河原で500人死亡の地獄絵図…「速度戦」と呼ばれる殺人キャンペーン
だが、独裁者が直接指揮する建設プロジェクトでそんなことをしたら、命がいくつあっても足りないのではないか――と、このように考える向きは少なくないはずだ。ところが、それでも手抜き工事は行われるのである。しかも、それを誘発するのが独裁者の命令であるというのが、問題の深刻なところなのだ。
(参考記事:「事故死した98人の遺体をセメント漬け」北朝鮮軍の中で起きていること)
金正恩氏は今回の三池淵郡の視察で、完成目標を数カ月から1年前倒しし、朝鮮労働党が創建75周年を迎える2020年10月までに終えるよう厳命した。前述したように、現地では工事の大幅なやり直しが行われているにも関わらずである。
また、元山葛麻では「30階以上の旅館、ホテルをもっと追加配置することを予見すべき」「党及び関係機関の庁舎も、高層総合庁舎の形式で建設しろ」と命令した。
三池淵郡は、厳冬期には最低気温がマイナス30度以下にもなり本来なら工事に適さない。しかし、工事のやり直しに工期の前倒しが重なり、冬場にも工事をせざるを得ない状況だという。