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  • 死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

    死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

    北朝鮮に拘束され米国に帰国直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)の両親が北朝鮮に賠償を求めていた訴訟で、米ワシントンDCの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮に対し5億100万ドル(約552億円)の支払いを命じた。

    ワームビアさんは2016年1月に北朝鮮で拘束され、2017年6月に昏睡状態で米国に帰国。その直後に死亡した。両親は今年4月、北朝鮮に賠償を求める訴訟を起こしていた。

    両親側は、北朝鮮から帰国したワームビアさんの歯列が大きく変形していたことなどを根拠に、ワームビアさんが北朝鮮で拷問を受けたと主張していた。上の写真は北朝鮮に行く前のワームビアさんのエックス線写真だ。問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、この写真ではきれいな歯並びであることがわかる。

    しかし、ワームビアさんの主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    判決文と付属の意見書(memorandum opinion)に基づく米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道によれば、地裁のベリル・ハウェル判事は判決文で「北朝鮮はワームビア氏の拷問、人質、超法規的な殺人に責任がある」とした。

    また意見書では、ワームビアさんの主治医だったダニエル・カンター博士が書面陳述を通じ、死因について「脳への血液の供給が5~20分間にわたり止まったか、あるいは大きく減少したため」との結論を示した点に注目。また、「北朝鮮の拷問手法である水拷問と歯を折る拷問、電気拷問は呼吸中断につながり得るものだ」とする、ロバート・コリンズ北朝鮮人権委員会先任顧問の陳述書を引用しているという。

    (参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

    ハウェル判事はさらに、ワームビアさんの足に大きなケガがある点と、前述した歯の位置の変化についても、拷問が加えられた事実を示すものと認めたという。

    一方、北朝鮮政府はワームビアさんの死因はボツリヌス中毒症、および睡眠薬の摂取であるとし、拷問の疑いは否定している。ただ、同政府は米国での民事訴訟で、正式に抗弁する手続きを取らなかった。このことは今後の米朝対話に、大きな禍根を残してしまった可能性がある。

    VOAによれば、米国にはテロ支援国を民事訴訟の相手とすることを可能にする「外国主権免除法(FSIA)」という法律がある。ワームビアさんが拘束されてから死亡するまでの期間、北朝鮮はテロ支援国の指定から外れていた。しかしハウェル判事は意見書で、ワームビアさんの事件が北朝鮮のテロ支援国再指定につながった事実に言及し、同法により今回の訴訟が成立したことを明らかにしているという。

    さらに米国には、テロ支援国から被害を受けた国民に対し、政府が「米テロ支援国被害基金」を通じて賠償金を支払う仕組みがあるという。筆者はこの制度の中身について詳しくないが、米国政府が賠償金の一部を肩代わりするものであると思われる。

    仮に、ワームビアさんの両親がこの仕組みを通じて賠償金を受け取ることになれば、北朝鮮は米国政府に債務を負うことになるわけだ。米国が、何事においても法律を厳格に運用するお国柄であることを考えると、北朝鮮が今回の問題で生じた債務を支払わないことが、今後の両国の対話で新たなブレーキになってしまう可能性があるということだ。

    北朝鮮は、法治がきわめておざなりにされている国だが、だからこそ、米国の厳格な法治主義を理解できていないのではないだろうか。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 中国が拘束…金正恩氏の「友人」と女学生パーティーの秘密

    中国が拘束…金正恩氏の「友人」と女学生パーティーの秘密

    中国外交部は14日、カナダ人で北朝鮮ビジネスに携わっているマイケル・スペーバー氏を国家安全保障を脅かす容疑で拘束したと明らかにした。拘束の現場は、中国と北朝鮮の国境地域である遼寧省丹東市。スペーバー氏は、ただのビジネスマンではない。金正恩党委員長の「マブダチ」とされている人物だ。それだけに拘束の背景が気になる。

    女学生がコンパニオンとして

    金正恩氏のマブダチとして真っ先に思い浮かぶのが、米プロバスケットボールNBAの元スター選手であるデニス・ロッドマン氏だ。ロッドマン氏は2013年、いきなり訪朝して金正恩氏と面談し世界を驚愕させた。さらに翌2014年にも訪朝し、金正恩氏の誕生日(1月8日)を祝った。

    スーパースターに誕生日を祝ってもらった金正恩氏は大はしゃぎだったが、その裏では、ロッドマン一行を接待するパーティーに、名門学院から女学生たちがコンパニオンとして動員された。乱痴気騒ぎに付き合わされた彼女たちは、陰で泣いていたという。

    実は金正恩氏とロッドマン氏の仲を取り持ったのが、スペーバー氏である。スペーバー氏はカナダのアルバータ州カルガリー出身だ。2005年にバンクーバーのNGOから平壌の学校に半年間、英語教師として派遣されたことをきっかけに、北朝鮮と深い関わりを持つようになった。北朝鮮訛りの朝鮮語(韓国語)を操り、現在は中国吉林省朝鮮族自治州の延吉市に在住しながら、北朝鮮のビジネスコンサルタントと文化、教育、スポーツ交流を行う白頭山文化交流社を運営している。

    スペーバー氏は2016年に開かれた「白頭山国際フィギュアスケート祝祭」に、世界的なフィギュアスケート選手を招請した。ロッドマン氏をはじめそれなりの人脈と、企画を成立させる能力の持ち主のようだ。一方では、同年3月に開かれた「平壌国際アイスホッケー親善大会」にナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)所属の有名選手が参加すると発表したが、結局、参加したのはアマチュア選手14人だけだったという「大ぼらを吹いた」経歴もある。

    それでも、金正恩氏が心を開く数少ない外国人であることは間違いない。金正恩氏自慢の専用機に同乗したり、別荘に招かれたりという情報もある。つまり、ベールに包まれた金正恩氏のプライベートを知る人物でもあるのだ。現地指導の際、一般のトイレを使用できず、専用車のベンツに「代用品」を載せて移動しているといわれている金正恩氏のトップシークレットも知っている可能性がある。

    金正恩氏との特別な関係の見返りか、北朝鮮当局からは外貨稼ぎを依頼されているようだ。しかしここ最近は制裁の影響もあって、思うような結果を出せずに苦戦しているとの話も聞こえてくる。

    スペーバー氏が拘束された背景には、中国とカナダの対立があるとされる。今月1日、カナダで中国の通信機器大手「ファーウェイ」副会長の孟晩舟が、米国の要請により逮捕された。対イラン制裁違反の疑いだという。この後、中国で元外交官のマイケル・コブリグ氏と、スペーバー氏が拘束された。19日には3人目が逮捕された。一連の逮捕はファーウェイ副会長拘束への報復という見方が強い。

    現時点では、スペーバー氏はとばっちりを受けただけのように見えるが、北朝鮮に対するなんらかの警告の意図がまったくないとも言い切れない。いずれにせよ中国公安はスペーバー氏から、私的パーティーやその他のプライバシーも含め、金正恩氏に関する様々な情報を入手しようとしているかもしれない。だとすると、金正恩氏も心穏やかではないだろう。

  • 国の経済発展を促した科学技術成果

    【平壌12月20日発朝鮮中央通信】朝鮮の科学者、技術者は今年、多くの科学技術成果を収めて国の経済発展を積極的に促した。

    国家科学院では、複数の単位と協力して火力発電所で重油を使わずに電力生産を正常化できる酸素による微粉炭着火技術の導入、医薬品の生産および品質管理基準に合致する統合生産システムの構築、育苗場での軽基質の生産と樹木の種子選別および種まき工程に必要な設備の導入など、経済的効率の高い科学技術成果を出した。

    これとともに、光ファイバーレーザー切断機、新型の多機能傾斜網抄紙機のような先端設備を開発し、ゴムと石けん工業、養魚と畜産業の発展において提起される多くの技術上の問題を解決した。

    金日成総合大学と金策工業総合大学、石炭研究院、農業研究院などの教育、科学単位では、燃焼模型鋳造工程設備と国家統合電力管理のための電力地理情報システム、新型の風力揚水機と稲のコンバインの開発をはじめ、現実的意義の大きい研究成果を収めた。

    北倉火力発電連合企業所に派遣された2月17日科学者・技術者突撃隊員らは、ボイラー系統のオートメ化に必要なPLC装置とリアルタイム分析システム、実情に合う分散型制御システムなどを開発して電力生産の向上に寄与した。

