カテゴリー: 最新記事一覧に非表示

  • 金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったことで、準備に関わった北朝鮮側関係者が「粛清」の憂き目に遭うのではないか、との懸念が一部で出ている。先日の本欄でも紹介したが、中国駐在のある北朝鮮貿易関係者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し次のように語っている。

    「拷問」の最高責任者

    「最高尊厳(金正恩党委員長)が平壌に戻れば、会談についての総和(総括)をしなければならない。罪のない人が会談失敗のスケープゴートにされ、粛清される事態が起きるかもしれない」

    北朝鮮では過去、何度も大粛清が起きている。金正恩時代に入ってからも同様だ。ショッキングだったのは、工場の管理不備を理由にスッポン養殖工場の支配人が銃殺され、その直前の動画が公開されたことだ。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    また、処刑の方法も残忍だ。人体がズタズタになるまで機関銃を乱射し、それを群集に見せつけるようなやり方が繰り返されてきた。恐怖で人々の心を縛る目的からだ。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    粛清されても、殺されずに「革命化」と呼ばれる再教育を受けた後で復帰できる例もある。しかし、その過酷さもハンパなものではない。

    (参考記事:側近「激ヤセ写真」に見る金正恩式「再教育」の恐怖

    それでは今回もまた、会談の準備に携わった外務省などの幹部らが粛清されてしまうのかと言えば――多分、そのようなことにはならないと、筆者は考えている。

    この間の報道で日本でも広く知られるようになった李容浩(リ・ヨンホ)外相や崔善姫(チェ・ソニ)外務次官は、北朝鮮の対米外交のエース中のエースだ。そんな人材を失えば、そのダメージは計り知れない。

    その一方、金正恩氏から目を付けられそうな人物もいる。国家保衛省の元トップで、2017年に失脚した金元弘(キム・ウォノン)氏だ。

    国家保衛省は、拷問などの手段を用いながら、北朝鮮の恐怖政治を支えてきた秘密警察だ。

    しかし近年、金正恩氏は国際社会の圧力を気にしてか、国家保衛省による人権侵害を疎むようになっているもようだ。金元弘氏の失脚も、それと関係している可能性が高い。

    しかも同氏は、北朝鮮から解放直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)がスパイ容疑で拘束された2016年1月にも、同省トップの地位にあった。金正恩氏は今回の首脳会談でトランプ米大統領に対し、ワームビアさんの件について「この件を非常によく知っているが、後になって知ったのだ」と語ったという。

    この金正恩氏の言葉が事実かどうかはさておき、彼は米国人に対する人権侵害を、世界が注目する場で釈明させられたのだ。そしてその甲斐もなく、会談は物別れに終わった。

    これは、金正恩氏の怒りの矛先が、「ワームビア問題」の端緒を作った金元弘氏に向くのに十分な状況と言える。果たして今後、金元弘氏の身に何が起きるのか、はたまた起きないのだろうか。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 金正恩は米大学生が「歯がズレて死亡」した理由を知っている

    金正恩は米大学生が「歯がズレて死亡」した理由を知っている

    米バージニア大学生のオットー・ワームビアさん(当時22歳)が北朝鮮に長期拘束された後、昏睡状態で解放され、その直後に死亡した問題を巡りトランプ米大統領が非難を浴びている。

    米朝対話の「危機」に

    トランプ氏はハノイでの米朝首脳会談でこの問題に言及。すると金正恩党委員長が「この件を非常によく知っているが、後になって知ったのだ」と語ったと明かし、「私はその言葉をそのまま受け入れる」と述べていた。これに、米国の世論が反発。さらにはワームビアさんの両親が非難の声を上げたのだ。

    筆者はこの問題が、いずれ米朝関係に大きな影を落とす可能性を以前から指摘してきた。

    (参考記事:北朝鮮が拷問か…死亡の米大学生の歯列変形。米メディアが写真公開

  • 北朝鮮「虐殺された芸術団」の美人歌手が生きて帰って来た

    北朝鮮「虐殺された芸術団」の美人歌手が生きて帰って来た

    2015年3月、北朝鮮の芸術関係者を震撼させる事件が起こった。金正恩党委員長の夫人である李雪主(リ・ソルチュ)氏も所属していた銀河水管弦楽団の複数のメンバーが処刑されたのだ。銀河水管弦楽団は、金正日総書記によって2009年に創設され2012年まで精力的に公演活動を行っていたが、2013年に解散させられていた。処刑は解散から2年後の2015年に行われた。同楽団のメンバー4人は、裸で立たされた上で、遺体が原形をとどめなくなるまで機関銃で乱射されるという実に残忍な方法で処刑された。

    (参考記事:遺体が粉々になり原型とどめず…金正恩氏の「銀河水管弦楽団員虐殺」事件

    解散、そして複数のメンバーが処刑される憂き目にあった銀河水管弦楽団だが、一部メンバーが復帰したようだ。

    先月、北朝鮮の友好芸術団が中国を訪問し、27日から28日にかけて北京の国家大劇院で公演した。韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使はこの公演で、銀河水管弦楽団に所属していた女性歌手のソ・ウニャン氏とファン・ウンミ氏の姿が確認されたと自身のブログで述べた。

    ソ・ウニャン氏、ファン・ウンミ氏は銀河水管弦楽団を代表する歌手だったが、確かに2013年の解散以降、表舞台から消えていた。太氏によると、2人は処罰を免れて芸術団と音楽大学の教員などを務めていたという。今回の公演で確認されたことから2人は表舞台に復帰し、さらに「銀河水楽団の他の俳優らも音楽大学や2部類芸術団から1部類芸術団に復帰した可能性が高い」と太氏は分析する。

    ちなみに、中国に派遣された友好芸術団の団長である玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏は、北朝鮮の朝鮮中央テレビで朝鮮労働党の副部長と紹介された。副部長とは、次官級に相当するだけに、玄氏はもはや金正恩氏の側近中の側近といってもいいだろう。

    金正恩氏の実妹である金与正(キム・ヨジョン)氏が朝鮮労働党第1副部長として、公私共々金正恩氏を支えているように、玄氏も元芸術家として重要な役割を担っているようだ。

    存在感を高める玄氏や、復帰したソ・ウニャン氏、ファン・ウンミ氏のように安泰な人生を歩む芸術家がいる一方で、文字通り「血の雨」を浴びながら葬り去られた芸術家もいる。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

    銀河水管弦楽団のコンサートマスターだったムン・ギョンジン氏だ。ムン氏はモスクワにも留学し、ハンガリーのカネッティ国際ヴァイオリンコンクールで優勝するなど、華々しい経歴の持ち主だった。彼の才能にほれ込んだ金正日総書記は、1億7千万円相当の1716年製ストラディバリウスを購入し貸与したと言われている。しかし、金正日氏が愛し育てた素晴らしいヴァイオリニストを、息子の金正恩氏は容赦なく処刑した。

    (参考記事:金正恩氏は父が愛した「天才ヴァイオリニスト」を容赦なく殺した

    昨年の米朝首脳会談や南北会談を通じて、金正恩氏は「開かれた指導者」をアピールしている。しかし最高指導者になって以後、気に入らない幹部や芸術家をはじめ多くの国民を処刑した事実は消し去ることはできない。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

