投稿者: DailyNK Japan

  • 北朝鮮で「日本製の便器」が人気を呼ぶ独特の理由

    北朝鮮で「日本製の便器」が人気を呼ぶ独特の理由

    日本政府は2006年、対北朝鮮独自制裁を始め、日本と北朝鮮を行き来していた貨客船万景峰(マンギョンボン)号の日本入港を禁止した。2009年からは、北朝鮮向けのすべての輸出を禁止する追加制裁を実施した。

    かつて北朝鮮で高級品と言えば日本製だったが、制裁により輸入ができなくなったことや、韓国製やヨーロッパ製に取って代わられた。しかし、かつてほどではないにせよ日本製の人気は高い。

    (参考記事:美女と「日本製の部屋着」に狂わされた、ある北朝鮮警察官の選択

    特に、富裕層の間では依然として日本製が最も人気が高い。そんな中、平壌で需要が急激に高まっているのは日本製の便器、洗面台、シャワー、便器などの衛生陶器だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

  • 金正恩氏も激怒した「女性兵士への性暴力」の卑劣な手口

    金正恩氏も激怒した「女性兵士への性暴力」の卑劣な手口

    1904年3月4日、米国のニューヨークで、女性たちが参政権を求めて立ち上がりデモを行った。それがきっかけになり、毎年3月8日は国際女性デーとなっている。北朝鮮では「国際婦女節」と呼ばれるが、金正恩党委員長は今年のこの日に際し、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内で蔓延する性暴力に対して厳正に対処する方針を示した。

    (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、2月下旬から軍において「反性暴力闘争」が行われている。軍の幹部による、女性兵士に対する言語的、身体的な性暴力の根絶を目的とした今回の闘争は、金正恩氏の指示に基づくものだという。

  • 金正恩氏の留守中に「うっかりミス」した軍将校の最悪な運命

    金正恩氏の留守中に「うっかりミス」した軍将校の最悪な運命

    北朝鮮の金正恩党委員長はベトナム・ハノイでの米朝首脳会談のために、先月23日から今月5日まで、北朝鮮の最高指導者としては異例の長期に渡り、首都・平壌を留守にした。

    恐怖政治で鉄の統制を強いている同国の体制も、国内には常に不満がくすぶっていることを知っており、クーデターなどを恐れ、長く国を離れようとはしてこなかったのだ。

    (参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

    それだけに、金正恩氏の外遊時には厳戒態勢が敷かれていたはずだが、そんな最中、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の空軍基地で大規模火災が発生したと、現地の内部情報筋が伝えた。

  • 「約束も礼儀もなく無責任」北朝鮮が文在寅政権を猛批判する理由

    「約束も礼儀もなく無責任」北朝鮮が文在寅政権を猛批判する理由

    北朝鮮メディアが、韓国の文在寅政権への圧迫を強めている。

    対韓国宣伝サイトの「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は25日付の論評で、「南朝鮮の当局者たちが『制裁の枠組み』の中での協力交流うんぬんと言うのは北南宣言に合意した当事者として約束も、義務も、礼儀も捨てた態度」であると非難。さらに、「北南合意の精神にも反する無責任な行動」と切って捨てた。

    北朝鮮は、これまでにも様々な表現で韓国を非難してきたが、この論評は特に強い調子と言える。また、27日付の論評では、次のように主張している。

    「今は外勢の顔色をうかがいながら、優柔不断に対面維持をするときではなく、民族自主の精神をもって、これまでにも増して北南関係の発展と朝鮮半島の平和と安全のために努力すべきときなのだ」

    ここに出てくる「外勢」とは言うまでもなく、米国のことだ。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

    韓国政府は北朝鮮への800万ドルの人道支援を決定したが、実施は先延ばしになっている。また、北朝鮮をあやすために、開城工業団地と金剛山観光の再開を目指しているものの、実現はおぼつかない。いずれも、理屈の上では韓国独自の判断で実行する余地のある問題だ。しかし、出来ない。

    (参考記事:金正恩は米大学生が「歯がズレて死亡」した理由を知っている

  • 「やり手の女性社長」を裸同然で放り出した金正恩政権の謎の動き

    「やり手の女性社長」を裸同然で放り出した金正恩政権の謎の動き

    北朝鮮を1990年代後半に見舞った大飢饉「苦難の行軍」では、十万人単位の餓死者が出たと言われる。その一方、少なくない人々が、当時は違法だった市場で商売を始めた。それしか餓死を免れる方法がなく、生存本能からとった行動だった。そんなささやかな商売が、いつしか大きくなっていた。

    蓄積した富を金融業、輸送業などに投資し、豊かになっていった新興富裕層を、北朝鮮では「トンジュ(金主)」と呼ぶ。そんな彼らの間に衝撃が走った。ビールの卸売で財を成したトンジュ女性が逮捕され、平壌から追放されたというのだ。

    (参考記事:北朝鮮「金持ち女性」たちの密かな楽しみ…お国の指示もそっちのけ

    平壌の内部情報筋が、事の一部始終を語った。

  • 金正恩「拷問部隊」幹部が秘密裏に処刑された、ある深刻な理由

    金正恩「拷問部隊」幹部が秘密裏に処刑された、ある深刻な理由

    今年1月末、北朝鮮の平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)で非公開裁判が行われ、男性2人に死刑が言い渡された。

    現地の内部情報筋によると、非公開裁判が行われたのは平安南道人民委員会(道庁)の会議室だ。一般には公開されず、参加したのは公務員だけだった。被告となったのは、平安南道保衛部(秘密警察)の指導員1人と国境警備司令部の軍官(将校)1人である。

    保衛部と言えば、金正恩体制の恐怖政治を支える「拷問部隊」である。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    刑はすでに執行された模様だが、こちらも非公開で行われた。道の幹部に対しては、裁判後2日間思想検討と集中教育が行われた。

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    情報筋は、具体的に2人がどのような罪を犯したかについて具体的な話に触れていない。単に、「国家機密を漏らしカネを受け取った」としているだけだ。そもそも裁判の存在自体が、1ヶ月以上経ってようやく道の機関に知り合いのいる人々を通じて話が漏れ伝わるようになったほどだ。

    情報筋は今回の事件について「高級幹部が、生存のために手段と方法を問わずカネ儲けに走っているという現実が明らかになったケースだ」と説明した。つまり、幹部までが困窮するほど、北朝鮮の食糧事情が悪化しているということだ。

    保安局(警察局)や保衛部に務める人に対する食糧配給が円滑に行われなくなっていることは、デイリーNKでも既報の通りだ。

    今年の光明星節(2月16日の金正日総書記の生誕記念日)には、コメ3キロ、ハタハタ1キロ、油、豚肉、菓子500グラムずつ、砂糖200グラム、洗濯石鹸、歯磨き粉の特別配給が行われることになっていたが、職場によってもらえるものが異なり、すべてがもらえた人は少なかったようだ。炭鉱、鉱山、協同農場などでは洗濯石鹸、歯磨き粉、豚肉しかもらえなかった。

