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  • 何でも「カネカネ」の北朝鮮、ついには選挙も「有料」に

    何でも「カネカネ」の北朝鮮、ついには選挙も「有料」に

    北朝鮮の国会にあたる最高人民会議の代議員選挙が、来月10日に行われる。選挙と言っても、極めて形式的なものに過ぎない。選挙期間になると、町のあちこちに貼り出されるのは候補者のポスターではなく、「全員が賛成投票しよう!」という奇異なものだ。

    投票は、候補者の名前がスタンプで押された投票用紙を投票箱に入れるだけだ。反対票を投じるなら用紙にバツ印を書いて投票するが、そんなことをしたらどうなるかは火を見るより明らかだ。下手をすれば公開処刑もありうる。

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    そんな形ばかりの選挙だが、準備にはそれなりの費用がかかる。しかし、政府はその費用を有権者に肩代わりさせている。

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、清津(チョンジン)、穏城(オンソン)、慶源(キョンウォン)など道内各地では、最高人民会議代議員選挙の投票所の設置と、宣伝活動が行われている。

    清津市内の通りには投票を呼びかけるポスターが貼られ、学生たちは冬休み返上で投票所の清掃を行ったり、選挙の雰囲気を盛り上げる歌を歌ったりしている。洞事務所(末端の行政機関)や学校などに作られた投票所には国旗やスローガンなどが掲げられ、中央選挙管理委員会の規定に従って様々な選挙用品が準備された。

    選挙を前にして人民班(町内会)では会議が行われた。そこで人民班長(町内会長)が伝えたのは、「投票の有料化」とも言うべき状況だ。

    「労働党は『人民の主権を守るべき政府が人民の懐からカネを取って投票所を設置してもいいのか。人民にそんなものを要求するな』と指示した。しかし、金がないのにどうやって投票所を設置するのか」(人民班長)

    人民班長は、さらにこんな話も付け加えた。

    「(清津の)水南(スナム)区域に住むある人は『主権の行使なのに何のカネが惜しかろう』と選挙管理委員会に10万北朝鮮ウォン(約1300円)を寄付したらしい」

    横並び意識やプライドをくすぐってカネを出させようとする、当局の常套手段だ。

    こうして、投票所を準備する費用として1500北朝鮮ウォン(約20円)から2500北朝鮮ウォン(約32円)の募金が集められた。大した金額ではないので不平不満が飛び出すこともなく、住民はおとなしく支払った。人民班長はさらに、選挙管理委員に振る舞うコメと食事の提供も要求。「募金のことは外部に漏らさないように」と念押しした。

    選挙は政治と関連することであるため、下手なことをすると政治犯になりかねない。北朝鮮で、政治犯は最も重い罰を受ける。人々はそれを恐れておとなしく従うのだ。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    「選挙と関連した問題で人民班長と口げんかなどしたら、すぐに保衛部(秘密警察)が乗り出して政治的な問題になりうる。是非はともかく、素直に従う姿を見せなければならない」(情報筋)

    (参考記事:「何かがおかしい…」国のやり方を疑い始めた北朝鮮の人々

    実際、保安員(警察官)や保衛員(秘密警察)が人民班に頻繁にやってきて、選挙関連の会議に誰が出席したかをチェックするという。

    また、選挙に際して、住民が登録した場所に住んでいるかどうかのチェックも合わせて行われ、もし住んでいないことがわかれば、脱北者扱いされ様々な不利益がしょうじる。そのため、商売の理由で遠隔地に出かけている人も大慌てで帰ってくるとのことだ。

  • 「この国はもう終わり」北朝鮮を脱出した女性が見たモラル崩壊の極み

    「この国はもう終わり」北朝鮮を脱出した女性が見たモラル崩壊の極み

    今月5日に旧正月を迎えた北朝鮮で、オルム(氷=覚せい剤を表す符丁)と呼ばれる覚せい剤の値段が高騰しているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、覚せい剤を買い求める人が多すぎて売り切れ状態になったためだという。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    違法薬物、とりわけ覚せい剤の蔓延は北朝鮮社会が抱える深刻な問題の一つだ。北朝鮮で麻薬や覚せい剤は国家機関の主導で製造され中国や日本に密輸された。ところが、各国当局の厳しい取り締まりによって徐々に減少。それが北朝鮮国内で薬物が蔓延するきっかけとなる。薬物の「在庫」もあれば、製造技術も原材料もある。しかし売り先はない。自ずと国内で流通しはじめたのだ。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

    覚せい剤が蔓延する背景として、違法薬物が深刻な害を及ぼすという認識が国民の間で徹底されていないことがある。旧正月前後に覚せい剤の需要が高まったのも、「正月のプレゼント」として覚せい剤が贈られるからだというのだ。

    覚せい剤が贈り物として扱われるようになったのは、今にはじまったことではない。2014年に脱北した薬物密売人は、「当時、会寧(フェリョン)市に住む成人の70~80%ぐらいはオルムをやっていたと思う。私の客は、ごく普通の人々だった。警察官、保衛員、朝鮮労働党員、教師、医師たち。オルムは誕生日のパーティーや高校の卒業祝いのための、非常に良い贈り物だった」と述べている。

    さらに懸念すべきは、覚せい剤の購入層として中高生の割合が高くなっていることである。RFAの情報筋は「以前は、周囲の顔色を窺いながらオルム(覚せい剤)を入手していたが、最近では気にせずに購入している」と述べる。

    日本に在住する脱北者のAさん(40代の女性)は、薬物の蔓延が北朝鮮を離れる決定的なきっかけだったという。

    「隣家の10代の学生が覚せい剤中毒になって大変な騒ぎとなった。それをきっかけに薬物について独自で調べたところ、あまりにも薬物が蔓延する実情を見て、この国(北朝鮮)はもう終わりだと思い、脱北を決意した」

    薬物の蔓延については、金正恩党委員長も深刻な問題としてとらえているようだ。RFAの消息筋によると、「覚せい剤の製造、販売で摘発されたら死刑も覚悟しなければならない」という。それでも大金を稼ぐことができるのが、覚せい剤ビジネスなのだ。また、北朝鮮の厳しい現実があるからこそ、覚せい剤に手を染める人々がいる。

    違法薬物に対する北朝鮮社会全体の意識を変えない限り、薬物が蔓延する状況は改善しそうにない。このままだと、薬物蔓延が金正恩体制を脅かす可能性すらある。

    (参考記事:「男女関係に良いから」市民の8割が覚せい剤を使う北朝鮮の末期症状

  • 14歳「隠れ韓流ファン」が人民裁判で問われた罪と罰

    14歳「隠れ韓流ファン」が人民裁判で問われた罪と罰

    北朝鮮の恵山(ヘサン)市で今月3日、大規模な住民暴露会が開かれ、14歳の中学生を含む17人が吊るし上げられたと、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。彼らが問われた罪は、韓流ドラマや映画をこっそり視聴し、映像ソフトを流布したというものだ。北朝鮮当局はこれまで、拷問などの手段も動員しながら韓流の拡散を取り締まってきた。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…]

    最近でこそ、そのような極端な手段を用いることは減っているとされるが、依然として韓流を目の敵にしていることがわかる。

    住民暴露会は、いわゆる「人民裁判」の一種だ。役場の前や学校の運動場に舞台を設置。当局の意に沿わない言動を見せた人々をそこに上がらせ、他の住民たちに糾弾するよう強要するのだ。ほかに住民総会と呼ばれるものもあり、こちらは終了後に司法機関が容疑者を逮捕する。

    住民暴露会は、逮捕するほどでもない軽微な「過ち」を対象としたものだされていたが、今回は様相が異なり、17人は保安署(警察署)に連行されたもようだ。「地元の住民たちは、6カ月から2年の労働鍛練刑(懲役)に処せられるものと見ている」と情報筋は語る。

    住民暴露会は、金日成・正日時代にも同様のことが行われていたが、金正恩時代に入り頻度が増加。小学生から老人まで、あらゆる人々が糾弾の対象にされるようになったという。