  • 「この国はもう終わり」北朝鮮を脱出した女性が見たモラル崩壊の極み

    「この国はもう終わり」北朝鮮を脱出した女性が見たモラル崩壊の極み

    今月5日に旧正月を迎えた北朝鮮で、オルム(氷=覚せい剤を表す符丁)と呼ばれる覚せい剤の値段が高騰しているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、覚せい剤を買い求める人が多すぎて売り切れ状態になったためだという。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    違法薬物、とりわけ覚せい剤の蔓延は北朝鮮社会が抱える深刻な問題の一つだ。北朝鮮で麻薬や覚せい剤は国家機関の主導で製造され中国や日本に密輸された。ところが、各国当局の厳しい取り締まりによって徐々に減少。それが北朝鮮国内で薬物が蔓延するきっかけとなる。薬物の「在庫」もあれば、製造技術も原材料もある。しかし売り先はない。自ずと国内で流通しはじめたのだ。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

    覚せい剤が蔓延する背景として、違法薬物が深刻な害を及ぼすという認識が国民の間で徹底されていないことがある。旧正月前後に覚せい剤の需要が高まったのも、「正月のプレゼント」として覚せい剤が贈られるからだというのだ。

    覚せい剤が贈り物として扱われるようになったのは、今にはじまったことではない。2014年に脱北した薬物密売人は、「当時、会寧(フェリョン)市に住む成人の70~80%ぐらいはオルムをやっていたと思う。私の客は、ごく普通の人々だった。警察官、保衛員、朝鮮労働党員、教師、医師たち。オルムは誕生日のパーティーや高校の卒業祝いのための、非常に良い贈り物だった」と述べている。

    さらに懸念すべきは、覚せい剤の購入層として中高生の割合が高くなっていることである。RFAの情報筋は「以前は、周囲の顔色を窺いながらオルム(覚せい剤)を入手していたが、最近では気にせずに購入している」と述べる。

    日本に在住する脱北者のAさん(40代の女性)は、薬物の蔓延が北朝鮮を離れる決定的なきっかけだったという。

    「隣家の10代の学生が覚せい剤中毒になって大変な騒ぎとなった。それをきっかけに薬物について独自で調べたところ、あまりにも薬物が蔓延する実情を見て、この国(北朝鮮)はもう終わりだと思い、脱北を決意した」

    薬物の蔓延については、金正恩党委員長も深刻な問題としてとらえているようだ。RFAの消息筋によると、「覚せい剤の製造、販売で摘発されたら死刑も覚悟しなければならない」という。それでも大金を稼ぐことができるのが、覚せい剤ビジネスなのだ。また、北朝鮮の厳しい現実があるからこそ、覚せい剤に手を染める人々がいる。

    違法薬物に対する北朝鮮社会全体の意識を変えない限り、薬物が蔓延する状況は改善しそうにない。このままだと、薬物蔓延が金正恩体制を脅かす可能性すらある。

    (参考記事:「男女関係に良いから」市民の8割が覚せい剤を使う北朝鮮の末期症状

  • 「乱れる性」に必死で抵抗する金正恩氏

    「乱れる性」に必死で抵抗する金正恩氏

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(2)

    北朝鮮の金正恩党委員長は、2017年12月23日の朝鮮労働党第5回細胞委員長大会で演説した。

    「非社会主義的現象の根絶」を訴えた。非社会主義現象とは、文字通り北朝鮮が標榜する社会主義の気風を乱すあらゆる行為を指す。

    たとえば賭博、売買春、違法薬物の密売や乱用、韓国など外国のドラマ・映画・音楽の視聴、ヤミ金融、宗教を含む迷信などなどだ。もちろん、その他の刑事事犯も含まれる。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    金正恩氏は政権の座について以来、売春の取り締まりに力を入れてきた。

  • 北朝鮮のレイプ殺人犯、実の息子の通報で極刑に

    北朝鮮北東部の鉱山で、女性のコチェビ(ストリート・チルドレン)に性的暴行を行った上で、殺害した鉱山労働者が公開裁判で無期懲役刑に処せられた。

    現地の情報筋によると、被告は40代半ばの男性A。咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)の検徳(コムドク)鉱業連合企業所で坑長を務めていた。坑長とは、鉱山の坑道の管理責任者で、安全管理などを担っている。

    息子が目撃した犯行

    Aは非常に評判のよい人物だっただけに、地元では衝撃が広がり、彼の本性を知った地域住民は、怒りに震えている。事件の顛末は次のようなものだ。

  • 「キムチの下に少女を埋めた」レイプ殺人犯に無期懲役の判決

    コチェビの中には、生き延びるために窃盗などの犯罪に手を染め、半グレからヤクザに「成長」していく例も見られるとされる。それでも生き延びられたのなら、まだマシな人生と言えるのかもしれない。(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男

    北朝鮮では近年、国際社会の制裁のしわ寄せ生活が苦しくなっているせいか、治安の悪化が伝えられている。生活苦に追い詰められた人が犯罪に走る例がある一方で、弱い立場の人々を毒牙にかける悪人もいる。

    息子が通報

    同国の北東部、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の端川(タンチョン)市で昨年12月24日、多くの住民が見守る中で公開裁判が行われた。裁かれたのは例えば、地元の鉱山で採掘された鉛や亜鉛を密売した労働者たちで、いずれも懲役刑が言い渡された。

    この鉱山では昨年11月にも、鉱山労働者を含む30人を対象にした公開裁判が行われるなど、治安の悪化、不正行為の蔓延が顕著になっている。

    しかしこの日、裁判を見守る住民たちの関心は、ひとりの殺人犯に集中していた。

    鉱山の坑道の管理担当者だったこの男は、少女を含む3人の女性を、性的暴行を加えた末に殺害。自宅のキムチの甕(かめ)の下に遺体を埋めていた。その極悪非道な行いは2年余りにも渡ったが、実の息子の通報により逮捕されたのだ。(関連記事:北朝鮮で孤児院教師が少女17人を性的虐待、怒る市民たち「厳罰を」

    犯行が露呈するのに時間がかかったのは、男が身寄りのないコチェビ(ストリート・チルドレン)を狙ったからだ。北朝鮮当局は最近、孤児院の環境改善に力を入れているもようだが、少し前まで、その内情は劣悪そのものだった。

    施設での虐待から逃れるため、脱走を繰り返すコチェビも多くいたと言われ、そのような少年少女が犯罪者の格好の標的となってしまったのだ。

    コチェビの中には、生き延びるために窃盗などの犯罪に手を染め、半グレからヤクザに「成長」していく例も見られるとされる。それでも生き延びられたのなら、まだマシな人生と言えるのかもしれない。(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男

    前述したとおり、北朝鮮当局は最近、孤児たちの処遇改善に力を入れているとされ、一部で成果が上がっている様子も伝えられている。

  • 【写真】元人気女子アナが韓国政府を猛批判「北が敵じゃないって…」

    【写真】元人気女子アナが韓国政府を猛批判「北が敵じゃないって…」

    韓国の最大野党・自由韓国党のペ・ヒョンジン前非常対策委員会報道官が、韓国国防省が発表した国防白書の最新版から「北朝鮮は主敵」との表現が消えたことを巡り、「ならば徴兵は何のためにするのか」と猛批判している。

    韓国MBCテレビの元アナウンサーで、同局の看板キャスターだったペ・ヒョンジン氏は昨年3月9日、自由韓国党に入党。非常対策委員会の報道官を昨年末まで務めた。現在は同党の地域組織の委員長として、次期総選挙に備えている。