    国境警備司令部の軍官(裁判にかけられた人とは別の人と思われる)の家族は、コメがもらえなかったため、トウモロコシを売ってそれでコメを買って食べたという。配給で最優先される立場の人への配給の量が減らされる事態は、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころにも考えられなかったことだ。

    (参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

    また、司令部にいては食べ物にありつけない軍官たちは、隷下の部隊に行こうとする。末端兵士に配給される食糧を盗み食いできるという情けない理由からだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

  • そのうち「豊臣秀吉」の被害補償も…歴史に逃げる文在寅政権に批判

    そのうち「豊臣秀吉」の被害補償も…歴史に逃げる文在寅政権に批判

    韓国の仁川(インチョン)市議会は15日、朝鮮戦争当時の仁川上陸作戦で被害を受けた月尾島(ウォルミド)の元住民と遺族に生活安定支援金を支給する条例を通過させた。

    米軍を主体とする国連軍は、1950年9月15日に実施した仁川上陸作戦で、優勢だった北朝鮮軍の補給路を断ってソウルを奪還、戦況を一変させた。韓国を北朝鮮から守った、劇的な出来事だった。

    それだけに戦闘も激しく、最前線となった月尾島の住民らは甚大な被害を受けた。それに対して補償を行おうというのが冒頭で触れた条例の趣旨なのだが、問題は、この場合の「加害者」が北朝鮮ではないということだ。北朝鮮軍を追っ払うため、爆撃を行った国連軍が加害者とされているのである。

    韓国では左派の文在寅政権が誕生して以降、左右両派の理念的な対立と過去の恨みつらみがこんがらがり、訳のわからない事態が色々と起きている。

    (参考記事:日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    今回の件もその一例というべきもので、主導しているのは与党・共に民主党の議員たちである。これに対し、反対派からは「戦争を仕掛けた北朝鮮には何も言わず、どうして味方の国連軍を加害者扱いするのか」という激しい反発が巻き起こっている。

    これとは別に、韓国政府は1894年から翌年にかけて起きた朝鮮農民の反乱「甲午農民戦争」(東学党の乱)で弾圧された人々の名誉回復事業も行っている。中央日報(日本語版)は22日付で、これを巡り次のように伝えている。

    〈124年前の朝鮮時代に起きた事件に対して税金を投じて名誉回復を行うことが適切なのかどうかをめぐって論争になった。韓国党関係者は「この有様では、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)被害の補償や四大士禍被害者名誉回復の話が出るのでは」としながら「民主党は、民生を改善させる自信がないから歴史にばかり執着している」と主張した。〉

    ここで言われている「四大士禍」とは、15世紀から16世紀にかけて朝鮮で起きた官僚の大規模粛清のことを言う。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)は言うまでもなく、豊臣秀吉の朝鮮侵略である。

    さすがに、この批判は「気の利いた揶揄」といった程度のものだが、こんな指摘に敏感になってしまうほど、文在寅政権の歴史依存は深刻だ。

    この傾向は今後、さらに深刻化しかねない状況にある。ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が物別れに終わり、北朝鮮が韓国に激しい揺さぶりをかけているためだ。

    (参考記事:「韓国は欲張り過ぎだ」米国から対北朝鮮で厳しい声

    国内経済を低迷から救う術を持たず、ほとんど対北外交だけで支持率を保っていた文在寅政権は、いよいよ窮地を迎えつつある。

    そもそも、北朝鮮は文在寅政権と是々非々で付き合ってきたのであり、完全に利害が一致していたわけではなかった。それなのに、前のめりになり過ぎた文在寅政権が一方的に乗ってしまった構図だったのだ。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    こうなったら、北朝鮮の巧みな心理戦をかわすのも簡単ではない。そうなると文在寅政権はさらに、世論の目をそらすべく、歴史問題に頼ることになるのかもしれない。

    (参考記事:「韓国は米朝の仲裁者ではない」北朝鮮にハシゴを外された文在寅の窮地

  • 北朝鮮の名門幼稚園「汚れたお受験」に見るあの国の本当の姿

    北朝鮮の名門幼稚園「汚れたお受験」に見るあの国の本当の姿

    北朝鮮では、毎年3月が新学期だ。幼稚園の入園時期も同じだが、ある幼稚園では熾烈な「お受験競争」が繰り広げられている。

    その幼稚園とは、平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)の本部洞(ポンブドン)にある本部幼稚園。外国人観光客も見学に訪れる特別な幼稚園だ。北朝鮮版お受験の実態を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    現地の情報筋によると、幼稚園には幹部や「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層が自分の子どもを入学させようと殺到している。

    (参考記事:北朝鮮「金持ち女性」たちの密かな楽しみ…お国の指示もそっちのけ

    この幼稚園は子どもの素質と才能を探し当て、英才教育を行う幼稚園として評判が高い。卒業後には金正恩党委員長の夫人・李雪主(リ・ソルチュ)氏が卒業した金星学院など、名門校への進学の道が開かれている。

    (参考記事:北朝鮮「秘密パーティーのコンパニオン」に動員される女学生たちの涙

    日本でのお受験と言えば、入園試験に備えて塾に通わせるものだが、北朝鮮版お受験はかなり様子が違う。

    「本部幼稚園への入学は、ワイロの額で決まるだけあって、いくら才能に恵まれた子どもでも、カネがなければ『貧乏罪』で入学対象から押し出されてしまう」(情報筋)

    平安南道(ピョンアンナムド)の別の情報筋によると、本部幼稚園は各分野の専門技術を持った功勲教員と教養員(幼稚園教諭)が教師として配置され早期教育を行っているが、米ドル札の枚数で入学が認められることから、今では不正腐敗の象徴となってしまっている。

    父兄には、ワイロ以外にも幼稚園の運営費の支払いが求められる。その額に応じて成績を上げてもらえるなどの特典が与えられる。その中の最たるものが、金正恩党委員長との面会に選抜されるというものだ。

    北朝鮮では、最高指導者に会った経験を持つ人は「接見者」と呼ばれ、社会的に特別扱いされる。就職や昇進に有利に働くのだ。最高指導者とは誰でも会えるわけではないため、政府に「出身成分がいい」と認められたことにもなる。それで大喜びするわけだ。

    山奥の村で貧しい暮らしをしている人でも、何かのきっかけで金正恩氏に会うこととなれば、突如としてバラ色の未来が開けることもある。そんな未来を、親がカネを積んで子どもに買い与えようとしているのだ。

    例えば、昨年に平壌で行われた「輝く朝」という大集団体操(マスゲーム)で、体操とゴム跳びを披露したのは、まさにこの本部幼稚園の園児たちだった。もちろん全員が特権層の子女だ。