    また、金策製鉄連合企業所と黄海製鉄連合企業所でも、非コークス製鉄法の新しい域を開拓して鋼鉄増産の技術的保証をもたらした。

    金星(クムソン)トラクター工場と勝利(スンリ)自動車連合企業所の技術者は、複数の単位の科学者と共に数百件の技術革新案を研究、完成し、新しいジグ、装備を設計、製作してトラクターと自動車の生産計画の遂行に寄与した。

    今年に行われた祭典、展覧会、展示会、発表会は、新しい科学技術成果を全社会的に広く普及し、全国に科学技術熱風を強く巻き起こした。

    これら全てのことは、朝鮮労働党の科学技術重視政策の正当性と生命力の証左となる。---

  • 三池淵邑地区の住宅、公共施設建設の成果を引き続き拡大

    【平壌12月21日発朝鮮中央通信】朝鮮で三池淵郡の整備が力強く進ちょくしている中で、邑地区の住宅、公共施設建設の成果が引き続き拡大されている。

    現在、千数百世帯の住宅内部工事が基本的に終わった。

    第216師団省・中央機関旅団傘下の各施工単位で百数十世帯の住宅内部工事を終えたし、第618建設旅団と第922建設旅団をはじめ多くの施工単位でも完成した住宅世帯数を増やしている。

    これとともに、サービス施設の内装工事、三池淵邑地区の複数の区画道路工事が積極的に推し進められている。

    軍人建設者と省・中央機関旅団傘下の各単位で各種の建具と照明器具設置をはじめ、内部作業を一日も早く終えるために奮闘している。

    第618建設旅団傘下の各施工単位でも、住宅建物の基壇層に配置されたサービス施設の内部工事を進めている。

    複数の区画の道路工事のための掘削などの作業も進ちょくしている。---

  • 男は「美人は皆やった」とうそぶいた…北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言

    男は「美人は皆やった」とうそぶいた…北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言

    国連総会は17日(米東部時間)の本会議で、北朝鮮における人権侵害を強く非難し、改善を求める決議案をコンセンサス方式(議場の総意)により投票なしで採択した。決議案は、日本と欧州連合(EU)が共同で提出したもので、14年連続で採択された。

    決議案は、政治犯収容所の閉鎖と全ての政治犯の釈放を要求。北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が指摘した拷問や非人道的な待遇、性的暴行(ごうかん)、公開処刑、非司法的で恣意的な拘禁・処刑など各種の人権侵害行為を取り上げ、深刻な憂慮を表明した。

    これに対し、北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は同日、「決議案で言及された人権侵害の事例は全く存在しない。(一部の脱北者による)でっちあげだ」と強弁した。しかしもはや、北朝鮮側のこうした反論に耳を貸す国は少ない。被害者による証言の類が、あまりに厚く蓄積されているからだ。

    (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

    韓国の北韓人権情報センター(NKDB)の「2018 北朝鮮人権白書」には、北朝鮮の拘禁施設において迫害を受けた人々の証言が数多く収録されている。たとえば両江道(リャンガンド)出身のある脱北者の女性は、北朝鮮の拘禁施設で受けた性的被害について、次のように語っている。

    「保衛員で、集結所の党書記だという人が、私に出てこいと言うのです。(中略)食堂に連れて行かれ、塩を要れた器に水を汲めと言うのです。わけもわからずにいると『何をしているんだ?』と言って、ズボンを脱げと命じるのです。それで洗えと言うことだったのです。(中略)私が嫌だと言うと、力ずくでに襲いかかってきました。(中略)でも、襲われたのは私ひとりではありませんでした。美人は皆やったと言っていました」

    このような生々しい証言が、ほかにも数多くあるのだ。事実と食い違う内容とあるかもしれないが、大量に集積された情報は、自ずと真実の輪郭を描くものだ。

    とくに軍や拘禁施設など、閉鎖された空間におけるこうした被害証言は、枚挙に暇がない。軍では例えば、「マダラス」や「書類整理」と呼ばれる性上納の強要が横行している。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    北朝鮮では、女性がこのような被害を訴えた場合、かえって本人が不利益を被るケースも少なくない。だから脱北者の女性も、以前はこうした告発に消極的だった。しかし韓国に定着し、人権の何たるかを知るようになることで、勇気ある証言に踏み切る例が増えているのだ。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    北朝鮮もいい加減に「でっち上げだ」と強弁するだけの反論はあきらめた方が良い。それより、少しずつでも国内の状況を改善し、それを率直に国際社会へ知らせた方が、よほど自国の利益になろうというものだ。

  • 北朝鮮で「歯がズレて」死亡の米大学生側が1200億円賠償請求

    北朝鮮で「歯がズレて」死亡の米大学生側が1200億円賠償請求

    米バージニア大学生だったオットー・ワームビアさん(当時22歳)は、北朝鮮を旅行中に同国当局に拘束され、昨年6月に昏睡(こんすい)状態で解放されて間もなくして死亡した。その死因を巡り、ワームビアさんの両親は北朝鮮を相手取って民事訴訟を提起しており、19日にはワシントンDCの連邦地裁に出廷。父親のフレッドさんは、息子が北朝鮮当局により「嘘の自白を強要された」として、北朝鮮の責任を徹底的に追及すると話したという。

    一方、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、ワームビアさん側の弁護人は10月、同地裁に提出した文書で、北朝鮮に10億9604万ドル(約1217億円)の損害賠償を請求する旨を明らかにしたという。これは懲罰的賠償金とワームビアさんが受けた精神的苦痛に対する補償、ワームビアさんが将来得るはずだった経済的損失に対する補償、両親に支払う慰謝料などを合わせ合計額だ。

    中でも、請求額の大部分を占めたのは懲罰的損害賠償で、亡くなったワームビアさん本人と両親の3人にそれぞれ3億5000万ドルずつ、合計で10億5000万ドルを支払うべきとしている。

    米国の裁判所は2001年、北朝鮮の監獄で受けた拷問の後遺症で死亡したとされるキム・ドンシク牧師の遺族に北朝鮮が3億ドルの懲罰的賠償金を支払うよう判決を下した前例がある。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    今回はその3倍を超える額だが、北朝鮮は法廷で正式に抗弁する手続きを取っておらず、裁判所は請求を認める判決を下す可能性が高い。

    ちなみに懲罰的賠償金というのはその名の通り、多額の賠償命令によって相手の行動に制動をかけ、同じ過ちが起きないようにするためのものだ。しかし実際のところ、キム・ドンシク牧師の件で巨額の懲罰的賠償金が科されたにもかかわらず、またもや北朝鮮において、ワームビアさんの問題が起きてしまった。

    だからこそ、今回はいっそう巨額の懲罰的賠償金が請求されているわけだが、それでもやはり、北朝鮮が懲りることはないように思える。

    それよりも筆者は、裁判所がワームビアさんの死因について、どのような判断を示すかに関心がある。

    ワームビアさんの両親は「北朝鮮から帰ってきたワームビアさんの歯列が大きく変形していた」と主張している。上の写真は北朝鮮に行く前のワームビアさんの写真だ。問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、この写真ではきれいな歯並びであることがわかる。

    しかし、ワームビアさんの主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    これについて主治医は、「外部から物理的な力が加えられた可能性がある」と述べている。両親はこうした資料などを根拠に、ワームビアさんが北朝鮮で拷問されたと主張している。

    仮に裁判所がこの主張を認めたとしたら、北朝鮮にとっては相当なダメージだ。前途有望な米国の若者が拷問により殺され、その「証拠写真」までが示されたとしたら、米国世論が受けるショックは相当なものだろう。

    (参考記事:「北朝鮮で自殺誘導目的の性拷問を受けた」米人権運動家

    物事の展開次第では、今後の米朝対話にマイナスの影響が及ぶのも、あり得ないことではないのだ。

  • 「労働新聞」 階級的教育は恒久的にとらえていくべき重要な事業

    【平壌12月20日発朝鮮中央通信】20日付の「労働新聞」は署名入りの論説で、全人民的な総進軍が力強く繰り広げられているこんにちの現実はいつよりも階級的教育事業を深化させていくことを求めていると強調した。

