北朝鮮の国境警備兵が赤裸々に告発「犯罪天国」の実態
普通の国では、国民がお上から何らかの不利益を被った場合、裁判所、人権擁護機関などに訴え出て、救済を求める。しかし、北朝鮮ではそれらは存在しないか、まともに機能していない。北朝鮮国民が頼れるのはコネ、カネ、あるいは「信訴」だけだ。
「信訴」というのは、中国の「信訪」と同様に、理不尽な目に遭った国民が、そのことを政府機関に直訴するシステムで、一種の「目安箱」のようなものだ。元々は法制度の外で運用されていたものが、1998年に制定された信訴請願法で、法的根拠が与えられた。
密輸に加担した容疑で摘発され、実刑判決を受けた北朝鮮の国境警備隊の兵士がこの「信訴」を使って密輸や人身売買など部隊の不正行為を暴露し、大騒ぎとなっていると、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。
(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち)
6ヶ月の刑を終えて朝鮮人民軍606号教化所(刑務所)から出所したばかりのこの兵士は、同じ中隊の軍官(将校)と上級者の不正行為を告発する信訴の手紙を上部に送った。