    当局は「地方の平凡な幼稚園で前途有望な天才児を育て上げたのは、わが国の優れた社会主義教育の結果」などと宣伝しているが、幼稚園の父兄の間ですら「国の幼稚園が子どもをエサにして商売をしている」「ワイロ漬けの幼稚園をお上が宣伝している」という批判の声が上がっている。

    陰口を叩かれてまで子どもを名門幼稚園に入れたとしても、それですべてが解決するわけではない。小・中・高校でもワイロが必要で、名門大学に入るとなると数万ドル単位のワイロを準備せねばならない。社会に出ても、ありとあらゆる場面でワイロが必要となる。それが共産主義ならぬ「拝金主義国家」と化した北朝鮮の現実だ。

    (参考記事:高級レストランを貸し切りにする北朝鮮のリッチな大学生

  • 少女たちも被害に…北朝鮮女性「性売買強要」の悪辣な実態

    少女たちも被害に…北朝鮮女性「性売買強要」の悪辣な実態

    英国団体が実態報告書(下)

    中国で、脱北した北朝鮮の女性たちが望まないセックスワークを強要され苦しんでいる。英国の人権団体、コリア未来戦略が発表した報告書「性奴隷」によると、12歳の少女までがブローカーによって性風俗業者に売られていくというのだ。

    中国国内で暗躍する人身売買ブローカーたちは、主に中国人であると考えられる。ただ、北朝鮮国内から拉致されて売買されるケースもあることから、北朝鮮の人物も関わっていることは明白だ。実際、中朝国境に面した北朝鮮の村に住んでいた少女がブローカーに騙され中国に連れて行かれことがある。

    (参考記事:中国奥地で売られた「少女A」の前に現れた救世主

    報告書によると、中国でセックスワークを強要されている北朝鮮女性たちは年間1億ドル(約104億円)ものお金を稼ぐが、彼女たちが一回の売春行為で得るのはわずかに30元(約500円)だという。ネット上で性的なポーズを見せるなどの行為を行う「アダルトビデオチャット」に従事させられるケースもある。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    こうした中国の業者やブローカーたちは、女性たちが逃げられないよう手を尽くす。妊娠しても体を売ることを強要するなど、やり方はきわめて悪辣だ。報告書には、中国人男性の様々な非道ぶりも記されているという。また、一部の女性は韓国人の男性に人身売買されていくケースもあるというのだ。

    中国国内における脱北女性と少女たちの人身売買の闇は深い。報告書は多くの女性たちが悲惨な境遇で死に至っているとしながら、韓国政府や国際社会が、この問題をまだまだ傍観しているとも指摘する。そのうえで、中国政府に脱北者を難民として認定させ、脱北者が望んだ国へ行けるようにし、多くの女性の命を救うための議論が切実に必要だと訴えている。

    (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

    付け加えるなら、中国当局がこのようなセックスワークを摘発した場合、たとえ人身売買の被害者であろうと脱北女性たちは逮捕されて北朝鮮へ強制送還される。そこで彼女たちを待っているのは、ありとあらゆる人権侵害が常態化している拘禁施設なのだ。

    (参考記事:北朝鮮、脱北者拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も

  • 金正恩氏が自分の「ヘンな写真」をバンバン公開する理由が判明した

    金正恩氏が自分の「ヘンな写真」をバンバン公開する理由が判明した

    金正日総書記が2011年12月に死亡し、息子の金正恩氏が後継者となって以降、北朝鮮で最も大きな変化が起きたのは、おそらくはメディア戦略である。

    たとえば2014年5月15日、北朝鮮の首都・平壌で、約500人が犠牲になったとされるマンション崩壊事故が起きた。北朝鮮では「速度戦」の名の下に、無理な工期のごり押しによる手抜き工事が横行。この手の事故が数多く起きている。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    そういった事例の中においても、このマンション崩壊の現場はとくに凄惨なものと言われる。遺体の収容作業すら行われないままガレキの撤去が行われ、ちぎれた手足があちこちに転がっていたとされる。

    それほどの惨事が起きようとも、以前の北朝鮮当局ならば、徹底的に隠ぺいを図っただろう。ところが金正恩氏は、犠牲者の遺族を集めた場で建設工事の責任者である当局幹部に頭を下げさせ、その写真を労働新聞に掲載させたのだ。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

    北朝鮮で権力の側が国民に謝罪するなど、以前なら考えられなかったことだ。しかも、その証拠写真を公式メディアに掲載するとは、まさに衝撃的な出来事だった。

    また、金正日時代まで、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)はなかなかその全容をうかがわせない、謎に満ちた存在だった。ところが金正恩時代になって以降、北朝鮮メディアは最新兵器の写真を次々に掲載。弾道ミサイルの発射シーンも惜しげなく公開した。一時は朝鮮労働党機関紙の労働新聞が、まるでミリタリーマガジンのようになってしまったほどだ。

    さらにビビッドな変化が見えるのは、公式メディアにおける金正恩氏の写真の使われ方だ。「これいいの!?」という具合に、こちらが心配になってしまうような写真が多用されているのだ。中には、金正日時代ならば明らかに「銃殺モノ」の写真も含まれている。

    (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

    金正恩氏がどうして自分の「ヘンな写真」を次から次へと公開するのか、筆者にとって長らく謎のままだったのだが、最近になって、その理由が判明した。

    金正恩氏は、今月の6、7日に開かれた朝鮮労働党の第2回党初級宣伝活動家大会に、「斬新な宣伝・鼓舞によって革命の前進原動力を倍加していこう」というタイトルの書簡を送っている。ちなみに初級宣伝活動家とは、行政機関や工場など末端の職場単位で置かれた党組織で、思想教育やプロパガンダを担当する人々だ。

    金正恩氏はこの書簡に、次のように書いている。

    「偉大性教育で重要なのは、首領は人民とかけ離れた存在ではなく、人民と生死苦楽をともにし、人民の幸福のために献身する、人民の領導者であるということを、深く認識させることです。もし、偉大性を強調するために、首領の革命活動と風貌を神秘化するならば、真実を隠してしまうことになります」

    これは、父である金正日氏に対する「強烈な皮肉」だ。金正日氏は、自らの父(正恩氏には祖父)である故金日成主席の神格化を主導し、体制の基盤を固めた。また、自分自身は容易に外部に姿をさらさず、謎めいた雰囲気を身にまとい続けていた。金正恩氏が否定した「神秘化された首領」とは、金正日氏に他ならないのだ。

    金正恩氏は、父の「異常な女性遍歴」に強い違和感を持っていたとの説がある。その違和感はもしかしたら、父の統治スタイルに対する反感にも転じていたのかもしれない。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    つまり金正恩氏は、自らの素顔を開けっ広げにさらすことで、最高指導者の神秘性を否定し、そのうえで国家において父を超える存在となるべく、彼なりに描き出した権力の階段を上って来たのではないだろうか。

