過激化するデモ、セウォル号の遺族たちは何に憤っているのか…「子供が消えた街」からのレポート

20140913
遺族らを誹謗し、断食闘争への当てつけでピザを食い散らかす人々

唖然とさせられたのは、特別法制定を求めてハンガーストライキを行う遺族代表の目前で、数十人がフライドチキンやピザを貪り食った右翼系グループのパフォーマンスである。

その様子が報道されるや、良識ある人々が怒りを爆発させたのは言うまでもない。

一方、事故から1周年を迎えて発生した騒乱に対して、多くの韓国国民が冷たい視線を向けているのも事実だ。遺族らの不幸をタテに政治的な思惑を遂げようとの考えがどこかにあるなら、それはむしろ、悲しみに裏打ちされた彼らの怒りを濁してしまうだろう。

しかしそうだとしても、遺族らは真相解明につながりそうなあらゆる可能性に手を伸ばさざるを得ないのではないか。

韓国社会はセウォル号事故を受けて、分裂の危機に瀕していると言っても過言ではないのだ。

亡くした子の「学費」を真相解明に使う

「それでも国民の大部分は、事故の真相を解明することで身を正そうと考えています。事故の背景に、『無責任さ』という社会の構造的問題があったのは明らか。それを直視し、乗客たちの犠牲をより良い国作りにつなげなければならない。

しかし保守的な国の指導者層は、自分たちの既得権を守ることに汲々とし、様々な事実を隠ぺいしている。自分で自分の体にメスを入れることを、彼らだけが拒否しているのです」(郭氏)