投稿者: DailyNK Japan

  • 北朝鮮製の薬物が韓流も汚染か…「VIPだけ使う」事情通が証言

    韓国紙・朝鮮日報系のケーブルテレビ、TV朝鮮は17日、「ニュース9」などの報道番組で、ソウル・江南(カンナム)のクラブなどで密売されている違法薬物の中で「最高級」とされているのは、北朝鮮製の薬物であると報じた。

    江南は最近、クラブ「バーニングサン」などを舞台に、多数の韓流タレントを巻き込んで、性的スキャンダルや薬物乱用の指摘に揺れている。この街を席巻しているのが、かつては日本国内にも密輸された北朝鮮製の薬物だというのだ。

    (参考記事:一家全員、女子中学校までが…北朝鮮の薬物汚染「町内会の前にキメる主婦」

    TV朝鮮は、「北朝鮮製(の薬物)は製薬会社で作られ、純度が高く、最高級とされている」としながら、関係者の次のような言葉を伝えている。

  • 北朝鮮で「性売買ビジネス」が活況…金正恩氏「指導」もゆるみ

    金正恩党委員長の号令の下、北朝鮮当局は昨年から「非社会主義現象」の取り締まりキャンペーンを大々的に繰り広げている。これは、当局が考えるところの「社会主義にそぐわない行為」を取り締まるものだが、長期に渡って続いたせいかゆるみが来ているようだ。

    取り締まりの対象となっているはずの風俗業が、ここに来て活気づいていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

    両江道(リャンガンド)の情報筋は、最近になって恵山市内にカラオケ、飲み屋、ビリヤード場、宿泊施設などが増えていると伝えた。普通の民家で看板も出さずに営まれるこれらの店。当局の目を逃れて営業しているように見えるが、実は当局の黙認の下に営まれている。おそらくカネが動いているのだろう。

    このような店では、女性奉仕員の姿が見られるという

    「カラオケや飲み屋では客に求められば若い女性奉仕員を呼んでサービスさせる。彼女らはカネさえ渡せばいかなる行為もいとわないので、これらの店での売春が社会問題になっている」(情報筋)

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    北朝鮮では、このような店ができたり潰されたりを繰り返している。

  • 「自由への逃走」に賭けて失敗した北朝鮮高官の悲惨な末路

    「自由への逃走」に賭けて失敗した北朝鮮高官の悲惨な末路

    北朝鮮の首都平壌郊外の教化所(刑務所)で、受刑者の元高官が脱走する事件が発生した。あえなく逮捕されたこの受刑者には、過酷な運命が待ち構えている。

    平安南道のデイリーNK内部情報筋によると、事件が起きたのは3月1日のことだ。首都平壌から東に20キロほど離れた江東(カンドン)郡の垈里(テリ)労働者区にある江東4号教化所に収監されていた、平壌市対外経済委員会の元副局長の男性受刑者が脱走を図った。彼は、国家財産の横領罪で労働教化刑(懲役刑)15年を宣告され受刑していた。

    情報筋は脱走の方法、動機などについては明らかにしていないが、北朝鮮の教化所で15年の刑期を満了し、五体満足で出て来られる可能性は決して高くない。受刑者はいちかばちかの賭けに出たのだろうが、逃げ出してわずか2日後に逮捕されてしまった。後述するように、当局は「見せしめ」として即刻、死刑を執行したもようだ。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    この教化所には1000人から4000人が収監されており、内部では他の教化所と同様に人権侵害が横行している。

  • 「ミサイル発射祝賀パーティ」を開く北朝鮮に中国人も困惑

    「ミサイル発射祝賀パーティ」を開く北朝鮮に中国人も困惑

    北朝鮮は今月4日、江原道(カンウォンド)の元山(ウォンサン)付近から、複数の短距離弾道ミサイルを発射した。また、9日にも平安北道(ピョンアンブクト)の亀城(クソン)付近から、弾道ミサイルとみられる2発の飛翔体を発射した。米朝間の交渉が膠着状態に陥った中でのミサイル発射に、国際社会には困惑が広がっている。