    恵山では、2年前にも大規模な住民総会が行われ、薬物使用の容疑者4人と賭博容疑者4人、売春の容疑者1人の計9人が吊るし上げられた。いずれも、金正恩氏が神経を尖らせているとされる違法行為の容疑者たちである。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち]

    北朝鮮ではかつて、金正恩氏の祖父である金日成主席が、政敵を掃滅することに血道を上げた。ソ連派や延安派などのライバルたちを、党の公式会議の場で「反党反革命分子」「宗派分子」と決めつけて排撃。治安機関に一族郎党を逮捕させ、文字通り社会から消し去った。

    その息子の金正日総書記が権力を実質的に継承した1980年代までには、彼の政敵となり得る勢力はいなくなっていた。それに替わり、当局の警戒対象となったのが国民の「心」だ。東欧社会主義圏で起きた政変の影響が、国内に及ぶことを恐れたのだ。それを食い止めるため、彼は秘密警察などを使って国民の思想を絶えず「点検」し、動揺や反抗心のうかがえる者は政治犯収容所に送るなどした。

    住民総会や住民暴露会などの手段を用いる金正恩氏のスタイルは、父の路線を踏襲したものと言える。しかし、その強硬な姿勢にも関わらず、当局の旗色は良くない。いくら取り締まっても、韓流の拡散と視聴は止まらないからだ。

    (参考記事:北朝鮮の少年少女が恐れる「少年院送り」…それでも止められない遊びとは]

    人間の「心」を統制するのは、それほど難しいことなのだ。金正恩氏もいいかげん、その辺の真理に気づいた方が身のためだろう。

  • 北朝鮮を手玉に取った「100歳老人」の痛快エピソード

    北朝鮮を手玉に取った「100歳老人」の痛快エピソード

    100歳を迎えた北朝鮮の長寿老人に、同国のテレビ記者たちがほとほと困らされたというエピソードが聞こえてきた。

    食糧難や経済の混乱が続く同国で、100歳まで長生きできる人は極めて珍しい。そのため、国営の朝鮮中央テレビは体制宣伝のための格好の素材と考えたようだが、老人はインタビューで「将軍様のご配慮のおかげで長生きできた」との言葉を最後まで口にしなかったという。北朝鮮でこのような態度は「不敬罪」に問われかねないものだが、老人はどうやら「ボケたふり」をして記者や当局を手玉に取ったようだ。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    デイリーNKの内部情報筋によれば、この出来事は1月中旬頃、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で起きた。

  • 軍隊内の「性の乱れ」に悩みを深める金正恩氏

    軍隊内の「性の乱れ」に悩みを深める金正恩氏

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は今月8日で創建71周年を迎えた。米国との非核化対話の流れを反映してか、軍事パレードなどは行われず、金正恩党委員長が人民武力省(日本の防衛省に相当)を訪問して演説するなど地味な行事だけで終わった。

    ただ、はた目には地味に見えても、演説の中身はなかなか意味深なものだった。北朝鮮の軍は近年、物資の横流しや性的虐待が横行するなど、規律が乱れきっている。

    (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

    そのような実情に対する金正恩氏の「悩み」が、演説に表れた形となったのだ。同氏は演説で、次のように述べた。

    「人民軍の党組織と政治機関で、思想と道徳は何とも替えられない革命軍隊の絶対的優越性であり、必勝不敗の保証であることを銘記し、政治・思想強兵化、道徳強兵化を二つの柱として思想活動を攻勢的に、多角的に、立体的に展開していくことによって、全軍を党と血脈が通じて思想と志、運命を共にする思想的純潔体、運命共同体にしなければならない」

    北朝鮮の最高指導者が、軍に対して「政治」と「思想」の重要さを強調するのはいつものことだ。朝鮮人民軍は「党の軍隊」であり、党の政治思想に従うのは原理原則である。

    気になるのは、それらの言葉に「道徳」が続いていることだ。道徳の大切さが改めて強調されるのは、現状においてそれが、軍内で蔑ろにされていることを金正恩氏が認識しているからだろう。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    しかし、特に女性兵士に対する性的虐待の問題は、北朝鮮の権力構造や女性蔑視、男性本意の風潮と複雑に絡み合っている。金正恩氏が演説で遠巻きに指摘したくらいでは、抜本的な改善がなされるとも思えない。

    一方、金正恩氏は同じ演説で核兵器には言及せず、「人民軍の最精鋭化は革命武力の建設においてわが党の一貫した方針である」と表明。「思想革命、訓練革命、武装装備の現代化、軍紀確立に朝鮮革命武力の最精鋭化をさらに早める根本秘訣がある」と強調した。

    軍事力の維持・強化の方針に言及した言葉だが、実に曖昧な表現である。果たして金正恩氏は、仮に本当に非核化を行うとして、その後の軍事政策をどのように考えているのか。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    それが見えてこないことがむしろ、同氏の非核化への意思を疑わせる要素にもなっているかもしれない。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「書類整理」と呼ばれる性虐待行為

  • 「独島(竹島)強奪を公式表明」北朝鮮が対日攻勢を強める

    「独島(竹島)強奪を公式表明」北朝鮮が対日攻勢を強める

    昨年、金正恩党委員長が米韓との対話路線に舵を切って以来、北朝鮮メディアは日本に対して集中的に非難を浴びせてきた。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

    それがこのところは、韓国の軍備増強や、保守派の動きにナーバスな反応を示していた。

    (参考記事:【写真】北朝鮮、韓国「美人すぎる野党議員」を猛批判…「親日派を除去せよ」

    しかしここへ来て、またもや日本への非難を強めている。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は11日、「独島(竹島)を強奪しようとする日本の挑発が続いている」とする論評を配信。河野太郎外相が「竹島は日本の固有の領土」とした発言に言及し、次のように主張した。

    「これは、日本が今年も独島強奪を基本政策課題に定めていっそう露骨に取り掛かるということを公式に表明したこととして、わが民族の尊厳と自主権に対する乱暴な挑戦であり、重大な侵略行為である」

    この問題を巡っては、朝鮮労働党機関紙の労働新聞も13日付に、北朝鮮外務省傘下にある日本研究所のリ・ハクナム研究員による、似たような内容の論説を掲載している。さらには日韓の「レーダー照射」問題を巡っても、原因は「日本側の軍事的挑発」にあるとする記事が、各メディアから相次いで出ている。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    ここへ来ての日本非難は、27~28日にベトナム・ハノイで予定されている2回目の米朝首脳会談が念頭にあるものと考えざるを得ない。北朝鮮はこの会談で、米国から制裁緩和などの譲歩を引き出せると確信しているのではあるまいか。

    仮にそうなれば、韓国と中国はすぐさま、対北経済支援に動くだろう。そうすれば、北朝鮮の立場は強まり、日本に対して過去清算を迫る姿勢も積極的になるかもしれない。

    (参考記事:「日本軍が慰安婦を虐殺した映像ある」北朝鮮メディア報道

    もちろん、北朝鮮が首脳会談で、思惑通りの成果を得られるかどうかは未知数だ。しかし、北東アジアの情勢が、ある種の「流動化」に向かっているのは確かだろう。北朝鮮が今後、日本に対して具体的に何を仕掛けてくるかが注目される。

  • 北朝鮮、韓国の「美人すぎる野党議員」を猛批判…「親日派を除去せよ」

    北朝鮮、韓国の「美人すぎる野党議員」を猛批判…「親日派を除去せよ」

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は13日、このところ険悪化している日韓関係の改善を訴える韓国の保守系議員らを「醜悪な親日逆賊」と非難する論評を配信した。

    北朝鮮は、対話の相手である韓国の文在寅政権に対しては、時にブチ切れて見せるものの、基本的には蜜月と言える関係にある。しかし、北の独裁体制を容認しない自由韓国党など保守勢力は目の敵にしており、北朝鮮メディアが最も口汚く攻撃するのも彼らだ。

    (参考記事:【写真】元人気女子アナが韓国政府を猛批判「北が敵じゃないって…」

    今回の論評が真っ先に攻撃したのは、同党の院内代表で「美人過ぎる国会議員」としても知られる羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)氏だ。

