出す女性も、しばらくすると、自分たちのために貯めてくれていると理解するようになります」

    この関係者は、吉林省延辺朝鮮族自治州の図們、琿春の工場に派遣された労働者の事情についても詳しく知っていた。琿春のある工場では、数千人の北朝鮮労働者が働いている。

    「レストランの従業員は全員が平壌出身だが、図們、琿春の開発区には地方出身者が多いです。アパレル工場で働いています。開城(ケソン)工業地区で組織化されたので、仕事をさせるにはぴったりです。従業員が手にするおカネは月600元(約9900円)から650元(約1万800円)、夜勤をすると800元(約1万3200円)から900元(約1万4900円)になります。レストランの従業員のほうが少しマシです。チップももらえますから。3分の1は取られてしまいますが」

    レストランの従業員は給料がよく、比較的自由な暮らしをしている。一方で、工場労働者は半ば工場の敷地内に閉じ込められた状態にあるものの、食生活の面では恵まれている。

    (参考記事:20代美人ウェイトレスを直撃…「北朝鮮レストラン」の舞台裏

    「レストランの従業員は時々外出できるが、工場で働く人たちはできません。工場で働く人たちの食費は1日10元(約165円)ですが、それで食材を買ってきておかずを作ると5種類以上になります。肉も出ます。食堂の調理師も朝鮮の人です。だけど、レストランの従業員は白菜少々、豆腐少々のおかずでご飯を食べます。うちのレストランの社長は他と比べて親切でないのか、待遇があまりよくありません」

    この関係者は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議2397号についても触れた。同決議は国連加盟国に対し、採択から24ヶ月以内に北朝鮮労働者を全員帰国させることを義務付けている。

    「今は(労働者が)中国に入ってこれません。制裁が解除しなければ全員出国するしかありません。(安保理の)決議が採択されたのは(一昨年の)12月なので、(今年の12月の)その前に出国しなければなりません。レストランも工場(の労働者)も100%です」

    昨年の中朝首脳会談を前後して、一度は途絶えていた北朝鮮労働者の中国派遣が復活しつつあるとの情報があり、このままなし崩し的に進むのではないかという見方もあったが、この関係者は悲観的に見ているようだ。

    (参考記事:【写真】金正恩氏の新たな商売「女子大生派遣ビジネス」の現場

    インタビューの終盤になってこの関係者は、恐る恐る体制批判を始めた。

    「政策を変えなければなりません。そうしなければ人民が豊かに暮らせません。中国は昔貧しかったけど、今では食べる心配はなくなりました。知らなかったころは党(朝鮮労働党)を信じていたけど、(中国に)来てみると『ああ、騙されていたんだな』と思うようになりました」

  • 金正恩と米国の「ディール」を吹き飛ばす「性的虐待」の生々しい告発

    金正恩と米国の「ディール」を吹き飛ばす「性的虐待」の生々しい告発

    トランプ米大統領は先月行われたハノイでの2度目の米朝首脳会談で、弾道ミサイルと生物化学兵器の全廃を北朝鮮に要求したという。

    これを北朝鮮が受け入れられない理由については、すでに本欄で述べた。東アジア最弱とも言える北朝鮮軍が、核兵器に続いて弾道ミサイルや生物化学兵器まで全廃したら、それこそ「武装解除」と言うに等しいからだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    だが、問題はこれだけではない。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は3日、上述の生物化学兵器などの件について明かしたFOXニュースの報道番組で、次のようにも語った。

  • 金正恩氏、韓国との約束をまたも「スルー」…文在寅政権に打撃

    金正恩氏、韓国との約束をまたも「スルー」…文在寅政権に打撃

    北朝鮮が、昨年9月に韓国との間で結んだ軍事分野の合意のうちの1つを履行せず、「スルー」していたことがわかった。韓国側は準備万端ととのえ、待っていたにもかかわらずだ。

    北朝鮮はほかにも、韓国の文在寅大統領が要望した、日本からの独立運動100周年行事を共同開催する約束を「スルー」している。2回目の米朝首脳会談が不調に終わり、韓国政府は仲介役として貢献すべく意気込むが、北朝鮮に対するグリップが怪しくなってきている状況だ。

