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  • 日韓関係が「ひとつの終わり」を迎えた歴史的必然

    日韓関係が「ひとつの終わり」を迎えた歴史的必然

    韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日の年頭記者会見で、日本企業に元徴用工に対する賠償を命じた韓国最高裁判決を巡り「日本の政治指導者が政治的な争点とし、問題を拡散させているのは賢明でない」「日本政府はもう少し謙虚な立場を持たねばならない」と注文をつけた。

    これに対し、菅義偉官房長官は11日、「韓国側の責任を日本に転嫁するもの」であるとして強く批判。するとまたもや韓国から反発の声が聞こえるという展開になっている。

    日韓関係がこのところ険悪さを増している原因は、様々ある。

    (参考記事:日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    ただ、こうしたコミュニケーション上の「こじれ」が火に油を注いでいる部分も大きいように思われる。

    現在では考えられないことだが、日韓の間には昔、政財界にわたる「日韓癒着」が、両国の様々な社会問題・国際問題の根となっていた時代があった。一例を挙げるなら、韓国中央情報部(KCIA)が日本で強行した「金大中拉致事件」の政治的な幕引きのため、韓国側の密使として田中角栄首相らに巨額のカネを持参したのが、「ナッツ姫」こと趙顕娥(チョ・ヒョナ)元大韓航空副社長の祖父・趙重勲(チョ・ジュンフン)氏だった。

    (参考記事:【日韓国交50年】田中角栄と「ナッツ姫」祖父が残した日韓政治の闇

    東西冷戦構造の中、日韓は米国を軸として実質的な同盟となり、歴史問題を脇へ置く形で利害を共にしていたわけだ。中でもとりわけ保守政治家同士の結びつきは強く、相互に利権を与えあっていたのである。

    (参考記事:【日韓国交50年】岸信介から安倍晋三まで…首相一族の「在日人脈」と「金脈」

    もちろんその時代にも、歴史問題は存在していたわけだし、韓国には日本への反発もあった。軍事政権時代には、韓国はそれを力で抑えつけていた部分もあったが、それだけではない。かつて日本の統治を受けた韓国の政官財界には、朴正煕元大統領をはじめ、日本語がペラペラの有力者が多かった。民主化後に大統領になった金泳三、金大中の両氏も日本語が流暢だった。

    (参考記事:【動画】金大中元大統領は日本語がペラペラ

    一方、日本の側には韓国語の出来る人がそれほど多かったわけではない。双方の円滑なコミュニケーションは、韓国サイドの日本語力の高さに依存していた部分が大きかった。

    しかしその後の世代交代により、韓国側のそうした人材はどんどん減った。日本に留学する韓国人は多いが、その中から政治や対日外交で重要な役割を担う人材がどんどん生まれているという状況ではない。グローバル化の中、韓国のエリートが日本語よりも英語や中国語の習得に向かうのは、仕方のないことだろう。

    つまりある時代までの日韓外交の現場には、言葉の面で、外国同士でありながら外国同士ではないような部分があったのだが、それが急速に変わってしまったわけだ。文在寅大統領の側近の中に、日本語の上手な人はいないとされる。

    かつては普通に出来たフランクな会話が、今ではまったく出来なくなってしまった。そのせいで日韓は、いきなりコミュニケーションの断絶を感じるようになった。そのインパクトは、確実に日韓関係に影響していると思う。

  • 北朝鮮「空母化いずもは悪夢を呼ぶ怪物」 金正恩氏、興味津々か

    北朝鮮「空母化いずもは悪夢を呼ぶ怪物」 金正恩氏、興味津々か

    日本政府が海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を実質的な空母として運用しようとしていることに対し、北朝鮮が引き続き敏感な反応を見せている。北朝鮮メディアが「いずも」の空母化に繰り返し言及していることについては、本欄でも何度か指摘しているが、その内容がちょっと面白いものになってきた。

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は7日付の論評で、次のように述べている。

    「(いずもは)名称からが再侵略亡霊を浮上させる怪物である。20世紀初めにあった日本の対中国侵略戦争で悪名をとどろかした艦船の名がまさに、いずもであった。(中略)安倍政権がいずもを空母化しようとするのは、軍国主義過去を復活させようとする彼らの野望をそのままさらけ出したものである」

    何のことかと思って調べて見たら、なるほど、旧日本海軍の装甲巡洋艦「出雲」は日中戦争で、第3艦隊の旗艦として上海に停泊。中国軍と交戦し、英国海軍の艦船を撃沈するなどした歴史がある。ちなみに同艦の歴代艦長の中には、司馬遼太郎の歴史小説『坂の上の雲』の主人公のひとりである秋山真之もいる。

    (参考記事:【写真】旧日本海軍の装甲巡洋艦「出雲」…英国軍の砲艦など撃沈

    抽象的な表現に終始することの多い北朝鮮メディアの報道から、こうした発見をすることは珍しい。金正恩党委員長は最高指導者に就任して以来、堅苦しい国内メディアの「イメチェン」に取り組んできたもようだが、これもその「成果」のひとつと言えるかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

    もっとも、「いずも」の空母化に象徴される日本の軍拡は、北朝鮮にとっては深刻な問題でもある。金正恩氏は核兵器を放棄する意思を表明しているが、それが実現すると、北朝鮮の軍事力は格段に弱くなる。兵員や兵器の数こそ多いものの、その内実は悲惨な限りだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    通常兵器を更新して軍事力を強化するには莫大なカネがかかるが、少なくとも当面の10年や20年は、北朝鮮にそのような経済的余裕が生まれることもないだろう。自国がそんな状況にある時、日本が空母保有国の仲間入りをするとなれば、それはなかなか刺激的な出来事だ。金正恩氏は色々な意味で、「いずも」の今後に興味津々なのかもしれない。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

  • 訪中した金正恩氏が「最愛の妹」を隠した理由

    訪中した金正恩氏が「最愛の妹」を隠した理由

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は8日、金正恩党委員長が中国の習近平国家主席の招請を受け、7日から10日までの日程で訪中すると報じた。同通信はその中で、李雪主(リ・ソルチュ)夫人が訪中に同行していることを伝えている。

    一方、この公式報道の中に、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の名前はない。しかし実は、今回の訪中には金与正氏も同行していることが、朝鮮中央テレビの映像から確認できるのだ。

    妹の友人「大量失踪」も

    金正恩氏は昨年、3回にわたり訪中した。そのうち、李雪主夫人が同行したのは1回目と3回目で、金与正氏が同行したのは2回目だけだ。つまり、夫人と妹の2人が揃って訪中に同行するの初めてなのだ。

    気になるのは、北朝鮮メディアが李雪主氏の同行を公表しながら、金与正氏の名前を伏せた理由だ。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    訪中における李雪主氏の役割は明らかだ。ファーストレディーとして習近平国家主席夫妻との親交を厚くし、また北朝鮮と中国の友好ムードを盛り上げることだ。李雪主氏と習近平氏の夫人である彭麗媛氏は、ともに元歌手であるという共通点もある。

    では、金与正氏はどうか。同氏は昨年、北朝鮮を支配する「白頭の血統」の一員として初めてソウルを訪問するなど、金正恩氏の使節として重要な役割を果たした。それはやはり、権力中枢の幹部としてというよりは、最高指導者の「妹」としての役割だった。

    しかし今回、金与正氏の名前が伏せられたのは、彼女が中国の官僚たちと具体的な交渉事を行う実務者として同行しているからである可能性がある。実際、韓国の要人の間でも、金与正氏の実務能力に対する評価は高い。