    そんなミサイル発射を祝うパーティを、中国に駐在する北朝鮮の貿易駐在員が9日夜に開いたと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。北朝鮮の置かれた立場をよくわかっているはずの彼らが、なぜそんな空気の読めない行動に出たのか。

    中国・遼寧省丹東の貿易業者は9日夜、北朝鮮の貿易駐在員から招待を受けた。単なる食事会だと思って会場に向かったこの業者は、見慣れぬ駐在員らに加え複数の中国人業者がいるのを発見した。状況が飲み込めなかった彼は、その場にいた駐在員にパーティの趣旨を尋ねた。

  • 北朝鮮で「女子高生の人身売買」が横行…制裁影響「いちばん儲かる」

    北朝鮮で「女子高生の人身売買」が横行…制裁影響「いちばん儲かる」

    北朝鮮で女性を対象とした人身売買が再び増えつつある。当局は人身売買に対して重罰で対処すると警告しているが、一向に根絶される気配がない。

    中国との国境に面した両江道(リャンガンド)の情報筋は米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、最近、若い女性や女子高生、大学生が被害者となる人身売買が増えつつあると伝えている。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    人身売買ブローカーは女性らに「中国でしばらくカネを稼げるようにしてやる」と騙して接近。中国のブローカーと結託し、売り飛ばす手口で荒稼ぎしている。ブローカーの受け取る報酬は女性1人あたり2万元(約31万9000円)から3万元(約47万8000円)。

    国際社会の制裁による不況で市場からは商人の姿が消え、不動産価格が暴落している中、これほど手堅く儲けられる仕事はそうないだろう。

    女子学生を夜道で襲って拉致するブローカーも現れ、娘を持つ親は一瞬たりとも緊張を解けないほどの状況だと情報筋は伝えた。

    (参考記事:人身売買団の餌食になった「ある少女」を待ち構える運命

    このような人身売買が北朝鮮で横行するようになったのは、今から25年ほど前だ。深刻な食糧難「苦難の行軍」で、生き残るために女性を騙して売り飛ばす輩が現れたのだ。また、家族を餓死から救うため、人身売買と知りながら売られていった女性もいると伝えられている。

    当局が人身売買犯に銃殺刑を含む極刑を下したことで、同様の犯罪は徐々に収まっていったが、RFAによれば最近になって再び増加傾向にある。当局は改めて大々的な取り締まりに乗り出したが、人身売買は秘密裏に行われている上に、被害女性も人身売買であることを否定することもあるため、摘発は容易でないもようだ。

    (参考記事:「中国人の男は一列に並んだ私たちを選んだ」北朝鮮女性、人身売買被害の証言

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の別の情報筋は、人身売買が国境に面した地域を中心に行われていることを受け、これらの地域への立ち入り制限が強化されていると伝えた。特に、他の地方の若い女性が地域に立ち入ることが普段にも増して厳しく制限されている。

    また、学校や人民班(町内会)で人身売買についての講演会を行い、注意喚起を行っている。しかし、情報筋は根絶は難しいと見ている。

    その理由について情報筋は、「人身売買が再び増えているのは、最低限の暮らしすら成り立たない人が多いということと、女性の主要な商売の場である市場の景気が後退しているためだ」と語っている。

    (参考記事:中国奥地で売られた「少女A」の前に現れた救世主

  • 北朝鮮製カツラの裏に隠された「少女搾取」ともうひとつの秘密

    北朝鮮製カツラの裏に隠された「少女搾取」ともうひとつの秘密

    中朝国境の街である遼寧省丹東市で、北朝鮮が「ツケマツゲ」や「カツラ」などで外貨稼ぎをしていると今月6日の朝日新聞が報じた。これらの手工品は制裁対象ではないため、単価が安くても北朝鮮が頼らざるをえず、輸出額も前年比の2倍に伸びているという。しかし、こうした手工品の製造過程で、深刻な人権侵害が行われている疑惑がある。