    (参考記事:【写真】韓国MBCの元美人キャスターが自由韓国党入り

    最近、支持率が低迷する文在寅大統領に対し強気の攻勢に出ている自由韓国党だが、ぺ・ヒョンジン氏は経歴が経歴だけに、その発言に対する注目度も高い。

    (参考記事:【写真】文在寅批判の「美人過ぎる」野党議員…過去には「親日派」報道も

    同氏は15日、自身のフェイスブックに次のように書き、政権の姿勢を批判した。

  • 「韓国は正気なのか!?」なじられても親北に向かう文在寅政権のDNA

    「韓国は正気なのか!?」なじられても親北に向かう文在寅政権のDNA

    韓国国防省が2年に一度刊行している「国防白書」の最新版(2018年)から、「北朝鮮政権と軍は敵」という表現が削除された。北朝鮮を「敵」とする表現は1995年版で初登場し、その後は出たり消えたりを繰り返してきた。現在、韓国と北朝鮮が対話を進めていることを踏まえれば、今回の国防白書から「北朝鮮は敵」との表現が消えたのも、さほど驚くことではないかもしれない。

    とはいえやはり、朝鮮半島情勢の大きな流れを見るとき、こうした動きが北朝鮮の金正恩党委員長のリードの下に生まれているとの印象を、完全に拭うことはできない。

    北朝鮮の巧みな外交術のベースとなっているのは、徹底した「原則論」である。そして、対韓国におけるそれは、「わが民族同士」だ。米国をはじめとする外部の影響を徹底的に排除し、朝鮮半島の問題は「民族自主」の原則で解決しようというものだ。

    これはシンプルなようで、多角的な外交関係を持つ現代の民主国家には、なかなか適用しにくいものだ。韓国は米国をはじめ国際社会との協調を抜きにして、安全保障も経済も成り立たない。北朝鮮はそれを知っていて「わが民族同士」を韓国に押し付けてきたのだ。時に、韓国の姿勢が気に入らないと「お前たちは正気なのか」と上から目線でしかりつけ、ゆさぶりを強めるのである。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    もともと文在寅政権を支える韓国の左派は、「民族自主」のお題目に弱い。政権や与党幹部の中には学生運動時代、我が道を行く北朝鮮に憧れていた人々が数多くいる。時に、対北対応を巡って米国の「韓国パッシング」が取り沙汰されるが、その原因は文在寅政権のDNAにあるとも言えるのだ。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

    金正恩氏は今年の施政方針演説「新年の辞」においても、民族自主の原則を例年にも増して強調した。経済政策などに対する批判から支持率が低迷する文在寅政権は、ほとんど唯一の成果とも言える南北対話を、絶対に失うことが出来ない。つまりそれだけ、金正恩氏に足元を見られやすくなっているというわけだ。

    民族自主は決して悪いことではないが、あまり急激に深入りすると、国際協調に戻るのが困難になりかねない。

    果たして今の文在寅政権に、その微妙な速度調節をする心理的余裕があるだろうか。

    (参考記事:日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    

  • 【写真】文在寅批判の「美人過ぎる」野党議員…過去には「親日派」報道も

    韓国最大野党・自由韓国党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表が、文在寅大統領の「対日発言」を厳しく批判。そのことが日本でも報道されている。

    羅氏は14日に開かれた党の非常対策委員会の会合で、「日本はもっと謙虚に」などと発言した文在寅氏の年頭会見について「日本を不必要に刺激したのではないかという話がある」と指摘。「文在寅政権が、反韓感情が極度に高まっている日本をどうにもならない状況まで追い込むならば、韓国への経済的な打撃はもちろん、韓米日同盟の弱体化に対する懸念が深まるだろう」との懸念を示した。

    女性として初めて同党の院内代表となった羅氏は、韓国で長らく「美人過ぎる議員」として注目を集めてきた人物だ。

  • 日韓関係が「ひとつの終わり」を迎えた歴史的必然

    日韓関係が「ひとつの終わり」を迎えた歴史的必然

    韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日の年頭記者会見で、日本企業に元徴用工に対する賠償を命じた韓国最高裁判決を巡り「日本の政治指導者が政治的な争点とし、問題を拡散させているのは賢明でない」「日本政府はもう少し謙虚な立場を持たねばならない」と注文をつけた。

    これに対し、菅義偉官房長官は11日、「韓国側の責任を日本に転嫁するもの」であるとして強く批判。するとまたもや韓国から反発の声が聞こえるという展開になっている。

    日韓関係がこのところ険悪さを増している原因は、様々ある。

    (参考記事:日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    ただ、こうしたコミュニケーション上の「こじれ」が火に油を注いでいる部分も大きいように思われる。

    現在では考えられないことだが、日韓の間には昔、政財界にわたる「日韓癒着」が、両国の様々な社会問題・国際問題の根となっていた時代があった。一例を挙げるなら、韓国中央情報部(KCIA)が日本で強行した「金大中拉致事件」の政治的な幕引きのため、韓国側の密使として田中角栄首相らに巨額のカネを持参したのが、「ナッツ姫」こと趙顕娥(チョ・ヒョナ)元大韓航空副社長の祖父・趙重勲(チョ・ジュンフン)氏だった。

    (参考記事:【日韓国交50年】田中角栄と「ナッツ姫」祖父が残した日韓政治の闇

    東西冷戦構造の中、日韓は米国を軸として実質的な同盟となり、歴史問題を脇へ置く形で利害を共にしていたわけだ。中でもとりわけ保守政治家同士の結びつきは強く、相互に利権を与えあっていたのである。

    (参考記事:【日韓国交50年】岸信介から安倍晋三まで…首相一族の「在日人脈」と「金脈」

    もちろんその時代にも、歴史問題は存在していたわけだし、韓国には日本への反発もあった。軍事政権時代には、韓国はそれを力で抑えつけていた部分もあったが、それだけではない。かつて日本の統治を受けた韓国の政官財界には、朴正煕元大統領をはじめ、日本語がペラペラの有力者が多かった。民主化後に大統領になった金泳三、金大中の両氏も日本語が流暢だった。

    (参考記事:【動画】金大中元大統領は日本語がペラペラ

    一方、日本の側には韓国語の出来る人がそれほど多かったわけではない。双方の円滑なコミュニケーションは、韓国サイドの日本語力の高さに依存していた部分が大きかった。

    しかしその後の世代交代により、韓国側のそうした人材はどんどん減った。日本に留学する韓国人は多いが、その中から政治や対日外交で重要な役割を担う人材がどんどん生まれているという状況ではない。グローバル化の中、韓国のエリートが日本語よりも英語や中国語の習得に向かうのは、仕方のないことだろう。

    つまりある時代までの日韓外交の現場には、言葉の面で、外国同士でありながら外国同士ではないような部分があったのだが、それが急速に変わってしまったわけだ。文在寅大統領の側近の中に、日本語の上手な人はいないとされる。

    かつては普通に出来たフランクな会話が、今ではまったく出来なくなってしまった。そのせいで日韓は、いきなりコミュニケーションの断絶を感じるようになった。そのインパクトは、確実に日韓関係に影響していると思う。

  • 日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    日韓の「レーダー照射問題」が混迷の度を深めているが、こうした問題の理想的な解決策は、双方の実務者が「現場で何が起きたか」を互いに情報を出し合って事実を見極め、必要なら再発防止策を講じる――という形にあったはずだ。

    しかし、今回の問題はすでに実務レベルを飛び越えて政治問題化し、さらには世論化してしまっている。

    そうなってしまった理由を探ってみたところ、日韓の情報関係筋から次のような解説を聞いた。

  • 「金正恩の喜び組」に韓国の女子大生が猛反発

    「金正恩の喜び組」に韓国の女子大生が猛反発

    北朝鮮の金正恩党委員長は昨年9月に行われた南北首脳会談で、訪韓の意思を表明した。金正恩氏の訪韓を最も望んでいるのは支持率低迷にあえぐ文在寅大統領だろう。金正恩氏は、12月30日に文在寅氏に当てて送った親書で、訪韓実行の意思を改めて示したが、実のところ、北朝鮮側は熱が冷めてきているようで、訪韓がいつごろになるかはなお不透明だ。

