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  • 「もしかしたら人権侵害かも…」庶民の逆襲を恐れるようになった北朝鮮の警察官

    「もしかしたら人権侵害かも…」庶民の逆襲を恐れるようになった北朝鮮の警察官

    かつて、北朝鮮では権力に逆らうことは「死」を意味した。苦難の行軍の真っ最中だった1998年、飢える労働者を救うために不正を犯した製鉄所の幹部が死刑になった。怒りに震えた多くの労働者が抗議に立ち上がったが、国から返ってきたのは真摯な対応ではなく、文字どおりの戦車による「蹂躙」だった。

    (参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

    ところが今では状況は大きく変化している。人々は「人権」という意識を持つようになり、以前ほど権力者を恐れなくなり、反抗することも増えている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    地方出身で昨年韓国にやってきた50代の脱北者の男性はRFAの取材に、保安員(警察官)は「人権がらみの問題を起こすと厄介だ」という認識を持つようになり、国民の逆襲が始まったという。

  • 「男女関係に良いから」北朝鮮社会を退廃させた違法ドラッグ

    「男女関係に良いから」北朝鮮社会を退廃させた違法ドラッグ

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(4)

    日本国内で、たとえば芸能人などが薬物乱用で摘発される際には、かなりの割合で「男女関係」が絡んでいる。そして、こうした分野に強いジャーナリストによれば、「男女間の快楽目的で薬物を使用する人ほど、使うのを止めるのは難しい」という。

    これは、覚せい剤汚染が深刻な北朝鮮においても同様だ。

    (参考記事:家庭も平気で破壊する「アレに狂った主婦たち」の暴走

    米紙ワシントン・ポストは2017年11月17日、様々な年齢と職業の男女25人から聞き取りを行った脱北者のインタビュー特集を掲載した。その中で、2014年に脱北した薬物密売人が、次のように語っている。

    「(覚せい剤は)気持ちよくしてくれて、ストレスを発散させてくれるし、男女の関係にも大きな助けになる」

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

    また、この密売人は次のように語っている。

    「私の主な仕事は、オルム(氷=覚せい剤を表す符丁)を売ることだった。当時、会寧(フェリョン)市に住む成人の70~80%ぐらいはオルムをやっていたと思う。私の客は、ごく普通の人々だった。警察官、保衛員、朝鮮労働党員、教師、医師たち。オルムは誕生日のパーティーや高校の卒業祝いのための、非常に良い贈り物だった」

    (参考記事:北朝鮮で少年少女の「薬物中毒」「性びん乱」の大スキャンダル

    あくまで個人の推定ではあるが、市内に住む成人の8割が覚せい剤を使用していたとは、実にショッキングな証言である。会寧市の人口は13~15万人前後とされているから、その8割が成人だとすると、ひとつの市で8万人強~9万人強が覚せい剤を使用しているということになる。

    北朝鮮では1990年代、金正日総書記の指導の下、外貨獲得を目的に覚せい剤を国家ぐるみで生産。特殊機関などが海外への密売に力を入れ、外貨稼ぎ競争を繰り広げた。

    ところが、思わぬ事態が生じた。労働者が工場から原材料や製品を横流しするのはよくあることだが、覚せい剤も例外ではなかったのだ。国内に横流しされた覚せい剤で中毒者が続出すると、金正日氏は覚せい剤の製造を中止し、組織を解散するように命じた。

    これにより、覚せい剤製造技術を持った人々が野に放たれてしまう。仕事を失い、食べるのに困った技術者たちが、国内での覚せい剤の密造・密売に乗り出したのだ。

    その後、当局は厳罰を持って取り締まっているものの、実際には摘発する側の保安員(警察官)までが覚せい剤を乱用しており、汚染が止まる気配はない。そしてそこに、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」をきっかけにした売買春の拡大などが重なることで、北朝鮮社会の退廃はいっそう進むことになってしまったのだ。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

  • 金正恩氏の親筆文書で明かされた「乱れた性」産業化の実態

    金正恩氏の親筆文書で明かされた「乱れた性」産業化の実態

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(3)

    北朝鮮の金正恩党委員長が、売買春の横行など国内の「乱れる性」に神経をとがらせている様子は、彼が自らサインした内部文書からも読み取ることができる。

    脱北者で平壌中枢の人事情報に精通する李潤傑(イ・ユンゴル)北朝鮮戦略情報センター代表は、2016年9月9日に出された金正恩氏の「チンピル」指示書を入手した。「チンピル」とは、漢字で書くと「親筆」となり、金正恩氏が直接決裁のサインを書いたという意味だ。

    権力者の「やりたい放題」

    指示書のタイトルは、「奉仕網で起きている退廃的で変態的な行為をなくすための闘争を強く繰り広げるための対策案」となっている。奉仕網とは、朝鮮労働党や軍などが運営するレストラン、カフェ、スーパー銭湯などの収益事業(奉仕機関)を一括りにした呼び方だ。

    (参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

    指示書は「変態的行為」の実態について、次のように嘆いている。

    「食堂、清涼飲料店などの一部の奉仕機関では、個室、マッサージ室、サウナなどを利用し、夜間奉仕などの違法な奉仕活動を行い、売淫(売春)、賭博行為など退廃的で変態的な行為を助長している。奉仕員たちの色情的で醜い行為で客をひきつけていることをはじめとして、奉仕機関では社会主義制度のイメージを乱す現象が少なからず起きている」

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    李代表が北朝鮮国内の関係者の話として伝えたところでは、このような現象は首都平壌のみならず、南浦(ナムポ)、平城(ピョンソン)などの平壌周辺の都市、清津(チョンジン)、咸興(ハムン)、新義州(シニジュ)などの地方の大都市や、さらには郡部にまで広がっているという。

    (参考記事:「夫が軍隊で酷い目に」…北朝鮮「巨大風俗街」で聞かれる悲しい話

    それにしても、独裁者である金正恩氏が自ら懸念を募らせるこうした実態が、どうしていつまでも一掃されないのか。それは、こうした売春ビジネスの多くが、有力機関の大幹部たちの庇護を受けているためだ。奉仕網は党や軍、行政機関の収益事業として営まれている。それはつまり、売春ビジネスが党・軍・行戦機関の収入源になっているということだ。

    また、そもそも北朝鮮国内におけるこうした「性の乱れ」は、権力者たちのやりたい放題が発端になった部分もある。

    (参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル

    1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に前後した計画経済の崩壊と、その後のなし崩し的な市場経済化、そしてその結果としての極端な格差拡大により、同国社会には拝金主義がはびこってしまった。その中で、権力とカネを握る有力者たちは、自らの欲望を満たす仕組みを社会に生み出させたのだ。

    (参考記事:「あまり美人に育たないで」北朝鮮の親たちが娘の将来を案じる理由

  • うっかり金正恩氏の「大事な女性」を売り飛ばしたブローカーの行く末

    うっかり金正恩氏の「大事な女性」を売り飛ばしたブローカーの行く末

    北朝鮮で横行している女性の人身売買。女性を騙して中国に脱北させ風俗業に従事させたり、結婚相手がいない中国人に売り払ったりするのが一般的な手法だ。当局は厳しく対応しているものの、一向に後を絶たない。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、今月18日に恵山(ヘサン)市内にある両江道裁判所の前で、公開裁判が行われた。被告6人のうちの1人、40代のパク被告は有名な脱北ブローカーだった。

    パク被告は、脱北幇助と人身売買で荒稼ぎし、その裕福な暮らしぶりは地元で知らぬ人がいないほどだった。何度も逮捕の危機に直面したが、そのたびに保衛部(秘密警察)にワイロを渡して事件をもみ消してきた。ところが、今回ばかりはそうはいかなかった。

