投稿者: DailyNK Japan

  • 「心配でしょうがない」首脳会談失敗で北朝鮮から失望と不安の声

    「心配でしょうがない」首脳会談失敗で北朝鮮から失望と不安の声

    全世界の注目を浴びつつベトナムのハノイで開催されるも、合意に至らないまま終了した2回目の米朝首脳会談。

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1日付の記事で、「敬愛する最高指導者(金正恩党委員長)とトランプ大統領は、朝鮮半島の非核化と朝米関係の画期的発展のために今後も緊密に連携し、ハノイ首脳会談で論議された問題解決のための生産的な対話を引き続きつないでいくことにした」と報じ、具体的な結果には触れないまま「新しい対面を約束しながら別れのあいさつを交わした」と記事を締めくくることで、合意に至らなかったことを示唆した。

    北朝鮮国内からの反応はまだ伝わってこないが、会談結果をリアルタイムで知った中国にいる北朝鮮の貿易関係者から失望の声が上がっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。中には、責任追及による「粛清」を懸念する声もある。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

    北朝鮮では過去、行政上の失敗などの責任を問われ、多くの人々が公開処刑や政治犯収容所送りになっている。

    (参考記事:北朝鮮、脱北者拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も」

    中国の丹東に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、税関で新義州(シニジュ)に向けて発送する作業を行った後、オフィスに戻りネットをチェックしていたときに首脳会談のニュースを知ったとして、「2回目の会談が合意も署名もなく終わるとは思っていなかった、とても虚しい」と失望を隠しきれない様子だ。

    この関係者は、核・ミサイルの放棄と経済制裁をリンクさせて解決しようとする流れに対して、否定的な考えを持っていた。

    「率直に言って(我々)貿易担当者たちは、最高尊厳(金正恩氏)が非核化を前提にして、米国の経済制裁を解く目的で平壌から列車に乗って中国を経てベトナムのハノイに向けて出発したときから懐疑の目で見ていた」

    皆がひもじい思いをしながら作った核やミサイルを、あっさりと放棄するわけがないという見方をしていたこの関係者。ところが、会談を前にしてその考えに揺らぎが生じたようだ。

    「しかし、昨日(27日)に朝米首脳が晩餐会の席で笑顔で対話する様子をニュースで見て、もしかしたら良い結果が出るかもしれないとの期待を持った」

    そんな期待も失望に変わってしまった。

    「米国の大統領と会った席で、最高尊厳がすべての人が喜ぶ立派な結果を出すと発言したときには、今回は本当に核とミサイルの放棄を約束して、米国の経済制裁を解除させるという大胆な決断を下すかもしれないと思ったのに、今日の会談の結果を見て完全に拍子抜けした」

    中国駐在の別の北朝鮮貿易関係者は、会談が合意なしに終わったことについて、責任のない人がとばっちりを受けるかもしれないと懸念している。

    「最高尊厳が平壌に戻れば、会談についての総和(総括)をしなければならないのに、何よりも心配なのは、会談を行った実務者たちが今後、どんな責任を負わされるかということだ。罪のない人が会談失敗のスケープゴートにされ、粛清される事態が起きるかもしれない。心配でしょうがない」

    (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

  • 北朝鮮「日本の核武装化こそ問題」主張でドツボにはまる

    北朝鮮「日本の核武装化こそ問題」主張でドツボにはまる

    北朝鮮の金正恩党委員長とトランプ米大統領とは28日、ベトナムの首都ハノイで2日目の首脳会談を行ったが、非核化の道筋で合意に至ることなく、日程を繰り上げて終了した。

    独裁国家と民主主義国家が、信頼関係を築くことの難しさを示した事例と言える。両首脳が友好関係を強調してはいるが、核以外でも人権問題などで火種は残り、しょせんは水と油なのだ。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    軍隊が虐殺

    しかしどうやら、金正恩氏はその重大さに気付いていない。そのことは、北朝鮮が首脳会談を狙いすまして繰り出した、日本非難の論調にも見て取れる。

  • 「日本は謝罪と賠償だけしていろ」北朝鮮、首脳会談当日に主張

    「日本は謝罪と賠償だけしていろ」北朝鮮、首脳会談当日に主張

    ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が初日を迎えた27日、北朝鮮が日本に対し、過去清算を迫る非難をぶつけた。

    北朝鮮のこのような主張は今に始まったものではなく、最近でもよく出されていたものだ。

    (参考記事:「日本軍が慰安婦を虐殺した映像ある」北朝鮮メディア報道

    しかし、米朝首脳会談のタイミングにストレートにぶつけてくるとは、今後の日朝関係を占う材料になりそうだ。

    朝鮮労働党機関紙・労働新聞は同日、日本が国連安全保障理事会の常任理事国を目指すのは「せん越で無分別」であるとする論評を掲載した。

    論評は、日本は第2次世界大戦の「戦犯国の中で唯一に過去清算を正しくしなかった国だ」としながら、「日本が図々しくも世界の平和と安全保障を使命とする国連安保理常任理事国のポストを欲しがること自体が国連憲章に対する露骨な無視であり、人類の良心に対する愚弄、挑戦である」と主張。

    そのうえで、「日本がやるべきことは、特大型反人倫犯罪に対する国家的・法的責任を認め、徹底した謝罪と賠償をすることだけ」だと強調した。

    最近の北朝鮮の対日非難には、大きく2つの流れがある。ひとつは今回のように歴史問題に言及し、日本に朝鮮半島支配の過去清算を迫る論調だ。そしてもうひとつの流れが、日本の軍備増強に対する非難だ。

    (参考記事:「自衛隊の攻撃能力は世界一流」と評価する金正恩氏の真意

    いずれも、その目的のひとつは、米国に対して「わが国にとって、日本は問題である」ということを強調することにあるのではないか。

    最も射程の長い大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、米国との非核化対話の中で、当然廃棄の対象になる。しかし日本にとっての脅威は短・中距離弾道ミサイルであり、日本政府はそれらの全廃を主張している。