    少女たちの「やわらかい皮膚」

    北朝鮮の外貨稼ぎ会社が中国企業からの発注によってツケマツゲやカツラ、そして衣類や造花などを製造していることは、本欄でも昨年の時点で報じていた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、この会社の材料の調達先が、まさしく朝日新聞が報じた丹東市だ。

    衣類の材料である生地は国営のアパレル工場に納入されるが、造花やツケマツゲの材料は学校が密集する地域に運ばれる。その理由は、10代の学生たちを労働力としているからだ。働き口のない10代の少女たちが、成人の半分ほどの賃金でツケマツゲの製造現場で働かされているという。

    (参考記事:徹底的に奪われる少女たち…北朝鮮版「女工哀歌」の現場

  • 金正恩命令をほったらかし我先に逃げ出す北朝鮮の人々

    金正恩命令をほったらかし我先に逃げ出す北朝鮮の人々

    北朝鮮の金正恩党委員長が旗振り役となって進めている「革命の聖地」、三池淵(サムジヨン)の開発プロジェクト。国際社会の制裁で北朝鮮経済が苦境に立たされている中でも工事が進められている。

    工事は主に朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊と、突撃隊と呼ばれる半強制の建設ボランティアの手で進められているが、現場のブラックぶりが広く知れ渡るようになり、現場に行きたがらない人や、逃げ出す人が続出している。

    金正恩氏のメンツのかかった事業をサボタージュすれば、最高指導者の権威に挑戦したとみなされ、どんな目に遭わされるかわからない。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    それでも、この手の事業では過去に大量の犠牲者が出ていることもあり、「逃げるが勝ち」と考えているのかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏、日本を超えるタワーマンション建設…でもトイレ最悪で死者続出

  • 「制裁ですべてが足りない」北朝鮮国内から悲鳴…食糧危機の懸念

    「制裁ですべてが足りない」北朝鮮国内から悲鳴…食糧危機の懸念

    国連の世界食糧計画(WFP)と食糧農業機関(FAO)は3日に発表した報告書「北朝鮮の食糧安全保障評価」で、「長期間の日照りと異常高温、頻繁な洪水、農業生産に必要な要素の制限」などが原因となり、北朝鮮の昨年の農業に著しい影響が出たとしている。

    また、異常気象に加えて、国際社会の厳しい制裁により農業資材まで輸入ができなくなっていることが、北朝鮮の農業に悪影響を与えたということだ。報告書によると、肥料として使われるリン酸塩と炭酸カルシウムの昨年の供給量は、過去5年間の平均と比べてそれぞれ7割、5割減少している。

    様々な悪材料が重なり、今年の収穫はこの10年で最も少なくなり、国際社会の支援がなければ、1990年代後半に北朝鮮を襲った未曾有の食糧危機「苦難の行軍」が再び起きるのではないかという懸念が高まっている。

    (参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

    デイリーNKの取材によれば、北朝鮮の農村からは、窮状を訴える声が次々に上がっている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の中国との国境にほど近い地域に住む住民は、次のように窮状を訴える。

    「土地に栄養がないので肥料を使わなければならないのに、制裁の対象になったから大変だ」

    一時期、品薄となっていた稲の苗代を寒さから守るビニール膜は入荷するようになったが、今度は肥料が手に入らなくなったという。中国の税関が「肥料は化学物質で作ったものだ」と言って、北朝鮮への輸出を認めないのだ。つまり、制裁対象の品目ということだ。

    情報筋は具体的な肥料の種類に言及していないが、肥料の中には爆薬への転用が可能なものも存在する。ちなみに北朝鮮当局は近年、国内での爆弾テロの発生を恐れて窒素肥料の製造を制限するようになっている。

    (参考記事:1500人死傷に8千棟が吹き飛ぶ…北朝鮮「謎の大爆発」事故

    一方、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が訴えるのは、人手不足だ。

  • 韓流タレント「性犯罪スキャンダル」に北朝鮮国民も衝撃

    韓流タレント「性犯罪スキャンダル」に北朝鮮国民も衝撃

    韓国の公共放送KBSが、毎週日曜の夜に放送してきた人気バラエティ番組「1泊2日」。芸能人が韓国の各所を1泊2日で旅し、地元の人々と触れあう内容だ。

    だが、今年の3月7日を最後に放送されなくなってしまった。出演者の一人、歌手のチョン・ジュニョンが女性との性行為を隠し撮りし、ネット上に流すなどして逮捕されたためだ。