  • 「乱れる性」に必死で抵抗する金正恩氏

    「乱れる性」に必死で抵抗する金正恩氏

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(2)

    北朝鮮の金正恩党委員長は、2017年12月23日の朝鮮労働党第5回細胞委員長大会で演説した。

    「非社会主義的現象の根絶」を訴えた。非社会主義現象とは、文字通り北朝鮮が標榜する社会主義の気風を乱すあらゆる行為を指す。

    たとえば賭博、売買春、違法薬物の密売や乱用、韓国など外国のドラマ・映画・音楽の視聴、ヤミ金融、宗教を含む迷信などなどだ。もちろん、その他の刑事事犯も含まれる。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    金正恩氏は政権の座について以来、売春の取り締まりに力を入れてきた。

  • ムチャな韓国法のゴリ押しは誰の得にもならない

    ムチャな韓国法のゴリ押しは誰の得にもならない

    北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)に大量のコメを送った韓国在住の脱北者に、実刑判決が下った。脱北者の置かれた立場や朝鮮半島情勢の現実を無視し、杓子定規に法を適用した誤った判決と言える。

    (参考記事:「自由」の夢やぶれ韓国でも性的搾取…脱北女性の厳しい現実

    韓国の通信社ニュース1によると、ソウル近郊に住む脱北者の女性A被告(51)は2016年12月、金正恩党委員長の誕生日(1月8日)に合わせてコメ65トンを、ブローカーを通じて両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)税関に送った。

    また、2017年の太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)の前にもコメ65トン、2017年12月にも北朝鮮に送るコメ70トンの購入費用として、ブローカーに7000万ウォン(約684万円)を送金したことで、昨年摘発された。

    彼女の容疑は、国家保安法違反だ。同法第5条(自主的支援、金品の授受)は、反国家団体(北朝鮮政府など)やその構成員などを支援する目的で、国の存立、安全などを脅かすと知りながら金品を提供したものは、7年以下の懲役に処すと定めている。

    北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)出身のA被告は2011年、中国などを経て韓国に入国後、風俗店を経営して一財産を築いた。彼女には北朝鮮に残してきた息子がいて、脱北させようとしていた。しかし、うまく行かなかったため、北朝鮮への帰国を決心した。帰国後の自らと息子の安全を保証するため、北朝鮮に大量のコメを送ったというものだ。

    記事では触れられていないが、国家保衛省からの要求や脅迫に基づくものである可能性がある。国家保衛省は近年、脱北者に対する工作に力を入れてきた。

    (参考記事:美人タレントを「全身ギプス」で固めて連れ去った金正恩氏の目的

    裁判所は、コメを送る行為を国家保安法の「自主的支援」に該当するとし、「大量のコメを税関という公式ルートを通じて送ったことは、常識的に北朝鮮の国家保衛省との事前協議や協力なくして不可能だ」とした。また、「たとえ息子のためにコメを送ったのだとしても、犯罪の成立に影響を与えかねない」として実刑判決を下した。

    さらに、A被告の行為は「韓国の安全と自由民主的基本秩序を脅かす危険性がある」とも判断した。「被告が北朝鮮当局に協力し、対南(韓国)宣伝、工作活動に利用される可能性が相当ある」などと判断し、1審どおり懲役2年6ヶ月と資格停止(公民権などの停止)2年6ヶ月の刑を宣告した。

    チャ・ムンホ裁判長は「苦しい思いをして(韓国に)たどり着いたのに、なぜまた戻ろうとするのか理解できない」「息子がいたとしても、北朝鮮の政権にかなりの助けになりえるコメを送る行為はわが国では許されるものではない」と述べた。

    この判決は、脱北者の置かれた現実と乖離したものと言えよう。脱北者が、韓国において必ずしも良好な待遇を受けていない現実を、チャ裁判長がなぜ「理解できない」のか、その方が理解に苦しむ。

    ちなみに、脱北者の約6割が北朝鮮に残された家族に仕送りをしており、送金額の半分が手数料として送金ブローカーに天引きされる。その多くは国家保衛省、人民保安省(警察庁)、国境警備隊などにワイロとして納められる。この部分が国家保安法に違反することになる。

    (参考記事:脱北者の半数、北朝鮮に残してきた家族に仕送り「50〜100万ウォンが相場」

    他の国に比べて圧倒的に「カネがモノをいう」国である北朝鮮で、送金は家族の経済的安定のみならず、暴虐な体制から身の安全を守ることとも繋がる。さらに脱北者からの送金は、北朝鮮の市場経済化を支える資本にもなっている。

    北朝鮮社会では市場経済化の進行により、人々が自律性を高め、国家による思想統制に対する抵抗力を増している。この流れは北朝鮮国民が自由や人権に対する意識を増すことにもつながっており、それはいずれ、同国民と諸外国の人々との友好的な交流の土台にもなるだろう。

    反共で凝り固まった時代に作られた旧態依然たる法を杓子定規に適用することは、誰の得にもならないのだ。

    (参考記事:「親子の縁を切るしかない」脱北者の母に苦渋の決断を迫ったものとは

  • 女性に「性上納」までさせながら…「金正恩の党」のオワコン度

    女性に「性上納」までさせながら…「金正恩の党」のオワコン度

    北朝鮮・平安北道(ピョンアンブクト)の企業所に務めるAさんは、念願叶って朝鮮労働党への入党が認められた。ところが、その見返りとしてとんでもない要求を突きつけられたAさんは喜びも吹き飛び、当惑しきっている。

    これは、平安北道新義州(シニジュ)の内部情報筋が、知人であるAさん本人から打ち明けられた話だ。

    昨年12月中旬、朝鮮労働党の党員証授与式が行われた。党の規約によると、入党するには入党請願書と党員2人の入党保証書を提出。審査で認められれば見習いにあたる候補党員となり、問題がなければ1年後に正式な党員として迎えられる。

    だが、こうした機会を得るには職場の党委員会の実力者の推薦を得なければならず、そのためには様々な形のワイロが必要になる。軍の女性兵士などは、入党と引き換えに「マダラス」と呼ばれる性上納を強いられることすらある。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    「Aさんは労働党に入るために企業所で誠実に働き、上役に労力(ワイロ)を欠かさないなど頑張ってきたというのに……」(情報筋)

    「ワイロ」と「誠実さ」が並列するのがいかにも今の北朝鮮を表していると言えるが、その甲斐あってか、Aさんは企業所の推薦で入党できることになった。

    ところが、式典で党員証を受け取った喜びもつかの間、責任秘書(党の地方組織のトップ)はいきなりこんなことを言い出した。

    「党員証を受け取った引き換えに、コメ1トンを差し出せ」

    突拍子もない要求に、会場内はざわついたという。

    コメ1トンを今月23日の価格で計算すると、410万北朝鮮ウォン(約5万3300円)になる。平均的な4人家族の1ヶ月の生活費が50万北朝鮮ウォン(約6500円)であることを考えると、とてつもない額だ。

    経済的に余裕のないAさんは、知人や友人を訪ね歩き、コメを借りてようやく1トンを集めることができた。しかし、これからは重い返済が彼を待ち構えている。

    他の入党者も苦しいのは同じだ。「党員になったとしても、昔のように光栄なことでもなく、党員証がなくてもカネさえあればやっていける。それなのになぜ党員になったのか」と自問自答する人もいるそうだ。

    (関連記事:朝鮮労働党員はエリートも今は昔…「結婚するなら党員じゃなくて金持ち」

    かつての北朝鮮で、朝鮮労働党の党員になることは出世への近道だった。しかし、市場経済化が進む今の北朝鮮では、かつてのような威光はない。むしろ、制限が多くて不便なのだ。