    だが北朝鮮としても、装備のほとんどが老朽化し、また軍紀のびん乱で軍が弱体化している現状では、「虎の子」の弾道ミサイル戦力をそう簡単に手放せないという事情もある。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    金正恩党委員長は、日朝の関係改善が進まない状況をトランプ米大統領に強調し、それを交渉のカードの1枚にしようとしているのかもしれない。

    (参考記事:【写真】北朝鮮、韓国「美人すぎる野党議員」を猛批判…「親日派を除去せよ」

  • 北朝鮮を手玉に取った「100歳老人」の痛快エピソード

    北朝鮮を手玉に取った「100歳老人」の痛快エピソード

    100歳を迎えた北朝鮮の長寿老人に、同国のテレビ記者たちがほとほと困らされたというエピソードが聞こえてきた。

    食糧難や経済の混乱が続く同国で、100歳まで長生きできる人は極めて珍しい。そのため、国営の朝鮮中央テレビは体制宣伝のための格好の素材と考えたようだが、老人はインタビューで「将軍様のご配慮のおかげで長生きできた」との言葉を最後まで口にしなかったという。北朝鮮でこのような態度は「不敬罪」に問われかねないものだが、老人はどうやら「ボケたふり」をして記者や当局を手玉に取ったようだ。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    デイリーNKの内部情報筋によれば、この出来事は1月中旬頃、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で起きた。

  • 軍隊内の「性の乱れ」に悩みを深める金正恩氏

    軍隊内の「性の乱れ」に悩みを深める金正恩氏

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は今月8日で創建71周年を迎えた。米国との非核化対話の流れを反映してか、軍事パレードなどは行われず、金正恩党委員長が人民武力省(日本の防衛省に相当)を訪問して演説するなど地味な行事だけで終わった。

    ただ、はた目には地味に見えても、演説の中身はなかなか意味深なものだった。北朝鮮の軍は近年、物資の横流しや性的虐待が横行するなど、規律が乱れきっている。

    (参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長

    そのような実情に対する金正恩氏の「悩み」が、演説に表れた形となったのだ。同氏は演説で、次のように述べた。

    「人民軍の党組織と政治機関で、思想と道徳は何とも替えられない革命軍隊の絶対的優越性であり、必勝不敗の保証であることを銘記し、政治・思想強兵化、道徳強兵化を二つの柱として思想活動を攻勢的に、多角的に、立体的に展開していくことによって、全軍を党と血脈が通じて思想と志、運命を共にする思想的純潔体、運命共同体にしなければならない」

    北朝鮮の最高指導者が、軍に対して「政治」と「思想」の重要さを強調するのはいつものことだ。朝鮮人民軍は「党の軍隊」であり、党の政治思想に従うのは原理原則である。

    気になるのは、それらの言葉に「道徳」が続いていることだ。道徳の大切さが改めて強調されるのは、現状においてそれが、軍内で蔑ろにされていることを金正恩氏が認識しているからだろう。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    しかし、特に女性兵士に対する性的虐待の問題は、北朝鮮の権力構造や女性蔑視、男性本意の風潮と複雑に絡み合っている。金正恩氏が演説で遠巻きに指摘したくらいでは、抜本的な改善がなされるとも思えない。

    一方、金正恩氏は同じ演説で核兵器には言及せず、「人民軍の最精鋭化は革命武力の建設においてわが党の一貫した方針である」と表明。「思想革命、訓練革命、武装装備の現代化、軍紀確立に朝鮮革命武力の最精鋭化をさらに早める根本秘訣がある」と強調した。

    軍事力の維持・強化の方針に言及した言葉だが、実に曖昧な表現である。果たして金正恩氏は、仮に本当に非核化を行うとして、その後の軍事政策をどのように考えているのか。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    それが見えてこないことがむしろ、同氏の非核化への意思を疑わせる要素にもなっているかもしれない。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「書類整理」と呼ばれる性虐待行為

  • 北朝鮮で超人気の就職先。理由は「銃殺されないから」

    北朝鮮で超人気の就職先。理由は「銃殺されないから」

    かつて、北朝鮮で人気のある就職先と言えば、人民保安省(警察庁)、国家保衛省(秘密警察)などの司法機関、朝鮮労働党などの権力機関だった。一般庶民が飢えに苦しんでいても、特別配給を得られ、権限を利用してワイロを搾り取るなど、オイシい思いができたからだ。しかし、ここ数年で事情が変わった。

    (参考記事:濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    今、いちばん人気の就職先は合弁企業であると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

    咸鏡北道の情報筋によると、多くの人が合弁企業への就職、転職を希望しており、待機者リストに登録しても、就職できるのはその2〜3年後になるという。

    合弁企業と言ってもどこでもいいというわけではない。転職を希望する人々は、企業の業務内容、投資、今後の展望などを把握した上で、第一志望の企業に就職するためにワイロを渡したりありとあらゆる手段を動員する。

    別の情報筋によると、国営のアパレル工場や食品加工工場に務める労働者も、安定性が保証され賃金の高い合弁企業に転職しようとするという。また、貿易会社直営の工場も人気で、数百人待ちだとのことだ。

    「ワイロを出せば不可能なものはないので、転職が流行している。一部の合弁企業は、従業員にコメ100キロと月給300元(約4900円)を支給している。保安員(警察官)ですら辞職して合弁企業に入ろうとする」(情報筋)

    人々が合弁企業に殺到するのは、一般的な労働者の月給4000北朝鮮ウォン(約52円)をはるかに超える月給だけではない。

    当局は、国家的建設事業の建設や政治集会などの名目で、一般労働者を動員する。国営企業の工場は電気や原材料が不足して稼働していないため、労働力を駆り出すには格好の場となっている。

