金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈(2)偶像化に立ちはだかる実母「高ヨンヒ」

朝鮮半島が日本の統治下にあり、第二次世界大戦中であった当時の時代背景からすれば、多くの朝鮮人が軍関連の仕事に就いており、そのこと自体はなんら責められるべきものではない。

しかし、これが日本帝国主義と闘った「抗日パルチザン」の血統、すなわち「白頭の血統」を重んじる金正恩の外祖父となれば話は違ってくる。

北朝鮮は「白頭の血統」を強調しながら、金正恩が国家を導く正統性を主張している。しかし、彼には元在日朝鮮人帰国者であり、日本軍協力者の血が流れているーー北朝鮮にとって高ギョンテクの経歴と存在は、孫の代になっても直視したくない忌むべきものなのかもしれない。

意外な帰国理由

さらに、高ギョンテクの帰国理由にも極めて私的で厄介な理由が隠されていた。日本政府の公式記録である1962年の帰国者名簿には、高ヨンヒ(当時の名前は高姫勲)を含む高ギョンテク一家の記録が残っていた。