投稿者: c

  • 【写真】北朝鮮「お札の美少女」国民的女優を処刑か…出演作が視聴禁止

    【写真】北朝鮮「お札の美少女」国民的女優を処刑か…出演作が視聴禁止

    韓国の月刊朝鮮は11月号で、北朝鮮の「109常務」の文書を単独入手したと報道。「これまで一部のメディアを通じ、北朝鮮の住民たちに(視聴が)禁止された映画や歌などの目録が公開されたことはあったが、体系的に作られた総合文書が出てきたのは今回が初めてだ」と伝えた。

    国民的美少女

    北朝鮮の「常務(サンム)」とは、ある特別な任務のために関係各機関が共同で編成したタスクフォースのことを言う。109常務は、韓流をはじめとする外国の映像・音楽作品や、金正恩体制に「有害」とみなされた情報の取り締まりを行っている。

    デイリーNKジャパンも最近、これと同一と見られる文書を入手した。タイトルは「コンピュータに入力してはならない電子ファイル目録」というもので、2015年5月の日付が入っている。そこに列挙された映像・音楽・ソフト類は、ざっと300以上にもなる。その中には以前から禁止指定の情報が伝えられていたものもあるが、ほとんどは初めて見るものだ。

    特に気になったのは、月刊朝鮮の次の指摘だ。

    「金正日が生前、最も寵愛した俳優として知られる洪英姫(ホン・ヨンヒ)と関連する映画も削除・回収リストに含まれた。(中略)洪英姫の(禁止になった)関連作品は「愛の街」「銀のかんざし」などが代表的だ」

    ここで言われているとおり、洪英姫は北朝鮮で知らない人のいないほどの大物女優だ。その代表作は、1955年生まれの彼女が10代の時に主演した映画「花を売る乙女」で、これまた北朝鮮の国民的作品である。当時の写真を見ると、彼女が相当な美少女であったことがわかる。

    (参考記事:【写真】北朝鮮の国民的美少女・洪英姫と「花を売る乙女」

    ちなみに、劇場版の「花を売る乙女」では、金正日総書記の「もうひとりの愛人」と言われるパク・エラも複数いる主演者のひとりに数えられる。

    (参考記事:【写真】パク・エラ…金正日の「もうひとりの女」

    この洪英姫と「花を売る乙女」の人気の絶大さを示しているのが、北朝鮮の旧1ウォン紙幣に、彼女が演じた同作品のヒロイン・コップニの姿が描かれているという事実だ。

    ちなみに韓国銀行はウェブサイトで、同紙幣に描かれたのはコップニの象徴的な姿であり、洪英姫本人ではない、と解説している。最高指導者以外は偶像化が許されない北朝鮮のお国柄を考えれば、この分析は妥当だ。実際、紙幣に描かれたコップニと洪英姫が似ているかと言えば、議論の余地があるだろう。しかしそれにしても、紙幣の制作担当者が、彼女が演じたコップニの姿にまったく影響されなかったということもあり得まい。

    では、それほどの大女優が出演した映画が視聴禁止になった理由は何か。

  • 公開裁判も「氷山の一角」…北朝鮮で進む密輸の組織化

    公開裁判も「氷山の一角」…北朝鮮で進む密輸の組織化

    北朝鮮有数の鉱山、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の剣徳(コムドク)鉱山で、鉛や亜鉛を中国の密輸業者にしていた労働者らの公開裁判が行われ、実刑判決が下された。

    現地の内部情報筋によると、端川市保安所と裁判所は先月12日午前10時から端川市場近くの空き地で今年2回目となる公開裁判を行った。鉱山労働者や市民には3日前から出席するように呼びかけられ、現場は市民で溢れかえったという。

    裁判にかけられたのは、薬物中毒者や農場から穀物を盗んだ窃盗犯、そして中国の密輸業者から前金を受け取り、国の生産物である鉛や亜鉛を定期的に盗み出し、売り渡していた鉱山労働者や協力者など36人だ。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

    裁判は、36人を一列に並ばせ、マイクを握った検察員が被告の容疑を読み上げ、その後に現れた裁判官が判決文を読み上げる形で行われた。被告には6ヶ月から2年の労働教化刑(懲役刑)が言い渡された。

    被告らは、咸興市郊外の会陽里(フェヤンリ)にある咸興教化所に収監された。情報筋によると、昨年までは栄光(ヨングァン)の五老(オロ)教化所に収監されていたが、そこが閉鎖されたための措置だという。

    この地域に住んでいた脱北者によると、こうして処罰される人の数は、密輸全体から見れば氷山の一角に過ぎない。この地域の多くの住民が、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころから、鉛や亜鉛の密輸を行っており、中国からトラックでやってきて鉱物を運び出すほど組織化していた。

    最近、党の剣徳鉱山委員会と鉱山の保安署が鉱物の横流しを禁じる布告を繰り返し出していたが、それを考えると、今回捕まった人々は運悪く見せしめにされたものと思われる。

    同様の裁判は今までも複数回行われており、生活苦が解消しない限り根絶は難しいと情報筋は解説した。

    中国商務省は2016年12月、国連の対北朝鮮制裁決議2321号を履行するため、北朝鮮からの亜鉛の輸入を禁止した。それ以降、公式の対中輸出はストップしたままだが、今回の裁判で明らかになったように、密輸は続けられている。

    剣徳同様に、中国に鉱物を輸出していた咸鏡北道(ハムギョンブクト)の茂山(ムサン)鉱山は、今年の7月から操業を停止した。食糧配給も止まり、生活苦に陥った市民は家や子を捨てて逃げ出す惨状となっている。