  • 北朝鮮で「韓流」にまた死刑判決…14歳も「吊し上げ」

    北朝鮮で「韓流」にまた死刑判決…14歳も「吊し上げ」

    昨年12月、北朝鮮の首都・平壌市の郊外にある楽浪(ランラン)区域の学校の運動場で、公開裁判が行われた。デイリーNKの内部情報筋によれば、動員された地域住民が見守る中、被告に死刑判決が下された。容疑は「外部映像物販売」、つまり韓流ドラマ、映画の販売だ。

    北朝鮮当局はこれまでにも、拷問や銃殺刑など極端な手段を動員し、韓流の国内拡散を取り締まってきた。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    しかし今、北朝鮮の人々の間では、文化開放への期待が高まりつつあるという。そのきっかけとなったのは、昨年4月の南北首脳会談に際して平壌で行われた韓国芸術団の公演だ。

  • 北朝鮮制裁委員会の年次報告書に掲載された「違反ベンツ」の記念写真

    国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは12日、年次報告書を発表した。パネルは同報告書の中で「言外」の問題提起を行った。

    昨年9月、平壌での歓迎パレードで金正恩氏とベンツに同乗した文在寅氏(朝鮮中央通信)
    昨年9月、平壌での歓迎パレードで金正恩氏とベンツに同乗した文在寅氏(朝鮮中央通信)

    韓国の文在寅大統領が昨年9月、平壌で金正恩氏と共に問題のベンツに乗った写真が掲載されたのだ。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    朝鮮日報(日本語版)の14日付の報道によれば、「韓国政府は今年1月にこの報告書の草案が作成された際、『報告書に文大統領の写真が掲載される』との情報を入手し、これを阻止するための外交に全力を挙げた」というが、結局のところ聞き入れられなかったということだ。

  • 金正恩氏「違反ベンツ」での記念写真を公開された文在寅氏の泣き所

    金正恩氏「違反ベンツ」での記念写真を公開された文在寅氏の泣き所

    国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは12日、年次報告書を発表した。報告書は、北朝鮮がサイバー攻撃で仮想通貨5億7100万ドル(約630億円)を盗み取ったと指摘。また、弾道ミサイルの開発・実験を民間の工場や空港などで続けている実態も明らかにしたほか、制裁逃れの実態を広範に明らかにした。

    報告書が問題視しているものの中に、「ぜいたく品禁輸」に違反して北朝鮮に持ち込まれたと見られる、金正恩党委員長の専用ベンツがある。クルマ好きで「走り屋」との説もある金正恩氏が、あらゆる手段を講じて欲しい車種を手に入れていることは、以前から知られていることだ。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    【写真】北朝鮮制裁委員会の年次報告書に掲載された「違反ベンツ」の記念写真

    そうした既存の情報に加え、報告書は今回、新たに「言外」の問題提起を行った。

  • 「北の人権問題」で文在寅政権が米国から批判されてしまう理由

    「北の人権問題」で文在寅政権が米国から批判されてしまう理由

    米国務省は13日(現地時間)に公開した人権報告書で、北朝鮮における人権侵害について、政治的殺害や強制失踪、当局による拷問、任意拘束などが横行する実態を告発した。ただし、前年にあった「ひどい人権侵害」という表現が削除され、当面の対話相手に若干の「配慮」がなされたとの見方がある。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    その一方、韓国については、「政府が北朝鮮との対話に出たことで、脱北者団体は北朝鮮に対する非難を控えるよう直接的・間接的な圧力を政府から受けている」と指摘した。北朝鮮の人権問題を巡り、韓国政府が米国政府に非難される異例の事態である。

  • 「韓国は米朝の仲裁者ではない」北朝鮮にハシゴを外された文在寅の窮地

    「韓国は米朝の仲裁者ではない」北朝鮮にハシゴを外された文在寅の窮地

    北朝鮮の崔善姫(チェ・ソニ)外務次官は15日、平壌で記者会見を開き、「われわれは米国の要求に対し、いかなる形であれ譲歩するつもりはない」とした上で、非核化交渉の中止を検討していると明かした。

    これを受け、韓国大統領府の尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官は「いかなる状況にあっても韓国政府は朝米交渉の再開に向け努力したい」とコメントした。韓国政府はこれまでにも、米朝間の「仲裁者」を自任していた。しかしもはや、韓国政府がどれだけの役割を果たせるかは怪しくなっている。

    このところ、北朝鮮の韓国軽視は明らかだった。

    (参考記事:金正恩氏、韓国との約束をまたも「スルー」…文在寅政権に打撃

    そして崔善姫氏はこの会見で、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は朝米対話のため苦労しているが、南朝鮮は米国の同盟であるため『プレイヤー』であって、『仲裁者』ではない」と明言したのだ。

    そもそも、北朝鮮は韓国を全面的に信頼してきたわけではない。あくまで是々非々で対話を続けてきたのであり、気に入らないことがあれば、北朝鮮メディアは遠慮なく毒舌を振るった。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    それでも韓国政府は、北朝鮮との信頼構築に賭けてきた。それが、この結果である。保守系の朝鮮日報(日本語版)は16日、「これまで米国と足並みがそろっていないと批判されてきたのにもかかわらず、米朝対話再開のため南北経済協力を推進してきた韓国政府が、北朝鮮にも信じてもらえない状況になっているということだ」として、文在寅政権の窮地を指摘した。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

    韓国はなぜ、このような立場に追い込まれてしまったのか。理由は多々あるだろうが、大きな原因のひとつとして、文在寅氏が金正恩党委員長に「民主主義」を説くことを忘れた部分があったのではないか。

    民主主義国家の政治は、非常に「移り気」である。民主主義国家における政治家にとっての最優先事項は、経済でもなければ安全保障でもない。「再選」である。これは、ごく当然のことだ。政治家は、選挙で勝たなければ政治家として存在することができず、自らが信じる理念も政策も追求できない。

    だから、次期選挙での当選が危うくなれば、すべての行動は再選を最優先するモードに切り替わる。たとえば、トランプ米大統領は非核化を優先し、北朝鮮の人権問題を無視しているが、世論の風向きが変わればどうなるかわからないのだ。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    これは、文在寅氏も同じだ。彼自身の大統領任期は1期限りと定められているが、彼を支える与党・共に民主党が政権を掌握し続けなければ、北朝鮮との対話路線も危うくなる。

    ただ、国内経済が迷走し、「南北統一の未来」を描いて見せる以外に支持率維持の手段のない文在寅氏にとっては、理念先行で北朝鮮と融和することが、すべての政治的利害と一致しているのだ。そのような自分の立場を客観視できず、トランプ政権の出方について、北朝鮮に客観的なアドバイスを与えられなかった韓国政府を、金正恩氏が「仲裁者」としてあてにする道理はないのである。