    (参考記事:金正恩が韓国の熱望を「スルー」…対日独立運動記念に「関心なし」

    北朝鮮はもともと、韓国と全面的な「蜜月関係」ではない。気に入らないことや自分の立場から見て韓国に「筋が通らない」と思われる部分があれば、強い表現で罵倒することもいとわない。

    (参考記事:「韓国が下心さらけ出した」北朝鮮が猛批判する理由

    しかしそれにしても、最近の北朝鮮の行動には、「韓国軽視」とも思える部分がうかがえる。

    今回、北朝鮮が「スルー」したのは、今年2月末までに実施することにしていた南北共同遺骨発掘団の構成・相互通知だ。

    昨年9月に双方が交わした軍事分野合意書には、南北が非武装地帯(DMZ)内で朝鮮戦争戦死者の遺骨を共同で発掘するため、大佐級を責任者とする5人ずつの共同調査・現場指揮チームを構成するほか、80~100人の発掘団をつくることや、2月末までに相互に通知することが明記されている。韓国側は、遺骨発掘団の構成をすでに終えている。

    朝鮮半島情勢の全体的な構図の中で見れば、小さな問題と思えるかもしれない。しかし北朝鮮と韓国はこれまで、陸海空での敵対行為の中止やDMZの監視所の試験撤去、軍事境界線上にある板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化、漢江河口の共同水路調査など、軍事分野合意書の記載事項を着実に履行してきたのだ。

    それらにはいずれも期限が設けられており、今回の遺骨発掘団の件で初めて、北朝鮮は期限を守らなかったのだ。それだけではない。聯合ニュース(日本語版)は4日、次のように伝えている。

    「今年に入り、米朝首脳会談を控えた北朝鮮の消極的な態度により、南北の軍事対話は円滑に行われていない。南北の軍事当局者が対面したのは1月30日、韓国側が制作した漢江河口の海図を板門店で北朝鮮側に手渡したのが唯一だった。このため、南北軍事共同委員会の構成やJSAの自由往来などの軍事合意が履行されていない」

    たしかに、北朝鮮による軍事分野の合意履行の遅れが、米朝首脳会談の影響である可能性は小さくない。だとすれば、仮に米朝首脳会談が「成功」していたなら、北朝鮮は再び合意履行に積極的になったはずだ。

    しかし、会談が不調に終わった今、北朝鮮はどのように出てくるのだろうか。だいたい、核兵器などを除けば東アジアで軍事力が「最弱」の北朝鮮としては、本当は韓国との合意履行などありがたくないのかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    いずれにしても、国内の経済政策の迷走が続き支持率の芳しくない文在寅政権は、来年4月の総選挙を控え、北朝鮮との統一を成し遂げた「バラ色の未来」を描くしか、有権者に訴える材料がないのが現状だ。

    このまま北朝鮮から「ソデ」にされ続ければ、政権が大きな打撃を被ることは明らかだろう。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

  • 金正恩氏の「ポンコツ軍隊」が邪魔をする非核化の今後

    金正恩氏の「ポンコツ軍隊」が邪魔をする非核化の今後

    ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は3日、FOXニュースの報道番組に出演し、先月行われたハノイでの2度目の米朝首脳会談で、弾道ミサイルと生物化学兵器の全廃を北朝鮮に要求したことを明かした。

    会談は物別れに終わったが、それも当然と言えば当然だ。米国の要求はほとんど「武装解除」に等しく、北朝鮮としては受け入れられないだろう。

    米国の軍事専門メディアであるミリタリー・ドット・コムは2017年7月、「世界の軍隊ワースト10」と題した記事を掲載し、その中で北朝鮮の軍隊を第3位に挙げている。つまり、北朝鮮の軍隊は世界で3番目に弱いということだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    北朝鮮は、兵員や戦車などの数だけは軍事大国並みだ。しかし兵器のほとんどは骨とう品レベルで、規律も乱れきっている。

    (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

    かつてはベトナムや中東で米軍やイスラエル軍相手に死闘を繰り広げたが、それも今は昔の話だ。精強と言えるのは一部のエリート部隊だけで、全体としてはとても本格的な戦争に耐えられる状態にない。