    この出来事が、北朝鮮国民にも衝撃を与えた。北朝鮮では韓流コンテンツの視聴は厳禁であり、発覚すれば拷問を受けた上に重罪に問われるが、それにもかかわらず人々は隠れて楽しむことを止めようとしない。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、デイリーNK記者との電話で「なぜ突然、『1泊2日』が放送されなくなったのかと気になっている人が多い」と述べた。

  • マンション崩壊で多数が下敷き…金正恩氏の「指示」もムダ

    マンション崩壊で多数が下敷き…金正恩氏の「指示」もムダ

    北朝鮮でまたもや建設中の建物が崩壊する事故が起き、多数の死傷者が発生した。

    平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、平壌市恩情(ウンジョン)区域の地境洞(チギョンドン)のマンション建設現場で、建物が崩れ多数の労働者が下敷きになり、3人が死亡し、多数の負傷者が発生した。

    (参考記事:金正恩氏、日本を超えるタワーマンション建設…でもトイレ最悪で死者続出

    事故の原因は、労働者が食べ物欲しさにセメントと鉄筋を売り払い、規定通りに施工しなかったことだと情報筋は指摘した。

  • 北朝鮮軍が「長期的な弱体化」を宿命付けられた決定的な理由

    北朝鮮軍が「長期的な弱体化」を宿命付けられた決定的な理由

    昨年の北朝鮮の実際の兵力規模は105万人の水準であり、韓国国防省の発表をはじめ、120万人以上とする既存の推計はやや過大評価ではないか、との指摘が専門家から出ている。

    たしかに、北朝鮮軍は最近、人口減少や兵役忌避により人員確保に苦労しているとされており、無視できない指摘と言えそうだ。(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「性上納」行為…軍では8割「経験あり」

    兵力増強は容易ならず

    韓国国防研究院のタク・ソンハン責任研究員は、4月30日発表の「北朝鮮経済レビュー」(韓国開発研究院)に寄せたレポート「北朝鮮軍の実際の兵力数推定と今後の展望」で、直近の北朝鮮の正規軍の兵力規模を104万8千人と推計した。

  • 北朝鮮「美貌のウェイトレス」たちの茫然自失の日々

    北朝鮮「美貌のウェイトレス」たちの茫然自失の日々

    北朝鮮労働者を2019年末までに帰国させることを義務付けた国連安全保障理事会の制裁決議を遵守し、ルーマニア、アラブ首長国連邦(UAE)、ナミビアなど国連加盟国は、自国内にいた北朝鮮労働者を次々に送り返している。

    アイドル並みの美貌で観光客から好評を得てきた北朝鮮レストランのウェイトレスたちをはじめ、8万人もの北朝鮮労働者を受け入れていた中国も、北朝鮮労働者の送還を進めている。(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

    遠回しに「追い出し」

    北朝鮮事情に明るいデイリーNKの中国情報筋によると、中国当局は3月初め、遼寧省丹東にいる北朝鮮労働者のビザの1回の滞在期間を1週間に制限する措置を取った。これを受け、市内の北朝鮮レストランや縫製工場で働いていた女性従業員が、3年の予定を切り上げて急遽帰国した。

  • 怨みを買って刑務所送り…北朝鮮「悪徳警察官」の悲惨な運命

    北朝鮮では、公務員のいびつな給与体系が原因となり、拝金主義がはびこっている。職場からもらえる給料だけでは生きていけないため、許認可を握っている人々は、ありとあらゆるネタでワイロをかき集めているのだ。