  • 外国人労働者と大乱闘も…米国が懸念する「奴隷労働」の実態

    外国人労働者と大乱闘も…米国が懸念する「奴隷労働」の実態

    米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると4日(米時間)、米上院外交委員会東アジア太平洋小委員会で「民主主義と人権、法治に関する中国の挑戦」というテーマの聴聞会が開かれた。聴聞会に出席したローラ・ストーン国務省東アジア太平洋副次官補は、中国における北朝鮮労働者の雇用について「賃金をもらうことができず、いかなる自由もないため、中国は多くの北朝鮮労働者を受け入れている」とし、「米国は北朝鮮の労働者たちをslave labors(奴隷労働者)とみなす」と述べた。

    北朝鮮の派遣労働の現場として筆頭にあげられるのが北朝鮮レストラン、通称「北レス」だ。北朝鮮は、外貨稼ぎのために世界各地で北レスを展開しており、多くの若い女性たちが送り込まれている。

    (参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

    その北レスだが、昨年は閉店が相次いだ。北朝鮮の核・ミサイル問題に対して国際社会が圧力を強め、それまでは消極的だった中国も制裁に同調したからだ。苦しい事情に追い込まれた北朝鮮は、新たに美人女子大生まで派遣するなどして糊口をしのいできた。

    (参考記事:【写真】金正恩氏の新たな商売「女子大生派遣ビジネス」の現場

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、中国国内のサウナで北朝鮮女性らが働く姿が頻繁に目撃されているという。中国のサウナは、一部で様々な性的サービスが行われていることが広く知られている。北朝鮮女性たちがこうした性的サービスに従事させられていたとしても、決しておかしくはない。

    現場では中国人が完全に仕切っているケースもあるが、派遣しているのはあくまでも北朝鮮当局だ。労働実態に対して「奴隷労働」「強制労働」という非難が集まるのも当然だろう。

    ロシアでも多くの北朝鮮労働者が非常に劣悪な環境で知られている建設現場に派遣されている。なかには北朝鮮当局の関係者とうまく関係を築いて、つまりワイロを渡しながらそれなりに稼ぐ労働者もいるというが、大多数が当局の管理下で厳しい労働を強いられている。劣悪な環境で多大なストレスを募らせているのか、別の国の労働者らと乱闘騒ぎを起こしたりもしてている。

    (参考記事:【動画】北朝鮮労働者とタジキスタン労働者、ロシアで大乱闘

    北朝鮮の6回目の核実験と相次ぐ弾道ミサイル発射実験に対して、国連安全保障理事会(安保理)では昨年10月に対北朝鮮制裁決議2375号が、12月には2397号が採択された。前者はすで派遣された北朝鮮人労働者の労働許可の更新をしないこと、2397号は2019年末までに北朝鮮の労働者をすべて帰国させるよう求めるなど、北朝鮮当局の派遣労働に対して厳しい見方を示した。しかしながら、制裁以降に海外に出た労働者の数は縮小したが、中国とロシアでは大幅には減っていないと見られている。

    人権問題は、米朝関係だけでなく南北関係や日朝関係においても金正恩体制が抱えるアキレス腱である。国内の人権問題についてはシラを切れても、海外に派遣された北朝鮮労働者の過酷な実態までを誤魔化すことは不可能だ。いくら派手な演出の首脳会談で取り繕っても、北朝鮮の人権侵害に対して国際社会の追及が止むことはない。

  • 北朝鮮の権力者男性は「性暴力に無感覚」の疑い

    北朝鮮の権力者男性は「性暴力に無感覚」の疑い

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は5日、「女性の権利が無残に踏みにじられる資本主義社会」と題した論評を配信した。11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から始まった、世界各地での女性の権利擁護運動などに言及したものだ。

    かねてから女性に対する性暴力の蔓延が非難されている北朝鮮が、国際社会に「反撃」したものと言える。

    (参考記事:「警察官たちは性犯罪の捜査を楽しんでいる」北朝鮮の救われぬ実態

    論評は、日本で起きた財務事務次官による民放テレビ女性記者に対するセクハラ問題にも言及。問題を受けて行われた女性記者たちへのアンケートで、「大多数がセクハラを受けていたと怒りを表した」などとしながら、「これらの事実は、資本主義制度こそ女性の人格と権利が容赦なく踏みつけられる腐って病んだ社会であるということを如実に見せつけている」と述べている。

    論評が指摘するとおり、資本主義社会に女性に対する暴力の深刻な問題があることは否定しない。その事実を指摘する権利は、北朝鮮にもある。しかしそれは、北朝鮮の国家が、自らを省みてこそ行使が許される権利だ。

    国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が10月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」は、金正恩党委員長が政権を継承した2011年以降に脱北した54人と、脱北した北朝鮮の元公務員8人を対象にしたインタビューを元に作成されたものだ。

    その中には、被害女性らの血のにじむような証言のほか、身近で起きた性犯罪の経過を知る第三者の証言などが数多く収められており、読むほどに「そこまで酷いのか」と愕然とさせられる。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    これに対して北朝鮮メディアは、証言した被害女性らを冒とくする報道を繰り返している。北朝鮮がそういう行動に出るのはいつものことだから、ここで敢えて言及する意味があるのか、とも思えなくもない。

    しかし、今回のような論評が出るたびに思うのは、北朝鮮で少しでも権力を握る男性たちは皆、本気で自分たちの国が「女性にとってマシな社会」だと思っているのではないか、性暴力の行使に無感覚になっているのではないか、ということだ。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    北朝鮮で女性に対する暴力がまん延するのは、当事者である女性たちが人権の概念も知らず、自分が人権侵害の被害者であるということに気づけないことも理由になっている。ということは、男性の側にも加害の意識がまったくないのではないか。

