カテゴリー: 北朝鮮

  • 男性の「密かな楽しみ」が値上がりする、北朝鮮のエンタメ事情

    男性の「密かな楽しみ」が値上がりする、北朝鮮のエンタメ事情

    北朝鮮でUSBメモリが値上がりしているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮のある若者が「USBメモリの需要が非常に高く、カラの4GBのUSBメモリの値段は市場で26,000ウォン程度だ」と述べているという。北朝鮮の市場でのコメ1キロの価格がおおよそ5,000ウォン(約60円)だから、それなりに高級品といえる。さらに、コンテンツ入りのUSBメモリだとさらに価格が高くなるというが、一体どのようなコンテンツが入っているのだろうか。

    「独自撮影」で銃殺

    2000年以降、北朝鮮では韓流が密かに広まりはじめた。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    CDやDVD、ハードディスク、SDカードなどの記録メディアの発展、さらにはノートテルというポータブル再生機の普及とともに、韓流をはじめとする海外コンテンツは瞬く間に北朝鮮国内で拡散した。

    こうした状況に対し、北朝鮮当局は韓流コンテンツの摘発を担当するタスクフォース「109常務」を組織し、厳しく取り締まってきた。時には韓流の動画ファイルを保有していたという容疑だけで、女子大生を拷問し悲惨な末路に追い込んだ。

    老若男女問わず、韓国と同じ言語を使う北朝鮮で韓流コンテンツに人気が集まるのは当然といえるが、男性たちに人気があるのはやはりアダルト動画だった。

    RFAに対して、昨年韓国に入国した脱北者のある男性は、「韓流映画やドラマ、そしてアダルト映像が入っているUSBは格段に価格が高くなる。とりわけ10代の若者たちと大学生たちは、友人同士でアダルト映像をよく見る」と伝えた。

    いくら情報が厳しく統制されているといっても、また、バレたら罰を受けることを知っていようとも、やはり北朝鮮の男性もポルノを見たいという欲求は抑えられないようだ。2017年には、有名芸術団メンバーが公開処刑されたが、理由は自分たちでポルノ映像を撮影したことがバレたためという説もある。

    (参考記事:美貌の女性らが主導…北朝鮮芸術家「ポルノ撮影」事件の真相

    筆者はある脱北者の男性から次のような言葉を聞いたことがある。

    「1990年中頃、欧州から受け入れた廃棄物のなかにビデオテープがあった。もしやと思って持ち帰って再生したら案の定『洋モノ』のポルノだった。北朝鮮の男性はポルノ好きですよ(笑)」

    北朝鮮の一般家庭にもノートPCや、デスクトップPC、そして先述のノートテルが相当普及している。これらのハードのほとんどには、USBポートが設けられている。

    北朝鮮当局は一時期、USBポートを強制的に全て塞ぐよう措置を取ることを検討したとの説もあるが、全てのPCを検閲するのは事実上不可能だ。今後も韓流コンテンツをはじめとする海外コンテンツが、USBや他のデジタルメディアを介して、北朝鮮国内で拡散する現象は止まりそうもない。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

  • 北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

    北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

    北朝鮮の人々は、年がら年中、当局から組織生活や思想の総括、さらに奉仕活動に半強制的に動員されている。それは、子供たちとて例外ではない。

    (参考記事:北朝鮮企業が少女たちの「やわらかい皮膚」に目をつけた理由

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮の小学校から高校までの学生たちが「毛虫取り」をさせられているという。朝鮮労働党が、毛虫による森林被害を防止せよとの指示を出したからだ。冬休みの間も、10代の学生たちは酷寒のなかで毛虫取りに強制的に動員されているというのだ。

    RFAの平安南道(ピョンアンナムド)の消息筋によると、「学生たちは寒さにもかかわらず一日中毛虫を捕まえようと、山の中で苦しい思いをしている。一人当り、ビニール袋一杯の毛虫を捕まえなければならないノルマがあるので、学生たちは弁当まで持って山中を歩き回っている」という。

    弁当を持っていけない貧しい家庭の学生は、毛虫を捕まえたその場で倒れることもあるという。それでも学校と当局は、同情するどころか、ノルマを達成できなければ生活総和の時間に自己批判を強要するというのだ。

    冬の間の毛虫取りが終われば、北朝鮮の青少年は春に30日、夏に30日、秋に45日間、農村支援に動員される。この期間、学生たちは学校にも行かずに家族から離れて、協同農場で農作業をしなければならない。中学校3学年から大学を卒業するまでずっとだ。

    (参考記事:北朝鮮の中高生「残酷な夏休み」…少女搾取に上納金も

    このように年齢、性別限らず、北朝鮮の人々は様々な国家事業に動員されている。劣悪な労働環境のせいで、悲惨な事故も多発しているが、中高生であっても何ら補償は行われない。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    ちなみに、学生たちが毛虫取りに動員されるのは、大人たちが「堆肥戦闘」に忙しいからだという。人糞を集めて肥やしを生産する「堆肥戦闘」は、毎年1月から2月にかけて行われる。日本に在住する脱北者のSさんは、次のように語る。

    「北朝鮮で厳しい生活を体験したので、日本ではどんなことでもやってのける自信はある。しかし、堆肥戦闘だけは死んでもやりたくない」

    極限状態で生き延びた脱北者さえも嫌がるのが、人糞集めなのだ。1人あたり驚くほどの量をノルマとして課せられ、人々は正月早々、人糞を求めてさまよい歩く。人糞には値段が付き、商品として市場で取引される。人糞を巡ってブローカーが暗躍、さらにはワイロまでが飛び交う世にも奇妙な光景が現出するのだ。

    (関連記事:冬の北朝鮮で暗躍する「人糞ブローカー」登場

    大人たちは人糞集め、子どもたちは毛虫取りに強制動員。北朝鮮当局は、国民達に嫌がらせをすることばかり考えているのかと思わせる。

  • 「銃弾ぜんぶを頭部に撃ち込んだ」金正日時代の公開処刑

    「銃弾ぜんぶを頭部に撃ち込んだ」金正日時代の公開処刑

    来月10日の最高人民会議(国会に相当)代議員選挙を控え、北朝鮮では軍の各部隊に保衛司令部の検閲部隊が派遣され、選挙期間中の不法行為の取り締まりに乗り出していると、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

    保衛司令部は、いわば軍内の秘密警察だ。一般社会の監視を担当する国家保衛省と並ぶ、泣く子も黙る存在である。かつて、保衛司令部はその残忍な公開処刑の手法により、国家保衛省にも増して国民から恐れられていた時代があった。

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    北朝鮮が未曽有の大飢饉「苦難の行軍」の最中にあった1990年代後半、同国内では粛清の嵐が吹き荒れていた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の解説記事によれば、金正日総書記はこの当時、激しい不安の中にあったという。1994年に父である金日成主席が死亡すると、時を同じくして大飢饉が発生。国民の反発が自分に向かい、体制が崩壊するのではないかと恐れたというのだ。

  • 「韓国が下心さらけ出した」北朝鮮が猛批判する理由

    「韓国が下心さらけ出した」北朝鮮が猛批判する理由

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は6日、韓国政府が軍事費を大幅に増額していることについて「同族と力で対決しようとする下心をさらけ出した」と非難する論評を掲載した。蜜月にも見える南北関係だが、互いの友好姿勢はあくまで「条件付き」であり、ここで改めて北朝鮮のホンネが出た形と言える。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    韓国軍の悩み

    韓国国防省が11日に発表した「2019―2023国防中期計画」によれば、向こう5年間の軍事は総額270兆7000億ウォン(約26兆2000億円)で、同期間の年平均の増加率は前年比7.5%と、直近10年間の年平均増加率(4.9%)を大きく上回る。

