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  • ねらわれた9歳女児…金正恩「拷問部隊」の非道な手口

    ねらわれた9歳女児…金正恩「拷問部隊」の非道な手口

    北朝鮮と中国当局が最近、脱北者を摘発するためにスパイを活用しているとの情報が出てきた。

    米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は2日、複数の消息筋の話に基づき、中国国内に潜伏する脱北者と彼らを手引きしたブローカーを探し出すため、協力を強化していると伝えた。それによると、北朝鮮当局の指図を受けた北朝鮮人が、国境を越える人々のグループに浸透して脱北者とブローカーのネットワークを把握し、中国当局が一網打尽にする事例が増えているという。

    先月末には9歳の女児を含む7人の脱北者が中国当局に摘発されたとの情報があるが、この人々もまた、こうした方法で摘発されたらしいとのことだ。

    (参考記事:9歳女児を待つ残酷な運命…北朝鮮に強制送還の危機

    北朝鮮でこうした作戦を担当するのは、国家保衛省である。拷問や公開処刑、政治犯収容所の運営などを担当する、泣く子も黙る秘密警察である。

    国家保衛省は近年、中国に潜伏する脱北者を摘発したリ、韓国に逃れた脱北者を強制的に帰国させたりするオペレーションに血道を上げてきた。それはもちろん、金正恩党委員長の命を受けたものである。

    (参考記事:美人タレントを「全身ギプス」で固めて連れ去った金正恩氏の目的

    金正恩氏は最近、軍内での女性兵士に対する虐待を止めさせるよう指示するなど、一部の面においては人権に配慮しているかのような所も見られる。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

  • 金正恩氏「最愛の妹」身辺に異変か…「米朝決裂で問責」指摘も

    金正恩氏「最愛の妹」身辺に異変か…「米朝決裂で問責」指摘も

    北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長について、各方面で異変説が指摘されている。

    まず、米ニュースサイトのビジネスインサイダー(英字版)が2019年4月16日付で、金与正氏が北朝鮮の権力中枢から遠ざけられた可能性を指摘した。たしかに金与正氏は、4月11日の最高人民会議第14期第1回会議に代議員として参加したが、公式の場で姿が確認されたのはこれが最後だ。北朝鮮メディアが公開した政治局委員33人の団体写真にも写っておらず、故金日成主席の誕生日(4月15日)に際し、金正恩氏が幹部たちを引き連れて錦繍山太陽宮殿を参拝した際にも、その姿は見られなかった。

    彼女が今や、金正恩氏の側近中の側近であることを考えれば、不自然な出来事ではある。

    (参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ

    さらに、金正恩氏のロシア訪問に随行しなかったことが、異変説の拡散に拍車をかけた。金与正氏は過去3回の南北首脳会談や2回の米朝首脳会談では、常に金正恩氏の身近にいて補佐していたからだ。

    そもそも金与正氏は、兄の「動線」を管理しながら出世の階段を上ったとも言われている。北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返していた時期、米韓は北朝鮮指導部に対する「斬首作戦」の導入を公言していた。それでなくとも、金正恩氏には一般人と同じトイレを使うことが出来ないという状況もある。そんな条件下で金正恩氏の動きを取り仕切る事ができるのは、やはり信頼できる身内しかいなかったのかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    それを考えると、やはり彼女がロシア訪問に同行しなかった理由が気になる。実際、北朝鮮側はロシアで「儀典上のミス」を繰り返していた。たとえば25日午後、金正恩氏とロシアのプーチン大統領が初めて会った際には、金正恩氏の上着のベント部分がせり上がっていた。

    これについて、韓国紙・朝鮮日報は北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋の話として、「金正恩氏の身体に唯一触れることができる金与正氏が現場にいなかったので起こったようだ」と伝えている。そんな重要人物を外すのだから、そこにはそれなりの理由があるはずだ。

    北朝鮮専門家の間からは、彼女が党宣伝扇動部に籍を置いていることから、「対米交渉などでの宣伝戦に失敗した責任を問われたのではないか」との指摘が出ている。確かに、金正恩時代に入ってからの北朝鮮のメディア戦略は、金正日総書記の時代とは大きく異なるものになっている。そこに、最高指導者の妹として発言力があり、若さも兼ね備えた金与正氏のセンスが反映されている可能性はある。