    (参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」

    だからこそ、金正恩党委員長は核兵器開発に集中投資を行ったのだ。それを放棄する非核化は、北朝鮮としては「捨て身」の外交戦略とも言える。そのうえ、非核化後の「虎の子」となる弾道ミサイルと生物化学兵器まで廃棄させられたら、北朝鮮は「丸腰」同然になってしまう。

    つまり、金正恩氏は北朝鮮軍が弱すぎるが故に、米国の要求を飲むことができないのだ。

    米国とて、それぐらいの事情は見透かしているはずで、この要求を準備した時から、会談の決裂を見越していたのではないか。

    もしかしたら、ロシア疑惑などで窮地に立たされているトランプ政権は、「北朝鮮に安易な妥協をした」と非難されるのを避けるため、敢えてこのような要求を出し、北朝鮮が先に降りるよう仕向けたのかもしれない。

    しかし、困るのは今後の展開だ。上述したような北朝鮮の状況は、簡単には変わらない。また米国としても、一度出した要求を下げれば、それこそ文字通りの「妥協」となってしまう。

    果たして、非核化のための米朝対話はこの先、進展することがあり得るのだろうか。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

  • 「金正恩が恥をかかされた!」首脳会談の失敗情報、北朝鮮で拡散

    「金正恩が恥をかかされた!」首脳会談の失敗情報、北朝鮮で拡散

    物別れに終わった2回目の米朝首脳会談。北朝鮮の国営メディアは会談の成果の有無には具体的に触れていないが、少しの時間差を置いて、北朝鮮国民の間にもその「中身」が伝わりつつある。

    「トランプだました」

    平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋は、「今回の元帥様(金正恩党委員長)のベトナム訪問は、米国との会談が目的だったため経済制裁の解除という結果が出ると住民は期待していた」が、「会談終了から何日経っても、経済封鎖が解かれるという話がなく、人々は『交渉がうまく行かなかったのだな』と思うようになっている」と伝えた。

    (参考記事:「心配でしょうがない」首脳会談失敗で北朝鮮から失望と不安の声

    中国と取り引きのある貿易関係者を通じて、米朝間の立場の違いが大きかったという話が巷に広がりつつある。市民の間からは「残念だ」との反応と共に「1杯目の酒で腹が膨れようか」と次の会談に期待する声も上がっている。

    期待を持っているのは、情報筋も同じだ。

    「お上が元帥様の外国訪問を強調し、講演会も開いているので大きな成果があがるだろうと期待していた人もいる。私のように何かが変わるのではないだろうかと思っていた人もいた。(今回はダメでも)頻繁に会えばまた何かあるのではないか」

    一方で「個人対個人の取り引きも難しいのに、米国との取り引きが最初からうまくいくとは思っていなかった」と懐疑論を抱く人もいれば、「会談なんて自分とは関係ない」と興味を持とうとしない人もいたとのことだ。

    労働新聞が米国に対する批判記事を出さず、会談中の雰囲気は良好だったと伝えていることも、期待論を下支えしている。

    「労働新聞と放送で『新たな出会いを約束した』との話があったので、また会うものと考えている。庶民の頭には『米国は信じられない』という考えが根強いので、そう簡単にいくとは考えていない。ただ、経済制裁が早く解決してこそ、貿易を行う機関も市場も生き返る。密輸だけに頼っていては中国の業者に足元を見られ、安定性が担保されていない」(情報筋)

    米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋も、北朝鮮国内で「会談が完全に失敗した」との話が広がっていると伝えた。

    (参考記事:金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    密輸業者から広まった話だが、市民は「最高尊厳が寧辺(ニョンビョン)の核施設まで差し出すと言ったのに、トランプ大統領がなぜ聞き入れなかったのかわからない」と疑問を持ち、「米国が北朝鮮を屈服させるために、わざとそんなことをしたのではないか」と疑っているとのことだ。

    RFAによれば、一部の人は「今回の会談が失敗に終わったのは、寧辺核施設以外にも北朝鮮が公開していなかった秘密核施設まで米国は知っていたのに、それをトランプ大統領に明かさず騙していたからだ」と見ている人もいる。