    金正恩氏が、昔から妹を大事にしてきたことはつとに知られている。大事にし過ぎて、彼女の友人を大量に失踪させる「事件」まで起こしたほどだ。

    (参考記事:金正恩氏実妹・与正氏の同級生がナゾの集団失踪

    その後、金与正氏は金正恩氏の動線を管理するまでになる。地方にも頻繁に視察に出る金正恩氏だが、彼には一般人と同じトイレを使うことが出来ないという状況もある。そんな条件下で金正恩氏の動きを取り仕切る事ができるのは、やはり信頼できる身内しかいなかったのかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    そのような過程を経ながら、金与正氏は兄の側近として着実に存在感を高めてきた。母親が元在日朝鮮人の帰国者であることもあり、金正恩氏らには頼りになる親戚が国内におらず、だからこそ兄妹の結束が何より大事であるという事情もある。

    今後、金与正氏がどこまで重要な役割を担うようになるか、要注目だ。

  • 金正恩氏の「輸入ファッション」に北朝鮮国民が幻滅

    金正恩氏の「輸入ファッション」に北朝鮮国民が幻滅

    現在の朝鮮民主主義人民共和国の前身となる北朝鮮臨時人民委員会ができる前の1946年1月1日、朝鮮共産党北朝鮮分局の責任書記だった金日成氏(後の主席)は、「新年を迎え全国人民に告ぐ」というタイトルで演説を行った。

    北朝鮮の最高指導者はこれ以降、形式は異なれど毎年1月1日に「新年の辞」を発表し続けてきた。金正恩党委員長は今年も「新年の辞」を発表したが、北朝鮮国民からの反応はさほど芳しくない。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    (参考記事:北朝鮮各地で「新年の辞」課題を貫徹する大衆集会

    平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、労働者は勤め先に、それ以外の人は人民班長(町内会長)の家に集まり、テレビで「新年の辞」の発表を視聴した。

    情報筋は「新年の辞を見る住民が今年のようにテレビに釘付けになったのは初めてかも知れない」として、その理由を次のように説明した。

    「数十年間、わが国(北朝鮮)の新年の辞は、壇上にある首領(金日成氏)の半身像を写しながら読み上げるのが慣例だったが、今年のようにソファーに腰掛けて書類を手に持ち読み上げたのは、常識破りの破格の変化」(情報筋)

    ところが、発表を見守った地域住民の視線は、金正恩氏のスーツ、靴、高級ソファー、本棚に集中し、「すべて輸入品なものだから、人民の指導者というプロパガンダを鼻で笑うような雰囲気になってしまった」とのことだ。

    北朝鮮では、最高指導者の権威が何より重要とされるのに、まったく皮肉な結果だ。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    金正恩氏としては、気さくな感じを演出しようとしたようだったが、どこか不自然と感じ、むしろ逆効果だと情報筋は受け取った。

    「ペーパーを見ながら新年の辞を発表する(金正恩氏の)視線が、どこか問答式通達競演大会で暗記した内容を発表する人を彷彿とさせた。威信が保たれておらず、非常に不自然だとの評価だった」

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋も、金正恩氏がソファーに腰掛けて新年の辞を読み上げる様子は衝撃的だったとしつつも、内容は「今年の新年の辞も昨年同様に国家経済発展5カ年計画の戦略的目標遂行に拍車をかけよう」というもので、何ら目新しいものはなかったと評価した。

    「金正恩氏が政権の座についた直後には、皆が新年の辞に耳を傾け、若い指導者の新しいところを探そうとしていた。2017年の新年の辞では自らの能力不足を認め自責をする様子を見せた。いよいよ新たな変化が見えるかと期待していたのに」(情報筋)

    (参考記事:「金正恩が泣いた」書いた朝日新聞記者に北朝鮮がブチ切れ

    咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋も、人民班(町内会)で集まって新年の辞を見たが、早く終わらないかと雑談しながら時間つぶししたという。内容への評価は散々なものだった。情報筋は最後にこう語った。

    「毎年新年を迎え、人民生活の向上と人民の幸せを謳うが、それは強制動員と社会的支援(金品の供出)を意味することなので、むしろ不満に繋がるのだ」

    (参考記事:金正日が死んだ日なんか関係ねぇ…北朝鮮の若者たちが大暴れ

  • 金正恩氏が「寂しい誕生日」。過去には「女学院パーティー」も

    金正恩氏が「寂しい誕生日」。過去には「女学院パーティー」も

    北朝鮮の金正恩党委員長が4度目の中国訪問を行った。朝鮮労働党機関紙の労働新聞が8日付で報じたところによると、7日から10日の日程で訪中しているという。習近平国家主席の招請に応じたものとされているが、金正恩氏はどのような心境で訪中しているのだろうか。なぜなら、8日は金正恩氏の誕生日だからだ。

    米財務省が金正恩氏を制裁指定する際に発表したところによると、同氏は1984年生まれで、今年で35歳になったことになる。北朝鮮では、金日成主席と金正日総書記の誕生日、4月15日と2月16日はそれぞれ「太陽節」「光明星説」とされ、最も重要な祝日とされている。金正恩氏はいまのところ1月8日を祝日としていないが、過去には誕生日に合わせて派手なイベントをぶち上げたこともあった。

    2014年には、金正恩氏の「マブダチ」を自称する米プロバスケットボールNBAの元スター選手、デニス・ロッドマン氏が訪朝。金正恩氏の誕生日にバスケットボールのエキシビジョンマッチを開き、さらにサプライズらしき演出で金正恩氏を大喜びさせた。

    (参考記事:【動画】金正恩氏の誕生日を祝うデニス・ロッドマン

    この様子は朝鮮中央テレビでも放映され、翌日の労働新聞の1面にも掲載された。ミーハーなイベントではあったが、それまで確かでなかった金正恩氏の誕生日がこれで明らかになり、謎多きプライベートの一端を知るうえで大いに役立った。一方、ロッドマン一行を接待するパーティーでは、名門学院から女学生たちがコンパニオンとして動員された。乱痴気騒ぎに付き合わされた彼女たちは陰で泣いていたという。

    (参考記事:北朝鮮「秘密パーティーのコンパニオン」に動員される女学生たちの涙

    2016年には、1月6日に核実験を強行した。2日後の金正恩氏の誕生日に合わせたのは明らかだ。とはいえ、北朝鮮ウォッチャーの間からは毎年、金正恩氏が自分の誕生日を「民族の祝日」に制定するのでは、との観測が出ているが、今年もそうした動きは見られず、「若さを気にして自制しているのではないか」との分析が各方面から聞かれる。

    それでも、自分の誕生日を北朝鮮国内で祝いたい気持ちはあるだろう。その日に訪中するとなれば、金正恩氏の心中も穏やかではないはずだ。そうでなくても、金正恩氏は習近平氏にメンツをつぶされた過去がある。

    金正恩氏は昨年3月電撃的に中国を訪問し、26日に習近平国家主席と会談した。その翌日、中国中央電視台(CCTV)がその映像を放映した。その映像からは、これまで見られなかった金正恩氏の仕草や表情を見て取ることができる。