    (参考記事:【写真】文在寅批判の「美人過ぎる」野党議員…過去には「親日派」報道も

    論評は、彼女が「『北の非核化を導くうえで日本は重要な友邦』『政府が外交的無能を覆い隠すために反日感情をあおり立てている』と言い散らした」などと指摘。

    続けて「これは、民族の尊厳と利益は眼中になく、ひたすら同族対決と外部勢力追従から活路を見い出そうとする親日逆賊らの醜悪な本性をありのままさらけ出した反民族的売国行為」であるなどと罵倒した。

    もっとも、こんな口汚い誹謗中傷が、韓国世論に影響を与える可能性はゼロに近い。むしろ、北朝鮮が「親日」への攻撃を強めることで、現在の南北関係に懐疑的な人々は日韓関係についても冷静な見方をしようとするかもしれない。

    北朝鮮としては、韓国に対して歴史的な「優位性」を持っているつもりなのかもしれない。北朝鮮と日本は、過去の植民地統治について何ら「清算」を行っていない。日韓の間では、1965年に日韓基本条約および日韓請求権協定を結びながら、いまだに歴史問題が噴出する。そこで北朝鮮は韓国に対し「弱者だったお前らは足元を見られた。日本からのケジメはオレが取る」などという思いを抱いているのかもしれない。

    だが、国際政治で重視されるのは歴史問題だけではない。それよりもむしろ、世界は北朝鮮の人権問題を重視しているとも言える。

    歴史問題でも人権問題でも、大事なのは民主的な解決だ。北朝鮮は、自分こそがそこから最も遠いところにいることを知らねばなるまい。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

  • 新築住宅が同時多発的に崩壊…500人死亡の恐怖もよぎる

    新築住宅が同時多発的に崩壊…500人死亡の恐怖もよぎる

    将泉野菜専門協同農場の農村文化住宅(画像:朝鮮の今日)
    将泉野菜専門協同農場の農村文化住宅(画像:朝鮮の今日)

    北朝鮮で先月、建てたばかりの住宅が同時多発的に崩壊する事故が起きた。幸いにして死者は出なかったものの、地域住民は戦々恐々としている。

    手抜き工事が原因と見られるが、北朝鮮ではこうした事故が繰り返し起きている。2014年5月、平壌では完成したばかりの23階建ての高層マンションが崩壊し、住民や工事関係者など最大で500人が犠牲になる大惨事が起きている。こうした事実を知る住民らの恐怖はハンパではないだろう。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

    事故が起きたのは今年1月ごろのことだ。黄海南道の松禾(ソンファ)と白川(ペチョン)など複数の地域で、建てたばかりの家が崩れ落ちる事件が相次いで発生した。現地の情報筋によると、ある村では2割から3割の家で壁が崩れ落ちた。幸いにして死者はいなかったものの、多くの人が負傷し、家を失って寒空の下に放り出されてしまった。

    住宅は、当局が昨年夏に繰り広げた「農村文化革命」キャンペーンの一環として建てられた「農村文化住宅」だ。このキャンペーンの目的は、古ぼけた農村の姿を一新させ、生活水準を向上させることにあった。

    郡内の機関、企業所などから動員された人々は、まだ十分に住むことのできる家を引き倒し、新しい住宅を建てた。そんな新築の家が、1軒だけでなく何棟もが次々に崩壊したのだ。その原因について情報筋は、「万里馬速度で建てたからだ」との見立てを述べた。

    「万里馬」とは、1950年代に行われた大増産運動「千里馬運動」をもじったものだ。「速度戦」とも言われるこの運動だが、増産と時間短縮ばかりが優先され、質がないがしろにされがちだ。そのため成果よりは、弊害ばかりを生み出す結果となった。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    旧共産圏では1960年代に辞めているが、北朝鮮では今に至るまで続けている。とは言え、多少の修正も行われている。

    2014年6月20日の北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、金正恩党委員長が当時建設中だったタワーマンション団地の現地指導を行った場で「建設においては一にも二にも質の保証に優先的な関心を置くべき」「千年責任、万年保証のスローガンの元に、建築物を百点満点で完成させよ」と指示したと報じている。

    今までのやり方を踏襲しつつも、質を重視することを強調した発言だが、黄海南道の現場では全く守られていなかった。

    例えば、日干しレンガをきちんと乾燥させないまま積み上げて壁を作ったとされる。水分を含んだままのレンガが、冬になって暖房で暖かくなった室内と、氷点下の室外の温度差に耐えきれず、亀裂が入り、崩壊に繋がったのだ。

    また、木製の柱も規定通りに入っていなかったため、瓦の重さに耐えられなかったようだ。おそらく、柱用に供給された木材は横流しされたのだろう。オンドル(床暖房)やコンクリート壁の工事もいい加減なものだったという。

    動員された人々は給料ももらえない仕事に熱心に取り組む義理などないのに、当局が「さっさと建てろ」とうるさいので、やっつけ仕事で済ませてしまった模様だ。

    地域住民は今回の事件を受け「ふらふらする千里馬も乗りこなせなかったのに、万里馬をよこされてもどうしようもない」と嘆いているという。

    (参考記事:金正恩氏、日本を超えるタワーマンション建設…でもトイレ最悪で死者続出

    北朝鮮との病弊とも言うべき速度戦と手抜き工事だが、もし当局が「やめる」といい出したとしても、拝金主義、横行する横流しなどと複雑に絡まり合っていることもあり、すぐにはなくならないだろう。

    (参考記事:河原で500人死亡の地獄絵図…「速度戦」と呼ばれる殺人キャンペーン

  • 米朝合意で「日本が孤立する」は本当なのか

    米朝合意で「日本が孤立する」は本当なのか

    問われるのは「独自の力」

    昨年6月に続き2回目となる米朝首脳会談が、27~28日にベトナムで開催される。ここで米朝が何らかの合意に達し、米国が北朝鮮の非核化を待たずに制裁緩和を認めた場合、「制裁の旗を振ってきた日本は、孤立してしまうのではないか」との懸念が一部で出ている。

    少し前には、対北融和になる韓国に対する「パッシング(素通り)」が指摘されていた。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

    「最弱」の北朝鮮軍

    それが気付いてみたら、素通りされていたのは日本だった、という状況が現実に起こり得るのだろうか?

    結論から言えば、日本が外交的に「孤立」するような事態は絶対にないと筆者は考える。政治・経済・軍事的な日本の存在感は、そんなに小さなものではない。それは、北朝鮮も韓国もよくわかっている。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    ただ、米朝対話に向ける日本の政治家やメディアの目が、米国一辺倒で曇り過ぎているのではないかとは思う。

    米国は、北朝鮮の「完全な非核化」までは制裁を維持すると一貫して言ってきたし、現在も言い続けている。だがそれは、単なる米国が考えているだけのことだ。米国のパワーは偉大だが、世の中のすべてが彼らの思い通りに動いているわけではない。米国にも弱点があればミスもするし、妥協もする。米国と「歩調」を合わせていれば、良い結果がついてくるわけではない。米国は国益のためなら、時には北朝鮮とも韓国とも中国とも「歩調」を合わせるからだ。

    日本の「独力」で

    まさにその点を突かんとして、北朝鮮は核開発に賭けたわけだ。米国が万能ならば、北朝鮮に核開発を許してしまうこともなかっただろう。実際、金正恩党委員長の「核の暴走」を、指をくわえて見守り、核兵器の「完成」を許してしまった。そのあげくに話し合いの場に出てきたわけだから、対話の場で米国が北朝鮮を圧倒するなどと言うことは、そもそもない展開なのだ。

    そもそも論を言うならば、米国が掲げていた「CVID」――完全かつ検証可能で不可逆的な非核化――などというものは、ほとんど実現不可能な構想だ。特に「不可逆的」はあり得ない。どのような検証を行っても、北朝鮮には核開発のデータとノウハウは残ると見るべきだ。しかも同国には天然ウランがある。独裁体制が続き、最高指導者が「もう一度やるぞ」と決断すれば、いつでも核武装プログラムは再始動できる。