    他方、「最高尊厳が国際社会で恥をかかされた」と不快感を示す人や、「米国の経済制裁がさらに強化されるかもしれない」と不安感をのぞかせる人など、様々な異見が飛び交っている。

    噂の拡散を受けて、保衛部(秘密警察)は公式発表以外の情報が流布しないよう住民監視を強め、「真実」の拡散を抑えようとしていると平安北道(ピョンアンブクト)の別の情報筋が伝えている。

    (参考記事:首脳会談の失敗で「ホッとひと安心」している北朝鮮のお金持ち

  • 金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったことで、準備に関わった北朝鮮側関係者が「粛清」の憂き目に遭うのではないか、との懸念が一部で出ている。

    先日の本欄でも紹介したが、中国駐在のある北朝鮮貿易関係者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し次のように語っている。

    「拷問」の最高責任者

    「最高尊厳(金正恩党委員長)が平壌に戻れば、会談についての総和(総括)をしなければならない。罪のない人が会談失敗のスケープゴートにされ、粛清される事態が起きるかもしれない」

  • 首脳会談の失敗で「ホッとひと安心」している北朝鮮のお金持ち

    首脳会談の失敗で「ホッとひと安心」している北朝鮮のお金持ち

    すでに本欄でも伝えたとおり、北朝鮮の貿易関係者の間からは、米朝首脳会談の失敗に対する落胆の声が漏れ伝わっている。その一方、北朝鮮国内には、会談の失敗に安どのため息をついている人々もいるようだ。その人々とは「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層の一部だ。

    北朝鮮では、社会主義計画経済と配給制度がほとんど崩壊し、なし崩し的な資本主義化が進んでいる。その主人公が、市場での商売や運送業などで資本を蓄え、あるいは権力と癒着して甘い汁を吸い、今や不動産投資や工場経営にも進出しているトンジュである。北朝鮮では今、ものすごいスピードで格差の拡大が進んでいるが、そこで「勝ち組」の座を占めているのもトンジュだ。

    (参考記事:「牛乳風呂」をたのしむ北朝鮮の上流階級)

    米朝首脳会談がうまく行って対北制裁が緩和されれば、ビジネス環境が改善し、トンジュも潤うのではないか――読者の中にはこのように考える向きもいるかもしれないが、どうやら、トンジュの国際情勢に対する感覚は相当にシビアなようだ。

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋の話として伝えたところでは、新義州(シニジュ)を本拠地にして外貨を稼ぎ全国の市場を牛耳っているトンジュたちは「最高尊厳(金正恩氏)が米国の大統領に会いにベトナムまで行ったのだから、ベトナム式改革開放を朝鮮に導入する可能性が高い」と期待を見せつつも、こんな不安ものぞかせた。

    「南朝鮮や米国など、国際的な投資が大規模に入ってくるのではないだろうか」(情報筋)

    新義州は現在、金正恩氏がぶち上げた都市再開発プロジェクトで不動産バブルに沸いている。現地のトンジュたちはその恩恵を十二分に受け、「濡れ手に粟」で潤っているだろうが、それでも世界的に見れば、自分たちの投資など「はした金」に過ぎないことをよく認識している。世界各国の巨大企業が北朝鮮に進出すれば、オイシいところは全て奪われてしまうのではないかと心配しているのだ。

    さらに別の情報筋によれば、トンジュは北朝鮮で改革開放が始まれば、国内に少なからぬ混乱や動揺が生じ、違法な手段で荒稼ぎしてきた自分たちが、命を危ぶむほどの状況に追い込まれるのではないかと心配しているというのだ。当局がゴタゴタを収拾して自分たちが生き残るために、トンジュを悪者扱いして粛清するのではないか、との懸念である。

    確かに北朝鮮社会には、傍若無人に振る舞うトンジュに対する「冷たい視線」が存在するのも事実だ。

    (参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

    ある住民は、トンジュの不安を次のように語っている。

    「金持ちは戦争を怖がっている。今は金儲けするにはいい時代だが、情勢が変われば(すべてが)変わる。体制が変われば国はトンジュから先に処刑する」(ある一般庶民)

