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  • 金英哲朝鮮ア太委委員長談話

    【平壌10月27日発朝鮮中央通信】朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太委)の金英哲委員長は27日、次のような談話を発表した。

    最近、米国がわれわれの忍耐と雅量を誤って判断して対朝鮮敵視政策にいっそうヒステリックに執着している。

    先日、第74回国連総会の第1委員会会議で米国代表は、われわれの自衛的国防力強化措置に言い掛かりをつけて米朝対話に目をつぶって臨まないだの、北朝鮮がFFVDのための新しい方法論を提示しなければならないだのという刺激的な妄言を並べ立てた。

    一方、米国は国々に国連「制裁決議」の履行をしつこく強迫しており、追随国家を押し立てて国連総会で反朝鮮決議案を通過させるために各方面から策動している。

    はては、米戦略軍司令官指名者なる者は議会上院での証言で、わが国家を「ならず者国家」と悪意に満ちて謗ったし、米軍部好戦勢力はわれわれを狙った核打撃訓練まで計画しているという。

    諸般の状況は、米国が算法転換に関するわれわれの要求に応じるどころか、以前よりも狡猾で悪らつな方法でわれわれを孤立、圧殺しようとしていることを示す。

    米国のこのような敵対行為と誤った慣行によって何度も脱線し、よじれかねなかった朝米関係がそれでも今まで維持されているのは、金正恩国務委員長とトランプ大統領の親交関係のおかげだと言うべきであろう。

    しかし、全てには限界があるものである。

    朝米両首脳の親交関係は決して民心に顔を背けることができず、朝米関係の悪化を防止し、補償するための保証ではない。

    米国が、われわれが信頼構築のために講じた重大措置を自分らの「外交的成果物」に包装して宣伝しているが、朝米関係ではいかなる実際の進展が遂げられたものがなく、今すぐにでも火と火が飛び交うかもしれない交戦関係がそのまま持続している。

    米国が自国の大統領とわが国務委員長の個人的親交関係を押し立てて時間稼ぎをし、今年の末を難なく越してみようと考えるなら、それは愚かな妄想である。

    私は永遠の敵も、永遠の友もいないという外交的名句が永遠の敵はいても、永遠の友はいないという格言に変わらないことを願う。---

  • 金正恩党委員長が妙香山医療器具工場を現地指導

    金正恩党委員長が妙香山医療器具工場を現地指導

    【平壌10月27日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党委員長で朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長、朝鮮民主主義人民共和国武力最高司令官であるわが党と国家、武力の最高指導者金正恩同志が、新たに改修している妙香山医療器具工場を現地で指導した。

    金正恩党委員長は、工場を見て回りながら改修現代化状況を具体的に調べた。

    妙香山医療器具工場の全景を眺めながら、工場の内部と外部が医療部門のモデル工場らしく整えられた、建築美学的面から見ても、技術的面から見ても非の打ちどころがない、完全にあか抜けした、工場の面ぼうが根本的に変わったと述べて喜んだ。

    工場が病院で切実に求める性能のよい各種の医療機器を大々的に生産できる先端工場に整えられたことについて高く評価した。

    金正恩委員長は、工場で生産した医療機器の試作品を一つ一つ作動させて見ながら性能を細心に調べた。

    人民の生命を保護、増進させるのに切実に必要な医療機器を多く作ることも重要だが、何よりも質的に生産すべきだと強調し、これはすなわち人民に対する観点の問題だとねんごろに述べた。

    工場で生産することになる全ての医療機器を発展した国々で生産する設備の水準で作らなければならないと述べ、最新医療機器資料を十分に研究し、わが病院の実情と患者の体質に合うように設計を立派にし、不断に革新的に更新して品質が徹底的に保証される性能が高くて実用的な医療機器を開発、生産すべきだと語った。

    金正恩委員長は、全般的に見れば工場の改修現代化工事が朝鮮労働党が構想した通りに行われているが、細部的に見れば一部の欠陥もあると述べ、建築施工を設計と工法の要求通りに質的に行っていないことについて指摘した。

    一部建物の外壁タイル面の平坦度がよく保障されず、継ぎ目も合っていない、ある部分は壁塗りの面も均等でないと述べ、仕上げ工事が繊細に出来上がっていないと述べた。

    金正恩委員長は、建設技能の高い部隊を早急に派遣してやるから彼らと共に施工過程に生じた欠点を正し、工場を年末までどこに出しても遜色のない工場、役目を果たす工場に立派に完工することについて指示した。

    朝鮮労働党中央委員会の幹部である金與正、趙甬元、リ・ジョンナム、ホン・ヨンソン、玄松月、チャン・ソンホの各氏と朝鮮労働党慈江道委員会の姜峯訓委員長、国務委員会の馬園春局長が同行した。---

    (2019.10.27)

  • 韓国マネー巡る裏切りで…北朝鮮「15才少年」の悲惨な末路

    今年9月、中朝国境地帯に住む家族3人が脱北を試みたがあえなく逮捕される事件が起きた。その背景を巡って騒動が起きていると両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    事件は、鴨緑江を挟んで中国と向かい合う両江道の恵山(ヘサン)で起きた。現地に住む3人が川を渡って中国に向かおうとしたとしたが、川岸に達する前に保衛員(秘密警察)に全員逮捕されてしまったのだ。無事だったのは、異様な空気に気づいていち早く逃走した脱北ブローカーだけだった。

    「ニオイ拷問」の恐怖

    3人のうち、1人は15歳の少年で、母親はすでに脱北している。情報筋は言及していないが、おそらく韓国に住んでいるものと思われる。

  • 愛人女優を「ズタズタにして処刑」した父親への金正恩の反感

    愛人女優を「ズタズタにして処刑」した父親への金正恩の反感

    金正日氏はかつて、愛人だった女優が別の男性との間でスキャンダルを起こすや、父である故金日成主席に自分との関係が恐れ、文字通りズタズタにして公開処刑されたと言われる。
    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信によれば、金正恩党委員長は最近、金剛山(クムガンサン)観光地区を現地指導した。先日の本欄でも言及した通り、金正恩氏はここで韓国との経済協力として進められた過去の金剛山観光事業を批判しつつ、次のように述べている。

    「容易く観光地を明け渡して何もせず利を得ようとした先任者らの間違った政策」

    「政策的指導を担当した党中央委員会の当該部署が金剛山観光地区の敷地をむやみに明け渡し(後略)」

    金剛山観光事業は2000年に、金正恩氏の父である故金正日総書記と金大中元韓国大統領との間で行われた史上初の南北首脳会談で合意された。「先任者」「党中央委員会の当該部署」という表現ではあるものの、金正日氏が進めた政策を否定したものといえる。北朝鮮の最高指導者が先代の政策を批判するのは稀だが、実は、まったく初めてのことでもない。

  • 米国が文在寅政権に「異例の圧迫」…失政のツケは国民に

    韓国と米国が2020年以降の在韓米軍の駐留経費負担の規模を決める2回目の協議が23日午前(日本時間24日早朝)から、米ハワイ州ホノルルで2日間にわたり行われた。

    米国はこれに先立ち、韓国の防衛にかかる費用が年間48億ドル(約5215億円)にのぼると文在寅政権に伝え、韓国側の大幅な負担増額を求めている。2019年の韓国側の負担額は1兆389億ウォン(962億円)だから、48億ドルはその5倍以上だ。

    「敵性国」向けの表現

    トランプ政権の内部やその周辺にも、同盟国に対するこうした態度を批判する向きは少なくないとされる。韓国が同政権の圧力から自分の身を守るには、そのようは世論の支援を受けることが不可欠と言える。

  • 食事抜きで「淫らな行為」強要…北朝鮮女性の人身売買被害

    トランプ米大統領は今月18日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。

    これは米国務省が毎年定期的に行っている人身売買国指定に沿ったものだが、韓国紙・朝鮮日報は次のような見方を示している。

    「今回は今月初めにスウェーデンで行われた米朝実務協議の決裂が影響したとの見方も出ている。米国は北朝鮮に対して交渉再開を促す一方、北朝鮮のアキレス腱(けん)とも言える人権問題で圧力を加える『ツートラック』戦略を維持していることが分かる」

    そうでなくとも、主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。

    これに対し北朝鮮は、朝鮮労働党機関紙・労働新聞などを通じ、「言いがかりだ」と強く反発している。昨年の指定に対して出された同紙の論評は「米国の今回の挑発行為は、朝鮮の尊厳あるイメージをどうしてでもダウンさせ、制裁・圧迫の雰囲気をより鼓吹してみようとするものだ」と主張した。

    しかし、北朝鮮女性の人身売買が横行しているのは、あまりに明白な事実だ。北朝鮮国内での人権侵害については、同国政府が許可しないため国内での調査が難しいが、こちらの問題は現地からの情報も積み上がっている。北朝鮮から中国に逃げ出した脱北女性が、人身売買の犠牲となりセックスワークや「アダルトビデオチャット」を強いられる事例が多数報告されているのだ。

    米ニューヨーク・タイムズは13日、中国で脱北した北朝鮮の女性たちが望まないセックスワークを強要され苦しんでいる実態を報じた。彼女たちには一定額のノルマが与えられ、それを達成しない限り、食事も取られず体調が悪くてもPCの前で、淫らな行為を行わなければならないと明かす。顧客の大半は同じ言語を使う韓国人男性だという。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    朝鮮日報によれば、韓国ある元外交官は、米国の今回の措置について次のように解説したという。

    「米国による今回の決定は、オリンピックの南北共催など北朝鮮関連事業にばかり力を入れる韓国政府に対し『軽々しく南北協力をするな』というメッセージを間接的に伝えたものだ」