    金正恩氏は、非核化は約束したが、無条件降伏をしたわけでも武装解除にも応じたわけでもない。米国が、自国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄を優先し、日本を射程に収める短・中距離弾道ミサイルは残ってしまうのではないか――日本国内には、これを懸念する声もある。

    しかし北朝鮮は、それぐらい残すのは当然だと考えているだろう。周辺の国々は、世界最強レベルの軍備を整えている。非核化後の自国の軍隊の貧弱さを考えたら、いざという時の「飛び道具」は残しておかなければ不安だ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    日本は決して、東アジアで「軍縮」をリードしているわけではない。それは主権国家の権利だし、その行動にはそれなりの理由があるだろう。だが、それは北朝鮮も同じだ。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

    結論を繰り返すが、米朝首脳会談でどのような合意が生まれようとも、日本が「孤立」するようなことは絶対にない。ただ、北朝鮮に弾道ミサイルを撤去させたり、拉致被害者を取り戻したりしたければ、それは米国に頼るのではなく、自分の力で実現させるしかないというだけのことだ。

  • 北朝鮮で超人気の就職先。理由は「銃殺されないから」

    北朝鮮で超人気の就職先。理由は「銃殺されないから」

    かつて、北朝鮮で人気のある就職先と言えば、人民保安省(警察庁)、国家保衛省(秘密警察)などの司法機関、朝鮮労働党などの権力機関だった。一般庶民が飢えに苦しんでいても、特別配給を得られ、権限を利用してワイロを搾り取るなど、オイシい思いができたからだ。しかし、ここ数年で事情が変わった。

    (参考記事:濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    今、いちばん人気の就職先は合弁企業であると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

    咸鏡北道の情報筋によると、多くの人が合弁企業への就職、転職を希望しており、待機者リストに登録しても、就職できるのはその2〜3年後になるという。

    合弁企業と言ってもどこでもいいというわけではない。転職を希望する人々は、企業の業務内容、投資、今後の展望などを把握した上で、第一志望の企業に就職するためにワイロを渡したりありとあらゆる手段を動員する。

    別の情報筋によると、国営のアパレル工場や食品加工工場に務める労働者も、安定性が保証され賃金の高い合弁企業に転職しようとするという。また、貿易会社直営の工場も人気で、数百人待ちだとのことだ。

    「ワイロを出せば不可能なものはないので、転職が流行している。一部の合弁企業は、従業員にコメ100キロと月給300元(約4900円)を支給している。保安員(警察官)ですら辞職して合弁企業に入ろうとする」(情報筋)

    人々が合弁企業に殺到するのは、一般的な労働者の月給4000北朝鮮ウォン(約52円)をはるかに超える月給だけではない。

    当局は、国家的建設事業の建設や政治集会などの名目で、一般労働者を動員する。国営企業の工場は電気や原材料が不足して稼働していないため、労働力を駆り出すには格好の場となっている。

    一方で合弁企業勤務ならそれらの動員に行くことはあまりない。会社が当局にワイロを掴ませ、従業員の動員を免除させるからだ。国営企業と異なり合弁企業の工場はよほどのことがない限りは稼働を続けているため、従業員に頻繁に留守にされると困るのだ。

    これが従業員の満足度を非常に高めているという。建設現場への動員は長期間に渡り、命を落とすことすらあるので、誰も行きたがらないのだ。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    かつては花形の職場だった司法機関など国の機関の人気はジリ貧だ。頻繁な検閲(監査)、無差別な粛清、更迭で、いつ命を落とすかわからないからだ。「今ほど、人々が自分の職業について深刻に考えたことはなかった」(情報筋)ほどだという。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    北朝鮮は個人の生活を充実させることよりも、国や労働党、そして最高指導者のために何ができるかを求められるお国柄だ。就職は、本人の希望より当局の都合が優先され、勝手に割り振られるものだった。嫌な職場であってもしがみつくしかなかった。国営企業や国の機関に所属せずにいれば「無職」として処罰の対象となり、食糧や住宅配給も受け取れなかったからだ。

    しかし、北朝鮮の人々は何もしてくれない国や最高指導者に忠誠を尽くすのではなく、自分がいかに豊かになるかを重要視するようになった。とりわけ、チャンマダン(市場)世代と呼ばれる若者たちにそのような傾向が強い。

    様々な形の動員で国を維持してきた北朝鮮だが、なし崩し的に進む動員力の低下に国のシステムの再構築は避けられないだろう。

    (参考記事:北朝鮮の思想教育、出席率悪すぎで関係者やきもき

  • 「破局的な結果を考えてみろ」北朝鮮、また韓国にブチ切れ

    「破局的な結果を考えてみろ」北朝鮮、また韓国にブチ切れ

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は8日、韓国が南北対話を進める一方で軍備を増強していることについて「二重的振る舞いは許されない」とする論評を配信した。この問題を巡っては、すでに他の主要メディアも「(韓国が)下心をさらけ出した」(労働新聞6日付)、「破局的結果について熟考すべき」(民主朝鮮7日付)などとする論評を掲載している。北朝鮮はどうやら、「非核化後」の北東アジアにおける軍事バランスを痛く気にしているようだ。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    本欄でも繰り返し指摘してきたことだが、現在の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)に、本格的な戦争を戦う力はない。ベトナムや中東の戦場にまで派兵し、米軍やイスラエル軍と死闘を繰り広げたのも今は昔の話である。

    (参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」

    だからこそ、北朝鮮は核兵器開発に賭けてきたわけだが、近くベトナムで行われる2回目の米朝首脳会談では、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や一部の核・ミサイル施設の廃棄で合意が成立するのではないかと見られている。仮にそれが履行されれば、北朝鮮は改めて北東アジアの「最弱国」が確定してしまうわけだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    そのような環境の中、北朝鮮が韓国の軍備増強に神経を尖らせるのは当然と言えば当然だ。そもそも、両国は対話を進めてはいるが、それはあくまでいくつかの「タブー」に目をつぶりながらのものでしかない。韓国に対する北朝鮮の不信感は、決して消えていないのだ。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    もちろん、北朝鮮が警戒しているのは韓国だけではない。軍事力の面で言えば、日本の方がよほど気になる存在だろう。

    だから北朝鮮は米朝首脳会談においても、ICBM以外の中・短距離弾道ミサイルの廃棄には頑強に抵抗するかもしれない。ほかにも特殊部隊やサイバー部隊など、「虎の子」と呼べる戦力が残っているとはいえ、海の向こうの国に目に見える脅威を与えられるのは、やはり弾道ミサイルだろう。

    非核化の行方とともに、日本の安全保障に大きく影響する問題と言える。

  • 大学生も住民も「死にそう」…北朝鮮の酷寒「超ブラック事業」

    大学生も住民も「死にそう」…北朝鮮の酷寒「超ブラック事業」

    戦中の日本では、様々な日用品を「慰問袋」と呼ばれる袋に詰めて、戦地に出征した兵士あてに送っていた。新聞社がキャンペーンを行い、食品会社が販促活動の一環として利用するものだったが、戦争が激化するにつれ強制性が高まっていった。慰問袋とは別に、コメ、金属、家で飼っていたペットの供出も行われた。

    当時、日本の植民地支配下にあった朝鮮でも同様のことが行われていたのだが、その名残だろうか。北朝鮮当局は、国家的建設事業に従事する労働者に送る支援物資と称して、国民から半強制的に様々な物品を徴収している。

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、最近の政治講演会は「三池淵(サムジヨン)の開発工事を物心両面で支援しよう」とする内容が増えたという。

    金正恩氏は今、北朝鮮で「革命の聖地」として知られる三池淵群郡の観光開発プロジェクトを最重視していると見られる。しかし、こうした事業の建設現場の安全対策は劣悪で、深刻な事故が後を絶たない。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    特に、冬の三池淵は氷点下20度を下回り、極寒の建設現場での工事は危険が伴う。健康だった若者が病気になって、故郷にたどり着く前に命を落とすという悲劇も起きている。