    一方で合弁企業勤務ならそれらの動員に行くことはあまりない。会社が当局にワイロを掴ませ、従業員の動員を免除させるからだ。国営企業と異なり合弁企業の工場はよほどのことがない限りは稼働を続けているため、従業員に頻繁に留守にされると困るのだ。

    これが従業員の満足度を非常に高めているという。建設現場への動員は長期間に渡り、命を落とすことすらあるので、誰も行きたがらないのだ。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    かつては花形の職場だった司法機関など国の機関の人気はジリ貧だ。頻繁な検閲(監査)、無差別な粛清、更迭で、いつ命を落とすかわからないからだ。「今ほど、人々が自分の職業について深刻に考えたことはなかった」(情報筋)ほどだという。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    北朝鮮は個人の生活を充実させることよりも、国や労働党、そして最高指導者のために何ができるかを求められるお国柄だ。就職は、本人の希望より当局の都合が優先され、勝手に割り振られるものだった。嫌な職場であってもしがみつくしかなかった。国営企業や国の機関に所属せずにいれば「無職」として処罰の対象となり、食糧や住宅配給も受け取れなかったからだ。

    しかし、北朝鮮の人々は何もしてくれない国や最高指導者に忠誠を尽くすのではなく、自分がいかに豊かになるかを重要視するようになった。とりわけ、チャンマダン(市場)世代と呼ばれる若者たちにそのような傾向が強い。

    様々な形の動員で国を維持してきた北朝鮮だが、なし崩し的に進む動員力の低下に国のシステムの再構築は避けられないだろう。

    (参考記事:北朝鮮の思想教育、出席率悪すぎで関係者やきもき

  • 男性の「密かな楽しみ」が値上がりする、北朝鮮のエンタメ事情

    男性の「密かな楽しみ」が値上がりする、北朝鮮のエンタメ事情

    北朝鮮でUSBメモリが値上がりしているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮のある若者が「USBメモリの需要が非常に高く、カラの4GBのUSBメモリの値段は市場で26,000ウォン程度だ」と述べているという。北朝鮮の市場でのコメ1キロの価格がおおよそ5,000ウォン(約60円)だから、それなりに高級品といえる。さらに、コンテンツ入りのUSBメモリだとさらに価格が高くなるというが、一体どのようなコンテンツが入っているのだろうか。

    「独自撮影」で銃殺

    2000年以降、北朝鮮では韓流が密かに広まりはじめた。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    CDやDVD、ハードディスク、SDカードなどの記録メディアの発展、さらにはノートテルというポータブル再生機の普及とともに、韓流をはじめとする海外コンテンツは瞬く間に北朝鮮国内で拡散した。

    こうした状況に対し、北朝鮮当局は韓流コンテンツの摘発を担当するタスクフォース「109常務」を組織し、厳しく取り締まってきた。時には韓流の動画ファイルを保有していたという容疑だけで、女子大生を拷問し悲惨な末路に追い込んだ。

    老若男女問わず、韓国と同じ言語を使う北朝鮮で韓流コンテンツに人気が集まるのは当然といえるが、男性たちに人気があるのはやはりアダルト動画だった。

    RFAに対して、昨年韓国に入国した脱北者のある男性は、「韓流映画やドラマ、そしてアダルト映像が入っているUSBは格段に価格が高くなる。とりわけ10代の若者たちと大学生たちは、友人同士でアダルト映像をよく見る」と伝えた。

    いくら情報が厳しく統制されているといっても、また、バレたら罰を受けることを知っていようとも、やはり北朝鮮の男性もポルノを見たいという欲求は抑えられないようだ。2017年には、有名芸術団メンバーが公開処刑されたが、理由は自分たちでポルノ映像を撮影したことがバレたためという説もある。

    (参考記事:美貌の女性らが主導…北朝鮮芸術家「ポルノ撮影」事件の真相

    筆者はある脱北者の男性から次のような言葉を聞いたことがある。

    「1990年中頃、欧州から受け入れた廃棄物のなかにビデオテープがあった。もしやと思って持ち帰って再生したら案の定『洋モノ』のポルノだった。北朝鮮の男性はポルノ好きですよ(笑)」

    北朝鮮の一般家庭にもノートPCや、デスクトップPC、そして先述のノートテルが相当普及している。これらのハードのほとんどには、USBポートが設けられている。

    北朝鮮当局は一時期、USBポートを強制的に全て塞ぐよう措置を取ることを検討したとの説もあるが、全てのPCを検閲するのは事実上不可能だ。今後も韓流コンテンツをはじめとする海外コンテンツが、USBや他のデジタルメディアを介して、北朝鮮国内で拡散する現象は止まりそうもない。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

  • 北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

    北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

    北朝鮮の人々は、年がら年中、当局から組織生活や思想の総括、さらに奉仕活動に半強制的に動員されている。それは、子供たちとて例外ではない。

    (参考記事:北朝鮮企業が少女たちの「やわらかい皮膚」に目をつけた理由

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮の小学校から高校までの学生たちが「毛虫取り」をさせられているという。朝鮮労働党が、毛虫による森林被害を防止せよとの指示を出したからだ。冬休みの間も、10代の学生たちは酷寒のなかで毛虫取りに強制的に動員されているというのだ。

    RFAの平安南道(ピョンアンナムド)の消息筋によると、「学生たちは寒さにもかかわらず一日中毛虫を捕まえようと、山の中で苦しい思いをしている。一人当り、ビニール袋一杯の毛虫を捕まえなければならないノルマがあるので、学生たちは弁当まで持って山中を歩き回っている」という。

    弁当を持っていけない貧しい家庭の学生は、毛虫を捕まえたその場で倒れることもあるという。それでも学校と当局は、同情するどころか、ノルマを達成できなければ生活総和の時間に自己批判を強要するというのだ。

