「ミサイル発射祝賀パーティ」を開く北朝鮮に中国人も困惑

「我々が何を祝うためのパーティかと尋ねたところ、新しく開発されたミサイルの試験発射の成功を祝うためのものだと言われた」(情報筋)

駐在員らは、金正恩党委員長の行動は実に大胆だ、米国に見せつけてやった、祖国(北朝鮮)の事情は苦しいが、われわれは決して米国に屈さないといった発言を先を争って繰り返した。

その場にいた中国人業者らは呆れ、眉をひそめたが、駐在員は気にすることもなく発言と拍手を繰り返したという。このようなパーティは翌10日にも開かれた。

国際情報にリアルタイムで接し、自国の置かれた立場を誰よりも理解し憂いているはずの駐在員がなぜそんなパーティを開いたのか。情報筋は、自主的なものではなく上からの指示を疑っている。

(参考記事:「心配でしょうがない」首脳会談失敗で北朝鮮から失望と不安の声

丹東の別の情報筋は「北朝鮮の駐在員は普段、中国人業者に食事をおごらないほどケチくさいのに、業者を多数招待して大金をかけて宴会を行ったのは極めて異例」として、「ふだん中国人業者の前では政治色の濃い言動は行わず、言葉に注意していた彼らが突飛な行動に出たのは、本国の指示によるものであるのは明らかだ」と説明した。

また、金正恩氏を褒め称える発言を代わるがわる繰り返すのも、その場にいるであろう上役に忠誠心を見せつけるための「忠誠競争」と言えよう。北朝鮮では、最高指導者の権威を傷つけることは重罪とされる。

(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

それと同じく、その権威を称えないこともまた、問題とされてしまうのだ。