    中でも酷いと言われるのが、保安員(警察官)である。保安員は取り締まりの権限を振りかざし、庶民からワイロを搾り取ることを生業としている。要求に応じなければ様々な言いがかりをつけて逮捕し、刑務所送りにすることもある。また、同様のやり方で女性に性行為を強要することもあり、悪徳保安員に対する庶民の恨みは深い。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の消息筋が韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)に語ったところによれば、昨年末までの1年間で、全国の保安員(警察官)に対する殺人事件は70件を超えるという。

    (参考記事:濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    金正恩党委員長は、こうした事態を懸念してか、不正腐敗を根絶するキャンペーンを進めている。そしてその中で、ある女性保安員が摘発され実刑判決を受けたと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

  • 文在寅政権の「大いなるカン違い」を象徴する1枚の写真

    文在寅政権の「大いなるカン違い」を象徴する1枚の写真

    韓国・ソウルの外信記者クラブで3日、康京和(カン・ギョンファ)外相の記者懇談会があった。参加した記者によると、「韓国政府は北朝鮮の人権問題はどうするのか」との質問を受けた康京和氏は、次のように答えた。

    「北朝鮮の人権問題を巡る国際社会の努力については、わが政府も支持し、関与している。(しかし)政府が非核化や平和体制の(対話の)テーブルにこの事案を上げるのは適切でない。平和体制を築く過程で北朝鮮との関与が深まり、国際社会との交流や開放が拡大しながら、北朝鮮の住民の人権も好転し、いつかはこの問題を本格的に論議するときが来ると思う」

    早い話、現在の韓国政府にとって、北朝鮮の人権問題は優先順位が低いということだ。同氏は国連の人権高等弁務官事務所などでキャリアを積んだ人物でもあり、人権の重要さについては人並み以上に良くわかっているはずだ。上記の言葉は、政治家として朝鮮半島の「現実」と向き合い、敢えて冷厳な言葉を述べたものだろう。

    しかし、朝鮮半島の「現実」とは、北朝鮮当局との対話を通して見えるものがすべてではない。そのことを象徴するような場面が、記者懇談会の直後に見られた。康京和氏が会場を離れようとしたとき、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴えている市民団体と遭遇したのだ。

    (参考記事:【写真】康京和外相と市民団体「不都合な遭遇」

    報道によれば、7人中国・瀋陽市郊外の隠れ家に潜伏していたところを中国当局により逮捕された。その中には、先に脱北した両親と合流すべく国境の川を渡った、9歳の女児も含まれている。現在は北朝鮮に強制送還される危機に直面していると見られ、そうなれば拷問を含む過酷な処罰が下されるのが普通だ。

    (参考記事:9歳女児を待つ残酷な運命…北朝鮮に強制送還の危機

    2017年7月には父母と息子1人、娘2人の5人家族が脱北後に中国当局に摘発され、将来を悲観して服毒自殺する出来事もあった。

    (参考記事:金正恩氏に追い詰められ死を選んだ、ある一家の悲劇

  • 【写真】康京和外相と市民団体「不都合な遭遇」

    韓国・ソウルの外信記者クラブで3日、康京和(カン・ギョンファ)外相の記者懇談会があった。終了後、康京和氏は会場を離れる際に、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴えている市民団体と遭遇した。懇談会での質問に対し、韓国政府にとって北朝鮮の人権問題は最優先ではないと明かした直後だった。

    写真で康京和氏と向き合っているのは、「韓半島の人権と統一のための弁護士の会」に所属する弁護士だ。彼女が掲げた手書きのプラカードには「9歳の娘まで銃殺されないよう助けてください!」と書かれている。

    韓国の康京和外相と、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴える市民団体の女性(デイリーNK)
    韓国の康京和外相と、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴える市民団体の女性(デイリーNK)
  • 「食べるため」牛泥棒も…北朝鮮、経済制裁で困窮深まる