    同紙は、階級的教育は一時も緩めてはならない革命の重大事だとし、次のように指摘した。

    もし、われわれが階級的教育を一瞬でもおろそかにしたり、中途半端にすれば人々の階級意識が麻痺するようになり、それは思想的・精神的に完全に武装解除されること同様である。

    階級的教育は、敵のエスカレートする反朝鮮策動を粉砕し、朝鮮式社会主義をしっかり擁護、固守するための必須の事業である。

    社会主義の勝利的前進が加速化するほど、資本主義を埋葬する社会主義の力が強まるほど敵の挑戦とあがきはさらに激しくなる。

    今、敵対勢力は制裁・封鎖をわれわれの前進・発展を阻むための最後の手段としており、日を追ってこれにいっそう必死になって執着している。

    われわれは、情勢がどう変わり、どこからどんな風が吹きつけても自力更生、刻苦奮闘の革命精神でもって各面で資本主義に比べようもない社会主義の優越性を高く発揚させるという非常な覚悟を持って継続革新、継続前進しなければならない。---

  • 朝鮮の各機械工場で収めた成果

    【平壌12月19日発朝鮮中央通信】今年、朝鮮の各機械工場で数百件の発明と新技術を導入して多くの成果を収めた。

    龍城機械連合企業所では、従来のコンプレッサーより軽くて体積が小さく、寿命の長い新型のコンプレッサーを開発した。

    大安重機連合企業所で、427万能マシニングセンターをCNC機械に改造して発電設備の部品を高い質的水準で加工しながらも、生産を増やせるもうひとつの物質的・技術的保証をもたらした。

    楽元機械連合企業所では、液体酸素分離機のタービンエキスパンダーと液体酸素タンクを新しく設計し、主体化の液体酸素分離機を作り出した。

    亀城工作機械工場でも、CNCフライス盤、CNC中ぐり盤、CNCスプライン研削盤などを新しく製作した。

    このほかに、各地の機械工場でも先端設備を新しく装備するとともに、現存の機械設備の性能を改善し、生産工程を現代化して製品の質を高められる強固な土台を築いた。---

  • 氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」

    北朝鮮で進められている超大型国策事業、三池淵(サムジヨン)開発。建設労働者として投入されているのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊や、突撃隊と呼ばれる、各地の工場、企業所、機関などから駆り出された人々からなるタダ働き素人集団だ。

    北朝鮮の建設プロジェクトの労働環境は劣悪で、様々な工事現場で死者が続出している。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    金正恩党委員長は工事の進み具合がよほど気になるのか、今年に入って3回も現場の視察を行った上で、何が何でも2年以内に工事を完成させよと指示を下した。現地はすでに氷点下20度を下回る極寒となっているが、それにもかかわらず工事の強行を命じたのだ。そんな無茶振りが、今回もまた1人の青年の命を奪ってしまった。

    (参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

  • 金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

    金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

    張成沢粛清を振り返る(8)

    韓国の国家情報院(国情院)は2016年7月1日、国会情報委員会の懸案報告で金正恩氏の体重について、「2012年には90キロだったが、2014年には120キロに、そして最近では130キロまで増えたと推定される」と明らかにした。その後、こうした情報は出ていないが、写真や映像で見た限りではさらに太ったような気もする。

    一体、どうしてこんなに太ってしまったのか。

    贅沢な暮らしのためか、あるいは威厳を出すためにあえて肥満体型に「改善」した可能性も考えられるが、独裁者の健康リスクはすなわち体制のリスクだ。それを考えると、この太り方は少し異常に思える。

    もともと太目だった金正恩氏の体型の変遷を検証すると、2013年8月あたりから本格的に太り始める。そして、2014年からさらに拍車がかかるわけだが、筆者は、この時期に注目する。

    (参考記事:【写真で振り返る】金正恩氏、年々高まる肥満度…髪型にも変化が

    2013年8月というのは、銀河水(ウナス)管弦楽団のメンバーらに対する虐殺が行われたタイミングだ。理由については「ポルノ疑惑」や李雪主(リ・ソルチュ)夫人のスキャンダル説が囁かれている。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

  • 【写真】長引く制裁で活気の戻らない北朝鮮経済特区

    【写真】長引く制裁で活気の戻らない北朝鮮経済特区

    北朝鮮の北東部、中国との国境に面した羅先(ラソン)経済特区は、首都・平壌に次ぐ豊かな地域として知られているが、長引く国際社会の制裁の影響ですっかり活気を失っている。現地の内部情報筋から、そんな様子を収めた写真が提供された。

    売春や一家離散も

    羅先には、数多くの中国業者が進出し、水産加工工場やアパレル工場を営んでいた。ところが、国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁で、輸出ができなくなったため稼働を止めている。業者は中国に帰国せず、投資金の回収のために東奔西走しているが、それも容易ではない模様だ。

    一方で不動産市場は活気を取り戻している。別の情報筋によると、中国の投資で建設されたマンションは、今年初頭には1平米が1000元(約1万6300円)で取引されていたが、徐々に上昇し、今では2300〜2500元(約3万7500円〜4万800円)となっている。国境の向こうの中国の琿春の4000元(約6万5300円)前後と比べると、かなり安い。

    (参考記事:金正恩氏の「新義州メガプロジェクト」発表で不動産価格が急騰

    しかしマンションを買っても、入居をためらう人が多い。北朝鮮当局にどんな口実で没収されるかわからない不安感があるからだという。例えば、外国人向けの賃貸物件として建設されたマンションは、1階の商店、裏の住居ともに空室が目立つ。

    以前ほどではなくとも活気を保っているのは羅津(ラジン)市場だ。3年前に建てられた建物では、約6000人もの商人が食品、工業製品など様々な商品を扱っている。しかし、その内実はお寒い限りだ。

    「市場に人は多いが、冷やかしがほとんどだ。食品以外のものはあまり売れない」(情報筋)

    1日の売り上げが1万北朝鮮ウォン(約130円)にも満たない商人が増えているとのことだ。これでは、平均的な4人家族の1ヶ月の生活費である50万北朝鮮ウォン(約6500円)すら稼げない。制裁で人々の収入が減り、購買力が落ちたことが、市場にも影響を及ぼしているということだ。

    「(輸出が)うまくいっていたころはみんなカネを持っていたので服を買ったりしていたが、今では贅沢扱いだ。食べるのに精一杯で、おしゃれをする余裕などない」(情報筋)

    それでも「生活が苦しくてバナナが食べられなくなった」という市民の声は、やはり羅先が比較的裕福な地域であることを示していると言えよう。

    北朝鮮の他の農村地域では、1日の糧を得るために体を売る女性が絶えず、制裁で操業の止まった炭鉱地域では、貧しさによる一家離散まで起きているとされる。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    2018年11月末に撮影された羅津市場の内部(画像:デイリーNK内部情報筋)
    2018年11月末に撮影された羅津市場の内部(画像:デイリーNK内部情報筋)

    外国人向けに建設された羅先のマンション(画像:デイリーNK内部情報筋)
    外国人向けに建設された羅先のマンション(画像:デイリーNK内部情報筋)

    2018年11月末に撮影された羅先市内のマンション。100平米、120平米、140平米型があり、エレベーターも設置されている(画像:デイリーNK内部情報筋)
    2018年11月末に撮影された羅先市内のマンション。100平米、120平米、140平米型があり、エレベーターも設置されている(画像:デイリーNK内部情報筋)

  • 金正恩氏の「怒声」が何より怖い…北朝鮮国民の2018年

    金正恩氏の「怒声」が何より怖い…北朝鮮国民の2018年

    北朝鮮の金正恩党委員長が2018に行った公開活動のうち、大半が外交と経済分野に集中し、軍事関連が大幅に減ったと聯合ニュースが報じている。聯合が北朝鮮メディアの報道に基づき集計したところ、金正恩氏は1月1日から今月14日までの間に、視察や首脳会談など計123件の公開活動を行った。

    その内訳を見ると、外交・経済関連が計95件で全体の77.2%を占めた。その一方、軍事関連の活動は昨年の41件から今年8件と、80.5%急減したとしている。

    こうしたデータを見ると、非核化を巡る米朝対話や南北対話の進展に合わせ、北朝鮮国内の緊張感も緩和しているように見受けられる。確かに、軍事情勢についてはそのように言えるだろう。2017年には北朝鮮国内においても、「いつ米軍が攻撃してくるかわからない」と恐怖に震える人々がいた。

