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  • 「資本主義の恐ろしさ」体験談に興味津々の北朝鮮国民

    「資本主義の恐ろしさ」体験談に興味津々の北朝鮮国民

    韓国統一省の統計によると、今年11月末までに韓国に入国した脱北者の数は1042人で、昨年の1045人とほぼ同数だ。2009年には2914人に達したが、その後は減少に転じ、金正恩氏が北朝鮮の最高指導者に就任してからは、年間1000人から1500人の水準で推移している。国境統制の強化によるものと思われる。

    その一環として北朝鮮当局が、「中朝国境の全域に監視カメラを設置せよ」との指示を下したと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋が伝えた。

    国境警備隊の2個大隊が担当している鴨緑江沿いの約12キロについては、監視カメラの設置が完了し、大隊の指揮部には監視装置が設置された。しかし、「極秘になっているため、どのような装置が導入されたのか、担当者以外には誰もわからない」(情報筋)とのことだ。

  • 金正恩「2019年終末論」も予言…北朝鮮で「占い師」ら処刑

    北朝鮮で、占いに対する取り締まりが厳しさを増している。これまでは比較的取り締まりが弱かったが、最近になって銃殺刑が執行されるほどになっている。

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、先月17日に清津(鄭進)で、20代前半の占い師の女性が銃殺された。

    一方、穏城(オンソン)では「ヒスン」という名の女性占い師が労働教化刑(懲役)18年を宣告された。会寧(フェリョン)では占い師6人が逮捕され、保安署(警察署)で取り調べを受けているが、「いずれ銃殺になる」との噂が流れているとのことだ。

    (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

    このような占いに対する厳しい取り締まりは、かなり異例のことだ。北朝鮮の刑法256条(迷信行為罪)では、金品を受け取って「迷信行為」を行った者に対して1年以下の労働教化刑、罪状が重い場合は3年以下の労働教化刑に処すと定めている。つまり、取り締まり自体が「理不尽」ではあっても、刑罰は比較的軽い。

    これまで取り締まりが緩かったのは、客に権力者が多いことが影響していたのかもしれない。しかし、金正恩党委員長にとって非常に都合の悪い噂を流されたりすることもあり、取り締まりが強化されている模様だ。

    (参考記事:金正恩氏の「血の大虐殺」を予言していた北朝鮮の占い師たち

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、2016年頃には金正恩氏の運は2019年に尽きるという、「金正恩2019年終末説」が流布したこともあった。

    (参考記事:北朝鮮で拡散する「2019年金正恩終末論」

    金正恩氏は今年7月、「迷信行為を強力に取り締まり、処罰する」という方針を下し、最近になって迷信行為を根絶せよという内容の指示文を下した。

    金正恩氏は迷信行為に対して「厳重に処罰しろ」と指示したとのことだが、これは国民の間では「銃殺すべき者は銃殺し、教化所(刑務所)送りにすべき者はさっさと送ってしまえ」という意味合いで受け止められている。

    取り締まり以外でも、住民を対象とした講演会や会議で「迷信行為をするな」「迷信行為を行った者も、してもらった者も処罰する」という教育がなされている。

    韓流コンテンツなどを取り締まるタスクフォース「109常務(サンム)」に摘発される事例もある。昨年、穏城に住むある人は、家宅捜索に入った109常務により、占い師に書いてもらった御札を見つけられ、何度も呼び出しを食らった上で、タバコ3箱を渡してもみ消したとのことだ。

    しかし、苦しい時の神頼みならぬ占い師頼みで、当局がいくら取り締まりを行っても、占いが消えることはなかった。

    「占いは誰でも年に1回は見てもらうものと考える。精神的につらいことが多かったり、仕事がうまくいかなったりしたら、占いに頼ろうとする」(情報筋)

    「1990年代の大飢饉『苦難の行軍』のころ、占い代は50北朝鮮ウォンだった。コメ1キロを買える額だったが、周りで餓死する人が多く社会が混乱している時こそ、占いに頼ろうとする人が多い」 (咸鏡南道<ハムギョンナムド>出身の脱北者)

    「苦難の行軍」の当時、端川(タンチョン)では占い師2人が銃殺され、教化所送りになった占い師も少なくないとのことだが、それから20年経っても占いは根絶されていない。

    (参考記事:北朝鮮の「占い」取り締まりで女性客ら多数逮捕

    逆に言うと、占いは「この程度」の取り締まりで見逃してもらえているとも言えよう。同じ「迷信行為」に分類されているものの中でも、キリスト教は遥かに過酷な扱いを受けている。

    (参考記事:実はクリスチャンの家系なのに…キリスト教徒を処刑してきた北朝鮮の独裁者たち

  • 「公開処刑」「虐待労働」衛星写真が暴く北朝鮮の秘密

    「公開処刑」「虐待労働」衛星写真が暴く北朝鮮の秘密

    告発続く北朝鮮の人権侵害(4)

    米国のNGOである北朝鮮人権委員会(HRNK)は8月30日、咸鏡北道(ハムギョンナムド)の清津(チョンジン)にある25号管理所の収監者たちが強制労働させられる様子を撮った衛星写真を公開した(上)。北朝鮮の人権侵害の様子が、衛星写真に捕捉されたのはこれが初めてではない。HRNKは過去、公開処刑の様子を捉えた証拠写真も公開している。

    管理所とは、北朝鮮における政治犯収容所の正式名称である。今月17日、国連総会が14年連続で採択した、北朝鮮の人権侵害に対する非難決議は、政治犯収容所の閉鎖と全ての政治犯の釈放を要求している。

    国連の北朝鮮人権調査委員会(COI)が2014年2月に発表した最終報告書によれば、北朝鮮には4ヶ所の政治犯収容所がある。また、教化所(刑務所)に転用されたとの説がある施設がもうひとつあり、8万人から12万人の政治犯が収容されていると見られている。

    政治犯収容所に警備隊員として勤務し、その恐怖の実態を告発し続けている脱北者・安明哲氏によれば、「そこでは人間が想像しうる、ありとあらゆる残酷なことが行われていた」という。まさに、実在する「地獄の一丁目」である。

    政治犯収容所の写真自体は、これまでにも数多く撮影されているが、HRNKが公開した写真では初めて、収監者や警備隊員と見られる人影が確認された。写真に付けられたキャプションは左上から時計回りに、◆収容所の監視塔◆収監者と警備隊員と推定。穀物の収穫の様子◆2017年11月6日撮影◆収容所の塀◆荷車と推定◆荷車と推定――となっている。

    一方、韓国・ソウルに本部を置く「転換期正義ワーキンググループ(Transitional Justice Working Group=TJWG)」は、北朝鮮国内で銃殺が行われた場所、死亡者の遺体が集団埋葬された推定地、遺体の火葬場所などを示したマップの制作を進めている。TJWGはこれまで、数百人の脱北者との対面調査を行い、そこで得たデータを情報技術(IT)を駆使した手法で解析し、場所を推定。その場所を地図上の座標に落とし込む作業を続けてきた。

