金正恩氏「元恋人を処刑」情報の舞台裏…父にも同様の過去が
韓国と北朝鮮は15日午前10時から、平昌冬季五輪に際し北朝鮮が韓国に芸術団を派遣する件につき実務者会談を行っている。同会談に臨む代表のひとりとして、北朝鮮は玄松月(ヒョン・ソンウォル)管弦楽団長の名前を挙げた。
玄氏は、金正恩党委員長肝いりのガールズグループ「モランボン楽団」の団長として知られる。また、一時は金正恩氏の「元恋人」であると噂され、公開処刑されたとの説まで取りざたされた。
女性らは失禁
2013年8月、日本と韓国のメディアは、玄氏が公開処刑されたと報じた。
玄氏ら北朝鮮の有名芸術団のメンバー9人がポルノ映像を撮影し、頒布したことと、金正恩党委員長の夫人・李雪主(リ・ソルチュ)氏を中傷したというのがその理由だ。真偽の問い合わせを受けた韓国の国家情報院が「その事実を知っている」と答えたともあって、この情報は、あたかも事実であるかのようにとらえられた。
ところが、玄松月氏はしばらくして、第9回全国芸術大会にモランボン楽団の団長として登場。マスコミと国家情報院の情報に間違いのあることが明らかになった。
だが、北朝鮮の有名芸術団のメンバーの行為が罪に問われ、公開処刑されたのは事実とされている。この出来事は、北朝鮮国内でも激しい衝撃を持って受け止められた。
いったいなぜ、芸術団メンバーらは処刑されなければならなかったのか。その真相に関する有力な説はふたつある。ひとつは、伝えられているとおりポルノ映像を撮影していたというものだ。
(参考記事:美貌の女性らが主導…北朝鮮芸術家「ポルノ撮影」事件の真相)
ちなみにこの話が伝えられた当初、ポルノ映像には李雪主氏も登場していたとの噂があったが、これはどうやら違うようだ。
(参考記事:【写真特集】李雪主――金正恩氏の美貌の妻)
だが、もう一方の説は、李雪主氏に深く関係するものだ。芸術団メンバーらが李雪主氏の「異性問題」、つまりは過去の男性遍歴をネタにしていたことが当局にバレたというのである。
ちなみに、脱北者で韓国紙・東亜日報の名物記者でもあるチュ・ソンハ氏が自身のブログで伝えたところでは、北朝鮮当局は自動小銃の一斉射撃で芸術団メンバーの体がズタズタにされる様子を、射撃場に集めた芸術関係者数千人に見せつけた。前列で見ることを強要された女性歌手らの中に、失禁しなかった者はいなかったという。
(参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「異性問題」で殺された北朝鮮の芸術家たち)
どちらの説が事実にあるにせよ、とんでもない話であることに変わりはない。ポルノを撮影しようが国家指導者の妻の「元カレ」をネタにしようが、それくらいで死刑にされてはたまったものではない。
しかしこういう事件とからんで金正恩氏の「元恋人」が処刑されたとの噂が出回ってしまうのも、北朝鮮の「お国柄」を示していると言えるかもしれない。何しろ金正恩氏の父・金正日総書記は、自らのスキャンダルを隠すため、自分の愛人をズタボロにして殺したと言われているからだ。
(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇)
ちなみに北朝鮮国内では、件の玄氏は金正恩氏の元恋人ではなく、金正日氏の愛人だったと言われているようだ。