ブログ

  • 金正恩の「極秘情報」漏えいで恐怖に震える北朝鮮

    金正恩の「極秘情報」漏えいで恐怖に震える北朝鮮

    北朝鮮メディアは10月16日付で、金正恩党委員長が中朝国境にまたがる朝鮮半島の最高峰・白頭山(ペクトゥサン)に登頂したことと、その麓にある三池淵(サムジヨン)郡の再開発現場を視察したことを報じた。登頂と視察の日時は明らかにされていないが、直前の数日間の出来事と見てまず間違いない。

    北朝鮮メディアは通常、金正恩氏の地方視察などの動静について日時を明かすことはない。たまに例外もあるが、中朝国境や軍事境界線付近などに出向く際には、秘密保持の徹底に特に気を使っているようだ。

    「妻のスキャンダル」で処刑

    理由は言うまでもない、身辺の安全を図るためである。金正恩氏は普通の人と同じトイレを使えない事情もあり、代用品を持ち歩いているとの説もあるが、米国のある軍事専門家が以前、北朝鮮の核兵器開発をけん制するために「金正恩専用トイレを爆撃せよ」と提案したこともあった。

    (参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

    北朝鮮当局が金正恩氏の動静、とくに彼が直接参加する「1号行事」のスケジュールを秘密にするのは、それなりの理由があるということだ。

  • 米国が韓国に「最後通牒」…日本との安保対立めぐり

    米国が韓国に「最後通牒」…日本との安保対立めぐり

    デビッド・スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は26日、都内の在日米国大使館でメディアの取材に応じ、韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を宣言したことを巡り、文在寅政権に決定の撤回を求める考えを示した。

    米「韓国に致命的な結果」

    スティルウェル氏は同時に、「日韓双方に2国間の摩擦解消に向けて働きかける」と述べており、韓国だけを圧迫したわけではない。

    しかし、GSOMIAは11月22日いっぱいで失効する。こうしたタイムリミットがあるだけに、韓国メディアの受け止め方は深刻だ。

  • 金正恩の様子が変だ…「焦り」が「暴走」につながる恐れ

    金正恩党委員長の様子がおかしい。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は27日、金正恩氏が妙香山(ミョヒャンサン)医療器具工場を現地指導したと伝えた。金正恩氏は、同工場について一定の評価をしつつ、「一部の欠陥もある」とし、「一部建物の外壁タイル面の平坦度がよく保障されず、継ぎ目も合っていない、ある部分は壁塗りの面も均等でない」と、不満を述べた。

    金正恩氏は現地指導でたびたび不満を述べたり、時には怒りを露わにしたりする。3年前にスッポン養殖工場をした際、管理不備に激怒。支配人を銃殺させ、その視察時の動画をテレビで放映させたことがある。ただ、今回の現地指導では肯定的な評価をしている部分もあり、大事には至らないかもしれない。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導】

    気になるのは、金正恩氏が現地指導で2回連続して不満を述べていることである。朝鮮中央通信は24日に、金正恩氏が金剛山観光地区を現地指導したことを報じた。今回の現地指導と合わせて日時は不明だが、数日前と思われる。

    金剛山観光地区の現地指導で金正恩氏は、「見ただけでも気分が悪くなるごたごたした南側(韓国)の施設」と韓国側が建設した施設を罵倒し、撤去まで指示した。金剛山観光事業を南北和解の象徴にしたい韓国の文在寅大統領に対して冷や水を浴びせた形だ。

    さらに、金正恩氏は「容易く観光地を明け渡して何もせず利を得ようとした先任者らの間違った政策」「政策的指導を担当した党中央委員会の当該部署が金剛山観光地区の敷地をむやみに明け渡し(後略)」などと述べた。金剛山観光事業は、故・金正日総書記と金大中元韓国大統領との間で合意されたものだ。「先任者」「党中央委員会の当該部署」などと表現しているが、父である金正日氏の過去の政策を批判したわけで、北朝鮮の最高指導者としては異例の発言と言える。