    (参考記事:氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」

    それでいて、国家による支援体制も十分でないから、その負担が国民に向かうというわけだ。

    各地の朝鮮労働党の幹部は政治講演会の内容に基づき、「三池淵の建設に動員された大学生の食料を支援せよ」と住民から食べ物を供出させている。内訳は、1世帯あたり大豆200グラム、トウモロコシ500グラム、コチュジャン1キロ、キムチ1キロ、手袋5対だ。

    すべて市場で買い集めても数百円程度だが、その日暮らしをしている庶民が「死にそうだ」とぼやくのは無理もない。

    動員された大学生の苦労もハンパではない。

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は先月14日、金日成総合大学、金策(キムチェク)工業大学、元山(ウォンサン)農業総合大学など全国の大学生が三池淵の建設現場に向かったと報じた。

    記事は「数多くの青年大学生たちが自らの精神的故郷を守り輝かしめるという一心で胸を熱くたぎらせ、熱烈に嘆願した」と報じているが、実際は「冬休みに入った学生を集めて、三池淵建設の重要性を説いた上で(建設工事の支援に)参加するかどうかを確認した」(情報筋)という。つまり、「イヤだ」とは言えない状況に追い込んで半強制的に約束を取り付けたということだ。

    多くの大学生が、学費や学用品、生活費を稼ぐためにアルバイトをしているが、長期間の動員でそれも難しいだろう。つまり、次の学期は食うや食わずのキャンパスライフを過ごすはめになるということだ。

    (参考記事:北朝鮮の大学生は「妊娠中絶ビジネス」も…若者は思想よりカネ

  • 男性の「密かな楽しみ」が値上がりする、北朝鮮のエンタメ事情

    男性の「密かな楽しみ」が値上がりする、北朝鮮のエンタメ事情

    北朝鮮でUSBメモリが値上がりしているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮のある若者が「USBメモリの需要が非常に高く、カラの4GBのUSBメモリの値段は市場で26,000ウォン程度だ」と述べているという。北朝鮮の市場でのコメ1キロの価格がおおよそ5,000ウォン(約60円)だから、それなりに高級品といえる。さらに、コンテンツ入りのUSBメモリだとさらに価格が高くなるというが、一体どのようなコンテンツが入っているのだろうか。

    「独自撮影」で銃殺

    2000年以降、北朝鮮では韓流が密かに広まりはじめた。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    CDやDVD、ハードディスク、SDカードなどの記録メディアの発展、さらにはノートテルというポータブル再生機の普及とともに、韓流をはじめとする海外コンテンツは瞬く間に北朝鮮国内で拡散した。

    こうした状況に対し、北朝鮮当局は韓流コンテンツの摘発を担当するタスクフォース「109常務」を組織し、厳しく取り締まってきた。時には韓流の動画ファイルを保有していたという容疑だけで、女子大生を拷問し悲惨な末路に追い込んだ。

    老若男女問わず、韓国と同じ言語を使う北朝鮮で韓流コンテンツに人気が集まるのは当然といえるが、男性たちに人気があるのはやはりアダルト動画だった。

    RFAに対して、昨年韓国に入国した脱北者のある男性は、「韓流映画やドラマ、そしてアダルト映像が入っているUSBは格段に価格が高くなる。とりわけ10代の若者たちと大学生たちは、友人同士でアダルト映像をよく見る」と伝えた。

    いくら情報が厳しく統制されているといっても、また、バレたら罰を受けることを知っていようとも、やはり北朝鮮の男性もポルノを見たいという欲求は抑えられないようだ。2017年には、有名芸術団メンバーが公開処刑されたが、理由は自分たちでポルノ映像を撮影したことがバレたためという説もある。

    (参考記事:美貌の女性らが主導…北朝鮮芸術家「ポルノ撮影」事件の真相

    筆者はある脱北者の男性から次のような言葉を聞いたことがある。

    「1990年中頃、欧州から受け入れた廃棄物のなかにビデオテープがあった。もしやと思って持ち帰って再生したら案の定『洋モノ』のポルノだった。北朝鮮の男性はポルノ好きですよ(笑)」

    北朝鮮の一般家庭にもノートPCや、デスクトップPC、そして先述のノートテルが相当普及している。これらのハードのほとんどには、USBポートが設けられている。

    北朝鮮当局は一時期、USBポートを強制的に全て塞ぐよう措置を取ることを検討したとの説もあるが、全てのPCを検閲するのは事実上不可能だ。今後も韓流コンテンツをはじめとする海外コンテンツが、USBや他のデジタルメディアを介して、北朝鮮国内で拡散する現象は止まりそうもない。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

  • 北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

    北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

    北朝鮮の人々は、年がら年中、当局から組織生活や思想の総括、さらに奉仕活動に半強制的に動員されている。それは、子供たちとて例外ではない。

    (参考記事:北朝鮮企業が少女たちの「やわらかい皮膚」に目をつけた理由

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮の小学校から高校までの学生たちが「毛虫取り」をさせられているという。朝鮮労働党が、毛虫による森林被害を防止せよとの指示を出したからだ。冬休みの間も、10代の学生たちは酷寒のなかで毛虫取りに強制的に動員されているというのだ。

    RFAの平安南道(ピョンアンナムド)の消息筋によると、「学生たちは寒さにもかかわらず一日中毛虫を捕まえようと、山の中で苦しい思いをしている。一人当り、ビニール袋一杯の毛虫を捕まえなければならないノルマがあるので、学生たちは弁当まで持って山中を歩き回っている」という。

    弁当を持っていけない貧しい家庭の学生は、毛虫を捕まえたその場で倒れることもあるという。それでも学校と当局は、同情するどころか、ノルマを達成できなければ生活総和の時間に自己批判を強要するというのだ。

    冬の間の毛虫取りが終われば、北朝鮮の青少年は春に30日、夏に30日、秋に45日間、農村支援に動員される。この期間、学生たちは学校にも行かずに家族から離れて、協同農場で農作業をしなければならない。中学校3学年から大学を卒業するまでずっとだ。

    (参考記事:北朝鮮の中高生「残酷な夏休み」…少女搾取に上納金も

    このように年齢、性別限らず、北朝鮮の人々は様々な国家事業に動員されている。劣悪な労働環境のせいで、悲惨な事故も多発しているが、中高生であっても何ら補償は行われない。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    ちなみに、学生たちが毛虫取りに動員されるのは、大人たちが「堆肥戦闘」に忙しいからだという。人糞を集めて肥やしを生産する「堆肥戦闘」は、毎年1月から2月にかけて行われる。日本に在住する脱北者のSさんは、次のように語る。

    「北朝鮮で厳しい生活を体験したので、日本ではどんなことでもやってのける自信はある。しかし、堆肥戦闘だけは死んでもやりたくない」

    極限状態で生き延びた脱北者さえも嫌がるのが、人糞集めなのだ。1人あたり驚くほどの量をノルマとして課せられ、人々は正月早々、人糞を求めてさまよい歩く。人糞には値段が付き、商品として市場で取引される。人糞を巡ってブローカーが暗躍、さらにはワイロまでが飛び交う世にも奇妙な光景が現出するのだ。

    (関連記事:冬の北朝鮮で暗躍する「人糞ブローカー」登場

    大人たちは人糞集め、子どもたちは毛虫取りに強制動員。北朝鮮当局は、国民達に嫌がらせをすることばかり考えているのかと思わせる。

  • 「銃弾ぜんぶを頭部に撃ち込んだ」金正日時代の公開処刑

    「銃弾ぜんぶを頭部に撃ち込んだ」金正日時代の公開処刑

    来月10日の最高人民会議(国会に相当)代議員選挙を控え、北朝鮮では軍の各部隊に保衛司令部の検閲部隊が派遣され、選挙期間中の不法行為の取り締まりに乗り出していると、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

    保衛司令部は、いわば軍内の秘密警察だ。一般社会の監視を担当する国家保衛省と並ぶ、泣く子も黙る存在である。かつて、保衛司令部はその残忍な公開処刑の手法により、国家保衛省にも増して国民から恐れられていた時代があった。

