北朝鮮権力に「虐殺者の3代目」vs「罪なき4代目」の新たな構図

ハンソル氏は自分と家族の安全を確保したうえで、DNAサンプルをマレーシア警察に提供し、動画を投稿。それを受けてマレーシア警察も発表に踏み切ったという流れだ。

先月13日にマレーシアのクアラルンプール空港で起きた事件は、もはや「金正男氏暗殺事件」と断言しても過言ではないが、それでも北朝鮮当局が従来の主張を覆すことはありえないだろう。また、北朝鮮当局が殺害に関与していたとしても決定的な証拠が見つかるかどうかも未知数だ。ただし、20年前の話だが、金正日総書記は喜び組スキャンダルなどを暴露した金正男氏の母方のいとこにあたる李韓永(イ・ハニョン)氏を暗殺したという過去をもつだけに「限りなく黒に近いグレー」と見られるのは避けられない。

(参考記事:「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者

そして、金氏一族の正統なる4代目であるハンソル氏の存在が、3代目の正恩氏にとって極めて厄介なものとして浮上したことは間違いない。