「自衛隊は英仏を合わせたより強い」戦慄する韓国と北朝鮮
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は7月29日、日本の軍備増強や諸外国との軍事協力の強化に言及し、「日本の再侵略野望は絶対に変わらない」とする論評を配信した。
論評はまた、日本が「今後の5年間、毎年軍費を英国やフランスをしのぐ500億ドル規模で支出することを策定し、すでに両国の海上武力を合わせたものより多い海上『自衛隊』武力を保有したことにも関わらず、先端攻撃型武器を引き続き大量に搬入している」などと指摘。日本の「軍事大国化」への警戒感を露わにした。
これは、韓国にも見られる傾向だ。韓国紙・朝鮮日報(日本語版)は23日、「韓国軍が、垂直離着陸(VTOL)型のF-35Bステルス戦闘機およそ10機を搭載できる3万トン級の軽空母の建造を推進する」と報道。さらには「今回の決定は、このところ韓日関係が最悪へと向かう中、日本の軽空母保有の動きに対応しており、注目される」と伝えた。
もっとも、これは長期的な検討事項とすることが決められたというレベルであり、具体的な計画が決まったわけではない。それでも韓国軍の一角からは「大洋海軍を志向するのでないなら、軽空母をなぜ導入するのか分からない」という声が、すでに上がっていると同紙は伝える。
まさにそのとおりである。日韓関係の悪化を受けて、互いの軍事力を比較する向きが見られるが、それがナンセンスであることは韓国の専門家も認めている。
(参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は)
しかし北朝鮮の場合は、冒頭で言及したような論調は多分に戦略的な意図を含んでいると言って良いだろう。
金正恩党委員長が本気で非核化を進める気があるのかどうかは微妙だが、少なくとも、米国を刺激する大陸間弾道ミサイルと中距離弾道ミサイルは封印せざるを得ない。
朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の弱体化が進む現状を考えれば、国防力の空白化を招きかねない事態だ。そこで日本の「脅威」を強調して続けていれば、このところ開発に力を入れている短距離弾道ミサイルなどを増強する口実になるというわけだ。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
金正恩党委員長がこうした戦略的な動きに出られるのも、北朝鮮が独裁国家であり、たいていのことは彼一人で決められるからだろう。しかし民主主義国家である韓国の政権は、いちいち有権者のご機嫌を取らねばならず、それこそが意義の不確かな「戦略」がぶち上げられる、最大の背景と言えるかもしれない。