    金正恩氏の訪韓を待ちわびるのは文在寅氏だけではない。韓国の一部の大学生が金正恩氏の訪韓を熱烈に歓迎する動きを見せており、これが波紋を呼んでいると韓国の大手紙・朝鮮日報の電子版が伝えている。

  • 「羽振りのいい写真技師」は韓流ドラマの密売屋だった

    「羽振りのいい写真技師」は韓流ドラマの密売屋だった

    北朝鮮の写真館で働く写真技師と従業員が、保衛部(秘密警察)に逮捕された。容疑は、韓流ドラマや映画を密売したというものだ。

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、事件が起きたのは清津(チョンジン)市の羅南(ラナム)区域にある羅南写真館だ。

    (参考記事:北朝鮮の少年少女が恐れる「少年院送り」…それでも止められない遊びとは

    北朝鮮で写真館は斜陽産業だ。携帯電話の普及が爆発的に進んでいるからだ。人口2500万人の北朝鮮での携帯電話の普及台数は、500万台(大韓貿易投資振興公社<KOTRA>の今年9月の資料)とも、600万台(IBK経済研究所のチョ・ボンヒョン副所長)とも言われている。

    客の減少で写真館は火の車のはずなのに、勤務する写真技師と従業員は妙に羽振りがいい。それを不審に思った別の従業員が保衛部に密告し、今月初めに家宅捜索が行われた。

    その結果、店内から韓国、香港、米国のドラマや映画のDVDが大量に発見され、2人は逮捕され、外国の映像をUSBメモリなどにコピーしたり、レンタルしたりして荒稼ぎしていたことが判明した。

    おそらく2人は取り調べの過程でひどい拷問を受けたのだろう。顧客の情報を全部話してしまったがために、大学生、労働者、兵役を終えたばかりの青年まで芋づる式に逮捕されてしまった。

    (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

    「多くの人がわけもわからないままに保衛部に連行され、映画のせいだということを知り当惑している。どんな処罰を受けるかわからず不安に震えている」(情報筋)

    近隣住民は、10年に渡る兵役で苦労を重ねた青年が、映画を見たという理由だけで逮捕されたことについて怒りをあらわにしつつ、写真館の2人については「見せしめとして重罰に処されるだろう」と見ている。

    北朝鮮当局は、南北和解ムードがもたらす社会の緩みに対して非常に厳しい姿勢を取っている。その最たる標的となっているのが韓流だ。以前ならワイロでもみ消すこともできたが、最近ではそれも効かず、中学生や幹部の子弟なども逮捕されるなど、逮捕者が続出している。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 歯がズレて死亡の米大学生に「北朝鮮がペンチで拷問」…米裁判所

    北朝鮮に長期拘束された後、昏睡状態で解放され、その直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)の両親が北朝鮮に賠償を求めていた訴訟で、米ワシントンDCの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮に対し5億0100万ドル(約552億円)の支払いを命じた。

    米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が27日付で伝えたところによると、同地裁のベリル・ハウェル首席判事は判決とともに公開した「意見書(memorandum opinion)」で、北朝鮮がワームビアさんに「ペンチ」や「電気ショック」を利用して拷問を加えていたと考えられる、という専門家の意見を採用した。ハウェル氏は、ワームビアさんの足にある大きな傷跡や、歯の位置が変わっていると証言した主治医の調書を引用し、「ワームビアさんの足に電気ショックが加えられたり、歯の位置を変えるためペンチを使ったりしたことを裏付けている」と記している。

    問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、北朝鮮に行く前のワームビアさんの写真ではきれいな歯並びであることがわかる。しかし、ワームビアさんな主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    ただ、米国司法はこのような判断を下したものの、北朝鮮が同裁判にいっさい対応せず、抗弁を行わなかった事実にも留意しなければならない。

    北朝鮮が自国民に対して拷問を行っているのは、様々な証言から明らかになっている。

    (参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

    その一方、VOAは11月、近年になって北朝鮮に拘束された米国人からは、精神的な圧迫を別にすると、北朝鮮当局から拷問を受けたとの証言は聞かれないと伝えている。さらに、ワームビアさんの送還交渉に当たったジョセフ・ユン国務省対北政策特別代表(当時)が。北朝鮮側の医師からワームビアさんが有罪判決後24時間以内に病院に移送されたと説明を受けた事実を根拠に、「米国政府の助けを期待できないとの話を聞いたワームビアさんが、極端な選択をした可能性がある」とした米メディアの報道に言及している。

    つまりは絶望したワームビアさんが自ら死を選ぼうとした可能性があるということだ。もしそうなら、ワームビアさんが横転するなどした際に口や顎のあたりをどこかにひどくぶつけ、歯列が変形してしまったということも考え得る。

    だがこれだと、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染した云々と説明している北朝鮮側の主張と食い違うことになり、いずれにしても矛盾は残る。

    北朝鮮が将来有望な米国の若者に拷問を加え、死に至らしめたとする今回の判決は、いずれ米朝対話に大きな影を落とす可能性もある。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 氷点下20℃…極寒の中のストリート・チルドレン

    氷点下20℃…極寒の中のストリート・チルドレン

    朝鮮半島に生息する約500種の鳥類のうち、3分の2以上が渡り鳥だ。シベリアからやって来た渡り鳥は韓国の各地で越冬したり、日本に向かう途中でしばし羽を休めたりする。北朝鮮で行き来する渡り鳥がいるが、鳥類ではなく人類のコチェビ、つまりストリート・チルドレンだ。

    北部に住んでいるコチェビの多くが、南の地方に移動しつつある。理由は単順。寒いからだ。

    咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋によると、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)や咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)の路上にいたコチェビたちが、咸鏡南道の咸興や端川(タンチョン)に移動してきている。

    恵山の川向う、中国の長白朝鮮族自治県では今月9日に氷点下25度を記録し、それ以降も最低気温が氷点下20度を下回る日が続いている。1月の平均気温を見ると、恵山は氷点下16.4度だが、咸興は氷点下4.1度。咸興が位置する北朝鮮の東海岸は、日本海を流れる暖流の影響で相対的に暖かく雪が多いのだ。暖流の対馬海流と、寒流のリマン海流のそれぞれ支流がぶつかるためだ。咸興は暖かければ10度近くになる日もある。

    北朝鮮当局は、愛育院、中等学院などというコチェビを収容する施設を建設している。しかし、あまり評判がいいとは言えない。

    (関連記事:北朝鮮で孤児院教師が少女17人を性的虐待、怒る市民たち「厳罰を」

    施設は非常に劣悪で、暴力を振るわれたり、強制労働を強いられたりする場合もある。中には臓器売買の噂すら存在する。

    (参考記事:北朝鮮の孤児院に「臓器密売」疑惑が浮上

    以前に比べると待遇はかなりマシになったと伝えられているが、厳しい規律に耐えかねて逃げ出してしまうコチェビも少なくない。

    (参考記事:北朝鮮「不良少年」収容所で待遇改善の兆しか

    充分な予算がないことが大きな原因となっている。

    「今年も予算が不足しているのに、国家建設事業に物資を総動員しているので、コチェビを収容する余裕がない。国は愛育院を建て物資を送っているが、そんな恩恵を受けられるのは数か所に過ぎない」(両江道の情報筋)