    作業はまだ続いているが、昨年7月に中間総括として発表された報告書によると、銃殺や火あぶりなどの刑が行われた場所、集団埋葬の推定場所など計393カ所を把握したという。

    政治犯収容所には以前、有期刑の囚人を収容する「革命化区域」と、無期刑の囚人が入れられる「完全統制区域」が存在していた。そのため、革命化区域から釈放され、脱北した人々の証言により収容所の実態が外部に知られることになった。

    ところが金正恩党委員長の時代になり、北朝鮮は革命化区域をなくし、収容所すべてを完全統制区域にしてしまった。これにより、収容所の実態把握が困難になっている。

    現時点では、HRNKやTJWGなどの取り組みだけでは、北朝鮮の隠ぺい工作に対して有効とは言えないかも知れない。やはりこの問題を掘り下げるには、国家レベルでの情報収集が必要だ。

    人権問題は、間違いなく北朝鮮のアキレス腱である。また、人権問題の改善と民主化なくして、北朝鮮の本当の非核化はあり得ない。要は北東アジアの安全保障に関わる問題なのであり、そういった視点から、相応の予算を投じた情報収集に、いずれかの国が動き出すことが待望されている。

  • 韓国の情報力劣化か…金正恩氏の側近「消息不明77日間」は間違い

    韓国紙・中央日報は26日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の側近のひとり、朴光浩(パク・クァンホ)党副委員長(宣伝扇動部長兼任)が、「公開の場に姿を見せなくなって25日で77日が過ぎた」と伝えた。

    朴光浩氏が兼務する党宣伝扇動部長は、北朝鮮の思想統制やメディア戦略を統括する責任者だ。また同氏は、金正恩氏の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長の直属の上官であり、

    朴光浩氏の身の上に何かあったとすれば、注目すべき動向と言える。しかし、中央日報が伝えた「姿を見せなくなって77日」というのは間違いである。朴光浩氏は11月2日の公式行事に参加していたことが、北朝鮮の国営メディアの報道から確認できるのだ。ということは、同氏が公開の場に現れなくなったのは、正確には77日ではなく58日だ。

    些細な違いかも知れないが、公式報道から要人の動静を割り出すのは、北朝鮮分析の基本中の基本だ。それを見落とすとは、韓国の対北情報能力の劣化を示しているのかもしれない。

    ちなみに2016年2月、韓国では北朝鮮の李永吉(リ・ヨンギル)軍総参謀長が処刑されたとの情報が出回ったことがあった。しかし李永吉は同年5月、降格されながらも健在であったことが確認された(現在は総参謀長に再登板)。

    (参考記事:北朝鮮「処刑された軍高官」が再登場した!

    北朝鮮の人事情報の確認が、難しいものであるのは確かなのだ。

    では、今回の中央日報の報道を、詳しく検証してみよう。同紙は韓国政府当局者の話として、次のように伝えている。

  • 死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

    死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

    北朝鮮に拘束され米国に帰国直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)の両親が北朝鮮に賠償を求めていた訴訟で、米ワシントンDCの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮に対し5億100万ドル(約552億円)の支払いを命じた。

    ワームビアさんは2016年1月に北朝鮮で拘束され、2017年6月に昏睡状態で米国に帰国。その直後に死亡した。両親は今年4月、北朝鮮に賠償を求める訴訟を起こしていた。

    両親側は、北朝鮮から帰国したワームビアさんの歯列が大きく変形していたことなどを根拠に、ワームビアさんが北朝鮮で拷問を受けたと主張していた。上の写真は北朝鮮に行く前のワームビアさんのエックス線写真だ。問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、この写真ではきれいな歯並びであることがわかる。

    しかし、ワームビアさんの主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    判決文と付属の意見書(memorandum opinion)に基づく米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道によれば、地裁のベリル・ハウェル判事は判決文で「北朝鮮はワームビア氏の拷問、人質、超法規的な殺人に責任がある」とした。

    また意見書では、ワームビアさんの主治医だったダニエル・カンター博士が書面陳述を通じ、死因について「脳への血液の供給が5~20分間にわたり止まったか、あるいは大きく減少したため」との結論を示した点に注目。また、「北朝鮮の拷問手法である水拷問と歯を折る拷問、電気拷問は呼吸中断につながり得るものだ」とする、ロバート・コリンズ北朝鮮人権委員会先任顧問の陳述書を引用しているという。

    (参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

    ハウェル判事はさらに、ワームビアさんの足に大きなケガがある点と、前述した歯の位置の変化についても、拷問が加えられた事実を示すものと認めたという。

    一方、北朝鮮政府はワームビアさんの死因はボツリヌス中毒症、および睡眠薬の摂取であるとし、拷問の疑いは否定している。ただ、同政府は米国での民事訴訟で、正式に抗弁する手続きを取らなかった。このことは今後の米朝対話に、大きな禍根を残してしまった可能性がある。

    VOAによれば、米国にはテロ支援国を民事訴訟の相手とすることを可能にする「外国主権免除法(FSIA)」という法律がある。ワームビアさんが拘束されてから死亡するまでの期間、北朝鮮はテロ支援国の指定から外れていた。しかしハウェル判事は意見書で、ワームビアさんの事件が北朝鮮のテロ支援国再指定につながった事実に言及し、同法により今回の訴訟が成立したことを明らかにしているという。

    さらに米国には、テロ支援国から被害を受けた国民に対し、政府が「米テロ支援国被害基金」を通じて賠償金を支払う仕組みがあるという。筆者はこの制度の中身について詳しくないが、米国政府が賠償金の一部を肩代わりするものであると思われる。

    仮に、ワームビアさんの両親がこの仕組みを通じて賠償金を受け取ることになれば、北朝鮮は米国政府に債務を負うことになるわけだ。米国が、何事においても法律を厳格に運用するお国柄であることを考えると、北朝鮮が今回の問題で生じた債務を支払わないことが、今後の両国の対話で新たなブレーキになってしまう可能性があるということだ。

    北朝鮮は、法治がきわめておざなりにされている国だが、だからこそ、米国の厳格な法治主義を理解できていないのではないだろうか。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 北朝鮮軍兵士による襲撃事件が多発…地域住民ら警戒

    北朝鮮軍兵士による襲撃事件が多発…地域住民ら警戒

    国際社会による制裁、度重なる自然災害による凶作で、北朝鮮の食糧事情は予断を許さない状況が続いている。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」のころに比べればマシなようだが、食糧を協同農場からの配給に頼っている朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士たちの状況はひどい有様だ。それでなくとも軍紀は地に落ちていたが、ここへ来て農民を襲撃する事件が続発している。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、現地に駐屯する朝鮮人民軍の12軍団は、国からの配給が滞っているため、食糧事情が極めて劣悪な状態となっている。

    飢えた兵士たちは集団で強盗や詐欺を働いている。抗議すれば暴力を振るわれることすらあるため、兵士を見かけたら避けるほどだという。住民からは「乞食軍隊」、「マフノ部隊」と呼ばれ、馬鹿にされつつ恐れられている。ている。マフノとは、ロシア革命時の黒軍の将、ネストル・マフノのことで、略奪の象徴だ。

    (参考記事:【スクープ撮】人質を盾に抵抗する脱北兵士、逮捕の瞬間!

