谷底に広がった凄惨な光景…北朝鮮で列車が転落「死者5000人」説も

安全側線もいたるところに設置されていた。これは勾配でブレーキが効かなくなった場合に、意図的に列車を脱線させ事故を防ぐためのものだ。

しかし、朝鮮が日本の植民地支配下にあった1939年に開通して以来、施設全体がまともに整備されていなかった。枕木は数十年そのままで、路盤もデコボコで、安全側線を含めレールもボロボロだった。毎年必ず2件の事故が起こる区間だったが、当局は予算不足を理由に修理を行わず運行を続けさせた。

この日の列車は機関車を含めて14両編成はずだったが、機関車不足で本来連結すべき後方の機関車なしで運行されていた。運転士は鉄道局司令長の指示を受け、自分の腕だけに頼って列車を進めることにした。また、本来ならば電線には3300ボルトの直流電流が流れているはずだが、電力難で2000〜2300ボルトの電圧しかなく、機関車は本来の機能を発揮できない状態だった。