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    こんな不安を抱えたトンジュたちは今頃、会談失敗の報を耳にして、胸をなでおろしているかもしれない。

    (参考記事:北朝鮮「金持ち女性」たちの密かな楽しみ…お国の指示もそっちのけ

  • 金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったことで、準備に関わった北朝鮮側関係者が「粛清」の憂き目に遭うのではないか、との懸念が一部で出ている。先日の本欄でも紹介したが、中国駐在のある北朝鮮貿易関係者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し次のように語っている。

    「拷問」の最高責任者

    「最高尊厳(金正恩党委員長)が平壌に戻れば、会談についての総和(総括)をしなければならない。罪のない人が会談失敗のスケープゴートにされ、粛清される事態が起きるかもしれない」

    北朝鮮では過去、何度も大粛清が起きている。金正恩時代に入ってからも同様だ。ショッキングだったのは、工場の管理不備を理由にスッポン養殖工場の支配人が銃殺され、その直前の動画が公開されたことだ。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    また、処刑の方法も残忍だ。人体がズタズタになるまで機関銃を乱射し、それを群集に見せつけるようなやり方が繰り返されてきた。恐怖で人々の心を縛る目的からだ。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    粛清されても、殺されずに「革命化」と呼ばれる再教育を受けた後で復帰できる例もある。しかし、その過酷さもハンパなものではない。

    (参考記事:側近「激ヤセ写真」に見る金正恩式「再教育」の恐怖

    それでは今回もまた、会談の準備に携わった外務省などの幹部らが粛清されてしまうのかと言えば――多分、そのようなことにはならないと、筆者は考えている。

    この間の報道で日本でも広く知られるようになった李容浩(リ・ヨンホ)外相や崔善姫(チェ・ソニ)外務次官は、北朝鮮の対米外交のエース中のエースだ。そんな人材を失えば、そのダメージは計り知れない。

    その一方、金正恩氏から目を付けられそうな人物もいる。国家保衛省の元トップで、2017年に失脚した金元弘(キム・ウォノン)氏だ。

    国家保衛省は、拷問などの手段を用いながら、北朝鮮の恐怖政治を支えてきた秘密警察だ。

    しかし近年、金正恩氏は国際社会の圧力を気にしてか、国家保衛省による人権侵害を疎むようになっているもようだ。金元弘氏の失脚も、それと関係している可能性が高い。

    しかも同氏は、北朝鮮から解放直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)がスパイ容疑で拘束された2016年1月にも、同省トップの地位にあった。金正恩氏は今回の首脳会談でトランプ米大統領に対し、ワームビアさんの件について「この件を非常によく知っているが、後になって知ったのだ」と語ったという。

    この金正恩氏の言葉が事実かどうかはさておき、彼は米国人に対する人権侵害を、世界が注目する場で釈明させられたのだ。そしてその甲斐もなく、会談は物別れに終わった。

    これは、金正恩氏の怒りの矛先が、「ワームビア問題」の端緒を作った金元弘氏に向くのに十分な状況と言える。果たして今後、金元弘氏の身に何が起きるのか、はたまた起きないのだろうか。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 金正恩は米大学生が「歯がズレて死亡」した理由を知っている

    金正恩は米大学生が「歯がズレて死亡」した理由を知っている

    米バージニア大学生のオットー・ワームビアさん(当時22歳)が北朝鮮に長期拘束された後、昏睡状態で解放され、その直後に死亡した問題を巡りトランプ米大統領が非難を浴びている。

    米朝対話の「危機」に

    トランプ氏はハノイでの米朝首脳会談でこの問題に言及。すると金正恩党委員長が「この件を非常によく知っているが、後になって知ったのだ」と語ったと明かし、「私はその言葉をそのまま受け入れる」と述べていた。これに、米国の世論が反発。さらにはワームビアさんの両親が非難の声を上げたのだ。