    地域の施設が収容するのは地元のコチェビだけで、他地域の者は対象外だ。保安員(警察官)に捕まれば、もともと住んでいた場所に送り返される。

    端川では端川市場、広泉(クァンチョン)市場などにコチェビの数が目に見えて増えた。商人たちは品物を盗まれはしないかと警戒している。

    「押し寄せてきたコチェビの集団をいると、(北朝鮮では)成人になった10代後半が多く、組織的に動いている。保安署ではコチェビを建設現場に送り込んだりしているが、ほとんどが逃げてきたり、揉め事を起こしたりするので管理がなされていない」

    恵山の路上からは、コチェビが目に見えて減少した。「暖かくなれば帰ってくる」(情報筋)と言われているが、それは工業地帯の咸興に比べ、貿易都市の恵山の方が暮らしが幾分楽だからだろう。

    コチェビは物乞いや窃盗だけで暮らしているわけではなく、仕事をしている場合もあるが、恵山の方がずいぶんやりやすいのだろう。

    (参考記事:北朝鮮の「少年ヤクザ予備軍」がビジネスに乗り出した

    コチェビは越冬のために比較的自由に移動する反面、農民や兵士はそう簡単に移動する訳にはいかない。

    両江道の内部情報筋によると、都市に住む商人は薪、石炭、キムチ、冬服などを買って越冬準備を終えたが、農村地域ではそれもままならない状況だという。

    相次ぐ自然災害などで凶作となり、1年分の食糧分配を受け取るはずが、1ヶ月分しか受け取れていない。恵山市郊外の江口洞(カングドン)では、キムチすら準備できていない家庭が7割に達するという。兵士とて状況は同じで、恵山に駐屯する朝鮮人民軍(キア朝鮮軍)12軍団の場合、冬服すら受け取れておらず、軍官(将校)の家族が、民間人の家に訪ねてきて穀物を借りるほどの有様だという。

  • 「焦げ臭い匂い取り締まり班」の活動を妨害する知人の犯罪

    「焦げ臭い匂い取り締まり班」の活動を妨害する知人の犯罪

    かつての北朝鮮は犯罪が非常に少ない社会だった。衣食住すべてを国から配給してもらえ、現金がさほど必要なかったこともあり、犯罪を起こす要因が少なかったのだ。それを一変させたのが、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」だ。

    配給システムが崩壊し、人々は生きていくために商売をすることを余儀なくされた。それすらできない人は、他人からモノを盗むしかなかったのだ。

    (参考記事:強盗を裁判抜きで銃殺する金正日流の治安対策

    北朝鮮の経済状況は当時と比べ好転したとは言え、国際社会の制裁のしわ寄せで、犯罪が多発する状況には変化がない。とりわけ暮れも押し詰まる今、犯罪が急増しているという。

    黄海北道(ファンヘブクト)の内部情報筋によると、懐が寒くなった人が多いせいか、事件が増加している。窃盗はもちろん、強盗や殺人も起きている。それも顔見知りの人に襲われる事件が増加しているため、「誰も信じられない」という雰囲気が高まっているとのことだ。

    保安員(警察官)は「いくら親しい人でも、夜にやって来たら玄関を開けずに翌日の昼に来るように伝えよ」「夜には絶対に外出するな」などとと言っている。

    犯罪の多発は、この時期に増加するオンドル(床暖房)による一酸化炭素中毒を未然に防ぐための活動にも、悪影響を与えている。

    人民班(町内会)では、「焦げ臭い匂い取り締まり班」を作り、見回りを行っている。午後10時、午前2時、4時の3回、町内の家を訪ね、玄関をノックして返事があるかどうかを確認し、なければ鍵をこじ開けて室内の様子を確認するというものだ。

    ところが犯罪の多発を受けて、多くの人がドアを鉄製のものに変えてしまった。また、よかれと思って行っている活動なのに、門前払い同然の扱いを受けることもあり、活動が低調になっている。そのせいで一酸化炭素中毒が増えているというのだ。店番をしていた老人が、練炭の火を消さずに寝てしまい、亡くなるという悲劇も起きている。

    (参考記事:「眠っているうちに」死者数万人、北朝鮮庶民が震える「冬の夜の恐怖」

    また、兵士による強盗事件も頻発している。当局は「兵士を装った民間人の仕業」と言っていて、実際にそのような事例もあるが、兵士による犯罪が増えているのは確かだとのことだ。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    もっとも、軍の冬季訓練の間は強盗事件が減る傾向にある。

    冬季訓練は、毎年12月から翌年の3月末まで行われる。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士のみならず、教導隊や労農赤衛軍などの民間防衛組織も訓練に動員され、一般住民は灯火管制、避難訓練などに参加させられる。

    それでも、まともな食事を与えられずに厳しい訓練をさせられる兵士が、農場や民家を襲う事例は少なくない。「農場の圃田は私の圃田」というスローガンをもじった「人民の圃田は私の圃田」と、アニメの『ドラえもん』に登場する剛田武のような「ジャイアニズム」を振りかざして食糧を略奪する。

    (参考記事:【スクープ撮】人質を盾に抵抗する脱北兵士、逮捕の瞬間!

  • 金正恩が最も恐れる「パンク青年」の影

    東京新聞は25日、北朝鮮当局が今年8月に青年層への教育と統制を強化する指示を全国的に下していたと、内部文書を引用して報じた。この文書で取り締まり対象として挙げられているのは、「傀儡映画などの不順出版宣伝物」や「異色な踊りや歌」などだ。つまり韓流ドラマ、映画、バラエティ、K-POPのことを指す。

    (参考記事:「網タイツ」を取り締まれ…金正恩氏の命令でキャンペーン

    北朝鮮では今年に入ってから、一連の非社会主義的現象(当局が考える風紀を乱す行為)の取り締まりが行われ、春には韓流ドラマを見ていた若者が少年院送りの処分を受けているが、若者への締め付けは強まる一方だ。そこからは幹部の子弟とて逃れられない。

    (参考記事:北朝鮮の少年少女が恐れる「少年院送り」…それでも止められない遊びとは

    平安南道(ピョンアンナムド)内部情報筋によると、平城(ピョンソン)市の中徳(チュンドク)高級中学校3年生(高3に該当)の生徒5人が韓流ドラマを見ていたところを踏み込まれ、保衛部(秘密警察)に連行された。

    その後、5人の中に平城市人民委員会(市役所)の幹部の子弟が含まれていることが判明した。当初、保衛部は事件をもみ消そうとした。幹部の子弟に手荒な真似をすると、どのような仕返しに遭うかわからないからだ。しかし、上部から「厳しく取り締まれ」との指示が下されたため、通常通り取り調べを進めているとのことだ。

    この件について情報筋は「南北の若いムードがあふれる時期だからこそ、あえて強く処罰している可能性が高い。上部の指示もあったので保衛部は幹部の子どもに対して罰を下すだろう」としている。この情報筋は東京新聞が報じた指示については認識していないもようだが、若者に対する締め付けの強化を肌で感じ取ったようだ。

    「チャンマダン(市場)世代」と呼ばれる若者は、北朝鮮当局が最も恐れる存在だ。

    日々の食糧から住宅に至るまで、ほぼすべてのものを国から配給で受け取り、国や指導者をありがたく思っていた上の世代とは異なり、配給制度の崩壊後に育った若者は、国や指導者、社会に対して無関心で、自分の暮らしを優先させる。

    また、スマホなどのデジタルデバイスの扱いに慣れており、韓流などの外国発の文化コンテンツを流通させるなど、当局にとって非常に頭の痛い存在だ。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    若者たちは、統制強化と重罰化でしばらくはおとなしくしているだろうが、ほとぼりが冷めれば取り締まりが骨抜きにされるのが北朝鮮の常だ。彼らが「不順出版宣伝物」や「異色な踊りや歌」を捨て去り、社会主義の偉大な理想に燃えることなどありえないのだ。