    (参考記事:北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

    2月末にベトナム・ハノイでの2回目の朝米首脳会談が決裂するまで、北朝鮮メディアの論調にはどこか楽観的な雰囲気が漂っていただけに、金与正氏が兄や周囲から「甘かった」と指摘される余地はあるかもしれない。

    しかし果たして、金正恩氏がそうした理由をもって、金与正氏を完全に遠ざけてしまうかは疑問だ。金正恩氏が妹を相当、大事にしてきたことは、つとに知られている。大事にし過ぎて、彼女の友人を大量失踪させる事件まで起こしたことがあるほどだ。

    (参考記事:金正恩氏実妹・与正氏の同級生がナゾの集団失踪

    金与正氏の「不在」には、健康不安などほかの様々な要因も考えられる。見極めるには、もうしばらくの観察が必要と言える。

  • 北朝鮮「美貌のウェイトレス」たちの茫然自失の日々

    北朝鮮「美貌のウェイトレス」たちの茫然自失の日々

    北朝鮮労働者を2019年末までに帰国させることを義務付けた国連安全保障理事会の制裁決議を遵守し、ルーマニア、アラブ首長国連邦(UAE)、ナミビアなど国連加盟国は、自国内にいた北朝鮮労働者を次々に送り返している。

    アイドル並みの美貌で観光客から好評を得てきた北朝鮮レストランのウェイトレスたちをはじめ、8万人もの北朝鮮労働者を受け入れていた中国も、北朝鮮労働者の送還を進めている。(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

    遠回しに「追い出し」

    北朝鮮事情に明るいデイリーNKの中国情報筋によると、中国当局は3月初め、遼寧省丹東にいる北朝鮮労働者のビザの1回の滞在期間を1週間に制限する措置を取った。これを受け、市内の北朝鮮レストランや縫製工場で働いていた女性従業員が、3年の予定を切り上げて急遽帰国した。

  • 怨みを買って刑務所送り…北朝鮮「悪徳警察官」の悲惨な運命

    北朝鮮では、公務員のいびつな給与体系が原因となり、拝金主義がはびこっている。職場からもらえる給料だけでは生きていけないため、許認可を握っている人々は、ありとあらゆるネタでワイロをかき集めているのだ。

    中でも酷いと言われるのが、保安員(警察官)である。保安員は取り締まりの権限を振りかざし、庶民からワイロを搾り取ることを生業としている。要求に応じなければ様々な言いがかりをつけて逮捕し、刑務所送りにすることもある。また、同様のやり方で女性に性行為を強要することもあり、悪徳保安員に対する庶民の恨みは深い。

    (参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の消息筋が韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)に語ったところによれば、昨年末までの1年間で、全国の保安員(警察官)に対する殺人事件は70件を超えるという。

    (参考記事:濡れ衣の女性に性暴行も…悪徳警察官「報復殺人」で70人死亡

    金正恩党委員長は、こうした事態を懸念してか、不正腐敗を根絶するキャンペーンを進めている。そしてその中で、ある女性保安員が摘発され実刑判決を受けたと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

  • 北朝鮮「36人死亡」のバス大惨事、燃料節約が原因か

    北朝鮮「36人死亡」のバス大惨事、燃料節約が原因か

    先月22日に北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)で起きた交通事故は、中国人観光客ら36人が死亡する大惨事となった。事故の原因については、当時降っていた大雨の影響が指摘されているが、その一方では間接的に経済制裁が影響したのではないかとの声も上がっている。

    北朝鮮事情に精通した中国の消息筋は、中国の北朝鮮専門旅行会社の担当者の話として、事故の原因はドライバーの惰性運転と、運転ミスにあると伝えた。

    自動車を運転するときに、下り坂などでギアをニュートラルに入れ、エンジンを完全に切ると、燃料を節約できる。

  • 文在寅政権の「大いなるカン違い」を象徴する1枚の写真

    文在寅政権の「大いなるカン違い」を象徴する1枚の写真

    韓国・ソウルの外信記者クラブで3日、康京和(カン・ギョンファ)外相の記者懇談会があった。参加した記者によると、「韓国政府は北朝鮮の人権問題はどうするのか」との質問を受けた康京和氏は、次のように答えた。