    食糧同様に、衣類の配給も滞っている。

    冬には氷点下20度以下まで下がるこの地域の部隊に所属する兵士には、冬服や防寒靴、防寒足袋などが支給されることになっているが、12軍団の兵士には配給されず、昨冬に着ていたボロボロの冬服を直して着ている有様だという。そんな中、一部兵士が民家から中国製の靴を盗む事件が発生した。さらには住民に性的暴力を振るう場合もある。

    (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

    彼らの栄養状態が非常に悪く、結核にかかる兵士も続出している。道内の三水(サムス)郡の鹿農場には臨時結核療養所が設置されているが、収容される人の35%が軍官(将校)だという。軍官でのこの状況なら、末端の兵士の状況はより深刻であることは想像に難くない。療養所に行ったところで、治療に必要な抗生物質を得るのは難しいだろう。

    あまりの状況に脱走する兵士も多い。半年ほど復帰しなければ生活除隊(不名誉除隊)となり、今後の社会生活に様々な制限が加えられるが、それでも「死ぬよりはマシ」だと逃げる人が多いというのだ。

    ただし、同じ地域にある軍隊でも、部隊によって置かれた状況は全く異なる。国境警備隊の場合は、密輸で儲けた資金を蓄えているため、食糧、衣類ともに充分に配給を受けている上に、自主的に耕した畑から取れる作物もあるため、兵士たちの栄養状態は良好だ。

    そんな状況を知っている親たちは、息子を一般の部隊ではなく国境警備隊、海岸警備隊、海軍などに送り込むためにかなりの額のワイロを支払う。これはもはや一般的な現象だ。

    情報筋も近隣住民も12軍団の兵士たちを恐れつつも、その惨状に心を痛めている。

    「近隣住民の12軍団の兵士への視線は厳しいが、兵役に行った息子を持つ親たちは、心配している」(情報筋)

    当局は今年夏から秋にかけて、中国から大量の穀物を取り寄せて軍隊に配給し、食糧事情がかなり好転したと伝えられてきたが、それも一時的なものだったようだ。

  • 中国が拘束…金正恩氏の「友人」と女学生パーティーの秘密

    中国が拘束…金正恩氏の「友人」と女学生パーティーの秘密

    中国外交部は14日、カナダ人で北朝鮮ビジネスに携わっているマイケル・スペーバー氏を国家安全保障を脅かす容疑で拘束したと明らかにした。拘束の現場は、中国と北朝鮮の国境地域である遼寧省丹東市。スペーバー氏は、ただのビジネスマンではない。金正恩党委員長の「マブダチ」とされている人物だ。それだけに拘束の背景が気になる。

    女学生がコンパニオンとして

    金正恩氏のマブダチとして真っ先に思い浮かぶのが、米プロバスケットボールNBAの元スター選手であるデニス・ロッドマン氏だ。ロッドマン氏は2013年、いきなり訪朝して金正恩氏と面談し世界を驚愕させた。さらに翌2014年にも訪朝し、金正恩氏の誕生日(1月8日)を祝った。

    スーパースターに誕生日を祝ってもらった金正恩氏は大はしゃぎだったが、その裏では、ロッドマン一行を接待するパーティーに、名門学院から女学生たちがコンパニオンとして動員された。乱痴気騒ぎに付き合わされた彼女たちは、陰で泣いていたという。

    実は金正恩氏とロッドマン氏の仲を取り持ったのが、スペーバー氏である。スペーバー氏はカナダのアルバータ州カルガリー出身だ。2005年にバンクーバーのNGOから平壌の学校に半年間、英語教師として派遣されたことをきっかけに、北朝鮮と深い関わりを持つようになった。北朝鮮訛りの朝鮮語(韓国語)を操り、現在は中国吉林省朝鮮族自治州の延吉市に在住しながら、北朝鮮のビジネスコンサルタントと文化、教育、スポーツ交流を行う白頭山文化交流社を運営している。

    スペーバー氏は2016年に開かれた「白頭山国際フィギュアスケート祝祭」に、世界的なフィギュアスケート選手を招請した。ロッドマン氏をはじめそれなりの人脈と、企画を成立させる能力の持ち主のようだ。一方では、同年3月に開かれた「平壌国際アイスホッケー親善大会」にナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)所属の有名選手が参加すると発表したが、結局、参加したのはアマチュア選手14人だけだったという「大ぼらを吹いた」経歴もある。

    それでも、金正恩氏が心を開く数少ない外国人であることは間違いない。金正恩氏自慢の専用機に同乗したり、別荘に招かれたりという情報もある。つまり、ベールに包まれた金正恩氏のプライベートを知る人物でもあるのだ。現地指導の際、一般のトイレを使用できず、専用車のベンツに「代用品」を載せて移動しているといわれている金正恩氏のトップシークレットも知っている可能性がある。

    金正恩氏との特別な関係の見返りか、北朝鮮当局からは外貨稼ぎを依頼されているようだ。しかしここ最近は制裁の影響もあって、思うような結果を出せずに苦戦しているとの話も聞こえてくる。

    スペーバー氏が拘束された背景には、中国とカナダの対立があるとされる。今月1日、カナダで中国の通信機器大手「ファーウェイ」副会長の孟晩舟が、米国の要請により逮捕された。対イラン制裁違反の疑いだという。この後、中国で元外交官のマイケル・コブリグ氏と、スペーバー氏が拘束された。19日には3人目が逮捕された。一連の逮捕はファーウェイ副会長拘束への報復という見方が強い。

    現時点では、スペーバー氏はとばっちりを受けただけのように見えるが、北朝鮮に対するなんらかの警告の意図がまったくないとも言い切れない。いずれにせよ中国公安はスペーバー氏から、私的パーティーやその他のプライバシーも含め、金正恩氏に関する様々な情報を入手しようとしているかもしれない。だとすると、金正恩氏も心穏やかではないだろう。

  • 人身売買団のワナにはまった「ある少女」を待ち構える運命

    告発続く北朝鮮の人権侵害(3)

    トランプ米大統領は11月29日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。

    これに対し北朝鮮は、朝鮮労働党機関紙・労働新聞が12月11日付の論評で「言いがかりだ」とするなど強く反発した。論評は「米国の今回の挑発行為は、朝鮮の尊厳あるイメージをどうしてでもダウンさせ、制裁・圧迫の雰囲気をより鼓吹してみようとするものだ」と主張した。