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    北朝鮮が未曽有の大飢饉「苦難の行軍」の最中にあった1990年代後半、同国内では粛清の嵐が吹き荒れていた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の解説記事によれば、金正日総書記はこの当時、激しい不安の中にあったという。1994年に父である金日成主席が死亡すると、時を同じくして大飢饉が発生。国民の反発が自分に向かい、体制が崩壊するのではないかと恐れたというのだ。

  • 「韓国が下心さらけ出した」北朝鮮が猛批判する理由

    「韓国が下心さらけ出した」北朝鮮が猛批判する理由

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は6日、韓国政府が軍事費を大幅に増額していることについて「同族と力で対決しようとする下心をさらけ出した」と非難する論評を掲載した。蜜月にも見える南北関係だが、互いの友好姿勢はあくまで「条件付き」であり、ここで改めて北朝鮮のホンネが出た形と言える。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    韓国軍の悩み

    韓国国防省が11日に発表した「2019―2023国防中期計画」によれば、向こう5年間の軍事は総額270兆7000億ウォン(約26兆2000億円)で、同期間の年平均の増加率は前年比7.5%と、直近10年間の年平均増加率(4.9%)を大きく上回る。

    これは、米国との非核化対話の途上にある北朝鮮には、とうてい看過できない動きだ。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は、軍内での飢餓や虐待の横行など軍紀のびん乱により、現代の戦争に耐えられる状態ではない。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    核兵器など一部の「虎の子」だけが頼みの状況なのだ。それを今まさに「捨てる」ための交渉をしているわけだが、そこへ持ってきて、ただでさえ通常兵器で圧倒的に優勢な韓国軍が強化されたら、彼我の戦力差はさらに広がってしまう。

    しかし韓国軍とて、北朝鮮だけを念頭に軍事力を整備していくわけにはいかない。最近も、「レーダー照射」問題で日本と険悪な関係になってしまった。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    筆者は、日韓関係がいかに悪化しても、軍事衝突などという愚かな事態に発展することはないと確信している。しかし日本以外の周辺大国は、国益のためなら積極的な武力行使をためらわない国々だ。

    かつて日本の侵略により主権を完全に失った経験のある朝鮮半島の国家としては、「二度とあのような目に遭ってたまるか」と身構えるのも、故なきことではない。

    それでも北朝鮮と韓国にとって、軍事的には互いの存在が、当面して最大の警戒対象であることもまた事実だ。この重い事実は、まだまだ表面的な域を出ない対話では、簡単に崩せるものではないのである。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

  • 第2回米朝首脳会談を大胆予想…会場と金正恩氏の宿泊場所は?

    第2回米朝首脳会談を大胆予想…会場と金正恩氏の宿泊場所は?

    米国のトランプ大統領は5日夜(現地時間)に行った一般教書演説で、2回目の米朝首脳会談を今月27日と28日にベトナムで開催することを明らかにした。開催地がベトナムのどこになるかは明らかにされていないが、同国中部のリゾートであるダナンが有力だという。この情報が正しいとしたら、会場はどこになるのだろうか。

    ベトナム戦争で激突した米朝

    ベトナム在住の情報筋によると、首脳会談の場所は「アリヤナ・コンベンションセンター(Ariyana Danang Exhibition & Convention Centre:ADECC)」が最有力だという。同センターはベトナム最大のセミナー施設であり、2017年に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会場として新設された。

    昨年6月の米朝首脳会談は、史上初ということもあり、開催場所となったシンガポールに世界各国のメディアが集まった。2回目の今回は、昨年ほど注目度は高くないかもしれない。ただし、米朝首脳会談が行われるタイミングで、中国の習近平国家主席がベトナムを訪れるのではないかという噂もある。報道陣や各国の当局者が集まることから、施設の整ったアリヤナ・コンベンションセンターで米朝首脳会談が行われる可能性が高いというのも頷ける。

    筆者は昨年の米朝首脳会談もシンガポールで現地取材したが、金正恩党委員長の宿泊先となった「ザ・セントレジス・シンガポール」には報道陣だけではなく地元の人々、そして観光客たちが「北朝鮮の若き独裁者」を一目見ようと大勢集まっていた。今回、金正恩氏はどこに泊まるのだろうか。

    金正恩氏は昨年の米朝首脳会談に際しても、大型の専用ベンツをわざわざシンガポールまで空輸するほどセキュリティに神経を遣っている。そのベンツには、金正恩氏が一般人と同じトイレを使えないという苦しい事情を抱えるため、それをカバーするための装備が積まれているというのだ。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    それだけに、セキュリティ面でしっかりとしたホテルが選ばれると見られるが 、ベトナム事情に詳しい人物によると「インターコンチネンタル・ダナン・サン・ペニンシュラ・リゾート(InterContinental Danang Sun Peninsula Resort)」がそれに相応しいだろうという。

    同ホテルの公式サイトによると、最も高額なスイートルームは日本円で約45万円。首脳陣などのVIPが泊まるような部屋は一般開放されていないことから、もし金正恩氏が宿泊するとなれば、より高額な部屋になるだろう。同ホテルからアリヤナ・コンベンションセンターまでは、車で30分ほどの距離だ。

    以上はあくまでも予想にすぎない。

    会談場所も宿泊先はともかく、ベトナムでの会談は米朝両国にとって重要な意味合いをもつだろう。ベトナムはかつて、米国との戦争に勝利した。死闘を繰り広げた間柄にもかかわらず、米国とは現在良好な関係を築いている。ちなみに、ベトナム戦争には北朝鮮も派兵している。

    (参考記事:かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    米越関係は北朝鮮からしてもお手本にすべきものであり、米国のポンペオ国務長官は昨年の米朝首脳会談後に、北朝鮮はベトナムの例に倣うべきだと述べている。

    ベトナムは1979年の中越戦争で、中国からの侵攻も撃退している。私感だが、米中2大国との戦争に勝利し、自国の利益のためにかつての仇敵と握手するしたたかさをもつベトナムは第2次世界大戦後の、「最強の国家」と呼ぶにふさわしい存在だと思う。金正恩氏が外交関係でベトナムほどのしたたかさを発揮できるかどうかは、未知数だ。

  • 北朝鮮で「ダム崩壊」の危機…軍兵士らの死亡事故も多発

    北朝鮮で「ダム崩壊」の危機…軍兵士らの死亡事故も多発

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、道内の三水(サムス)発電所で、ダム壁の隙間から水漏れが起き、発電できなくなってしまった。ダム壁はコンクリートではなく、砂利と小石を積み上げただけのもので、少しの亀裂がダムの崩壊に繋がりかねない。

    こうした問題の原因は、質より工期を重要視し、人命被害すら気にかけない北朝鮮版やっつけ仕事「速度戦」にあると思われる。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    たとえば、北朝鮮史上最大のプロジェクトとなる端川(タンチョン)発電所建設でも動員された兵士や民間人の死亡事故が相次いでいる。

    (参考記事:若者の命を次々と飲み込む…北朝鮮「呪われた巨大発電所」の実態

  • 北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、同国の朝鮮赤十字会中央委員会が「近年、遭難したわが船員たちが無事に帰国できるように数回にわたって人道的援助を提供した日本当局に当該のルートを通じて謝意を表した」と伝えた。

    実の妹の「役割」

    北朝鮮が、日本への謝意表明を国営メディアで明らかにするのは極めて異例だ。

    北朝鮮メディアのこうした変化は金正恩政権ならではのものと言える。金正恩氏は、メディア戦略に相当に力を入れている。父親の金正日総書記は、自らの「神秘性」を守ることを重視していたのか、自国メディアにおいてもあまり色々な表情を見せなかった。

    それに比べ金正恩党委員長は、自分の「ヘンな写真」までバンバン公開してしまうほど開けっ広げだ。

    (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

    あるいは、こうしたメディア戦略には、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が関わっているかもしれない。彼女が籍を置く党宣伝扇動部は、国内メディアの指導・検閲も担当する。