    これは、米国との非核化対話の途上にある北朝鮮には、とうてい看過できない動きだ。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は、軍内での飢餓や虐待の横行など軍紀のびん乱により、現代の戦争に耐えられる状態ではない。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    核兵器など一部の「虎の子」だけが頼みの状況なのだ。それを今まさに「捨てる」ための交渉をしているわけだが、そこへ持ってきて、ただでさえ通常兵器で圧倒的に優勢な韓国軍が強化されたら、彼我の戦力差はさらに広がってしまう。

    しかし韓国軍とて、北朝鮮だけを念頭に軍事力を整備していくわけにはいかない。最近も、「レーダー照射」問題で日本と険悪な関係になってしまった。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    筆者は、日韓関係がいかに悪化しても、軍事衝突などという愚かな事態に発展することはないと確信している。しかし日本以外の周辺大国は、国益のためなら積極的な武力行使をためらわない国々だ。

    かつて日本の侵略により主権を完全に失った経験のある朝鮮半島の国家としては、「二度とあのような目に遭ってたまるか」と身構えるのも、故なきことではない。

    それでも北朝鮮と韓国にとって、軍事的には互いの存在が、当面して最大の警戒対象であることもまた事実だ。この重い事実は、まだまだ表面的な域を出ない対話では、簡単に崩せるものではないのである。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

  • 第2回米朝首脳会談を大胆予想…会場と金正恩氏の宿泊場所は?

    第2回米朝首脳会談を大胆予想…会場と金正恩氏の宿泊場所は?

    米国のトランプ大統領は5日夜(現地時間)に行った一般教書演説で、2回目の米朝首脳会談を今月27日と28日にベトナムで開催することを明らかにした。開催地がベトナムのどこになるかは明らかにされていないが、同国中部のリゾートであるダナンが有力だという。この情報が正しいとしたら、会場はどこになるのだろうか。

    ベトナム戦争で激突した米朝

    ベトナム在住の情報筋によると、首脳会談の場所は「アリヤナ・コンベンションセンター(Ariyana Danang Exhibition & Convention Centre:ADECC)」が最有力だという。同センターはベトナム最大のセミナー施設であり、2017年に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会場として新設された。

    昨年6月の米朝首脳会談は、史上初ということもあり、開催場所となったシンガポールに世界各国のメディアが集まった。2回目の今回は、昨年ほど注目度は高くないかもしれない。ただし、米朝首脳会談が行われるタイミングで、中国の習近平国家主席がベトナムを訪れるのではないかという噂もある。報道陣や各国の当局者が集まることから、施設の整ったアリヤナ・コンベンションセンターで米朝首脳会談が行われる可能性が高いというのも頷ける。

    筆者は昨年の米朝首脳会談もシンガポールで現地取材したが、金正恩党委員長の宿泊先となった「ザ・セントレジス・シンガポール」には報道陣だけではなく地元の人々、そして観光客たちが「北朝鮮の若き独裁者」を一目見ようと大勢集まっていた。今回、金正恩氏はどこに泊まるのだろうか。

    金正恩氏は昨年の米朝首脳会談に際しても、大型の専用ベンツをわざわざシンガポールまで空輸するほどセキュリティに神経を遣っている。そのベンツには、金正恩氏が一般人と同じトイレを使えないという苦しい事情を抱えるため、それをカバーするための装備が積まれているというのだ。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    それだけに、セキュリティ面でしっかりとしたホテルが選ばれると見られるが 、ベトナム事情に詳しい人物によると「インターコンチネンタル・ダナン・サン・ペニンシュラ・リゾート(InterContinental Danang Sun Peninsula Resort)」がそれに相応しいだろうという。

    同ホテルの公式サイトによると、最も高額なスイートルームは日本円で約45万円。首脳陣などのVIPが泊まるような部屋は一般開放されていないことから、もし金正恩氏が宿泊するとなれば、より高額な部屋になるだろう。同ホテルからアリヤナ・コンベンションセンターまでは、車で30分ほどの距離だ。

    以上はあくまでも予想にすぎない。

    会談場所も宿泊先はともかく、ベトナムでの会談は米朝両国にとって重要な意味合いをもつだろう。ベトナムはかつて、米国との戦争に勝利した。死闘を繰り広げた間柄にもかかわらず、米国とは現在良好な関係を築いている。ちなみに、ベトナム戦争には北朝鮮も派兵している。

    (参考記事:かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    米越関係は北朝鮮からしてもお手本にすべきものであり、米国のポンペオ国務長官は昨年の米朝首脳会談後に、北朝鮮はベトナムの例に倣うべきだと述べている。

    ベトナムは1979年の中越戦争で、中国からの侵攻も撃退している。私感だが、米中2大国との戦争に勝利し、自国の利益のためにかつての仇敵と握手するしたたかさをもつベトナムは第2次世界大戦後の、「最強の国家」と呼ぶにふさわしい存在だと思う。金正恩氏が外交関係でベトナムほどのしたたかさを発揮できるかどうかは、未知数だ。

  • 北朝鮮で「ダム崩壊」の危機…軍兵士らの死亡事故も多発

    北朝鮮で「ダム崩壊」の危機…軍兵士らの死亡事故も多発

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、道内の三水(サムス)発電所で、ダム壁の隙間から水漏れが起き、発電できなくなってしまった。ダム壁はコンクリートではなく、砂利と小石を積み上げただけのもので、少しの亀裂がダムの崩壊に繋がりかねない。

    こうした問題の原因は、質より工期を重要視し、人命被害すら気にかけない北朝鮮版やっつけ仕事「速度戦」にあると思われる。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    たとえば、北朝鮮史上最大のプロジェクトとなる端川(タンチョン)発電所建設でも動員された兵士や民間人の死亡事故が相次いでいる。

    (参考記事:若者の命を次々と飲み込む…北朝鮮「呪われた巨大発電所」の実態

  • 北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、同国の朝鮮赤十字会中央委員会が「近年、遭難したわが船員たちが無事に帰国できるように数回にわたって人道的援助を提供した日本当局に当該のルートを通じて謝意を表した」と伝えた。

    実の妹の「役割」

    北朝鮮が、日本への謝意表明を国営メディアで明らかにするのは極めて異例だ。

    北朝鮮メディアのこうした変化は金正恩政権ならではのものと言える。金正恩氏は、メディア戦略に相当に力を入れている。父親の金正日総書記は、自らの「神秘性」を守ることを重視していたのか、自国メディアにおいてもあまり色々な表情を見せなかった。

    それに比べ金正恩党委員長は、自分の「ヘンな写真」までバンバン公開してしまうほど開けっ広げだ。

    (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

    あるいは、こうしたメディア戦略には、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が関わっているかもしれない。彼女が籍を置く党宣伝扇動部は、国内メディアの指導・検閲も担当する。

    また、金正恩氏に遠慮なく何でも進言できるという彼女なら、「日本に対しても、お礼を言うべきときは言わなくちゃ」とでも提案できるかもしれない。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    日本海沿岸では近年、北朝鮮漁民と見られる遺体の漂着が後を絶たない。これについては、金正恩氏らも問題視しているふしがうかがえる。

  • 北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、同国の朝鮮赤十字会中央委員会が「近年、遭難したわが船員たちが無事に帰国できるように数回にわたって人道的援助を提供した日本当局に当該のルートを通じて謝意を表した」と伝えた。

    実の妹の「役割」

    北朝鮮が、日本への謝意表明を国営メディアで明らかにするのは極めて異例だ。

    北朝鮮メディアのこうした変化は金正恩政権ならではのものと言える。金正恩氏は、メディア戦略に相当に力を入れている。父親の金正日総書記は、自らの「神秘性」を守ることを重視していたのか、自国メディアにおいてもあまり色々な表情を見せなかった。