    しかし、北朝鮮女性の人身売買が横行しているのは、あまりに明白な事実だ。北朝鮮国内での人権侵害については、同国政府が許可しないため国内での調査が難しいが、こちらの問題は現地からの情報も積み上がっている。

    北朝鮮事情に精通した中国のデイリーNK情報筋によると、両江道(リャンガンド)に住んでいた少女は最近、何らかの理由で川を渡って中国に行こうとしたところで、人身売買団に捕まってしまった。

    人身売買団は家族に電話をかけ「1万元(約16万3000円)を払わなければ、娘を中国で売り飛ばす」と脅迫してきたという。身代金は一般庶民には到底払えない額であることから、情報筋は人身売買団が、少女が経済的に余裕のある家の出で、脱北しようとしていたことを事前に察知、当初から身代金目的で拉致したものと見ている。

    このように犯罪組織のワナは、いたるところに張り巡らされている。

    運良く脱北に成功しても待ち受けているのは、監禁、拉致、強制的な性産業の従事、強制結婚などのリスクだ。

    さらに由々しきは、こうした女性らは北朝鮮に戻っても、犯罪者扱いされることが多いという事実だ。中国当局は、人身売買の被害者であれ何であれ、脱北者を逮捕して強制送還する。そこで女性たちを待ち構えているのは、拷問、強制堕胎、性暴力だ。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が最近発表した、北朝鮮における女性に対する性暴力の実態をまとめた報告書は、拘禁施設で脱北後に強制送還された女性に対する性暴力の実態について最も多くのページを割いて伝えている。

  • 国の経済発展を促した科学技術成果

    【平壌12月20日発朝鮮中央通信】朝鮮の科学者、技術者は今年、多くの科学技術成果を収めて国の経済発展を積極的に促した。

    国家科学院では、複数の単位と協力して火力発電所で重油を使わずに電力生産を正常化できる酸素による微粉炭着火技術の導入、医薬品の生産および品質管理基準に合致する統合生産システムの構築、育苗場での軽基質の生産と樹木の種子選別および種まき工程に必要な設備の導入など、経済的効率の高い科学技術成果を出した。

    これとともに、光ファイバーレーザー切断機、新型の多機能傾斜網抄紙機のような先端設備を開発し、ゴムと石けん工業、養魚と畜産業の発展において提起される多くの技術上の問題を解決した。

    金日成総合大学と金策工業総合大学、石炭研究院、農業研究院などの教育、科学単位では、燃焼模型鋳造工程設備と国家統合電力管理のための電力地理情報システム、新型の風力揚水機と稲のコンバインの開発をはじめ、現実的意義の大きい研究成果を収めた。

    北倉火力発電連合企業所に派遣された2月17日科学者・技術者突撃隊員らは、ボイラー系統のオートメ化に必要なPLC装置とリアルタイム分析システム、実情に合う分散型制御システムなどを開発して電力生産の向上に寄与した。

    また、金策製鉄連合企業所と黄海製鉄連合企業所でも、非コークス製鉄法の新しい域を開拓して鋼鉄増産の技術的保証をもたらした。

    金星(クムソン)トラクター工場と勝利(スンリ)自動車連合企業所の技術者は、複数の単位の科学者と共に数百件の技術革新案を研究、完成し、新しいジグ、装備を設計、製作してトラクターと自動車の生産計画の遂行に寄与した。

    今年に行われた祭典、展覧会、展示会、発表会は、新しい科学技術成果を全社会的に広く普及し、全国に科学技術熱風を強く巻き起こした。

    これら全てのことは、朝鮮労働党の科学技術重視政策の正当性と生命力の証左となる。---

  • 三池淵邑地区の住宅、公共施設建設の成果を引き続き拡大

    【平壌12月21日発朝鮮中央通信】朝鮮で三池淵郡の整備が力強く進ちょくしている中で、邑地区の住宅、公共施設建設の成果が引き続き拡大されている。

    現在、千数百世帯の住宅内部工事が基本的に終わった。

    第216師団省・中央機関旅団傘下の各施工単位で百数十世帯の住宅内部工事を終えたし、第618建設旅団と第922建設旅団をはじめ多くの施工単位でも完成した住宅世帯数を増やしている。

    これとともに、サービス施設の内装工事、三池淵邑地区の複数の区画道路工事が積極的に推し進められている。

    軍人建設者と省・中央機関旅団傘下の各単位で各種の建具と照明器具設置をはじめ、内部作業を一日も早く終えるために奮闘している。

    第618建設旅団傘下の各施工単位でも、住宅建物の基壇層に配置されたサービス施設の内部工事を進めている。

    複数の区画の道路工事のための掘削などの作業も進ちょくしている。---

  • 「弁護士は万年筆で私を暴行した」北朝鮮女性、性的被害の実態告発

    「弁護士は万年筆で私を暴行した」北朝鮮女性、性的被害の実態告発

    告発続く北朝鮮の人権侵害(2)

    国連総会が17日の本会議で採択した、北朝鮮の人権侵害に対する非難決議は、同国において拷問や非人道的な待遇、性的暴行、公開処刑などが横行している実態とともに、同国当局がそれらに対して必要な措置を講じていないことに向けられたものでもある。

    性的暴行は、北朝鮮においてももちろん犯罪だ。北朝鮮政府は2017年7月、国連女性差別撤廃委員会に対する報告で、性的暴行罪での処罰者数を2008年9人、2011年7人、2015年5人、上下関係を利用しての性的暴行の処罰者数を2008年5人、2011年6人、2015年3人などと報告した。

    (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

    総人口が日本の約5分の1(約2500万人)の社会において、この数字はあまりに少ない。実際、人権NGOなどが聞き取った脱北女性の被害証言だけでも、この数字を軽く超えてしまうはずだ。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    このように摘発事例が少ないのは、性暴力を取り締まる側の保安員、保衛員などが加害者になっているために他ならない。

  • その男は結婚費用を作るため女性を中国に売った

    北朝鮮の国境警備隊の幹部が、中国への人身売買を幇助した容疑で当局に逮捕された。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋が伝えた。

    (参考記事:「中国人の男は一列に並んだ私たちを選んだ」北朝鮮女性、人身売買被害の証言

    逮捕されたのは、北朝鮮北東部、咸鏡北道穏城(オンソン)の国境警備隊に所属する20代後半の小隊長だ。結婚を控えていた彼は、新婦の家族から新居を用意するように強く迫られていた。その費用を工面するために、不法越境、つまり脱北を幇助することにした。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    今月15日、小隊長は北朝鮮側ブローカーが連れてきた女性と落ち合い、国境を流れる豆満江を渡るのを助けた。中国側の岸にたどり着いた女性は近隣の山に身を隠した。そこで中国側のブローカーと落ち合うことになっていたものの、夜まで待っても一向に現れなかった。