    だとしたら、問題の改善のためには北朝鮮の外部からの働きかけが極めて重要だと言えるのだが、非核化を巡る朝米対話や南北対話に押される形で、北朝鮮の人権問題に対する追及は弱まっている。今月中旬には、国連総会で北朝鮮の人権侵害に対する非難決議が採択される見込みだ。それを機会に、北朝鮮の人権問題が再び見直されることを望む。

  • 消えた北朝鮮の「ピンクレディー」…看板アナウンサーの行方

    消えた北朝鮮の「ピンクレディー」…看板アナウンサーの行方

    英紙・テレグラフ(The Telegraph)が4日、北朝鮮の朝鮮中央テレビのアナウンサーである李春姫(リ・チュニ)氏が引退すると伝えた。李春姫という名前に聞き覚えがなくても、北朝鮮のテレビ報道で独特の抑揚をつけながらニュースを読み上げるアナウンサーといえばおわかりになるだろう。

    李春姫氏のアナウンサー歴は約50年と言われている。半世紀近く北朝鮮のニュースを伝えてきたが、特にこの10年間は北朝鮮にとって重要なニュースを読み上げた。とりわけ伝説となっているのが2011年12月17日、金正日総書記の死去を伝える報道だ。

    スキャンダルで処刑

    実はこの時期、約50日間にわたって李春姫氏の姿がテレビで見られなくなり少し話題になった。

  • 人身売買「自ら望んで売られた」被害女性への理不尽な視線

    人身売買「自ら望んで売られた」被害女性への理不尽な視線

    北朝鮮当局は今月、国境地帯の地域機関に向けて「人身売買を反逆罪として強く処罰せよ」との指示を出した。これに基づき、人身売買団に対する大々的な取り締まりが行われている。しかしその一方、同国社会には人身売買の被害者に対する厳しい視線も存在する。

    米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の両江道(リャンガンド)の情報筋によると、金正淑(キムジョンスク)郡では国家保衛省(保衛部、秘密警察)と人民保安省(警察庁)が合同で人身売買団に対する取り締まりを行った。

    その結果、逮捕された4人に対する裁判が、今月15日に金正淑郡の中心地、新坡(シンパ)で公開で行われた。

    動員された数百人の住民が見守る中で行われた裁判だが、裁判長は判事ではなく保安署(警察署)の幹部だった。この幹部は「人身売買は国を売り払う反逆行為で、到底許されざる犯罪」などと罪状を読み上げた上で、主犯の40代女性に労働教化刑(懲役)15年、ターゲットを物色しブローカーに引き渡した男女3人に12年の刑を言い渡した。

    (参考記事:中国奥地で売られた「少女A」の前に現れた救世主

    今回の裁判では、人身売買とは別に、商売上のことでケンカとなり相手を殴った男性2人に対して、社会秩序びん乱罪で労働教化刑3年が言い渡された。

    閉廷後、保安署幹部は住民に向けて「人身売買に加担したり、中国(人)とグルになって人身売買に介入している者は11月末までに自首せよ」と呼びかけた。また、「他人の人身売買を知りつつも通報せずに黙認した者も、人身売買犯と同様に処罰する」と述べた。

    国際社会は、人身売買を含む北朝鮮の人権問題をついて厳しい批判を続けている。最近は、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチが、北朝鮮の性暴力をまとめた報告書を発表した。それに対して北朝鮮は激しく反発しているものの、一方の国内では取り締まりを強化するという両面戦術をとっている。

    (参考記事:「警察官たちは性犯罪の捜査を楽しんでいる」北朝鮮の救われぬ実態

    両江道の恵山(ヘサン)の別の情報筋によると、金正恩政権になってから「密輸や携帯電話の使用など違法行為を根絶せよ」との指示が矢継ぎ早に発せられ、地域へ統制が強化されている。地域住民は多かれ少なかれ違法行為に加担していることもあって、気が気でないという。

    この情報筋は人身売買について「1990年代に国が食糧配給をしなくなったため、(自ら望んで被害者が)中国に売られていったのが始まり」「重くなる一方の税金や組織生活(動員)の負担に苦しむ若い女性は、脱北するために自発的に売られていった」などと述べた。

    北朝鮮ではこのように、人身売買や性暴力の被害者に対し、その「落ち度」を責める見方が少なからず存在する。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    北朝鮮国民の中に、経済的苦境から逃れるために手段を問わなかった人々がいたのは間違いないが、だからといって、人身売買が正当化されるものではない。人身売買の犠牲となった女性たちを苦しめるのは、直接的な暴力、性暴力であると同時に、被害者に落ち度があったとする社会の視線なのだ。

  • 金正恩氏「親日の血筋」が韓国訪問で暴かれる

    金正恩氏「親日の血筋」が韓国訪問で暴かれる

    北朝鮮の金正恩党委員長の「不都合な出自」が、いよいよ白日の下にさらされるかもしれない。金正恩氏は、9月に平壌で行われた南北首脳会談で訪韓の意思を表明。支持率低下に悩む韓国の文在寅政権は、年内の訪韓実現を目指している。

    タイムリミットは目前である。金正恩氏が12月中に訪韓することは、人権問題や様々な国際環境に照らせば極めて困難に思える。何よりも北朝鮮側の熱が冷めてきているようにも見える。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    それでも、韓国政府はあきらめが悪い。文在寅氏は先月28日、「金正恩氏が訪韓したら何を見せたいか」という記者の質問に対して「済州島」だと答えたという。だが、これは「地雷」を踏む可能性が高い。

    文在寅氏は9月に訪朝した際、金正恩氏と白頭山に登ったことから、その返礼の意を込めているのだろう。金正恩氏といっしょにヘリコプターで済州島にある韓国の最高峰・漢拏山(ハルラサン)を見物することも議論されているというが、あまりにも脳天気すぎないだろうか。