    「食べるため」牛泥棒も…北朝鮮、経済制裁で困窮深まる

    経済制裁下の北朝鮮で、困窮した労働者が工場の設備や資材を盗んで売り払い、社会問題になっている。

    朝鮮労働党平安南道委員会の会議室で幹部を対象にして行われた講演会で、道の保安局長(県警本部長に相当)が价川、徳川(トクチョン)、北倉(プクチャン)などの工場で窃盗が増加しているとして注意喚起を行った。窃盗の被害に遭っているのは、溶接棒などの設備や、銅線、動線、鉄筋、アルミ、電気ケーブル、珪素鋼板、セメント、木材など資材だ。

    1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時代には、こうした事件が頻発した。当局は公開処刑などの極刑で抑え込みを図ったが、それでも盗難の続発は収まらなかった。

    (参考記事:美女2人は「ある物」を盗み銃殺された…北朝鮮が公開処刑を再開

    庶民からすれば、飢えて死ぬのも処刑されるのも一緒、との考えだったのだろう。生き延びるため、手段を選ぶ余裕などなかったのだ。

  • 北朝鮮軍で「深刻事態」発生…新兵が次々と倒れる

    北朝鮮軍で「深刻事態」発生…新兵が次々と倒れる

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の訓練所で4月、大規模な食中毒が起きていたことが最近になってわかった。

    ただの食中毒と甘く見てはいけない。弱体化が著しい北朝鮮軍だけに、兵士らは容易に回復しないかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    デイリーNK内部情報筋によると、平安南道(ピョンアンナムド)から招募、つまり徴兵された若者が150人が、招募所(新兵訓練所)で出された食事を食べたところ、嘔吐と下痢を繰り返し、市内の病院に搬送された。病院はいずれも食中毒患者で溢れかえったという。原因について情報筋は言及していない。

  • 北朝鮮で工場閉鎖の動き…制裁で景気悪化、製品売れず

    北朝鮮で工場閉鎖の動き…制裁で景気悪化、製品売れず

    国際社会の制裁が北朝鮮の経済をじわじわと苦しめつつある。各地の国営工場がその窮状を訴えているが、政府は一切手を差し伸べようとしていない。

    平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の国営工場から助けを求める声が上がっている。平城(ピョンソン)機械工場、平城木材工場をはじめとして、文徳(ムンドク)、粛川(スクチョン)、价川(ケチョン)、平原(ピョンウォン)の鉄製日用品工場、絹織工場などが最近、の地方工業管理局に資金支援を要請した。

    これらの地域は、豊富に産出される石炭を原材料にした軽工業や流通業が盛んで、北朝鮮でもかなり裕福な地域だった。ところが、制裁で石炭が輸出できなくなり、地域経済は苦境に追い込まれ、昨年夏の時点で餓死者が発生するほどになっていた。

    (参考記事:餓死、捨て子、孤立…北朝鮮きっての「金持ち地域」が没落

    地域の軽工業の工場群は、地元の石炭と中国から輸入した原材料で製品を生産してきたが、それも制裁で輸入できなくなり、立ち行かなくなった。そこで地方政府に泣きついたが、返ってきた答えは「自力更生せよ」「艱苦奮闘せよ」というものだった。

    その一方で、地方政府の内部ではこれら工場を閉鎖することを議論しているというのだ。

    「3月中旬、道の地方工業管理局は経営危機に陥った一部の地方企業の閉鎖問題を討議した。関係者の間では『1年以内に新製品を売り出せず、経営に変化がない限りは正常化より閉鎖が現実的』との意見が飛び交っている」(情報筋)

    これらの工場で生産される製品は、質が悪く競争力がない上に、制裁で懐が冷え切った庶民は、市場に行っても食品以外のものを買う余裕がないため、製品が売れなくなってしまった。

    そのせいで、北朝鮮経済のなし崩し的な資本主義化を先導してきた市場でも、商人の数が急減する現象が現れているとされる。

    (参考記事:北朝鮮の市場に異変「商人の数が激減している」

  • 9歳女児を待つ残酷な運命…北朝鮮に強制送還の危機

    9歳女児を待つ残酷な運命…北朝鮮に強制送還の危機

    韓国の主要メディアは29日、同国外務省やNGOの北韓正義連帯などの情報に基づき、9歳の女児を含む脱北者7人が中国の公安当局に逮捕され、北朝鮮に強制送還される危機に直面していると伝えた。外務省は中国当局に対し、北朝鮮に送還しないよう要請しているが、予断を許さない状況だ。