    冬の間の毛虫取りが終われば、北朝鮮の青少年は春に30日、夏に30日、秋に45日間、農村支援に動員される。この期間、学生たちは学校にも行かずに家族から離れて、協同農場で農作業をしなければならない。中学校3学年から大学を卒業するまでずっとだ。

    (参考記事:北朝鮮の中高生「残酷な夏休み」…少女搾取に上納金も

    このように年齢、性別限らず、北朝鮮の人々は様々な国家事業に動員されている。劣悪な労働環境のせいで、悲惨な事故も多発しているが、中高生であっても何ら補償は行われない。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    ちなみに、学生たちが毛虫取りに動員されるのは、大人たちが「堆肥戦闘」に忙しいからだという。人糞を集めて肥やしを生産する「堆肥戦闘」は、毎年1月から2月にかけて行われる。日本に在住する脱北者のSさんは、次のように語る。

    「北朝鮮で厳しい生活を体験したので、日本ではどんなことでもやってのける自信はある。しかし、堆肥戦闘だけは死んでもやりたくない」

    極限状態で生き延びた脱北者さえも嫌がるのが、人糞集めなのだ。1人あたり驚くほどの量をノルマとして課せられ、人々は正月早々、人糞を求めてさまよい歩く。人糞には値段が付き、商品として市場で取引される。人糞を巡ってブローカーが暗躍、さらにはワイロまでが飛び交う世にも奇妙な光景が現出するのだ。

    (関連記事:冬の北朝鮮で暗躍する「人糞ブローカー」登場

    大人たちは人糞集め、子どもたちは毛虫取りに強制動員。北朝鮮当局は、国民達に嫌がらせをすることばかり考えているのかと思わせる。

  • 北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、同国の朝鮮赤十字会中央委員会が「近年、遭難したわが船員たちが無事に帰国できるように数回にわたって人道的援助を提供した日本当局に当該のルートを通じて謝意を表した」と伝えた。

    実の妹の「役割」

    北朝鮮が、日本への謝意表明を国営メディアで明らかにするのは極めて異例だ。

    北朝鮮メディアのこうした変化は金正恩政権ならではのものと言える。金正恩氏は、メディア戦略に相当に力を入れている。父親の金正日総書記は、自らの「神秘性」を守ることを重視していたのか、自国メディアにおいてもあまり色々な表情を見せなかった。

    それに比べ金正恩党委員長は、自分の「ヘンな写真」までバンバン公開してしまうほど開けっ広げだ。

    (参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

    あるいは、こうしたメディア戦略には、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が関わっているかもしれない。彼女が籍を置く党宣伝扇動部は、国内メディアの指導・検閲も担当する。

    また、金正恩氏に遠慮なく何でも進言できるという彼女なら、「日本に対しても、お礼を言うべきときは言わなくちゃ」とでも提案できるかもしれない。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    日本海沿岸では近年、北朝鮮漁民と見られる遺体の漂着が後を絶たない。これについては、金正恩氏らも問題視しているふしがうかがえる。

  • かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    かつてベトナム戦争で死闘を演じていた米軍と北朝鮮空軍

    朝日新聞は3日、北朝鮮が今月末にも開かれる米朝首脳会談の場所として、米国が提案したベトナム中部のダナンで同意したと伝えた。北朝鮮と米国はかつて、ベトナム戦争で銃火を交えており、ベトナムでの首脳会談開催は歴史的に意味深なものを感じる。

    北朝鮮はベトナム戦争に空軍パイロットを派兵し、世界最強の米軍と渡り合い、一定の戦果を挙げていた。

    (参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」

    その事実は長らく秘密にされていたが、国営朝鮮中央放送は2001年7月6日、空軍パイロットがベトナム戦争に派兵されていたことを初めて報じた。

    それによると、日本の国会に当たる最高人民会議が1965年5月、「要請があれば軍を派遣する」と決定し、翌1966年、朝鮮労働党代表者会議が「血でベトナムを支援する」ための「様々な措置」を取った。当時の金日成首相(後に主席)はパイロットたちに、「ベトナムの空をわが空のように、ハノイを平壌のように思って闘え」と指示したという。

    同放送は、ベトナムに派遣されたパイロットの数は報じていないが、韓国の聯合ニュースなどの報道では約200人が参戦し、うち十数人が死亡したと見られるという。

    また、2000年3月には北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相がベトナムを訪問した際、ハノイ郊外の北朝鮮兵士の墓を非公式に訪問。金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長も2001年7月にベトナムを訪問し、この墓地を訪れた。

    ベトナムでの米朝首脳会談が実現した場合、金正恩氏がこの墓地を訪れるかどうかが気になる。

    (参考記事:北朝鮮版「ランボー」がたどった数奇な運命

    ちなみに、北朝鮮は第4次中東戦争に際しても、エジプトとシリアに空軍パイロットたちを派兵し、イスラエル空軍と戦った。

    (参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

    当時からエジプトで北朝鮮との友好協力を主導してきたムバラク元大統領は政変で失脚したが、シリアと北朝鮮の関係は今なお親密だ。

  • 美人音大生がハマる「ダンナ作業」と呼ばれるキケンな遊び

    美人音大生がハマる「ダンナ作業」と呼ばれるキケンな遊び

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(5)

    本連載の1回目でも言及したが、北朝鮮の首都・平壌では現在、若い女性たちが「ダンナ作業」――つまりは金持ち男性のスポンサー探しに精を出しているという。

    金正恩氏の「噂」

    脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏の近著『平壌資本主義百科全書』によれば、平壌の高級レストランでは髪を金色に染め、ミニスカートにブランド物で着飾った若い女性が「ダンナ作業」を行っている姿が頻繁に見られるという。同著で証言している平壌の富裕層の男性によれば、彼女らの大部分は音大生や歌手の候補生だ。