    筆者はこの問題が、いずれ米朝関係に大きな影を落とす可能性を以前から指摘してきた。

    (参考記事:北朝鮮が拷問か…死亡の米大学生の歯列変形。米メディアが写真公開

  • 「心配でしょうがない」首脳会談失敗で北朝鮮から失望と不安の声

    「心配でしょうがない」首脳会談失敗で北朝鮮から失望と不安の声

    全世界の注目を浴びつつベトナムのハノイで開催されるも、合意に至らないまま終了した2回目の米朝首脳会談。

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1日付の記事で、「敬愛する最高指導者(金正恩党委員長)とトランプ大統領は、朝鮮半島の非核化と朝米関係の画期的発展のために今後も緊密に連携し、ハノイ首脳会談で論議された問題解決のための生産的な対話を引き続きつないでいくことにした」と報じ、具体的な結果には触れないまま「新しい対面を約束しながら別れのあいさつを交わした」と記事を締めくくることで、合意に至らなかったことを示唆した。

    北朝鮮国内からの反応はまだ伝わってこないが、会談結果をリアルタイムで知った中国にいる北朝鮮の貿易関係者から失望の声が上がっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。中には、責任追及による「粛清」を懸念する声もある。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

    北朝鮮では過去、行政上の失敗などの責任を問われ、多くの人々が公開処刑や政治犯収容所送りになっている。

    (参考記事:北朝鮮、脱北者拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も」

    中国の丹東に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、税関で新義州(シニジュ)に向けて発送する作業を行った後、オフィスに戻りネットをチェックしていたときに首脳会談のニュースを知ったとして、「2回目の会談が合意も署名もなく終わるとは思っていなかった、とても虚しい」と失望を隠しきれない様子だ。

    この関係者は、核・ミサイルの放棄と経済制裁をリンクさせて解決しようとする流れに対して、否定的な考えを持っていた。

    「率直に言って(我々)貿易担当者たちは、最高尊厳(金正恩氏)が非核化を前提にして、米国の経済制裁を解く目的で平壌から列車に乗って中国を経てベトナムのハノイに向けて出発したときから懐疑の目で見ていた」

    皆がひもじい思いをしながら作った核やミサイルを、あっさりと放棄するわけがないという見方をしていたこの関係者。ところが、会談を前にしてその考えに揺らぎが生じたようだ。

    「しかし、昨日(27日)に朝米首脳が晩餐会の席で笑顔で対話する様子をニュースで見て、もしかしたら良い結果が出るかもしれないとの期待を持った」

    そんな期待も失望に変わってしまった。

    「米国の大統領と会った席で、最高尊厳がすべての人が喜ぶ立派な結果を出すと発言したときには、今回は本当に核とミサイルの放棄を約束して、米国の経済制裁を解除させるという大胆な決断を下すかもしれないと思ったのに、今日の会談の結果を見て完全に拍子抜けした」

    中国駐在の別の北朝鮮貿易関係者は、会談が合意なしに終わったことについて、責任のない人がとばっちりを受けるかもしれないと懸念している。

    「最高尊厳が平壌に戻れば、会談についての総和(総括)をしなければならないのに、何よりも心配なのは、会談を行った実務者たちが今後、どんな責任を負わされるかということだ。罪のない人が会談失敗のスケープゴートにされ、粛清される事態が起きるかもしれない。心配でしょうがない」

    (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

  • 北朝鮮「日本の核武装化こそ問題」主張でドツボにはまる

    北朝鮮「日本の核武装化こそ問題」主張でドツボにはまる

    北朝鮮の金正恩党委員長とトランプ米大統領とは28日、ベトナムの首都ハノイで2日目の首脳会談を行ったが、非核化の道筋で合意に至ることなく、日程を繰り上げて終了した。

    独裁国家と民主主義国家が、信頼関係を築くことの難しさを示した事例と言える。両首脳が友好関係を強調してはいるが、核以外でも人権問題などで火種は残り、しょせんは水と油なのだ。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    軍隊が虐殺

    しかしどうやら、金正恩氏はその重大さに気付いていない。そのことは、北朝鮮が首脳会談を狙いすまして繰り出した、日本非難の論調にも見て取れる。

  • 「日本は謝罪と賠償だけしていろ」北朝鮮、首脳会談当日に主張

    「日本は謝罪と賠償だけしていろ」北朝鮮、首脳会談当日に主張

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が初日を迎えた27日、北朝鮮が日本に対し、過去清算を迫る非難をぶつけた。