    それに比べ金正恩党委員長は、自分の「ヘンな写真」までバンバン公開してしまうほど開けっ広げだ。

    (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

    あるいは、こうしたメディア戦略には、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が関わっているかもしれない。彼女が籍を置く党宣伝扇動部は、国内メディアの指導・検閲も担当する。

    また、金正恩氏に遠慮なく何でも進言できるという彼女なら、「日本に対しても、お礼を言うべきときは言わなくちゃ」とでも提案できるかもしれない。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    日本海沿岸では近年、北朝鮮漁民と見られる遺体の漂着が後を絶たない。これについては、金正恩氏らも問題視しているふしがうかがえる。

    デイリーNKジャパンの取材によれば、金正恩氏は昨年5月、GPSを搭載したプラスチック(おそらくFRP)製の漁船を2万隻調達せよとの命令を下したとされる。というのも、遭難が続発する最大の原因は、「日本なら100年前のシロモノ」と言われる粗末な木造船による強引な出漁にあると見られているからだ。

    (参考記事:「板子一枚下は地獄」北朝鮮漁民の悲鳴が聞こえる…「百年前の船」で大量死

    いずれにせよ、北朝鮮側が日本への謝意表明を公開したことは、わずかではあるが好ましい動きと言える。もちろん、普通の国であれば当たり前のことなのだが、最近の北朝鮮メディアが日本非難一色であることを考えると、「あれも是々非々でやっているのかな」という気もする。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

  • 韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    日韓の「レーダー照射問題」が混迷の度を深めている。さらには他の歴史問題も重なり、日韓関係は改善の糸口さえ見えない。

    韓国紙・世界日報の軍事専門記者であるパク・スチャン氏が同紙1日付(インターネット版)で、険悪な日韓関係を巡り、「一部には、世界各国の軍事力レベルを分析するグローバルファイヤーパワー(GFP)が昨年『2018年 潜在的な戦争遂行能力』で韓国を136の評価対象国のうち7位、日本を8位としたことを根拠に、韓国の軍事力が強いと主張する向きがある」と指摘。

    北朝鮮の方が「謙虚」

    さらに、これに続けて次のように解説している。

  • やってられない…金正恩氏の「独り占め」に北朝鮮で不満増幅

    やってられない…金正恩氏の「独り占め」に北朝鮮で不満増幅

    北朝鮮当局はこれまで、外貨獲得のために様々な「危ないモノ」を密かに輸出してきた。代表的なのが、兵器だ。

    北朝鮮は第4次中東戦争に空軍を派兵したり、アフリカに軍事顧問団を送ったりしながら、紛争当事国との関係を強化。そうしたつながりから、多種多様な兵器を輸出してきたのだ。

    (参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

    覚せい剤もまた、主な密輸品のひとつだった。北朝鮮の特殊機関が日本の暴力団と手を結び、覚せい剤を日本国内に送り込んでいたことはつとに知られている。その後、日本政府の取り締まり強化を受けて、覚せい剤の密輸は停止。そのあおりで国内が覚せい剤に汚染される「自業自得」に陥っている。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    金正恩党委員長はこのような過程を辿りながら、もはや「危ないモノ」の密輸は割に合わないと考えているのかもしれない。経済制裁によって紛争地への兵器輸出も出来なくなった。米国などとの関係改善を目指していくなら、兵器輸出は今後も自粛せざるを得ないだろう。

    そこで金正恩氏は、完全に「まともな商品」の輸出に力を入れることにしたもようだ。国営の朝鮮中央通信は1月25日、「最高人民会議常任委員会が人参法を採択、発表した」と伝えた。同法は、北朝鮮の名産品である朝鮮人参(高麗人参)の生産と加工、流通などについて細かくルールを定めたものだ。

    (参考記事:北朝鮮が「人参法」制定…生薬ビジネスで外貨獲得か

    金正恩党委員長は1月の訪中時に、中国の代表的な生薬メーカーである同仁堂を視察しており、北朝鮮もこの分野での外貨獲得に注力していくものと見られる。

    紛争地に兵器を売ったり、覚せい剤を密輸したりするのと比べればまことに結構なことだ。しかし米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮国内ではこうした動きに対し、各方面から強い反発が出ているという。

    中国の丹東に出張した平壌市の幹部がRFAに語ったところでは、「一部の幹部は高麗人参の輸出産業を当局が独占する意図から法を制定したものであると非難している」という。

    同幹部はさらに、「誰が見ても、この法律は体制維持に必要な党資金を調達するため、当局の独占権を強化したものだ」と指摘。次のように続けた。

    「高麗人参の栽培は、土壌が適切な開城(ケソン)だけで可能なので、開城市人民委員会の最も重要な外貨稼ぎ部門になっていた。しかし人参法が発効して以降、開城の人参畑には、中央党の許可なしには誰も入れなくなった。もはや人参に触れることもできない」

    また、平安北道(ピョンアンブクト)の貿易関係者もRFAに対し、「これまでは党や軍所属の貿易会社が、開城で買い入れた人参を平壌に運び、人参茶など数多く製品に加工。平壌市内の高級ホテルや海外市場で販売してきた。しかしもはや、人参栽培と流通市場は首領(最高指導者)の唯一管理システムで囲いこまれてしまった。人参から生まれる外貨を国がすべて持っていくということであり、貿易会社の幹部たち『もうやってられない』と不満を募らせている」と話している。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

  • 金正恩氏「実の叔父」処刑後の大粛清をいまだに継続中

    金正恩氏「実の叔父」処刑後の大粛清をいまだに継続中

    韓国紙・朝鮮日報は先月末、北朝鮮の代表的な米国通と知られていた韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官の失脚が確認されたと伝えた。韓国統一省が最近発行した「2019北朝鮮人名録」から、韓成烈氏の名前が消えており、これについて韓国政府の消息筋が「昨年下半期に、韓成烈氏の身辺に異常があったという情報を関係機関から伝えられ、これを反映した」と説明したという。

    おぞましい実態

    同紙はこれを巡り、「韓成烈の失脚を連座という観点から分析する見方もある」と伝えた。

    韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使は、2017年2月に行われた北朝鮮戦略センターのインタビューで「2013年に処刑された(金正恩委員長の叔父に当たる)張成沢(チャン・ソンテク)氏の事件に連座して、韓成烈次官の姻戚が粛清された。娘婿と孫も収容所へ送られた」と語っている指摘。「『張成沢の残党』を一掃する作業は現在進行形ということだ」と解説しているのだ。

    張成沢元党行政部長の処刑に続き、北朝鮮では大規模な粛清が行われた。その過程では、北朝鮮権力層のおぞましい実態も明らかになった。

    (参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

    北朝鮮では、有名女優が権力者の妻になったり愛人になったりすることが多いが、目立つ存在であるだけに、粛清の巻き添えになって命を落とすことが少なくない。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    張成沢氏の処刑に際してはそれに加え、彼の「ライン(系列)」とみなされた外交官も数多く粛清された。そうした人々が復権したという話は聞こえてこないから、大粛清はいまだに続いているということになる。

    朝鮮日報は、北朝鮮の事情に詳しい消息筋の話しとして「昨年9月、韓成烈氏が局長級の幹部5人と共に『革命化処罰』を受け、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の剣徳(コムドク)鉱山で思想教育中」であるとも伝えた。

    革命化とは再教育のことで、農村に下放されたり党学校で思想教育漬けにされたりと様々な形があるが、鉱山送りはなかなか厳しい処分だ。

    失脚の理由として、同紙は他にも「金正恩労働党委員長に上げた朝米首脳会談関連の提案書が、党の方針に背いていると批判されたらしい」 「対米窓口役を長く務め、『米帝のスパイ』のような疑いをかけられやすかった」などの説を紹介しているが、米朝関係がこれだけ大きく動いている時期に、外交当局の中枢がそれほど荒れた状況になるとはなかなか想像しにくい。