    (参考記事:【動画】習近平氏の前で大人しくなった金正恩氏

    北朝鮮国内の公開活動では、テレビカメラが回っているのも構わず怒り狂うほど、傍若無人な振る舞いが目立っていた金正恩氏が、ここまで神妙な表情を見せたことに筆者は驚いた。習近平氏からすれば、カメラの前で格の違いを見せつける狙いがあったのだろう。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    今回の訪中で中国側が宴席を設けることは間違いないだろうが、習近平氏や中国の高官が金正恩氏の誕生日に言及するかどうかに注目される。中国共産党は党の高官の誕生日を公表せず、派手に祝うこともないとも言われる。

    毎年派手なパーティーを開いてご満悦だった金正恩氏にとって、今年の1月8日はいささか不本意な誕生日になるかもしれない。

  • 「日本は謝罪だけしていろ」北朝鮮の対日非難に透ける裏事情

    「日本は謝罪だけしていろ」北朝鮮の対日非難に透ける裏事情

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は5日、ドイツ政府が最近、ナチスの迫害を受け英国に逃れたユダヤ人生存者に賠償金を支払うと発表したことに言及し、日本も過去清算を行うことが「将来のために必要」だとする論評を掲載した。内閣などの機関紙・民主朝鮮も6日、これとほぼ同じ内容の論評を載せ、「日本がやるべきことは謝罪と賠償だけだ」と主張した。

    これが今年、北朝鮮が日本に向けて発した「第一声」と言える。

    北朝鮮軍は弱体化

    北朝鮮は昨年の秋頃から、歴史問題での対日非難を強めてきた。例えば従軍慰安婦問題では、旧日本軍が慰安婦を虐殺した映像とされるものなど、新資料にも言及。日韓がこの問題で再び揉めるのを横目に、日本に対して強硬な姿勢を打ち出した。

    (参考記事:日本軍に虐殺された朝鮮人従軍慰安婦とされる映像について

    しかし昨年の年初から夏までにかけては、国際社会の対北制裁維持を主張する日本に反発する論調が主となっていた。一昨年までの核・弾道ミサイル開発から、米韓との対話に大きく舵を切った金正恩党委員長は、日本の「妨害」により対話が上手く行かなくなることを恐れていたのだろう。

    6月に史上初の米朝首脳会談が実現し、さらに9月に同年3回目の南北首脳会談が行われてからは、金正恩氏もほかのテーマに目配せする余裕が出てきたのかも知れない。前述したとおり、日本に対して過去清算を迫る論調が増えたのに続き、日本の軍備強化に対する非難も加わった。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

    北朝鮮が日本の軍備強化を非難する主な目的は、おそらくは弾道ミサイル戦力を極力温存するためだ。日本の「脅威」を強調することで、自衛のために短・中距離の弾道ミサイル戦力を維持しようとしているのだ。北朝鮮軍は装備のほとんどが老朽化し、また軍紀のびん乱で弱体化が進んでいるため、「虎の子」の弾道ミサイル戦力をそう簡単に手放せない事情があるのだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    今年の北朝鮮は昨年に続き、歴史問題と軍備増強問題で、対日非難を強めていくものと考えられる。

  • 日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    日韓の「レーダー照射問題」が混迷の度を深めているが、こうした問題の理想的な解決策は、双方の実務者が「現場で何が起きたか」を互いに情報を出し合って事実を見極め、必要なら再発防止策を講じる――という形にあったはずだ。

    しかし、今回の問題はすでに実務レベルを飛び越えて政治問題化し、さらには世論化してしまっている。

    そうなってしまった理由を探ってみたところ、日韓の情報関係筋から次のような解説を聞いた。

  • 女性からの「性的被害の告発」が弱点か…金正恩氏の反応を読む

    女性からの「性的被害の告発」が弱点か…金正恩氏の反応を読む

    北朝鮮が、昨年12月17日に国連総会本会議で採択された人権侵害への非難決議に反発しているが、かつてと比べると様子がやや違っている。

    決議は、政治犯収容所の閉鎖と全ての政治犯の釈放を要求。北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が指摘した拷問や非人道的な待遇、性的暴行(ごうかん)、公開処刑、強制労働など各種の人権侵害行為を取り上げ、深刻な憂慮を表明したものだ。同様の決議が、14年連続で採択された形だ。

    (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

    これに対して朝鮮労働党機関紙の労働新聞は25日付の論評で「重大な政治的挑発」だと非難。また民主朝鮮27日付は「米国と追随勢力による謀略」だとする論評を掲載した。

    しかし、これらはいずれの個人の署名入り論評で、北朝鮮が発信するメッセージの中では強度の低いものだ。以前は政府声明など、ずっと高いレベルから発信されるメッセージで、より強力な非難を行っていた。

    たとえば2016年には、金正恩氏が1月1日に発表する施政方針演説「新年の辞」の中で、「(米国が)追随勢力を押し出して反共和国『人権』謀略騒動に狂奔しました」と言及。また、同国政府が水爆実験の成功を発表した同年1月6日の「特別重大報道」でも、「米国は敵対勢力を糾合してありとあらゆる対朝鮮経済制裁と謀略的な『人権』騒動にこだわり、われわれの強盛国家建設と人民生活の向上を妨げて『制度の崩壊』を実現しようと血を食んで襲いかかっている」と非難した。

    当時と今の違いはどこから来ているのか。それはおそらく、核武装によって国防力を格段に向上させた自信と、米国を対話の場に引っ張り出すのに成功したことによる余裕からもたらされているのだろう。

    また、人権問題での非難に強く反発することで、かえって注目を集めてしまうのを避けようとしているのかもしれない。

    ただ金正恩氏も、人権問題で完全に「ポーカーフェイス」を貫くことはできないようだ。国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が昨年10月末、北朝鮮で女性に対する性暴力がまん延していることを告発する報告書「理由もなく涙が出る」を発表した際には、北朝鮮メディアは「我々の悪魔化を狙ったものだ」などとして、よりムキになって反発した。

    同報告書は、被害女性らの血のにじむような証言の数々を収録したもので、読むほどに愕然とさせられる内容だ。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    もしかしたら金正恩氏は、こうした現場の実態を本当に知らないか、あるいは薄々知っていても認めたくないために、強い調子で打ち消さざるを得ないのかもしれない。

    果たしてこのように分析しているのは、筆者だけだろうか。仮に、世界の人権団体に同じ見方をしている人々がいるなら、この問題こそが金正恩政権の弱点であるととらえ、今後いっそう、追及が強まるかもしれない。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

  • 悪評だらけの北朝鮮テレビで「若手女子アナ」らの涙ぐましい演出

    悪評だらけの北朝鮮テレビで「若手女子アナ」らの涙ぐましい演出

    2015年に北朝鮮を訪問した日本人観光客は、北朝鮮のホテルでこのような光景を目撃した。

    ホテルの女性従業員は仕事そっちのけで、工場の女性支配人と男性技術者の禁断の恋を描いたドラマを流すテレビにかじりついていた。どうやらホテル内の有線テレビでの放映だったようで、ドラマが終わるやチャンネルは朝鮮中央テレビに変えられた。「元帥様(金正恩党委員長)がどこそこに現地指導に行った」という番組が放送されていたが、チャンネルが変わった瞬間に従業員たちは蜘蛛の子を散らすように持ち場に戻っていった。誰も見ていないテレビは消されてしまった。

    娯楽が非常に少ない北朝鮮に住む人ですら見ようとしない朝鮮中央テレビ。つまらない、くだらない、退屈、古臭いなど、悪評ばかりだったが、最近は変化の兆しも見える。

  • 「夜が強くなる。やせる…」若者を狂わせる危ない誘い

    北朝鮮の金正恩党委員長は、2017年12月23日の朝鮮労働党第5回細胞委員長大会で演説し、「非社会主義的現象の根絶」を訴えた。非社会主義現象とは、文字通り北朝鮮が標榜する社会主義の気風を乱すあらゆる行為を指す。