    例えば、党員になれば非党員のように自由に商売ができない。非社会主義(当局が考える社会主義にそぐわない行為、風紀の乱れ)で摘発されれば党から追い出され、社会生活に支障をきたすばかりか当局の監視対象になりかねない。

    また、収入の2%を党費として納め、政治学習会、講演会に出席し、毎日の生活総和(総括)を行なうという「党生活」と呼ばれる義務も生じる。一銭の得にもならず、時間をドブに捨てるようなものだ。上役にワイロを渡して党生活を免除してもらう党員も少なくない。

    それだけではない。就職にも不利に働いてしまう。国の機関の傘下にある貿易会社や、トンジュ(金主、新興富裕層)が経営する企業が労働党員を雇うことは処罰の対象だ。それをもみ消すには多額のワイロが必要となる。そこまでして雇っても党生活で会社を留守にすることが多い。「面倒」との理由で解雇された事例すらある。

    (参考記事:北朝鮮「性上納」で出世してもお先真っ暗…労働党員もクビ

    「出身成分(身分)のよくない人がワイロを積んで入党するケースが頻発したことで、党員の名誉と威光は以前ほどではない」(情報筋)という認識も広がりつつある。

    「教化所(刑務所)帰りの人でも、コメを10トンばかり上納すれば党員になれるらしい」「外に向かっては社会主義を叫んでいるけど、中では資本主義に染まりきっている」(情報筋が聞いた街の声)

    そんなオワコンの労働党に入ろうとする人は減りつつあると言われている。若者からは「党員になって下手に出世でもしたら粛清されかねない」と避けられる始末だ。

    (参考記事:医師、IT技術者に憧れる北朝鮮の若者「粛清されないから」

    それでも「出世のためには党員証が必要」と考える人もいる。まさにAさんがそれだ。

    「どうせならば党員証があったほうがいいんじゃないかと思い努力してきたが、結局手元に残ったのは借金だけ」(Aさん)

    情報筋の話を聞く限り、Aさんは世情に疎い人のようだ。生き馬の目を抜くような今の北朝鮮で、Aさんのような人は出世も期待できなければ、党員にならずに商売をしたとしても成功は難しいだろう。

  • 北朝鮮の「お弁当」に見る食糧事情の改善と市場経済化の力

    北朝鮮の「お弁当」に見る食糧事情の改善と市場経済化の力

    新年から北朝鮮全域で行われている「堆肥戦闘」。化学肥料の不足を補うため、国民総出で堆肥作りに励むというものだが、ここに動員された人々の弁当の中身から、同国における食生活レベルの部分的な改善を読み取ることができると、デイリーNKの現地情報筋が27日に伝えてきた。

    1990年代の大飢饉「苦難の行軍」で数十万単位の餓死者を出したころと比べ、北朝鮮の食糧事情は大きく改善しているもようだ。

    (参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

    この日、デイリーNK編集部の電話取材に応じた咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は、「年初の堆肥戦闘には弁当を持参する住民が多いが、それを見ると、かなりの割合で食生活が改善しているように見える」と話し、次のように続けた。

    「2000年代半ばまでは、雑穀だけを炊いたご飯を弁当に詰めてくる住民が多かった。今では5:5(コメと雑穀が半分ずつ)の割合で詰めてくる人が多い。おかずも、以前のように野菜のナムルやジャガイ、コチュジャンだけではなく、よりスケトウダラやハタハタなどの料理を詰めてくる人がかなりいる」

    実際、別の情報筋が先週までに送ってきた北朝鮮国民のお弁当の写真は、コメと雑穀(トウモロコシ)が7対3ほどの比率になってになっており、スケトウダラの煮付けと思われるおかずが添えられている。この情報筋は「このぐらいが、現在の北朝鮮の一般庶民の食生活レベル」としながらも、生計が困難な貧困層は、依然として雑穀をはるかに多く食べていると付け加えた。

    2014年に北朝鮮から脱出し、現在は韓国に住む女性のキム・ミヒャン氏はこの写真を見て「北朝鮮の人々は自尊心から、お弁当を見栄え良くしようとする傾向があるため、大多数の国民が、常にこうした食事をとっているかは断言できない。それでも個々の人々に能力がなければ米を多く混ぜることは出来ないので、以前より改善しているのは確かだろう」と述べた。

    北朝鮮当局による配給制度が維持されていた1990年代初め頃、人々の弁当のコメと雑穀の割合は3対7から2対8くらいだったという。現在では配給制度は有名無実化しており、北朝鮮は国際社会による強力な経済制裁下にある。それにも関わらず弁当の内容が改善されているのは、「市場経済化が進展した結果だ」というのが、冒頭の咸鏡南道の情報筋の説明だ。

    ちなみに堆肥戦闘の現場では、「週に1回くらいは皆でお金を集めて、出前を取って食べる」といい、出前のメニューとしてはチャジャンミョン(炸醤麺、ジャージャー麺)が人気だという。

    (参考記事:北朝鮮「人糞集め」の現場は「ランチ出前」ビジネスの最前線

    この情報筋はまた「家庭ごとに経済力の差はあるが、(金正恩政権は)商売や生産活動の統制をあまりしていないため、人々の収入は比較的安定している」と伝えた。しかし、「市場経済化に適応できなかったり、商売に失敗したりした人々は極度の生活苦に悩まされている」と強調した。

    (参考記事:女性の「値段」はトウモロコシ1キロ…金正恩氏が生み出す飢餓農場

    情報筋はさらに「近所でも『しんどい、しんどい』という言葉が今も聞かれるが、10年や20年前に比べれば生活は確かに良くなった」とし、「周りを見ても、(生計の足しにするため)家電製品を売り払うよりは、ひとつずつ増やしている家庭の方が多い」と話した。

    また、「最近では、携帯電話が1台もないという家はない。大学生の子どもがいたり、技術分野で働く家族がいたりする家庭では、ノートパソコンが必須になっている。電力事情が悪いため太陽光に頼っているが、パネルが少しずつ増えているのも、家電製品が増えているためだ」と付け加えた。

  • 北朝鮮で鉄道運行が正常化…「東京ー岡山」の距離を24時間

    北朝鮮で鉄道運行が正常化…「東京ー岡山」の距離を24時間

    北朝鮮の鉄道は、時間はかかるものの概ね時刻表通りに運行されていたのだが、1990年代半ばの食糧危機「苦難の行軍」の頃からまともに運行されなくなってしまった。それがようやく回復しつつあると、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    乗客の悲劇

    RFAの咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、「最近の鉄道の運行状況は『苦難の行軍』以前にほぼ戻りつつある」として、北朝鮮の最新鉄道事情について解説している。

    例えば、咸鏡北道の清津(チョンジン)から首都・平壌までは、東海道新幹線の東京から岡山までの営業キロに少し足りない712キロの距離がある。この区間を走る列車は、近年では到着まで数日を要していた。それが最近では、遅延しても24時間で到着するようになったという。

    2002年度版の鉄道時刻表によると、第8列車は清津を22時12分に出発し、平壌に翌日の18時50分に到着する。第10列車なら13時10分発、翌日11時15分着だ。時刻表通りなら19〜20時間で到着するわけだが、4〜5時間の遅延に収まっているならば「苦難の行軍」以前に戻ったという情報筋の評価は、誇張されたものではないと言えよう。

    ちなみに両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)から平壌までの約720キロを結ぶ第1、2列車は、時刻表通りなら23時間で到着することになっているが、2014年ごろには1週間から10日もかかる、シベリア鉄道もビックリという状況になっていた。