    「北朝鮮の人権問題を巡る国際社会の努力については、わが政府も支持し、関与している。(しかし)政府が非核化や平和体制の(対話の)テーブルにこの事案を上げるのは適切でない。平和体制を築く過程で北朝鮮との関与が深まり、国際社会との交流や開放が拡大しながら、北朝鮮の住民の人権も好転し、いつかはこの問題を本格的に論議するときが来ると思う」

    早い話、現在の韓国政府にとって、北朝鮮の人権問題は優先順位が低いということだ。同氏は国連の人権高等弁務官事務所などでキャリアを積んだ人物でもあり、人権の重要さについては人並み以上に良くわかっているはずだ。上記の言葉は、政治家として朝鮮半島の「現実」と向き合い、敢えて冷厳な言葉を述べたものだろう。

    しかし、朝鮮半島の「現実」とは、北朝鮮当局との対話を通して見えるものがすべてではない。そのことを象徴するような場面が、記者懇談会の直後に見られた。康京和氏が会場を離れようとしたとき、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴えている市民団体と遭遇したのだ。

    (参考記事:【写真】康京和外相と市民団体「不都合な遭遇」

    報道によれば、7人中国・瀋陽市郊外の隠れ家に潜伏していたところを中国当局により逮捕された。その中には、先に脱北した両親と合流すべく国境の川を渡った、9歳の女児も含まれている。現在は北朝鮮に強制送還される危機に直面していると見られ、そうなれば拷問を含む過酷な処罰が下されるのが普通だ。

    (参考記事:9歳女児を待つ残酷な運命…北朝鮮に強制送還の危機

    2017年7月には父母と息子1人、娘2人の5人家族が脱北後に中国当局に摘発され、将来を悲観して服毒自殺する出来事もあった。

    (参考記事:金正恩氏に追い詰められ死を選んだ、ある一家の悲劇

  • 【写真】康京和外相と市民団体「不都合な遭遇」

    韓国・ソウルの外信記者クラブで3日、康京和(カン・ギョンファ)外相の記者懇談会があった。終了後、康京和氏は会場を離れる際に、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴えている市民団体と遭遇した。懇談会での質問に対し、韓国政府にとって北朝鮮の人権問題は最優先ではないと明かした直後だった。

    写真で康京和氏と向き合っているのは、「韓半島の人権と統一のための弁護士の会」に所属する弁護士だ。彼女が掲げた手書きのプラカードには「9歳の娘まで銃殺されないよう助けてください!」と書かれている。

    韓国の康京和外相と、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴える市民団体の女性(デイリーNK)
    韓国の康京和外相と、中国で逮捕された脱北者7人の救出を訴える市民団体の女性(デイリーNK)
  • 「食べるため」牛泥棒も…北朝鮮、経済制裁で困窮深まる

    「食べるため」牛泥棒も…北朝鮮、経済制裁で困窮深まる

    経済制裁下の北朝鮮で、困窮した労働者が工場の設備や資材を盗んで売り払い、社会問題になっている。

    朝鮮労働党平安南道委員会の会議室で幹部を対象にして行われた講演会で、道の保安局長(県警本部長に相当)が价川、徳川(トクチョン)、北倉(プクチャン)などの工場で窃盗が増加しているとして注意喚起を行った。窃盗の被害に遭っているのは、溶接棒などの設備や、銅線、動線、鉄筋、アルミ、電気ケーブル、珪素鋼板、セメント、木材など資材だ。

    1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時代には、こうした事件が頻発した。当局は公開処刑などの極刑で抑え込みを図ったが、それでも盗難の続発は収まらなかった。

    (参考記事:美女2人は「ある物」を盗み銃殺された…北朝鮮が公開処刑を再開

    庶民からすれば、飢えて死ぬのも処刑されるのも一緒、との考えだったのだろう。生き延びるため、手段を選ぶ余裕などなかったのだ。

  • 北朝鮮軍で「深刻事態」発生…新兵が次々と倒れる

    北朝鮮軍で「深刻事態」発生…新兵が次々と倒れる

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の訓練所で4月、大規模な食中毒が起きていたことが最近になってわかった。