    金正恩氏の実母は大阪出身の高ヨンヒ氏だ。

    (参考記事:金正日の女性関係、数知れぬ犠牲者たち

    さらに高ヨンヒ氏の父親、つまり金正恩氏の母方の祖父である高京沢(コ・ギョンテク)氏は済州島生まれで、済州島には高京沢氏の記録が残っている。後に日本にわたった高京沢氏は、第二次世界大戦中に旧日本陸軍が管轄する工場で働いていた。北朝鮮の基準からすれば「親日派」というレッテルを貼られてもおかしくないのだ。

    (参考記事:偽造旅券で日本潜入、金正恩一家の行き先は「美空ひばり記念館」

    もちろん、日本の支配下にあった当時の朝鮮人に、仕事を選ぶのに「親日行為に当たるか否か」など考えている余地はなかった。日本に留学した若者の中からも独立運動の闘士が出ていることを考えて見れば、ほとんどナンセンスな議論でもある。

    しかし、北朝鮮は金日成主席に始まる「白頭の血統」の歴史をウソで固め、完全無欠な愛国者に仕立て上げたお国柄である。高京沢氏の経歴は、十分に「ノーサンキュー」に違いないのだ。

    金正恩氏が済州島を訪問、あるいは漢拏山を見物すれば韓国のメディアだけでなく、世界のメディアが「金正恩氏が母のふるさとを訪れた」と報じることは間違いない。祖父が日本軍と関係があったことも大きく報じられ、こうした情報は北朝鮮内部にも密かに流入するだろう。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    北朝鮮当局のプロパガンダに飽き飽きしている庶民は、「元帥様は親日派の血統」「白頭血統ではなく漢拏山血統、いや富士山血統だ」などと揶揄するかもしれない。

    金正恩氏が自ら正当化してきた「白頭の血統」に大きな傷がつくことを、果たして彼自身が望むだろうか。

    文在寅氏の支持率は見る見る下落している。それでも南北関係については一定の評価を得ている。金正恩氏の訪韓によって支持率上昇のきっかけをつかみたいのかもしれない。が、安易な意図が北朝鮮側に読み取られると、金正恩氏によって逆に手玉に取られるかもしれない。

  • 金正恩氏を震え上がらせた「1丁の機関銃」のミステリー

    金正恩氏を震え上がらせた「1丁の機関銃」のミステリー

    韓国の文在寅大統領の支持率が、またもや就任後最低を更新した。韓国の世論調査会社、リアルメーターが3日に発表した支持率は、前週より3.6ポイント低い48.4%となった。これで9週連続の下落である。

    経済の低迷など、内政の行き詰まりが要因とされ、政権はそれを打開すべく、北朝鮮の金正恩党委員長の初訪韓に賭けているように見える。しかしそれは、当局により国民がほぼ完全に統制されている平壌を文在寅氏が訪れるのとは、わけが違う。

    韓国には、北朝鮮の体制により家族や友人を殺された人々が数多くいる。北朝鮮から逃れてきた脱北者の中にもいるし、北朝鮮により撃沈された海軍艦艇の兵士の遺族や、戦友もそうだ。韓国政府がいくら「ソウルに来ても安全だ」と言ったところで、北朝鮮側は簡単には納得すまい。

    何しろ北朝鮮当局はふだんから、普通の人と同じトイレを使えない金正恩氏を守るため、特殊な警護体制を敷いているのである。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    実際のところ、金正恩氏は北朝鮮国内においてすら、身辺に不気味なものを感じたことがあったとされる。

    (参考記事:なぜ最高指導者の近くに大量の爆発物が…北朝鮮「暗殺未遂説」のミステリー

    韓国の情報機関・国家情報院(国情院)の次長や大統領補佐官、駐日大使を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の著書『張成沢の道』(原題)によれば、2012年の暮れにはこんなことがあった。

    金正恩氏の視察先で、出所不明の1丁の機関銃が見つかったとの噂が広がった。1本の木の下で発見されたその機関銃には、銃弾がフル装填されていた。しかも、どこで製造され、どの部隊に支給されたかを辿るための通し番号が消されていた。そんな特殊な銃が、手違いでそんな場所に置かれるなどあり得ないことだった。

    結局、機関銃の謎は解けないままだったらしいが、一時期は金正恩氏が立ち寄る30カ所以上に装甲車が配置され、物々しい空気が漂ったという。

    さらに2015年10月初め、北朝鮮の葛麻(カルマ)飛行場で、金正恩氏の視察前日に大量の爆薬が見つかったと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

    また父である金正日総書記の時代には、龍川駅の大爆発事故が起きた。

    (参考記事:1500人死傷に8千棟が吹き飛ぶ…北朝鮮「謎の大爆発」事故

    この出来事はいまもって、「暗殺計画」の可能性をはらむミステリーとして語られている。

    こうした経緯もあり、金正恩氏が韓国訪問を決断するのは簡単ではなかろう。確かに、平壌とソウルは近い。その気になれば、日帰りも可能なほどだ。

    しかし、その「近さ」に期待して政権浮揚を賭けるようでは、文在寅政権の足元はいよいよ危うく感じられる。

  • 「金正恩の望みかなえる」はずが…トランプ、裏では対北支援を禁止

    「金正恩の望みかなえる」はずが…トランプ、裏では対北支援を禁止

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、トランプ米大統領は11月29日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。

    (参考記事:「中国人の男は一列に並んだ私たちを選んだ」北朝鮮女性、人身売買被害の証言

    今回の制裁指定により、人道主義的目的の支援を除く北朝鮮とのほとんどすべての交流・支援プログラムについて、米国の資金拠出が禁止された。また国際通貨基金(IMF)など国際金融機関に出向している米国人スタッフは、当該機関から北朝鮮に対して資金提供が行われないように努力する義務を帯びる。