    この経歴を見て、金正恩党委員長の妻である李雪主(リ・ソルチュ)夫人を思い浮かべる人も少なくないのではないか。

    (参考記事:金正恩氏「美貌の妻」の「元カレ写真」で殺された北朝鮮の芸術家たち

    といっても、李雪主氏が「ダンナ作業」を行っていたという意味ではない。北朝鮮で名門の音大生や歌手の候補生といえば、美女の代名詞であるという程度のことである。

    この男性はまた、次のように語っている。

  • 「もしかしたら人権侵害かも…」庶民の逆襲を恐れるようになった北朝鮮の警察官

    「もしかしたら人権侵害かも…」庶民の逆襲を恐れるようになった北朝鮮の警察官

    かつて、北朝鮮では権力に逆らうことは「死」を意味した。苦難の行軍の真っ最中だった1998年、飢える労働者を救うために不正を犯した製鉄所の幹部が死刑になった。怒りに震えた多くの労働者が抗議に立ち上がったが、国から返ってきたのは真摯な対応ではなく、文字どおりの戦車による「蹂躙」だった。

    (参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

    ところが今では状況は大きく変化している。人々は「人権」という意識を持つようになり、以前ほど権力者を恐れなくなり、反抗することも増えている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    地方出身で昨年韓国にやってきた50代の脱北者の男性はRFAの取材に、保安員(警察官)は「人権がらみの問題を起こすと厄介だ」という認識を持つようになり、国民の逆襲が始まったという。

  • 金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

    金正恩氏が手を伸ばす「サウナ不倫」は危ない遊び

    北朝鮮「アブナイ男女の文化」(1)

    北朝鮮で昨年11月、軍の平壌高射砲司令部の政治委員が公開銃殺された件については、本欄でも伝えた。政治委員の罪状は朝鮮労働党に対する不服従に加え、「私生活の乱れ」というものだったという。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、政治委員の罪名のひとつである「私生活の乱れ」は、具体的には2人の愛人を囲って贅沢三昧をしていたということらしい。これに対しては軍幹部の間から、「果たして銃殺までする必要があったのか」「やりすぎじゃないのか」との声が上がっていると、RFAは伝えている。

    確かに現在の北朝鮮においては、権力者が愛人を囲うのは「当たり前」のこととなっている。

  • 北朝鮮のレイプ殺人犯、実の息子の通報で極刑に

    北朝鮮北東部の鉱山で、女性のコチェビ(ストリート・チルドレン)に性的暴行を行った上で、殺害した鉱山労働者が公開裁判で無期懲役刑に処せられた。

    現地の情報筋によると、被告は40代半ばの男性A。咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)の検徳(コムドク)鉱業連合企業所で坑長を務めていた。坑長とは、鉱山の坑道の管理責任者で、安全管理などを担っている。

    息子が目撃した犯行

    Aは非常に評判のよい人物だっただけに、地元では衝撃が広がり、彼の本性を知った地域住民は、怒りに震えている。事件の顛末は次のようなものだ。

  • 「キムチの下に少女を埋めた」レイプ殺人犯に無期懲役の判決

    コチェビの中には、生き延びるために窃盗などの犯罪に手を染め、半グレからヤクザに「成長」していく例も見られるとされる。それでも生き延びられたのなら、まだマシな人生と言えるのかもしれない。(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男

    北朝鮮では近年、国際社会の制裁のしわ寄せ生活が苦しくなっているせいか、治安の悪化が伝えられている。生活苦に追い詰められた人が犯罪に走る例がある一方で、弱い立場の人々を毒牙にかける悪人もいる。

    息子が通報

    同国の北東部、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の端川(タンチョン)市で昨年12月24日、多くの住民が見守る中で公開裁判が行われた。裁かれたのは例えば、地元の鉱山で採掘された鉛や亜鉛を密売した労働者たちで、いずれも懲役刑が言い渡された。

    この鉱山では昨年11月にも、鉱山労働者を含む30人を対象にした公開裁判が行われるなど、治安の悪化、不正行為の蔓延が顕著になっている。

    しかしこの日、裁判を見守る住民たちの関心は、ひとりの殺人犯に集中していた。

    鉱山の坑道の管理担当者だったこの男は、少女を含む3人の女性を、性的暴行を加えた末に殺害。自宅のキムチの甕(かめ)の下に遺体を埋めていた。その極悪非道な行いは2年余りにも渡ったが、実の息子の通報により逮捕されたのだ。(関連記事:北朝鮮で孤児院教師が少女17人を性的虐待、怒る市民たち「厳罰を」

    犯行が露呈するのに時間がかかったのは、男が身寄りのないコチェビ(ストリート・チルドレン)を狙ったからだ。北朝鮮当局は最近、孤児院の環境改善に力を入れているもようだが、少し前まで、その内情は劣悪そのものだった。

    施設での虐待から逃れるため、脱走を繰り返すコチェビも多くいたと言われ、そのような少年少女が犯罪者の格好の標的となってしまったのだ。

    コチェビの中には、生き延びるために窃盗などの犯罪に手を染め、半グレからヤクザに「成長」していく例も見られるとされる。それでも生き延びられたのなら、まだマシな人生と言えるのかもしれない。(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男

    前述したとおり、北朝鮮当局は最近、孤児たちの処遇改善に力を入れているとされ、一部で成果が上がっている様子も伝えられている。

  • 「愛人で処刑はやりすぎ」北朝鮮軍内で金正恩氏への不満うっ積

    「愛人で処刑はやりすぎ」北朝鮮軍内で金正恩氏への不満うっ積

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)幹部らに対する金正恩政権の無慈悲な粛清を受けて、軍内に不満が鬱積しているもようだと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    北朝鮮軍関連の消息筋はRFAに対し、「昨年11月、平壌高射砲司令部のある政治委員が、朝鮮労働党に対する不服従に加え『私生活の乱れ』をとがめられ、美林(ミリム)飛行場で銃殺される出来事があった」と語っている。