  • 「韓国は欲張り過ぎだ」米国から対北朝鮮で厳しい声

    「韓国は欲張り過ぎだ」米国から対北朝鮮で厳しい声

    米紙ニューヨークタイムズは10日(現地時間)、米情報当局の分析として、北朝鮮が昨年6月に初の米朝首脳会談が開かれてから先月の2回目の米朝首脳会談までの8カ月間、プルトニウムと濃縮ウランの生産を継続。その分量は核弾頭6発分に達すると伝えた。事実ならば、由々しき事態と言える。

    これを受けて、韓国の保守系メディアが文在寅政権に噛みついている。朝鮮日報(日本語版)は11日付で「『北朝鮮の非核化の意志』を保証してきた韓国政府が難しい立場に追い込まれている。米国の一部では『韓国の責任論』がささやかれ、対北朝鮮制裁の緩和推進に対しても批判論が高まっている」と述べている。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開
    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    具体的には、同紙は青瓦台(大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が昨年3月9日に訪米し、トランプ大統領に「金正恩国務委員長は非核化の意志を抱いている」と伝えたことを問題視している。

  • 「金正恩が手ぶらで帰って来た」…北朝鮮国民の毒舌に「うわさ話禁止令」

    「金正恩が手ぶらで帰って来た」…北朝鮮国民の毒舌に「うわさ話禁止令」

    北朝鮮では今月10日、国会議員にあたる最高人民会議の代議員を選出する選挙が行われた。選挙とは言っても、国が決めた顔も名前も知らない候補者に賛成票を投じるだけの儀式のようなものだ。

    北朝鮮には民主主義の仕組みに基づき、国民の意思を政治に反映する装置は存在しないが、だからといって同国に世論が存在しないということではない。その世論を誰よりも気にし、そして誰よりも恐れているのは、北朝鮮政府であり金正恩党委員長だろう。

    先月末にベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談が物別れに終わったとの知らせは、既報のとおり、北朝鮮国内でも急速に拡散している。これを受けて、当局は世論を抑えつけるのに必死になっている。

    (参考記事:「金正恩が恥をかかされた!」首脳会談の失敗情報、北朝鮮で拡散

    金正恩氏がベトナムから帰国した今月初め、平安南道(ピョンアンナムド)の人民委員長(知事)、道党(朝鮮労働党平安南道委員会)の委員長、平城(ピョンソン)市の人民委員長(市長)、市党委員長、保安局長(警察本部長)、保安署長(警察署長)が市内の玉田(オクチョン)市場を視察した。

    その直後に、市場の労働者糾察隊が増員され、市場外で無許可で営業する行為や、市場内で商人や市民が集って世間話をすることを厳しく取り締まった。それは、米朝首脳会談に関する「うわさ話」をブロックするための措置だ。現地の内部情報筋が伝えたうわさ話とは、次のようなものだ。

    「元帥様(金正恩氏)がトランプ(大統領)に会ったが、元も取れないまま帰ってきた」

    中にはこんな毒舌を吐く人もいるそうだ。

    「賢く振る舞えなかったせいで、もらえるものももらえずに帰ってきて、その結果として制裁が強化されるだろう」

    このような取り締まりは、平城の市場が全国有数の卸売市場であると同時に、全国の口コミネットワークの発信地であることと関係している。

    地方から平城にやってきた商人は品物を買い付けると同時に、市場で様々な話を聞いて地元に持ち帰る。そして、地元の市場でそれを話す。このような形で、うわさがあっという間に全国に広がってしまうのだ。

    本来、北朝鮮で最高指導者の権威を貶めるような行為は重罪に問われるが、これほど大きなイベントの後とあっては、人の口には戸が立てられない。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    当局は自分たちに都合の悪いうわさ話が急速に広まるたびに、箝口令を敷くなどして抑えつけてきたが、今回も同じ手法を使っているというわけだ。

    (参考記事:北朝鮮、世間話にも禁止令…庶民の間で失墜する金正恩氏の権威

    そんな雰囲気の中で、市場の景気はさらに冷え込んでいる。特に電化製品など贅沢品が売れないため、商人は値段を下げているものの、それでも売れない。通常この季節は、秋の収穫の分配を受けて電化製品を買おうとする農民が市場に多くやってくる。しかし昨年の凶作で懐が寒い農民が、財布の紐を固く締めているというのだ。

    また、市場を訪れる人そのものが減っており、商人は苦しい思いをしている。国際社会の制裁の影響がますます深刻化し、米朝首脳会談も物別れに終わったことから消費心理が冷めきっていることを表す。相変わらず賑わっているのは、穀物を売る店くらいだという。

    取締官に品物をすべて没収され、泣きながら激しく抗議するような光景が繰り返されており、商人の反発も高まっている。世論を安定させようと商人を強権で抑えつけると、当局はとんでもない形の反発を買う可能性すらある。結局のところ、国内を安定させるためには、金正恩氏が「良い結果」を持ち帰るしかないのだ。

    (参考記事:「いい加減にしないと暴動起こす」北朝鮮国民の不満が爆発寸前

  • 金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない「もうひとつ」の理由

    金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない「もうひとつ」の理由

    先月末、ベトナムのハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談は物別れに終わった。しかし、北朝鮮の金正恩党委員長は首脳会談にある程度の自信をもって臨んでいたようだ。会談前日の26日午前に特別列車でベトナム入りした金正恩氏は、出迎えた儀仗兵や市民に笑顔で手を振るなど、余裕を見せていた。

    その後、専用ベンツに乗ってハノイ市内を移動した金正恩氏はさぞかし悦に入っていただろう。注目されるなかでの移動もさることながら、金正恩氏が乗る専用ベンツは、多忙な彼が気分転換できる空間のひとつだからだ。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    金正恩氏はとりわけベンツが好みらしく、4月27日の板門店(パンムンジョム)での南北首脳会談と6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談では、「ベンツS600プルマンガードリムジン」に乗っていた。また、金正恩氏が乗るベンツには、同氏が普通のトイレを使えない事情を考えて、特殊な装備が搭載されているとも言われる。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    金正恩氏が専用ベンツにこだわるのは、もうひとつ理由があるようだ。

    韓国の大手紙である中央日報は、ベトナム入りした金正恩氏がタバコを吸い始めると実妹である金与正氏が灰皿を持って近寄り、吸殻を回収する様子に注目した。まるでヤクザ映画にでも出てくるようなシーンだが、同紙はこの行動には、金正恩氏の秘密情報、すなわち生体情報を秘匿するための意図があると指摘する。

    金正恩氏に限らず、国家の最高指導者の生体情報はトップシークレットだ。逆に言えば、アメリカや韓国のみならず全世界の情報機関にとって金正恩氏の生体情報は喉から手が出るほどほしいだろう。金正恩氏の健康状態から、北朝鮮内部で今後、何らかの異変が起きる可能性を推測することもできる。

    例えば、現在は肥満体である金正恩氏だが、2011年に最高指導者になった直後はそれほどではなかった。しかし、ある時期から急に肥満体型となる。その前後に北朝鮮では粛清の血の雨が降った。残虐な粛清をするなかで、金正恩氏が精神状況と身体に何らかの異変をもたらした可能性は十分ある。

