金正恩氏の新年の辞「平昌に参加も」表明はワナである
いずれにしても、韓国は北朝鮮と米国の板挟みになり、苦しい立場に置かれる可能性が高い。そして、韓国が最終的に北朝鮮に「NO」を突き付けたとしても、北朝鮮が失うものはない。もうしばらく核・ミサイル実験を続けながら、そのすべてを韓国と米国のせいにしつつ、自分たちに必要なタイミングで実験停止を宣言すれば良いのだ。
(参考記事:北朝鮮は遠からず「核・ミサイル実験の停止」を一方的に宣言する)
あるいは、上手く行って韓国が言うことを聞いたならば、自国の核武装を既成事実化し、経済制裁を骨抜きにする道も開ける。
そもそも北朝鮮が核兵器開発を加速させたのは、米国に対する抑止力を持つと同時に、韓国をこうした心理戦で攻略するためでもあるのだ。
(参考記事:金正恩氏を暴走に駆り立てる「8月の怨念」と戦争の危機)
今後、韓国政府が金正恩氏の呼びかけにどのように対応するかが注目されるが、文在寅政権は平昌五輪以外に南北関係の転換点を見いだせていないだけに、北からの対話攻勢の前にフラフラになってしまう可能性が小さくないと筆者は見ている。