    (参考記事:愛人女優を「ズタズタにして処刑」した父親への金正恩の反感

    金正恩氏が医療工場を現地指導した同じ日には、金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が、米国に対して対北政策の転換を求める談話を発表した。

    金正恩氏はこの数日のうちに、父の時代の政策を否定しながら韓国を罵倒し、米国に対して不満をぶつけた。米朝関係、南北関係が膠着状態に入りそうな雰囲気を見せるなか、金正恩氏は相当、苛立ちを募らせているようだ。この状態を打開できなければ、金正恩氏はまたもや北朝鮮国内で、恐怖政治の暴走を始めるかもしれない。

  • 「石炭密輸で稼いだ外貨、軍に流入」北朝鮮内部から証言

    「石炭密輸で稼いだ外貨、軍に流入」北朝鮮内部から証言

    北朝鮮が、国連安全保障理事会が主導する経済制裁をかいくぐり、石炭を密輸している状況が継続的に捕捉されている中で、当局がこうして稼いだ外貨の一部が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)に流れ込んでいるもようだとする証言が出た。

    「骨と皮だけ」女性兵士の暴走

    平壌の情報筋はデイリーNKの電話取材に対し、「国内産の石炭を積んだトラックが続々と南浦(ナムポ)港に向かっている。本来なら石炭の輸出はできないが、密輸が行われているのは事実だ」と述べた。

    情報筋はまた、「石炭は中国に行っている」とし「人民軍の被服費を調達するために、党が石炭輸出を許可した」と付け加えた。

    朝鮮人民軍は従来、各種の鉱山や炭鉱を傘下に収めて管理し、石炭や鉄鉱石、銅、ニッケル、亜鉛などの鉱物資源の輸出により巨額の外貨を稼いでいた。ところが2017年、国連安保理で対北朝鮮制裁2397号採択されたことにより、石炭の輸出が全面禁止され、北朝鮮人民軍の外貨収入が急減したことが知られている。

    北朝鮮が最近、石炭密輸で稼いだ外貨を実際に人民軍の軍服作りに当てているかは明確でないが、一定部分が軍の体制維持費に使用されているのは確かだと思われる。

    北朝鮮の内部事情に明るいある脱北者は「石炭の密輸で稼いだ外貨を人民軍の軍服作りに使うというのは名目に過ぎないはずだ。人民軍が対北制裁により、独自の外貨稼ぎをできずにいる状況であるため、軍服以外にもカネを必要としている部門はいくらでもある」と述べた。

    実際、制裁下に置かれながら、北朝鮮が何故ああも頻繁に短距離弾道ミサイルの発射実験をできるのか不思議なくらいだ。しかも旧式を消化しているわけでもなく、発射されているのはいずれも新開発のものばかりだ。

    金正恩党委員長が、少ない資源を弾道ミサイル類に集中投資する戦略を取っているのは明らかだが、密輸により得た外貨を回さない限りは不可能であると思われる。その一方、軍の末端兵士らは相変わらず、飢えや虐待に苦しんでいるもようだ。ほとんど「骨と皮」だけになった女性兵士が軍の禁忌を破り、大問題になったとの情報もある。

    (参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

    いくら新型の弾道ミサイルを揃えたところで、軍紀が崩壊してしまっては、国防は成り立たないと思うのだが。

  • 金英哲朝鮮ア太委委員長談話

    【平壌10月27日発朝鮮中央通信】朝鮮アジア太平洋平和委員会(ア太委)の金英哲委員長は27日、次のような談話を発表した。

    最近、米国がわれわれの忍耐と雅量を誤って判断して対朝鮮敵視政策にいっそうヒステリックに執着している。

    先日、第74回国連総会の第1委員会会議で米国代表は、われわれの自衛的国防力強化措置に言い掛かりをつけて米朝対話に目をつぶって臨まないだの、北朝鮮がFFVDのための新しい方法論を提示しなければならないだのという刺激的な妄言を並べ立てた。

