北朝鮮の医療施設「麻酔なしで切開手術」の恐怖体験

北朝鮮はこれまで、「無償医療制度」を誇ってきた。ちょっとした風邪の診断からMRT、CTスキャン、出産、手術に至るまで全部無料で受けられると自画自賛しているが、実態はかなり違う。

そもそも、国家や地方機関が運営する病院に「クスリ」がない。クスリもないのに単なる紙くずにすぎない処方箋を出すだけだ。医師も医大や専門学校を出たての新人が多く、診断も治療も杜撰というのが現状だ。

そのため、どうしてもまともな治療を受けたい患者たちは、評判のいい医師がいる「民間診療所」へ行くという。

北朝鮮の医師たちは概して職業意識が高く、懸命に患者の治療にあたる。しかしあまりに待遇が悪く、医師としての使命も十分に果たせない劣悪な労働環境を嫌い、国営病院の幹部医師クラスでさえも、職場を辞めて自宅で診療所を開くことが多い。

こうした民間診療所の医師たちは経験豊富で腕もあり、各種医薬品も取り揃えている。入手困難な薬は、医師自らが作ることもある。