「南北平和経済で日本に追いつく」文在寅発言を北がミサイルで撃破
韓国軍合同参謀本部は6日、「北朝鮮が今日未明、黄海南道(ファンヘナムド)一帯から東海(日本海)上に2回、未詳の発射体を発射した」と明らかにした。韓国の文在寅大統領が前日の首席秘書官・補佐官会議で、「日本の経済がわれわれの経済に比べて優位にあるのは経済規模や内需市場で、南北の経済協力で平和経済を実現すれば、一気に追いつくことができる」と強調した矢先のことだ。
国際社会による対北制裁が解かれ、韓国と北朝鮮の全面的な経済協力が実現した場合、どれくらいの効果を生むかには様々な見方がある。最も理想的な展開が生まれれば、文在寅氏が語るような「バラ色の未来」ももしかしたら描けるかもしれない。
しかしそれはあくまでも、文在寅氏が語る平和経済なるものが「実現したら」の話だ。現実は、全面的な経済協力どころか、開城工業団地の再開など限定的な経済協力する思うに任せない状況にある。
文在寅氏はこのように、物事を都合よく解釈し、過度に楽天的な物言いをする癖がある。それによって世人を呆れさせた例も1度や2度ではない。
(参考記事:「何故あんなことを言うのか」文在寅発言に米高官が不快感)
現実をもう少し整理してみよう。北朝鮮の今回の発射は明らかに、5日から始まった米韓合同軍事演習に対する示威行為だ。昨年こそ、金正恩党委員長との蜜月を誇った文在寅氏だが、今や北から無視されるようになって久しい。
北朝鮮が韓国との対話再開の条件として示しているのが、開城工業団地や金剛山観光再開などの南北経済協力の推進と、米韓合同軍事演習の中止、ステルス戦闘機導入など韓国軍の軍備増強の中止である。
これらはすべて、米韓関係と深く関連している。北朝鮮の非核化が進展していない状況での南北経済協力には米国が反対しているし、米韓合同軍事演習や米国からの先端兵器導入は、韓国の安全保障の基礎とも言えるものだ。
それに、文在寅政権は対日関係について米国に仲裁を頼むくらいだから、米韓関係がどれほど重要か、身に染みてわかっているはずだ。金正恩氏は、その重要な関係を韓国がなげうたない限り、南北関係発展の未来はないと言っているのである。
これでは、南北の平和経済とやらを構築する道筋の、入り口に立つことすら難しい。それとも文在寅氏は、南北関係と引き換えに米韓同盟を放棄する覚悟でも決めたのだろうか。とうていそのようには見えないが、仮にわずかでも、文在寅氏の胸中にそのような考えが芽生えたとすれば、それは北朝鮮の独裁者たちが3代にわたり望んできたことが、実現に向けて大きく動き出したことを意味するだけだ。