【対北情報戦の内幕-10-】朝鮮総連を震撼させた公安当局の「セセデ」獲得工作

「我々の『作業班』は、協力者獲得や情報収集の手段を教え込む警察大学校の公安講習を修了し、所轄署で実績を上げた者を引っ張り上げて構成する。そして、工作対象者に接触するまで1年以上の基礎調査を行っているんだ。

しかし公安調査官は普通の国家公務員と同じく、採用後に簡単な研修を受けただけで、調査官としての活動を始める。だから当然、情報収集の基本的なスキルは低い。

警察官でいえば交番のお巡りさんをやっている採用1〜2年目のド素人が、いきなり工作をやらされているようなものだ。そんな若造に海千山千の活動家を落とせるわけがない。工作は取調べと同じで、人間同士の精神の戦いなんだ」(外事警察OB)

深層情報を探る「禁じ手」

最近、中国当局により日本人が拘束された事件を巡っても、多くの識者が公安庁の情報スキルの低さを指摘している。しかし一方で、公安庁の集める情報は米中央情報局(CIA)や西側情報機関から、高い評価を得ているともいわれる。どちらの評価が実態に近いのか。

当の公安庁OBは、「どちらも正しい」と話す。