    同紙はさらに、別の消息筋の話として、かつて北朝鮮外交のエースだった姜錫柱(カン・ソクチュ)が死亡して以降、韓成烈氏ら彼の系列だった外交官らの地位が下がり、今は李スヨン党副委員長の系列が主流派を占めていると指摘。両者の間で勢力争いが起きているとの情報も伝えている。

    ただ、李スヨン氏が北朝鮮権力層の中でも特別に洗練された人物として知られ、部下への気配りも欠かさないとされていることを考えると、これもまた容易には納得しにくい。やはり、金正恩氏の個人的な怨恨が込められている、張成沢氏の一件が何らかの影響を与えているようにも思えるのだ。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

  • お客から恐喝して荒稼ぎする北朝鮮「恐怖のコンビニ」

    お客から恐喝して荒稼ぎする北朝鮮「恐怖のコンビニ」

    「北朝鮮には数多くのコンビニが存在する」と言えば、驚く向きが少なくないのではないだろうか。

    市場経済化が進む北朝鮮では、国営企業がファングムポル(黄金原)商店というチェーン店形式のコンビニを展開する一方で、個人が国営企業の名義と路上のプレハブを借りて営業するものもあれば、自宅の一部を改造して開業する「家売台」(チンメデ)に至るまで、様々な形の「コンビニ」が存在する。

    (参考記事:北朝鮮で新手の商店「家売台」が大人気 「コンビニ」のように24時間営業

    そんなコンビニが教化所(刑務所)の中にもオープンしたが、他のコンビニと違って利用者から反発を招いていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)教化所には、元々小規模な売店が存在したが、昨年末に大規模なコンビニに生まれ変わった。犯罪の増加に伴い、教化所に収監される人が増えたことを受けてのことだ。

    (参考記事:濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    ところが、このコンビニは「面会に来た家族を圧迫し、カネを搾り取る手段として利用されている」という(現地の情報筋)のだ。

    北朝鮮の教化所は、受刑者に対する暴行、劣悪な環境など人権侵害の温床になっているが、ひどいのはそれだけではない。食糧事情も劣悪で、最も少ない受刑者には1日100グラムにも満たないトウモロコシ飯しか出されない。

    (参考記事:北朝鮮の刑務所「教化所」の実態(2)

    教化所で飢え死にせず生きて出所するには外部からの差し入れが欠かせないが、受刑者の家族はその食べ物や生活必需品をすべて教化所内のコンビニで買うように強いられる。例えば、水を混ぜてこねるとお団子になる「ポンポンイ粉」というトウモロコシ粉は、命をつなぐ大切な食べ物だが、教化所内のコンビニで買ったものしか差し入れが認められない。ちなみに、コンビニの店員は全員が教化所幹部の家族だ。

    幹部に渡すタバコや酒などのワイロもここで買うことを強いられる。もちろん、市場より値段が高いが文句は言えない。下手に抗議などすると受刑者がどんな目に遭わされるかわからないからだ。

    そればかりか、教化所で使う事務用品などの差し入れも強要される。

    「教化所の幹部は、受刑者が面会室に行く前にかならず『宿題』を出す。教化所で共同で使うとの名目で、ソーラーパネル、レーザー、A4用紙などを買うことを強いられる。『宿題』は、面会室で家族に頼み、コンビニで買って渡す。できなければ昼食の時間にひどい暴行を受ける」(情報筋)

    これはまさに「恐喝」である。

    両江道(リャンガンド)に住む別の情報筋は、教化所幹部のあまりの非道ぶりに怒りをぶちまけた。

    「数日前、价川教化所に入れられた弟から『栄養失調になった』と連絡を受け、面会に行ってきた。ところが、幹部から『面会は四半期に1回しかダメ』『コンビニで買った食べ物を差し入れだけしろ』と言われケンカになった。教化所の劣悪な実態についての噂が広がることを恐れ面会を拒否するくせに、コンビニの売り上げばかりに気にする態度が気に食わなかった」(情報筋)

    受刑者が、健康に過ごせるように食事や環境に配慮し、医療アクセスを保証することは当たり前のことだが、教化所幹部は受刑者の命と人権をネタにして暴利を貪っているのだ。

  • かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    朝日新聞は3日、北朝鮮が今月末にも開かれる米朝首脳会談の場所として、米国が提案したベトナム中部のダナンで同意したと伝えた。北朝鮮と米国はかつて、ベトナム戦争で銃火を交えており、ベトナムでの首脳会談開催は歴史的に意味深なものを感じる。

    北朝鮮はベトナム戦争に空軍パイロットを派兵し、世界最強の米軍と渡り合い、一定の戦果を挙げていた。

    (参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」

    その事実は長らく秘密にされていたが、国営朝鮮中央放送は2001年7月6日、空軍パイロットがベトナム戦争に派兵されていたことを初めて報じた。

    それによると、日本の国会に当たる最高人民会議が1965年5月、「要請があれば軍を派遣する」と決定し、翌1966年、朝鮮労働党代表者会議が「血でベトナムを支援する」ための「様々な措置」を取った。当時の金日成首相(後に主席)はパイロットたちに、「ベトナムの空をわが空のように、ハノイを平壌のように思って闘え」と指示したという。

    同放送は、ベトナムに派遣されたパイロットの数は報じていないが、韓国の聯合ニュースなどの報道では約200人が参戦し、うち十数人が死亡したと見られるという。

    また、2000年3月には北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相がベトナムを訪問した際、ハノイ郊外の北朝鮮兵士の墓を非公式に訪問。金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長も2001年7月にベトナムを訪問し、この墓地を訪れた。

    ベトナムでの米朝首脳会談が実現した場合、金正恩氏がこの墓地を訪れるかどうかが気になる。

    (参考記事:北朝鮮版「ランボー」がたどった数奇な運命

    ちなみに、北朝鮮は第4次中東戦争に際しても、エジプトとシリアに空軍パイロットたちを派兵し、イスラエル空軍と戦った。

    (参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

    当時からエジプトで北朝鮮との友好協力を主導してきたムバラク元大統領は政変で失脚したが、シリアと北朝鮮の関係は今なお親密だ。

  • 美人音大生がハマる「ダンナ作業」と呼ばれるキケンな遊び

    美人音大生がハマる「ダンナ作業」と呼ばれるキケンな遊び

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(5)

    本連載の1回目でも言及したが、北朝鮮の首都・平壌では現在、若い女性たちが「ダンナ作業」――つまりは金持ち男性のスポンサー探しに精を出しているという。

    金正恩氏の「噂」

    脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏の近著『平壌資本主義百科全書』によれば、平壌の高級レストランでは髪を金色に染め、ミニスカートにブランド物で着飾った若い女性が「ダンナ作業」を行っている姿が頻繁に見られるという。同著で証言している平壌の富裕層の男性によれば、彼女らの大部分は音大生や歌手の候補生だ。

    この経歴を見て、金正恩党委員長の妻である李雪主(リ・ソルチュ)夫人を思い浮かべる人も少なくないのではないか。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

    といっても、李雪主氏が「ダンナ作業」を行っていたという意味ではない。北朝鮮で名門の音大生や歌手の候補生といえば、美女の代名詞であるという程度のことである。

    この男性はまた、次のように語っている。

  • 「もしかしたら人権侵害かも…」庶民の逆襲を恐れるようになった北朝鮮の警察官

    「もしかしたら人権侵害かも…」庶民の逆襲を恐れるようになった北朝鮮の警察官

    かつて、北朝鮮では権力に逆らうことは「死」を意味した。苦難の行軍の真っ最中だった1998年、飢える労働者を救うために不正を犯した製鉄所の幹部が死刑になった。怒りに震えた多くの労働者が抗議に立ち上がったが、国から返ってきたのは真摯な対応ではなく、文字どおりの戦車による「蹂躙」だった。