    また、金正恩氏に遠慮なく何でも進言できるという彼女なら、「日本に対しても、お礼を言うべきときは言わなくちゃ」とでも提案できるかもしれない。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    日本海沿岸では近年、北朝鮮漁民と見られる遺体の漂着が後を絶たない。これについては、金正恩氏らも問題視しているふしがうかがえる。

  • 北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、同国の朝鮮赤十字会中央委員会が「近年、遭難したわが船員たちが無事に帰国できるように数回にわたって人道的援助を提供した日本当局に当該のルートを通じて謝意を表した」と伝えた。

    実の妹の「役割」

    北朝鮮が、日本への謝意表明を国営メディアで明らかにするのは極めて異例だ。

    北朝鮮メディアのこうした変化は金正恩政権ならではのものと言える。金正恩氏は、メディア戦略に相当に力を入れている。父親の金正日総書記は、自らの「神秘性」を守ることを重視していたのか、自国メディアにおいてもあまり色々な表情を見せなかった。

    それに比べ金正恩党委員長は、自分の「ヘンな写真」までバンバン公開してしまうほど開けっ広げだ。

    (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

    あるいは、こうしたメディア戦略には、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が関わっているかもしれない。彼女が籍を置く党宣伝扇動部は、国内メディアの指導・検閲も担当する。

    また、金正恩氏に遠慮なく何でも進言できるという彼女なら、「日本に対しても、お礼を言うべきときは言わなくちゃ」とでも提案できるかもしれない。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    日本海沿岸では近年、北朝鮮漁民と見られる遺体の漂着が後を絶たない。これについては、金正恩氏らも問題視しているふしがうかがえる。

    デイリーNKジャパンの取材によれば、金正恩氏は昨年5月、GPSを搭載したプラスチック(おそらくFRP)製の漁船を2万隻調達せよとの命令を下したとされる。というのも、遭難が続発する最大の原因は、「日本なら100年前のシロモノ」と言われる粗末な木造船による強引な出漁にあると見られているからだ。

    (参考記事:「板子一枚下は地獄」北朝鮮漁民の悲鳴が聞こえる…「百年前の船」で大量死

    いずれにせよ、北朝鮮側が日本への謝意表明を公開したことは、わずかではあるが好ましい動きと言える。もちろん、普通の国であれば当たり前のことなのだが、最近の北朝鮮メディアが日本非難一色であることを考えると、「あれも是々非々でやっているのかな」という気もする。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

  • 韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    日韓の「レーダー照射問題」が混迷の度を深めている。さらには他の歴史問題も重なり、日韓関係は改善の糸口さえ見えない。

    韓国紙・世界日報の軍事専門記者であるパク・スチャン氏が同紙1日付(インターネット版)で、険悪な日韓関係を巡り、「一部には、世界各国の軍事力レベルを分析するグローバルファイヤーパワー(GFP)が昨年『2018年 潜在的な戦争遂行能力』で韓国を136の評価対象国のうち7位、日本を8位としたことを根拠に、韓国の軍事力が強いと主張する向きがある」と指摘。

    北朝鮮の方が「謙虚」

    さらに、これに続けて次のように解説している。

  • やってられない…金正恩氏の「独り占め」に北朝鮮で不満増幅

    やってられない…金正恩氏の「独り占め」に北朝鮮で不満増幅

    北朝鮮当局はこれまで、外貨獲得のために様々な「危ないモノ」を密かに輸出してきた。代表的なのが、兵器だ。

    北朝鮮は第4次中東戦争に空軍を派兵したり、アフリカに軍事顧問団を送ったりしながら、紛争当事国との関係を強化。そうしたつながりから、多種多様な兵器を輸出してきたのだ。

    (参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

    覚せい剤もまた、主な密輸品のひとつだった。北朝鮮の特殊機関が日本の暴力団と手を結び、覚せい剤を日本国内に送り込んでいたことはつとに知られている。その後、日本政府の取り締まり強化を受けて、覚せい剤の密輸は停止。そのあおりで国内が覚せい剤に汚染される「自業自得」に陥っている。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    金正恩党委員長はこのような過程を辿りながら、もはや「危ないモノ」の密輸は割に合わないと考えているのかもしれない。経済制裁によって紛争地への兵器輸出も出来なくなった。米国などとの関係改善を目指していくなら、兵器輸出は今後も自粛せざるを得ないだろう。

    そこで金正恩氏は、完全に「まともな商品」の輸出に力を入れることにしたもようだ。国営の朝鮮中央通信は1月25日、「最高人民会議常任委員会が人参法を採択、発表した」と伝えた。同法は、北朝鮮の名産品である朝鮮人参(高麗人参)の生産と加工、流通などについて細かくルールを定めたものだ。

    (参考記事:北朝鮮が「人参法」制定…生薬ビジネスで外貨獲得か

    金正恩党委員長は1月の訪中時に、中国の代表的な生薬メーカーである同仁堂を視察しており、北朝鮮もこの分野での外貨獲得に注力していくものと見られる。

    紛争地に兵器を売ったり、覚せい剤を密輸したりするのと比べればまことに結構なことだ。しかし米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮国内ではこうした動きに対し、各方面から強い反発が出ているという。

    中国の丹東に出張した平壌市の幹部がRFAに語ったところでは、「一部の幹部は高麗人参の輸出産業を当局が独占する意図から法を制定したものであると非難している」という。

    同幹部はさらに、「誰が見ても、この法律は体制維持に必要な党資金を調達するため、当局の独占権を強化したものだ」と指摘。次のように続けた。

    「高麗人参の栽培は、土壌が適切な開城(ケソン)だけで可能なので、開城市人民委員会の最も重要な外貨稼ぎ部門になっていた。しかし人参法が発効して以降、開城の人参畑には、中央党の許可なしには誰も入れなくなった。もはや人参に触れることもできない」

    また、平安北道(ピョンアンブクト)の貿易関係者もRFAに対し、「これまでは党や軍所属の貿易会社が、開城で買い入れた人参を平壌に運び、人参茶など数多く製品に加工。平壌市内の高級ホテルや海外市場で販売してきた。しかしもはや、人参栽培と流通市場は首領(最高指導者)の唯一管理システムで囲いこまれてしまった。人参から生まれる外貨を国がすべて持っていくということであり、貿易会社の幹部たち『もうやってられない』と不満を募らせている」と話している。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

  • 金正恩氏「実の叔父」処刑後の大粛清をいまだに継続中

    金正恩氏「実の叔父」処刑後の大粛清をいまだに継続中

    韓国紙・朝鮮日報は先月末、北朝鮮の代表的な米国通と知られていた韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官の失脚が確認されたと伝えた。韓国統一省が最近発行した「2019北朝鮮人名録」から、韓成烈氏の名前が消えており、これについて韓国政府の消息筋が「昨年下半期に、韓成烈氏の身辺に異常があったという情報を関係機関から伝えられ、これを反映した」と説明したという。

    おぞましい実態

    同紙はこれを巡り、「韓成烈の失脚を連座という観点から分析する見方もある」と伝えた。

    韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使は、2017年2月に行われた北朝鮮戦略センターのインタビューで「2013年に処刑された(金正恩委員長の叔父に当たる)張成沢(チャン・ソンテク)氏の事件に連座して、韓成烈次官の姻戚が粛清された。娘婿と孫も収容所へ送られた」と語っている指摘。「『張成沢の残党』を一掃する作業は現在進行形ということだ」と解説しているのだ。

    張成沢元党行政部長の処刑に続き、北朝鮮では大規模な粛清が行われた。その過程では、北朝鮮権力層のおぞましい実態も明らかになった。

    (参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

    北朝鮮では、有名女優が権力者の妻になったり愛人になったりすることが多いが、目立つ存在であるだけに、粛清の巻き添えになって命を落とすことが少なくない。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    張成沢氏の処刑に際してはそれに加え、彼の「ライン(系列)」とみなされた外交官も数多く粛清された。そうした人々が復権したという話は聞こえてこないから、大粛清はいまだに続いているということになる。

