「もしかしたら人権侵害かも…」庶民の逆襲を恐れるようになった北朝鮮の警察官

こうした動向の背景にあるのは市場経済化だ。財産を持つ人が増え、今では「私有財産は神聖不可侵」という認識が高まり、それを侵害する動きに対して敏感に反応するようになったのだという。

北朝鮮で幹部の地位にあった脱北者によると、北朝鮮国民、とりわけ商売をしている人達の間で自分の財産を守ろうとする意識は相当に高まっている。

「2009年の(失敗した)貨幣改革のときのように、国による財産の没収は絶対にありえない」(脱北者)

また、国際社会による北朝鮮の人権問題の提起も効果をもたらしているようだ。「国連で人権問題を騒ぎ立て続けるので、北朝鮮も耳をふさいでばかりはいられなくなった」(脱北者)というのだ。当局も国際社会の批判に表向きは反発しているが、公開処刑の回数も大幅に減り、保安署での拷問も減少したという。

権限を奪われた役人ほど弱いものはない。ワイロが受け取れず生活に困った保安員たちは、仕事をやめることを考え始めたようだ。