    一方、米国は国々に国連「制裁決議」の履行をしつこく強迫しており、追随国家を押し立てて国連総会で反朝鮮決議案を通過させるために各方面から策動している。

    はては、米戦略軍司令官指名者なる者は議会上院での証言で、わが国家を「ならず者国家」と悪意に満ちて謗ったし、米軍部好戦勢力はわれわれを狙った核打撃訓練まで計画しているという。

    諸般の状況は、米国が算法転換に関するわれわれの要求に応じるどころか、以前よりも狡猾で悪らつな方法でわれわれを孤立、圧殺しようとしていることを示す。

    米国のこのような敵対行為と誤った慣行によって何度も脱線し、よじれかねなかった朝米関係がそれでも今まで維持されているのは、金正恩国務委員長とトランプ大統領の親交関係のおかげだと言うべきであろう。

    しかし、全てには限界があるものである。

    朝米両首脳の親交関係は決して民心に顔を背けることができず、朝米関係の悪化を防止し、補償するための保証ではない。

    米国が、われわれが信頼構築のために講じた重大措置を自分らの「外交的成果物」に包装して宣伝しているが、朝米関係ではいかなる実際の進展が遂げられたものがなく、今すぐにでも火と火が飛び交うかもしれない交戦関係がそのまま持続している。

    米国が自国の大統領とわが国務委員長の個人的親交関係を押し立てて時間稼ぎをし、今年の末を難なく越してみようと考えるなら、それは愚かな妄想である。

    私は永遠の敵も、永遠の友もいないという外交的名句が永遠の敵はいても、永遠の友はいないという格言に変わらないことを願う。---

  • 金正恩党委員長が妙香山医療器具工場を現地指導

    金正恩党委員長が妙香山医療器具工場を現地指導

    【平壌10月27日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党委員長で朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長、朝鮮民主主義人民共和国武力最高司令官であるわが党と国家、武力の最高指導者金正恩同志が、新たに改修している妙香山医療器具工場を現地で指導した。

    金正恩党委員長は、工場を見て回りながら改修現代化状況を具体的に調べた。

    妙香山医療器具工場の全景を眺めながら、工場の内部と外部が医療部門のモデル工場らしく整えられた、建築美学的面から見ても、技術的面から見ても非の打ちどころがない、完全にあか抜けした、工場の面ぼうが根本的に変わったと述べて喜んだ。

    工場が病院で切実に求める性能のよい各種の医療機器を大々的に生産できる先端工場に整えられたことについて高く評価した。

    金正恩委員長は、工場で生産した医療機器の試作品を一つ一つ作動させて見ながら性能を細心に調べた。

    人民の生命を保護、増進させるのに切実に必要な医療機器を多く作ることも重要だが、何よりも質的に生産すべきだと強調し、これはすなわち人民に対する観点の問題だとねんごろに述べた。

    工場で生産することになる全ての医療機器を発展した国々で生産する設備の水準で作らなければならないと述べ、最新医療機器資料を十分に研究し、わが病院の実情と患者の体質に合うように設計を立派にし、不断に革新的に更新して品質が徹底的に保証される性能が高くて実用的な医療機器を開発、生産すべきだと語った。

    金正恩委員長は、全般的に見れば工場の改修現代化工事が朝鮮労働党が構想した通りに行われているが、細部的に見れば一部の欠陥もあると述べ、建築施工を設計と工法の要求通りに質的に行っていないことについて指摘した。

    一部建物の外壁タイル面の平坦度がよく保障されず、継ぎ目も合っていない、ある部分は壁塗りの面も均等でないと述べ、仕上げ工事が繊細に出来上がっていないと述べた。

    金正恩委員長は、建設技能の高い部隊を早急に派遣してやるから彼らと共に施工過程に生じた欠点を正し、工場を年末までどこに出しても遜色のない工場、役目を果たす工場に立派に完工することについて指示した。