    中国中央気象台によると、この地方(図們)の当日の最低気温は氷点下9度。寒さに耐えかねた女性は、いったん北朝鮮に戻ることにして川を渡っていたところを国境警備隊に発見され、逮捕された。 国境警備隊の中隊長は女性を不法越境で逮捕したことを上部に報告していたが、小隊長の関与は知らなかったようだ。末端の隊員なら上官の黙認、庇護なしで脱北幇助は不可能だが、小隊長とあって、個人で実行する術を持っていたのだろう。

    女性の取り調べの過程で小隊長の関与が浮上。穏城郡の保衛司令部に逮捕され、取り調べを受けている。来月以降に開かれる裁判で死刑を含む重罰が下されるのは避けられないと見られている。

    女性は生活苦から抜け出すために、中国人男性との結婚を自ら望んだという。

  • 男は「美人は皆やった」とうそぶいた…北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言

    男は「美人は皆やった」とうそぶいた…北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言

    国連総会は17日(米東部時間)の本会議で、北朝鮮における人権侵害を強く非難し、改善を求める決議案をコンセンサス方式(議場の総意)により投票なしで採択した。決議案は、日本と欧州連合(EU)が共同で提出したもので、14年連続で採択された。

    決議案は、政治犯収容所の閉鎖と全ての政治犯の釈放を要求。北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が指摘した拷問や非人道的な待遇、性的暴行(ごうかん)、公開処刑、非司法的で恣意的な拘禁・処刑など各種の人権侵害行為を取り上げ、深刻な憂慮を表明した。

    これに対し、北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は同日、「決議案で言及された人権侵害の事例は全く存在しない。(一部の脱北者による)でっちあげだ」と強弁した。しかしもはや、北朝鮮側のこうした反論に耳を貸す国は少ない。被害者による証言の類が、あまりに厚く蓄積されているからだ。

    (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

    韓国の北韓人権情報センター(NKDB)の「2018 北朝鮮人権白書」には、北朝鮮の拘禁施設において迫害を受けた人々の証言が数多く収録されている。たとえば両江道(リャンガンド)出身のある脱北者の女性は、北朝鮮の拘禁施設で受けた性的被害について、次のように語っている。

    「保衛員で、集結所の党書記だという人が、私に出てこいと言うのです。(中略)食堂に連れて行かれ、塩を要れた器に水を汲めと言うのです。わけもわからずにいると『何をしているんだ?』と言って、ズボンを脱げと命じるのです。それで洗えと言うことだったのです。(中略)私が嫌だと言うと、力ずくでに襲いかかってきました。(中略)でも、襲われたのは私ひとりではありませんでした。美人は皆やったと言っていました」

    このような生々しい証言が、ほかにも数多くあるのだ。事実と食い違う内容とあるかもしれないが、大量に集積された情報は、自ずと真実の輪郭を描くものだ。

    とくに軍や拘禁施設など、閉鎖された空間におけるこうした被害証言は、枚挙に暇がない。軍では例えば、「マダラス」や「書類整理」と呼ばれる性上納の強要が横行している。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    北朝鮮では、女性がこのような被害を訴えた場合、かえって本人が不利益を被るケースも少なくない。だから脱北者の女性も、以前はこうした告発に消極的だった。しかし韓国に定着し、人権の何たるかを知るようになることで、勇気ある証言に踏み切る例が増えているのだ。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    北朝鮮もいい加減に「でっち上げだ」と強弁するだけの反論はあきらめた方が良い。それより、少しずつでも国内の状況を改善し、それを率直に国際社会へ知らせた方が、よほど自国の利益になろうというものだ。

  • 北朝鮮で「歯がズレて」死亡の米大学生側が1200億円賠償請求

    北朝鮮で「歯がズレて」死亡の米大学生側が1200億円賠償請求

    米バージニア大学生だったオットー・ワームビアさん(当時22歳)は、北朝鮮を旅行中に同国当局に拘束され、昨年6月に昏睡(こんすい)状態で解放されて間もなくして死亡した。その死因を巡り、ワームビアさんの両親は北朝鮮を相手取って民事訴訟を提起しており、19日にはワシントンDCの連邦地裁に出廷。父親のフレッドさんは、息子が北朝鮮当局により「嘘の自白を強要された」として、北朝鮮の責任を徹底的に追及すると話したという。

    一方、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、ワームビアさん側の弁護人は10月、同地裁に提出した文書で、北朝鮮に10億9604万ドル(約1217億円)の損害賠償を請求する旨を明らかにしたという。これは懲罰的賠償金とワームビアさんが受けた精神的苦痛に対する補償、ワームビアさんが将来得るはずだった経済的損失に対する補償、両親に支払う慰謝料などを合わせ合計額だ。

    中でも、請求額の大部分を占めたのは懲罰的損害賠償で、亡くなったワームビアさん本人と両親の3人にそれぞれ3億5000万ドルずつ、合計で10億5000万ドルを支払うべきとしている。

    米国の裁判所は2001年、北朝鮮の監獄で受けた拷問の後遺症で死亡したとされるキム・ドンシク牧師の遺族に北朝鮮が3億ドルの懲罰的賠償金を支払うよう判決を下した前例がある。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    今回はその3倍を超える額だが、北朝鮮は法廷で正式に抗弁する手続きを取っておらず、裁判所は請求を認める判決を下す可能性が高い。

    ちなみに懲罰的賠償金というのはその名の通り、多額の賠償命令によって相手の行動に制動をかけ、同じ過ちが起きないようにするためのものだ。しかし実際のところ、キム・ドンシク牧師の件で巨額の懲罰的賠償金が科されたにもかかわらず、またもや北朝鮮において、ワームビアさんの問題が起きてしまった。

    だからこそ、今回はいっそう巨額の懲罰的賠償金が請求されているわけだが、それでもやはり、北朝鮮が懲りることはないように思える。

    それよりも筆者は、裁判所がワームビアさんの死因について、どのような判断を示すかに関心がある。

    ワームビアさんの両親は「北朝鮮から帰ってきたワームビアさんの歯列が大きく変形していた」と主張している。上の写真は北朝鮮に行く前のワームビアさんの写真だ。問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、この写真ではきれいな歯並びであることがわかる。

    しかし、ワームビアさんの主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

    (参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

    これについて主治医は、「外部から物理的な力が加えられた可能性がある」と述べている。両親はこうした資料などを根拠に、ワームビアさんが北朝鮮で拷問されたと主張している。

    仮に裁判所がこの主張を認めたとしたら、北朝鮮にとっては相当なダメージだ。前途有望な米国の若者が拷問により殺され、その「証拠写真」までが示されたとしたら、米国世論が受けるショックは相当なものだろう。

