苦節20年、ようやく幕が下りた「ある脱北者の流浪物語」

そして、手続きが終わるや、彼女は待ち構えていた北朝鮮人を振り切り、キムさんを自宅に連れて行った。

彼女の家でしばらく匿われていたキムさんは、首都モスクワに行けることになった。韓国料理レストランで働きつつ、ロシア移民局に難民申請を行なったが、「北朝鮮に帰国すれば銃殺されるということを立証できない」という理由で4回にわたり却下された。2016年5月にようやく期限1年の一時亡命地位を得ることができた。

(関連記事:ロシア政府、脱北者の亡命申請を認める

いつ北朝鮮に強制送還されるかわからないという恐怖心に駆られていた彼だが、国際移住機関(IMO)の斡旋で、米国に行くことが決定した。

しかし、最後の最後にキムさんは大きな壁にぶち当たった。