    朝鮮日報は、北朝鮮の事情に詳しい消息筋の話しとして「昨年9月、韓成烈氏が局長級の幹部5人と共に『革命化処罰』を受け、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の剣徳(コムドク)鉱山で思想教育中」であるとも伝えた。

    革命化とは再教育のことで、農村に下放されたり党学校で思想教育漬けにされたりと様々な形があるが、鉱山送りはなかなか厳しい処分だ。

    失脚の理由として、同紙は他にも「金正恩労働党委員長に上げた朝米首脳会談関連の提案書が、党の方針に背いていると批判されたらしい」 「対米窓口役を長く務め、『米帝のスパイ』のような疑いをかけられやすかった」などの説を紹介しているが、米朝関係がこれだけ大きく動いている時期に、外交当局の中枢がそれほど荒れた状況になるとはなかなか想像しにくい。

    同紙はさらに、別の消息筋の話として、かつて北朝鮮外交のエースだった姜錫柱(カン・ソクチュ)が死亡して以降、韓成烈氏ら彼の系列だった外交官らの地位が下がり、今は李スヨン党副委員長の系列が主流派を占めていると指摘。両者の間で勢力争いが起きているとの情報も伝えている。

    ただ、李スヨン氏が北朝鮮権力層の中でも特別に洗練された人物として知られ、部下への気配りも欠かさないとされていることを考えると、これもまた容易には納得しにくい。やはり、金正恩氏の個人的な怨恨が込められている、張成沢氏の一件が何らかの影響を与えているようにも思えるのだ。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

  • お客から恐喝して荒稼ぎする北朝鮮「恐怖のコンビニ」

    お客から恐喝して荒稼ぎする北朝鮮「恐怖のコンビニ」

    「北朝鮮には数多くのコンビニが存在する」と言えば、驚く向きが少なくないのではないだろうか。

    市場経済化が進む北朝鮮では、国営企業がファングムポル(黄金原)商店というチェーン店形式のコンビニを展開する一方で、個人が国営企業の名義と路上のプレハブを借りて営業するものもあれば、自宅の一部を改造して開業する「家売台」(チンメデ)に至るまで、様々な形の「コンビニ」が存在する。

    (参考記事:北朝鮮で新手の商店「家売台」が大人気 「コンビニ」のように24時間営業

    そんなコンビニが教化所(刑務所)の中にもオープンしたが、他のコンビニと違って利用者から反発を招いていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)教化所には、元々小規模な売店が存在したが、昨年末に大規模なコンビニに生まれ変わった。犯罪の増加に伴い、教化所に収監される人が増えたことを受けてのことだ。

    (参考記事:濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    ところが、このコンビニは「面会に来た家族を圧迫し、カネを搾り取る手段として利用されている」という(現地の情報筋)のだ。

    北朝鮮の教化所は、受刑者に対する暴行、劣悪な環境など人権侵害の温床になっているが、ひどいのはそれだけではない。食糧事情も劣悪で、最も少ない受刑者には1日100グラムにも満たないトウモロコシ飯しか出されない。

    (参考記事:北朝鮮の刑務所「教化所」の実態(2)

    教化所で飢え死にせず生きて出所するには外部からの差し入れが欠かせないが、受刑者の家族はその食べ物や生活必需品をすべて教化所内のコンビニで買うように強いられる。例えば、水を混ぜてこねるとお団子になる「ポンポンイ粉」というトウモロコシ粉は、命をつなぐ大切な食べ物だが、教化所内のコンビニで買ったものしか差し入れが認められない。ちなみに、コンビニの店員は全員が教化所幹部の家族だ。

    幹部に渡すタバコや酒などのワイロもここで買うことを強いられる。もちろん、市場より値段が高いが文句は言えない。下手に抗議などすると受刑者がどんな目に遭わされるかわからないからだ。

    そればかりか、教化所で使う事務用品などの差し入れも強要される。

    「教化所の幹部は、受刑者が面会室に行く前にかならず『宿題』を出す。教化所で共同で使うとの名目で、ソーラーパネル、レーザー、A4用紙などを買うことを強いられる。『宿題』は、面会室で家族に頼み、コンビニで買って渡す。できなければ昼食の時間にひどい暴行を受ける」(情報筋)

    これはまさに「恐喝」である。

    両江道(リャンガンド)に住む別の情報筋は、教化所幹部のあまりの非道ぶりに怒りをぶちまけた。

    「数日前、价川教化所に入れられた弟から『栄養失調になった』と連絡を受け、面会に行ってきた。ところが、幹部から『面会は四半期に1回しかダメ』『コンビニで買った食べ物を差し入れだけしろ』と言われケンカになった。教化所の劣悪な実態についての噂が広がることを恐れ面会を拒否するくせに、コンビニの売り上げばかりに気にする態度が気に食わなかった」(情報筋)

    受刑者が、健康に過ごせるように食事や環境に配慮し、医療アクセスを保証することは当たり前のことだが、教化所幹部は受刑者の命と人権をネタにして暴利を貪っているのだ。

  • かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    朝日新聞は3日、北朝鮮が今月末にも開かれる米朝首脳会談の場所として、米国が提案したベトナム中部のダナンで同意したと伝えた。北朝鮮と米国はかつて、ベトナム戦争で銃火を交えており、ベトナムでの首脳会談開催は歴史的に意味深なものを感じる。

    北朝鮮はベトナム戦争に空軍パイロットを派兵し、世界最強の米軍と渡り合い、一定の戦果を挙げていた。

    (参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」

    その事実は長らく秘密にされていたが、国営朝鮮中央放送は2001年7月6日、空軍パイロットがベトナム戦争に派兵されていたことを初めて報じた。

    それによると、日本の国会に当たる最高人民会議が1965年5月、「要請があれば軍を派遣する」と決定し、翌1966年、朝鮮労働党代表者会議が「血でベトナムを支援する」ための「様々な措置」を取った。当時の金日成首相(後に主席)はパイロットたちに、「ベトナムの空をわが空のように、ハノイを平壌のように思って闘え」と指示したという。

    同放送は、ベトナムに派遣されたパイロットの数は報じていないが、韓国の聯合ニュースなどの報道では約200人が参戦し、うち十数人が死亡したと見られるという。

    また、2000年3月には北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相がベトナムを訪問した際、ハノイ郊外の北朝鮮兵士の墓を非公式に訪問。金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長も2001年7月にベトナムを訪問し、この墓地を訪れた。

    ベトナムでの米朝首脳会談が実現した場合、金正恩氏がこの墓地を訪れるかどうかが気になる。

    (参考記事:北朝鮮版「ランボー」がたどった数奇な運命

    ちなみに、北朝鮮は第4次中東戦争に際しても、エジプトとシリアに空軍パイロットたちを派兵し、イスラエル空軍と戦った。

    (参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

    当時からエジプトで北朝鮮との友好協力を主導してきたムバラク元大統領は政変で失脚したが、シリアと北朝鮮の関係は今なお親密だ。

  • 美人音大生がハマる「ダンナ作業」と呼ばれるキケンな遊び

    美人音大生がハマる「ダンナ作業」と呼ばれるキケンな遊び

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(5)

    本連載の1回目でも言及したが、北朝鮮の首都・平壌では現在、若い女性たちが「ダンナ作業」――つまりは金持ち男性のスポンサー探しに精を出しているという。

    金正恩氏の「噂」

    脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏の近著『平壌資本主義百科全書』によれば、平壌の高級レストランでは髪を金色に染め、ミニスカートにブランド物で着飾った若い女性が「ダンナ作業」を行っている姿が頻繁に見られるという。同著で証言している平壌の富裕層の男性によれば、彼女らの大部分は音大生や歌手の候補生だ。

    この経歴を見て、金正恩党委員長の妻である李雪主(リ・ソルチュ)夫人を思い浮かべる人も少なくないのではないか。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

    といっても、李雪主氏が「ダンナ作業」を行っていたという意味ではない。北朝鮮で名門の音大生や歌手の候補生といえば、美女の代名詞であるという程度のことである。

    この男性はまた、次のように語っている。