    ただの食中毒と甘く見てはいけない。弱体化が著しい北朝鮮軍だけに、兵士らは容易に回復しないかもしれない。

    (参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い

    デイリーNK内部情報筋によると、平安南道(ピョンアンナムド)から招募、つまり徴兵された若者が150人が、招募所(新兵訓練所)で出された食事を食べたところ、嘔吐と下痢を繰り返し、市内の病院に搬送された。病院はいずれも食中毒患者で溢れかえったという。原因について情報筋は言及していない。

  • 北朝鮮で工場閉鎖の動き…制裁で景気悪化、製品売れず

    北朝鮮で工場閉鎖の動き…制裁で景気悪化、製品売れず

    国際社会の制裁が北朝鮮の経済をじわじわと苦しめつつある。各地の国営工場がその窮状を訴えているが、政府は一切手を差し伸べようとしていない。

    平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の国営工場から助けを求める声が上がっている。平城(ピョンソン)機械工場、平城木材工場をはじめとして、文徳(ムンドク)、粛川(スクチョン)、价川(ケチョン)、平原(ピョンウォン)の鉄製日用品工場、絹織工場などが最近、の地方工業管理局に資金支援を要請した。

    これらの地域は、豊富に産出される石炭を原材料にした軽工業や流通業が盛んで、北朝鮮でもかなり裕福な地域だった。ところが、制裁で石炭が輸出できなくなり、地域経済は苦境に追い込まれ、昨年夏の時点で餓死者が発生するほどになっていた。

    (参考記事:餓死、捨て子、孤立…北朝鮮きっての「金持ち地域」が没落

    地域の軽工業の工場群は、地元の石炭と中国から輸入した原材料で製品を生産してきたが、それも制裁で輸入できなくなり、立ち行かなくなった。そこで地方政府に泣きついたが、返ってきた答えは「自力更生せよ」「艱苦奮闘せよ」というものだった。

    その一方で、地方政府の内部ではこれら工場を閉鎖することを議論しているというのだ。

    「3月中旬、道の地方工業管理局は経営危機に陥った一部の地方企業の閉鎖問題を討議した。関係者の間では『1年以内に新製品を売り出せず、経営に変化がない限りは正常化より閉鎖が現実的』との意見が飛び交っている」(情報筋)

    これらの工場で生産される製品は、質が悪く競争力がない上に、制裁で懐が冷え切った庶民は、市場に行っても食品以外のものを買う余裕がないため、製品が売れなくなってしまった。

    そのせいで、北朝鮮経済のなし崩し的な資本主義化を先導してきた市場でも、商人の数が急減する現象が現れているとされる。

    (参考記事:北朝鮮の市場に異変「商人の数が激減している」

  • 9歳女児を待つ残酷な運命…北朝鮮に強制送還の危機

    9歳女児を待つ残酷な運命…北朝鮮に強制送還の危機

    韓国の主要メディアは29日、同国外務省やNGOの北韓正義連帯などの情報に基づき、9歳の女児を含む脱北者7人が中国の公安当局に逮捕され、北朝鮮に強制送還される危機に直面していると伝えた。外務省は中国当局に対し、北朝鮮に送還しないよう要請しているが、予断を許さない状況だ。

    (関連記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    強制送還された脱北者に対しては、拷問を含む過酷な処罰が下されるのが普通だ。2017年7月には父母と息子1人、娘2人の5人家族が脱北後に中国当局に摘発され、将来を悲観して服毒自殺する出来事もあった。

    (参考記事:北朝鮮、脱北者拘禁施設の過酷な実態…「女性収監者は裸で調査」「性暴行」「強制堕胎」も

    報道によれば、7人は今月初め、中朝国境の川・鴨緑江(アムロッカン)を越えて脱北。その後、中国・瀋陽市郊外の隠れ家に潜伏し、26日までは韓国にいる家族などと連絡を取り合っていたが、翌日午前には連絡が途絶えた。隠れ家は無人で、荷物や寝具が散乱した状態だったという。
    (参考記事:金正恩氏に追い詰められ死を選んだ、ある一家の悲劇