    (参考記事:「北朝鮮で自殺誘導目的の性拷問を受けた」米人権運動家

    物事の展開次第では、今後の米朝対話にマイナスの影響が及ぶのも、あり得ないことではないのだ。

  • 金正日が死んだ日なんか関係ねぇ…北朝鮮の若者たちが大暴れ

    金正日が死んだ日なんか関係ねぇ…北朝鮮の若者たちが大暴れ

    北朝鮮の2代目の指導者、金正日総書記は2011年12月17日に死去した。その前後の1ヶ月間は哀悼期間に指定されている。

    期間中には、雰囲気を乱す違法行為、歌舞音曲、集団での飲酒などが禁じられ、些細な事件でも政治犯扱いされ、重罰に処される。北朝鮮の人々はとばっちりを受けることを恐れ、この期間はおとなしくしてやり過ごそうとする。

    そんな期間に、乱闘騒ぎを起こした若者たちが逮捕される事件が起きた。神聖不可侵の存在である最高指導者を悼み、静かに過ごすべき期間に、事もあろうに乱闘騒ぎを起こしたことは政治事件扱いとなり、最悪の場合、政治犯収容所送りとなる。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

  • 「労働新聞」 階級的教育は恒久的にとらえていくべき重要な事業

    【平壌12月20日発朝鮮中央通信】20日付の「労働新聞」は署名入りの論説で、全人民的な総進軍が力強く繰り広げられているこんにちの現実はいつよりも階級的教育事業を深化させていくことを求めていると強調した。

    同紙は、階級的教育は一時も緩めてはならない革命の重大事だとし、次のように指摘した。

    もし、われわれが階級的教育を一瞬でもおろそかにしたり、中途半端にすれば人々の階級意識が麻痺するようになり、それは思想的・精神的に完全に武装解除されること同様である。

    階級的教育は、敵のエスカレートする反朝鮮策動を粉砕し、朝鮮式社会主義をしっかり擁護、固守するための必須の事業である。

    社会主義の勝利的前進が加速化するほど、資本主義を埋葬する社会主義の力が強まるほど敵の挑戦とあがきはさらに激しくなる。

    今、敵対勢力は制裁・封鎖をわれわれの前進・発展を阻むための最後の手段としており、日を追ってこれにいっそう必死になって執着している。

    われわれは、情勢がどう変わり、どこからどんな風が吹きつけても自力更生、刻苦奮闘の革命精神でもって各面で資本主義に比べようもない社会主義の優越性を高く発揚させるという非常な覚悟を持って継続革新、継続前進しなければならない。---

  • 朝鮮の各機械工場で収めた成果

    【平壌12月19日発朝鮮中央通信】今年、朝鮮の各機械工場で数百件の発明と新技術を導入して多くの成果を収めた。

    龍城機械連合企業所では、従来のコンプレッサーより軽くて体積が小さく、寿命の長い新型のコンプレッサーを開発した。

    大安重機連合企業所で、427万能マシニングセンターをCNC機械に改造して発電設備の部品を高い質的水準で加工しながらも、生産を増やせるもうひとつの物質的・技術的保証をもたらした。

    楽元機械連合企業所では、液体酸素分離機のタービンエキスパンダーと液体酸素タンクを新しく設計し、主体化の液体酸素分離機を作り出した。

    亀城工作機械工場でも、CNCフライス盤、CNC中ぐり盤、CNCスプライン研削盤などを新しく製作した。

    このほかに、各地の機械工場でも先端設備を新しく装備するとともに、現存の機械設備の性能を改善し、生産工程を現代化して製品の質を高められる強固な土台を築いた。---

  • 「日本は高度に軍事大国化」…北朝鮮が「いずも」空母化で見せる不安

    「日本は高度に軍事大国化」…北朝鮮が「いずも」空母化で見せる不安

    北朝鮮の内閣などの機関紙・民主朝鮮は18日、日本の防衛費が過去最大となったことを受けて、「海外侵略は日本の変わらぬ野望」であるとする論評を掲載した。また朝鮮労働党機関紙の労働新聞も19日付に同様の論評を載せた。

    こうした反応はいつものことだが、今回は少し珍しい部分もある。

    日本政府は新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」と、2019年度から5年間の「中期防衛力整備計画」を閣議決定し、これにより今後5年間の防衛費は総額27兆4700億円となり、過去最大を更新した。

    この閣議が行われたのは、18日の午前である。北朝鮮メディアが海外の動きを伝える場合、出来事があって数日後になるのが普通だ。ことが起きるのを待ち構えるように記事を出すのは、それだけその動きを注視しているからだろう。

    今年の北朝鮮メディアは、例えば従軍慰安婦問題で、日本軍が慰安婦を虐殺したとされる映像などの新資料に言及するなどして、歴史問題での対日非難に力を入れた。

    (参考記事:日本軍に虐殺された朝鮮人従軍慰安婦とされる映像について

    その一方で、日本の「軍拡」を批判する論調も目立った。これには、自国の弾道ミサイル戦力の維持を正当化する目的があると筆者は考えている。

    (参考記事:「自衛隊の攻撃能力は世界一流」と主張する金正恩氏の真意

    だが後者については、最近になってもうひとつの解釈を加えて見ても良いと考えている。北朝鮮が本気で、日本の軍備増強を負担に感じているのではないかということだ。

    民主朝鮮の論評は、日本が「高度の軍事大国化と海外侵略の道に進もうとしている」としながら、次のように主張した。

    「日本は、過度に支出された軍事費で米国の最先端ステルス戦闘機と最新技術装備を購入し、特に、海上『自衛隊』の護衛艦「いずも」を空母化しようとしている。諸般の事実は、日本が今や『平和』のベールを脱ぎ捨てて軍国主義毒蛇の醜悪な姿を現そうとしていることをはっきりと示している」

    北朝鮮メディアは最近、「いずも」の空母化に頻繁に言及するようになっている。しかし「いずも」の空母化は、日本の目的は遠洋での戦闘機運用にあるわけで、北朝鮮にとっての脅威度は大きくないはずだ。

    それにもかかわらず新防衛大綱の決定に対してビビッドな反応を見せるのは、東アジアで進む「軍拡」に、漠然とした不安を覚えているからではないのか。核兵器開発から対話に舵を切った金正恩党委員長の当面の課題は、外交によって体制の安全を確保し、経済発展に注力するというものだ。

    そのため少なくとも当面の間、北朝鮮は軍縮あるいは軍の合理化を志向せざるを得ない。その期間は10年程度では終わりそうもなく、もしかしたら数十年を要するだろう。その間に周辺国の軍備増強が進めば、現状でさえ十分な防衛力を備えているとは言い難い北朝鮮は、安保面でより大きな不安を抱えることになるだろう。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    ここ数年、核開発に突き進んできた金正恩氏は今になって、自らの戦略に重大な盲点があったことに気付いているかもしれない。