    たとえば賭博、売買春、違法薬物の密売や乱用、韓国など外国のドラマ・映画・音楽の視聴、ヤミ金融、宗教を含む迷信などなどだ。もちろん、その他の刑事事犯も含まれる。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    この演説を受けて、北朝鮮当局は昨年初めから、非社会主義の取り締まるための一大キャンペーンを展開した。金正恩氏が今年1月1日に発表した施政方針演説「新年の辞」には、これに類する内容は見られないものの、北朝鮮当局は引き続き、非社会主義の取り締まりを続けるだろう。

    しかし実際のところ、金正恩氏本人を含め、韓流など外国文化と接していない北朝鮮の幹部はほとんどいない。それにもかかわらず、庶民を対象に取り締まるなどもってのほかだ。昨年のキャンペーンではほかにも、日本ではなら罪とも言えない罪で断罪された人が少なくない。

    ただその一方で、金正恩氏には是非とも厳しく取り締まってもらいたいものがある。覚せい剤をはじめとする違法薬物の蔓延だ。

    覚せい剤は、確実に北朝鮮社会を蝕んでいる。2007年当時、中国の丹東で貿易業を営んでいた中国朝鮮族のキム・ジョンエ(仮名)さんはデイリーNKに対し、覚せい剤に溺れる北朝鮮の貿易業者の様子を次のように語った。

    「北朝鮮の貿易業者のほとんどが覚せい剤中毒者だった。そのせいで、時間も守らなくなり、約束も平気ですっぽかす。新義州(シニジュ)の有能な若い業者は、皆覚せい剤に手を出し、まともな人はいなくなった」

    北朝鮮の地方都市は2000年代の前半、カネを持っていても、使う場所がない状況だった。そこで、手軽に楽しめるレジャーとして覚せい剤が脚光を浴びてしまったのだ。覚せい剤は北朝鮮国内の市場に大量に流通しており、売人はいたるところにいる。

    彼らは、トンジュ(新興富裕層)に狙いを定め、「夜(性生活)が強くなる」「痩せる」「頭がスッキリする」などと甘い言葉で誘い、覚せい剤を売りつけたのだ。

    (参考記事:「男女関係に良いから」市民の8割が覚せい剤を使う北朝鮮の末期症状

    覚せい剤の猛威は、国境を越えて広がっている。1990年代、北朝鮮が国家ぐるみで日本への密輸に取り組んでいたのは周知のとおりだが、中国もまた被害に遭った。中国の中でも北朝鮮と国境を接している東北地方では、覚せい剤の中毒者が激増。吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉市では、薬物中毒者の数が、1995年の44人から2010年には2090人にまで増えた。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

    その後、中国政府の要請もあって、北朝鮮からの覚せい剤密輸は小康状態が続いたものの、昨年になり、再び活発化しているとの情報が各方面から出ている。今回は国家ぐるみではないが、経済制裁の影響に苦しむ貿易業者や密輸業者が、手っ取り早い儲けのために参入しているもようだ。

    そのような「モノ」の流れが、いつまた日本に伸びてくるかわからない。いや、もしかしたらすでに日本まで来ているかもしれない。

    国際社会は北朝鮮に対し、覚せい剤の国内での取り締まりをいっそう強化するよう、強く求めていくべきだ。

  • さすがの金正恩氏も寒すぎて中断した「超ブラック事業」

    さすがの金正恩氏も寒すぎて中断した「超ブラック事業」

    北朝鮮が国を挙げてのメガプロジェクトとして進めている両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)開発。氷点下20度を下回る極寒の中でも工事が強行されていたが、ついに一時中断が指示された。

    質を無視して無理やり工期に合わせる「速度戦」は北朝鮮の悪弊の一つで、橋梁やマンションの崩壊事故が起きるなど、悲惨な大事故につながってきた。当局は最近になって「千年責任万年保証」などのスローガンを掲げ、建設の質の向上キャンペーンを始めた。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    また、極寒の中での工事強行で死者も発生しているが、それらを防ぐために工事を一時中止させたものと思われる。

    (参考記事:氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」

  • 北朝鮮に「強制帰国」させられたある外交官の悲劇

    北朝鮮の外交官がイタリアで数週間前から行方不明になり、亡命した可能性が取り沙汰されている。韓国の情報機関、国家情報院の説明に基づく報道によれば、行方不明になっているのはイタリアのローマに駐在していた北朝鮮のチョ・ソンギル代理大使。妻とともに11月初めから姿を消したという。チョ氏は1月で任期が切れる予定だったとされる。

    仮にチョ氏が亡命したのだとすると、昨年から朝鮮半島に漂う雪解けムードを思えば、意外な感じがするかもしれない。しかし実際のところ、北朝鮮の外交官が亡命を決断する場合、その理由は国際情勢よりは国内での事情にあることの方が多い。

    北朝鮮の外交官は日々、国内からの脅威にさらされ続けている。任務を全うできなかったり、あるいは任務を全うする過程で不適切な姿勢・態度があったと見咎められたりすれば、粛清の憂き目に遭いかねないのだ。

    韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の著書『3階書記室の暗号』には、本国の家族が無実の罪で拷問死させられたうえに欧州の勤務地から帰国を強制され、粛清された外交官――P氏のエピソードが紹介されている。

    同書によれば、北朝鮮は粛清する外交官を帰国させる際、対象者が1人であっても、複数の外交官をいっしょに呼び寄せるという。またその際、どの人物が粛清の対象者であるかを、誰にも告げない。そうすれば、「自分ではない」と信じたい外交官らが相互に監視し合う形になるため、逃亡を防止することができるからだ。

    同書で紹介されたP氏のケースもそうだった。P氏が帰国させられた際、同行したのが太永浩氏だったのだ。

    P氏が帰国させられた理由は、1990年代の大粛清「深化組事件」で実父がスパイ容疑に問われたためだが、それはとんでもない濡れ衣だった。

    ある軍需工場の党委員会書記を務めていたP氏の父は1990年代半ばの大飢饉「苦難の行軍」に際し、工場労働者の食糧問題を解決するため妙案をひねり出した。砲弾の製造に伴って発生する金属の削り粉を中国に輸出し、その代金で食糧を購入したのだ。そして、その窓口となった貿易担当者の横領が発覚したのを受けて、P氏の父はその担当者を解任する。それを恨んだ貿易担当者が、P氏の父は韓国のスパイであるとウソの告発を行ったのである。

    このように、庶民を思って行動した幹部が処罰された例は、この時代にあちこちで起きていた。

    またそのようなウソがまかり通ってしまうほど、「深化組事件」とはムチャクチャな出来事であり、北朝鮮社会が大飢饉の中で、それほど混乱していたということだ。

    P氏は1998年2月の帰国後、外務省と平壌から追い出され、地方に放逐された。このようにして夫が粛清される場合、妻は離婚することで平壌に残ることも出来るが、P氏の夫人は夫と運命を共にすることを選んだという。

    その後、2000年になり、金正日総書記は「深化組事件」の不当性を認め、被害者の復権を指示した。P氏も外交官に復帰し、在スウェーデン大使館に派遣されたという。しかし、これはまだ幸運なケースであり、政治犯収容所に送られようものなら、生きて帰って来れるかどうかわからない。処刑されてしまう場合もある。

