金正恩に「使い捨て」にされた女性兵士の悲惨な話

治療費まで請求されたのか否かは不明だが、診断書1枚に500元もの大金を要求されたことを考えると、治療費も別途負担したと見るのが自然だろう。また、治療費やワイロを露骨に要求するのがはばかられるため、診断書代の名目でカネを要求したとも考えられる。

同様の話はまだある。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の別の情報筋は、軍隊に行った知人の息子を話を切り出した。彼は軍隊に入隊したものの、3年で何らかの事故で足を切断する大怪我を負った。

長男である彼は、朝鮮労働党員になりたい一心で軍隊に行った。誠実に兵役を勤めれば、入党に必要な推薦書を得られるからだ。しかし、障害を抱えた体で一生を暮らすこととなった。部隊は家族を呼びつけて「連れて帰れ」と通告したという。

両親の務める会社が車を出してくれたおかげで、息子を家に連れ帰ることはできたものの、この一家は国を恨んで暮らしているという。前途洋々な若者が最高指導者と国家のために働いた結果、障害を抱えることになったのに、国は一切の補償をしようとせず、むしろ「除隊費用を払え」と言ってきたのだ。子どもを軍隊に送り出した親たちは、そんな一家の話を聞いて激しく怒っているという。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

障害を持った人は差別の対象となる。