    (関連記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    強制送還された脱北者に対しては、拷問を含む過酷な処罰が下されるのが普通だ。2017年7月には父母と息子1人、娘2人の5人家族が脱北後に中国当局に摘発され、将来を悲観して服毒自殺する出来事もあった。

    (参考記事:北朝鮮、脱北者拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も

    報道によれば、7人は今月初め、中朝国境の川・鴨緑江(アムロッカン)を越えて脱北。その後、中国・瀋陽市郊外の隠れ家に潜伏し、26日までは韓国にいる家族などと連絡を取り合っていたが、翌日午前には連絡が途絶えた。隠れ家は無人で、荷物や寝具が散乱した状態だったという。
    (参考記事:金正恩氏に追い詰められ死を選んだ、ある一家の悲劇

  • 北朝鮮の国境警備兵が赤裸々に告発「犯罪天国」の実態

    北朝鮮の国境警備兵が赤裸々に告発「犯罪天国」の実態

    普通の国では、国民がお上から何らかの不利益を被った場合、裁判所、人権擁護機関などに訴え出て、救済を求める。しかし、北朝鮮ではそれらは存在しないか、まともに機能していない。北朝鮮国民が頼れるのはコネ、カネ、あるいは「信訴」だけだ。

    「信訴」というのは、中国の「信訪」と同様に、理不尽な目に遭った国民が、そのことを政府機関に直訴するシステムで、一種の「目安箱」のようなものだ。元々は法制度の外で運用されていたものが、1998年に制定された信訴請願法で、法的根拠が与えられた。

    密輸に加担した容疑で摘発され、実刑判決を受けた北朝鮮の国境警備隊の兵士がこの「信訴」を使って密輸や人身売買など部隊の不正行為を暴露し、大騒ぎとなっていると、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    6ヶ月の刑を終えて朝鮮人民軍606号教化所(刑務所)から出所したばかりのこの兵士は、同じ中隊の軍官(将校)と上級者の不正行為を告発する信訴の手紙を上部に送った。

  • 「たわごとを言うな」金正恩氏が文在寅氏の誘いを無視した理由

    「たわごとを言うな」金正恩氏が文在寅氏の誘いを無視した理由

    北朝鮮の金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領が初の南北首脳会談を行い、「板門店(パンムンジョム)宣言」に署名してから27日で1年が過ぎた。両首脳は当時、「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現し、民族全体が繁栄と幸福を享受する新しい時代を切り開く」と高らかに宣言した。

    しかし、現在の実情はお寒い限りだ。韓国からの1周年記念行事を共同で行おうとの呼びかけに、北朝鮮は無回答を通した。それどころか、文在寅政権に対する北朝鮮の態度は冷たさと辛らつさを増してきている。

    (参考記事:「約束も礼儀もなく無責任」北朝鮮が文在寅政権を猛批判する理由

    北朝鮮が韓国に対して冷たくなったのは、ベトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談が決裂し、その後の外交戦略の練り直しのために余裕がないため――では決してない。

  • 米大学生の「歯がズレて拷問死」が金正恩氏を苦しめ続ける

    米大学生の「歯がズレて拷問死」が金正恩氏を苦しめ続ける

    米大学生のオットー・ワームビアさん(当時22)が北朝鮮で約1年半にわたり拘束され、昏睡状態で解放直後に死亡した問題が尾を引いている。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は25日、関係者の話として、北朝鮮がワームビアさんの医療費として米政府に対し、200万ドル(2億2千万円)を請求していたと伝えた。

    この一件についてワシントン・ポスト紙は「並外れた厚かましさ」だと北朝鮮を批判している。当然だろう。米ワシントンDCの連邦地方裁判所は昨年12月24日、北朝鮮に渡航後のワームビアさんの歯列が大きくズレていたことを示す写真などを根拠に、死因は拷問によるものと認定。北朝鮮に対し5億100万ドル(約552億円)の損害賠償を命じているのだ。