    北朝鮮のこのような主張は今に始まったものではなく、最近でもよく出されていたものだ。

    (参考記事:「日本軍が慰安婦を虐殺した映像ある」北朝鮮メディア報道

    しかし、米朝首脳会談のタイミングにストレートにぶつけてくるとは、今後の日朝関係を占う材料になりそうだ。

    朝鮮労働党機関紙・労働新聞は同日、日本が国連安全保障理事会の常任理事国を目指すのは「せん越で無分別」であるとする論評を掲載した。

    論評は、日本は第2次世界大戦の「戦犯国の中で唯一に過去清算を正しくしなかった国だ」としながら、「日本が図々しくも世界の平和と安全保障を使命とする国連安保理常任理事国のポストを欲しがること自体が国連憲章に対する露骨な無視であり、人類の良心に対する愚弄、挑戦である」と主張。

    そのうえで、「日本がやるべきことは、特大型反人倫犯罪に対する国家的・法的責任を認め、徹底した謝罪と賠償をすることだけ」だと強調した。

    最近の北朝鮮の対日非難には、大きく2つの流れがある。ひとつは今回のように歴史問題に言及し、日本に朝鮮半島支配の過去清算を迫る論調だ。そしてもうひとつの流れが、日本の軍備増強に対する非難だ。

    (参考記事:「自衛隊の攻撃能力は世界一流」と評価する金正恩氏の真意

    いずれも、その目的のひとつは、米国に対して「わが国にとって、日本は問題である」ということを強調することにあるのではないか。

    最も射程の長い大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、米国との非核化対話の中で、当然廃棄の対象になる。しかし日本にとっての脅威は短・中距離弾道ミサイルであり、日本政府はそれらの全廃を主張している。

    だが北朝鮮としても、装備のほとんどが老朽化し、また軍紀のびん乱で軍が弱体化している現状では、「虎の子」の弾道ミサイル戦力をそう簡単に手放せないという事情もある。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    金正恩党委員長は、日朝の関係改善が進まない状況をトランプ米大統領に強調し、それを交渉のカードの1枚にしようとしているのかもしれない。

    (参考記事:【写真】北朝鮮、韓国「美人すぎる野党議員」を猛批判…「親日派を除去せよ」

  • 「関係改善を台無しにする気か」北朝鮮、韓国での軍事動向を非難

    「関係改善を台無しにする気か」北朝鮮、韓国での軍事動向を非難

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談を前に、北朝鮮が韓国での軍事動向に対する警戒感を露わにした。

    北朝鮮は、これまでにもこの問題で韓国非難を繰り返しており、同国にとっては相当に重要な懸案となっていることがうかがえる。

    (参考記事:「破局的な結果を考えてみろ」北朝鮮、また韓国にブチ切れ

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は25日、米韓が来月4日から韓国での合同軍事演習「19-1演習」の実施を予定していることに対し、「朝米関係と北南関係改善の流れに背ちする危険な動き」であるとする論評を掲載した。

    「19-1演習」は従来、「キー・リゾルブ」の名称で行われていた合同指揮所演習だ。米韓は、毎年上半期に実施されていた大規模な合同野外機動訓練「フォールイーグル」の名称も今後は使わない方針とされる。

    前者はコンピューターを使ったシミュレーションだが、「フォールイーグル」には米本土などからも大量の兵力と武器が動員される。慢性的な経済難の中にある北朝鮮にとっては、これが実施されるだけで脅威なのだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    ただ、「フォールイーグル」は数十の陸・海・空軍、海兵隊の合同訓練を総合して付けられた呼称であり、まとめてこの呼称を使う必要は必ずしもない。そこで米韓は北朝鮮を刺激しないよう、統一の呼称を使うことを避け、それぞれの合同訓練を粛々と行う方針にしたのだろう。