    また、金正恩氏が陣頭指揮を取った弾道ミサイルの発射実験などは、それ自体が一種の戦闘だった。金正恩氏の動きが事前に察知され、米軍のステルス戦闘機の急襲を受ける可能性はゼロではなかった。北朝鮮側とすれば、常にそのような可能性を考え、実戦さながらの厳戒態勢を取っていたはずなのだ。

    さらに、新開発の兵器のテストでは事故がつきものであり、実際にミサイルの爆発事故などが多発していた様子もうかがえる。

    (参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮 、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道

    では今年、軍事的緊張の緩和を受けて、北朝鮮社会の緊張が解けたかと言えば、必ずしもそうではないのだ。

    金正恩氏は核兵器開発をいったん成功させたことで、北朝鮮の政治・軍事強国化を達成できたと自負。次は経済強国を目指すとの目標を掲げている。そしてそれを実現せんがため、今年は精力的に経済部門の視察を行ったわけだが、受け入れた現場にはこれまで以上の緊張感が漂った。

    金正恩氏が行く先々で管理不備を批判し、怒声を上げ、無理難題を押し付けたからだ。以前ならば、責任者が処刑されてもおかしくない事態である。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    しかしそもそも、まだ国連安保理の経済制裁も解けていない内から、経済強国めがけてまい進するのはムリがある。それでも北朝鮮においては、最高指導者がいったん命令を下せば、それは何を置いても達成すべき「掟」となる。多少のムリがともなっても、現場は取り組まなければならない。

    しかし案の定と言うべきか、そのムリが祟り、死亡事故が起きた事例も報告されている。金正恩氏と北朝鮮国民のそれぞれの「戦い」は、いまだ続いているのだ。

    (参考記事:金正恩氏視察先の工事現場が崩壊…死傷者多数

  • 【写真】北朝鮮の「清純派女優」はこうして金正恩に抹殺された

    【写真】北朝鮮の「清純派女優」はこうして金正恩に抹殺された

    張成沢粛清を振り返る

    「コンピュータに入力してはならない電子ファイル目録」と題された北朝鮮の内部文書を入手した。2015年5月の日付が入ったもので、韓国誌・月刊朝鮮11月号はこれを、北朝鮮の体制に不都合な映像・音楽作品を取り締まるタスクフォース「109常務(サンム)」が作成したものだと断定している。

    内容は視聴が禁止された映像・音楽・ソフト類のリストで、列挙されたタイトルはざっと300以上にもなる。その多くは、体制に「有害」とみなされた俳優の出演しているものだ。

    「喜び組」出身

    その中には、2013年12月に処刑された金正恩朝鮮労働党委員長の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長の「関係者」とみなされた俳優たちの出演作が、多数含まれている。

  • 金正恩氏「叔父を処刑」の背景に王朝内での「女たちの戦い」

    金正恩氏「叔父を処刑」の背景に王朝内での「女たちの戦い」

    張成沢粛清を振り返る(4)

    韓国の情報機関・国家情報院次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の『張成沢の道』は、2016年2月に韓国で出版された。対北朝鮮諜報のエキスパートらしく、北朝鮮の元高位幹部と思しき脱北者たちの重要証言がちりばめられている。一方、韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の著書『3階書記室の暗号』は、2018年5月に出版された。こちらは1冊丸ごと、元北朝鮮エリートの証言録である。

    2人は南北の外交官として、同じ時期に欧州で勤務した時期があり、2001年11月にはロンドンで開かれた行事で顔を合わせ、言葉を交わしたこともあったという。

    この2人の著書には、互いに示し合わせたわけではなかろうが、相互の内容を補完するエピソードが含まれている。異なる視点と立場から書かれた本の内容が重なっているということは、そのエピソードが事実である蓋然性が高いことを意味する。

    金正恩朝鮮労働党委員長の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長が2013年12月に処刑された事件を巡っても、2人の著書からその遠因を探ることができる。

    まず背景としてあるのは、金正恩氏の父・金正日総書記の複雑な女性遍歴だ。彼は同時に複数の女性と付き合い、子供を産ませて家庭を持ったが、一部は寵愛し、一部は冷たく遠ざけた。

    (参考記事:金正日の女性関係、数知れぬ犠牲者たち

    そしてそんな環境の中にあって、「金正恩は、幼い時から叔父に対して根の深い恨みを抱いていたようだ」と太永浩氏は書いている。理由は、金正日総書記の妹である金慶喜(キム・ギョンヒ)氏とその夫の張成沢氏が、金正恩氏の母・高ヨンヒ氏の望みを阻んだからだろうという。

    高ヨンヒ氏は生前、自分が生んだ子供たちを祖父に当たる金日成主席に会わせ、金王朝の一員として正式に認知を得たがったという。そうしなければいつ、権力闘争により葬られてしまうかわからないからだ。

    ではなぜ、金慶喜氏と張成沢氏は彼女の行動を邪魔したのか。太永浩氏は「高ヨンヒと金慶喜は仲が良くなかったようだ」と書いているが、その理由についてのヒントは、羅鍾一氏の著書に書いてある。本連載では前回、張成沢氏が1970年代の末、金正日氏から「喜び組」パーティーを巡って懲罰を受けたことがあると書いた。

    (参考記事:将軍様の特別な遊戯「喜び組」の実態を徹底解剖

    その際、金慶喜氏の願いを受けて金正日氏に「もう許してあげたら」と囁き、張成沢氏を救い出したのが、金正日氏のもうひとりの妻である成恵琳(ソン・ヘリム)氏だったという。

    金慶喜氏は、夫がハレンチな「喜び組」パーティーを催すのを大いに嫌っていたというが、大学生時代に大恋愛の末にゴールインしたとされる2人である。同じ女性としてその思いを理解してくれる成恵琳氏に、必死の思いですがったようだ。

    (参考記事:【動画あり】ビキニを着て踊る喜び組、庶民は想像もできません

    成恵琳氏は金正日氏の長男・金正男氏の母だ。一時は夫の寵愛を一身に受けたが、高ヨンヒ氏の登場や、一族内の様々な事件が重なり疎んじられ、2002年にモスクワで寂しく客死した。

    (参考記事:「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者

    羅鍾一氏が書いたエピソードが事実ならば、金慶喜氏が成恵琳氏に義理を感じ、高ヨンヒ氏には反感を抱いていたとしても不思議ではない。しかし結局のところ、北朝鮮の独裁権力は高ヨンヒ氏の息子・金正恩氏のものとなり、張成沢氏も金正男氏も抹殺される結果に終わったのだ。(つづく)

  • 【写真】北朝鮮の国民的美少女・洪英姫と「花を売る乙女」

    2007年にカンヌ映画祭でも上映された北朝鮮映画『ある女学生の日記』は、大学入学を控え進路に悩む女子学生スリョンの姿を描いたものだ。

    数学者である彼女の父親は、妻が癌を患っているにもかかわらず、研究所で仕事に没頭し家に戻らない。スリョンは、そんな父親に不信感を抱き、学校でもトラブルを抱える。

    次ページの動画は、父親を侮辱した級友と「ケンカ」する場面。なんともすがすがしい勝負の仕方ではある。

  • 【動画】北朝鮮の女子高生「タイマン」場面…映画『ある女学生の日記』

    2007年にカンヌ映画祭でも上映された北朝鮮映画『ある女学生の日記』は、大学入学を控え進路に悩む女子学生スリョンの姿を描いたものだ。

    数学者である彼女の父親は、妻が癌を患っているにもかかわらず、研究所で仕事に没頭し家に戻らない。スリョンは、そんな父親に不信感を抱き、学校でもトラブルを抱える。

    次ページの動画は、父親を侮辱した級友と「ケンカ」する場面。なんともすがすがしい勝負の仕方ではある。

  • 死者数千人の前例も…北朝鮮で列車事故が多発

    死者数千人の前例も…北朝鮮で列車事故が多発

    今月8日、韓国の江陵(カンヌン)で高速鉄道KTXが脱線する事故が発生した。鉄道を運営する韓国鉄道公社(KORAIL)のオ・ヨンシク社長は11日、相次ぐ事故の責任を取って辞任を表明した。