    米国の意図がどういったものであれ、人身売買の被害に遭っている北朝鮮女性を救うために、国際社会は何らかの措置を取るべきだ。米国は中国にもっと圧力をかけることが出来るだろうし、韓国政府がこうしたビデオチャットへの自国内からの接続を遮断することは、ごく簡単なことだろうから。

  • 「金正恩の首都」に銃声を響かせた兵士の悲惨な運命

    「金正恩の首都」に銃声を響かせた兵士の悲惨な運命

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)には警務隊と呼ばれる組織がある。兵士や軍関係者の犯罪を取り締まる権限を持つ、憲兵隊とよく似たものだ。独自の哨所(検問所)を各地に設置、人や物資の出入りを監視しているが、その権限を利用して通行料、つまりワイロを要求したり、横暴に振る舞うなど、とかく評判が悪い。それだけに、時には報復に遭うこともある。

    (参考記事:【北朝鮮軍での思い出】特殊部隊偵察兵、憲兵をボコボコにする(上)

    そして最近、そんな警務隊の鼻っ柱がへし折られる事件が起きたと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    事件が起きたのは、郊外の勝湖(スンホ)区域にある警務隊哨所でのことだ。平壌での建設事業を担っている人民軍7総局護送部隊の兵士が運転していたトラックが、停止命令を無視して通過しようとした。警務員(憲兵)はトラックを追跡し、運転していた兵士に銃撃を加えた。弾は兵士のふくらはぎを貫通。緊急手術を受け、兵士は幸いにも一命をとりとめた。

    この兵士は、入隊してから間もない新兵で、上官の頼みを受けてタバコなどの生活必需品を買うためにトラックに乗って部隊の外に出た。「警務隊の取り締まりにひっかかるな」との指示を受けていて、それに忠実に従ったようだ。どうやらこの外出は、軍規に反する行為だったのだろう。

    ところが、負傷した兵士の親から「戦時でもないのに、同じ立場の兵士を銃撃するなんてひどすぎる」とのクレームがついた。また、7総局も警務隊に抗議した。

    兵士に銃撃を加えた警務員とその上官は、保衛司令部に呼び出され取り調べを受けることになってしまった。

    ここで問題とされているのは、神聖なる革命の首都・平壌に銃声を鳴り響かせてしまったことだ。平壌の安寧は、最高指導者の権威に直結するものと言え、それを乱せば重罪に問われかねない。また、同じ軍の兵士を銃撃したことも、軍規に違反する行為であるとのことだ。そのせいで2人には、重い処罰が下されると予想されている。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    元々、新兵に生活必需品のおつかいを頼んだ上官に根本的な責任があり、警務官の停止命令を違反した新兵にも責任の一端があるはずだが、なぜか責任を問われたのは、警務官とその上官だけだ。

    考えられるのは、撃たれた新兵の親は党や政府の高級幹部か、あるいはそんな人たちとの強力なコネを持つ人物ではないかということだ。法の下の平等より、カネとコネが物を言う今の北朝鮮を表した事件と言えよう。警務隊の鼻っ柱がへし折られたことで、警務隊にいじめられていた多くの兵士は喜んでいるだろうが。

    (参考記事:「量刑はワイロで決まる」北朝鮮の常識

  • 「金正恩は賢くない」北朝鮮、今どきの若者のホンネとタテマエ

    「金正恩は賢くない」北朝鮮、今どきの若者のホンネとタテマエ

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は今年8月28日、「頼もしい青年大軍を持っているわが祖国の行く先は果てしなく洋々としている」という題名の社説を掲載した。

    当日の青年節を祝うこの社説の主張を一言で要約すると、「金正恩党委員長と体制を守り、国を発展させるのは若者の役目だ」ということだが、当の若者は冷めきっている。

    配給制度が完全に崩壊した後の北朝鮮で生まれ育ち、国家や金正恩党委員長のことを「ありがたい」と思わず、社会のことより個人の生活を大切にする若者らは「チャンマダン(市場)世代」と呼ばれている。

    表向きは国や金正恩氏に忠誠を誓っているように見えても、その実は面従腹背だ。

    (参考記事:「尊敬しろ」と強要され逆に金正恩氏を嫌悪…北朝鮮「いまどきの若者」事情

    デイリーNKは、平安南道(ピョンアンナムド)のある人民委員会(市役所)の幹部とのインタビューを行い、若者の現状について詳しく聞いた。

    それによると、若者の最大の関心は「いかにしてカネを稼ぐか」にある。エリートの条件である朝鮮労働党への入党、社会的地位の向上のためにもカネが必要であり、党や指導者への忠誠心は二の次三の次だということだ。

    ー市場を統制しない今の指導者(金正恩氏)が若者の間から良い評価を受けているという話があるが?

    「人それぞれだが、指導者に対する評価はさほど高くない。(配給、福祉などで)最高指導者(金正恩氏)の世話になっている人は多くない。良い評価をしているとしても、(その理由は必ずしも)市場を統制しないからというわけではない。市場を統制すればもちろん不満が増えるが、統制しないからと喜んでいるわけではない。忠誠度が高いからではなく、生き抜くために他に選択肢がない」

    ー市場経済化を推し進めていることは、若者の忠誠度に肯定的な影響を与えている?

    「市場経済化と忠誠度は関係ないと思う。ただ、カネを稼げるところが市場で、カネを稼いで軍隊に行けば入党させてくれてそれなりのポストも得られる(と考えているに過ぎない)」

    ー最近、一部の国営事業所がまともに稼働していないと聞いているが、そんな状況で国営事業所に通う青年層の忠誠心が維持できるのか?

    「忠誠心はうわべで語るもので、心の底から忠誠を尽くしている人はあまり見かけない。(忠誠心があるふりを)うまくやっている連中もポストを狙ってのことだ。党に入って大学も出てようやくいいポストに就けるからだ。体制のことを考えているのではなく、どうやって食べていくかの心配をする若者の方がずっと多い」

    ー個人企業所に就職して働く若者もいるというが、彼らはどうか?

    「配給をふんだんにくれる会社に入ると喜ぶには喜ぶが、配給よりはカネが優先だ。カネさえあれば会社からあまり配給がもらえなくても、良い暮らしができる。配給を手厚くする社長よりも、休みと給料をたくさんくれて儲けさせてくれる社長の方が好かれる」

    ー金正恩氏の対する青年層の認識は?

    「そんなに人気があるわけではない。大抵が『賢くないデブ』と考えている。ちゃんとした考えがないから太ったのだと言っている」

    ー金正恩氏の業績についての宣伝が以前と比べて冷静になったとの話もあるが?

    「私には、さほど大きな変化があるように思えない。偉大性宣伝はあいかわらずだ」

    ー政権についた当初は「3歳のときに銃を撃って、5歳のときに漢詩を詠んだ」などと宣伝していた。

    「見ていないから信じない。金正日時代には『金日成主席は松かさで銃弾を作った』と言われていたが、『銃弾を作る技があるなら、なぜコメは作れないのか』『大抵の才能は生まれつき備わっていると言っているくせして、なぜ人民を食わせる才能はないのか』などと言われた。今ではそんな作り話を聞いても『へえ』としか思わず信じる人はいない。そんな宣伝をしている人も、話しながら気まずそうにしている」

    (参考記事:金正恩氏が自分の「ヘンな写真」をバンバン公開する理由が判明した

    ー金正恩氏は「現実を美化するな」と指示し、誇張された宣伝をするなとも言っているが

    「やめろと言われて、やめられるものではない。偉大性宣伝をしなければ、党の宣伝煽動部の仕事がなくなる」

    ー若者は組織生活によく参加する?

    「自主的にはしない。ただし、参加しなければ批判されるので参加はする」

    ー金日成ー金正日主義青年同盟は党の「後備隊」の役割をよく果たしている?

    「役割を果たしているとまでは言えないが、それが青年同盟の当然すべきことだと思う。ただし、最近の若者の中では党員にはなろうとしても、後備隊に甘んじようとする人はあまりいない」

    (参考記事:北朝鮮で超人気の就職先。理由は「銃殺されないから」

  • 「見ただけでも気分が悪い」金正恩氏、またも文在寅政権に痛撃

    北朝鮮の金正恩党委員長が、韓国の文在寅大統領が提唱する南北経済協力に対してダメ出しをした。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は23日、金正恩氏が金剛山観光地区を現地指導したと報じた。金剛山観光事業は、開成工業団地とともに南北経済協力の象徴とされていたが、2008年に韓国人観光客が北朝鮮兵士に射殺される事件が起きて以来、10年以上中断されている。

    昨年9月に行われた南北首脳会談では、金剛山観光事業の再開が合意されている。文在寅氏は南北融和の象徴として早期の事業再開の意思を度々示している。しかし、金正恩氏は「見ただけでも気分が悪くなるごたごたした南側(韓国)の施設」と韓国側が建設した施設を罵倒。さらに、南北関係の象徴ではないとしながら撤収まで指示した。文在寅氏が切実に望む南北協力事業に対する拒否といえるだろう。

    10年以上も稼働していないとはいえ、数百億円の投資をした韓国からすれば極めて無礼な言い草だろう。確かに金正恩体制は韓国の文化に対して厳しい見方をしてきた。例えば、密かに出回っている韓流ビデオを厳しく取り締まっている。時には韓流の動画ファイルを保有していたという容疑だけで、女子大生を拷問し悲惨な末路に追い込んだ。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    興味深いのは金正恩氏の非難が韓国だけでなく、北朝鮮側、つまり内側にも向けられていることだ。金正恩氏は「容易く観光地を明け渡して何もせず利を得ようとした先任者らの間違った政策」「政策的指導を担当した党中央委員会の当該部署が金剛山観光地区の敷地をむやみに明け渡し(後略)」などと述べた。