  • 氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」

    北朝鮮で進められている超大型国策事業、三池淵(サムジヨン)開発。建設労働者として投入されているのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊や、突撃隊と呼ばれる、各地の工場、企業所、機関などから駆り出された人々からなるタダ働き素人集団だ。

    北朝鮮の建設プロジェクトの労働環境は劣悪で、様々な工事現場で死者が続出している。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    金正恩党委員長は工事の進み具合がよほど気になるのか、今年に入って3回も現場の視察を行った上で、何が何でも2年以内に工事を完成させよと指示を下した。現地はすでに氷点下20度を下回る極寒となっているが、それにもかかわらず工事の強行を命じたのだ。そんな無茶振りが、今回もまた1人の青年の命を奪ってしまった。

    (参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

    両江道(リャンガンド)の内部情報筋は、恵山(ヘサン)市保安署(警察署)の関係者と、現場に復帰した別の突撃隊員から聞いた話として、亡くなったのは平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)から来た20代男性Aさんだと伝えた。

    Aさんは機械工場で務めていたが、三池淵に送り込まれる突撃隊の人員として選ばれた。経済的に余裕のある人は「代打労力」と言って、カネを払って人を雇い、自分の代わりに送り込むが、Aさんにはそれだけの余裕がなかったようだ。

    (参考記事:面倒な勤労動員を「代打労力」で解決する北朝鮮商人

    Aさんが三池淵の建設現場で働き始めたのは今年8月のことだ。しかし、1ヶ月もすると三池淵には初雪が降り、気温が氷点下まで下がった。当初は健康体だったAさんだが、1日12時間に及ぶ重労働に、寒さ、環境の劣悪さも加わり、気力・体力ともに激しく消耗していった。

    やがてAさんは倒れてしまった。しかし、現場には医療施設は存在しない。上役は「面倒を見る人もおらず、治療も保障されないので、家に帰れ」と命令した。家までの交通費は自己負担だ。

    高熱にうなされながら恵山駅に到着したAさんは、駅のそばの旅館に転がり込んだが、その日の夜に息を引き取ったという。遺族は賠償金も何も得られないだろう。

    三池淵の現場では、工事を一刻も早く完成させるために、極めてひどい環境のなかで無理な仕事をさせていることで、現場から逃げてしまう人が続出し、逆に工事が遅れる結果を生んでいる。

    「突撃隊員たちは、3ヶ月持ちこたえれば『労働勇士』、半年持ちこたえれば『労働英雄』だと(自嘲して)言っている。12月に入って風邪と凍傷で苦しむ人が増え、もはや工事は進められないとの見方が出ている」(情報筋)

    (参考記事:平壌高層マンション建設現場で労働者の脱走相次ぐ…理由は3K

    戦中の日本の「国民総動員法」のような状態を70年も続けてきた北朝鮮。きちんとした設備や施設を整え、労働者に賃金を払うという当たり前の考えには至らないようだ。そうして貴重な人命が失われていく。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

  • 美人被疑者と「同伴外出」を繰り返した刑務所長の悪行

    薬物犯罪に関連した容疑で逮捕された女性収容者と不適切な関係を結び、その見返りに便宜を図っていた北朝鮮の刑務所長が解任される事件が起きた。北朝鮮の拘禁施設ではこのように、権力者の女性収容者に対する性的暴行が横行している。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が10月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」が最も多くのページを割いて伝えているのは、北朝鮮の拘禁施設における女性に対する性暴力だ。

    その内容はまさに「やりたい放題」と表現すべきもので、愕然とさせられる。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、今回の事件で解任、更迭されたのは穏城(オンソン)郡労働鍛錬隊のA隊長(刑務所長)だ。

  • 氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」

    北朝鮮で進められている超大型国策事業、三池淵(サムジヨン)開発。建設労働者として投入されているのは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊や、突撃隊と呼ばれる、各地の工場、企業所、機関などから駆り出された人々からなるタダ働き素人集団だ。

    北朝鮮の建設プロジェクトの労働環境は劣悪で、様々な工事現場で死者が続出している。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    金正恩党委員長は工事の進み具合がよほど気になるのか、今年に入って3回も現場の視察を行った上で、何が何でも2年以内に工事を完成させよと指示を下した。現地はすでに氷点下20度を下回る極寒となっているが、それにもかかわらず工事の強行を命じたのだ。そんな無茶振りが、今回もまた1人の青年の命を奪ってしまった。

    (参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

  • 金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

    金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

    張成沢粛清を振り返る(8)

    韓国の国家情報院(国情院)は2016年7月1日、国会情報委員会の懸案報告で金正恩氏の体重について、「2012年には90キロだったが、2014年には120キロに、そして最近では130キロまで増えたと推定される」と明らかにした。その後、こうした情報は出ていないが、写真や映像で見た限りではさらに太ったような気もする。

    一体、どうしてこんなに太ってしまったのか。

    贅沢な暮らしのためか、あるいは威厳を出すためにあえて肥満体型に「改善」した可能性も考えられるが、独裁者の健康リスクはすなわち体制のリスクだ。それを考えると、この太り方は少し異常に思える。

    もともと太目だった金正恩氏の体型の変遷を検証すると、2013年8月あたりから本格的に太り始める。そして、2014年からさらに拍車がかかるわけだが、筆者は、この時期に注目する。

    (参考記事:【写真で振り返る】金正恩氏、年々高まる肥満度…髪型にも変化が

    2013年8月というのは、銀河水(ウナス)管弦楽団のメンバーらに対する虐殺が行われたタイミングだ。理由については「ポルノ疑惑」や李雪主(リ・ソルチュ)夫人のスキャンダル説が囁かれている。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

  • 「下剤を飲ませ水を一滴も与えない拷問」で政敵抹殺…北朝鮮の権力闘争

    張成沢粛清を振り返る(7)

    7年前の12月17日に死亡した北朝鮮の金正日総書記の葬儀では、現在の金正恩朝鮮労働党委員長のほか、7人の党・軍幹部が霊柩車を護衛した。

    その中の1人、金正恩氏の叔父でもある張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長はこの2年後に処刑されるわけだが、粛清により姿を消したのは彼ひとりではない。ともに霊柩車を護衛した李英鎬(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長(当時)と禹東則(ウ・ドンチュク)国家安全保衛部第1副部長(同)の2人は、張成沢氏との権力闘争に敗れ葬り去られたとされている。

    総参謀長は軍の戦闘指揮官としては最高位の職責であり、国家安全保衛部(現国家保衛省)は恐怖政治を支える秘密警察だ。

    (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

    韓国の情報機関・国家情報院次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の著書『張成沢の道』によれば、李英鎬氏は金正日氏から「銃で後継者(金正恩氏)を保衛せよ」の命を受けており、禹東則氏もやはり「情報と保衛部の機構で後継者を保衛すべし」との使命を与えられていた。