    オ社長は、李明博政権以降に進められてきた民営化が事故多発の根本原因にあるとしている。KORAILでは前身の鉄道庁時代を含めて、多数の死者を出す事故はこの20年起きていないが、2011年以降で脱線事故が8件、追突・衝突事故が4件起きている。

    軍事境界線の北側の北朝鮮でも今年、複数の鉄道事故が起きており、今月に入りまたもや発生した。幸い大事故には至らなかったが、北朝鮮では世界最悪級の鉄道事故が何度も発生している。1996年には慈江道(チャガンド)で、屋根の上にも乗客が乗るほどのすし詰めの列車が谷底に転落、乗客の多くが死亡した。死者数は5000人に及ぶとの説もある。

    (参考記事:谷底に広がった凄惨な光景…北朝鮮で列車が転落「死者5000人」説も

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、今月3日、富寧(プリョン)郡にある古茂山(コムサン)駅で、食糧を積んでいた貨物列車が脱線した。幸いにして負傷者は発生しなかった。

    この駅は清津(チョンジン)から会寧(フェリョン)を経て羅津(ラジン)に向かう咸北(ハムブク)線にあり、茂山(ムサン)に向かう茂山線が分岐している。

    セメントや鉄鉱石など貨物輸送の要衝で、地域住民が動員され復旧作業が進められているが、装備がなくほぼ人力に頼っている上に、周辺には軍部隊がなく、兵士の投入も困難だ。さらに、大型機械を取り寄せるには鉄道を利用するほど道路事情が劣悪な山間部にあるなど、複合的要因で復旧が遅れ、12日の時点でも列車の運行が再開できていない。

    食糧は一般住民向けのものではなく、保衛員(秘密警察)や保安員(警察官)向けの配給であるとされる。それを知った住民の間からは、「自分のものでもない食糧のためになぜ作業に動員されるのか」と不満の声が上がっているという。このような不満が、様々な形のサボタージュにつながることは言うまでもない。

    保安員が作業状況を点検、人員を監視しているため、おこぼれに預かる、つまりは回収して食糧を横流しすることも難しい。これではますますやる気が出ず、復旧は遅れるばかりだろう。

    事故原因は明らかになっていないが、おそらく老朽化のためだと思われる。この区間は、朝鮮半島が日本の植民地支配下にあった1916年に開通、1950年代から1970年代にかけて広軌化、電化されたが、長年まともな補修が行われておらず、線路状態が劣悪であることが知られている。

    今回は幸いにして大事に至らなかったが、上述した事故以外にも、北朝鮮では未曾有の大飢饉「苦難の行軍」のころを中心に、桁外れの大事故が何度も起きている。

    (参考記事:死者数百人の事故が多発する北朝鮮の「阿鼻叫喚列車」

    咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)では1997年、停車中だった火薬25トンを積んだ貨物列車5両が火災を起こし、大爆発を起こした。到着した通勤列車が巻き込まれ、3000人が死亡し、1万人が負傷したといわれている。

    (参考記事:通勤列車が吹き飛び3000人死亡…北朝鮮「大規模爆発」事故の地獄絵図

  • 金正日の「喜び組」はこうして堕落させられた

    金正日の「喜び組」はこうして堕落させられた

    張成沢粛清を振り返る(3)

    5年前の12月12日、金正恩朝鮮労働党委員長によって処刑された彼の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長は生前、何回かの「革命化」を経験したことで知られる。

    革命化は、素行に問題ありとされた幹部らに施される再教育のことだ。数カ月から1年、あるいは数年もの間、農村や工場に労働者として派遣され、苦労を強いられる。北朝鮮における高級幹部と末端労働者の生活水準の格差は、日本のそれよりはるかに大きい。ぜいたくに慣れた幹部らは革命化で塗炭の苦しみを味わい、最高指導者と体制に対する「忠誠」を誓わされるのだ。

    「夜の奉仕」も

    張成沢氏が初めて革命化を経験したのは、金正日総書記の片腕として台頭していた1970年代末のことだった。韓国の情報機関・国家情報院の次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の著書『張成沢の道』によれば、革命化が命じられた理由は、「喜び組」パーティーだった。

    張成沢氏は当時、金正日氏のために「喜び組」パーティーを仕切る役割を担っていたが、自らの権勢が強まるにつれ、毎週のように自分に忠実な人々を集め、独自のパーティーを開くようになっていたのだ。

    「喜び組」パーティーは、諸外国では金王朝の「堕落の象徴」として見られている。

    (参考記事:ビキニを着て踊る喜び組、庶民は想像もできません

    しかし実態としては、この秘密の会合がある程度の政治的機能を持ち合わせていたのも事実だった。1990年代末に欧州から韓国に亡命した脱北外交官は、次のように語っている。

    「パーティーには、政策調整の目的もあったのです。北朝鮮の行政システムは極端な縦割りになっており、部門間の調整がなかなかできない。だから限られた資源の配分を巡って、対立やいさかいがしょっちゅう起きる。そのため金正日は、各部門の長たちに酒を勧めて行政上の問題点を語らせ、『わかった。ではその問題はこのように解決しろ』といった具合に整理していたのです」

    また前述した『張成沢の道』によれば、そもそも「喜び組」は金正日氏が、父・金日成主席のために作ったのであり、その趣旨は「日本の占領期から祖国と民族のため、あらゆる苦労をしてきた首領様に喜びを差し上げる」というものだったという。いかに独裁者といえども、自らの権威を気にすれば、「オレのために美女を連れてこい」とはなかなか言えない。そこで、息子であり側近であった金正日氏が「気を利かせた」というのが、「喜び組」誕生の背景だったのだ。

    (参考記事:将軍様の特別な遊戯「喜び組」の実態を徹底解剖

    もっとも、当初の「喜び組」はマッサージや漫談、音楽などの演芸部門に限られていた。しかし、金正日氏が独裁体制の後継者として足場を固めるに従い、「喜び組」も同氏のためのものに変質。同時に「男性のためのサービス」(前掲書)部門が加わり、われわれの知る「堕落の象徴」と化していったというのだ。ちなみに、「夜の奉仕」のような役割を担ってきたのは、「喜び組」の中でも「木蘭組(モンランジョ)」と呼ばれるグループだったとされる。

    (参考記事:北朝鮮の「喜び組」に新証言…韓国テレビ「最高指導層の夜の奉仕は木蘭組」

    いずれにしても、北朝鮮において「喜び組」パーティーのようなものは、最高権力者のためにのみ催されるべきものだったのだ。それを自分のために開き、処罰された張成沢氏は、後年の粛清を予感させる危うさを、当時から備えていたと見ることもできるだろう。(つづく)

    張成沢粛清を振り返る(4)金正恩氏「叔父を処刑」の背景に王朝内での「女たちの戦い」

    張成沢粛清を振り返る(5)【写真】北朝鮮の「清純派女優」はこうして金正恩に抹殺された

    張成沢粛清を振り返る(6)北朝鮮「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」事件の衝撃

    張成沢粛清を振り返る(7)「下剤を飲ませ水を一滴も与えない拷問」で政敵抹殺…北朝鮮の権力闘争

    張成沢粛清を振り返る(8)金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

  • 北朝鮮が119人を処刑…理由は「宗教活動をしたから」

    北朝鮮が119人を処刑…理由は「宗教活動をしたから」

    ポンペオ米国務長官は11日、北朝鮮や中国、イラン、サウジアラビアなど10カ国を11月28日付で、信教の自由が侵害されている「特定懸念国」に指定したとの声明を発表した。北朝鮮が「特定懸念国」に指定されるのは17年連続となる。

    米国は折に触れて、北朝鮮における宗教――とりわけキリスト教に対する迫害を非難してきた。

    (参考記事:「北朝鮮のキリスト教徒が『冷凍拷問』で殺されている」脱北者が証言

    国務省は1998年に制定された「国際信教の自由法」に基づき、各国の信教の自由を毎年評価している。同省は今年5月29日(現地時間)、ウェブサイト上で発表した2017年版の「信仰の自由に関する国際報告書」で、北朝鮮の政治犯収容所には8~12万人が収監されており、この内の相当数が宗教的な理由によるものであるとして、北朝鮮における信仰の自由の侵害を強く非難した。

    報告書では、北朝鮮では2017年の1年間に、宗教活動をしたという理由から119名が処刑され、770名が収監されたとしている。また、宗教を理由に87名が失踪し、48名が強制移住させられ、44名は身体的に負傷したとした。