    (参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

    ところが今では状況は大きく変化している。人々は「人権」という意識を持つようになり、以前ほど権力者を恐れなくなり、反抗することも増えている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    地方出身で昨年韓国にやってきた50代の脱北者の男性はRFAの取材に、保安員(警察官)は「人権がらみの問題を起こすと厄介だ」という認識を持つようになり、国民の逆襲が始まったという。

  • 「男女関係に良いから」北朝鮮社会を退廃させた違法ドラッグ

    「男女関係に良いから」北朝鮮社会を退廃させた違法ドラッグ

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(4)

    日本国内で、たとえば芸能人などが薬物乱用で摘発される際には、かなりの割合で「男女関係」が絡んでいる。そして、こうした分野に強いジャーナリストによれば、「男女間の快楽目的で薬物を使用する人ほど、使うのを止めるのは難しい」という。

    これは、覚せい剤汚染が深刻な北朝鮮においても同様だ。

    (参考記事:家庭も平気で破壊する「アレに狂った主婦たち」の暴走

    米紙ワシントン・ポストは2017年11月17日、様々な年齢と職業の男女25人から聞き取りを行った脱北者のインタビュー特集を掲載した。その中で、2014年に脱北した薬物密売人が、次のように語っている。

    「(覚せい剤は)気持ちよくしてくれて、ストレスを発散させてくれるし、男女の関係にも大きな助けになる」

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

    また、この密売人は次のように語っている。

    「私の主な仕事は、オルム(氷=覚せい剤を表す符丁)を売ることだった。当時、会寧(フェリョン)市に住む成人の70~80%ぐらいはオルムをやっていたと思う。私の客は、ごく普通の人々だった。警察官、保衛員、朝鮮労働党員、教師、医師たち。オルムは誕生日のパーティーや高校の卒業祝いのための、非常に良い贈り物だった」

    (参考記事:北朝鮮で少年少女の「薬物中毒」「性びん乱」の大スキャンダル

    あくまで個人の推定ではあるが、市内に住む成人の8割が覚せい剤を使用していたとは、実にショッキングな証言である。会寧市の人口は13~15万人前後とされているから、その8割が成人だとすると、ひとつの市で8万人強~9万人強が覚せい剤を使用しているということになる。

    北朝鮮では1990年代、金正日総書記の指導の下、外貨獲得を目的に覚せい剤を国家ぐるみで生産。特殊機関などが海外への密売に力を入れ、外貨稼ぎ競争を繰り広げた。

    ところが、思わぬ事態が生じた。労働者が工場から原材料や製品を横流しするのはよくあることだが、覚せい剤も例外ではなかったのだ。国内に横流しされた覚せい剤で中毒者が続出すると、金正日氏は覚せい剤の製造を中止し、組織を解散するように命じた。

    これにより、覚せい剤製造技術を持った人々が野に放たれてしまう。仕事を失い、食べるのに困った技術者たちが、国内での覚せい剤の密造・密売に乗り出したのだ。

    その後、当局は厳罰を持って取り締まっているものの、実際には摘発する側の保安員(警察官)までが覚せい剤を乱用しており、汚染が止まる気配はない。そしてそこに、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」をきっかけにした売買春の拡大などが重なることで、北朝鮮社会の退廃はいっそう進むことになってしまったのだ。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

  • 金正恩氏の親筆文書で明かされた「乱れた性」産業化の実態

    金正恩氏の親筆文書で明かされた「乱れた性」産業化の実態

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(3)

    北朝鮮の金正恩党委員長が、売買春の横行など国内の「乱れる性」に神経をとがらせている様子は、彼が自らサインした内部文書からも読み取ることができる。

    脱北者で平壌中枢の人事情報に精通する李潤傑(イ・ユンゴル)北朝鮮戦略情報センター代表は、2016年9月9日に出された金正恩氏の「チンピル」指示書を入手した。「チンピル」とは、漢字で書くと「親筆」となり、金正恩氏が直接決裁のサインを書いたという意味だ。

    権力者の「やりたい放題」

    指示書のタイトルは、「奉仕網で起きている退廃的で変態的な行為をなくすための闘争を強く繰り広げるための対策案」となっている。奉仕網とは、朝鮮労働党や軍などが運営するレストラン、カフェ、スーパー銭湯などの収益事業(奉仕機関)を一括りにした呼び方だ。

    (参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

    指示書は「変態的行為」の実態について、次のように嘆いている。

    「食堂、清涼飲料店などの一部の奉仕機関では、個室、マッサージ室、サウナなどを利用し、夜間奉仕などの違法な奉仕活動を行い、売淫(売春)、賭博行為など退廃的で変態的な行為を助長している。奉仕員たちの色情的で醜い行為で客をひきつけていることをはじめとして、奉仕機関では社会主義制度のイメージを乱す現象が少なからず起きている」

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    李代表が北朝鮮国内の関係者の話として伝えたところでは、このような現象は首都平壌のみならず、南浦(ナムポ)、平城(ピョンソン)などの平壌周辺の都市、清津(チョンジン)、咸興(ハムン)、新義州(シニジュ)などの地方の大都市や、さらには郡部にまで広がっているという。

    (参考記事:「夫が軍隊で酷い目に」…北朝鮮「巨大風俗街」で聞かれる悲しい話

    それにしても、独裁者である金正恩氏が自ら懸念を募らせるこうした実態が、どうしていつまでも一掃されないのか。それは、こうした売春ビジネスの多くが、有力機関の大幹部たちの庇護を受けているためだ。奉仕網は党や軍、行政機関の収益事業として営まれている。それはつまり、売春ビジネスが党・軍・行戦機関の収入源になっているということだ。

    また、そもそも北朝鮮国内におけるこうした「性の乱れ」は、権力者たちのやりたい放題が発端になった部分もある。

    (参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル

    1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に前後した計画経済の崩壊と、その後のなし崩し的な市場経済化、そしてその結果としての極端な格差拡大により、同国社会には拝金主義がはびこってしまった。その中で、権力とカネを握る有力者たちは、自らの欲望を満たす仕組みを社会に生み出させたのだ。

    (参考記事:「あまり美人に育たないで」北朝鮮の親たちが娘の将来を案じる理由

  • うっかり金正恩氏の「大事な女性」を売り飛ばしたブローカーの行く末

    うっかり金正恩氏の「大事な女性」を売り飛ばしたブローカーの行く末

    北朝鮮で横行している女性の人身売買。女性を騙して中国に脱北させ風俗業に従事させたり、結婚相手がいない中国人に売り払ったりするのが一般的な手法だ。当局は厳しく対応しているものの、一向に後を絶たない。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、今月18日に恵山(ヘサン)市内にある両江道裁判所の前で、公開裁判が行われた。被告6人のうちの1人、40代のパク被告は有名な脱北ブローカーだった。

    パク被告は、脱北幇助と人身売買で荒稼ぎし、その裕福な暮らしぶりは地元で知らぬ人がいないほどだった。何度も逮捕の危機に直面したが、そのたびに保衛部(秘密警察)にワイロを渡して事件をもみ消してきた。ところが、今回ばかりはそうはいかなかった。

  • 「乱れる性」に必死で抵抗する金正恩氏

    「乱れる性」に必死で抵抗する金正恩氏

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(2)

    北朝鮮の金正恩党委員長は、2017年12月23日の朝鮮労働党第5回細胞委員長大会で演説した。

    「非社会主義的現象の根絶」を訴えた。非社会主義現象とは、文字通り北朝鮮が標榜する社会主義の気風を乱すあらゆる行為を指す。

    たとえば賭博、売買春、違法薬物の密売や乱用、韓国など外国のドラマ・映画・音楽の視聴、ヤミ金融、宗教を含む迷信などなどだ。もちろん、その他の刑事事犯も含まれる。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    金正恩氏は政権の座について以来、売春の取り締まりに力を入れてきた。