    金剛山観光事業は2000年に、金正日氏と金大中元韓国大統領との間で行われた史上初の南北首脳会談で合意された。「先任者」「党中央委員会の当該部署」という表現ではあるものの、金正日氏が進めた政策を否定したものといえる。北朝鮮の最高指導者がここまで露骨に過去の政策を非難するのは極めて稀なことだが、それだけ金正恩氏は父の過去の政策、とりわけ負の遺産に不満をもっているのかもしれない。

    金剛山観光事業に限らず、金正恩氏は南北経済協力などの約束を履行せず、米韓合同軍事演習を続ける文在寅政権への非難の声を日増しに強めている。それだけ文氏に対する苛立ちが大きいといえるが、こうした非難に対して何も言い返せず、対処も出来ない文氏を、金正恩氏はもはや見切りつつあるのではなかろうか。

  • 「敵性国に使う言葉」で抗議…米国が文在寅政権に激怒か

    「敵性国に使う言葉」で抗議…米国が文在寅政権に激怒か

    韓国・ソウルで18日、親北朝鮮派の韓国人学生ら17人が駐韓米大使公邸の敷地内に侵入する事件が発生した。学生らは全員が警察によって逮捕されるまで、1時間以上にわたりハリー・ハリス米大使の帰国を求めるデモを繰り広げた。当時、ハリス氏と家族は不在だった。

    韓国の警察当局によれば、学生らは「韓国大学生進歩連合(以下、大進連)」のメンバー。侵入した男女17人のほか、敷地外でこれをほう助した男性2人の計19人を共同住居侵入、「集会および示威に関する法律」違反などにより現行犯逮捕したという。

    大進連は最近、北朝鮮の金正恩党委員長を称賛する大会をソウルで開いている。今回の侵入の動機については、米国政府が在韓米軍の駐留経費の負担額を増やすよう韓国政府に要求しているためと説明しているもようだ。

    この事件を受け、在韓国米国大使館は同日、「大韓民国が、全ての駐韓外交公館を保護するための努力を強化することを強く促す(We urge the ROK to strengthen its efforts to protect all diplomatic missions to the Republic of Korea)」との声明を出した。

    これについて韓国紙・朝鮮日報(日本語版)は19日付で、次のように伝えた。

    〈外国公館が接受国の政府に向けて、何らかの措置を「強く促す」というのは、外交的には極めて強い表現だ。元外交官は「urgeという表現は通常、敵性国に使うもので、同盟の間ではあまり使わない」と語った。〉

    ソウルの米大使公邸には昨年9月にも、中国朝鮮族の女性が夜10時ごろ大使公邸に無断侵入する出来事があったというから、米国側の怒りは理解できる。しかしだからと言って、敵性国に用いる言葉が出てくるものだろうか。

    韓国では朴槿恵政権下の2015年3月、マーク・リッパート駐韓米国大使(当時)が刃物を持った反米運動家に襲撃され、頬を深く切りつけられる事件があった。後に弾劾により崩壊することになる朴槿恵政権の内実がどのようなものであったにせよ、少なくとも対米関係は良好で、対北朝鮮でも問題なく共同歩調が取れていた。

    それを反映し、韓国の大衆はリッパート氏の快復を祈るメッセージを(いささか過剰なまでに)積極的に送り、親韓家として知られる同氏はこれに笑顔で応えた。

    当時と現在の雰囲気の落差は、間違いなく、米韓両政権の不信感の深さが背景にある。

    (参考記事:「何故あんなことを言うのか」文在寅発言に米高官が不快感

    チョ・グク前法相の辞任などで窮地に追い込まれた文在寅政権は、米国が北朝鮮との経済協力を認めないことで、膠着した南北対話を打開できないことへの不満が大きいと見られる。

    しかし現実は、米国との強固なパートナーシップなくして、南北対話を前進させることはかなわないことを物語っている。こういうときこそ、余計なアクシデントは絶対に起こしてはならないものなのだが、起きてはならない事件が起きてしまったと言えるだろう。

  • 「公開銃殺」でも効果なし…北朝鮮が情報流出防止に苦慮

    北朝鮮当局が頻繁に行っている政治講演会。金正恩党委員長や朝鮮労働党が示した政策、それを達成するに当たってすべきこと、その他の様々な問題を庶民に伝える思想教育の場だ。

    だが、居眠りしたり、ワイロを払って代返を頼んだりする人が人が続出する。代わり映えのない中身で、時間の無駄だと考えられているからだ。

    (参考記事:北朝鮮の思想教育、出席率悪すぎで関係者やきもき

    その場で配られるのは、講演内容をまとめたレジュメの講演提綱だ。今までは紙に印刷したものを配布していたが、最近では様子が変わりつつあると、北朝鮮事情に明るいデイリーNKの情報筋が伝えてきた。

    最近行われた講演会では、講演提綱のファイルが保存されたUSBメモリを担当者が持参し、パソコンに差し込んでファイルの中身を参加者に見せる方式が取られた。情報筋が説明した理由は次のようなものだ。

    「かつて、講演提綱は紙で配られていたので外部に流出する事件が多かったので、このようにしたようだ。紙を配ると参加者が携帯電話で隠し撮りして外部に送ってしまうので、USBメモリに保存する形にした」

    講演提綱には、当局が国内外の状況をどのように捉えているか、国内でどのような出来事が起きているかなどが、詳しく書かれている。例えば、米朝間の対話が進んでいる状況でも、講演提綱には「米国を信じてはいけない」「核開発を進める」などと書いてある、といった具合だ。

    これが海外に知られると当局としては都合が悪い。だから講演提綱は決して漏れてはならないものなのだが、頻繁に流出してしまう。北朝鮮当局の意図が外部にだだ漏れになってしまうことから、当局は対策に苦心してきた。

    (参考記事:北朝鮮、国内向け思想教育で「核大国」を強調…内部資料を入手

    講演内容を書き留めることを禁止する措置も取ってみたが、これではせっかく話した内容を覚えて帰ってもらえない。

    (参考記事:北朝鮮「思想教育講演会の内容をノートに取るな!」と指示したワケ

    お決まりの「公開銃殺」を含めた厳罰で対処してみたものの、一向に減る気配がない。ちょっとしたものでも高値で売れるからだろう。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    講演提綱は輸送が面倒だという理由もある。講演提綱は、中央党(朝鮮労働党中央委員会)の宣伝煽動部や、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総政治局が印刷して、各地に配布するが、輸送の過程で破損、盗難が起こりうる。

    今年7月、平壌市内の路上で、人民内務軍(民兵組織)8総局所属の兵士が持っていた講演提綱が、別の部隊の兵士に破られる事件が起きている。そこで、当局は紙の講演提綱は管理が面倒なので、USBメモリが良いと判断したようだ。

    ただ、紙からUSBメモリへの全面的な切り替えが行われているわけではない。それは、USBメモリも紙同様に流出する可能性があるからだ。

    実際、ある幹部の子どもが、講演提綱の保存されたUSBメモリに映画のデータを保存して友人に渡したが、それが複数の人の手を経て、他に流出してしまう事件が発生している。

    この事件のせいで当局者の間では『USBメモリの方が紙より流出しやすい』との話が出ており、内部資料を意図的に流出しようとしなくても、事故で流出してしまうことが多いとの懸念が示されたのだという。

    講演提綱は講演会終了後、講演会が開かれた単位(職場)の政治部や宣伝部で保管し、数カ月後に当局が回収することになっている。

    そもそも、USBメモリは、北朝鮮では固く禁じられている韓流ドラマ、映画の流通、視聴に広く使われている。小さくて取り締まりを受けても隠すことが容易だからだ。逆に言うと、内部情報を国外に持ち出すにも適しているということだ。

    (参考記事:メガヒット韓流映画「神と共に」を見た北朝鮮軍兵士が懲役刑

    前述したとおり、講演提綱の流出は携帯電話によって行われるが、それならばなぜ政治講演会に携帯電話の持ち込みを禁止しないのだろうか。

  • 「韓国に致命的な結果もたらす」対日問題で米の警告に韓国動揺か

    韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は18日の国政監査で、韓国政府が終了(破棄)を宣言した日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、「それもひとつの(安全保障のための)手段であるため、役立つ部分は明確にある」とし、「まだ機会は残っていると思われる」と述べた。

    これを受けて聯合ニュースは、「日本との交渉次第では、決定を撤回する可能性があることを示唆したものと受け止められる」と伝えた。同協定は11月23日午前0時をもって失効することになっているが、それまでは撤回の余地が残されている。

    韓国政府がGSOMIAの破棄を決定したのはそもそも、徴用工問題と絡み韓国に対する輸出規制措置を発動した日本をけん制するためだ。だから、日韓関係が何らかの形で改善すれば、決定が撤回される可能性は当初からあった。

    しかし日本政府は、輸出規制措置などで折れる姿勢をいっさい見せていない。ならば韓国側としても、破棄の撤回を積極的に示唆する状況ではないはずだが、別の部分で何らかの変化があったのだろうか。

    まず考えられるのは、米国からの圧力だ。この間、米国政府は韓国のGSOMIA破棄決定に対し、日本よりもよほど敏感な反応を見せてきた。それもそうだろう。日韓のGSOMIAは北朝鮮だけでなく、中国やロシアを念頭に置いた弾道ミサイル防衛を米国が構築する上で、なくてはならないものだからだ。