    凄惨な現場

    消息筋によれば、当局は軍の将官たちを、新年度の戦闘政治訓練会議のためとして平壌の4.25文化会館に招集。その席上、件の政治委員の罪名を発表したという。そして、将官たちをバスに分乗させて飛行場に移動、数百人が見守る前で銃殺刑を執行した。

  • 「韓国は正気なのか!?」なじられても親北に向かう文在寅政権のDNA

    「韓国は正気なのか!?」なじられても親北に向かう文在寅政権のDNA

    韓国国防省が2年に一度刊行している「国防白書」の最新版(2018年)から、「北朝鮮政権と軍は敵」という表現が削除された。北朝鮮を「敵」とする表現は1995年版で初登場し、その後は出たり消えたりを繰り返してきた。現在、韓国と北朝鮮が対話を進めていることを踏まえれば、今回の国防白書から「北朝鮮は敵」との表現が消えたのも、さほど驚くことではないかもしれない。

    とはいえやはり、朝鮮半島情勢の大きな流れを見るとき、こうした動きが北朝鮮の金正恩党委員長のリードの下に生まれているとの印象を、完全に拭うことはできない。

    北朝鮮の巧みな外交術のベースとなっているのは、徹底した「原則論」である。そして、対韓国におけるそれは、「わが民族同士」だ。米国をはじめとする外部の影響を徹底的に排除し、朝鮮半島の問題は「民族自主」の原則で解決しようというものだ。

    これはシンプルなようで、多角的な外交関係を持つ現代の民主国家には、なかなか適用しにくいものだ。韓国は米国をはじめ国際社会との協調を抜きにして、安全保障も経済も成り立たない。北朝鮮はそれを知っていて「わが民族同士」を韓国に押し付けてきたのだ。時に、韓国の姿勢が気に入らないと「お前たちは正気なのか」と上から目線でしかりつけ、ゆさぶりを強めるのである。

    (参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難

    もともと文在寅政権を支える韓国の左派は、「民族自主」のお題目に弱い。政権や与党幹部の中には学生運動時代、我が道を行く北朝鮮に憧れていた人々が数多くいる。時に、対北対応を巡って米国の「韓国パッシング」が取り沙汰されるが、その原因は文在寅政権のDNAにあるとも言えるのだ。

    (参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

    金正恩氏は今年の施政方針演説「新年の辞」においても、民族自主の原則を例年にも増して強調した。経済政策などに対する批判から支持率が低迷する文在寅政権は、ほとんど唯一の成果とも言える南北対話を、絶対に失うことが出来ない。つまりそれだけ、金正恩氏に足元を見られやすくなっているというわけだ。

    民族自主は決して悪いことではないが、あまり急激に深入りすると、国際協調に戻るのが困難になりかねない。

    果たして今の文在寅政権に、その微妙な速度調節をする心理的余裕があるだろうか。

    (参考記事:日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    

  • 【写真】文在寅批判の「美人過ぎる」野党議員…過去には「親日派」報道も

    韓国最大野党・自由韓国党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表が、文在寅大統領の「対日発言」を厳しく批判。そのことが日本でも報道されている。

    羅氏は14日に開かれた党の非常対策委員会の会合で、「日本はもっと謙虚に」などと発言した文在寅氏の年頭会見について「日本を不必要に刺激したのではないかという話がある」と指摘。「文在寅政権が、反韓感情が極度に高まっている日本をどうにもならない状況まで追い込むならば、韓国への経済的な打撃はもちろん、韓米日同盟の弱体化に対する懸念が深まるだろう」との懸念を示した。

    女性として初めて同党の院内代表となった羅氏は、韓国で長らく「美人過ぎる議員」として注目を集めてきた人物だ。

  • 女性兵士への「性上納」強要だけじゃない…北朝鮮軍の末期症状

    韓国のニュースサイト、リバティ・コリア・ポスト(LKP)によれば、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)のある部隊で1月1日、末端の兵士たちが部隊指揮官の将校たちを襲撃し、メッタ打ちにする事件が発生したという。

    北朝鮮軍ではかねてから、食糧の横流しや女性兵士に対する性上納の強要など、軍紀のびん乱が進行していた。しかしそれらでさえも、上意下達が徹底された組織内で、上官が部下に対して権威を振りかざすことで発生蔓延してきたものだ。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    兵士が指揮官に集団暴行を加えるとは、軍事組織として末期症状と言えるかもしれない。

    LKPにことの顛末を語った現地情報筋によれば、事件が起きたのは中国との国境に面した両江道(リャンガンド)に駐屯する第26国境警備旅団のある中隊だ。北朝鮮軍では12月30日、金正恩党委員長の指示により、新年の贈り物として兵士1人当たり酒1瓶、食用油250グラム、タバコ1箱、砂糖と菓子1キロ、キムチと味噌を500グラムずつ、唐辛子200グラムと餅600グラム、豆腐1丁、リンゴ2個ずつが配られた。

    日本の基準で見ると素朴なものだが、食糧横流しのせいで飢えに苦しんでいる兵士たちにとっては、目が飛び出るほどのごちそうである。もっとも、これは国家や軍が準備したものではない。駐屯地域の住民にノルマを与え、軍に「差し入れ」をさせているのだ。

    いずれにしても、ごちそうを目の前にした兵士たちは喜んだ。ところが受け取ったそばから、それらはすべて指揮官に没収されてしまった。そして元日の朝、兵士たちに出された食事は餅と豆腐のおかずが少々に、部隊に供給されたハタハタ1尾、肉の切れ端すらほとんど入っていない豚汁がすべてだった。その一方、指揮官らは朝から豚肉を肴に、酔いつぶれるまで酒を飲んでいた。

    指揮官たちが酔いつぶれると、兵士たちは連れ立って、駐屯地の外へ憂さ晴らしの酒を飲みに行った。そして駐屯地に戻ると、酔いから覚めた1人の小隊長が、無断外出をとがめて兵士たちを殴打。これで兵士らの怒りが爆発し、指揮官たちに対する集団暴行に発展したというわけだ。

    (参考記事:【スクープ撮】人質を盾に抵抗する脱北兵士、逮捕の瞬間!