    このような鉄道の大幅な遅延は、乗客の悲劇にもつながっている。

    (参考記事:北朝鮮「列車に乗っていたら飢え死に」その理由は

    情報筋は、鉄道運行が正常化された理由についてディーゼル機関車の導入を挙げた。

    「ディーゼル機関車が牽引しているので、電気の有無とは関係なく列車の運行が可能になった」

    北朝鮮の鉄道は、金日成主席の指示で8割以上が電化されている。ソ連など共産圏からの援助があった1980年代までは問題なく運行されていたが、援助が途絶えたことに加え、発電設備の老朽化、また国内経済の混乱によって電力事情が極度に悪化し、運行がままならなくなった。国営企業の操業が止まり、電気機関車の部品が供給されないことが火に油を注いだ。

    それでも、平壌と主要都市を結ぶ列車は曲がりなりにも運行を続けたが、支線は運行をしたりしなかったりの繰り返しで、使える代物ではなかった。それがディーゼル機関車が多数投入されたことで、状況が徐々に好転し、ついには苦難の行軍以前の状態を回復したというのだ。

    (参考記事:北朝鮮の「通勤列車」が再開…しかし終点はなぜか「政治犯収容所」

    両江道の情報筋によると、今まで長距離移動はソビ車などの民間の移動手段を使うしかなかったが、列車の運行がほぼ正常化したため、乗客が増えている。政府は「人民の生活を画期的に改善させる」ことを当面の目標としているが、それが実現した事例として、列車の運行正常化を挙げて宣伝しているとのことだ。

    しかし、当局が宣伝すれば逆に疑ってしまうのが北朝鮮の人々の心理だ。鉄道運行がいつまで続くのか疑う人も多いとのことだ。ディーゼル機関車の部品や、燃料は経済制裁の対象なので、全く根拠のない疑問というわけでもないようだ。

    また北朝鮮の鉄道は、安全性にも極めて大きな問題がある。鉄道が国内経済の動脈として本格的に活躍するようになるまでには、課題山積と言わざるを得ない。

    (参考記事:谷底に広がった凄惨な光景…北朝鮮で列車が転落「死者5000人」説も

  • 金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

    金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(1)

    北朝鮮で昨年11月、軍の平壌高射砲司令部の政治委員が公開銃殺された件については、本欄でも伝えた。政治委員の罪状は朝鮮労働党に対する不服従に加え、「私生活の乱れ」というものだったという。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、政治委員の罪名のひとつである「私生活の乱れ」は、具体的には2人の愛人を囲って贅沢三昧をしていたということらしい。これに対しては軍幹部の間から、「果たして銃殺までする必要があったのか」「やりすぎじゃないのか」との声が上がっていると、RFAは伝えている。

    確かに現在の北朝鮮においては、権力者が愛人を囲うのは「当たり前」のこととなっている。

  • 北朝鮮のレイプ殺人犯、実の息子の通報で極刑に

    北朝鮮北東部の鉱山で、女性のコチェビ(ストリート・チルドレン)に性的暴行を行った上で、殺害した鉱山労働者が公開裁判で無期懲役刑に処せられた。

    現地の情報筋によると、被告は40代半ばの男性A。咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)の検徳(コムドク)鉱業連合企業所で坑長を務めていた。坑長とは、鉱山の坑道の管理責任者で、安全管理などを担っている。

    息子が目撃した犯行

    Aは非常に評判のよい人物だっただけに、地元では衝撃が広がり、彼の本性を知った地域住民は、怒りに震えている。事件の顛末は次のようなものだ。

  • 金正恩氏の「美人妻利権」に平壌市民の怨嗟うず巻く

    金正恩氏の「美人妻利権」に平壌市民の怨嗟うず巻く

    北朝鮮の金正恩党委員長は昨年、路面電車とトロリーバスの車両を製造する工場を視察した。新型車両に試乗し乗り心地を評価すると同時に、このような真情を吐露している。

    「わが人民が古びた大衆交通手段に不便を感じる一方で、通りにタクシーがますます増えるのを見るたびに心が重かったが、今や展望が明るくなった、本当に満足だ」

    しかし実際のところ、平壌市内を走るタクシーの裏には金正恩氏の「美人妻利権」が隠れていると言われる。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

    島根県の朝鮮総連系の建設資材販売会社が1992年、朝鮮合弁総局と合弁で設立した光雲合作会社が始めた北朝鮮のタクシー事業。現在、平壌市内を走るタクシーの正確な台数は不明だが、数千台規模と言われている。

    最大手の大同江旅客運輸事業所を始め、6〜7社が営業しているが、その中のあるタクシー会社が庶民の怨嗟の的となっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    平壌の情報筋によると、それは人民保安省(警察庁)所属のタクシー会社だ。社名には触れていないが、元々は張成沢(チャン・ソンテク)元国防副院長の姪の夫で、元俳優のチェ・ウンチョル氏が経営する対外奉仕総局傘下の会社で、市内のタクシー事業を独占していたと伝えられている。ところが、張成沢氏は2013年12月に処刑され、チェ氏も粛清された。

    (参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

    タクシー会社は労働党に移管されたと言われていたが、情報筋によると現在は人民保安省の所属となっている。そして、このタクシー会社の裏にいると平壌市民の間で噂されているのが、金正恩氏の美貌の妻、李雪主(リ・ソルチュ)氏の側近なのだ。そのことで同社のタクシーは「李雪主タクシー」と呼ばれるようになったという。

    別の情報筋によると、平壌市民の間では「金正恩氏は党と軍と、(妹の)金与正(キム・ヨジョン)氏は国家保衛省(秘密警察)を、李雪主氏は人民保安省を掌握したという噂が出回っている」とのことだ。

    情報筋は、このタクシーについてこんな話を伝えた。

    「朝夕のラッシュアワーが過ぎると停電になることが多い。路面電車やトロリーバスの停留所の周辺には、約束していたかのように特定のタクシーが現れる」

    公共交通手段が停電で運転見合わせになれば、市民はタクシーを使わざるを得ないが、それを狙ってタクシーがやってくる。つまり、停電も国の指示ではないかと疑っているということだ。地方政府は、タクシードライバーからの上納金で潤っていることを考えると、あながち的外れの噂とも言えないだろう。

    タクシーの急増に伴い、苦境に立たされているのは「特流栄誉軍人」と呼ばれる人々だ。兵役中に事故などで手足を失い働くのが困難な傷痍軍人のことを指すが、金正日総書記は生前、彼らの生活保障のために、「トントンタクシー」の営業許可を特別に与えた。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    オートバイを改造し、後ろに荷台をつけたもので、乗客は8人、荷物なら1トンまで載せられるもので、庶民向けの乗り物だ。初乗り2ドル(約220円)の一般タクシーの半分の料金で、より多くの人が乗れるため、市民の間で人気が高い。

    平壌市民の目には、父金正日氏の配慮で生計を立ててきた特流栄誉軍人が、息子の妻により暮らしを脅かされているという図式に映っているのだろう。「タクシーの増加で心が重い」という金正恩氏の言葉は、そんな庶民感情を読み取ってのことなのだろうか。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

  • 北朝鮮の「ポンコツ軍隊」が日本の脅威であり続ける理由

    北朝鮮の「ポンコツ軍隊」が日本の脅威であり続ける理由

    米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)は21日、北朝鮮北西部の新五里(シノリ)に、中距離弾道ミサイル「ノドン1号」が配備されている「未公表のミサイル基地」があるとする報告書を発表した。報告書で示された推定によれば、基地には戦略ロケット軍ノドン旅団の司令部が置かれ、朝鮮半島全域と日本の大半に位置する標的に対して核弾頭または通常弾頭による先制攻撃を行う任務を与えられているという。