    (参考記事:金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然

    金正恩氏のDNA情報も貴重である。金正恩氏の実母は日本生まれの高ヨンヒ氏だが、血統を重んじる北朝鮮では、この情報は絶対に明かすことができない。しかし、高ヨンヒ氏の実妹である高ヨンスク氏は亡命してアメリカに在住している。つまり金正恩氏のDNA情報を採取できれば、北朝鮮の最高指導者のルーツが大阪にある絶対的証拠を入手できるのだ。既に米国の情報機関が入手していてもおかしくはない。

    (参考記事:金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈

    中央日報は、北朝鮮当局は金正恩氏のタバコの吸殻はもちろん汗や鼻水を拭いたティッシュペーパーやタオル、ホテルなどに落ちた髪の毛を徹底的に回収し、「大小便の場合は完全密封して化学処理するなど特殊な過程を経るか、それが不可能な場合は北朝鮮に回収して行く」という情報関係者の話を紹介している。

    身辺警護だけでなく生体情報をもらさないためにも、金正恩氏は専用ベンツの特殊装備で用を足すのかもしれない。

  • 「日本の反動にビンタをくらわせたい」北朝鮮、米国と決裂でヒステリー

    「日本の反動にビンタをくらわせたい」北朝鮮、米国と決裂でヒステリー

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は8日、ハノイでの米朝首脳会談が合意なしで終わったことに言及した論評を掲載。論評は、会談が物別れとなった結果を受けて「唯一、日本の反動層だけはまるで待ち焦がれていた朗報に接したかのように拍手をしながら小憎らしく振る舞っている」と主張した。論評はさらに、日本について次のように表現している。

    「実に憎たらしく、ビンタをくらわせたい輩だと言わざるを得ない」

    北朝鮮メディアが日本に言いがかりを付けるのは今に始まったことではない。しかし最近は、どうもその傾向に拍車がかかっている。

    (参考記事:北朝鮮「日本の核武装化こそ問題」主張でドツボにはまる

    しかしいくら何でも、「ビンタ」とは呆れてしまう。米朝首脳会談が物別れに終わったことで、ヒステリーでも起こしているのだろうか。

    最近になってわかってきたのは、今回の米朝首脳会談は、どうやら始まる前から成功する可能性が低かったということだ。例えばボルトン米大統領補佐官は、北朝鮮に対して核だけでなく弾道ミサイルと生物化学兵器の全廃を北朝鮮に要求したことを明かしたが、これは金正恩党委員長には飲めない条件だ。ただでさえ北朝鮮の軍事力は弱体化が著しいのに、ほとんど「丸腰」になってしまう。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    ボルトン氏によれば、米国側はその対価として経済発展も含めた「ビッグディール」を持ちかけたというが、それでも北朝鮮にとってはハードルが高い。対話の途中で米国側から人権問題を持ち出されたら、どのような「ディール」も吹き飛んでしまうからだ。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    このように見ると、米朝首脳会談が「上手く行かない理由」はたくさんある。仮に「日本の反動層」が米朝の決裂を期待しようがしまいが、そのようなことはまったく関係ないのだ。

    北朝鮮としては、米国との関係改善が上手く運んだ場合、それをテコに、日本に対して過去清算を迫るつもりなのだろう。実際、最近の北朝鮮メディアはその線で論陣を張ってきている。

    (参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由

    しかしもとより、米朝対話が上手く行くことなしに、日朝対話が本格的に始まることもないだろう。北朝鮮は他人に難癖を付ける前に、本当に米朝対話と非核化に運命を賭けることが出来るかどうか、自分の胸の内と相談すべきなのだ。

  • 北朝鮮、美女レストランの裏側「騙されていたんだな、と気づいた」

    北朝鮮、美女レストランの裏側「騙されていたんだな、と気づいた」

    中国、ロシア、東南アジアの各国に進出し、朝鮮料理を舌鼓を打ちながら美女従業員の歌や踊りを楽しむ北朝鮮レストラン、通称「北レス」。

    国際社会の経済制裁により、一時は全店閉店の噂も囁かれたが、朝鮮半島情勢の変化で復活の兆しを見せている。デイリーNK特別取材班は、そんな北朝鮮レストランの関係者とのインタビューに成功した。

    (参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

    遼寧省の主要都市にある北朝鮮レストランでインタビューに応じた彼は、まず当局による上納金の執拗な催促について語った。

    「最近に入っても出せと言われ続けています。1ヶ月に1回から3回。農作業の季節には、肥料やカネを出せと言われる。給料から出せないときは、あちこちから貸りるしかない。1ヶ月に(給料は)1000元(約1万6500円)なのに、1500元(約2万5000円)を出せと言われるので、カネを借りてようやく出せたと思ったら、今度は来月分を出せと言われる。そんなもの出せますか?総和(総括)の時に出せなかった(という人もいるが)どうしようもないですよ」

    現在、北朝鮮は、金正恩党委員長が旗振り役となり三池淵(サムジヨン)地区、元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区という2大開発プロジェクトを進めている。その建設費確保のために、全国民に物品の上納と労働動員を強いているが、北朝鮮レストランの従業員に対しては、給料を上回る上納を要求しているということだ。

    (参考記事:中国の北朝鮮レストランで「強制売春」説が浮上

    この1000元から1500元という月給も、当初の契約とは異なる。従業員らは月3000元(約4万9500円)もらうという契約で中国にやってきたが、実際にもらえるのは3分の1か、それ以下だ。

    「(2015年に契約を交わして以来)従業員たちの給料は今に至るまで上がってません。女性(従業員)たちはいろいろと物入りです。化粧品代や服代として使う分として、1ヶ月に150元(約2500円)から200元(約3000円)だけ受け取ります。それを月給800元(約1万3200円)から差し引いて、残りは故郷に帰る時に渡されます。3年働くと3000ドル(約33万2000円)ほどになります。最初は給料をくれないと泣き出す女性も、しばらくすると、自分たちのために貯めてくれていると理解するようになります」

    この関係者は、吉林省延辺朝鮮族自治州の図們、琿春の工場に派遣された労働者の事情についても詳しく知っていた。琿春のある工場では、数千人の北朝鮮労働者が働いている。

    「レストランの従業員は全員が平壌出身だが、図們、琿春の開発区には地方出身者が多いです。アパレル工場で働いています。開城(ケソン)工業地区で組織化されたので、仕事をさせるにはぴったりです。従業員が手にするおカネは月600元(約9900円)から650元(約1万800円)、夜勤をすると800元(約1万3200円)から900元(約1万4900円)になります。レストランの従業員のほうが少しマシです。チップももらえますから。3分の1は取られてしまいますが」