    (参考記事:世界で最も過激な「BTSファン」は北朝鮮にいた

    上述の指示文には、中国との国境に面した慈江道(チャガンド)中江(チュンガン)郡で「おんどりのような頭で出歩く」青年の話が出てくる。記事はモヒカンのことを指すのでないかとしているが、これを持って「北朝鮮にもついにパンクスが登場した」と考えるのは早計だろうか。

    (参考記事:亡命した北朝鮮外交官、「ドラゴンボール」ファンの次男を待っていた「地獄」

  • 「資本主義の恐ろしさ」体験談に興味津々の北朝鮮国民

    「資本主義の恐ろしさ」体験談に興味津々の北朝鮮国民

    韓国統一省の統計によると、今年11月末までに韓国に入国した脱北者の数は1042人で、昨年の1045人とほぼ同数だ。2009年には2914人に達したが、その後は減少に転じ、金正恩氏が北朝鮮の最高指導者に就任してからは、年間1000人から1500人の水準で推移している。国境統制の強化によるものと思われる。

    その一環として北朝鮮当局が、「中朝国境の全域に監視カメラを設置せよ」との指示を下したと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋が伝えた。

    国境警備隊の2個大隊が担当している鴨緑江沿いの約12キロについては、監視カメラの設置が完了し、大隊の指揮部には監視装置が設置された。しかし、「極秘になっているため、どのような装置が導入されたのか、担当者以外には誰もわからない」(情報筋)とのことだ。

  • 金正恩「2019年終末論」も予言…北朝鮮で「占い師」ら処刑

    北朝鮮で、占いに対する取り締まりが厳しさを増している。これまでは比較的取り締まりが弱かったが、最近になって銃殺刑が執行されるほどになっている。

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、先月17日に清津(鄭進)で、20代前半の占い師の女性が銃殺された。

    一方、穏城(オンソン)では「ヒスン」という名の女性占い師が労働教化刑(懲役)18年を宣告された。会寧(フェリョン)では占い師6人が逮捕され、保安署(警察署)で取り調べを受けているが、「いずれ銃殺になる」との噂が流れているとのことだ。

    (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

    このような占いに対する厳しい取り締まりは、かなり異例のことだ。北朝鮮の刑法256条(迷信行為罪)では、金品を受け取って「迷信行為」を行った者に対して1年以下の労働教化刑、罪状が重い場合は3年以下の労働教化刑に処すと定めている。つまり、取り締まり自体が「理不尽」ではあっても、刑罰は比較的軽い。

    これまで取り締まりが緩かったのは、客に権力者が多いことが影響していたのかもしれない。しかし、金正恩党委員長にとって非常に都合の悪い噂を流されたりすることもあり、取り締まりが強化されている模様だ。

    (参考記事:金正恩氏の「血の大虐殺」を予言していた北朝鮮の占い師たち

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、2016年頃には金正恩氏の運は2019年に尽きるという、「金正恩2019年終末説」が流布したこともあった。

    (参考記事:北朝鮮で拡散する「2019年金正恩終末論」

    金正恩氏は今年7月、「迷信行為を強力に取り締まり、処罰する」という方針を下し、最近になって迷信行為を根絶せよという内容の指示文を下した。

    金正恩氏は迷信行為に対して「厳重に処罰しろ」と指示したとのことだが、これは国民の間では「銃殺すべき者は銃殺し、教化所(刑務所)送りにすべき者はさっさと送ってしまえ」という意味合いで受け止められている。

    取り締まり以外でも、住民を対象とした講演会や会議で「迷信行為をするな」「迷信行為を行った者も、してもらった者も処罰する」という教育がなされている。

    韓流コンテンツなどを取り締まるタスクフォース「109常務(サンム)」に摘発される事例もある。昨年、穏城に住むある人は、家宅捜索に入った109常務により、占い師に書いてもらった御札を見つけられ、何度も呼び出しを食らった上で、タバコ3箱を渡してもみ消したとのことだ。

    しかし、苦しい時の神頼みならぬ占い師頼みで、当局がいくら取り締まりを行っても、占いが消えることはなかった。

    「占いは誰でも年に1回は見てもらうものと考える。精神的につらいことが多かったり、仕事がうまくいかなったりしたら、占いに頼ろうとする」(情報筋)

    「1990年代の大飢饉『苦難の行軍』のころ、占い代は50北朝鮮ウォンだった。コメ1キロを買える額だったが、周りで餓死する人が多く社会が混乱している時こそ、占いに頼ろうとする人が多い」 (咸鏡南道<ハムギョンナムド>出身の脱北者)

    「苦難の行軍」の当時、端川(タンチョン)では占い師2人が銃殺され、教化所送りになった占い師も少なくないとのことだが、それから20年経っても占いは根絶されていない。

    (参考記事:北朝鮮の「占い」取り締まりで女性客ら多数逮捕

    逆に言うと、占いは「この程度」の取り締まりで見逃してもらえているとも言えよう。同じ「迷信行為」に分類されているものの中でも、キリスト教は遥かに過酷な扱いを受けている。

    (参考記事:実はクリスチャンの家系なのに…キリスト教徒を処刑してきた北朝鮮の独裁者たち

  • 「公開処刑」「虐待労働」衛星写真が暴く北朝鮮の秘密

    「公開処刑」「虐待労働」衛星写真が暴く北朝鮮の秘密

    告発続く北朝鮮の人権侵害(4)

    米国のNGOである北朝鮮人権委員会(HRNK)は8月30日、咸鏡北道(ハムギョンナムド)の清津(チョンジン)にある25号管理所の収監者たちが強制労働させられる様子を撮った衛星写真を公開した(上)。北朝鮮の人権侵害の様子が、衛星写真に捕捉されたのはこれが初めてではない。HRNKは過去、公開処刑の様子を捉えた証拠写真も公開している。

    管理所とは、北朝鮮における政治犯収容所の正式名称である。今月17日、国連総会が14年連続で採択した、北朝鮮の人権侵害に対する非難決議は、政治犯収容所の閉鎖と全ての政治犯の釈放を要求している。

    国連の北朝鮮人権調査委員会(COI)が2014年2月に発表した最終報告書によれば、北朝鮮には4ヶ所の政治犯収容所がある。また、教化所(刑務所)に転用されたとの説がある施設がもうひとつあり、8万人から12万人の政治犯が収容されていると見られている。

    政治犯収容所に警備隊員として勤務し、その恐怖の実態を告発し続けている脱北者・安明哲氏によれば、「そこでは人間が想像しうる、ありとあらゆる残酷なことが行われていた」という。まさに、実在する「地獄の一丁目」である。

    政治犯収容所の写真自体は、これまでにも数多く撮影されているが、HRNKが公開した写真では初めて、収監者や警備隊員と見られる人影が確認された。写真に付けられたキャプションは左上から時計回りに、◆収容所の監視塔◆収監者と警備隊員と推定。穀物の収穫の様子◆2017年11月6日撮影◆収容所の塀◆荷車と推定◆荷車と推定――となっている。

    一方、韓国・ソウルに本部を置く「転換期正義ワーキンググループ(Transitional Justice Working Group=TJWG)」は、北朝鮮国内で銃殺が行われた場所、死亡者の遺体が集団埋葬された推定地、遺体の火葬場所などを示したマップの制作を進めている。TJWGはこれまで、数百人の脱北者との対面調査を行い、そこで得たデータを情報技術(IT)を駆使した手法で解析し、場所を推定。その場所を地図上の座標に落とし込む作業を続けてきた。