    (参考記事:「北朝鮮で自殺誘導目的の性拷問を受けた」米人権運動家

    報告書のこのような内容を踏まえれば、国務省が今年もまた、北朝鮮を「特定懸念国」に指定したのは当然と言える。ただ今回は、財務省が前日に、崔龍海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長ら3人を人権問題で制裁指定したばかりのタイミングである。

    米国メディアなどはこうした動きに対し、非核化を巡る米朝交渉が滞るなか、米国が人権問題で北朝鮮へのけん制を強めているとの見方を示している。

    金正恩党委員長は人権問題で圧迫されるのを何よりも嫌っているため、米国のこのやり方は北朝鮮に明確なメッセージとなるだろう。ただ、それもさじ加減を間違えると、金正恩氏が本気でへそを曲げ、非核化対話がご破算になる可能性もなくはない。

    (参考記事:金正恩氏が「ブチ切れて拳銃乱射」の仰天情報

    しかしそれでも、人権問題は重要だ。トランプ米大統領の言動には、以前は北朝鮮の人権問題を軽視しているように見える部分があった。米国が再びこの問題に光を当てるのは歓迎すべきことだ。

  • 男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる

    男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる

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    世界最悪の人権侵害国家と呼ばれる北朝鮮の中でも最たる暗部と言えるのが管理所、つまり政治犯収容所だ。収容者は8万人とも12万人とも(韓国の統一研究院の推測)とも言われるが、北朝鮮当局はその存在すら認めていない。

    1990年代に起きた大粛清「フルンゼ軍事大学留学組事件」と「第6軍団軍事クーデター未遂事件」、そして「深化組事件」に際しては、一度に千人単位の人々が収容所に送られたという。

    (参考記事:同窓会を襲った「血の粛清」…北朝鮮の「フルンゼ軍事大学留学組」事件

    通常、管理所への連行は夜中に密かに行われ、近所の人達が気づいたころには家はもぬけの殻になっているというが、咸鏡南道(ハムギョンナムド)で先月、連行の噂が広がった事例があった。

    事件が起きたのは、咸鏡南道の炭鉱地帯、端川(タンチョン)市の剣徳(コムドク)地区でのことだ。現地の内部情報筋は、次のように事の顛末を伝えた。

    先月15日の午前2時ごろ、国家保衛省(秘密警察)や炭鉱付属の保衛部の要員ら6人が地区のある民家を急襲した。この家には、炭鉱で信号手(トロッコの運行や坑道の発破などを伝える職種)として勤める女性、美術員(プロパガンダ用の絵を描く職種)として働く弟、そして年老いた父母の4人が暮らしていた。

    この一家は首都・平壌の出身だが、7年前にこの地に追放され、保衛部の厳しい監視のもとに置かれてきた。女性には夫がいたが、追放時に離婚し、弟は未婚だ。

    家に踏み込んだ保衛員らは、家族にすぐに外に出られるように服を着替え、胸に付けられた肖像徽章(金日成主席、金正日総書記のバッジ)を外すよう命じた。そして、一列に正座させ、国家保衛省の逮捕命令書を読み上げた。

    ところが、女性の行動が大騒ぎへと発展した。

    女性は、早々に服を着替えてバッジを外し、寝室から3つの額縁を持ち出した。「将軍様は家族」「将軍様に従い千万里」「忠誠の一本道へ」という毛筆の書が収められたもので、女性はそれらを持っていくと言い出したのだ。

    通常、管理所に連行する場合にはある程度の日常品の携帯が許されるが、この家族にはどういうわけか少量の塩を除いて一切の荷物携帯が許されなかった。保衛員との間でもみ合いとなり、その過程で紙は破れてしまった。

    北朝鮮は、最高指導者の肖像画を事故や災害から守るために命を投げ出すことを美談として取り上げるようなお国柄だ。逆に言うと、それらを毀損することは重大な政治的犯罪だ。

    あまりの事態に当惑した保衛員は女性に殴る蹴るの暴行をふるった上で「どうしてお前の家がこの有様になったのか。お前のせいで家族まで追放されることになった」などと怒鳴り散らしたという。

    ところが、「おまえのせい」と言いつつも、この保衛員も実は、女性が何をしたのか知らずにいたというのだ。

    「この一家が管理所に行くことになった理由は、地域の保衛員も正確には知らずにいる。女性が平壌から追放されたことについて不平不満を言い続け、上の人たちまで非難するので、そうなった(管理所行きになった)と推測していただけだ」(情報筋)

    トラックは一家を乗せて出発しようとしたもののエンジンがかからず夜通し修理をして午前8時になってようやく出発した。そのため、近隣住民に目撃され、噂が一瞬のうちにして広がった。

    荷物運びとして雇われた住民2人は、家族が連れ去られた後に家に残された食べ物、値の張る品物を持ち出したが、政治事件とあって、自分たちに累が及ぶのを恐れ、この一件については語りたがらないという。

    この家族がどの収容所に送り込まれたのかは不明だが、過酷な運命が待ち受けていることは想像に難くない。

    (関連記事:血の粛清「深化組事件」の真実を語る

    この剣徳には、革命化(下放)処分を受けて平壌を追放された幹部が送り込まれることが多いという。金日成総合大学の総長や最高人民会議常任委員会委員長を務めたファン・ジャンヨプ元党書記の韓国亡命、金正恩党委員長の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長の粛清など、大きな政治的事件が起きるたびに、親戚や知人という理由で数多くの人々が送り込まれたところだ。

    韓国の中央日報は最近、金正日氏の第4夫人とも言われていた金オク氏が管理所送りになったと報じたが、彼女の行き先ももしかするとこの地かもしれない。

    (参考記事:金正恩氏が「継母」に加えていたひどい仕打ち

  • 「不良幹部」の制裁が金正恩氏に与える大ショック

    「不良幹部」の制裁が金正恩氏に与える大ショック

    [adsense1]米財務省は10日、北朝鮮における深刻な人権侵害や言論統制に関与したとして、金正恩朝鮮労働党委員長の側近である崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長兼組織指導部長とチョン・ギョンテク国家保衛相、朴光浩(パク・クァンホ)党副委員長兼宣伝扇動部長の3人を制裁対象に指定したと発表した。

    党組織指導部長は北朝鮮の政務と人事を一手に掌握し、秘密警察トップである国家保衛相は政治犯収容所の運営などを担当、党宣伝扇動部長は国民の言論や思想を統制する。制裁指定されて当然と言える面々だ。

    中でも崔龍海氏は、女性に対する変態的な人権侵害で知られる人物だ。今まで制裁対象になっていなかったのが不思議なくらいだ。

    (参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル

    米国はこれまで、2016年7月に金正恩氏を、2017年1月に金正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長を制裁指定するなど、計29人と13機関を人権問題で指定している。金正恩氏は、自分が制裁指定された際にはたいへんな荒れ方だったとされる。

    (参考記事:金正恩氏が「ブチ切れて拳銃乱射」の仰天情報

    しかしもしかしたら、今回の制裁指定は彼にとって、さらに衝撃的だったかもしれない。

    北朝鮮が米国との非核化対話に乗り出した目的は、簡単に言えばこれ以上、人権問題で圧迫を受けたくないからだ。非核化と引き換えに、北朝鮮の内政には口を出さないと米国に約束させることが、すなわち「体制保証」を得るということなのだ。

    北朝鮮はいったん核兵器を放棄しても、天然ウランが国内で採れるから、その気になれば再び作ることができる。しかし、恐怖政治により体制を維持している以上、人権問題で妥協するわけにはいかないのだ。

    (参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

    もちろん、核兵器が北朝鮮の国防にとって重要であることも確かだ。それをカードに使うくらいだから、金正恩氏がいかに人権圧力を嫌っているかがわかろうというものだ。

    そんな重要なカードを切ったのに、米国から引き続き人権圧力を受けたのでは、金正恩氏も立つ瀬がなかろう。対抗策は核開発に回帰することだが、そんなことをしたら、米国を対話の場に引っ張り出すのは今まで以上にたいへんになる。それに何より、経済制裁を受け続ければ国内が持たなくなる。