    レストランの従業員は給料がよく、比較的自由な暮らしをしている。一方で、工場労働者は半ば工場の敷地内に閉じ込められた状態にあるものの、食生活の面では恵まれている。

    (参考記事:20代美人ウェイトレスを直撃…「北朝鮮レストラン」の舞台裏

    「レストランの従業員は時々外出できるが、工場で働く人たちはできません。工場で働く人たちの食費は1日10元(約165円)ですが、それで食材を買ってきておかずを作ると5種類以上になります。肉も出ます。食堂の調理師も朝鮮の人です。だけど、レストランの従業員は白菜少々、豆腐少々のおかずでご飯を食べます。うちのレストランの社長は他と比べて親切でないのか、待遇があまりよくありません」

    この関係者は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議2397号についても触れた。同決議は国連加盟国に対し、採択から24ヶ月以内に北朝鮮労働者を全員帰国させることを義務付けている。

    「今は(労働者が)中国に入ってこれません。制裁が解除しなければ全員出国するしかありません。(安保理の)決議が採択されたのは(一昨年の)12月なので、(今年の12月の)その前に出国しなければなりません。レストランも工場(の労働者)も100%です」

    昨年の中朝首脳会談を前後して、一度は途絶えていた北朝鮮労働者の中国派遣が復活しつつあるとの情報があり、このままなし崩し的に進むのではないかという見方もあったが、この関係者は悲観的に見ているようだ。

    (参考記事:【写真】金正恩氏の新たな商売「女子大生派遣ビジネス」の現場

    インタビューの終盤になってこの関係者は、恐る恐る体制批判を始めた。

    「政策を変えなければなりません。そうしなければ人民が豊かに暮らせません。中国は昔貧しかったけど、今では食べる心配はなくなりました。知らなかったころは党(朝鮮労働党)を信じていたけど、(中国に)来てみると『ああ、騙されていたんだな』と思うようになりました」

  • 金正恩と米国の「ディール」を吹き飛ばす「性的虐待」の生々しい告発

    金正恩と米国の「ディール」を吹き飛ばす「性的虐待」の生々しい告発

    トランプ米大統領は先月行われたハノイでの2度目の米朝首脳会談で、弾道ミサイルと生物化学兵器の全廃を北朝鮮に要求したという。

    これを北朝鮮が受け入れられない理由については、すでに本欄で述べた。東アジア最弱とも言える北朝鮮軍が、核兵器に続いて弾道ミサイルや生物化学兵器まで全廃したら、それこそ「武装解除」と言うに等しいからだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    だが、問題はこれだけではない。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は3日、上述の生物化学兵器などの件について明かしたFOXニュースの報道番組で、次のようにも語った。

  • 金正恩氏、韓国との約束をまたも「スルー」…文在寅政権に打撃

    金正恩氏、韓国との約束をまたも「スルー」…文在寅政権に打撃

    北朝鮮が、昨年9月に韓国との間で結んだ軍事分野の合意のうちの1つを履行せず、「スルー」していたことがわかった。韓国側は準備万端ととのえ、待っていたにもかかわらずだ。

    北朝鮮はほかにも、韓国の文在寅大統領が要望した、日本からの独立運動100周年行事を共同開催する約束を「スルー」している。2回目の米朝首脳会談が不調に終わり、韓国政府は仲介役として貢献すべく意気込むが、北朝鮮に対するグリップが怪しくなってきている状況だ。

    (参考記事:金正恩が韓国の熱望を「スルー」…対日独立運動記念に「関心なし」

    北朝鮮はもともと、韓国と全面的な「蜜月関係」ではない。気に入らないことや自分の立場から見て韓国に「筋が通らない」と思われる部分があれば、強い表現で罵倒することもいとわない。

    (参考記事:「韓国が下心さらけ出した」北朝鮮が猛批判する理由

    しかしそれにしても、最近の北朝鮮の行動には、「韓国軽視」とも思える部分がうかがえる。

    今回、北朝鮮が「スルー」したのは、今年2月末までに実施することにしていた南北共同遺骨発掘団の構成・相互通知だ。

    昨年9月に双方が交わした軍事分野合意書には、南北が非武装地帯(DMZ)内で朝鮮戦争戦死者の遺骨を共同で発掘するため、大佐級を責任者とする5人ずつの共同調査・現場指揮チームを構成するほか、80~100人の発掘団をつくることや、2月末までに相互に通知することが明記されている。韓国側は、遺骨発掘団の構成をすでに終えている。

    朝鮮半島情勢の全体的な構図の中で見れば、小さな問題と思えるかもしれない。しかし北朝鮮と韓国はこれまで、陸海空での敵対行為の中止やDMZの監視所の試験撤去、軍事境界線上にある板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化、漢江河口の共同水路調査など、軍事分野合意書の記載事項を着実に履行してきたのだ。

    それらにはいずれも期限が設けられており、今回の遺骨発掘団の件で初めて、北朝鮮は期限を守らなかったのだ。それだけではない。聯合ニュース(日本語版)は4日、次のように伝えている。

    「今年に入り、米朝首脳会談を控えた北朝鮮の消極的な態度により、南北の軍事対話は円滑に行われていない。南北の軍事当局者が対面したのは1月30日、韓国側が制作した漢江河口の海図を板門店で北朝鮮側に手渡したのが唯一だった。このため、南北軍事共同委員会の構成やJSAの自由往来などの軍事合意が履行されていない」

    たしかに、北朝鮮による軍事分野の合意履行の遅れが、米朝首脳会談の影響である可能性は小さくない。だとすれば、仮に米朝首脳会談が「成功」していたなら、北朝鮮は再び合意履行に積極的になったはずだ。

    しかし、会談が不調に終わった今、北朝鮮はどのように出てくるのだろうか。だいたい、核兵器などを除けば東アジアで軍事力が「最弱」の北朝鮮としては、本当は韓国との合意履行などありがたくないのかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    いずれにしても、国内の経済政策の迷走が続き支持率の芳しくない文在寅政権は、来年4月の総選挙を控え、北朝鮮との統一を成し遂げた「バラ色の未来」を描くしか、有権者に訴える材料がないのが現状だ。

    このまま北朝鮮から「ソデ」にされ続ければ、政権が大きな打撃を被ることは明らかだろう。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

  • 金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったことで、準備に関わった北朝鮮側関係者が「粛清」の憂き目に遭うのではないか、との懸念が一部で出ている。

    先日の本欄でも紹介したが、中国駐在のある北朝鮮貿易関係者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し次のように語っている。

    「拷問」の最高責任者

    「最高尊厳(金正恩党委員長)が平壌に戻れば、会談についての総和(総括)をしなければならない。罪のない人が会談失敗のスケープゴートにされ、粛清される事態が起きるかもしれない」

  • 首脳会談の失敗で「ホッとひと安心」している北朝鮮のお金持ち

    首脳会談の失敗で「ホッとひと安心」している北朝鮮のお金持ち

    すでに本欄でも伝えたとおり、北朝鮮の貿易関係者の間からは、米朝首脳会談の失敗に対する落胆の声が漏れ伝わっている。その一方、北朝鮮国内には、会談の失敗に安どのため息をついている人々もいるようだ。その人々とは「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層の一部だ。