    それを知ってか知らずか、韓国政府は日本への当てつけとしてGSOMIA破棄を決め、米国の逆鱗に触れてしまった。たとえば、外交問題評議会(CFR)シニア・フェローで知韓派としても知られるスコット・スナイダー氏は米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対し、「GSOMIAは韓国と日本の2国間関係だけでなく、米国を含む3者の協力とも密接に関係しているだけに、これを解体しようとする行動は、韓国に致命的な結果をもたらす」と指摘している。

    文在寅政権が、こうした米国からの度重なる警告に、動揺を募らせてきた可能性は低くない。この問題以外にも、同政権と米トランプ政権との間では不協和音が響き続けており、同盟の行く末を憂慮する声は韓国政府内にも少なくないはずだ。

    (参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く

    実際、韓国政府の中でも国防省や国家情報院では当初から、GSOMIAは日韓対立と切り離して維持すべきだとの声が強かったとの話がある。それを、大統領と青瓦台(大統領府)が押し切ったというのである。

    だが、チョ・グク前法相の辞任などで、大統領と青瓦台は大きな打撃を受けた。もしかしたら青瓦台のパワー低下が、GSOMIA維持を望む「現実派」の発言力を強めているのかもしれない。

  • 北朝鮮「アフリカ豚コレラ検疫所」が風俗業に変身した理由

    韓国で猛威を振っている家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」(日本で発生している「豚コレラ」とは別のもの)。北朝鮮に面した地域で既に14例の感染が報告されている。また、この地域で見つかった野生のイノシシからアフリカ豚コレラのウイルスが発見されたことから、韓国軍はイノシシ駆除に乗り出している。

    確認はされていないが、ウイルスは中国から北朝鮮を経て、イノシシが媒介となり韓国で広がっているものと思われる。

    (参考記事:韓国でアフリカ豚コレラ発生の裏で、北朝鮮では山羊が大量死

    一方の北朝鮮。首都・平壌に病原菌が侵入することを防ぐ行政機関が、あろうことか風俗業に乗り出していたことが発覚、摘発されたと、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

    摘発されたのは、自動車衛生管理所だ。地方と首都・平壌を結ぶ道の途中に検問所を設置し、病原菌が平壌に持ち込まれるのを防ぐ役割をする一種の検疫所だ。同時に、汚れた車両が平壌に入り、美観を乱すことも防ぐ役割を果たしている。

    検問所では、トラックの検疫と同時に、洗車を行っているが、その費用は車両1台あたり4ドル(約430円)だ。ところが、1円でも節約したいトラックドライバーは、平壌に入る前に車を停めて洗車してから検問所を通過するようになった。困ったのは自動車衛生管理所だ。

    北朝鮮当局は、多くの機関に対して運営予算を交付せず、各機関が自力で予算を調達することを求めている。そればかりか、年間に一定額以上の上納金を納めることを要求している。当局が自動車衛生管理所に納めるよう指示したのは、年間2000ドル(約21万7000円)。

    困った自動車衛生管理所の所長が考え出した商売が売春だったというわけだ。若い女性を雇入れ、検問所を通過するトラックドライバーに声をかけて、20ドル(約2170円)から30ドル(約3250円)を受け取って売春行為を行っていた。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    ちなみに、平壌郊外にある間里(カルリ)駅の周辺には、数多くの売春宿が立ち並んでいるが、これは市内中心部とは異なり、取り締まりがゆるいことを利用したものだ。自動車衛生管理所も立地条件は似通っている。

    (参考記事:風俗街へと変貌を遂げた「金正恩の都」の北の玄関口

    自動車衛生管理所の売上がいかほどだったか、情報筋は言及していないが、やがて市民の間で「あそこは売春をしているらしい」との噂が広がったことを考えると、相当儲かっていたのだろう。

    ところがどういうわけか、保安署(警察署)はそんな噂を聞きつけても、なかなか動こうとしなかったという。市民の間で悪い評判がさらに広がったことで、ようやく地元の党委員会が検閲(監査)を行った。所長は自己批判書を書かされたらしいが、それ以上の処罰を受けたかどうかは確認されていない。

    郊外とは言え、平壌でイリーガルなビジネスを行うには、それなりの財力とコネが必要だ。この所長もおそらく、高官とのコネを使って、もみ消しを図ったものと思われるが、詳しいことは今のところわかっていない。

  • ある「美人女子大生」が金正恩に宛てた遺書の壮絶な中身

    ある「美人女子大生」が金正恩に宛てた遺書の壮絶な中身

    韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)によれば、北朝鮮の首都・平壌で8月中旬、21歳の女子大生が投身自殺する事件があったという。そしてその女子大生は自ら死を選択するに当たり、金正恩党委員長に宛てた手紙形式の遺書を書いていたという。

    平壌で貿易業に従事するLKPの消息筋によれば、この女性は、張鉄久(チャン・チョルグ)平壌商業総合大学の学生だったという。同大学は、レストランやホテルなど観光分野で働く人材の養成機関だ。卒業後は外国人が利用する高級ホテルなどに配属され、中国などの北朝鮮レストランで働く美人ウェイトレスたちも、多くがここの卒業生だ。

    そのため北朝鮮女性の間で非常に人気が高い大学であり、この女子大生も「才色兼備」の人材であったと想像できる。LKPの消息筋によれば、彼女の父親は軍の護衛司令部勤務だったというから、まさにエリート家庭だ。

    しかし、今回は父親の経歴が悲劇の発端になったようだ。

  • 女性芸能人の「公開処刑」見学を強制…金正恩氏の消せない過去

    10月10日の世界死刑廃止デーに際し、各国の人権団体が北朝鮮当局による人権侵害に対し非難の声を上げたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    RFAによれば、アムネスティ・インターナショナルの死刑制度の専門家であるキアラ・サンジョルジオ氏は、次のようにコメントしている。

    「北朝鮮では、明白な証拠や弁護人もなしに死刑が速やかに宣告されているとの脱北者証言と、関連資料があります。それだけでなく、時には北朝鮮の国内法上も死刑に当たらない軽微な事案においても公開処刑が執行されていることを、強く憂慮しています」

    またRFAによると、ロンドンに拠点を置く世界基督教連帯は、北朝鮮では聖書を持っていただけで処刑されることもあると指摘している。

    北朝鮮におけるこのような実態は、恐怖政治によって国民を統制している金正恩党委員長の権力構造と直結するものだ。核と大陸間弾道ミサイルをカードにうまくトランプ米大統領との関係を築き、なんだか世界のメジャーな国家指導者の仲間入りを目前にしているかのような金正恩氏だが、公開処刑を乱発してきた経歴がある限り、国際社会から温かく迎える日は決して来ないだろう。

    特に、祖父や父親をもしのぐ残忍な処刑方法が捕捉されている事実が、金正恩氏のそのような運命をいっそう強く決定づけていると言える。

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    米国の人権団体、北朝鮮人権委員会のグレッグ・スカラチュー事務総長はRFAの取材に対し、北朝鮮が大口径の高射銃を使って公開処刑を行っていた事実に言及している。これは、衛星写真によってその状況が確認されているものだ。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

    また、2013年8月に銀河水管弦楽団と旺載山(ワンジェサン)芸術団のメンバーら9人の公開処刑が行われた際には、最前列で「見学」することを強制された女性芸能人の中に、失禁しなかった女性はいなかったと言われる。

    (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー

    今後、金正恩氏が国際社会に何をアピールしようとも、こうした過去が消えることは決してない。果たして本人はそのことを、どのくらい深刻に認識しているのだろうか。

  • 金正日をズタズタに…北朝鮮「消えた一家」の危険なウワサ

    金正日をズタズタに…北朝鮮「消えた一家」の危険なウワサ

    北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)で、夫婦と子ども2人の家族4人が忽然と姿を消す事件が起きた。その後も行方知らずの状態が続いているが、町ではこの家族がなぜ消えたのかについて「ある噂」が立っていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    家族の夫は、羅南(ラナム)陶磁器工場に運転手として籍を置きながら、実際は出勤せずにガソリン販売で生計を立てていた。無断欠勤は有罪だが、上役にワイロまたは罰金を支払うことで堂々と欠勤できるという「制度」を利用したものだ。そこそこ儲かっていたようで、家族は3階建ての家を建てて暮らしていた。

    (関連記事:北朝鮮、理不尽な「罰金制度」が慣習に 欠勤の罰金として給料数ヶ月分

    ところが、今年7月の末ごろ、家族は突然姿を消した。住民の移動を把握する役割を担う人民班長(町内会長)ですら、どのような事情があったのか見当がつかないと言っているという。

    やがて、こんな噂が立ち始めた。

    「息子のせいで家族は反動分子にされて、政治犯収容所に連れて行かれたらしい」

    この息子は、知的障害を抱えていた。北朝鮮で障碍者は単に冷遇されるにとどまらず、追放の対象になる。金日成主席がかつて優生思想に基づき「(障碍者を指して)あのような種が広がるのは良くない。1カ所に集めろ」との指示を下したと言われている。また、金正日総書記は「障碍者が革命の首都平壌にいると、外国人に不快な印象を与えるから、追放せよ」との指示を下したとの話がある。

    障碍を持った娘のせいで一家全員が平壌から追放されそうになったため、娘だけを郊外の祖母の家に送ったという脱北者の証言もある。彼女は、祖母の家から一歩も出ず学校も通えないまま、家で針仕事をして祖母の面倒を見ながら生計を立てていたという。

    (参考記事:障碍者という理由だけで追放される「革命の首都」平壌

    しかし、今回の「追放」は、息子が障碍者であることが直接の原因ではない。

    夫婦は商売に忙しく、息子の面倒を見る時間がなかったため、市場にいたコチェビ(ストリート・チルドレン)を雇い、息子の世話をさせていた。留守の間に何か問題を起こすのではないか、夫婦は常にヒヤヒヤしていたが、その予想が的中してしまった。