  • 金正恩氏が恐怖の「思想検閲」指示…米朝首脳会談の失敗で

    金正恩氏が恐怖の「思想検閲」指示…米朝首脳会談の失敗で

    北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が最近、党統一戦線部の思想検閲を実施するよう、党組織指導部に指示を下したと、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。対米・対韓国外交で所期の目的を達成できなかったことに対する批判と懲罰を通じ、統一戦線部の思想を検閲するよう命じたという。

    情報筋によれば、金正恩氏は今月10日、組織指導部に対し、直接指示を出したという。金正恩氏は、統一戦線部の幹部と実務スタッフたちが米国の戦略を見誤ったためにベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が決裂したと指摘。特に、統一戦線部と外務省が「これは私の仕事、これはあなたの仕事」という風に縦割りで動いた結果、韓国政府との対南事業でも足踏みを続けている――と問題視したとのことだ。

    北朝鮮では過去、失政が露呈するたびに、こうした検閲が繰り返されてきた。その結果、すべての責任を負わされた幹部が処刑されたこともある。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

    またそこまで行かずとも、「革命化」などの処分が下された例は枚挙に暇がない。革命化とは再教育のことだが、その内容は、いくつか講義を受ければ済むような生易しいものではない。贅沢に慣れた幹部が僻地の農村や工場に追いやられ、ボロボロになるまで重労働を強いられることもあるのだ。

    (参考記事:側近「激ヤセ写真」に見る金正恩式「再教育」の恐怖

    韓国の情報機関・国家情報院は24日、国会情報委員会に対し、これまで統一戦線部長を兼務していた金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長がその任から外れ、新たな部長にはチャン・グムチョル氏が就任したもようだと報告した。

    これらの情報がすべて事実ならば、思想検閲の件と部長交代は無関係ではなかろう。実際、チャン・グムチョル氏の党中央委員会の「部長」への就任が明らかにされたのは、10日に開かれた党中央委員会第7期第4回総会でのことだった。前述したとおり、金正恩氏が思想検閲を指示されたとされる日と、同じ日付である。

    では、統一戦線部長から外された金英哲氏は、処刑あるいは粛清されてしまうのか。「それはないだろう」というのが北朝鮮ウォッチャーの大方の見方だ。

    そもそも、統一戦線部は対韓国や対日本を専門としてきた機関であり、対米外交の担当部門ではない。それにもかかわらず金英哲氏が対米外交の前面に出たのは、マイク・ポンペオ米国務長官のカウンターパートを務める必要があったからだ。ポンペオ氏が最初に訪朝した際の肩書は中央情報局(CIA)長官だった。そのため自然と、北朝鮮の諜報工作機関である偵察総局長を歴任した金英哲氏に白羽の矢が立つ形になったのだ。

    しかし、こと対米外交については、経験も情報も人材も、統一戦線部より外務省に蓄積がある。情報筋によれば、金正恩氏は統一戦線部と外務省の「縦割り」を批判したというが、それは金英哲氏や外務省の幹部たちにとっては酷な話だ。なぜなら北朝鮮の行政機関が極端な縦割りになっているのは、独裁体制に挑戦する勢力が出てこないよう、情報と権力を最高指導者に集中させるためだからである。

    確かに、金英哲氏が金正恩氏のロシア訪問に同行しなかったばかりか、送迎の場でも姿が確認されなかった理由は気になる。それでも、同氏がただちに党副委員長から降格されたり、国務委員から外されたりするようなことはないように思える。なぜならそれをしてしまうと、金正恩氏は自ら、ハノイでの米朝首脳会談が大失敗だったことを認める形になってしまうからだ。

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

  • 北朝鮮の国境警備兵が赤裸々に告発「犯罪天国」の実態

    北朝鮮の国境警備兵が赤裸々に告発「犯罪天国」の実態

    普通の国では、国民がお上から何らかの不利益を被った場合、裁判所、人権擁護機関などに訴え出て、救済を求める。しかし、北朝鮮ではそれらは存在しないか、まともに機能していない。北朝鮮国民が頼れるのはコネ、カネ、あるいは「信訴」だけだ。