    騒ぎは、駆け付けた大隊兵士らによってほどなく鎮圧された。問題は、事件の後始末をどうするかだ。ことの経緯が上層部に知れたら、処罰されるのは兵士たちだけでは済まない。贈り物は、金正恩氏の命令で配られたものだ。それを横領するのは同氏の権威を傷つけることになり、万死に値する罪となる。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    つまりは暴れた末端兵士から管理責任を問われる大隊と連隊の指揮官たちまでが、まとめて粛清される可能性があるということだ。

    そのせいか、現場では事件を部隊内部で静かに処理し、配置転換などで済ませようとする雰囲気だと情報筋は語っている。しかしそうなると、軍内の自浄作用はまったく働かない。かくして、金正恩氏の軍隊はいっそう落ちぶれていくのだ。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

  • 巨大タワマンが倒壊の危機…柱が膨張、地盤沈下も確認

    巨大タワマンが倒壊の危機…柱が膨張、地盤沈下も確認

    北朝鮮の首都・平壌の大城(テソン)区域に位置する「黎明(リョミョン)通り」のタワーマンション群は、同国最大のランドマークと言える。高さの面で言えば、日本のどのタワマンをもしのいでいるのだ。

    その一方、建築の「質」については、様々な噂がある。ただでさえ経済制裁で苦しい中、2017年の完工まで、工事期間がわずか1年しかなかったのだから無理もない。

    (参考記事:金正恩氏、日本を超えるタワーマンション建設…でもトイレ最悪で死者続出

    そしてやはりと言うべきか、最近になって重大な欠陥が見つかり、極秘裏に補強工事が行われていると韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)が伝えている。

    LKPによれば、北朝鮮の黎明通りの建設を短期間に終えることが出来た理由として、独自開発した混合剤の効果を強調しているという。「この混合剤を使えば、氷点下15℃の酷寒の中でもセメントが速やかに乾燥する」というのだ。

    ところが黎明通りのタワマンで昨年、この混合剤を使用した柱が膨張し、また地下で地盤沈下が起きていることが確認されたとのことだ。これについて、北朝鮮国内の消息筋はLKPに対し、「科学的な検証が足りない混合剤を使用したうえ、基礎工事も不十分だったようだ」と語っている。

    柱と基礎の重大な欠陥が同時に見つかるとは、まさに倒壊につながりかねない危機と言って差し支えないだろう。実際、平壌では2014年、完成したばかりのマンションが崩壊して500人が犠牲になる大惨事があった。北朝鮮当局は従来、こうした事故を徹底して隠ぺいするが、このときは犠牲者の多くが朝鮮労働党中央委員会の職員家族だったこともあって、やむをえず公表している。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

    デイリーNKジャパンは昨年10月、約2年前に脱北した元朝鮮人民軍(北朝鮮軍)兵士から話を聞くことができた。この元兵士は、黎明通りに次ぐ規模のタワマン群がある「未来科学者通り」の建設に動員された経験があるという。

    「未来科学者通りは金正恩が自ら旗を振った事業でもあり、当初は安全管理についても関係当局から厳しく指導されていました。しかし、現場に供給されているはずの資材が足りないといったことが、次第に増えました。現場の監督には、その問題を追及する権限がありません。横流しは、もっと上の方(上層部)がからんでいたのでしょう。しかも、どんどん工期が迫ってくる。セメントと砂の混合比率や鉄筋の使用量が、上層階に行くほどいい加減になっていきました。北朝鮮で地震はほとんど起きませんが、いずれ何かの拍子に、建物がぜんぶ崩壊してもおかしくありません」

    またこの元兵士によれば、現場では兵士や労働者の墜落事故が頻発したという。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    LKPによれば、黎明通りでは昨年の秋以降、極秘裏に補強工事が行われており、現場周辺には兵士が配置され、厳戒態勢が取られているという。それで問題が解決できれば何よりだろう。ただその前に、住民に「万が一」のリスクを説明しておくべきだと思うのだが。

  • 日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇

    日韓の「レーダー照射問題」が混迷の度を深めているが、こうした問題の理想的な解決策は、双方の実務者が「現場で何が起きたか」を互いに情報を出し合って事実を見極め、必要なら再発防止策を講じる――という形にあったはずだ。

    しかし、今回の問題はすでに実務レベルを飛び越えて政治問題化し、さらには世論化してしまっている。

    そうなってしまった理由を探ってみたところ、日韓の情報関係筋から次のような解説を聞いた。

  • 悪評だらけの北朝鮮テレビで「若手女子アナ」らの涙ぐましい演出

    悪評だらけの北朝鮮テレビで「若手女子アナ」らの涙ぐましい演出

    2015年に北朝鮮を訪問した日本人観光客は、北朝鮮のホテルでこのような光景を目撃した。

    ホテルの女性従業員は仕事そっちのけで、工場の女性支配人と男性技術者の禁断の恋を描いたドラマを流すテレビにかじりついていた。どうやらホテル内の有線テレビでの放映だったようで、ドラマが終わるやチャンネルは朝鮮中央テレビに変えられた。「元帥様(金正恩党委員長)がどこそこに現地指導に行った」という番組が放送されていたが、チャンネルが変わった瞬間に従業員たちは蜘蛛の子を散らすように持ち場に戻っていった。誰も見ていないテレビは消されてしまった。