    息子が、壁にかかっている金日成主席と、金正日総書記の肖像画をむちゃくちゃにし、「3大偉人」(金日成氏、金正淑氏、金正日氏)のカレンダーをハサミで切ってしまったのだ。

    北朝鮮で最も神聖なものとされるのが、最高指導者に関連するすべてのものだ。肖像画を災害や事故から救うために、命を投げ出した人は称賛される一方で、傷つけたりした場合は、重大な政治犯罪に問われる。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    コチェビはすぐ保衛部(秘密警察)に通報した。家に駆けつけてきた保衛部は、ゴミ箱からズタズタになった3大偉人のカレンダーを発見し、一家は夜中に連れ出され収容所送りになったというのが、噂の内容だ。

    一方で、「カネ持ちだから捕まった」と見る人もいる。北朝鮮では、いくらカネを持っていても暮らしぶりから気づかれないようにするものだ。ワイロや募金をせびられたり、財産を奪おうと悪事を働く保安員(警察官)、保衛員(秘密警察)、幹部のターゲットになりかねないからだ。そんなリスクを犯して、この一家が3階建ての家を建てた理由は不明だ。

    (参考記事:「将軍様の肖像画」と一緒に高校生を溺死させる北朝鮮の思想教育

  • 金正恩氏は「喜び組アンダーウェア」、富裕層はブランドバッグ…制裁下の北朝鮮

    「本当の金持ちはシャネルを好む。(金正恩党委員長夫人の)李雪主(リ・ソルチュ)氏もシャネルが大好き。私の妻はバッグ、化粧品はもちろん、パジャマまでシャネルだ。もちろん偽物ではない。触ってみればすぐにわかる(中略)平壌には存在しないブランド品はほとんどないが、意外なことに『ルイ・ヴィトン』は少ない。偽物なら多いが」

    チュ・ソンハ著『平壌資本主義百科全書』より。

    人名が出ていなければ、一体どこの国の話かわからないが、これは紛れもない北朝鮮での話だ。

    国際社会の制裁で深刻な不況に苦しめられている北朝鮮だが、富裕層の消費動向にはさほど影響が出ていないようだ。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、トンジュ(金主、新興富裕層)の高級ブランド品志向について伝えた。

    平壌郊外にある北朝鮮随一の卸売市場、平城(ピョンソン)市場のバッグ売り場には、女性用、男性用問わず高級バッグが山積みにされている。金持ちは自慢するかのようにバッグを手にとって選んでいるのだとか。

    北朝鮮の市場では、物が売れなくなったことで、商人の数が激減しているというが、富裕層を対象にした売り場は不況など「どこ吹く風」のようだ。金持ちは相変わらず、財力を見せつけるかのように高級バッグを購入し、周囲の人々は眉をひそめている。

    (参考記事:北朝鮮の市場に異変「商人の数が激減している」

    「丸一日商売したところでいくらも稼げない商人も多いというのに、一方ではコメ100キロ以上買えるほどの値段のバッグをあれこれ選ぶ人もいて閉口する。野菜や雑貨を売っている人たちは、そんな金持ちを睨みつける」(情報筋)

    国連安全保障理事会が2006年に採択した制裁決議1718号には、ぜいたく品の北朝鮮への輸出を禁じる条項があるが、禁輸品目が明示されていない。一方、欧州連合(EU)は2017年11月の独自制裁で北朝鮮へのぜいたく品の輸出を品目を明示した。それでもあまり効果がなく、北朝鮮国内ではあいかわらずぜいたく品が売買されている。

    たとえば英紙デイリー・メールは以前、金正恩党委員長が「喜び組」のために、多額の金を費やして「セクシーアンダーウェア」を輸入していると報じたことがある。

    (関連記事:金正恩氏が大金をつぎ込む「喜び組」の過激アンダーウェア

    ぜいたく品は密輸されているケースもあるが、海外を訪れた人が友人から頼まれて高級ブランド品を持ち帰るケースもあるという。それらが市場に直接流入することもあれば、使ってはみたものの気に入らなかったとの理由で市場で売り払うこともあるようだ。ちなみに平壌では新品、地方では中古品がよく売れるそうだ。

    当局は、非社会主義、反社会主義現象の取り締まりと称して、ヘアスタイルやファッションの取り締まりを行っているが、富裕層の高級ブランド品に関しては口うるさく言わないようだ。

    ぜいたく品を扱っている国営商店は、当局が富裕層のタンス預金から外貨を使わせるためのものだ。また、市場でぜいたく品を売る側も買う側も、バックに高級幹部がいる可能性があるため、下手に取り締まろうとすると、どんなしっぺ返しを食らうかわからないという事情もあるのだろう。

    (参考記事:金正恩氏の「風紀取り締まり」に北朝鮮庶民が強く反発

  • 竹島問題を巡る韓国・北朝鮮の「自爆行為」と日本の自制心

    竹島問題を巡る韓国・北朝鮮の「自爆行為」と日本の自制心

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は8日、日本が「わが民族の領土である独島(竹島)を自国の領土であると強弁を張っている」と非難する論評を配信した。

    北朝鮮メディアは何かある度に同じような論評を出しているのだが、今回は日本の2019年版防衛白書に反発する内容だ。そこには、次のような記述がある。

    「看過できないことは、今年の防衛白書に独島上空で武力衝突が発生する場合、航空『自衛隊』戦闘機のスクランブルがありうるという文言を初めて明記したことである。(中略)

    独島上空への『自衛隊』戦闘機のスクランブルを通じて武装衝突を挑発し、それをきっかけにして20世紀に遂げられなかった『大東亜共栄圏』の昔の夢をなんとしても実現しようとする日本の野望はとうとう危険極まりない実行段階に入った」

    しかし実際のところ、防衛白書には、この論評が指摘したような「文言」は「明記」などされてない。正確には、「領空侵犯に備えた警戒と緊急発進(スクランブル)」について解説した3ページにわたる項の最初と最後で、次のように述べているまでだ。

    「空自は、わが国周辺を飛行する航空機を警戒管制レーダーや早期警戒管制機などにより探知・識別し、領空侵犯のおそれのある航空機を発見した場合には、戦闘機などを緊急発進(スクランブル)させ、その航空機の状況を確認し、必要に応じてその行動を監視している。さらに、この航空機が実際に領空を侵犯した場合には、退去の警告などを行う」(273ページ)

    「年7月には、中国H-6爆撃機2機及びロシアTu-95長距離爆撃機2機が、日本海から東シナ海までの長距離にわたる共同飛行を実施した。また、Tu-95長距離爆撃機の飛行を支援していたとされるロシアA-50早期警戒管制機1機が、島根県竹島の領海上空を侵犯する事案が生起した。その際、韓国の戦闘機が当該ロシア機に対し警告射撃を行った。わが国は、領空侵犯を行ったロシア政府及びロシア機に対し警告射撃を行った韓国政府に対して外交ルートを通じて抗議した」(275ページ)

    ひとつの項でこれら2点に言及しているのを見れば、「竹島上空に外国機が来たらスクランブルするぞ」と示唆しているようでもあるが、敢えて離して記述したとろころ見ると、敢えて言明を避けたと言えば言えるだろう。

    ではなぜ、KCNAの論評はこんな内容になっているのか。執筆者はまず間違いなく、インターネットで誰でも見ることのできる防衛白書の閲覧を許されていない。その代わりに、防衛白書の同じ部分について報道した韓国メディアの記事を読んだのだろう。

    たとえば東亜日報(日本語版)は9月28日付で、「日本、独島上空での衝突時に戦闘機出撃の可能性示唆」と報じており、他のメディアも同様の伝え方をしている。「示唆」としているところが、KCNAと違って正確だ。

    ちなみに韓国軍制服組トップの朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長は8日の国政監査で、与党議員から「日本の戦闘機が独島(竹島)上空など韓国領空を侵犯した場合はどう対応するか」問われ、「定められたマニュアルに従って断固たる立場を示す」と答えている。

    公の場で軍の制服組トップがこのような質問をされたら「断固たる立場を示す」と答えるのは当たり前であり、むしろ聞くまでもないことと言える。おそらく前述した韓国メディアの報道に触れた与党議員は、こうした質問を軍にぶつけることで、自らのいわゆる「愛国心」を有権者にアピールしたかったのだろう。

    厄介なのは、ここから「断固たる立場とはどのようなものか」という議論が転がり出てくる可能性があることだ。現実に責任を持たない無責任な世論は、韓国軍に無理難題を押し付けてしまいかねない。

    日本にも、同じような危険がある。これまで自衛隊が竹島上空へのスクランブルを控えてきたのは、まさしく「自制心」のなせる業だろう。しかし、北朝鮮や韓国でこのような騒ぎがひっきりなしに沸き起こると、日本としても「自制心」を試されることになりかねないだろう。

    そうなれば、北朝鮮も韓国も、そして日本も、今よりさらに大きな安全保障上の負担にさらされる。まさに自爆行為だ。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    これこそが、ナショナリズムを背景にした関係悪化の怖い所だ。

  • 「北の潜水艦探知で致命的」韓国のGSOMIA破棄に米国から懸念

    「北の潜水艦探知で致命的」韓国のGSOMIA破棄に米国から懸念

    韓国政府の「終了(破棄)」決定により、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が11月22日に失効する流れとなっていることに対し、米国の専門家からなおも懸念の声が上がり続けている。

    特に、北朝鮮が新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試射を行ったことで、対潜水艦作戦におけるGSOMIAの重要性が指摘されている。