    朝鮮労働党中央委員会の幹部である金與正、趙甬元、リ・ジョンナム、ホン・ヨンソン、玄松月、チャン・ソンホの各氏と朝鮮労働党慈江道委員会の姜峯訓委員長、国務委員会の馬園春局長が同行した。---

    (2019.10.27)

  • 韓国マネー巡る裏切りで…北朝鮮「15才少年」の悲惨な末路

    今年9月、中朝国境地帯に住む家族3人が脱北を試みたがあえなく逮捕される事件が起きた。その背景を巡って騒動が起きていると両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    事件は、鴨緑江を挟んで中国と向かい合う両江道の恵山(ヘサン)で起きた。現地に住む3人が川を渡って中国に向かおうとしたとしたが、川岸に達する前に保衛員(秘密警察)に全員逮捕されてしまったのだ。無事だったのは、異様な空気に気づいていち早く逃走した脱北ブローカーだけだった。

    「ニオイ拷問」の恐怖

    3人のうち、1人は15歳の少年で、母親はすでに脱北している。情報筋は言及していないが、おそらく韓国に住んでいるものと思われる。

  • 愛人女優を「ズタズタにして処刑」した父親への金正恩の反感

    愛人女優を「ズタズタにして処刑」した父親への金正恩の反感

    金正日氏はかつて、愛人だった女優が別の男性との間でスキャンダルを起こすや、父である故金日成主席に自分との関係が恐れ、文字通りズタズタにして公開処刑されたと言われる。
    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信によれば、金正恩党委員長は最近、金剛山(クムガンサン)観光地区を現地指導した。先日の本欄でも言及した通り、金正恩氏はここで韓国との経済協力として進められた過去の金剛山観光事業を批判しつつ、次のように述べている。

    「容易く観光地を明け渡して何もせず利を得ようとした先任者らの間違った政策」

    「政策的指導を担当した党中央委員会の当該部署が金剛山観光地区の敷地をむやみに明け渡し(後略)」

    金剛山観光事業は2000年に、金正恩氏の父である故金正日総書記と金大中元韓国大統領との間で行われた史上初の南北首脳会談で合意された。「先任者」「党中央委員会の当該部署」という表現ではあるものの、金正日氏が進めた政策を否定したものといえる。北朝鮮の最高指導者が先代の政策を批判するのは稀だが、実は、まったく初めてのことでもない。

  • 米国が文在寅政権に「異例の圧迫」…失政のツケは国民に

    韓国と米国が2020年以降の在韓米軍の駐留経費負担の規模を決める2回目の協議が23日午前(日本時間24日早朝)から、米ハワイ州ホノルルで2日間にわたり行われた。

    米国はこれに先立ち、韓国の防衛にかかる費用が年間48億ドル(約5215億円)にのぼると文在寅政権に伝え、韓国側の大幅な負担増額を求めている。2019年の韓国側の負担額は1兆389億ウォン(962億円)だから、48億ドルはその5倍以上だ。

    「敵性国」向けの表現

    トランプ政権の内部やその周辺にも、同盟国に対するこうした態度を批判する向きは少なくないとされる。韓国が同政権の圧力から自分の身を守るには、そのようは世論の支援を受けることが不可欠と言える。

  • 食事抜きで「淫らな行為」強要…北朝鮮女性の人身売買被害

    トランプ米大統領は今月18日、北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。理由は、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないためだ。

    これは米国務省が毎年定期的に行っている人身売買国指定に沿ったものだが、韓国紙・朝鮮日報は次のような見方を示している。

    「今回は今月初めにスウェーデンで行われた米朝実務協議の決裂が影響したとの見方も出ている。米国は北朝鮮に対して交渉再開を促す一方、北朝鮮のアキレス腱(けん)とも言える人権問題で圧力を加える『ツートラック』戦略を維持していることが分かる」

    そうでなくとも、主として中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、米国内でも年々、問題視する傾向が強まっている。