    今回の措置は、米国務省が6月28日に発表した人身売買に関する年次報告書を受けたものだ。同報告書は北朝鮮について「人身売買撲滅に向けた最低限の水準を満たしておらず、取り組みもしていない」と指摘し、4段階評価のうち最低評価に据え置いた。北朝鮮は16年連続で最低評価だ。

    ちなみに、同報告書では中国も昨年に続き下から2番目の評価だった。国務省は、脱北した北朝鮮女性が中国で売春や結婚を強要されていることや、当局が人身売買被害者を北朝鮮に強制送還していることを問題視しているのだ。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    一方、聯合ニュースなどによれば、韓国の文在寅大統領は、アルゼンチン・ブエノスアイレスで20か国・地域首脳会議(G20)に合わせてトランプ氏と11月30日に会談した際、金正恩氏へのメッセージを託されたとして、次のように語ったという。

    「メッセージはこうだ。トランプ大統領は金(正恩)委員長に対してとても友好的な考えを持っていて、金委員長のことが好きである。だからこそ、金委員長が(非核化に向けた)合意事項の残りを実行することを願っているし、そうすれば、金委員長が望んでいることをかなえるつもりだ」

    トランプ氏の言う「金正恩氏が望んでいること」が何を意味しているかはわからないが、彼がそれを「かなえてやる」のは極めて難しいだろう。米国の北朝鮮に対する制裁は、核兵器開発に対してだけ課されているわけではなく、人権問題もまた重要な対象となっている。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    そしてそれらは、たとえ大統領といえども簡単に解除することはできない。金正恩氏とて、この間の米国とのやり取りで、そのへんのことは十分に学んだはずだ。

    今後の米朝関係は、もはやこのようなリップサービスで動く性格のものではなくなっていると思うのだが。

  • 母親思いの一家を飲み込んだ「魔の道路」…数百人死傷も

    北朝鮮の道路事情は極めて劣悪だ。北部の両江道(リャンガンド)では今年3月、交通事故が相次ぎ、1日で約300人が死亡する大惨事が起きた。

    (参考記事:あっという間に300人が死亡…北朝鮮の交通事故が壮絶な理由

    一般の道路はもちろん、外国人観光客が利用する高速道路ですら状態がかなり悪く、穴が空いている箇所を熟知しているドライバーでも、時々穴にはまってしまうほどだ。

    「走り屋」として知られる金正恩党委員長も、交通事故を減らすよう再三にわたり指示を下している模様だが、劣悪な道路事情はなかなか改善されない。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    そんな北朝鮮の道路が、母親思いの家族の命を飲み込んだ。一家が乗っていた三輪バイクが崖から落ちたのだ。

    事故が起きたのは11月初め、平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)と平壌市の順安(スナン)区域の間にある上次(サンチャ)峠でのことだ。

    平城に住む一家12人は、母親の還暦祝いに参加すべく三輪バイクに乗って隣接する平原(ピョンウォン)に向かっていた。その途中で崖から転落。5人が即死し、7人が病院に搬送されたが、容態は芳しくないと伝えられている。ドライバーは転落直前に三輪バイクから飛び降り無事だった。

    この三輪バイクだが、後部に荷台を連結したもので、中には木製の座席が設置されており、ぎゅうぎゅう詰めにすれば15人ほど乗車できる。タイの地方都市で走っている、ピックアップトラックを改造した「ソンテウ」というバスに近いものと思われる。トラックよりは安く買えるものの、下り坂でブレーキが効きにくいという欠点がある。

    タイのトラックバス「ソンテウ」。事故に遭った三輪バイクはこれに似た形状だったと思われる。(画像:Wikipedia)
    タイのトラックバス「ソンテウ」(画像:Wikipedia)

    また、道路状態にも問題があった。中央分離帯がなく、舗装はアスファルトではなくセメントで、ところどころに穴が開くなど道路状況は劣悪だった。さらに、上次峠は事故多発区間として知られている。

    平城市の保安署(警察署)は、ドライバーから事故の経緯などについて事情を聞いている。北朝鮮は毎年5月と11月を交通事故防止特別月間に定めているが、そんな中での事故だった。交通事故の処理方針が強化されていることもあり、過失が認められればドライバーは裁判にかけられる可能性があるとのことだ。

    劣悪な道路事情に加え、市場経済化の進展で車両が急増しているが、運転技術の未熟なドライバーが少なくない。

    北朝鮮で運転免許を取得するには、自動車養成所(自動車学校)に通い、運転技術から修理技術までを習得し、試験に合格しなければならない。この過程が6ヶ月も要するので、多くの人は役人に500ドル(約5万6000円)ほどのワイロを払い、手っ取り早く免許を取得する。

    (参考記事:軍事目的には使えない?穴ボコだらけの北朝鮮高速道路

  • 中国奥地で売られた「少女A」の前に現れた救世主

    中国の内モンゴル自治区で、人身売買の犠牲となった少女が、別の脱北女性に救出される出来事があった。

    事情を知る脱北者が先月23日にデイリーNKに明かしたところによると、中朝国境に面した北朝鮮の村に住んでいた少女Aさんは、ブローカーに騙され中国に連れて行かれた。中国人男性に売り飛ばされたAさんはかろうじて逃げ出したが、ブローカーに捕まり、別の男性に売られたがまた逃げ出した。ブローカーは、Aさんをより儲かる内モンゴルに売り飛ばそうとした。