    娯楽が非常に少ない北朝鮮に住む人ですら見ようとしない朝鮮中央テレビ。つまらない、くだらない、退屈、古臭いなど、悪評ばかりだったが、最近は変化の兆しも見える。

  • さすがの金正恩氏も寒すぎて中断した「超ブラック事業」

    さすがの金正恩氏も寒すぎて中断した「超ブラック事業」

    北朝鮮が国を挙げてのメガプロジェクトとして進めている両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)開発。氷点下20度を下回る極寒の中でも工事が強行されていたが、ついに一時中断が指示された。

    質を無視して無理やり工期に合わせる「速度戦」は北朝鮮の悪弊の一つで、橋梁やマンションの崩壊事故が起きるなど、悲惨な大事故につながってきた。当局は最近になって「千年責任万年保証」などのスローガンを掲げ、建設の質の向上キャンペーンを始めた。

    (参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

    また、極寒の中での工事強行で死者も発生しているが、それらを防ぐために工事を一時中止させたものと思われる。

    (参考記事:氷点下20度の野外でタダ働き、若者の命を奪う「ブラックな現場」

  • 死亡事故も続発、手抜き疑惑のマンションで再検査

    中国との国境に面する、北朝鮮・両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)に建てられたマンションを巡り、手抜き工事だとの声が上がり、入居拒否が続出したことはデイリーNKジャパンでも既報の通りだ。北朝鮮では手抜き工事による大規模な死亡事故が続発してきただけに、住民らの懸念も深刻だ。

    金正恩党委員長が旗振り役となり、三池淵(サムジヨン)開発と同時に進められている恵山の都市再開発。手抜き疑惑がそれに味噌をつけることになったが、市当局は事態の収拾に乗り出した。

    その場所は、市内中心部から北東に数キロ離れた英興洞(ヨンフンドン)だ。鴨緑江を挟んで中国の長白朝鮮族自治県と向かい合う北朝鮮のショーウィンドウ的な地域だが、対岸を訪れる内外の観光客から木造家屋が立ち並ぶ様子を写真に撮られ、「北朝鮮は貧しい」などと言われたい放題となっていた。

  • 人気沸騰、北朝鮮印の「ワケあり激安ショップ」

    人気沸騰、北朝鮮印の「ワケあり激安ショップ」

    北朝鮮と国境を接する中国遼寧省の丹東に、衣料品の激安ショップがオープンした。北朝鮮からやって来た労働者が中国で生産した製品を売っており、店員も北朝鮮人という「ワケあり」づくめの店だ。中国で見かける北朝鮮系の店と言えば美貌のウェイトレスが売りの北朝鮮レストランが定番だったが、外貨稼ぎのための新たなビジネスが始まっているようだ。

    中国のデイリーNK対北朝鮮情報筋によると、店がオープンしたのは昨年11月末のことだ。市内中心部の空き店舗と思われる物件を利用したこの店で売られているのは、ジャンパーなどの冬物衣類だ。接客に当たっているのは20代半ばに見える北朝鮮女性4〜5人である。ただ、中国語はできないようで、情報筋が声をかけても返事がなかったという。

    同店はさっそく市民の人気を集め、ダンボール箱ごと買っていく人が現れるほどだという。人気の理由は「激安価格」にある。例えば、中国のスポーツブランド「カイラス」のウィンドブレーカーは、ネットショッピングで1300元(約2万1400円)前後で販売されているが、それがたったの200元(約3300円)という安さだ。

    「安かろう悪かろう」ではなく品質もしっかりしている。ただ、多少のキズがある「ワケあり商品」だ。中国では、国内外のアパレル企業から生産を委託された工場が、製品のうちのキズモノを市場に横流しするということがよくあった。今回もそのようなケースと思われる。

    店で売られている商品の中には、韓国ブランドのものも含まれているが、これは問題になる可能性がある。韓国企業が中国企業に生産を依頼し、北朝鮮労働者の手によって生産され、韓国に輸出されている可能性を示すからだ。この中国企業が中朝合弁であった場合、依頼した韓国企業はセカンダリー・ボイコット(第三者制裁)の対象となりうる。

    韓国の北朝鮮研究者は「中国企業が単純に北朝鮮労働者を雇用しているだけなら制裁違反には問われないかもしれない」としつつも、「アパレル工場で北朝鮮労働者が受け取った賃金の一部が、忠誠の資金として北朝鮮当局に流れている可能性が高く、今後問題になる可能性はある」と指摘した。

    人手不足に悩む中国東北地方の企業は、賃金の安い北朝鮮労働者の誘致を続けている。

    労働者たちは正式なビザ、パスポートではなく、渡江証(通行証)と呼ばれる臨時のパスポートを持って中国に入国していると言われているが、中国の地方政府に黙認されているものと思われる。

  • 北朝鮮スマホ最新機種は「韓流拡散防止」装置付き

    人口約2500万人の北朝鮮で、現在使われている携帯電話の台数は、500万台(大韓貿易投資振興公社<KOTRA>の今年9月の資料)とも、600万台(IBK経済研究所のチョ・ボンヒョン副所長)とも言われている。

    スマートフォンの普及も進んでいると言われているが、デイリーNKは最近、北朝鮮製の最新型スマートフォンの入手に成功した。

    この機種は、チェコム技術合営会社が製造した「平壌2423」だ。刻印された生産日は2018年10月となっており、北朝鮮の国営メディアでもほとんど紹介されていない製品だ。同社はスマートフォン以外にもタブレットPC「平壌3404」や、MP3プレイヤー、電話機なども生産している。

    プロセッサーは、台湾のメディアテック社製のMT6737が使われている。北朝鮮製のスマートフォンとしては初めて64ビットをサポートするプロセッサーを採用した。また、OSはほぼ最新のAndroid 8.0 Oreoが採用されている。

    ゲーム購入も可能

    この機種にはWi-Fi、指紋認証、ナビ、電子書籍のリーダーなど、様々な新しい機能が搭載されている。