    CSISは昨年11月の報告書で、北朝鮮国内に未申告のミサイル基地が約20カ所あり、うち13カ所を特定したと発表していた。

    その際にも指摘したことだが、北朝鮮のミサイル基地について「未申告」とか「未公表」とかの説明を付け、情報の価値を強調するのはおかしなことだ。

    (参考記事:朝日新聞がまたヘンなことを言っている。北朝鮮のミサイル問題で

    北朝鮮は米韓に対して非核化を約束しているが、武装解除するとまでは言っていない。いかなる国際的な条約や約束によっても、北朝鮮はミサイル基地を申告したリ廃棄したりする約束を負ってはいないのだ。

    北朝鮮が非核化を巡ってどんな約束をするにせよ、自衛の権利は残る。もちろん、米国は北朝鮮との交渉で、自国を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の全廃を要求するだろうし、それにより十分な対価を得られると納得すれば、金正恩党委員長はそれに応じるだろう。

    しかしそれが、日本を射程に収める中・短距離の弾道ミサイルにまで及ぶとは限らない。むしろ北朝鮮は日本の軍事的脅威を強調し、弾道ミサイル戦力の温存に固執しそうな姿勢を見せている。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

    そもそも北朝鮮の朝鮮人民軍は、兵力規模こそ大きいものの、本格的な戦争には耐えられない「ポンコツ軍隊」に成り下がっている。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    例外的に脅威と言えるのは、弾道ミサイルを運用する戦略軍や特殊部隊など、一部のエリート集団だけだ。特に日本に対しては、弾道ミサイルが唯一のけん制手段であると言える。また、日本が北朝鮮を信用しないのと同様に、北朝鮮も日本のことを信用してはいない。そのような状況下、はるかに国力の勝る日本に対し、北朝鮮が進んで「丸腰」になることは考えにくい。

    仮に日本が、北朝鮮が自国にとって軍事的に無害な存在になることを望むなら、日本政府は自らの努力によってそれを達成しなければならない。しかし現状、日本政府にそのような戦略は存在しないのである。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

  • 「誰であろうが見たら銃殺」危険視される韓国のテレビ

    軍事境界線を挟んで韓国と向かい合う、北朝鮮の黄海南道(ファンヘナムド)では、韓国から飛んでくる兵器との闘いが大々的に繰り広げられている。兵器と言っても砲弾でもミサイルではない。テレビの電波だ。

    北朝鮮当局は、国民が韓流コンテンツに触れるのを拷問や処刑など極端な方法で妨害してきたが、テレビももちろん、その対象になっている。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋によると、道内各地の保安署は各人民班(町内会)で思想教育目的の講演会を行っている。そこで伝えられたものは次のようなものだ。

    「『敵紙物』として落ちてきた『保存装置』を保安署に届け出ず隠し持ったり、退廃的な資本主義映像物を見る現象を徹底的になくせ」

    「敵紙物」というのは、韓国から放たれたビラや物品のことを指す。一部の脱北者団体は、北朝鮮に向けてビラ、コメ、USBメモリ、米ドル札などを飛ばしたりしている。

    (参考記事:「対北朝鮮ビラ」散布禁止に猛反発する人権団体の主張

    さらに保安署の担当者は、次のように強調したという。

    「テレビのチャンネルを固定せずに回して、南朝鮮(韓国)のテレビを視聴する者が現れている。摘発された者は職位を問わず公開銃殺されるだろう」

    北朝鮮当局は昨年から、非社会主義現象(当局の考える社会主義にそぐわない行為、風紀の乱れ)根絶キャンペーンをより一層強力に推し進めており、韓流ドラマ、映画の流通、視聴で見せしめ目的で銃殺刑に処される人が出ている。「韓国のテレビを見たら銃殺」というのもこのような流れの一環だろう。

    (参考記事:「金正恩は、中で殺している」北朝鮮の処刑方法に変化

    黄海南道の中でも、碧城(ピョクソン)、康翎(カンリョン)などの沿岸地域では、韓国のテレビが非常に鮮明に受信できる。

    韓国の白翎島(ペンニョンド)は、本土の仁川から西に200キロ以上離れているが、北朝鮮まではわずか15キロしかない。この島には公共放送のKBS、MBC、民放のSBS、OBSのテレビ、ラジオの送信所がある。

    詳細は不明だが、かなりの出力で送信されているようで、首都・平壌周辺はもちろん、韓国から300キロも離れた平安北道(ピョンアンブクト)の雲山(ウンサン)ですらKBSが受信できるとの話すらある。

    (参考記事:北朝鮮山奥で「韓国テレビ放送」が受信可能…ソウルから300キロ

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は2016年12月2日、逓信省電波監督局のリ・ヨンイル局長が国際電気通信連合に対して、「南朝鮮逓信行政当局は今までもわれわれの地域に故意的かつ悪らつな方法でわれわれのアナログ式テレビ放送システムの4のチャンネル(7、8、10、11)にテレビ放送電波を中断せず発射し、われわれのテレビ放送チャンネルに甚だしく干渉する違反行為を続けている」として、対策を講じることを要求したと報じた。

    ちなみに韓国のテレビのアナログ送信は2012年末をもって終了している。北朝鮮の視聴者からは「韓国のテレビが見られなくなる」と落胆の声が上がったが、その後も北朝鮮向けに限ってアナログ送信は続けられている。

    (参考記事:韓国地デジ開始で落胆する北朝鮮の庶民「地デジデコーダー買えない」

    南北関係が改善されたことで、昨年までは取り締まりを恐れて韓国のテレビを見ようとしなかった人も、深夜に電気が供給される時間帯を利用して密かに韓国のテレビを見る事例が増えて、当局は当惑していると情報筋は伝えた。

    当局は今までもこの地域の住民に対して他の地域よりより強い思想教育を行ってきた。韓国に接した地域の住民は、有事の際に「敵対国」を助ける、潜在的な内なる敵、体制を脅かす危険勢力になり得るとみなしているからだ。また、この地域の沿岸部は1950年に朝鮮戦争が勃発するまでは韓国領だったが、そのことも思想教育強化の背景にあるようだ。

    黄海南道(ファンヘナムド)同様に韓国に接している江原道(カンウォンド)の情報筋によると、当局は通報体系の整備に加え、妨害電波を発信して住民が韓国のテレビを見ないように様々な対策を立てているが、それでも密かに見る人はいるという。

    「USBメモリやSDカードに保存された韓流ドラマを1回見ただけでも(韓国についての)考えが変わるのに、韓国のテレビを直接見れば国内外の情勢はもちろん、韓国人の生活を肌で感じるようになる。さらにはわが国(北朝鮮)の問題も知ることになり、自然と批判意識を持つようになる」

    その一方、当局の行う講演会や思想教育は旧態依然としたもので、変化する北朝鮮国民の意識についていけていないと指摘しながら、情報筋は次のように語った。

    「ありきたりの内容ばかりの党の宣伝を、見た人は鼻で笑っている」

    (参考記事:亡命した北朝鮮外交官、「ドラゴンボール」ファンの次男を待っていた「地獄」

  • また「手抜きマンション」で死亡事故、壁崩壊で下敷きに

    また「手抜きマンション」で死亡事故、壁崩壊で下敷きに

    北朝鮮の首都・平壌の中心部のマンション建設現場で事故が起き、2人が死亡した。

    現地の内部情報筋によると、事故が起きたのは昨年末のことだ。平壌市平川(ピョンチョン)区域で行われているマンションの建設現場で、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊、8総局所属の兵士らが地下で工事に当たっていたときに急に壁が崩れ、下敷きになった兵士2人が死亡した。マンションの建物はすでに完成し、内装工事が行われていた最中で起きた事故だった。

    (参考記事:金正恩氏、日本を超えるタワーマンション建設…でもトイレ最悪で死者続出

    今回の事故を受けて、現場の指揮官が6ヶ月の降格処分、他の責任者は労働鍛錬刑(軽犯罪者を収容する刑務所での短期間の懲役刑)となったが、「その程度で済んだ」ことで関係者は胸をなでおろしているだろう。