    作業はまだ続いているが、昨年7月に中間総括として発表された報告書によると、銃殺や火あぶりなどの刑が行われた場所、集団埋葬の推定場所など計393カ所を把握したという。

    政治犯収容所には以前、有期刑の囚人を収容する「革命化区域」と、無期刑の囚人が入れられる「完全統制区域」が存在していた。そのため、革命化区域から釈放され、脱北した人々の証言により収容所の実態が外部に知られることになった。

    ところが金正恩党委員長の時代になり、北朝鮮は革命化区域をなくし、収容所すべてを完全統制区域にしてしまった。これにより、収容所の実態把握が困難になっている。

    現時点では、HRNKやTJWGなどの取り組みだけでは、北朝鮮の隠ぺい工作に対して有効とは言えないかも知れない。やはりこの問題を掘り下げるには、国家レベルでの情報収集が必要だ。

    人権問題は、間違いなく北朝鮮のアキレス腱である。また、人権問題の改善と民主化なくして、北朝鮮の本当の非核化はあり得ない。要は北東アジアの安全保障に関わる問題なのであり、そういった視点から、相応の予算を投じた情報収集に、いずれかの国が動き出すことが待望されている。

  • 韓国の情報力劣化か…金正恩氏の側近「消息不明77日間」は間違い

    韓国紙・中央日報は26日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の側近のひとり、朴光浩(パク・クァンホ)党副委員長(宣伝扇動部長兼任)が、「公開の場に姿を見せなくなって25日で77日が過ぎた」と伝えた。

    朴光浩氏が兼務する党宣伝扇動部長は、北朝鮮の思想統制やメディア戦略を統括する責任者だ。また同氏は、金正恩氏の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長の直属の上官であり、

    朴光浩氏の身の上に何かあったとすれば、注目すべき動向と言える。しかし、中央日報が伝えた「姿を見せなくなって77日」というのは間違いである。朴光浩氏は11月2日の公式行事に参加していたことが、北朝鮮の国営メディアの報道から確認できるのだ。ということは、同氏が公開の場に現れなくなったのは、正確には77日ではなく58日だ。

    些細な違いかも知れないが、公式報道から要人の動静を割り出すのは、北朝鮮分析の基本中の基本だ。それを見落とすとは、韓国の対北情報能力の劣化を示しているのかもしれない。

    ちなみに2016年2月、韓国では北朝鮮の李永吉(リ・ヨンギル)軍総参謀長が処刑されたとの情報が出回ったことがあった。しかし李永吉は同年5月、降格されながらも健在であったことが確認された(現在は総参謀長に再登板)。

    (参考記事:北朝鮮「処刑された軍高官」が再登場した!

    北朝鮮の人事情報の確認が、難しいものであるのは確かなのだ。

    では、今回の中央日報の報道を、詳しく検証してみよう。同紙は韓国政府当局者の話として、次のように伝えている。

  • 死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

    死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

    北朝鮮に拘束され米国に帰国直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)の両親が北朝鮮に賠償を求めていた訴訟で、米ワシントンDCの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮に対し5億100万ドル(約552億円)の支払いを命じた。

    ワームビアさんは2016年1月に北朝鮮で拘束され、2017年6月に昏睡状態で米国に帰国。その直後に死亡した。両親は今年4月、北朝鮮に賠償を求める訴訟を起こしていた。

    両親側は、北朝鮮から帰国したワームビアさんの歯列が大きく変形していたことなどを根拠に、ワームビアさんが北朝鮮で拷問を受けたと主張していた。上の写真は北朝鮮に行く前のワームビアさんのエックス線写真だ。問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、この写真ではきれいな歯並びであることがわかる。

    しかし、ワームビアさんの主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    判決文と付属の意見書(memorandum opinion)に基づく米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道によれば、地裁のベリル・ハウェル判事は判決文で「北朝鮮はワームビア氏の拷問、人質、超法規的な殺人に責任がある」とした。

    また意見書では、ワームビアさんの主治医だったダニエル・カンター博士が書面陳述を通じ、死因について「脳への血液の供給が5~20分間にわたり止まったか、あるいは大きく減少したため」との結論を示した点に注目。また、「北朝鮮の拷問手法である水拷問と歯を折る拷問、電気拷問は呼吸中断につながり得るものだ」とする、ロバート・コリンズ北朝鮮人権委員会先任顧問の陳述書を引用しているという。

    (参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

    ハウェル判事はさらに、ワームビアさんの足に大きなケガがある点と、前述した歯の位置の変化についても、拷問が加えられた事実を示すものと認めたという。

    一方、北朝鮮政府はワームビアさんの死因はボツリヌス中毒症、および睡眠薬の摂取であるとし、拷問の疑いは否定している。ただ、同政府は米国での民事訴訟で、正式に抗弁する手続きを取らなかった。このことは今後の米朝対話に、大きな禍根を残してしまった可能性がある。

    VOAによれば、米国にはテロ支援国を民事訴訟の相手とすることを可能にする「外国主権免除法(FSIA)」という法律がある。ワームビアさんが拘束されてから死亡するまでの期間、北朝鮮はテロ支援国の指定から外れていた。しかしハウェル判事は意見書で、ワームビアさんの事件が北朝鮮のテロ支援国再指定につながった事実に言及し、同法により今回の訴訟が成立したことを明らかにしているという。

    さらに米国には、テロ支援国から被害を受けた国民に対し、政府が「米テロ支援国被害基金」を通じて賠償金を支払う仕組みがあるという。筆者はこの制度の中身について詳しくないが、米国政府が賠償金の一部を肩代わりするものであると思われる。

    仮に、ワームビアさんの両親がこの仕組みを通じて賠償金を受け取ることになれば、北朝鮮は米国政府に債務を負うことになるわけだ。米国が、何事においても法律を厳格に運用するお国柄であることを考えると、北朝鮮が今回の問題で生じた債務を支払わないことが、今後の両国の対話で新たなブレーキになってしまう可能性があるということだ。

    北朝鮮は、法治がきわめておざなりにされている国だが、だからこそ、米国の厳格な法治主義を理解できていないのではないだろうか。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 北朝鮮軍兵士による襲撃事件が多発…地域住民ら警戒

    北朝鮮軍兵士による襲撃事件が多発…地域住民ら警戒

    国際社会による制裁、度重なる自然災害による凶作で、北朝鮮の食糧事情は予断を許さない状況が続いている。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」のころに比べればマシなようだが、食糧を協同農場からの配給に頼っている朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士たちの状況はひどい有様だ。それでなくとも軍紀は地に落ちていたが、ここへ来て農民を襲撃する事件が続発している。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、現地に駐屯する朝鮮人民軍の12軍団は、国からの配給が滞っているため、食糧事情が極めて劣悪な状態となっている。

    飢えた兵士たちは集団で強盗や詐欺を働いている。抗議すれば暴力を振るわれることすらあるため、兵士を見かけたら避けるほどだという。住民からは「乞食軍隊」、「マフノ部隊」と呼ばれ、馬鹿にされつつ恐れられている。ている。マフノとは、ロシア革命時の黒軍の将、ネストル・マフノのことで、略奪の象徴だ。

    (参考記事:【スクープ撮】人質を盾に抵抗する脱北兵士、逮捕の瞬間!