  • ムチャな韓国法のゴリ押しは誰の得にもならない

    ムチャな韓国法のゴリ押しは誰の得にもならない

    北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)に大量のコメを送った韓国在住の脱北者に、実刑判決が下った。脱北者の置かれた立場や朝鮮半島情勢の現実を無視し、杓子定規に法を適用した誤った判決と言える。

    (参考記事:「自由」の夢やぶれ韓国でも性的搾取…脱北女性の厳しい現実

    韓国の通信社ニュース1によると、ソウル近郊に住む脱北者の女性A被告(51)は2016年12月、金正恩党委員長の誕生日(1月8日)に合わせてコメ65トンを、ブローカーを通じて両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)税関に送った。

    また、2017年の太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)の前にもコメ65トン、2017年12月にも北朝鮮に送るコメ70トンの購入費用として、ブローカーに7000万ウォン(約684万円)を送金したことで、昨年摘発された。

    彼女の容疑は、国家保安法違反だ。同法第5条(自主的支援、金品の授受)は、反国家団体(北朝鮮政府など)やその構成員などを支援する目的で、国の存立、安全などを脅かすと知りながら金品を提供したものは、7年以下の懲役に処すと定めている。

    北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)出身のA被告は2011年、中国などを経て韓国に入国後、風俗店を経営して一財産を築いた。彼女には北朝鮮に残してきた息子がいて、脱北させようとしていた。しかし、うまく行かなかったため、北朝鮮への帰国を決心した。帰国後の自らと息子の安全を保証するため、北朝鮮に大量のコメを送ったというものだ。

    記事では触れられていないが、国家保衛省からの要求や脅迫に基づくものである可能性がある。国家保衛省は近年、脱北者に対する工作に力を入れてきた。

    (参考記事:美人タレントを「全身ギプス」で固めて連れ去った金正恩氏の目的

    裁判所は、コメを送る行為を国家保安法の「自主的支援」に該当するとし、「大量のコメを税関という公式ルートを通じて送ったことは、常識的に北朝鮮の国家保衛省との事前協議や協力なくして不可能だ」とした。また、「たとえ息子のためにコメを送ったのだとしても、犯罪の成立に影響を与えかねない」として実刑判決を下した。

    さらに、A被告の行為は「韓国の安全と自由民主的基本秩序を脅かす危険性がある」とも判断した。「被告が北朝鮮当局に協力し、対南(韓国)宣伝、工作活動に利用される可能性が相当ある」などと判断し、1審どおり懲役2年6ヶ月と資格停止(公民権などの停止)2年6ヶ月の刑を宣告した。

    チャ・ムンホ裁判長は「苦しい思いをして(韓国に)たどり着いたのに、なぜまた戻ろうとするのか理解できない」「息子がいたとしても、北朝鮮の政権にかなりの助けになりえるコメを送る行為はわが国では許されるものではない」と述べた。

    この判決は、脱北者の置かれた現実と乖離したものと言えよう。脱北者が、韓国において必ずしも良好な待遇を受けていない現実を、チャ裁判長がなぜ「理解できない」のか、その方が理解に苦しむ。

    ちなみに、脱北者の約6割が北朝鮮に残された家族に仕送りをしており、送金額の半分が手数料として送金ブローカーに天引きされる。その多くは国家保衛省、人民保安省(警察庁)、国境警備隊などにワイロとして納められる。この部分が国家保安法に違反することになる。

    (参考記事:脱北者の半数、北朝鮮に残してきた家族に仕送り「50〜100万ウォンが相場」

    他の国に比べて圧倒的に「カネがモノをいう」国である北朝鮮で、送金は家族の経済的安定のみならず、暴虐な体制から身の安全を守ることとも繋がる。さらに脱北者からの送金は、北朝鮮の市場経済化を支える資本にもなっている。

    北朝鮮社会では市場経済化の進行により、人々が自律性を高め、国家による思想統制に対する抵抗力を増している。この流れは北朝鮮国民が自由や人権に対する意識を増すことにもつながっており、それはいずれ、同国民と諸外国の人々との友好的な交流の土台にもなるだろう。

    反共で凝り固まった時代に作られた旧態依然たる法を杓子定規に適用することは、誰の得にもならないのだ。

    (参考記事:「親子の縁を切るしかない」脱北者の母に苦渋の決断を迫ったものとは

  • 女性に「性上納」までさせながら…「金正恩の党」のオワコン度

    女性に「性上納」までさせながら…「金正恩の党」のオワコン度

    北朝鮮・平安北道(ピョンアンブクト)の企業所に務めるAさんは、念願叶って朝鮮労働党への入党が認められた。ところが、その見返りとしてとんでもない要求を突きつけられたAさんは喜びも吹き飛び、当惑しきっている。

    これは、平安北道新義州(シニジュ)の内部情報筋が、知人であるAさん本人から打ち明けられた話だ。

    昨年12月中旬、朝鮮労働党の党員証授与式が行われた。党の規約によると、入党するには入党請願書と党員2人の入党保証書を提出。審査で認められれば見習いにあたる候補党員となり、問題がなければ1年後に正式な党員として迎えられる。

    だが、こうした機会を得るには職場の党委員会の実力者の推薦を得なければならず、そのためには様々な形のワイロが必要になる。軍の女性兵士などは、入党と引き換えに「マダラス」と呼ばれる性上納を強いられることすらある。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    「Aさんは労働党に入るために企業所で誠実に働き、上役に労力(ワイロ)を欠かさないなど頑張ってきたというのに……」(情報筋)

    「ワイロ」と「誠実さ」が並列するのがいかにも今の北朝鮮を表していると言えるが、その甲斐あってか、Aさんは企業所の推薦で入党できることになった。

    ところが、式典で党員証を受け取った喜びもつかの間、責任秘書(党の地方組織のトップ)はいきなりこんなことを言い出した。

    「党員証を受け取った引き換えに、コメ1トンを差し出せ」

    突拍子もない要求に、会場内はざわついたという。

    コメ1トンを今月23日の価格で計算すると、410万北朝鮮ウォン(約5万3300円)になる。平均的な4人家族の1ヶ月の生活費が50万北朝鮮ウォン(約6500円)であることを考えると、とてつもない額だ。

    経済的に余裕のないAさんは、知人や友人を訪ね歩き、コメを借りてようやく1トンを集めることができた。しかし、これからは重い返済が彼を待ち構えている。

    他の入党者も苦しいのは同じだ。「党員になったとしても、昔のように光栄なことでもなく、党員証がなくてもカネさえあればやっていける。それなのになぜ党員になったのか」と自問自答する人もいるそうだ。

    (関連記事:朝鮮労働党員はエリートも今は昔…「結婚するなら党員じゃなくて金持ち」

    かつての北朝鮮で、朝鮮労働党の党員になることは出世への近道だった。しかし、市場経済化が進む今の北朝鮮では、かつてのような威光はない。むしろ、制限が多くて不便なのだ。

    例えば、党員になれば非党員のように自由に商売ができない。非社会主義(当局が考える社会主義にそぐわない行為、風紀の乱れ)で摘発されれば党から追い出され、社会生活に支障をきたすばかりか当局の監視対象になりかねない。

    また、収入の2%を党費として納め、政治学習会、講演会に出席し、毎日の生活総和(総括)を行なうという「党生活」と呼ばれる義務も生じる。一銭の得にもならず、時間をドブに捨てるようなものだ。上役にワイロを渡して党生活を免除してもらう党員も少なくない。