    この地域では2014年5月、完成したばかりの23階建ての高層マンションが崩壊し、住民や工事関係者など最高で500人が犠牲になる大惨事が起きている。東京新聞によると、建設を担当した7総局の局長が解任の上で政治犯収容所に送られ、設計と施行を担当した技術者4人が銃殺刑に処せられている。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

    当時も今回も「速度戦」が事故の原因と見られている。今回の場合、資材を充分に確保できない状態で工事を強行し、セメントをきちんと養生しないまま作業が進められた。そのため、建物の強度に問題があったという。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    2014年6月20日の北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、金正恩党委員長が当時建設中だったタワーマンション団地の現地指導を行った場で「建設においては一にも二にも質の保証に優先的に関心を置くべき」「千年責任、万年保証のスローガンの元に、建築物を百点満点で完成させよ」と指示したと報じている。

    是が非でも決められた工期までに完成させるという速度戦は、手抜き工事の温床となってきた。金正恩氏は崩壊事故の直後とあって、丁寧な施工を強調するために、2010年の朝鮮労働党中央委員会、党中央軍事委員会の共同スローガンの一つ「すべての建設物を千年の責任を負い、万年保証できるように建てよう!」を引用したのだろう。

    一方で金正恩氏は「党創建記念日(10月10日)までに完成させることは、党が科学者と交わした約束」だとして、速度戦を強調している。なぜ、相反する指示を同時に下したのか。

    北朝鮮で幹部の地位にあった脱北者は2014年6月、デイリーNKの取材に対して、「速度戦は金日成主席の時代から北朝鮮式社会主義体制の優越性を宣伝するためのもの」「崩壊事故が再び起きたとしても、金正恩政権になってから登場した(速度戦を強調する)『朝鮮速度』の放棄は難しいだろう」と述べた。「世論をひきつけ体制を安定させるためには、人民に対してなんとしてでも成果を見せつけなければならないという強迫観念に捕らわれている」と解説した。

    だが一部では、ようやく速度戦一辺倒の姿勢に変化が現れ始めてもいる。

    金正恩氏は、両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)開発工事の一時中止を指示した。また、手抜き工事疑惑が浮上した恵山(ヘサン)のマンションに関しては、地方当局が住民に対して建物の再検査を約束するなど、「速度戦」による弊害を抑えようとする動きを見せている。

    労働新聞では、「速度戦」という用語が使われ続けると同時に、昨年ごろから「千年責任、万年保証」とまた「手抜きマンション」で死亡事故、壁崩壊で下敷きにいう用語が使われる頻度が高まりつつある。

    (参考記事:さすがの金正恩氏も寒すぎて中断した「超ブラック事業」

  • 米軍兵士にも「遠慮なく拷問」を加えた北朝鮮の失敗

    北朝鮮は今から51年前、1968年の1月23日、東海岸の元山(ウォンサン)沖で米海軍の情報収集艦「プエブロ」を拿捕した。「プエブロ号事件」として知られるこの出来事は当時、第2次朝鮮戦争の勃発も予感させる重大事だったとされるが、今となっては遠い昔の話である。

    ところが最近、この事件が米朝関係で重要な意味を持つようになるかもしれない展開が生まれている。

    米大学生のオットー・ワームビアさんが北朝鮮で長期拘束され、解放直後に死亡した件を巡り、ワシントンDCの連邦地裁は先ごろ、「ワームビアさんは北朝鮮で拷問を加えられていた」と認定した。確かに、ワームビアさんは北朝鮮に拘束されている間に歯列が大きくズレるなど、拷問を受けていた可能性を示すものがある。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    また過去にも、北朝鮮で拘束された外国人が拷問を受けていたとする証言は存在する。

    (参考記事:「北朝鮮で自殺誘導目的の性拷問を受けた」米人権運動家

    しかし数の面で言えば、そのような事例は多いとは言えない。ワームビアさんも、実は拷問を受けていなかったのではないかとする見方が、米国内にも存在するのだ。

    ところが、米国の政府や司法の関係者に「やはり北朝鮮は外国人にも拷問を加える国である」と強く印象付けてしまう前例が、この「プエブロ号事件」なのだ。

    同事件では、プエブロが北朝鮮の哨戒艇から攻撃を受けた際に乗員1名が死亡。さらに乗員82人が捕虜となり、11カ月間にわたり拘束された。その間、彼らが激しい拷問を受け、米国に帰国して以降も後遺症に苦しんでいたことが、確かな歴史的事実として記録されているのだ。

    米国と北朝鮮は2月下旬に2回目の首脳会談を開く予定であり、北朝鮮の非核化に向けた具体的な進展が期待されている。ただ、そこで何らかの成果が生まれたとしても、ワームビアさんに対する拷問が司法で認定されてしまった事実が今後、米国世論にどのように影響するかわからない。

    ホワイトハウスが北朝鮮との関係改善に動こうとしても、世論に敏感な議会が反対する可能性が小さくないのだ。下院が民主党に握られている現在の状況においては、こうした要素はいっそう重要な意味を持つように思える。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 過激アンダーウェアに高級時計…金正恩氏の「密かな楽しみ」がピンチ

    過激アンダーウェアに高級時計…金正恩氏の「密かな楽しみ」がピンチ

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮が昨年スイスから輸入した時計の金額が、経済制裁の影響で前年の約半分にとどまったという。ということは、ぜいたく品に囲まれた金正恩党委員長のライフスタイルにも影響が出ているかもしれない。

    昨年4月27日に板門店(パンムンジョム)で開かれた南北首脳会談と、同年6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談の際、金正恩氏は「ベンツS600プルマンガードリムジン」に乗っていた。

    金正恩氏のクルマに対するこだわりは相当強いらしく、自分でベンツを運転していることを、デイリーNKジャパンは独自情報で確認している。さらに現地指導の移動の際に乗るベンツには、金正恩氏のトイレ事情に関わる特殊装備が積まれているとされている。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    ぜいたく品が好きな北朝鮮高官は金正恩氏だけではない。彼の側近のひとりである崔龍海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長は、北朝鮮一のブランド好きで、派手な生活を好むことで知られている。それが行き過ぎて女性問題、それもほとんど性犯罪とも言えるほどの変態性欲スキャンダルを起こした過去すら持つ。

    (参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル

    北朝鮮は金正恩氏を頂点とする権力層のために、主にヨーロッパからベンツや高級時計、その他の様々なぜいたく品を輸入してきた。また金正恩氏が「喜び組」のために、多額の金を費やして「セクシーアンダーウェア」を輸入していると報じられたこともあった。

    (関連記事:金正恩氏が大金をつぎ込む「喜び組」の過激アンダーウェア

    北朝鮮の指導層は苦しい人民生活を顧みず贅沢な生活を送り、挙げ句の果てには核ミサイル開発に資金を注ぎ込んできたわけだ。これを受けて欧州連合(EU)は一昨年11月までに、キャビア、ワイン、ビール、コニャックなどのアルコール類、ハンドバッグをはじめとする皮革製品、コートを含む衣類、アクセサリー、靴など22種類以上の物品を北朝鮮への輸出禁止品目に指定している。また、EUは昨年11月にも北朝鮮船舶48隻に対して資産凍結や入港禁止の対象とし、海上で積み荷を移し替える「瀬取り」に関与したとして12隻を制裁リストに含めるなど制裁を継続している。

    スイス時計協会(FH)の財政担当者はRFAに対して、「(対北朝鮮)制裁担当者が北朝鮮への輸出を統制しているため、安価な時計のみを輸出している」と説明した。

    金正恩氏は昨年6月、米国のトランプ大統領と首脳会談を行うなど、米国との関係改善のきっかけを作った。一方、米財務省は昨年12月に、北朝鮮における深刻な人権侵害や言論統制に関与したとして、先述の崔龍海氏を含む朝鮮労働党の幹部3人を制裁対象に指定するなど、制裁を緩める姿勢を見せていない。