    北朝鮮の外交官は常に、「一寸先は闇」の中を歩んでいるわけだ。

  • 朝鮮の文化芸術展覧会、映画鑑賞会 中国で

    【平壌1月4日発朝鮮中央通信】最高指導者金正恩党委員長の朝鮮人民軍最高司令官推戴7周年、抗日の女性英雄金正淑女史の生誕101周年に際して、中国の江蘇省揚州市では朝鮮民主主義人民共和国文化芸術展覧会が、北京では朝鮮映画鑑賞会が旧ろう16日から20日までの間に行われた。

    展覧会場には、金日成主席と金正日総書記が中国の老世代指導者たちと対面する写真、金正恩委員長の中国訪問を見せる写真と金正恩委員長が人民経済の各部門の事業を現地で指導する写真が掲げられていた。

    また、天が賜った偉人たちの著作とチュチェ朝鮮の真の姿を紹介する図書と写真、朝鮮民族の英知と才能を見せる美術作品などが展示されていた。

    映画鑑賞会では、日ごとに富強、繁栄する朝鮮の姿を見せる朝鮮映画が上映された。

    各行事には、中国の各界の人士と人々が参加した。---

  • 綾羅島に溢れる笑い声

    【平壌1月3日発朝鮮中央通信】紋繍遊泳場、大城山遊戯場、中央動物園など首都の文化的生活拠点に新年を迎えた人民の喜びが満ち溢れている。

    綾羅人民遊園地でもチュチェ108(2019)年を迎えた人民の幸せの笑い声が響き出ている。

    綾羅イルカ館では、輪を越えて連続ボール打ち、バレーボールをはじめイルカとオットセイの新しいショーが観客を喜ばせている。

    特に、女子の客とキスしろという紹介者の言葉にはにかんで前足で口を覆うオットセイ「喜劇俳優」の形象は場内を笑わせる。

    綾羅4D映画館では、来客が「飛行士」「探険家」「戦車兵」になって仮想世界でのきわどいところを興奮の中で感じながら祝日を楽しく過ごしている。

    回転タカ、弾性回転盤など近代的な遊戯施設が設けられている遊戯場と鏡の家、電子娯楽館も市民と青少年学生でにぎわっている。---

  • 死亡事故も続発、手抜き疑惑のマンションで再検査

    中国との国境に面する、北朝鮮・両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)に建てられたマンションを巡り、手抜き工事だとの声が上がり、入居拒否が続出したことはデイリーNKジャパンでも既報の通りだ。北朝鮮では手抜き工事による大規模な死亡事故が続発してきただけに、住民らの懸念も深刻だ。

    金正恩党委員長が旗振り役となり、三池淵(サムジヨン)開発と同時に進められている恵山の都市再開発。手抜き疑惑がそれに味噌をつけることになったが、市当局は事態の収拾に乗り出した。

    その場所は、市内中心部から北東に数キロ離れた英興洞(ヨンフンドン)だ。鴨緑江を挟んで中国の長白朝鮮族自治県と向かい合う北朝鮮のショーウィンドウ的な地域だが、対岸を訪れる内外の観光客から木造家屋が立ち並ぶ様子を写真に撮られ、「北朝鮮は貧しい」などと言われたい放題となっていた。

  • 人気沸騰、北朝鮮印の「ワケあり激安ショップ」

    人気沸騰、北朝鮮印の「ワケあり激安ショップ」

    北朝鮮と国境を接する中国遼寧省の丹東に、衣料品の激安ショップがオープンした。北朝鮮からやって来た労働者が中国で生産した製品を売っており、店員も北朝鮮人という「ワケあり」づくめの店だ。中国で見かける北朝鮮系の店と言えば美貌のウェイトレスが売りの北朝鮮レストランが定番だったが、外貨稼ぎのための新たなビジネスが始まっているようだ。

    中国のデイリーNK対北朝鮮情報筋によると、店がオープンしたのは昨年11月末のことだ。市内中心部の空き店舗と思われる物件を利用したこの店で売られているのは、ジャンパーなどの冬物衣類だ。接客に当たっているのは20代半ばに見える北朝鮮女性4〜5人である。ただ、中国語はできないようで、情報筋が声をかけても返事がなかったという。

    同店はさっそく市民の人気を集め、ダンボール箱ごと買っていく人が現れるほどだという。人気の理由は「激安価格」にある。例えば、中国のスポーツブランド「カイラス」のウィンドブレーカーは、ネットショッピングで1300元(約2万1400円)前後で販売されているが、それがたったの200元(約3300円)という安さだ。

    「安かろう悪かろう」ではなく品質もしっかりしている。ただ、多少のキズがある「ワケあり商品」だ。中国では、国内外のアパレル企業から生産を委託された工場が、製品のうちのキズモノを市場に横流しするということがよくあった。今回もそのようなケースと思われる。

    店で売られている商品の中には、韓国ブランドのものも含まれているが、これは問題になる可能性がある。韓国企業が中国企業に生産を依頼し、北朝鮮労働者の手によって生産され、韓国に輸出されている可能性を示すからだ。この中国企業が中朝合弁であった場合、依頼した韓国企業はセカンダリー・ボイコット(第三者制裁)の対象となりうる。

    韓国の北朝鮮研究者は「中国企業が単純に北朝鮮労働者を雇用しているだけなら制裁違反には問われないかもしれない」としつつも、「アパレル工場で北朝鮮労働者が受け取った賃金の一部が、忠誠の資金として北朝鮮当局に流れている可能性が高く、今後問題になる可能性はある」と指摘した。

    人手不足に悩む中国東北地方の企業は、賃金の安い北朝鮮労働者の誘致を続けている。

    労働者たちは正式なビザ、パスポートではなく、渡江証(通行証)と呼ばれる臨時のパスポートを持って中国に入国していると言われているが、中国の地方政府に黙認されているものと思われる。

  • 祝日の雰囲気でにぎわう平壌のサービス拠点

    【平壌1月2日発朝鮮中央通信】新年を迎えた平壌のサービス拠点が、来客でにぎわっている。

    平壌第1百貨店、普通江(ポトンガン)百貨店、光復(クァンボク)地区商業中心(スーパーマーケット)など、首都の商業サービス拠点では、新年を控えて各種の商品を十分に用意した。

    関係者によると、サービス網で祝日期間、特別サービスをして訪ねてくる来客がより増えたという。

    華麗で、生新な花でいっぱいの花屋も、多くの購買者でいつになくにぎわっている。

    玉流館、清流館、平壌大同江水産物食堂、各道特産物食堂をはじめとする公共サービス網では、キジ肉そば、平壌冷麺など、民族料理と名料理を立派に作ってサービスして新年を迎えた来客を喜ばせている。

    近代的で、総合的な文化厚生施設と食堂が完備された柳京(リュギョン)院と倉光(チャングァン)院でも、人々が若さと美しさを与えるいろいろなサービスを受けて楽しい一日を送っている。

    平壌サーカス劇場、綾羅(ルンラ)イルカ館、綾羅(ルンラ)人民遊園地、中央動物園などでは、市民と青少年学生の愉快で幸福に溢れる笑い声がやまなかった。---

  • 金正恩が厳禁した名門女学院「異色的なビデオ」の中身

    金正恩が厳禁した名門女学院「異色的なビデオ」の中身

    デイリーNKジャパンは昨年、「コンピュータに入力してはならない電子ファイル目録」と題された北朝鮮の内部文書を入手した。2015年5月の日付が入ったもので、韓国誌・月刊朝鮮2018年11月号はこれを、北朝鮮の体制に不都合な映像・音楽作品を取り締まるタスクフォース「109常務(サンム)」が作成したものだと断定している。