    「信訴」というのは、中国の「信訪」と同様に、理不尽な目に遭った国民が、そのことを政府機関に直訴するシステムで、一種の「目安箱」のようなものだ。元々は法制度の外で運用されていたものが、1998年に制定された信訴請願法で、法的根拠が与えられた。

    密輸に加担した容疑で摘発され、実刑判決を受けた北朝鮮の国境警備隊の兵士がこの「信訴」を使って密輸や人身売買など部隊の不正行為を暴露し、大騒ぎとなっていると、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    6ヶ月の刑を終えて朝鮮人民軍606号教化所(刑務所)から出所したばかりのこの兵士は、同じ中隊の軍官(将校)と上級者の不正行為を告発する信訴の手紙を上部に送った。

  • 「たわごとを言うな」金正恩氏が文在寅氏の誘いを無視した理由

    「たわごとを言うな」金正恩氏が文在寅氏の誘いを無視した理由

    北朝鮮の金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領が初の南北首脳会談を行い、「板門店(パンムンジョム)宣言」に署名してから27日で1年が過ぎた。両首脳は当時、「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現し、民族全体が繁栄と幸福を享受する新しい時代を切り開く」と高らかに宣言した。

    しかし、現在の実情はお寒い限りだ。韓国からの1周年記念行事を共同で行おうとの呼びかけに、北朝鮮は無回答を通した。それどころか、文在寅政権に対する北朝鮮の態度は冷たさと辛らつさを増してきている。

    (参考記事:「約束も礼儀もなく無責任」北朝鮮が文在寅政権を猛批判する理由

    北朝鮮が韓国に対して冷たくなったのは、ベトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談が決裂し、その後の外交戦略の練り直しのために余裕がないため――では決してない。

  • 米大学生の「歯がズレて拷問死」が金正恩氏を苦しめ続ける

    米大学生の「歯がズレて拷問死」が金正恩氏を苦しめ続ける

    米大学生のオットー・ワームビアさん(当時22)が北朝鮮で約1年半にわたり拘束され、昏睡状態で解放直後に死亡した問題が尾を引いている。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は25日、関係者の話として、北朝鮮がワームビアさんの医療費として米政府に対し、200万ドル(2億2千万円)を請求していたと伝えた。

    この一件についてワシントン・ポスト紙は「並外れた厚かましさ」だと北朝鮮を批判している。当然だろう。米ワシントンDCの連邦地方裁判所は昨年12月24日、北朝鮮に渡航後のワームビアさんの歯列が大きくズレていたことを示す写真などを根拠に、死因は拷問によるものと認定。北朝鮮に対し5億100万ドル(約552億円)の損害賠償を命じているのだ。

    (参考記事:北朝鮮が拷問か…死亡の米大学生の歯列変形。米メディアが写真公開

    この問題を巡っては、トランプ氏も自国世論の批判を浴びている。

  • 公開処刑は空から見られていた…証拠をつかまれた金正恩氏

    公開処刑は空から見られていた…証拠をつかまれた金正恩氏

    恐怖政治、再び(6)

    北朝鮮の公開処刑は、その現場が衛星写真に捉えられたことがある。

    2014年10月、平壌に近い姜健(カンゴン)総合軍官学校を撮影した民間衛星の写真を見ると、広場に何らかの物体10個が一列に並べられている。それに向かって6門のZPU-4対空機銃が並べられていて、その後ろには、射撃の様子を観察するためと見られる場所が設けられている。

    (参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

  • 「金正恩は最初に何人か処刑する」独特の統治ノウハウの落とし穴

    「金正恩は最初に何人か処刑する」独特の統治ノウハウの落とし穴

    恐怖政治、再び(5)

    デイリーNKの内部情報筋や米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えるところによると、北朝鮮当局は、しばらく控えていた公開処刑を今年に入り再開したものと見られる。

    これまでに処刑が伝えられているのは、薬物密売人や占い師など、いわゆる「非社会主義的行為」を行ったとみなされた人々だ。金正恩氏は、これらの行為に加え売買春、賭博、韓流コンテンツの流入・流布などを厳しく取り締まる姿勢を見せてきた。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    それにもかかわらず、こうした行為に走るのは、金正恩氏と彼が率いる体制の権威に対する挑戦と見られているのかもしれない。北朝鮮においては、これより重い罪はない。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