    金正恩氏は最高指導者として、それにふさわしい優雅なライフスタイルをおくりたいのかもしれないが、北朝鮮が置かれている現状を踏まえて、身の丈にあった生活を送るべきだ。そうすれば北朝鮮国内からも国際社会からも、「分別のある指導者」として一定の評価を得られるかもしれない。

  • 安倍政権は2回目「金正恩・トランプ会談」をぶっ壊した方が身のため

    安倍政権は2回目「金正恩・トランプ会談」をぶっ壊した方が身のため

    河野太郎外相は2月中旬、ポンペオ米国務長官と会談し、同月下旬に予定される米朝首脳再会談での対処方針を擦り合わせるのだという。また共同通信によれば、河野氏とポンペオ氏は21日の電話協議で、北朝鮮の非核化へ向けて日米、日米韓で緊密に連携する方針を確認。北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決への協力も改めて申し合わせたそうだ。

    このような朝鮮半島情勢と日本の立ち位置について、このような表面的なニュースばかりに触れるのもそろそろ空しくなってきた。対北朝鮮で、日米韓の「緊密な連携」などすでに存在しない。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

    日米の2国間では、打ち合わせぐらいは密にやっているかもしれないが、日韓がそんな状況じゃないことは言うまでもない。

    (参考記事:日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    日本人拉致問題の早期解決においても、米国はもはやあてにならない。米国の最大の関心事は、自国の安全保障だ。北朝鮮が、自国に届く大陸間弾道ミサイルを完成させそうになったから対話に乗り出したのである。トランプ政権は、北朝鮮が非核化を実行すれば、対価を与えると言明している。対価の条件が、「非核化と日本人拉致問題の解決」であるとは一言も言っていない。

    前回の米朝首脳会談でもそうだったが、トランプ大統領は今回もまた「日本とよく話し合ってみたらどうだ!?」と金正恩党委員長に促すかもしれない。しかし、期待できそうなのはそこまでだ。日本人拉致問題を本当に解決したいなら、日本は自力で道を切り開くしかないのだ。もし、それをするための計画がまだないのだとしたら、安倍政権は拉致問題を解決するための外交戦略を持っていないということになる。

    ならば、拉致問題解決のために北朝鮮を動かすには、どのような方法があるのか。ひとつは、国交正常化交渉を開始することだ。しかし、これは北朝鮮の非核化にある程度の目途がつくまでは、条件が整わないだろう。

    それに、国交正常化交渉では当然、日本がどのように過去清算を行うかが焦点にならざるを得ないだろうが、安倍晋三首相がそれを積極的にやりたがるとはどうしても思えない。国交正常化交渉で拉致問題を扱う可能性が出てきたとしても、結局はうまく行かないように思える。

    仮に、日本が核問題や過去清算から拉致問題を切り離し、先行して解決することを望むなら、人権問題で北朝鮮に攻勢をかけるしかないと筆者は考える。

    米韓は北朝鮮との対話を優先し、金正恩氏が最も嫌う人権攻勢を手控えている。人権こそは、金正恩体制の根幹に触れる問題だ。たとえ米国との対話が思うように進まなくとも、国際社会からの人権攻勢が弱まるならば、北朝鮮にとっては大きな利益なのだ。

    日本はこれを逆手に取って、今なお北朝鮮国内で現在進行形の残酷な人権侵害の数々を暴き、「こんな非人道的な国家とは安易に対話を進めるべきではない」という国際世論を作り出すべきなのだ。そうすれば、北朝鮮も米韓も日本を黙らせるために、何らかの「対価」を差し出さざるを得なくなる。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

    金正恩氏はすでに、対話路線に大きく踏み出しており、日本が少しぐらい米朝対話の邪魔をしたからと言って、そう簡単に核武装の強化に舵を切ることはできない。それに何より、日本人拉致問題を解決するだけでなく、人権侵害に苦しむ多くの北朝鮮国民を救う結果につながるかもしれない。対北朝鮮の人権攻勢にかかる費用も、ミサイル防衛システムやステルス戦闘機の導入費用に比べれば微々たるものだ。やってみて、損はないと思うのだが。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

  • 金正恩氏の専用列車は「時速20キロ」…背景に大量死亡事故

    金正恩氏の専用列車は「時速20キロ」…背景に大量死亡事故

    北朝鮮の金正恩党委員長は今月7日から10日まで訪中し、習近平国家主席と会談するなどした。その際、金正恩氏が乗った専用列車は北朝鮮国内で時速20キロしか出せなかったと、韓国紙・東亜日報のチュ・ソンハ記者が伝えている。

    その背景には、大量の死傷事故が繰り返し発生する、北朝鮮の劣悪な鉄道事情がある。

    (参考記事:谷底に広がった凄惨な光景…北朝鮮で列車が転落「死者5000人」説も

    脱北者であり、北朝鮮国内の事情に精通するチュ・ソンハ氏によれば、金正恩氏の専用列車は中国からの帰路、国境都市の新義州(シニジュ)から11時間かけて首都・平壌に到着したという。走行距離は、およそ225キロだから、1時間に20キロしか進めなかった計算になるわけだ。

    北朝鮮の鉄道は、老朽化が著しい。日本の植民地時代に作られたレールや枕木を未だに使用している例も珍しくなく、列車が高速で走行するのは非常に危険だ。実際、施設の老朽化が、大惨事に繋がった例もある。

    (参考記事:死者数百人の事故が多発する北朝鮮の「阿鼻叫喚列車」

    昨年12月、韓国の調査団が南北の鉄道連結のため北朝鮮の鉄道の状況を調査した結果、開城(ケソン)から平壌を経て新義州を結ぶ区間では時速20キロから60キロしか出せず、国際列車が運行されている平壌以北の区間では時速60キロでの運行が可能な程度だったという。

    平壌から新義州まではその気になれば時速60キロまでは出せるのだろうが、最高指導者を乗せた専用列車は「万が一」を考えて絶対安全なスピードに抑えたものと考えられる。

    ちなみに、5000キロ以上に及ぶ北朝鮮の鉄道路線は8割が電化されているが、同国は1990年代以降の発電設備の老朽化、そして深刻な経済難により、極度の電力不足に陥る。そして高い電化率がアダになり、鉄道はマヒ状態に陥ってしまった。例えば首都・平壌から北部の恵山(ヘサン)までは、時刻表通りなら23時間ほどで到着するのに、実際には10日もかかった事例などが伝えられている。

    ただ、デイリーNKの内部情報筋によると、最近の北朝鮮の鉄道運行は比較的円滑になっているという。皮肉にも、従来は大部分が輸出されていた石炭が国際社会の経済制裁で輸出できなくなったことで、国内での消費量に回されるようになり、電力の生産量が増えたことがその理由だ。

    (参考記事:通勤列車が吹き飛び3000人死亡…北朝鮮「大規模爆発」事故の地獄絵図

  • キノコをより多く栽培するために

    【平壌1月18日発朝鮮中央通信】平壌キノコ工場の労働者たちが、おいしくて栄養価の高いキノコを栽培するために努めている。---

  • 濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    北朝鮮で昨年、人民保安省(警察)の要員に対する殺人事件が増加していると、韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)が伝えている。無実の罪を着せられ、刑務所での服役を余儀なくされた人々の報復と見られるという。

    北朝鮮の保安員は取り締まりの権限を振りかざし、庶民からワイロを搾り取ることを生業としている。要求に応じなければ様々な言いがかりをつけて逮捕し、刑務所送りにすることもある。また、同様のやり方で女性に性行為を強要することもあり、悪徳保安員に対する庶民の恨みは深い。