    (参考記事:17歳で中国人男性に売られ…脱北女性「まだまだ幼い被害者が大勢いる」

    年齢や容姿で

    両江道(リャンガンド)の情報筋によると、最近は北朝鮮との国境から300キロ以上離れた内モンゴルでも、北朝鮮女性を求める中国人男性が増加している。

  • 北朝鮮の警察官が苦しむ「どうにもならない悩み」

    絶大な権限を振りかざし、庶民を痛めつけてきた北朝鮮の保安員(警察官)。しかし彼らとて、いついかなる時にも「強者」であるというわけではない。

    (参考記事:美女と「日本製の部屋着」に狂わされた、ある北朝鮮警察官の選択

    平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋によると、公共機関の職員の出勤率が著しく低下している。一部では業務が麻痺するほどの状況になり社会問題となっているという。保安署(警察署)の公民登録課など「食べる卵のない」部署ほど出勤率が低調なようだ。ここで言う「卵」とはワイロのことだ。

  • 北朝鮮が南北対話の中止を示唆…窮地の韓国、金正恩氏が頼りなのに

    聯合ニュースによれば、韓国青瓦台(大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は30日、記者らの携帯電話にメッセージを送り、北朝鮮の金正恩党委員長のソウル訪問について次のように説明したという。

    「いくつかのシナリオを準備している」
    「あらゆる可能性を考慮して話し合っており、決定したものはない」

    韓国では青瓦台が12月13~14日ごろに金正恩氏のソウル訪問を推進中とする報道が出ており、これに対応したコメントと見られる。

  • 「産婦人科で密造」の噂まで…薬物乱用が止まらぬ北朝鮮

    北朝鮮から逃れて日本に在住するある脱北者から、こんな話を聞いたことがある。

    「覚せい剤中毒が蔓延する実情を見て、この国(北朝鮮)はもう終わりだと思った。それが脱北を決意した理由のひとつだった」

    金正恩党委員長の父・金正日総書記は1992年から、麻薬などの薬物で外貨を稼ぐためにコードネーム「白桔梗(ペクトラジ)事業」を開始した。国家機関の主導で製造された麻薬や覚せい剤は、中国や日本に密輸されたが、各国当局の厳しい取り締まりにより徐々に減少した。

    しかし、これが北朝鮮国内で薬物が蔓延するきっかけとなる。薬物の「在庫」もあれば、製造技術も原材料もある。しかし売り先はなく、自ずと国内に流通しはじめた。「大人だけでなく青少年の間でも覚せい剤は広く蔓延している」と冒頭の脱北者は語る。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち )

    金正恩氏は最高指導者になって以降、薬物の乱用を厳しく取り締まる姿勢を見せている。

  • 官房長官を罵倒、自衛隊に難癖…北朝鮮が日本に猛攻撃を開始

    北朝鮮メディアの対日非難が、激しさを増している。

    対韓国宣伝ウェブサイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は29日、「安倍一味は米国が予想外に我々との対話に臨み、シンガポール朝米首脳会談という歴史的事変まで実現するや、驚愕して平壌のドアをノックし始めた」と指摘。

    朝鮮中央通信は28日付の論評で「日本はますます深刻化する政治的孤立から脱するために、朝日首脳会談に対する未練を持ってわれわれに各方面から接近してみようと東奔西走しながらも、依然として制裁・圧迫うんぬんと『拉致問題』を持ち出して世論を汚している」と主張した。

    こうした対日非難は、今に始まったことではない。今月は特に、旧日本軍が従軍慰安婦を虐殺した動画があるなどと言及しながら、歴史問題に関する日本の姿勢を批判した。

    (参考記事:日本軍に虐殺された朝鮮人従軍慰安婦とされる映像について

    ただ28日には、朝鮮中央通信が上述の論評のほかにもう1本、朝鮮労働党機関紙の労働新聞と内閣などの機関紙である民主朝鮮が各1本の、計4本もの論評で日本非難を展開した。同じ日付で4本というのは、さすがに多い。

  • 北朝鮮の子どもを悲しませる「立体律動映画」の値段

    映像が立体的に見え、座席が振動する4D映画。これが北朝鮮の地方都市で人気を集めているという。

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、道庁所在地の恵山(ヘサン)に最近、立体律動映画館、つまり4D映画館がお目見えした。場所は中朝国境を流れる鴨緑江のそばにそびえ立つ普天堡(ポチョンボ)戦闘勝利記念塔のすぐそばだ。

    金正恩党委員長は、「社会主義文明強国建設」を掲げ、各地にレジャー施設を建設している。その代表例が、外国人観光客も案内される平壌のムンスプールだが、それ以外にも様々な施設が建設されている。

    (参考記事:北朝鮮ツアー、実は近くて普通に行ける北朝鮮旅行

    その一環として2013年9月、平壌の綾羅島(ルンラド)遊園地に4D映画館が完成。金正恩氏も鑑賞に訪れている。

  • 「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    今年だけで首脳会談を3回も行い、北朝鮮との友好ムードを盛り上げてきた韓国の文在寅政権だが、北朝鮮側はここへ来てやや熱が冷めてきたように見える。

    韓国青瓦台(大統領府)の金宜謙報道官は26日の記者会見で、北朝鮮の金正恩党委員長の訪韓時期について、「さまざまな可能性をすべて踏まえて議論中」と述べ、今のところ見通しが立っていないことをうかがわせた。

    金正恩氏は、9月に平壌で行われた南北首脳会談で、近いうちに韓国を訪問する意向を表明。韓国政府は当初、年内の訪韓実現を目指していた。

    しかし、9月から金正恩氏訪韓の準備を行えば、どんなに急いでも12月にはなる。ハッキリ言って、12月に金正恩氏がソウルを訪れるなど不可能だ。なぜなら毎年12月には、国連総会で北朝鮮における人権侵害を非難する決議が採択されているからだ。

    決議案は今年も日本と欧州連合(EU)から提出され、今月15日には国連総会第3委員会で採択された。国連総会本会議では来月12日に採択される見込みだ。

    これに対し、北朝鮮は例によって猛反発している。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性の告発に北朝鮮反発