  • 金正恩氏が軍隊に「武力統一」を強調する、致命的な裏事情

    金正恩氏が軍隊に「武力統一」を強調する、致命的な裏事情

    北朝鮮の金正恩党委員長は16日、朝鮮人民軍航空・対空軍第1017軍部隊戦闘飛行士の飛行訓練を指導した。これに続き17日には、国防科学院が実施した新型戦術誘導兵器の試射を視察した。

    金正恩氏が軍事活動の視察を行うのは、実に久しぶりのことだ。2017年には弾道ミサイルの発射実験をしょっちゅう視察していた。あの頃に比べれば、北朝鮮はずいぶん静かになったものである。

    このように感じているのは、北朝鮮の兵士たちも同様だろう。米軍の軍事圧力下で弾道ミサイルの発射実験を強行する際には、相当な緊張感が伴ったはずだ。現場で重大な事故が起きた形跡も捉えられており、まさに「実戦さながら」といった雰囲気だったろう。

    (参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮 、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道

    それだけに、昨年からの対話ムードの中での気の緩みも大きいに違いない。実際、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によれば、軍の内部では将兵に対する思想教育が強化されているという。

  • 杭に縛り付けた2人を火炎放射器で灰に…金正恩時代の処刑方法

    杭に縛り付けた2人を火炎放射器で灰に…金正恩時代の処刑方法

    恐怖政治、再び(4)

    北朝鮮の歴史は粛清と処刑の歴史だ。それは金王朝の始祖・金日成主席の時代に始まり、金正日総書記の時代にも、金正恩党委員長の時代にも続いている。

    ただ、それぞれの時代ごとに少しずつ違った特徴がある。金日成氏の時代、その主な目的はソ連や中国を後ろ盾とした政敵の除去だった。

    しかし金正日氏の時代、彼の政敵となり得る存在はもはや根絶やしにされていた。それでも、金正日氏はもっぱら自らの失政から国民の目を背けるため、軍に命じて公開処刑に拍車をかけた。また時には、自らの乱れた私生活を隠ぺいするため、愛人を口封じで処刑したこともある。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    では、金正恩氏の時代に行われている公開処刑の特徴は何か。

  • 「報復殺人」で警察官70人死亡…秩序崩壊に向かう北朝鮮社会

    「報復殺人」で警察官70人死亡…秩序崩壊に向かう北朝鮮社会

    恐怖政治、再び(3)

    北朝鮮当局が、ひところ手控えていた公開処刑を再開している。背景として気になるのは、国際社会からの制裁によって深刻化している経済難だ。

    北朝鮮の社会主義経済システムが崩壊した1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時代、北朝鮮社会は経済難により秩序が悪化。当局はこれを恐怖で抑止すべく極刑で臨み、窃盗犯なども次々に銃殺した。

    (参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態

    では、最近の北朝鮮はどうか。内部の情報筋からは、やはり治安の悪化が伝えられている。

  • 美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた

    美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた

    恐怖政治、再び(1)

    北朝鮮当局は、国際社会からの人権侵害批判を意識してか、しばらくは公開処刑を控える傾向にあった。ところが、今年2月以降に複数回の公開銃殺が執行されたと、デイリーNKの内部情報筋と米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    北朝鮮は、どうしてここへ来て公開処刑を再開したのだろうか。気になるのは、経済制裁の影響である。

    1990年代半ばからの大飢饉「苦難の行軍」の期間中に、公開処刑は激増したとの説もある。国民生活の困窮が秩序の乱れにつながり、それを当局が恐怖心で抑え込もうとしたからだと思われる。

    31歳の女性経理職員が

    北朝鮮専門のニュースサイト・NK朝鮮の2001年3月23日付の記事で、脱北男性のチョン・ナムさん(28=当時)は北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡に在住していた当時、次のような人々が公開処刑されたと証言している。ちょうど「苦難の行軍」に当たる時期である。