    それだけではない。就職にも不利に働いてしまう。国の機関の傘下にある貿易会社や、トンジュ(金主、新興富裕層)が経営する企業が労働党員を雇うことは処罰の対象だ。それをもみ消すには多額のワイロが必要となる。そこまでして雇っても党生活で会社を留守にすることが多い。「面倒」との理由で解雇された事例すらある。

    (参考記事:北朝鮮「性上納」で出世してもお先真っ暗…労働党員もクビ

    「出身成分(身分)のよくない人がワイロを積んで入党するケースが頻発したことで、党員の名誉と威光は以前ほどではない」(情報筋)という認識も広がりつつある。

    「教化所(刑務所)帰りの人でも、コメを10トンばかり上納すれば党員になれるらしい」「外に向かっては社会主義を叫んでいるけど、中では資本主義に染まりきっている」(情報筋が聞いた街の声)

    そんなオワコンの労働党に入ろうとする人は減りつつあると言われている。若者からは「党員になって下手に出世でもしたら粛清されかねない」と避けられる始末だ。

    (参考記事:医師、IT技術者に憧れる北朝鮮の若者「粛清されないから」

    それでも「出世のためには党員証が必要」と考える人もいる。まさにAさんがそれだ。

    「どうせならば党員証があったほうがいいんじゃないかと思い努力してきたが、結局手元に残ったのは借金だけ」(Aさん)

    情報筋の話を聞く限り、Aさんは世情に疎い人のようだ。生き馬の目を抜くような今の北朝鮮で、Aさんのような人は出世も期待できなければ、党員にならずに商売をしたとしても成功は難しいだろう。

  • 北朝鮮の「お弁当」に見る食糧事情の改善と市場経済化の力

    北朝鮮の「お弁当」に見る食糧事情の改善と市場経済化の力

    新年から北朝鮮全域で行われている「堆肥戦闘」。化学肥料の不足を補うため、国民総出で堆肥作りに励むというものだが、ここに動員された人々の弁当の中身から、同国における食生活レベルの部分的な改善を読み取ることができると、デイリーNKの現地情報筋が27日に伝えてきた。

    1990年代の大飢饉「苦難の行軍」で数十万単位の餓死者を出したころと比べ、北朝鮮の食糧事情は大きく改善しているもようだ。

    (参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

    この日、デイリーNK編集部の電話取材に応じた咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は、「年初の堆肥戦闘には弁当を持参する住民が多いが、それを見ると、かなりの割合で食生活が改善しているように見える」と話し、次のように続けた。

    「2000年代半ばまでは、雑穀だけを炊いたご飯を弁当に詰めてくる住民が多かった。今では5:5(コメと雑穀が半分ずつ)の割合で詰めてくる人が多い。おかずも、以前のように野菜のナムルやジャガイ、コチュジャンだけではなく、よりスケトウダラやハタハタなどの料理を詰めてくる人がかなりいる」

    実際、別の情報筋が先週までに送ってきた北朝鮮国民のお弁当の写真は、コメと雑穀(トウモロコシ)が7対3ほどの比率になってになっており、スケトウダラの煮付けと思われるおかずが添えられている。この情報筋は「このぐらいが、現在の北朝鮮の一般庶民の食生活レベル」としながらも、生計が困難な貧困層は、依然として雑穀をはるかに多く食べていると付け加えた。

    2014年に北朝鮮から脱出し、現在は韓国に住む女性のキム・ミヒャン氏はこの写真を見て「北朝鮮の人々は自尊心から、お弁当を見栄え良くしようとする傾向があるため、大多数の国民が、常にこうした食事をとっているかは断言できない。それでも個々の人々に能力がなければ米を多く混ぜることは出来ないので、以前より改善しているのは確かだろう」と述べた。

    北朝鮮当局による配給制度が維持されていた1990年代初め頃、人々の弁当のコメと雑穀の割合は3対7から2対8くらいだったという。現在では配給制度は有名無実化しており、北朝鮮は国際社会による強力な経済制裁下にある。それにも関わらず弁当の内容が改善されているのは、「市場経済化が進展した結果だ」というのが、冒頭の咸鏡南道の情報筋の説明だ。

    ちなみに堆肥戦闘の現場では、「週に1回くらいは皆でお金を集めて、出前を取って食べる」といい、出前のメニューとしてはチャジャンミョン(炸醤麺、ジャージャー麺)が人気だという。

    (参考記事:北朝鮮「人糞集め」の現場は「ランチ出前」ビジネスの最前線

    この情報筋はまた「家庭ごとに経済力の差はあるが、(金正恩政権は)商売や生産活動の統制をあまりしていないため、人々の収入は比較的安定している」と伝えた。しかし、「市場経済化に適応できなかったり、商売に失敗したりした人々は極度の生活苦に悩まされている」と強調した。

    (参考記事:女性の「値段」はトウモロコシ1キロ…金正恩氏が生み出す飢餓農場

    情報筋はさらに「近所でも『しんどい、しんどい』という言葉が今も聞かれるが、10年や20年前に比べれば生活は確かに良くなった」とし、「周りを見ても、(生計の足しにするため)家電製品を売り払うよりは、ひとつずつ増やしている家庭の方が多い」と話した。

    また、「最近では、携帯電話が1台もないという家はない。大学生の子どもがいたり、技術分野で働く家族がいたりする家庭では、ノートパソコンが必須になっている。電力事情が悪いため太陽光に頼っているが、パネルが少しずつ増えているのも、家電製品が増えているためだ」と付け加えた。

  • 北朝鮮で鉄道運行が正常化…「東京ー岡山」の距離を24時間

    北朝鮮で鉄道運行が正常化…「東京ー岡山」の距離を24時間

    北朝鮮の鉄道は、時間はかかるものの概ね時刻表通りに運行されていたのだが、1990年代半ばの食糧危機「苦難の行軍」の頃からまともに運行されなくなってしまった。それがようやく回復しつつあると、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    乗客の悲劇

    RFAの咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、「最近の鉄道の運行状況は『苦難の行軍』以前にほぼ戻りつつある」として、北朝鮮の最新鉄道事情について解説している。

    例えば、咸鏡北道の清津(チョンジン)から首都・平壌までは、東海道新幹線の東京から岡山までの営業キロに少し足りない712キロの距離がある。この区間を走る列車は、近年では到着まで数日を要していた。それが最近では、遅延しても24時間で到着するようになったという。

    2002年度版の鉄道時刻表によると、第8列車は清津を22時12分に出発し、平壌に翌日の18時50分に到着する。第10列車なら13時10分発、翌日11時15分着だ。時刻表通りなら19〜20時間で到着するわけだが、4〜5時間の遅延に収まっているならば「苦難の行軍」以前に戻ったという情報筋の評価は、誇張されたものではないと言えよう。

    ちなみに両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)から平壌までの約720キロを結ぶ第1、2列車は、時刻表通りなら23時間で到着することになっているが、2014年ごろには1週間から10日もかかる、シベリア鉄道もビックリという状況になっていた。

    このような鉄道の大幅な遅延は、乗客の悲劇にもつながっている。

    (参考記事:北朝鮮「列車に乗っていたら飢え死に」その理由は

    情報筋は、鉄道運行が正常化された理由についてディーゼル機関車の導入を挙げた。

    「ディーゼル機関車が牽引しているので、電気の有無とは関係なく列車の運行が可能になった」

    北朝鮮の鉄道は、金日成主席の指示で8割以上が電化されている。ソ連など共産圏からの援助があった1980年代までは問題なく運行されていたが、援助が途絶えたことに加え、発電設備の老朽化、また国内経済の混乱によって電力事情が極度に悪化し、運行がままならなくなった。国営企業の操業が止まり、電気機関車の部品が供給されないことが火に油を注いだ。

    それでも、平壌と主要都市を結ぶ列車は曲がりなりにも運行を続けたが、支線は運行をしたりしなかったりの繰り返しで、使える代物ではなかった。それがディーゼル機関車が多数投入されたことで、状況が徐々に好転し、ついには苦難の行軍以前の状態を回復したというのだ。