    対韓国宣伝ウェブサイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は27日、「卑劣で幼稚な政治的陰謀の産物」と題した論評を掲載。

  • 制裁下でも「古着」入荷…北朝鮮で人気の「日本製品ベスト3」

    かつて、北朝鮮には「最高級品は日本製」という時代があった。新潟港と東海岸の元山(ウォンサン)港を行き来していた「万景峰(マンギョンボン)92」号が、日本から様々な品物をせっせと運んでいたのだ。日本政府が2006年に対北朝鮮のすべての品目を輸出入を禁じる独自制裁を導入して以降、北朝鮮には日本製品があまり入らなくなったが、メイド・イン・ジャパンの人気は依然、根強い。

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋が伝えてきた、市場で最近人気の日本製品は、ダウンジャケットだ。新品のものはかなり値が張るが、古着なら9万北朝鮮ウォン(約1170円)で買える。

    中国製のダウンジャケットも多数入荷するが、新品は決して安くない。一方で日本製は、古着であっても新品同様で、コストパフォーマンスに優れているとして、入荷すれば季節を問わずすぐに売れてしまうという。

    (参考記事:美女と「日本製の部屋着」に狂わされた、ある北朝鮮警察官の選択

    制裁発動後は日本から直輸入されることは少なくなったが、中国経由で古着が入ってくる。また、北朝鮮に住む元在日朝鮮人の元を訪れる日本在住の家族がお土産として持ち込んだものも市中に出回るという。

    ちなみに、中国で最も有名な日本のブランドと言えばユニクロだが、遼寧省だけで20店舗あり、うち1店舗は北朝鮮との国境に面した丹東にある。お隣の吉林省にも延辺朝鮮族自治州延吉を含め8店舗がある。詳細は不明だが、これら店舗で買い求められた製品も北朝鮮に持ち込まれているものと思われる。

  • 「親子の縁を切るしかない」脱北者の母に苦渋の決断を迫ったものとは

    北朝鮮の抑圧体制を支える秘密警察、国家保衛省(保衛部)の要員たちは、その絶大な権限を悪用して国民を痛み付け、カネを搾り取ってきた。そんな保衛部の脅迫に耐えかね、親子の縁を切る選択を迫られた脱北者がいる。

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)に住んでいたキム・ミンスクさん(仮名)は5年前に脱北し、今は韓国で暮らしている。キムさんはデイリーNKの取材に、一部始終を語った。

    キムさんは、北朝鮮に残してきた息子リ・ナムギュさん(仮名)と、中国キャリアの携帯電話を使って連絡を取り合ってきた。

    今年9月、リさんはいつものようにキムさんと通話していた。そこを保衛部に急襲され、逮捕された。通常、海外に電話する場合には、問題にならないように保衛部にあらかじめワイロを渡す必要がある。中国への留学経験を持つリさんがそれを知らないわけがなく、何らかの理由でワイロを渡さなかったため、逮捕されたものと思われる。もしくは、保衛部にカネが必要な事情があり、あえて逮捕した可能性もある。

  • 北朝鮮が対米批判を再開「平和を物乞いすれば死」

    米国と韓国を口汚く罵るのは、北朝鮮の十八番だった。

    例えば、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は2014年の5月と12月、米国のオバマ大統領(当時)に向かって、人種差別表現を使って激しく誹謗している。

    (参考記事:北朝鮮メディアがまたもやオバマ氏に対して人種差別表現

    韓国の朴槿恵大統領(当時)についても、ひわいな表現まで交えて口汚く罵った。

    (参考記事:北朝鮮メディア、朴槿恵氏を「好色漢魔女」と罵倒…「大統領が腐りきった」

    朝鮮半島が和平ムードに包まれた今年に入ってから、そのような罵詈雑言は控えられていたのだが、国内では米国を「敵」とする思想教育が再開されている。ところが、北朝鮮国営メディアが報じてきた内容と相反するため混乱が起きていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

  • 「慰安婦問題には時効などない」北朝鮮が主張

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は21日、戦時中の従軍慰安婦問題を巡り、「日本が働いた性奴隷犯罪は国際法的時効が適用されない」とする論評を掲載した。

    北朝鮮メディアは最近、慰安婦問題への言及を強めている。国営の朝鮮中央通信は16日、「日本軍性奴隷問題の解決は国際的要求」と題した論評で次のように述べ、旧日本軍が朝鮮人慰安婦を虐殺した証拠とされる「映像記録編集物」があると主張した。

    (参考記事:「日本軍が慰安婦を虐殺した映像ある」北朝鮮メディア報道

    慰安婦問題を巡っては、韓国政府が元慰安婦らの支援事業を行ってきた財団の解散を正式に発表したことで、日韓関係の今後が不透明になっている。財団は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった合意の柱だ。日本にとっては、まさにこの文言が重要なわけで、これが反故にされるのではないかということが最大の懸念だ。

  • 「北朝鮮の女性虐待、加害者の処罰を」国連幹部が強調

    11月25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」だ。世界各地ではこの日に合わせ、国連女性機関などの主導により、暴力のない明るい未来を象徴するオレンジ色を使った様々な行事が開かれる。

    ニューヨークの国連本部では19日に記念行事が行われた。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)はこの行事に合わせ、国連女性機関の幹部にインタビュー。

    同幹部は、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が発表した北朝鮮の女性虐待に関する報告書の内容に注目しているとしながら、「女性に対する暴力の加害者が処罰されないことは、深刻な2次被害であり、絶対に黙認してはならない」と強調した。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    HRWが先月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」は、金正恩党委員長が政権を継承した2011年以降に脱北した54人と、脱北した北朝鮮の元公務員8人を対象にしたインタビューを元に作成されたものだ。北朝鮮における性暴力の現状と、それを生み出す社会的土壌について詳しく解説されている。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」暴露された金正恩時代の性暴力