    米国がこのタイミングで人権圧力を強めたのは何故か。「非核化が進まないことに対するけん制だ」というのが大方の見方だ。そうかもしれない。さらにそれに加え、トランプ米大統領の北朝鮮に対する関心が薄れていることがあるのではないか。そしてその間隙を縫う形で、米政府内の人権派が「自分の仕事」を粛々と進めているのかもしれない。

    いずれにせよ、米国でこのような動きが続けば、金正恩氏も何らかの対抗措置を取る必要に駆られるだろう。それがどのような形のものになるかが注目される。

  • そのとき、夫を殺された叔母は金正恩に銃口を向けた

    そのとき、夫を殺された叔母は金正恩に銃口を向けた

    張成沢粛清を振り返る(2)

    2013年12月12日、金正恩朝鮮労働党委員長によって処刑された張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長は、金正恩氏の叔母である金慶喜(キム・ギョンヒ)元党書記の夫、すなわち彼の叔父だった。

    金正恩氏の父・金正日総書記には複数の弟妹がいたが、母を同じくするのは夭逝した弟を除けば金慶喜氏だけだった。肉親への情に加え、金王朝内部での権力闘争を勝ち抜くための必要性もあって、金正日氏は金慶喜氏をことのほか大事にしたとされる。

    金慶喜氏は政治的にも重要なポジションにあった。一部の北朝鮮ウォッチャーの間では、彼女は金正日氏亡き後の一時期、北朝鮮の政務と人事を一手に掌握する党組織指導部長に就いていたと見られている。ちなみに、党組織指導部長の地位はその後、金正恩氏の異母姉である金雪松(キム・ソルソン)氏が継ぎ、現在は崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長に移ったとされている。

    (参考記事:金正恩氏の「美貌の姉」の素顔…画像を世界初公開

    張成沢氏は生前、北朝鮮国内で隠然たる影響力を誇ったが、その権力の源泉が妻の血統にあったことは言うまでもない。国内無敵の血統と優れた実務能力、如才なく気さくな人柄で多くの人々から慕われ、あるいは畏怖され、金正日氏の死後には金正恩体制を陰で操縦することになると見られたこともあった。しかし結局、その存在感の大きさが仇となり、甥によって葬り去られることになるのだが。

    世間が張成沢氏の処刑に驚いた最大の理由も、妻の血統にあった。まさか金正恩氏がロイヤルファミリーの一員を処刑するとは、粛清はあり得ても死にまで追いやるとは、ほとんど誰も予想できなかったのだ。そしてその驚きは、「金慶喜氏なら夫を救えたのではないか」との疑問にもつながる。

    金慶喜氏はなぜ、夫を救わなかったのか。これについては諸説ある。例えば、脱北者で平壌中枢の人事情報に精通する李潤傑(イ・ユンゴル)北朝鮮戦略情報センター代表は、次のように語っている。

    「もともと病苦の中にあった金慶喜氏は2013年初め、体調が著しく悪化していました。しかしそのとき、張成沢氏は一度も妻を見舞わず7人もの愛人と享楽にふけっていた。それが金慶喜氏にも報告され、彼女を激怒させたのです」

    (参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

    張成沢氏の女性関係に、行き過ぎた部分があったという情報は少なくない。彼が処刑された後、愛人だった元トップ女優が粛清されたとも言われる。

    (参考記事:【写真】女優 キム・ヘギョン――その非業の生涯

    一方、韓国の情報機関・国家情報院の次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の著書『張成沢の道』によれば、金慶喜氏はこの頃、病と麻薬、アルコールによって心身を蝕まれ、もはや夫を窮地から救い出すだけの能力を持ち合わせていなかったという。

    しかし同著は、張成沢氏の処刑を報告に訪れた金正恩氏に対し、金慶喜氏がピストルの銃口を向けたというエピソードも紹介している。ピストルは即座に取り上げられ、大事には至らなかったというが、金正恩氏はほうほうの体で逃げ出したという。

    金慶喜氏と張成沢氏は大恋愛の末にゴールインしたことで知られているが、金慶喜氏の胸中には最後まで、夫への想いが残っていたということだろうか。

    ちなみに、羅鍾一氏の『張成沢の道』には、張成沢氏や金慶喜氏本人から聞いたとしか思えないエピソードが数多く収められているのだが、太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の著書『3階書記室の暗号』を読むと、羅氏と張氏は本当に会っていたのではないかとの思いが強まる。それについてもいずれ、検証してみることにしたい(つづく)。

    張成沢粛清を振り返る(3)金正日の「喜び組」はこうして堕落させられた

    張成沢粛清を振り返る(4)金正恩氏「叔父を処刑」の背景に王朝内での「女たちの戦い」

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    張成沢粛清を振り返る(8)金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

  • 秘密の「刺殺組織」結成の動きも…金正恩氏は訪韓して大丈夫か

    秘密の「刺殺組織」結成の動きも…金正恩氏は訪韓して大丈夫か

    北朝鮮の金正恩党委員長の初の訪韓が年内に実現するかどうか話題となるなか、韓国社会では賛否両論が巻き起こっている。一部からは「金正恩を刺殺する」という過激な声まで出ている。

    金正恩氏は9月に平壌で行われた南北首脳会談で、訪韓の意思を表明した。しかし、タイムリミットは目前である。

    北朝鮮にとっては大イベントのひとつである、金正日総書記の命日(12月17日)が控えている。少なくとも17日が過ぎるまで、金正恩氏は訪韓の意思を明らかにできないだろう。加えて人権問題や様々な国際環境に照らせば、年内訪韓は困難に思える。何よりも、北朝鮮側の熱が冷めてきているようにも見える。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    それにもかかわらず、韓国内では金正恩氏の初訪韓は既定事実のような伝えられ方もしている。たしかに、韓国で文在寅氏の対北政策は概ねを支持されている。とはいえ、韓国社会で北朝鮮、そして金正恩氏に対する抵抗感は根強い。とりわけ3万人いるという脱北者のなかには、激しい人権侵害が常態化している拘禁施設から逃れてきた人もいる。

    (参考記事:北朝鮮、拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も

    北朝鮮の人権侵害による被害者らが、金正恩体制に対して怒りと恨みをもつのは当然だろう。一部の脱北者団体や保守団体は金正恩氏を「刺殺」するとして、組織化に乗り出しているとされる。

    朴相学(パク・サンハク)北朝鮮人権団体総連合常任代表は「金正恩は、いまだに22万人を政治犯収容所に閉じ込めて人権を蹂躙している民族の逆賊」とし「脱北者による金正恩刺殺のため、密かに支援を行っている」と明かしている。さらに、「我々は記者会見などせず、実際の行動で示すだろう」と述べるなど、過激な姿勢をアピールしている。

    だが、金正恩氏に対する怒りは理解できるものの、「刺殺」という手段には賛同できない。一部の脱北者団体は過激な言動で世間の目を引こうとする傾向があることから、パフォーマンスに終わるか、単に文在寅政権を揺さぶっているだけかもしれないのだが。

    いずれにせよ、実際に金正恩氏が訪韓すれば、反対デモが起きるのは避けられない。脱北者だけでなく、金正恩体制によって直接、間接的に被害を受けた韓国人は多い。金正恩氏の訪韓には様々なリスクが存在するのである。

    さらに金正恩氏自身にもリスクがある。金正恩氏は北朝鮮国内で視察する際、普通の人と同じトイレを使えない金正恩氏を守るため、特殊な警護態勢を敷いている。そのあたり、韓国ではどうするのだろうか。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    脱北者団体の「刺殺」宣言が脅しだったとしても、金正恩氏は黙ってはいられないだろう。金正恩氏の初訪韓には様々なハレーションが伴うということを、文在寅政権はわかっているのだろうか。

  • 杭に縛り付けられ、火炎放射器で灰にされた2人…惨劇は11月に始まった

    杭に縛り付けられ、火炎放射器で灰にされた2人…惨劇は11月に始まった

    張成沢粛清を振り返る(1)

    北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は2013年12月、叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長を処刑した。その前後に起きた関係者の処刑・粛清も合わせ、一連の「張成沢粛清事件」は、金正恩氏の冷血さを見せつけた出来事だった。それと同時に、その後の核開発強行とその成功で見せた金正恩氏の圧倒的なリーダーシップは、この事件を踏み台にして発揮されたように見えなくもない。