    (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

    国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が昨年10月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」は、金正恩党委員長が政権を継承した2011年以降に脱北した54人と、脱北した北朝鮮の元公務員8人を対象にしたインタビューを元に作成されたものだ。

    その中には、被害女性らの血のにじむような証言のほか、身近で起きた性犯罪の経過を知る第三者の証言などが数多く収められており、読むほどに「そこまで酷いのか」と愕然とさせられる。その中には、警察官が加害者となった性犯罪の事例が多数、収められている。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の消息筋がLKPに語ったところによれば、昨年末までの1年間で、全国の保安員に対する殺人事件は70件を超え、「報復殺人を恐れる保安員は1人で人通りの少ない道を通るのを避け、夜遅くに1人で出歩くことも避けている」という。

  • 「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    中国との国境に面した地域にある、北朝鮮の教化所(刑務所)で、受刑者が看守の保安員(警察官)を殺害する事件が起きたと、現地の内部情報筋が伝えた。

    事件が起きたのは、咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)にある全巨里

    (チョンゴリ)教化所だ。内部情報筋によると、事件のきっかけとなったのは「酒」だ。

    「正月に贈り物として酒が配られた。それを飲んで酔っ払った教化生(受刑者)が、普段から自分をいじめていた保安員の頭を石で殴って殺害した」(情報筋)

    この受刑者は、保安員の制服に着替えて、教化所の正門から堂々と出て脱走した。

  • 平壌で行われる国際スポーツ行事と競技大会

    【平壌1月18日発朝鮮中央通信】平壌でチュチェ108(2019)年に複数の国際スポーツ行事と競技大会が行われる見通し。

    意義深い光明星節(金正日総書記の誕生日.2月16日)と太陽節(金日成主席の誕生日.4月15日)に際して第26回光明星節祝賀白頭山賞国際フィギュア祭典と第30回万景台賞国際マラソン競技大会が行われる。

    7月には、5日間の日程で国際卓球連盟(ITTF)が主管する平壌オープン卓球競技大会が、9月には国際武道競技委員会(IMGC)創立20周年記念行事と秋季マラソン愛好家競技大会が行われる。

    10月に、2019年アジア青少年・青年重量挙げ選手権大会を主催する。

    大会期間、選手らは各々10の体重級の計120の金メダルをかけて熾烈(しれつ)な争奪戦を行う。

    平壌は、2013年に青年、成人級アジアカップおよびクラブ重量挙げ選手権大会を主催したことがある。---

  • 現存発電能力の改善に力を集中

    【平壌1月18日発朝鮮中央通信】朝鮮で、各地の発電所の現存発電能力の改善に力を集中している。

    電力工業省のハン・ギョンジン局長は、最高指導者金正恩党委員長は新年の辞で今年、社会主義経済建設で提起される最も重要かつ差し迫った課題の一つは、電力の生産を画期的に増やすことであると述べたとし、次のように語った。

    金正恩委員長のお言葉には、電力工業部門の活動家と生産者に対する大いなる信頼と期待が盛り込まれている。

    今、各地の火力発電所では発電設備の稼働台数を増やし、フル稼働させて当面、電力生産を最高生産年度水準に引き上げるために奮発している。

    全てのボイラーに高温空気燃焼安定化技術を取り入れ、酸素による無煙微粉炭着火および燃焼安定化技術の導入に拍車をかけている。

    大規模の水力発電所では、発電設備と各種の構造物の整備、補強に力を入れている。

    特に、赴戦江発電所と煕川発電所、金野江軍民発電所の水力構造物を整備、補修して数万キロワットの電力を増産できる予備をもたらしている。

    各水力発電所に近代的なデジタル調速機と励磁機、総合保護装置を製作、導入して発電所の統合生産システムをより完成し、従来より発電の効率をさらに高めるための活動を推し進めている。---

  • 「愛人で処刑はやりすぎ」北朝鮮軍内で金正恩氏への不満うっ積

    「愛人で処刑はやりすぎ」北朝鮮軍内で金正恩氏への不満うっ積

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)幹部らに対する金正恩政権の無慈悲な粛清を受けて、軍内に不満が鬱積しているもようだと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    北朝鮮軍関連の消息筋はRFAに対し、「昨年11月、平壌高射砲司令部のある政治委員が、朝鮮労働党に対する不服従に加え『私生活の乱れ』をとがめられ、美林(ミリム)飛行場で銃殺される出来事があった」と語っている。

    凄惨な現場

    消息筋によれば、当局は軍の将官たちを、新年度の戦闘政治訓練会議のためとして平壌の4.25文化会館に招集。その席上、件の政治委員の罪名を発表したという。そして、将官たちをバスに分乗させて飛行場に移動、数百人が見守る前で銃殺刑を執行した。

  • 北朝鮮に逃げ込む「外国人犯罪者」…外貨提供でぜいたく三昧

    北朝鮮においても諸外国と同様、覚せい剤の密売・乱用や詐欺行為は犯罪であり、取り締まりの対象となる。覚せい剤汚染が深刻化の一途を辿っているのは、司法機関の腐敗のためであり、これら不法行為がまったく放置されているわけではない。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    しかし、北朝鮮が取り締まるのは国内で発生した犯罪行為だけだ。中国やロシアとの間で犯罪人引渡協定は結ばれているが、他国との「捜査協力」なるものが存在するのか疑わしい。

    そこに目を付け、北朝鮮に逃げ込んだ犯罪者たちが、同国秘密警察の庇護を受けていると韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)が伝えている。

    LKPによれば、中国の情報機関である国家安全部が最近、北朝鮮の秘密警察である国家保衛省に対し、自国民の犯罪者を引き渡すよう強く要請しているという。

    北朝鮮の消息筋がLKPに語ったところによると、中国国家安全部は2016年、北朝鮮の経済特区である羅先(ラソン)のエンペラーホテルのカジノで借金を作り、同国内に足止めされている自国民の犯罪者40人のリストを国家保衛省に送り、彼らを送還させることを強く要求したという。

    「しかし国家保衛省は、彼らは北朝鮮の銀行に多額の負債があると主張し、送還費用として1人当たり3億人民元(約48億円)を要求。中国国家安全部は即座にこの要求を拒絶した」という。

    LKPは説明していないのだが、この話が事実であれば「カジノの借金」というのは北朝鮮が中国人犯罪者を保護するための口実だ。借金を返せないただの一文無しであれば、国家保衛省は彼らを直ちに追放するだろう。実際、LKPの消息筋は次のように続けている。

    「その後、北朝鮮にはこの連中のほかに、麻薬中毒者やその他の国際犯罪に関わった約300人の中国人が滞在している。彼らは中国の家族からの送金を受け、豪華な生活を維持している」

    (参考記事:「牛乳風呂」をたのしむ北朝鮮の上流階級)

    これに対し、中国国家安全部は引き続き送還を要求しており、その圧力のせいで送還されることを恐れた犯罪者たちは、北朝鮮当局に対して亡命申請すら行っているという。

    「たしかにわが国にいれば、相手がインターポールだろうが外国の情報機関だろうが、捜査の手が伸びてくることはあり得ない。外国人犯罪者たちには、最も安全な隠れ場所だ。しかも、彼らのポケットからお金がなくならない以上、あらゆる贅沢を享受し、永続的な安全を確保することができる」(消息筋)

    拝金主義がまん延する現在の北朝鮮であれば、確かにその通りかもしれない。だがそれは、お金がなくなったら「一巻の終わり」であることを意味してもいる。中国からの送金が途絶えた瞬間、北朝鮮当局は彼らを中国に送還するどころか、自国内で闇から闇へ葬ってしまうかもしれない。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」