北朝鮮が差別表現でオバマ氏を罵倒する理由

なんとか米国の気を引きたい北朝鮮が、オバマ氏の自国に対する無関心さに、はらわたが煮えくりかえる思いと「反発」を抱いたことは容易に想像出来る。また、最も敵対しながらも最も対話したい米国が、手の届く場所まで来たにもかかわらず、手をこまねいて見送ることしか出来なかったことへの「苛立ち」も感じただろう。プライドの高い北朝鮮らしい返礼ともいえるが、代償を顧みない稚拙な言動は、時には大きな反発となって返ってくる。

案の定、今回の差別表現に対して、米ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は、声明を通じて、「北朝鮮公式メディアは、誇張された言動で悪名高いが、今回の言及はとりわけ醜悪だ」と非難した。これによって北朝鮮が望む「米朝直接対話」は、さらに遠のくことは避けられない。それとも、北朝鮮は一向に進まない米国との交渉を短期的に諦めたのか。

仮に、政治的意図があったとしても、北朝鮮による一連の「国家ぐるみのヘイトスピーチ」は、普遍的な人権感覚という見地からも、決して容認されるものではない。

金正恩体制になってから、北朝鮮は過去の負のイメージからの脱却を狙っていると評されることもあるが、国際社会に認められるにはまだまだ時間がかかりそうだ。