    内容は視聴が禁止された映像・音楽・ソフト類のリストで、列挙されたタイトルはざっと300以上にもなる。その中には例えば、カンヌ映画祭でも上演された映画「ある女学生の日記」や、北朝鮮の国民的女優・洪英姫(ホン・ヨンヒ)の出演作もある。

    禁止リストの筆頭に挙げられているのは、「絶世の偉人たちのお姿」が映り込んだ作品だ。金日成主席・金正日総書記・金正恩党委員長の金王朝三代が映った作品を軽々しくPCに保存するのは「不敬である」ということだ。

    リストでこれに続くのが、「資本主義国家と傀儡(韓国)の映画、ドラマ、性録画物」だ。こちらについては、詳しい説明は必要あるまい。ちなみに「性録画物」には、かの有名な「喜び組」のビデオも含まれているのかもしれない。

    このような具合に、禁止リストではある意味で「わかりやすい」作品群が列挙されている一方で、タイトルを見ただけではそれがどんな内容で、どうして禁止されたのかすぐにはわからないものも少なくない。

    そのひとつが、「金星学院の教員たちと学生たちが2018年3.8節を迎えて行った非組織的で異色的な公演を録画した編集物」というものだ。

    金正恩氏の妻・李雪主(リ・ソルチュ)氏の母校としても知られる金星学院は、音楽家や舞踊家などを養成するエリート女学院で、海外のスポーツ大会に派遣される「美女応援団」のメンバーも大部分がここから選抜される。

    ただ、出身家庭が「超」の付くエリートでない学生たちの場合、権力者に目を付けられると、不本意な人生を強いられるケースもあるようだ。

    果たして、同校で行われた「異色的な公演」とはどのようなものなのだろうか。北朝鮮では一般的に、ヒップホップなど海外の影響を受けた音楽やダンスのことを「異色的」と表現する。また「3.8節」とは国際女性デーのことだ。

    もしかしたら、美女応援団などとして海外へ行く機会もあり、また芸術の感覚にも優れた教員と学生たちが、女性が不当な扱いを受けているとされる祖国の現状への嘆き、あるいは反発、あるいはより良い未来への期待を込めて、斬新なパフォーマンスを披露したのではないだろうか。

    この映像作品を入手するのは極めて難しいだろうが、是非とも一度、見てみたいものだ。

  • 違法薬物に手を出した「エリート」たちのどん底ぶり

    違法薬物に手を出した「エリート」たちのどん底ぶり

    国際社会の制裁が一向に解除されず、北朝鮮庶民の生活に影響が出ていることが伝えられているが、苦しいのは朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍官(将校)も同じだ。彼らは、少しでも生活の足しにするために、覚せい剤の運び屋となっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋によると、咸興(ハムン)に本部を置く第7軍団の軍官が、列車内で覚せい剤を持っているところを発見され、摘発、処罰される事件が起きた。しかし、これは氷山の一角に過ぎない。

    兵士、中でも軍官は民間人とは異なり、列車内で荷物検査を受けることはほとんどない。商人はそこに目をつけ、軍官を抱き込んで、かなりの額の報酬と引き換えに運び屋をやらせている。

    これは、軍官の生活が非常に厳しいことが原因だ。

    軍官はかつて、北朝鮮の代表的なエリートだった。しかし最近では、小遣い銭にしかならない給料しか受け取れなくなっている。それは工場、企業所、機関に勤める民間人とて同じだが、軍人と決定的に違うのは商売をすることで収入が得られるという点だ。

    軍人は商売が禁止されている。ただし、家族はその対象外なので収入を得るために商売をしているが、軍人の勤め先は人里離れた山奥にある場合が多い。村の市場に行って商売したところで人口が少ないため、大した収入にはならないのだ。

    そんな窮状を知る商人は、軍官に運び屋の仕事を持ちかける。軍官も生活苦から抜け出せるとの思いで、誘惑に負けてしまうというのだ。ちなみに第7軍団が駐屯する咸興は、覚せい剤の産地として知られている。

    このような現状に、軍当局も頭を抱えている。

    「このような違法行為は、出張の多い軍官の間で多く行われており、一部の軍官に至っては、様々な言い訳をして出勤もせずに商売にのめり込んでいる。軍当局も摘発に手を焼いている」(情報筋)

    現地の別の情報筋は「軍官が違法な商売に手を染めるのは昨日きょう始まったことではない」と伝え、当局は違法行為根絶のために検閲(監査)を行ったり、対応策を練る会議を頻繁に開いているが、根本的な解決策はなく、事態はむしろ悪化していると述べた。

    「やはり、軍幹部の暮らし向きに目を向ける必要がある」(情報筋)

    末端の兵士に至っては、食糧すら配給されず、腹をすかせて民間人を襲撃する事態となっている。

  • 北朝鮮スマホ最新機種は「韓流拡散防止」装置付き

    人口約2500万人の北朝鮮で、現在使われている携帯電話の台数は、500万台(大韓貿易投資振興公社<KOTRA>の今年9月の資料)とも、600万台(IBK経済研究所のチョ・ボンヒョン副所長)とも言われている。

    スマートフォンの普及も進んでいると言われているが、デイリーNKは最近、北朝鮮製の最新型スマートフォンの入手に成功した。

    この機種は、チェコム技術合営会社が製造した「平壌2423」だ。刻印された生産日は2018年10月となっており、北朝鮮の国営メディアでもほとんど紹介されていない製品だ。同社はスマートフォン以外にもタブレットPC「平壌3404」や、MP3プレイヤー、電話機なども生産している。

    プロセッサーは、台湾のメディアテック社製のMT6737が使われている。北朝鮮製のスマートフォンとしては初めて64ビットをサポートするプロセッサーを採用した。また、OSはほぼ最新のAndroid 8.0 Oreoが採用されている。

    ゲーム購入も可能

    この機種にはWi-Fi、指紋認証、ナビ、電子書籍のリーダーなど、様々な新しい機能が搭載されている。

  • 「金正恩の喜び組」に韓国の女子大生が猛反発

    「金正恩の喜び組」に韓国の女子大生が猛反発

    北朝鮮の金正恩党委員長は昨年9月に行われた南北首脳会談で、訪韓の意思を表明した。金正恩氏の訪韓を最も望んでいるのは支持率低迷にあえぐ文在寅大統領だろう。金正恩氏は、12月30日に文在寅氏に当てて送った親書で、訪韓実行の意思を改めて示したが、実のところ、北朝鮮側は熱が冷めてきているようで、訪韓がいつごろになるかはなお不透明だ。

    金正恩氏の訪韓を待ちわびるのは文在寅氏だけではない。韓国の一部の大学生が金正恩氏の訪韓を熱烈に歓迎する動きを見せており、これが波紋を呼んでいると韓国の大手紙・朝鮮日報の電子版が伝えている。

  • 「羽振りのいい写真技師」は韓流ドラマの密売屋だった

    「羽振りのいい写真技師」は韓流ドラマの密売屋だった

    北朝鮮の写真館で働く写真技師と従業員が、保衛部(秘密警察)に逮捕された。容疑は、韓流ドラマや映画を密売したというものだ。

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、事件が起きたのは清津(チョンジン)市の羅南(ラナム)区域にある羅南写真館だ。

