自分の兄まで「公開処刑」…正恩氏が「その瞬間」を見たかった理由

亡命政権樹立云々のストーリーはわかりやすいかもしれないが、これが暗殺の決定的な理由になったと見るにはいささか無理がある。

見せしめで公開処刑

筆者は、金正男氏が国際空港という衆人環視の環境で、目立つような形で暗殺が決行されたという点に注目する。金正恩氏は金正男氏を暗殺する場面を多くの人に見せつけたかったのではなかろうか。

20年前の1997年、金正日総書記は喜び組スキャンダルなどを暴露した金正男氏の母方のいとこにあたる李韓永(イ・ハニョン)氏を暗殺した。この時、韓国に極秘に潜入した工作員が李韓永氏を銃で殺害し、すぐさま北朝鮮に帰国した。つまり暗殺事件はまんまと成功したのだ。事件が北朝鮮工作員の仕業によるものと明らかになるのはしばらく経ってからである。

(参考記事:「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者

今回の暗殺現場となった空港は、わざわざ選ばれたものだろう。