    「韓国の主張ではダメ」

    米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は9日、「GSOMIAの終了は、(対潜水艦)作戦の側面で、米韓日の3国すべてに致命的なダメージを与える」とするジェームズ・ホームズ米海軍参謀大学の書面インタビューを伝えた。

    ホームズ氏は「(GSOMIAの失効を受けて)ソウルと東京が米国を経由して情報交換を行うなら、我々は時間の無駄と錯誤、作戦の非効率性に見舞われ、それは韓国と日本、米国のいずれにも不利益をもたらす」と指摘。また、「対潜水艦作戦は水中で行われるために、技術的・科学的に難しい特性がある。水中にいる標的を探知して追跡することだけでなく、(3カ国の)対潜部隊間の通信も、それぞれの上層部間で意思疎通を図るのも難しい」と強調している。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    さらに同氏は、北朝鮮の潜水艦を侮り過ぎないよう警鐘を鳴らしている。

    「我々は、我々の対潜水艦戦能力について自信過剰になるべきではない。確かに、北朝鮮の潜水艦が比較的老朽化していることは事実だ。しかし冷戦後、もう二度と海中で(旧ソ連海軍のような)深刻なライバルと対峙することはないと信じた米海軍が、対潜水艦戦能力を衰退させたことも事実なのだ」

    つまり、対潜水艦戦におけるこうした不確実性を最小化するためにも、GSOMIAを通じた日米韓の円滑な情報共有と意思疎通が重要であるというわけだ。

    この点の重要性については、イアン・ウィリアムズCSISミサイル防衛プロジェクト副局長もVOAで同様の指摘をしている。同氏によれば、1982年にイギリスとアルゼンチンが戦ったフォークランド紛争においても、アルゼンチン軍の旧式潜水艦は騒音が非常に大きかったにも関わらず、英国海軍はこれを容易に探知できなかったとされ、北朝鮮の潜水艦を巡っても同様の状況が起きうるとしている。

    こうしたリスクを低減するためにも日米韓の情報共有は必須であり、また日頃からの訓練を通じた意思疎通の円滑化も大事だ。

    ちなみに日米韓は日韓がGSOMIAを締結した後の2017年4月、韓国・済州島の近海で初の合同対潜作戦演習を実施している。VOAの取材にコメントした米ハドソン研究所の村野将(ムラノ・マサシ)研究員は、GSOMIAが失効すると、こうした取り組みも法的根拠を行う可能性があると指摘している。何故なら、韓国政府がGSOMIA失効の穴埋めになると主張している日米韓の「情報共有に関する取り決め」(TISA)は、対象となる情報が北朝鮮の核とミサイルに限定されているためだという。

    (参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く

  • 北朝鮮が「男女の不倫関係」を摘発…あるジャガイモ農場での出来事

    北朝鮮が「男女の不倫関係」を摘発…あるジャガイモ農場での出来事

    北朝鮮当局は昨年初めから、非社会主義的行為の取り締まり――要するに風紀取り締まりに力を入れているが、その対象は男女の不倫関係にも及んでいる。

    最近、取り締まりの舞台となったのは、北朝鮮の北部山間地にある両江道(リャンガンド)の白岩(ペガム)郡だ。平均海抜は1550メートルで朝鮮半島全体で最も高く、冬は極寒の地だ。農耕に適しておらず、住民は長らく極貧生活を強いられていた。

    そんな地を大きく変えたのは、金正日総書記が提唱した「ジャガイモ革命」だ。ジャガイモの一大産地となった両江道(リャンガンド)大紅湍(テホンダン)だ。稲作ができない荒れた土地が広がっていたこの地を開墾、ジャガイモ農場を作らせ、大成功させたというものだ。

    (参考記事:ジャガイモ大豊作も浮かない表情の北朝鮮の農民

    国際社会の制裁で食糧不足が伝えられ、ジャガイモの重要性が増す中、北朝鮮当局は高級幹部を農場に送り込んだ。ジャガイモ栽培の陣頭指揮を取るのが目的だ。農業のことを農民に任せず、中央の官僚が指揮を取るのは、ソ連型の計画経済システムの名残りだが、幹部は仕事そっちのけで贅沢三昧にひたり、挙句の果てには不倫をしていたことが判明し問題になっていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    高級幹部らが農場にやってきたのは今年春のことだ。当局は、農場に負担がかからないようにと彼らに食糧を配給したが、幹部らは農場に豚肉、魚、卵を出せと要求した。そればかりか、宿舎には管理人を置き、掃除と洗濯をさせろとの要求も突きつけた。

    情報筋は詳細に触れていないが、仕事そっちのけで毎晩毎晩宴会を繰り広げていたのだろう。農場はあいつぐ台風の襲来で被害を受けているが、その復旧で忙しいのに幹部の接待に農民を動員せざるを得ない状況だったという。

    (参考記事:「ある母子の貧しさゆえの悲劇」台風18号、北朝鮮でも洪水被害

    仕事もせずに農場に迷惑をかけるばかりの幹部に対して当然のことながら批判の声が上がったが、そんな中で中央党(朝鮮労働党中央委員会)による調査が始まった。それも、身内からの密告によるものだった。

    農場に派遣されたある幹部は、半年に及ぶ派遣期間の間、一度たりとも平壌の自宅に戻らず、電話一本入れなかった。やがて不倫をしているのではないかという噂が立ち始めた。それを聞きつけた妻は、離婚を決心した上で、中央党に信訴(通報)の手紙を送ったという。

    調査の結果、この幹部は農場で働く20代女性と不倫関係にあることが判明した。北朝鮮当局は、「家族は革命的であれ」などと言った高邁な理想を掲げてはいるものの、実際には不倫や、上下関係を利用して女性に性上納を強いる行為などが横行している。

    (参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

    中央党は訴えを受けて、現地で幹部の行動を調査した上で、批判書の作成を指示した。今後、思想闘争(集団批判を受けるなどの厳しい思想教育)を受けるものと思われる。また、近日中に更迭されるとのことだ。

    平壌の機関に勤める幹部が問題を起こした場合、更迭された上で平壌から追放され、山奥の農場などの閑職に追いやられる。問題が政治的なものであれば、収容所に入れられることもある。妻は、自分自身や子ども、実家に累が及ぶのを避けて離婚するのが一般的だ。中には、当局から離婚を勧められることもあるという。

    (参考記事:男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる

  • 金正恩氏が「処刑した叔父」を懐かしむ声が聞こえてきた

    張成沢(チャン・ソンテク)。金正日総書記の妹、金敬姫(キム・ギョンヒ)氏の夫で、かつては絶大な権力を誇っていた。ところが2013年12月、金正恩党委員長により処刑された。

    彼氏の粛清に際しては、愛人の元トップ女優をはじめ、一説に1万人もの人々が連座させられた。

    (参考記事:【写真】女優 キム・ヘギョン――その非業の生涯

    それから6年。平壌の高位幹部の間ではこんな話が漏れ聞こえてくるという。

    「張成沢がいた頃は、カネをバラマキながら事業を進める者が多かったのに」
    「張成沢が経済政策を主導し続けていたらどうなっていただろう」

    かつては粛清に巻き込まれることを恐れ、その名前を口に出すことすらはばかられた張成沢氏のことを、親しい間柄での会話に限られるとはいえ、懐かしむ声が上がっていると、北朝鮮の高位幹部がデイリーNKの取材に語った。

    (参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

    張成沢氏が進めていた経済特区、外資の誘致、中朝貿易の拡大などが続けられていたら、経済状況は今よりずっとマシになっていただろう、という趣旨である。

    張成沢氏が進めていた経済特区には、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)市郊外にある黄金坪(ファングムピョン)や威化島(ウィファド)がある。中国に食い込んだ中洲という地の利を生かし、開発が進められようとしていたが、その矢先に張成沢氏が処刑され、計画が頓挫してしまっている。

    (参考記事:【写真レポート】田植え戦闘真っ盛りの北朝鮮経済特区「黄金坪」

    別の平壌の情報筋は、高位幹部のみならず商人の間でも張成沢氏を懐かしむ声が上がっていると伝えた。

    「張成沢の存在は大きかった」
    「当時はカネのある人がドル札を気前よくばらまいていたが、今では商売上がったりだ」

    国際社会の経済制裁により、主力輸出品だった鉱物資源や海産物の輸出ができなくなったことで、北朝鮮に流入する外貨が減っていると伝えられているが、国全体のカネのめぐりが悪くなり、深刻な不況として現れている。かつては賑わっていた市場も、商人の数が激減、食べ物などの日常品以外は売れないという。

    (参考記事:北朝鮮の市場に異変「商人の数が激減している」

    そんな中で上がる張成沢氏を懐かしむ声。一般庶民は、彼の具体的な経済政策については知らなくとも、市場経済の進展については肯定的な役割を果たしたと認識しているようだ。

    「一般庶民は経済がなぜよくないのが詳しいことはわかっていないが、それなりの人なら外貨が減ったことが(経済難の)最も大きい理由だと見ている。そのため、張成沢に繋がっていた人々が外国からカネを引っ張ってきて、市場にばらまいたおかげで当時は景気がよかったと考えている」(情報筋)

    当局は、現在の経済的苦境が国際社会の制裁によるものだと宣伝している。それは決して間違っていないが、それのみならず外資の誘致や経済特区に対する消極的態度が経済をより悪化させていると見方をしているということだ。

    韓国のNGO・脱北者同志会の徐宰平(ソ・ジェピョン)事務局長はデイリーNKの取材に対し「北朝鮮で商売がうまくいっていないという話があちこちから聞こえるのは事実」とし、「ただし、張成沢氏がどんな役割を果たしていたのか知っているのは一部の高位幹部に限られていることを考えると、このような話は権力を持った党幹部または資本を持ったトンジュ(金主、新興富裕層)など上層部から出た話だろう」と分析した。