    食糧同様に、衣類の配給も滞っている。

    冬には氷点下20度以下まで下がるこの地域の部隊に所属する兵士には、冬服や防寒靴、防寒足袋などが支給されることになっているが、12軍団の兵士には配給されず、昨冬に着ていたボロボロの冬服を直して着ている有様だという。そんな中、一部兵士が民家から中国製の靴を盗む事件が発生した。さらには住民に性的暴力を振るう場合もある。

    (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

    彼らの栄養状態が非常に悪く、結核にかかる兵士も続出している。道内の三水(サムス)郡の鹿農場には臨時結核療養所が設置されているが、収容される人の35%が軍官(将校)だという。軍官でのこの状況なら、末端の兵士の状況はより深刻であることは想像に難くない。療養所に行ったところで、治療に必要な抗生物質を得るのは難しいだろう。

    あまりの状況に脱走する兵士も多い。半年ほど復帰しなければ生活除隊(不名誉除隊)となり、今後の社会生活に様々な制限が加えられるが、それでも「死ぬよりはマシ」だと逃げる人が多いというのだ。

    ただし、同じ地域にある軍隊でも、部隊によって置かれた状況は全く異なる。国境警備隊の場合は、密輸で儲けた資金を蓄えているため、食糧、衣類ともに充分に配給を受けている上に、自主的に耕した畑から取れる作物もあるため、兵士たちの栄養状態は良好だ。

    そんな状況を知っている親たちは、息子を一般の部隊ではなく国境警備隊、海岸警備隊、海軍などに送り込むためにかなりの額のワイロを支払う。これはもはや一般的な現象だ。

    情報筋も近隣住民も12軍団の兵士たちを恐れつつも、その惨状に心を痛めている。

    「近隣住民の12軍団の兵士への視線は厳しいが、兵役に行った息子を持つ親たちは、心配している」(情報筋)

    当局は今年夏から秋にかけて、中国から大量の穀物を取り寄せて軍隊に配給し、食糧事情がかなり好転したと伝えられてきたが、それも一時的なものだったようだ。

  • 中国が拘束…金正恩氏の「友人」と女学生パーティーの秘密

    中国が拘束…金正恩氏の「友人」と女学生パーティーの秘密

    中国外交部は14日、カナダ人で北朝鮮ビジネスに携わっているマイケル・スペーバー氏を国家安全保障を脅かす容疑で拘束したと明らかにした。拘束の現場は、中国と北朝鮮の国境地域である遼寧省丹東市。スペーバー氏は、ただのビジネスマンではない。金正恩党委員長の「マブダチ」とされている人物だ。それだけに拘束の背景が気になる。

    女学生がコンパニオンとして

    金正恩氏のマブダチとして真っ先に思い浮かぶのが、米プロバスケットボールNBAの元スター選手であるデニス・ロッドマン氏だ。ロッドマン氏は2013年、いきなり訪朝して金正恩氏と面談し世界を驚愕させた。さらに翌2014年にも訪朝し、金正恩氏の誕生日(1月8日)を祝った。

    スーパースターに誕生日を祝ってもらった金正恩氏は大はしゃぎだったが、その裏では、ロッドマン一行を接待するパーティーに、名門学院から女学生たちがコンパニオンとして動員された。乱痴気騒ぎに付き合わされた彼女たちは、陰で泣いていたという。

    実は金正恩氏とロッドマン氏の仲を取り持ったのが、スペーバー氏である。スペーバー氏はカナダのアルバータ州カルガリー出身だ。2005年にバンクーバーのNGOから平壌の学校に半年間、英語教師として派遣されたことをきっかけに、北朝鮮と深い関わりを持つようになった。北朝鮮訛りの朝鮮語(韓国語)を操り、現在は中国吉林省朝鮮族自治州の延吉市に在住しながら、北朝鮮のビジネスコンサルタントと文化、教育、スポーツ交流を行う白頭山文化交流社を運営している。

    スペーバー氏は2016年に開かれた「白頭山国際フィギュアスケート祝祭」に、世界的なフィギュアスケート選手を招請した。ロッドマン氏をはじめそれなりの人脈と、企画を成立させる能力の持ち主のようだ。一方では、同年3月に開かれた「平壌国際アイスホッケー親善大会」にナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)所属の有名選手が参加すると発表したが、結局、参加したのはアマチュア選手14人だけだったという「大ぼらを吹いた」経歴もある。

    それでも、金正恩氏が心を開く数少ない外国人であることは間違いない。金正恩氏自慢の専用機に同乗したり、別荘に招かれたりという情報もある。つまり、ベールに包まれた金正恩氏のプライベートを知る人物でもあるのだ。現地指導の際、一般のトイレを使用できず、専用車のベンツに「代用品」を載せて移動しているといわれている金正恩氏のトップシークレットも知っている可能性がある。

    金正恩氏との特別な関係の見返りか、北朝鮮当局からは外貨稼ぎを依頼されているようだ。しかしここ最近は制裁の影響もあって、思うような結果を出せずに苦戦しているとの話も聞こえてくる。

    スペーバー氏が拘束された背景には、中国とカナダの対立があるとされる。今月1日、カナダで中国の通信機器大手「ファーウェイ」副会長の孟晩舟が、米国の要請により逮捕された。対イラン制裁違反の疑いだという。この後、中国で元外交官のマイケル・コブリグ氏と、スペーバー氏が拘束された。19日には3人目が逮捕された。一連の逮捕はファーウェイ副会長拘束への報復という見方が強い。

    現時点では、スペーバー氏はとばっちりを受けただけのように見えるが、北朝鮮に対するなんらかの警告の意図がまったくないとも言い切れない。いずれにせよ中国公安はスペーバー氏から、私的パーティーやその他のプライバシーも含め、金正恩氏に関する様々な情報を入手しようとしているかもしれない。だとすると、金正恩氏も心穏やかではないだろう。

  • 人身売買団のワナにはまった「ある少女」を待ち構える運命

    告発続く北朝鮮の人権侵害(3)

    トランプ米大統領は11月29日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。

    これに対し北朝鮮は、朝鮮労働党機関紙・労働新聞が12月11日付の論評で「言いがかりだ」とするなど強く反発した。論評は「米国の今回の挑発行為は、朝鮮の尊厳あるイメージをどうしてでもダウンさせ、制裁・圧迫の雰囲気をより鼓吹してみようとするものだ」と主張した。

    しかし、北朝鮮女性の人身売買が横行しているのは、あまりに明白な事実だ。北朝鮮国内での人権侵害については、同国政府が許可しないため国内での調査が難しいが、こちらの問題は現地からの情報も積み上がっている。

    北朝鮮事情に精通した中国のデイリーNK情報筋によると、両江道(リャンガンド)に住んでいた少女は最近、何らかの理由で川を渡って中国に行こうとしたところで、人身売買団に捕まってしまった。

    人身売買団は家族に電話をかけ「1万元(約16万3000円)を払わなければ、娘を中国で売り飛ばす」と脅迫してきたという。身代金は一般庶民には到底払えない額であることから、情報筋は人身売買団が、少女が経済的に余裕のある家の出で、脱北しようとしていたことを事前に察知、当初から身代金目的で拉致したものと見ている。

    このように犯罪組織のワナは、いたるところに張り巡らされている。

    運良く脱北に成功しても待ち受けているのは、監禁、拉致、強制的な性産業の従事、強制結婚などのリスクだ。

    さらに由々しきは、こうした女性らは北朝鮮に戻っても、犯罪者扱いされることが多いという事実だ。中国当局は、人身売買の被害者であれ何であれ、脱北者を逮捕して強制送還する。そこで女性たちを待ち構えているのは、拷問、強制堕胎、性暴力だ。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が最近発表した、北朝鮮における女性に対する性暴力の実態をまとめた報告書は、拘禁施設で脱北後に強制送還された女性に対する性暴力の実態について最も多くのページを割いて伝えている。