    (参考記事:北朝鮮の少年少女が恐れる「少年院送り」…それでも止められない遊びとは

    北朝鮮で写真館は斜陽産業だ。携帯電話の普及が爆発的に進んでいるからだ。人口2500万人の北朝鮮での携帯電話の普及台数は、500万台(大韓貿易投資振興公社<KOTRA>の今年9月の資料)とも、600万台(IBK経済研究所のチョ・ボンヒョン副所長)とも言われている。

    客の減少で写真館は火の車のはずなのに、勤務する写真技師と従業員は妙に羽振りがいい。それを不審に思った別の従業員が保衛部に密告し、今月初めに家宅捜索が行われた。

    その結果、店内から韓国、香港、米国のドラマや映画のDVDが大量に発見され、2人は逮捕され、外国の映像をUSBメモリなどにコピーしたり、レンタルしたりして荒稼ぎしていたことが判明した。

    おそらく2人は取り調べの過程でひどい拷問を受けたのだろう。顧客の情報を全部話してしまったがために、大学生、労働者、兵役を終えたばかりの青年まで芋づる式に逮捕されてしまった。

    (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

    「多くの人がわけもわからないままに保衛部に連行され、映画のせいだということを知り当惑している。どんな処罰を受けるかわからず不安に震えている」(情報筋)

    近隣住民は、10年に渡る兵役で苦労を重ねた青年が、映画を見たという理由だけで逮捕されたことについて怒りをあらわにしつつ、写真館の2人については「見せしめとして重罰に処されるだろう」と見ている。

    北朝鮮当局は、南北和解ムードがもたらす社会の緩みに対して非常に厳しい姿勢を取っている。その最たる標的となっているのが韓流だ。以前ならワイロでもみ消すこともできたが、最近ではそれも効かず、中学生や幹部の子弟なども逮捕されるなど、逮捕者が続出している。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 歯がズレて死亡の米大学生に「北朝鮮がペンチで拷問」…米裁判所

    北朝鮮に長期拘束された後、昏睡状態で解放され、その直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)の両親が北朝鮮に賠償を求めていた訴訟で、米ワシントンDCの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮に対し5億0100万ドル(約552億円)の支払いを命じた。

    米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が27日付で伝えたところによると、同地裁のベリル・ハウェル首席判事は判決とともに公開した「意見書(memorandum opinion)」で、北朝鮮がワームビアさんに「ペンチ」や「電気ショック」を利用して拷問を加えていたと考えられる、という専門家の意見を採用した。ハウェル氏は、ワームビアさんの足にある大きな傷跡や、歯の位置が変わっていると証言した主治医の調書を引用し、「ワームビアさんの足に電気ショックが加えられたり、歯の位置を変えるためペンチを使ったりしたことを裏付けている」と記している。

    問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、北朝鮮に行く前のワームビアさんの写真ではきれいな歯並びであることがわかる。しかし、ワームビアさんな主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    ただ、米国司法はこのような判断を下したものの、北朝鮮が同裁判にいっさい対応せず、抗弁を行わなかった事実にも留意しなければならない。

    北朝鮮が自国民に対して拷問を行っているのは、様々な証言から明らかになっている。

    (参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

    その一方、VOAは11月、近年になって北朝鮮に拘束された米国人からは、精神的な圧迫を別にすると、北朝鮮当局から拷問を受けたとの証言は聞かれないと伝えている。さらに、ワームビアさんの送還交渉に当たったジョセフ・ユン国務省対北政策特別代表(当時)が。北朝鮮側の医師からワームビアさんが有罪判決後24時間以内に病院に移送されたと説明を受けた事実を根拠に、「米国政府の助けを期待できないとの話を聞いたワームビアさんが、極端な選択をした可能性がある」とした米メディアの報道に言及している。

    つまりは絶望したワームビアさんが自ら死を選ぼうとした可能性があるということだ。もしそうなら、ワームビアさんが横転するなどした際に口や顎のあたりをどこかにひどくぶつけ、歯列が変形してしまったということも考え得る。

    だがこれだと、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染した云々と説明している北朝鮮側の主張と食い違うことになり、いずれにしても矛盾は残る。

    北朝鮮が将来有望な米国の若者に拷問を加え、死に至らしめたとする今回の判決は、いずれ米朝対話に大きな影を落とす可能性もある。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 氷点下20℃…極寒の中のストリート・チルドレン

    氷点下20℃…極寒の中のストリート・チルドレン

    朝鮮半島に生息する約500種の鳥類のうち、3分の2以上が渡り鳥だ。シベリアからやって来た渡り鳥は韓国の各地で越冬したり、日本に向かう途中でしばし羽を休めたりする。北朝鮮で行き来する渡り鳥がいるが、鳥類ではなく人類のコチェビ、つまりストリート・チルドレンだ。

    北部に住んでいるコチェビの多くが、南の地方に移動しつつある。理由は単順。寒いからだ。

    咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋によると、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)や咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)の路上にいたコチェビたちが、咸鏡南道の咸興や端川(タンチョン)に移動してきている。

    恵山の川向う、中国の長白朝鮮族自治県では今月9日に氷点下25度を記録し、それ以降も最低気温が氷点下20度を下回る日が続いている。1月の平均気温を見ると、恵山は氷点下16.4度だが、咸興は氷点下4.1度。咸興が位置する北朝鮮の東海岸は、日本海を流れる暖流の影響で相対的に暖かく雪が多いのだ。暖流の対馬海流と、寒流のリマン海流のそれぞれ支流がぶつかるためだ。咸興は暖かければ10度近くになる日もある。

    北朝鮮当局は、愛育院、中等学院などというコチェビを収容する施設を建設している。しかし、あまり評判がいいとは言えない。

    (関連記事:北朝鮮で孤児院教師が少女17人を性的虐待、怒る市民たち「厳罰を」

    施設は非常に劣悪で、暴力を振るわれたり、強制労働を強いられたりする場合もある。中には臓器売買の噂すら存在する。

    (参考記事:北朝鮮の孤児院に「臓器密売」疑惑が浮上

    以前に比べると待遇はかなりマシになったと伝えられているが、厳しい規律に耐えかねて逃げ出してしまうコチェビも少なくない。

    (参考記事:北朝鮮「不良少年」収容所で待遇改善の兆しか

    充分な予算がないことが大きな原因となっている。

    「今年も予算が不足しているのに、国家建設事業に物資を総動員しているので、コチェビを収容する余裕がない。国は愛育院を建て物資を送っているが、そんな恩恵を受けられるのは数か所に過ぎない」(両江道の情報筋)

    地域の施設が収容するのは地元のコチェビだけで、他地域の者は対象外だ。保安員(警察官)に捕まれば、もともと住んでいた場所に送り返される。

    端川では端川市場、広泉(クァンチョン)市場などにコチェビの数が目に見えて増えた。商人たちは品物を盗まれはしないかと警戒している。

    「押し寄せてきたコチェビの集団をいると、(北朝鮮では)成人になった10代後半が多く、組織的に動いている。保安署ではコチェビを建設現場に送り込んだりしているが、ほとんどが逃げてきたり、揉め事を起こしたりするので管理がなされていない」

    恵山の路上からは、コチェビが目に見えて減少した。「暖かくなれば帰ってくる」(情報筋)と言われているが、それは工業地帯の咸興に比べ、貿易都市の恵山の方が暮らしが幾分楽だからだろう。