    ところが、北朝鮮はそのようなやり方でお茶を濁されるつもりはないようだ。

    論評は「表では情勢緩和と平和について唱え、裏では戦争装備を引き入れながら合同軍事演習を再開しようとするのは内外の懸念をかき立てる」と主張。続けて「対話と戦争演習、平和と軍事的敵対行為、関係改善と軍事的圧迫は決して両立しない」と強調した。

    名称がなくなっても、合同演習が行われることに変わりはないではないか、との主張である。

    この言い分は、北朝鮮軍の弱体化を考えれば理解できないものでもない。米国の要求に沿って非核化してしまえば、北朝鮮の軍事力はさらに弱まる。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    今後、北朝鮮の非核化を進展させるためには、こうした通常兵力のバランス面でも駆け引きが必要になるということだ。

  • 北朝鮮「虐殺された芸術団」の美人歌手が生きて帰って来た

    北朝鮮「虐殺された芸術団」の美人歌手が生きて帰って来た

    2015年3月、北朝鮮の芸術関係者を震撼させる事件が起こった。金正恩党委員長の夫人である李雪主(リ・ソルチュ)氏も所属していた銀河水管弦楽団の複数のメンバーが処刑されたのだ。銀河水管弦楽団は、金正日総書記によって2009年に創設され2012年まで精力的に公演活動を行っていたが、2013年に解散させられていた。処刑は解散から2年後の2015年に行われた。同楽団のメンバー4人は、裸で立たされた上で、遺体が原形をとどめなくなるまで機関銃で乱射されるという実に残忍な方法で処刑された。

    (参考記事:遺体が粉々になり原型とどめず…金正恩氏の「銀河水管弦楽団員虐殺」事件

    解散、そして複数のメンバーが処刑される憂き目にあった銀河水管弦楽団だが、一部メンバーが復帰したようだ。

    先月、北朝鮮の友好芸術団が中国を訪問し、27日から28日にかけて北京の国家大劇院で公演した。韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使はこの公演で、銀河水管弦楽団に所属していた女性歌手のソ・ウニャン氏とファン・ウンミ氏の姿が確認されたと自身のブログで述べた。

    ソ・ウニャン氏、ファン・ウンミ氏は銀河水管弦楽団を代表する歌手だったが、確かに2013年の解散以降、表舞台から消えていた。太氏によると、2人は処罰を免れて芸術団と音楽大学の教員などを務めていたという。今回の公演で確認されたことから2人は表舞台に復帰し、さらに「銀河水楽団の他の俳優らも音楽大学や2部類芸術団から1部類芸術団に復帰した可能性が高い」と太氏は分析する。

    ちなみに、中国に派遣された友好芸術団の団長である玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏は、北朝鮮の朝鮮中央テレビで朝鮮労働党の副部長と紹介された。副部長とは、次官級に相当するだけに、玄氏はもはや金正恩氏の側近中の側近といってもいいだろう。

    金正恩氏の実妹である金与正(キム・ヨジョン)氏が朝鮮労働党第1副部長として、公私共々金正恩氏を支えているように、玄氏も元芸術家として重要な役割を担っているようだ。

    存在感を高める玄氏や、復帰したソ・ウニャン氏、ファン・ウンミ氏のように安泰な人生を歩む芸術家がいる一方で、文字通り「血の雨」を浴びながら葬り去られた芸術家もいる。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

    銀河水管弦楽団のコンサートマスターだったムン・ギョンジン氏だ。ムン氏はモスクワにも留学し、ハンガリーのカネッティ国際ヴァイオリンコンクールで優勝するなど、華々しい経歴の持ち主だった。彼の才能にほれ込んだ金正日総書記は、1億7千万円相当の1716年製ストラディバリウスを購入し貸与したと言われている。しかし、金正日氏が愛し育てた素晴らしいヴァイオリニストを、息子の金正恩氏は容赦なく処刑した。

    (参考記事:金正恩氏は父が愛した「天才ヴァイオリニスト」を容赦なく殺した

    昨年の米朝首脳会談や南北会談を通じて、金正恩氏は「開かれた指導者」をアピールしている。しかし最高指導者になって以後、気に入らない幹部や芸術家をはじめ多くの国民を処刑した事実は消し去ることはできない。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認