    HRWが、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」を見据えたタイミングで報告書を発表したのは明らかだ。

  • 北朝鮮のカジノホテル、中国からの抗議で工事中断

    北朝鮮が、中国との国境に面した平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)で建設中だった30階建てホテルの工事が中断された。この話を巡って、「あの人物」の存在が取り沙汰されている。

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、現地の情報筋の話として、このホテルは今年の春に着工、骨組みが20階まで組み上がった時点で突然工事が中断されたと報じた。

    国境の鴨緑江を挟んで向かい合う中国の丹東のマンションの15階以上から見ると、ホテルの建物の一部が見えるという。これは、鴨緑江の川べりではなく、そこから1キロほど離れた市内中心部で工事が行われていることを示す。

    工事中断の理由はカジノだ。

  • 世界「自殺率1位」の北朝鮮で、農村婦人がガソリンをかぶり…

    北朝鮮は世界的に見て自殺率が非常に高い国だ。

    世界保健機関(WHO)の2012年の統計によると、10万人あたりの自殺率(年齢調整なし)のランキングでは、北朝鮮は39.5人で1位。2位は韓国(36.6人)。ちなみに日本は9位(23.1人)だった。国ごとの人口と年齢構成の違いを調整した値でも、北朝鮮は1位のガイアナ(44.2人)に次ぐ2位(38.5人)だ。ちなみに韓国は3位(28.9人)、日本は18位(18.5人)だった。

    世界でも稀に見る抑圧体制が、多くの人を自殺に追い込む一因となっている。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは… 

    そんな中、北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)からショッキングなニュースが伝わってきた。協同農場の管理委員長の夫人が、焼身自殺したというのだ。

    現地の内部情報筋によると、事件の発端は今年の夏まで遡る。この協同農場の管理委員長が、農場で収穫された穀物を横流ししたり、ワイロを受け取って何らかの便宜を図ったりしていたなどの疑いで摘発された。そして、委員長の職を解かれ、一般の農場員に降格させられる処分を受けた。

    北朝鮮当局は最近、農場に対して穀物の横流しなどを厳しく禁じる布告を出している。従来は当たり前のように行われていた行為なのだが、委員長は運悪く摘発されてしまい、罪をもみ消すだけのカネとコネがなかったため、すべてを失ってしまったのだろう。

    (参考記事:北朝鮮「穀物の売買禁止令」で国内に不安が広がる

    事件が起きたのは、元々住んでいた家を明け渡すことになった今月初めのことだ。

    北朝鮮の住宅法の30条5項には「国が協同農場に建てた住宅と協同団体所有の住宅は、農場で服務する農場員、労働者、事務員に振り分けなければならない」とある。法律に従って、家を新任の管理委員長に明け渡し、自分たちは別の家に引っ越さなければならない状況となった。

    その過程で両者が口論となった。理由はわからないが、旧委員長夫妻は多くの人の前で恥をかかされたのかもしれない。委員長夫人としてそれなりに羽振りのよい暮らしをしていた女性には耐えられないほどの屈辱だったのだろう。衆人環視の中でガソリンをかぶり、自ら体に火をつけて命を絶った。

    地位、名誉、家に加え妻まで失った元管理委員長は、一般の農場員として暮らしているが、激しい衝撃を受けたせいか、周りの人と接することを避けているという。

    (参考記事:金正恩政権「殺人的ストレス」に苦しむ北朝鮮の人々

  • 北朝鮮軍の脱走兵、ロシアから拉致・強制送還か

    滞在中のロシアから韓国に向かおうとしていた脱北者が、北朝鮮に強制送還される事件が起きた。

    デイリーNKの対北朝鮮情報筋によると、今月初めにモスクワで韓国行きを待っていた脱北者チュ・ギョンチョルさん(29歳)が忽然と姿を消した。7日にウラジオストクで裁判を受け、その日のうちに北朝鮮に強制送還された。その後の処遇については明らかになっていないが、韓国行きを目指していたため、収容所送りを含めた重罰が予想される。

    北朝鮮当局は近年、相当に強引な手段を動員し、脱北者の拉致・強制送還を続けている。

    (参考記事:美人タレントを「全身ギプス」で固めて連れ去った金正恩氏の目的

    チュさんは昨年、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の下戦士(二等兵)の身分で、労働者としてロシアに派遣された。しかし、辛い労働に耐えかねて韓国行きを決心した。各所の助けを借りて、手続きをほぼ終え、後は韓国行きを待つだけだった。

    (参考記事:事故・自殺・そして拷問 「労働者の生き血」を吸う金正恩氏の外貨稼ぎ

    チュさんが北朝鮮に強制送還されたという衝撃的な話は関係者の間に急速に広がったが、これまでのところ、ロシアメディアはこの件を報じていない。

  • 北朝鮮の秘密警察幹部、スパイ容疑で逮捕…内部映像を国外に流出

    金正恩党委員長は「国外への情報流出、国外からの情報流入」に対して極めて厳しい姿勢を取っている。昨年末には、電話帳を海外に売ろうとした6人が銃殺されている。電話帳には、国家機関の電話番号など北朝鮮が国家機密扱いする情報が掲載されているからだ。

    (参考記事:変わらぬ北朝鮮、6人銃殺。理由は「電話帳を売ろうとしたから」

    10月初め、北朝鮮国内の情報を密かに海外に伝える仕事に携わってきた保衛部(秘密警察)の幹部が逮捕された。スパイ容疑での逮捕だけあって、重罰は免れないと思われる。

    逮捕されたのは北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)郡の保衛部に所属する幹部だ。