    コチェビは物乞いや窃盗だけで暮らしているわけではなく、仕事をしている場合もあるが、恵山の方がずいぶんやりやすいのだろう。

    (参考記事:北朝鮮の「少年ヤクザ予備軍」がビジネスに乗り出した

    コチェビは越冬のために比較的自由に移動する反面、農民や兵士はそう簡単に移動する訳にはいかない。

    両江道の内部情報筋によると、都市に住む商人は薪、石炭、キムチ、冬服などを買って越冬準備を終えたが、農村地域ではそれもままならない状況だという。

    相次ぐ自然災害などで凶作となり、1年分の食糧分配を受け取るはずが、1ヶ月分しか受け取れていない。恵山市郊外の江口洞(カングドン)では、キムチすら準備できていない家庭が7割に達するという。兵士とて状況は同じで、恵山に駐屯する朝鮮人民軍(キア朝鮮軍)12軍団の場合、冬服すら受け取れておらず、軍官(将校)の家族が、民間人の家に訪ねてきて穀物を借りるほどの有様だという。

  • 「焦げ臭い匂い取り締まり班」の活動を妨害する知人の犯罪

    「焦げ臭い匂い取り締まり班」の活動を妨害する知人の犯罪

    かつての北朝鮮は犯罪が非常に少ない社会だった。衣食住すべてを国から配給してもらえ、現金がさほど必要なかったこともあり、犯罪を起こす要因が少なかったのだ。それを一変させたのが、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」だ。

    配給システムが崩壊し、人々は生きていくために商売をすることを余儀なくされた。それすらできない人は、他人からモノを盗むしかなかったのだ。

    (参考記事:強盗を裁判抜きで銃殺する金正日流の治安対策

    北朝鮮の経済状況は当時と比べ好転したとは言え、国際社会の制裁のしわ寄せで、犯罪が多発する状況には変化がない。とりわけ暮れも押し詰まる今、犯罪が急増しているという。

    黄海北道(ファンヘブクト)の内部情報筋によると、懐が寒くなった人が多いせいか、事件が増加している。窃盗はもちろん、強盗や殺人も起きている。それも顔見知りの人に襲われる事件が増加しているため、「誰も信じられない」という雰囲気が高まっているとのことだ。

    保安員(警察官)は「いくら親しい人でも、夜にやって来たら玄関を開けずに翌日の昼に来るように伝えよ」「夜には絶対に外出するな」などとと言っている。

    犯罪の多発は、この時期に増加するオンドル(床暖房)による一酸化炭素中毒を未然に防ぐための活動にも、悪影響を与えている。

    人民班(町内会)では、「焦げ臭い匂い取り締まり班」を作り、見回りを行っている。午後10時、午前2時、4時の3回、町内の家を訪ね、玄関をノックして返事があるかどうかを確認し、なければ鍵をこじ開けて室内の様子を確認するというものだ。

    ところが犯罪の多発を受けて、多くの人がドアを鉄製のものに変えてしまった。また、よかれと思って行っている活動なのに、門前払い同然の扱いを受けることもあり、活動が低調になっている。そのせいで一酸化炭素中毒が増えているというのだ。店番をしていた老人が、練炭の火を消さずに寝てしまい、亡くなるという悲劇も起きている。

    (参考記事:「眠っているうちに」死者数万人、北朝鮮庶民が震える「冬の夜の恐怖」

    また、兵士による強盗事件も頻発している。当局は「兵士を装った民間人の仕業」と言っていて、実際にそのような事例もあるが、兵士による犯罪が増えているのは確かだとのことだ。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    もっとも、軍の冬季訓練の間は強盗事件が減る傾向にある。

    冬季訓練は、毎年12月から翌年の3月末まで行われる。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士のみならず、教導隊や労農赤衛軍などの民間防衛組織も訓練に動員され、一般住民は灯火管制、避難訓練などに参加させられる。

    それでも、まともな食事を与えられずに厳しい訓練をさせられる兵士が、農場や民家を襲う事例は少なくない。「農場の圃田は私の圃田」というスローガンをもじった「人民の圃田は私の圃田」と、アニメの『ドラえもん』に登場する剛田武のような「ジャイアニズム」を振りかざして食糧を略奪する。

    (参考記事:【スクープ撮】人質を盾に抵抗する脱北兵士、逮捕の瞬間!

  • 金正恩が最も恐れる「パンク青年」の影

    東京新聞は25日、北朝鮮当局が今年8月に青年層への教育と統制を強化する指示を全国的に下していたと、内部文書を引用して報じた。この文書で取り締まり対象として挙げられているのは、「傀儡映画などの不順出版宣伝物」や「異色な踊りや歌」などだ。つまり韓流ドラマ、映画、バラエティ、K-POPのことを指す。

    (参考記事:「網タイツ」を取り締まれ…金正恩氏の命令でキャンペーン

    北朝鮮では今年に入ってから、一連の非社会主義的現象(当局が考える風紀を乱す行為)の取り締まりが行われ、春には韓流ドラマを見ていた若者が少年院送りの処分を受けているが、若者への締め付けは強まる一方だ。そこからは幹部の子弟とて逃れられない。

    (参考記事:北朝鮮の少年少女が恐れる「少年院送り」…それでも止められない遊びとは

    平安南道(ピョンアンナムド)内部情報筋によると、平城(ピョンソン)市の中徳(チュンドク)高級中学校3年生(高3に該当)の生徒5人が韓流ドラマを見ていたところを踏み込まれ、保衛部(秘密警察)に連行された。

    その後、5人の中に平城市人民委員会(市役所)の幹部の子弟が含まれていることが判明した。当初、保衛部は事件をもみ消そうとした。幹部の子弟に手荒な真似をすると、どのような仕返しに遭うかわからないからだ。しかし、上部から「厳しく取り締まれ」との指示が下されたため、通常通り取り調べを進めているとのことだ。

    この件について情報筋は「南北の若いムードがあふれる時期だからこそ、あえて強く処罰している可能性が高い。上部の指示もあったので保衛部は幹部の子どもに対して罰を下すだろう」としている。この情報筋は東京新聞が報じた指示については認識していないもようだが、若者に対する締め付けの強化を肌で感じ取ったようだ。

    「チャンマダン(市場)世代」と呼ばれる若者は、北朝鮮当局が最も恐れる存在だ。

    日々の食糧から住宅に至るまで、ほぼすべてのものを国から配給で受け取り、国や指導者をありがたく思っていた上の世代とは異なり、配給制度の崩壊後に育った若者は、国や指導者、社会に対して無関心で、自分の暮らしを優先させる。

    また、スマホなどのデジタルデバイスの扱いに慣れており、韓流などの外国発の文化コンテンツを流通させるなど、当局にとって非常に頭の痛い存在だ。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    若者たちは、統制強化と重罰化でしばらくはおとなしくしているだろうが、ほとぼりが冷めれば取り締まりが骨抜きにされるのが北朝鮮の常だ。彼らが「不順出版宣伝物」や「異色な踊りや歌」を捨て去り、社会主義の偉大な理想に燃えることなどありえないのだ。

    (参考記事:世界で最も過激な「BTSファン」は北朝鮮にいた

    上述の指示文には、中国との国境に面した慈江道(チャガンド)中江(チュンガン)郡で「おんどりのような頭で出歩く」青年の話が出てくる。記事はモヒカンのことを指すのでないかとしているが、これを持って「北朝鮮にもついにパンクスが登場した」と考えるのは早計だろうか。

    (参考記事:亡命した北朝鮮外交官、「ドラゴンボール」ファンの次男を待っていた「地獄」