  • 「公開処刑」でも止められない北朝鮮国民の占い中毒

    北朝鮮の刑法には、こんな条項がある。

    第256条(迷信行為罪)

    金または物を受け取って迷信行為をした者は、1年以下の労働鍛錬刑に処す。前項の罪状が重い場合には、3年以下の労働強化刑に処す。

    この「迷信」とは占いのことを指す。さらに、刑法附則11条は、罪状が非常に重い者、全く悔悛してしない者に対しては、無期労働刑(無期懲役刑)か死刑を適用できると定めている。占いをしたからという理由だけで死刑になりうるということだ。終末論を流し人心を惑わせるなど、占い師は北朝鮮の体制を脅かす要素と見られているためだ。

    実際、北朝鮮当局はごく最近にも、占いを行った女性らを公開処刑している。

    (参考記事:北朝鮮でまた公開処刑…女性2人を銃殺「占いしたから」

    それでも、国際社会の制裁で経済が苦しくなり、未来が不透明になる中、占いにすがろうとする人が後をたたない。デイリーNKは、平壌市民2人とインタビューを行い、最新の「占い事情」について聞いた。

    首都平壌でも占いをする人がいるが、平壌居住者ではなく、地方からやって来て一時的に平壌の知人宅などに滞在し、占いをする人もいる。一方、地方に住む占い師にとって、可処分所得の多い平壌市民を顧客にするのは魅力だが、リスキーであるため、長期間は滞在しないようだ。

    顧客には一般庶民もいるが、幹部やその妻が多いとのことだ。経済的に余裕がある上に、政治情勢に地位が大きく左右されることから、不安感を少しでも解消するためと思われる。

    (参考記事:【動画】北朝鮮国内で密かに行われている「占い」の現場

    ー迷信行為をする人は多い?

    平壌市民A「迷信をする人は平壌にも多い。チュチェ(主体)思想なんて信じても何にもならない。天から何かが降りてきて話をするらしいが、平壌には占い師はおらず、地方から平壌にやって来る。自分の住んでいるところではやらず、よそに行ってやる。咸鏡道(ハムギョンド)からも来るし、いろんな所からやって来る」

    平壌市民B「よそから平壌に来た人が占っている。平壌に友人、親戚、知人がいれば、そこで占いをする」

    ー迷信行為に対する取り締まりが厳しくなっているというが?

    平壌市民A「親しい人には占い師が来たと知らせるが、知らない人に話すと信訴(通報)される。もちろん取り締まりにひっかかる人もいる。しかし、保安員(警察官)は占い師を取り調べているうちに、占い師の言葉に惹かれて信じるようになってしまう。占い師が保安員に『何か起こるから家内安全で』と告げたらしいが、それが噂になってついには所長の耳に入り、連れてこさせて運勢を見たらしい。そうやってだんだん信じるようになる」

    ー見てもらったことは?

    平壌市民A「先日、友人から『早く家に来てみろ』と言われ行ってみたら占い師がいた。初めて会う人だったが『占うなら10万北朝鮮ウォン(約1300円)を払え』と言われたので、友人が『その程度なら』とカネを払った。言われたとおりに名前と生年月日を書いて渡したところ、本当によく当たった。(友人の)家族は『10月にどこか他の場所に行くことになるだろう』と言われたが、本当に11月にそうなった」

    平壌市民B「運勢を見てくれるところが多い。庶民は『食べるものがない、死んでしまいたい』と言いながらも、運勢を見てもらい、それがよく当たるのでビックリしている。その占い師は、幹部が持ってきたカネを火にくべて占っていた」

    (参考記事:ある北朝鮮の「占い師」が辿った数奇な運命

    ー占ってもらうのは主にどんな人?

    平壌市民A「幹部やその妻が多い。私達のような一般庶民は毎日平凡な暮らしをしているが、幹部は発展のある(置かれた状況の変化が大きい)人たちだから。心の中は苦しいのではないか。平壌には(粛清の風が吹き荒れれば)あっという間にクビが飛ぶような人が多いから、未来のことが気がかりで占いをするのではないか。『うちの夫はクビにならないか』『これからも豊かな暮らしができるか』ということを聞くらしい。ある幹部の妻は、夫の写真を持ってきて名前と生年月日を告げて、占い師にすがるように話を聞いていた」

    平壌市民B「若い人たち、商人、出世するかもしれない幹部やその妻がよく来る。未来のことが気がかりなのは幹部だから。幹部は今後が不安で、経済も苦しく、カネもどんどんなくなり、締め付けが厳しくなる中で、どうすれば出世できるかを聞きに来る」

    (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー

  • 福島への態度と矛盾…韓国政府「被ばく調査結果」隠ぺいの疑い

    韓国政府が、脱北者の放射線被ばくを隠していたのではないか、との疑いが浮上している。

    韓国紙・朝鮮日報が2日付で伝えたところでは、韓国統一省が昨年9月、北朝鮮の核実験場がある咸鏡北道(ハムギョンブクト)の豊渓里(プンゲリ)周辺出身の脱北者10人を対象に被ばく線量の調査を行ったところ、5人の被ばくの痕跡が「染色体異常」の判断基準に当たる250ミリシーベルトを上回ったという。中でも48歳の女性は、「発がん確率の急上昇」に該当する1386ミリシーベルトという結果が出たという。

    この結果について、同紙にコメントしたKAIST(韓国科学技術院)のチョン・ヨンフン教授は「数百ミリシーベルト以上の数値は、日常生活では絶対に出ることはあり得ない」「かつて米国ネバダ州などで核実験を行っていた当時も、これほど高い数値は報告されなかった」などと指摘している。

    それにもかかわらず、統一省はこの結果を公表してこなかった。同紙は「韓国政府が、ソウルと同水準(年間1ミリシーベルト)の福島の放射能問題を絶えず取り上げているのとは相反する態度だ」と批判している。

    今回明らかになったのは、野党・正しい未来党のチョン・ビョングク議員の事務所が、統一省に提出させた資料に基づいて発表したためだ。

    統一省関係者は、前々回の2017年に検査を行ったときに、「放射線被ばくと核実験との因果関係はない」との結論に達し、今回も同様の結果に達したので発表しなかったと説明しているとのことだが、前述したチョン教授の指摘を考えれば苦しい言い訳に聞こえる。

    豊渓里は、福島よりもよほど韓国に近い。国民の安全を考えるなら、韓国政府は当然、北朝鮮に対して放射能漏れなどの調査を要求すべきだ。それをしないのは、南北対話を何が何でも進展させたい文在寅政権の「政策」が優先だということではないのか。

    ちなみに豊渓里近くには、悪名高き政治犯収容所「16号管理所」(化成〈ファソン〉収容所)が存在し、ここに収容された政治犯が、核実験施設で防護服なしで強制労働させられていたという情報があるのだ。収容所の警備兵出身で脱北者の安明哲(アン・ミョンチョル)氏は、「若くて元気な政治犯たちがトラックに乗せられ、『大建設』という名目で核実験施設に連れて行かれた」と証言している。

    北朝鮮の拘禁施設では人権侵害が横行しており、人命が信じられないほど軽く扱われている。

    (参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

    だが、現政権の「政策」を優先するあまり国民の安全を顧みず、放射能汚染について韓国政府が矛盾した態度を取り続けるならば、北朝鮮のやっていることと本質的にどれほどの差があると言えるだろうか。

  • 北朝鮮軍「モラル崩壊」でドロボー軍隊化が止まらない

    北朝鮮軍「モラル崩壊」でドロボー軍隊化が止まらない

    全世界で最も長いと言われている北朝鮮の兵役。その期間は10年にも及ぶ。それだけあって、兵士の数も桁外れに多い。米国務省の報告書によると、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の2006年から2016年までの年平均の兵員数は116万人で、総人口(2500万人)に占める兵士の割合も4.8%と世界で最も高い。

    そして毎年、数多くの兵士が兵役を終えて民間に戻っていくが、北朝鮮当局はこれと言った手当を支給していない。それが、民間人に大きな被害をもたらす結果を生んでいることを、 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    その場所は、北朝鮮北東部にある咸鏡北道の清津(チョンジン)。郊外には、数多くの副業地が存在する。副業地とは、不足する国からの食糧配給を補うために、軍部隊が独自に開墾した畑だ。ところが、その周辺にある協同農場で働く農民が切り開いた畑が荒らされ、作物が盗まれる事件が相次いでいる。

    協同農場では、任された土地を責任を持って管理し、収穫の一部を国に納め、残りを自分のものにできるという「圃田担当制」が施行されているが、これがうまく働かず暮らしていけない。そのため、個人用の畑を作って作物を市場で売ることで現金収入を得ている。

    (参考記事:北朝鮮の協同農場、農民に土地を有料で貸し与える

    そんな畑に、副業地で働く兵士たち、とりわけ除隊を控えた兵士たちが、農作業の合間を縫って、あるいは夜中に忍び込み、トウモロコシやトウガラシを大量に盗んでいくのだ。それも、牛車に積んで行くほど大量にだ。

    「除隊を控えた兵士たちは何も恐れず、畑をすべてひっくり返してトウモロコシを盗んでいく」(情報筋)

    彼らは、盗んだ作物を市場で売り払って現金化し、除隊後の生活資金としてためておく。中には、高く売れるからと、盗んだトウモロコシを茹ででから売りに出す者もいるほどだ。