    (参考記事:北朝鮮が拷問か…死亡の米大学生の歯列変形。米メディアが写真公開

    この問題を巡っては、トランプ氏も自国世論の批判を浴びている。

  • 公開処刑は空から見られていた…証拠をつかまれた金正恩氏

    公開処刑は空から見られていた…証拠をつかまれた金正恩氏

    恐怖政治、再び(6)

    北朝鮮の公開処刑は、その現場が衛星写真に捉えられたことがある。

    2014年10月、平壌に近い姜健(カンゴン)総合軍官学校を撮影した民間衛星の写真を見ると、広場に何らかの物体10個が一列に並べられている。それに向かって6門のZPU-4対空機銃が並べられていて、その後ろには、射撃の様子を観察するためと見られる場所が設けられている。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

  • 金正恩氏が軍隊に「武力統一」を強調する、致命的な裏事情

    金正恩氏が軍隊に「武力統一」を強調する、致命的な裏事情

    北朝鮮の金正恩党委員長は16日、朝鮮人民軍航空・対空軍第1017軍部隊戦闘飛行士の飛行訓練を指導した。これに続き17日には、国防科学院が実施した新型戦術誘導兵器の試射を視察した。

    金正恩氏が軍事活動の視察を行うのは、実に久しぶりのことだ。2017年には弾道ミサイルの発射実験をしょっちゅう視察していた。あの頃に比べれば、北朝鮮はずいぶん静かになったものである。

    このように感じているのは、北朝鮮の兵士たちも同様だろう。米軍の軍事圧力下で弾道ミサイルの発射実験を強行する際には、相当な緊張感が伴ったはずだ。現場で重大な事故が起きた形跡も捉えられており、まさに「実戦さながら」といった雰囲気だったろう。

    (参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮 、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道

    それだけに、昨年からの対話ムードの中での気の緩みも大きいに違いない。実際、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によれば、軍の内部では将兵に対する思想教育が強化されているという。

  • 杭に縛り付けた2人を火炎放射器で灰に…金正恩時代の処刑方法

    杭に縛り付けた2人を火炎放射器で灰に…金正恩時代の処刑方法

    恐怖政治、再び(4)

    北朝鮮の歴史は粛清と処刑の歴史だ。それは金王朝の始祖・金日成主席の時代に始まり、金正日総書記の時代にも、金正恩党委員長の時代にも続いている。

    ただ、それぞれの時代ごとに少しずつ違った特徴がある。金日成氏の時代、その主な目的はソ連や中国を後ろ盾とした政敵の除去だった。

    しかし金正日氏の時代、彼の政敵となり得る存在はもはや根絶やしにされていた。それでも、金正日氏はもっぱら自らの失政から国民の目を背けるため、軍に命じて公開処刑に拍車をかけた。また時には、自らの乱れた私生活を隠ぺいするため、愛人を口封じで処刑したこともある。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    では、金正恩氏の時代に行われている公開処刑の特徴は何か。

  • 美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた

    美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた

    恐怖政治、再び(1)

    北朝鮮当局は、国際社会からの人権侵害批判を意識してか、しばらくは公開処刑を控える傾向にあった。ところが、今年2月以降に複数回の公開銃殺が執行されたと、デイリーNKの内部情報筋と米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    北朝鮮は、どうしてここへ来て公開処刑を再開したのだろうか。気になるのは、経済制裁の影響である。

    1990年代半ばからの大飢饉「苦難の行軍」の期間中に、公開処刑は激増したとの説もある。国民生活の困窮が秩序の乱れにつながり、それを当局が恐怖心で抑え込もうとしたからだと思われる。

    31歳の女性経理職員が

    北朝鮮専門のニュースサイト・NK朝鮮の2001年3月23日付の記事で、脱北男性のチョン・ナムさん(28=当時)は北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡に在住していた当時、次のような人々が公開処刑されたと証言している。ちょうど「苦難の行軍」に当たる時期である。