    これに対し北朝鮮は、朝鮮労働党機関紙・労働新聞などを通じ、「言いがかりだ」と強く反発している。昨年の指定に対して出された同紙の論評は「米国の今回の挑発行為は、朝鮮の尊厳あるイメージをどうしてでもダウンさせ、制裁・圧迫の雰囲気をより鼓吹してみようとするものだ」と主張した。

    しかし、北朝鮮女性の人身売買が横行しているのは、あまりに明白な事実だ。北朝鮮国内での人権侵害については、同国政府が許可しないため国内での調査が難しいが、こちらの問題は現地からの情報も積み上がっている。北朝鮮から中国に逃げ出した脱北女性が、人身売買の犠牲となりセックスワークや「アダルトビデオチャット」を強いられる事例が多数報告されているのだ。

    米ニューヨーク・タイムズは13日、中国で脱北した北朝鮮の女性たちが望まないセックスワークを強要され苦しんでいる実態を報じた。彼女たちには一定額のノルマが与えられ、それを達成しない限り、食事も取られず体調が悪くてもPCの前で、淫らな行為を行わなければならないと明かす。顧客の大半は同じ言語を使う韓国人男性だという。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    朝鮮日報によれば、韓国ある元外交官は、米国の今回の措置について次のように解説したという。

    「米国による今回の決定は、オリンピックの南北共催など北朝鮮関連事業にばかり力を入れる韓国政府に対し『軽々しく南北協力をするな』というメッセージを間接的に伝えたものだ」

    米国の意図がどういったものであれ、人身売買の被害に遭っている北朝鮮女性を救うために、国際社会は何らかの措置を取るべきだ。米国は中国にもっと圧力をかけることが出来るだろうし、韓国政府がこうしたビデオチャットへの自国内からの接続を遮断することは、ごく簡単なことだろうから。

  • 「金正恩の首都」に銃声を響かせた兵士の悲惨な運命

    「金正恩の首都」に銃声を響かせた兵士の悲惨な運命

    朝鮮人民軍(北朝鮮軍)には警務隊と呼ばれる組織がある。兵士や軍関係者の犯罪を取り締まる権限を持つ、憲兵隊とよく似たものだ。独自の哨所(検問所)を各地に設置、人や物資の出入りを監視しているが、その権限を利用して通行料、つまりワイロを要求したり、横暴に振る舞うなど、とかく評判が悪い。それだけに、時には報復に遭うこともある。

    (参考記事:【北朝鮮軍での思い出】特殊部隊偵察兵、憲兵をボコボコにする(上)

    そして最近、そんな警務隊の鼻っ柱がへし折られる事件が起きたと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    事件が起きたのは、郊外の勝湖(スンホ)区域にある警務隊哨所でのことだ。平壌での建設事業を担っている人民軍7総局護送部隊の兵士が運転していたトラックが、停止命令を無視して通過しようとした。警務員(憲兵)はトラックを追跡し、運転していた兵士に銃撃を加えた。弾は兵士のふくらはぎを貫通。緊急手術を受け、兵士は幸いにも一命をとりとめた。

    この兵士は、入隊してから間もない新兵で、上官の頼みを受けてタバコなどの生活必需品を買うためにトラックに乗って部隊の外に出た。「警務隊の取り締まりにひっかかるな」との指示を受けていて、それに忠実に従ったようだ。どうやらこの外出は、軍規に反する行為だったのだろう。

    ところが、負傷した兵士の親から「戦時でもないのに、同じ立場の兵士を銃撃するなんてひどすぎる」とのクレームがついた。また、7総局も警務隊に抗議した。

    兵士に銃撃を加えた警務員とその上官は、保衛司令部に呼び出され取り調べを受けることになってしまった。

    ここで問題とされているのは、神聖なる革命の首都・平壌に銃声を鳴り響かせてしまったことだ。平壌の安寧は、最高指導者の権威に直結するものと言え、それを乱せば重罪に問われかねない。また、同じ軍の兵士を銃撃したことも、軍規に違反する行為であるとのことだ。そのせいで2人には、重い処罰が下されると予想されている。