    (参考記事:北朝鮮の「通勤列車」が再開…しかし終点はなぜか「政治犯収容所」

    両江道の情報筋によると、今まで長距離移動はソビ車などの民間の移動手段を使うしかなかったが、列車の運行がほぼ正常化したため、乗客が増えている。政府は「人民の生活を画期的に改善させる」ことを当面の目標としているが、それが実現した事例として、列車の運行正常化を挙げて宣伝しているとのことだ。

    しかし、当局が宣伝すれば逆に疑ってしまうのが北朝鮮の人々の心理だ。鉄道運行がいつまで続くのか疑う人も多いとのことだ。ディーゼル機関車の部品や、燃料は経済制裁の対象なので、全く根拠のない疑問というわけでもないようだ。

    また北朝鮮の鉄道は、安全性にも極めて大きな問題がある。鉄道が国内経済の動脈として本格的に活躍するようになるまでには、課題山積と言わざるを得ない。

    (参考記事:谷底に広がった凄惨な光景…北朝鮮で列車が転落「死者5000人」説も

  • 金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

    金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(1)

    北朝鮮で昨年11月、軍の平壌高射砲司令部の政治委員が公開銃殺された件については、本欄でも伝えた。政治委員の罪状は朝鮮労働党に対する不服従に加え、「私生活の乱れ」というものだったという。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、政治委員の罪名のひとつである「私生活の乱れ」は、具体的には2人の愛人を囲って贅沢三昧をしていたということらしい。これに対しては軍幹部の間から、「果たして銃殺までする必要があったのか」「やりすぎじゃないのか」との声が上がっていると、RFAは伝えている。

    確かに現在の北朝鮮においては、権力者が愛人を囲うのは「当たり前」のこととなっている。

  • 「キムチの下に少女を埋めた」レイプ殺人犯に無期懲役の判決

    コチェビの中には、生き延びるために窃盗などの犯罪に手を染め、半グレからヤクザに「成長」していく例も見られるとされる。それでも生き延びられたのなら、まだマシな人生と言えるのかもしれない。(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男

    北朝鮮では近年、国際社会の制裁のしわ寄せ生活が苦しくなっているせいか、治安の悪化が伝えられている。生活苦に追い詰められた人が犯罪に走る例がある一方で、弱い立場の人々を毒牙にかける悪人もいる。

    息子が通報

    同国の北東部、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の端川(タンチョン)市で昨年12月24日、多くの住民が見守る中で公開裁判が行われた。裁かれたのは例えば、地元の鉱山で採掘された鉛や亜鉛を密売した労働者たちで、いずれも懲役刑が言い渡された。

    この鉱山では昨年11月にも、鉱山労働者を含む30人を対象にした公開裁判が行われるなど、治安の悪化、不正行為の蔓延が顕著になっている。

    しかしこの日、裁判を見守る住民たちの関心は、ひとりの殺人犯に集中していた。

    鉱山の坑道の管理担当者だったこの男は、少女を含む3人の女性を、性的暴行を加えた末に殺害。自宅のキムチの甕(かめ)の下に遺体を埋めていた。その極悪非道な行いは2年余りにも渡ったが、実の息子の通報により逮捕されたのだ。(関連記事:北朝鮮で孤児院教師が少女17人を性的虐待、怒る市民たち「厳罰を」

    犯行が露呈するのに時間がかかったのは、男が身寄りのないコチェビ(ストリート・チルドレン)を狙ったからだ。北朝鮮当局は最近、孤児院の環境改善に力を入れているもようだが、少し前まで、その内情は劣悪そのものだった。

    施設での虐待から逃れるため、脱走を繰り返すコチェビも多くいたと言われ、そのような少年少女が犯罪者の格好の標的となってしまったのだ。

    コチェビの中には、生き延びるために窃盗などの犯罪に手を染め、半グレからヤクザに「成長」していく例も見られるとされる。それでも生き延びられたのなら、まだマシな人生と言えるのかもしれない。(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男

    前述したとおり、北朝鮮当局は最近、孤児たちの処遇改善に力を入れているとされ、一部で成果が上がっている様子も伝えられている。

  • 金正恩氏の「美人妻利権」に平壌市民の怨嗟うず巻く

    金正恩氏の「美人妻利権」に平壌市民の怨嗟うず巻く

    北朝鮮の金正恩党委員長は昨年、路面電車とトロリーバスの車両を製造する工場を視察した。新型車両に試乗し乗り心地を評価すると同時に、このような真情を吐露している。

    「わが人民が古びた大衆交通手段に不便を感じる一方で、通りにタクシーがますます増えるのを見るたびに心が重かったが、今や展望が明るくなった、本当に満足だ」

    しかし実際のところ、平壌市内を走るタクシーの裏には金正恩氏の「美人妻利権」が隠れていると言われる。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

    島根県の朝鮮総連系の建設資材販売会社が1992年、朝鮮合弁総局と合弁で設立した光雲合作会社が始めた北朝鮮のタクシー事業。現在、平壌市内を走るタクシーの正確な台数は不明だが、数千台規模と言われている。

    最大手の大同江旅客運輸事業所を始め、6〜7社が営業しているが、その中のあるタクシー会社が庶民の怨嗟の的となっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    平壌の情報筋によると、それは人民保安省(警察庁)所属のタクシー会社だ。社名には触れていないが、元々は張成沢(チャン・ソンテク)元国防副院長の姪の夫で、元俳優のチェ・ウンチョル氏が経営する対外奉仕総局傘下の会社で、市内のタクシー事業を独占していたと伝えられている。ところが、張成沢氏は2013年12月に処刑され、チェ氏も粛清された。

    (参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

    タクシー会社は労働党に移管されたと言われていたが、情報筋によると現在は人民保安省の所属となっている。そして、このタクシー会社の裏にいると平壌市民の間で噂されているのが、金正恩氏の美貌の妻、李雪主(リ・ソルチュ)氏の側近なのだ。そのことで同社のタクシーは「李雪主タクシー」と呼ばれるようになったという。

    別の情報筋によると、平壌市民の間では「金正恩氏は党と軍と、(妹の)金与正(キム・ヨジョン)氏は国家保衛省(秘密警察)を、李雪主氏は人民保安省を掌握したという噂が出回っている」とのことだ。

    情報筋は、このタクシーについてこんな話を伝えた。

    「朝夕のラッシュアワーが過ぎると停電になることが多い。路面電車やトロリーバスの停留所の周辺には、約束していたかのように特定のタクシーが現れる」

    公共交通手段が停電で運転見合わせになれば、市民はタクシーを使わざるを得ないが、それを狙ってタクシーがやってくる。つまり、停電も国の指示ではないかと疑っているということだ。地方政府は、タクシードライバーからの上納金で潤っていることを考えると、あながち的外れの噂とも言えないだろう。

    タクシーの急増に伴い、苦境に立たされているのは「特流栄誉軍人」と呼ばれる人々だ。兵役中に事故などで手足を失い働くのが困難な傷痍軍人のことを指すが、金正日総書記は生前、彼らの生活保障のために、「トントンタクシー」の営業許可を特別に与えた。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    オートバイを改造し、後ろに荷台をつけたもので、乗客は8人、荷物なら1トンまで載せられるもので、庶民向けの乗り物だ。初乗り2ドル(約220円)の一般タクシーの半分の料金で、より多くの人が乗れるため、市民の間で人気が高い。

    平壌市民の目には、父金正日氏の配慮で生計を立ててきた特流栄誉軍人が、息子の妻により暮らしを脅かされているという図式に映っているのだろう。「タクシーの増加で心が重い」という金正恩氏の言葉は、そんな庶民感情を読み取ってのことなのだろうか。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故