    (参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

    作物を盗まれ貴重な現金収入源を失った農民たちだが、兵士の盗みを目撃しても何も言えず、黙っているしかない。

    北朝鮮では、兵士の犯した犯罪は保安署(警察署)ではなく、警務隊(憲兵隊)が処理する。兵士に作物を盗まれたからと保安署に通報しても、権限がないために何もできない。だからといって、警務隊に押しかけていっても門前払いされるだけだ。

    兵士らは、個人の畑だけをターゲットにし、協同農場は狙わない。かつては、協同農場も同様の大量窃盗の被害に悩まされていた。しかし、今では上級機関に信訴(不正行為の告発)することで対処している。下手をすれば処罰されかねない。もちろん、個人でも信訴することは可能だが、コネや権力がなければ訴えを取り上げてもらうのは容易ではない。そういうこともあって、個人の畑を狙うほうがより安全なのだ。

    (参考記事:経済制裁に苦しむ北朝鮮で「牛泥棒」が横行する理由

    軍当局は、兵士の窃盗を防ぐために、副業地の近隣では軍服を来て行動すること、銃器の携帯や勝手な行動はしないこと、などの指針を下してはいるが、現場の兵士たちが気に欠ける様子は一向にない。それどころか、窃盗に罪悪感など全く持たず、「除隊の準備はうまく行っているか」「どこそこに行けば儲けがあるぞ」などといった会話を交わす有様だという。

    窃盗は犯罪だが、兵士たちにも他人様のものに手を出さざるを得ないそれなりの事情がある。

    朝鮮人民軍は、兵士の除隊に際していくばくかの食糧を渡すだけで、退職金の類は一切支給しない。その貴重なコメを両親に食べさせようと空腹をガマンし、乗っていた列車の立ち往生で到着が遅れ、餓死した兵士もいるほどだから、その量は推して知るべしだ。

    (参考記事:北朝鮮「列車に乗っていたら飢え死に」その理由は

    国境警備隊に配属になれば、脱北や密輸をする人から受け取るワイロを溜め込んで、除隊後の生活資金にできる。また、大都会の近くに駐屯する部隊に配属されたら、市場で何らかの商売ができる。ところが、兵士のほとんどが送り込まれる部隊は山奥にあり、現金収入のチャンスはないに等しい。

    農民の畑で盗みを働き、生活資金を工面しておかなければ、豊かな生活はおろか、生きていくことすら難しいのだ。

    (参考記事:30代男性にガソリンをかぶらせた北朝鮮の「貧困と絶望」

  • 「革命の道具」として使われる北朝鮮の女性たち

    提綱「女盟員たちが社会公衆道徳を自覚的に守ることについて」(画像:デイリーNK)
    提綱「女盟員たちが社会公衆道徳を自覚的に守ることについて」(画像:デイリーNK)

    かつては女性政策が進んでいると言われていた北朝鮮。現在の北朝鮮政府の前身にあたる北朝鮮臨時人民委員会は、1946年7月に女性の選挙権、被選挙権の保障、強制結婚の反対、離婚の自由、養育費訴訟権の認定、一夫多妻制の否定などを謳った「朝鮮男女平等権法についての法令」を発表した。またその後、女性をジェンダーロールから解放するための様々な施策を行った。養育や家事の社会化がその一つだ。

    それから70数年。女性の地位は向上した部分もある一方で、依然として改善されていない部分もある。そんな現状が、北朝鮮の思想教育にも反映されている。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    デイリーNKは、平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋を通じて、朝鮮社会主義女性連盟(女盟)がメンバーを対象にして行った講演会の提綱(レジュメ)を入手した。題名は「女盟員たちが社会公衆道徳を自覚的に守ることについて」だ。

    「女性の社会主義道徳確立の必要性を説き、資本主義の弊害が生活に浸透することを防ぐ」ことを目的としたこの講演会だが、言い換えれば風紀取り締まりだ。提綱の内容は次のようなものだ。

    「女性がいくら容姿が美しく、知識レベルが高くとも、公共の場で分別のない行動を行い、自分が楽するだけならば、文明的でない行動だ」

    「道徳的に低劣な軍隊が闘いで勝てないように、道徳が欠如した社会は脆弱なものだ」

    「社会に道徳規律を確立するための思想を強調し、社会主義文明建設を推し進めていくことは、社会主義の本来の姿を守り、革命隊伍の一心団結を盤石に固めるために重要な要求」

    これは、昨年から始まった非社会主義、反社会主義現象の取り締まりの一環として行われているようだ。北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞が今年5月25日に掲載した社説「全社会に美しく高尚な道徳気風を徹底して確立しよう」には、一連のキャンペーンを行うに当たっての、北朝鮮当局の現状認識がわかりやすく現れている。

    「今、帝国主義者どもはわが共和国を中から崩すために悪辣に策動している。制裁封鎖の度数を高めることと同時に、腐ったブルジョア道徳と生活様式を突きつけ、人々の精神状態を壊し、わが国内部に不和の種を蒔こうとしているのが敵どもの凶心だ。道徳紀綱が弱まれば、社会主義の本来の姿が乱され、さらには血と汗で勝ち取った革命の戦勝物すらも失うということが、過去の社会主義建設の歴史が刻んできた血の教訓だ」

    つまり、韓流など外部からの文化を受け入れることは、思想の乱れを招き、それは1980年代後半の旧共産圏崩壊のような事態に繋がりかねないと危惧しているということだ。

    この20年で進んだ市場経済化は、家庭における女性の地位を大きく変化させた。かつては夫の後ろをついて歩く存在だったが、今では経済的な主導権を握っている。女性は男性と違って、国から割り当てられた職場に所属する必要がないため、市場で自由に商売をし、一家の生計を担うことになった。

    (参考記事:妻に優しくなった北朝鮮の夫たち…亭主関白の末路は「餓死の恐怖」

    そんな女性が自由にファッションや韓流を楽しむことは、社会によからぬ影響を与える(と、当局は考える)。また、提綱で言及されていないが、女性たちの間では思想教育用の講演会の欠、飲酒、喫煙、幹部への抗議、悪口などが以前に比べて増加していると情報筋は伝えている。

    逆に、経済的な力を持ち、自由に社会活動を行う女性を抑えつければ、男性にも「良い影響」を与えるだろうと、当局が見ているため、女性をターゲットにした思想教育を行っているというのが情報筋の見方だ。伝統的な女性への蔑視と、現代女性への認識が複雑に入り混じっている。

    もちろん、当局の考える「国や党、首領、革命のために黙々と働き、身を捧げる」という女性像と、現実の女性の行動は乖離している。それを元に戻そうという流れが、当局の行動の根底にあることは言うまでもない。

    前述の労働新聞の社説は、また、女性に対しては次のような要求を突きつけている。

    親を失った子どもたちを育てた降仙(カンソン)の地の「乙女の母」のように、戦争老兵(朝鮮戦争参戦者)、栄誉軍人(傷痍軍人)の生活を肉親の心情で世話をする多くの美風先駆者たちのように、助け合い導く集団主義的気風がどこでも高く発揮されなければならない。

    しかし、口では高尚なことを言っているが、実態は伴っていない。例えば、美風先ここで言う「美風先駆者」の選抜においては、カネが飛び交っているのが実情だという。

    参考記事:北朝鮮、カネまみれの「品行方正」大会・・・表彰も献金次第

    また、栄誉軍人との結婚は半ば強いられたもので、それを巡ってトラブルも発生している。女性が「革命の道具」として使われているということだ。

    (参考記事:体はボロボロで家庭も崩壊…北朝鮮「負傷兵」たちの悲惨な末路

  • 「自分を棚に上げ責任を転嫁するな」北朝鮮が文在寅政権を非難

    「自分を棚に上げ責任を転嫁するな」北朝鮮が文在寅政権を非難

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は2日、南北対話が膠着状態に陥っている責任を、韓国政府が北側に転嫁していると非難する論評を掲載した。米国との実務協議再開を目前に控えたタイミングだけに、その意図が注目される。

    論評は「先日、統一部当局者は北南の対話が開かれないのが、まるでわれわれのためであるかのように言い触らした。南朝鮮国防部長官も、われわれの自衛的な国防力強化措置に言い掛かりをつけて、『北が緊張を高調』させているとの妄言を並べ立てた」と指摘。

    そのうえで「北南関係が膠着状態に陥るようになった根本原因は一言で言って、南朝鮮当局の背信的行為にある」としながら、韓国政府が米韓合同軍事演習で「相手を脅かし、緊張をあおり立てる挑発行為を引き続き働きながら、『対話』と『信頼』についてうんぬんするのは、常識外れの欺瞞(ぎまん)行為である」と非難した。

    さらに続けて、「自分のすべきことはせず、むしろ盗人猛々しく北南関係膠着の責任をわれわれに転嫁しようとずうずうしく振る舞っているのは、万人の驚愕をそそるだけである」と強調した。

    内容的には、北朝鮮がこのところ一貫して主張してきたのと同様のものである。韓国の文在寅政権が、約束したはずの南北経済協力に踏み出さず、一方で米韓合同軍事演習を続けていることをなじっているわけだが、過去には文在寅大統領を「ほぼ名指し」してもっとヒドイ言い方をしていることを考えれば、非難の程度は低いと言えるかもしれない。

    (参考記事:「奇怪な醜態」金正恩氏が文在寅氏を罵倒した理由

    このタイミングでこうした論評を出したのは、先月、トランプ米大統領と会談するなどして米朝の「仲介者」としての役割を捨てようとしない文在寅氏を、けん制するためかもしれない。北朝鮮はかねて、「(韓国の)仲介など必要ない」と言明している。

    経済協力を実行し、米韓合同軍事演習を中止しない限りは、文在寅政権にはいかなる「得点」も与えない。おそらくはこれが、金正恩党委員長の韓国政府に対する立場だと思われる。