    張成沢氏の失脚が公式化されたのは同月8日の党政治局拡大会議でのことであり、死刑は4日後に執行された。しかし、残酷な粛清劇はその前から始まっていた。

    韓国の国家情報院は同月3日、国会情報委員会に対し「張氏最側近に対する公開処刑が先月下旬に行われた事実が先ごろ確認された」と報告した。処刑された2人は李龍河(リ・リョンハ)党行政部第1部長と張秀吉(チャン・スギル)同副部長だった。

    公開処刑は、平壌郊外にある姜建(カンゴン)軍官学校の練兵場で行われた。衛星写真により、これ以前にも公開処刑の様子が捕捉されていた場所だ。
    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

    韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の著書『3階書記室の暗号』や、国情院次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の『張成沢の道』などの情報を総合すると、2人に対する公開処刑の様子は次のようなものだった。

  • 北朝鮮の工作員は「神戸ビーフ」の使い方が上手

    主要メディアの報道によれば、千葉県警は今年6月、成田空港で他人名義のクレジットカードを使用し化粧品を大量購入したとして、詐欺の疑いで、北朝鮮の工作員とみられる朝鮮籍の男性(65・埼玉県在住)を書類送検していたという。

    報道によると、この男性は2012年、北朝鮮の故金正日総書記の専属料理人だった藤本健二氏(仮名)に対し、金正恩党委員長のメッセージを伝えていたことも判明。藤本氏による2012年と16年の計3回の訪朝について、自ら同行するなど関与したことを認めた上で、「本国の指示を受けた」と県警に説明しているという。

    さらに、この男性は藤本氏と接触し、訪朝を促す金正恩氏のメッセージを伝える際、大阪府警に摘発された別の工作員が収集した藤本氏に関する情報を利用したとみられるという。

    (参考記事:別の工作員情報を利用か…元専属料理人に接触で

    筆者は、千葉県警が書類送検した男性についてはよく知らない。しかし大阪府警に逮捕された「別の工作員」については、デイリーNKジャパンでも報道している。男性は直撃インタビューに対し、北朝鮮の「エージェント」として活動していたことは認めつつも、コテコテの関西弁で「オレは自分がスパイだなんて認めてへんし、違法な工作活動に手を染めていたわけではないんやで」と語り、工作員と呼ばれることに反発しているのだが。

    しかし、この関西出身のエージェントが、北朝鮮にとって非常に優秀な人材であったのは確かのようだ。前述した「別の工作員が収集した藤本氏に関する情報」というのは、ズバリ言って藤本氏の居所のことだ。

    藤本氏は北朝鮮といったん袂をわかち、金王朝の内幕についてメディアで証言するようになってからは、北朝鮮当局に自分の居場所を悟られぬよう慎重に行動していた。その居場所を割り出したのが、件のエージェントなのだ。

    情報当局の関係者によれば、エージェントはそれをする際、こんな手を使ったという。あるとき、藤本氏が某所で講演を行った際、エージェントは聴衆として参加。講演後、藤本氏に近づいて北朝鮮情勢についてもっと教えてほしいと頼み、藤本氏は快く応じた。エージェントは丁寧に礼を述べ、次のように持ち掛けた。

    「親切に教えてくださってありがとうございます。私はブランド牛の『神戸ビーフ』を手ごろな値段で購入できるので、ささやかなお礼として藤本さんに贈りたい。ついては、送り先の住所を教えていただけませんか」

    なかなかスマートなやり方である。このエージェントはほかにも、日本の学者やジャーナリストとの人脈を作り、日本の大物政治家とのパイプ作りも目指していた。別件で大阪府警に逮捕されなければ、成功していたのではないだろうか。

    (参考記事:北朝鮮工作員が「コテコテの関西弁」で語った政治家の名前

    ときどき思うのは、日本人拉致や破壊工作を狙っているのならともかく、言論の自由に則って合法的に活動する北朝鮮のエージェントを、必ず摘発しなければならないのか、ということだ。もちろん監視は必要だが、別件での逮捕要件が揃ったからといって条件反射的に逮捕し、「大物工作員を捕まえた」と宣伝する外事警察のやり方は、どうも薄っぺらいように思える。

    実際、そのようなやり方が慢性化したせいで、外事警察の対北情報戦能力はむしろ低下したのと指摘もある。

    (参考記事:【対北情報戦の内幕】総連捜査の深層…警察はなぜ公安調査庁に負けたのか

    メディアの側も警察発表に「乗るだけ」にならないよう、慎重な報道が求められる部分だ。

  • 「わが国は人口太陽が3つもあるから仕方ない」災害続発で北朝鮮国民

    「わが国は人口太陽が3つもあるから仕方ない」災害続発で北朝鮮国民

    北朝鮮の人々は毎年、自然災害に苦しめられている。雨期には水害、夏には干ばつ、冬は大雪。とりわけ今の時期、北部の山間地域では最低気温が氷点下30度近くまで下がる。まさに「凍土」という表現がふさわしい。慢性的なエネルギー不足から暖房のための社会的インフラの整備は進んでおらず、「冬になると飢えよりも寒さの方がよっぽどツラい。凍死する住民も多い」との声もある。

    (参考記事:「眠っているうちに」死者数万人、北朝鮮庶民が震える「冬の夜の恐怖」

    韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)によると、11月22日から北朝鮮北部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)と両江道(リャンガンド)、慈江道(チャガンド)の山間部で大雪被害が起きている。同日から25日の間、清津(チョンジン)市と会寧(フェリョン)市、茂山(ムサン)郡をはじめ、咸鏡北道の北部地域に0.6メートルから1.6メートルまでの大雪が降り、道路一面が凍結したという。

    「中学生までが動員され凍結した道路の修復作業にあたっている。主要道路はなんとか車両の往来ができるようになったが、農村部の道路はまだ手をつけていられない」(LKPの消息筋)

    酷寒に苦しめられているのは庶民だけではない。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は毎年12月から翌年3月末まで、つまり厳冬期の真っ最中にも、まともに食事をすることもできないまま厳しい冬季訓練を行う。空腹に耐えかねた兵士が北朝鮮国内だけでなく、中国側に越境して略奪を働くケースも多い。

    (参考記事:独占入手!中国軍に制圧・連行される「北朝鮮脱走兵」の現場写真

    また、LKPの両江道の消息筋は26日、「大雪によって三池淵(サムジヨン)郡をはじめ北部地域のすべての建設工事が中断された」と伝えている。建設現場に食料を届けるため、鉄道と道路の復旧に全ての人材を投入したためだという。これ自体はまっとうな対処だが、それがさらなる犠牲者を生み出すかもしれない。

    金正恩氏は今、北朝鮮で「革命の聖地」として知られる三池淵郡の観光開発プロジェクトを最重視していると見られる。しかし、三池淵郡の建設現場の安全対策は劣悪で、実際に事故も発生している。

    (参考記事:住民や労働者が次々に逃げ出す酷寒の「恐怖写真」現場

    そうでなくても両江道は、「今年の夏の干ばつによる被害を最も深刻に受けた地域だ」だとLKPの消息筋は語る。

    「夏には干ばつに悩まされ、秋になって一息ついたと思ったら、今度は突然の大雪で大混乱が起きている」

    このように次から次へと自然災害が発生する事態を受けて、北朝鮮国民の間では「人工太陽が三つある国なので、空がおかしくなっている」という話が流行っているという。

    北朝鮮で金日成主席は「民族の太陽」と呼ばれる。誕生日である4月15日にも「太陽節」という名前が付けられてる。金日成氏と金正日総書記の遺体が安置されているのは錦繍山(クムスサン)太陽宮殿だ。さらに、金正日氏が君臨するようになって「民族の太陽」は2つとなり、金正恩時代になってからは「太陽」が3つになってしまった。

    そのため庶民は「太陽が1つ(金日成氏)の時代は災害もなく平穏だったが、2つ(+金正日氏)の時代になって気候がおかしくなった。今は3つ(+金正恩氏)になってしまったので、もうどうしようもない」と、笑えないジョークを飛ばしているというのだ。

    言論の自由がない北朝鮮では不平不満を表だって口にすることはできず、最高指導者の権威を傷つけるようなことを言えば、厳しく罰せられる。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    そんな状況にあっても、たまにはジョークを言ってうっぷんを晴らさずにはいられないのだ。自然災害の度に、国の無能無策のために苦しめられている庶民が、太陽=最高指導者を揶揄するのも当然だろう。