  • 【写真】長引く制裁で活気の戻らない北朝鮮経済特区

    【写真】長引く制裁で活気の戻らない北朝鮮経済特区

    北朝鮮の北東部、中国との国境に面した羅先(ラソン)経済特区は、首都・平壌に次ぐ豊かな地域として知られているが、長引く国際社会の制裁の影響ですっかり活気を失っている。現地の内部情報筋から、そんな様子を収めた写真が提供された。

    売春や一家離散も

    羅先には、数多くの中国業者が進出し、水産加工工場やアパレル工場を営んでいた。ところが、国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁で、輸出ができなくなったため稼働を止めている。業者は中国に帰国せず、投資金の回収のために東奔西走しているが、それも容易ではない模様だ。

    一方で不動産市場は活気を取り戻している。別の情報筋によると、中国の投資で建設されたマンションは、今年初頭には1平米が1000元(約1万6300円)で取引されていたが、徐々に上昇し、今では2300〜2500元(約3万7500円〜4万800円)となっている。国境の向こうの中国の琿春の4000元(約6万5300円)前後と比べると、かなり安い。

    (参考記事:金正恩氏の「新義州メガプロジェクト」発表で不動産価格が急騰

    しかしマンションを買っても、入居をためらう人が多い。北朝鮮当局にどんな口実で没収されるかわからない不安感があるからだという。例えば、外国人向けの賃貸物件として建設されたマンションは、1階の商店、裏の住居ともに空室が目立つ。

    以前ほどではなくとも活気を保っているのは羅津(ラジン)市場だ。3年前に建てられた建物では、約6000人もの商人が食品、工業製品など様々な商品を扱っている。しかし、その内実はお寒い限りだ。

    「市場に人は多いが、冷やかしがほとんどだ。食品以外のものはあまり売れない」(情報筋)

    1日の売り上げが1万北朝鮮ウォン(約130円)にも満たない商人が増えているとのことだ。これでは、平均的な4人家族の1ヶ月の生活費である50万北朝鮮ウォン(約6500円)すら稼げない。制裁で人々の収入が減り、購買力が落ちたことが、市場にも影響を及ぼしているということだ。

    「(輸出が)うまくいっていたころはみんなカネを持っていたので服を買ったりしていたが、今では贅沢扱いだ。食べるのに精一杯で、おしゃれをする余裕などない」(情報筋)

    それでも「生活が苦しくてバナナが食べられなくなった」という市民の声は、やはり羅先が比較的裕福な地域であることを示していると言えよう。

    北朝鮮の他の農村地域では、1日の糧を得るために体を売る女性が絶えず、制裁で操業の止まった炭鉱地域では、貧しさによる一家離散まで起きているとされる。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    2018年11月末に撮影された羅津市場の内部(画像:デイリーNK内部情報筋)
    2018年11月末に撮影された羅津市場の内部(画像:デイリーNK内部情報筋)

    外国人向けに建設された羅先のマンション(画像:デイリーNK内部情報筋)
    外国人向けに建設された羅先のマンション(画像:デイリーNK内部情報筋)

    2018年11月末に撮影された羅先市内のマンション。100平米、120平米、140平米型があり、エレベーターも設置されている(画像:デイリーNK内部情報筋)
    2018年11月末に撮影された羅先市内のマンション。100平米、120平米、140平米型があり、エレベーターも設置されている(画像:デイリーNK内部情報筋)

  • 金正恩氏の「怒声」が何より怖い…北朝鮮国民の2018年

    金正恩氏の「怒声」が何より怖い…北朝鮮国民の2018年

    北朝鮮の金正恩党委員長が2018に行った公開活動のうち、大半が外交と経済分野に集中し、軍事関連が大幅に減ったと聯合ニュースが報じている。聯合が北朝鮮メディアの報道に基づき集計したところ、金正恩氏は1月1日から今月14日までの間に、視察や首脳会談など計123件の公開活動を行った。

    その内訳を見ると、外交・経済関連が計95件で全体の77.2%を占めた。その一方、軍事関連の活動は昨年の41件から今年8件と、80.5%急減したとしている。

    こうしたデータを見ると、非核化を巡る米朝対話や南北対話の進展に合わせ、北朝鮮国内の緊張感も緩和しているように見受けられる。確かに、軍事情勢についてはそのように言えるだろう。2017年には北朝鮮国内においても、「いつ米軍が攻撃してくるかわからない」と恐怖に震える人々がいた。

    また、金正恩氏が陣頭指揮を取った弾道ミサイルの発射実験などは、それ自体が一種の戦闘だった。金正恩氏の動きが事前に察知され、米軍のステルス戦闘機の急襲を受ける可能性はゼロではなかった。北朝鮮側とすれば、常にそのような可能性を考え、実戦さながらの厳戒態勢を取っていたはずなのだ。

    さらに、新開発の兵器のテストでは事故がつきものであり、実際にミサイルの爆発事故などが多発していた様子もうかがえる。

    (参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮 、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道

    では今年、軍事的緊張の緩和を受けて、北朝鮮社会の緊張が解けたかと言えば、必ずしもそうではないのだ。

    金正恩氏は核兵器開発をいったん成功させたことで、北朝鮮の政治・軍事強国化を達成できたと自負。次は経済強国を目指すとの目標を掲げている。そしてそれを実現せんがため、今年は精力的に経済部門の視察を行ったわけだが、受け入れた現場にはこれまで以上の緊張感が漂った。

    金正恩氏が行く先々で管理不備を批判し、怒声を上げ、無理難題を押し付けたからだ。以前ならば、責任者が処刑されてもおかしくない事態である。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    しかしそもそも、まだ国連安保理の経済制裁も解けていない内から、経済強国めがけてまい進するのはムリがある。それでも北朝鮮においては、最高指導者がいったん命令を下せば、それは何を置いても達成すべき「掟」となる。多少のムリがともなっても、現場は取り組まなければならない。

    しかし案の定と言うべきか、そのムリが祟り、死亡事故が起きた事例も報告されている。金正恩氏と北朝鮮国民のそれぞれの「戦い」は、いまだ続いているのだ。

    (参考記事:金正恩氏視察先の工事現場が崩壊…死傷者多数

  • 北朝鮮「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」事件の衝撃

    張成沢粛清を振り返る(6)

    韓国の情報機関・国家情報院次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の著書によれば、2013年12月に処刑された金正恩朝鮮労働党委員長の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長は才気と魅力にあふれ、多くの人々を惹き付けたという。

    現在、「北朝鮮のナンバー2」などと形容されることの多い崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長などは猟奇的な行状で知られ、人望も薄いと言われる。

    (参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル

    張成沢氏はそんな「権力の権化」とは、一線を画す存在だったようだ。