  • 北朝鮮の「報道の自由度」驚きの1ランクアップ

    北朝鮮の「報道の自由度」驚きの1ランクアップ

    北朝鮮がついに最下位を脱した。

    国際NGO「国境なき記者団」(RSF)が2002年から発表している「報道の自由度ランキング」で、北朝鮮は2017年、2018年の2年連続で、調査対象の180カ国・地域中最下位の180位を記録していたが、18日に発表された2019年版のランキングで179位を記録、最下位脱出に成功した。

    しかし、評価が上がったわけではない。RSFは、北朝鮮の全体主義体制は国民を無知、つまり「由らしむべし知らしむべからず」の状態に置いているとし、携帯電話が急速に普及するもネットは遮断され、通信はほぼ完全なコントロール下に置かれており、海外の情報に接した場合は強制収容所に送られる可能性があるとするなど、評価は最低のままだ。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    北朝鮮に変わって最下位となったのは「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれるトルクメニスタンだ。北朝鮮より1ランク上の178位となったのは「アフリカの北朝鮮」と呼ばれるエリトリアで、この3カ国は最下位争いの常連メンバーだ。

  • 「人間も犬のように死ぬんだな」北朝鮮で再開された公開処刑の目撃談

    「人間も犬のように死ぬんだな」北朝鮮で再開された公開処刑の目撃談

    恐怖政治、再び(1)

    国際的な人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、全世界で公開処刑が行われているのはイラン、サウジアラビア、ソマリア、そして北朝鮮の4カ国だ。
    (参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

  • 「金正恩印」のお菓子作りに失敗した5人の悲惨な運命

    「金正恩印」のお菓子作りに失敗した5人の悲惨な運命

    平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、今月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)に合わせ、北朝鮮当局は先月末までに子どもたちに「お菓子セット」をプレゼントすることにしていた。ところが、道内の粛川(スクチョン)、文徳(ムンドク)、寧遠(ニョンウォン)など一部地域では、期日までにお菓子の生産ができなかった。

    これは、金王朝の始祖である金日成氏、そして現在の最高指導者である金正恩党委員長の権威を傷つける重大な過誤だ。北朝鮮では、万死に値する重罪である。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    朝鮮労働党平安南道委員会、人民委員会(道庁)などが検閲(査察)を行った結果、工場に電力がまともに供給されなかったことが原因と判明した。

  • 【写真】金正恩氏のヘア・スタイルの変化

    タバコを指に挟んで現地指導

    2014年4月。2年前の同時期の写真と比べると顔の太り具合だけでなく、髪型にも変化が見られる。また眉毛も短くしている。

    2014年7月28日労働新聞
    2014年7月28日労働新聞

    2014年7月。タバコを指に挟みながら朝鮮人民軍訓練を現地指導する金正恩氏。1年前の写真と比べるとその差は歴然としている。

    2014年11月28日労働新聞
    2014年11月28日労働新聞

    ヘア・スタイルにも変化が…

    2014年11月。この頃になるとこの体型で落ち着きつつある。

    2015年2月19日
    2015年2月19日

    2015年2月。ヘアスタイルにまたもや変化があった。米CNNは「角刈り風のシビアなスタイルへと一新」したと報道した。

    2015年6月9労働新聞
    2015年6月9労働新聞

    体調不安説も

    2015年6月。戦争史跡地を現地指導した金正恩氏だが、髪の毛に白髪が見られるとして韓国メディアは「体調不安説」を報じた。

    写真でわかるように3年間で、かなり肥満が高くなった金正恩氏。贅沢な食事をしていることが原因と見られがちだが、それ以外にも日頃のストレスやプレッシャーなどからくる精神的な不安定さが肥満につながっているという説もある。

  • 【写真】体重増加の金正恩氏

    体重増加は明らか

    2013年12月14日。張成沢氏の処刑を報じた翌日の労働新聞に掲載された現地指導の様子。外叔父を処刑した直後にも関わらず、笑みを浮かべている。

    2014年2月4日
    2014年2月4日

    2014年2月。児童施設を訪れ、子どもたちと戯れる金正恩氏。泣いている子どもを抱きかかえてあやしているようだ。

    2014年4月10日労働新聞
    2014年4月10日労働新聞

    (関連記事:【写真】金正恩氏のヘア・スタイルの変化