    北朝鮮では、社会主義計画経済と配給制度がほとんど崩壊し、なし崩し的な資本主義化が進んでいる。その主人公が、市場での商売や運送業などで資本を蓄え、あるいは権力と癒着して甘い汁を吸い、今や不動産投資や工場経営にも進出しているトンジュである。北朝鮮では今、ものすごいスピードで格差の拡大が進んでいるが、そこで「勝ち組」の座を占めているのもトンジュだ。

    (参考記事:「牛乳風呂」をたのしむ北朝鮮の上流階級)

    米朝首脳会談がうまく行って対北制裁が緩和されれば、ビジネス環境が改善し、トンジュも潤うのではないか――読者の中にはこのように考える向きもいるかもしれないが、どうやら、トンジュの国際情勢に対する感覚は相当にシビアなようだ。

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋の話として伝えたところでは、新義州(シニジュ)を本拠地にして外貨を稼ぎ全国の市場を牛耳っているトンジュたちは「最高尊厳(金正恩氏)が米国の大統領に会いにベトナムまで行ったのだから、ベトナム式改革開放を朝鮮に導入する可能性が高い」と期待を見せつつも、こんな不安ものぞかせた。

    「南朝鮮や米国など、国際的な投資が大規模に入ってくるのではないだろうか」(情報筋)

    新義州は現在、金正恩氏がぶち上げた都市再開発プロジェクトで不動産バブルに沸いている。現地のトンジュたちはその恩恵を十二分に受け、「濡れ手に粟」で潤っているだろうが、それでも世界的に見れば、自分たちの投資など「はした金」に過ぎないことをよく認識している。世界各国の巨大企業が北朝鮮に進出すれば、オイシいところは全て奪われてしまうのではないかと心配しているのだ。

    さらに別の情報筋によれば、トンジュは北朝鮮で改革開放が始まれば、国内に少なからぬ混乱や動揺が生じ、違法な手段で荒稼ぎしてきた自分たちが、命を危ぶむほどの状況に追い込まれるのではないかと心配しているというのだ。当局がゴタゴタを収拾して自分たちが生き残るために、トンジュを悪者扱いして粛清するのではないか、との懸念である。

    確かに北朝鮮社会には、傍若無人に振る舞うトンジュに対する「冷たい視線」が存在するのも事実だ。

    (参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

    ある住民は、トンジュの不安を次のように語っている。

    「金持ちは戦争を怖がっている。今は金儲けするにはいい時代だが、情勢が変われば(すべてが)変わる。体制が変われば国はトンジュから先に処刑する」(ある一般庶民)

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    こんな不安を抱えたトンジュたちは今頃、会談失敗の報を耳にして、胸をなでおろしているかもしれない。

    (参考記事:北朝鮮「金持ち女性」たちの密かな楽しみ…お国の指示もそっちのけ

  • 金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    金正恩氏から「責任追及され処刑」あぶない筆頭はこの人物

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったことで、準備に関わった北朝鮮側関係者が「粛清」の憂き目に遭うのではないか、との懸念が一部で出ている。先日の本欄でも紹介したが、中国駐在のある北朝鮮貿易関係者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し次のように語っている。

    「拷問」の最高責任者

    「最高尊厳(金正恩党委員長)が平壌に戻れば、会談についての総和(総括)をしなければならない。罪のない人が会談失敗のスケープゴートにされ、粛清される事態が起きるかもしれない」

    北朝鮮では過去、何度も大粛清が起きている。金正恩時代に入ってからも同様だ。ショッキングだったのは、工場の管理不備を理由にスッポン養殖工場の支配人が銃殺され、その直前の動画が公開されたことだ。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    また、処刑の方法も残忍だ。人体がズタズタになるまで機関銃を乱射し、それを群集に見せつけるようなやり方が繰り返されてきた。恐怖で人々の心を縛る目的からだ。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    粛清されても、殺されずに「革命化」と呼ばれる再教育を受けた後で復帰できる例もある。しかし、その過酷さもハンパなものではない。

    (参考記事:側近「激ヤセ写真」に見る金正恩式「再教育」の恐怖

    それでは今回もまた、会談の準備に携わった外務省などの幹部らが粛清されてしまうのかと言えば――多分、そのようなことにはならないと、筆者は考えている。

    この間の報道で日本でも広く知られるようになった李容浩(リ・ヨンホ)外相や崔善姫(チェ・ソニ)外務次官は、北朝鮮の対米外交のエース中のエースだ。そんな人材を失えば、そのダメージは計り知れない。

    その一方、金正恩氏から目を付けられそうな人物もいる。国家保衛省の元トップで、2017年に失脚した金元弘(キム・ウォノン)氏だ。

    国家保衛省は、拷問などの手段を用いながら、北朝鮮の恐怖政治を支えてきた秘密警察だ。

    しかし近年、金正恩氏は国際社会の圧力を気にしてか、国家保衛省による人権侵害を疎むようになっているもようだ。金元弘氏の失脚も、それと関係している可能性が高い。

    しかも同氏は、北朝鮮から解放直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)がスパイ容疑で拘束された2016年1月にも、同省トップの地位にあった。金正恩氏は今回の首脳会談でトランプ米大統領に対し、ワームビアさんの件について「この件を非常によく知っているが、後になって知ったのだ」と語ったという。

    この金正恩氏の言葉が事実かどうかはさておき、彼は米国人に対する人権侵害を、世界が注目する場で釈明させられたのだ。そしてその甲斐もなく、会談は物別れに終わった。

    これは、金正恩氏の怒りの矛先が、「ワームビア問題」の端緒を作った金元弘氏に向くのに十分な状況と言える。果たして今後、金元弘氏の身に何が起きるのか、はたまた起きないのだろうか。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

  • 金正恩は米大学生が「歯がズレて死亡」した理由を知っている

    金正恩は米大学生が「歯がズレて死亡」した理由を知っている

    米バージニア大学生のオットー・ワームビアさん(当時22歳)が北朝鮮に長期拘束された後、昏睡状態で解放され、その直後に死亡した問題を巡りトランプ米大統領が非難を浴びている。

    米朝対話の「危機」に

    トランプ氏はハノイでの米朝首脳会談でこの問題に言及。すると金正恩党委員長が「この件を非常によく知っているが、後になって知ったのだ」と語ったと明かし、「私はその言葉をそのまま受け入れる」と述べていた。これに、米国の世論が反発。さらにはワームビアさんの両親が非難の声を上げたのだ。

    筆者はこの問題が、いずれ米朝関係に大きな影を落とす可能性を以前から指摘してきた。

    (参考記事:北朝鮮が拷問か…死亡の米大学生の歯列変形。米メディアが写真公開