    (参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

    元々、新兵に生活必需品のおつかいを頼んだ上官に根本的な責任があり、警務官の停止命令を違反した新兵にも責任の一端があるはずだが、なぜか責任を問われたのは、警務官とその上官だけだ。

    考えられるのは、撃たれた新兵の親は党や政府の高級幹部か、あるいはそんな人たちとの強力なコネを持つ人物ではないかということだ。法の下の平等より、カネとコネが物を言う今の北朝鮮を表した事件と言えよう。警務隊の鼻っ柱がへし折られたことで、警務隊にいじめられていた多くの兵士は喜んでいるだろうが。

    (参考記事:「量刑はワイロで決まる」北朝鮮の常識

  • 「金正恩は賢くない」北朝鮮、今どきの若者のホンネとタテマエ

    「金正恩は賢くない」北朝鮮、今どきの若者のホンネとタテマエ

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は今年8月28日、「頼もしい青年大軍を持っているわが祖国の行く先は果てしなく洋々としている」という題名の社説を掲載した。

    当日の青年節を祝うこの社説の主張を一言で要約すると、「金正恩党委員長と体制を守り、国を発展させるのは若者の役目だ」ということだが、当の若者は冷めきっている。

    配給制度が完全に崩壊した後の北朝鮮で生まれ育ち、国家や金正恩党委員長のことを「ありがたい」と思わず、社会のことより個人の生活を大切にする若者らは「チャンマダン(市場)世代」と呼ばれている。

    表向きは国や金正恩氏に忠誠を誓っているように見えても、その実は面従腹背だ。

    (参考記事:「尊敬しろ」と強要され逆に金正恩氏を嫌悪…北朝鮮「いまどきの若者」事情

    デイリーNKは、平安南道(ピョンアンナムド)のある人民委員会(市役所)の幹部とのインタビューを行い、若者の現状について詳しく聞いた。

    それによると、若者の最大の関心は「いかにしてカネを稼ぐか」にある。エリートの条件である朝鮮労働党への入党、社会的地位の向上のためにもカネが必要であり、党や指導者への忠誠心は二の次三の次だということだ。

    ー市場を統制しない今の指導者(金正恩氏)が若者の間から良い評価を受けているという話があるが?

    「人それぞれだが、指導者に対する評価はさほど高くない。(配給、福祉などで)最高指導者(金正恩氏)の世話になっている人は多くない。良い評価をしているとしても、(その理由は必ずしも)市場を統制しないからというわけではない。市場を統制すればもちろん不満が増えるが、統制しないからと喜んでいるわけではない。忠誠度が高いからではなく、生き抜くために他に選択肢がない」

    ー市場経済化を推し進めていることは、若者の忠誠度に肯定的な影響を与えている?

    「市場経済化と忠誠度は関係ないと思う。ただ、カネを稼げるところが市場で、カネを稼いで軍隊に行けば入党させてくれてそれなりのポストも得られる(と考えているに過ぎない)」

    ー最近、一部の国営事業所がまともに稼働していないと聞いているが、そんな状況で国営事業所に通う青年層の忠誠心が維持できるのか?

    「忠誠心はうわべで語るもので、心の底から忠誠を尽くしている人はあまり見かけない。(忠誠心があるふりを)うまくやっている連中もポストを狙ってのことだ。党に入って大学も出てようやくいいポストに就けるからだ。体制のことを考えているのではなく、どうやって食べていくかの心配をする若者の方がずっと多い」

    ー個人企業所に就職して働く若者もいるというが、彼らはどうか?

    「配給をふんだんにくれる会社に入ると喜ぶには喜ぶが、配給よりはカネが優先だ。カネさえあれば会社からあまり配給がもらえなくても、良い暮らしができる。配給を手厚くする社長よりも、休みと給料をたくさんくれて儲けさせてくれる社長の方が好かれる」

    ー金正恩氏の対する青年層の認識は?

    「そんなに人気があるわけではない。大抵が『賢くないデブ』と考えている。ちゃんとした考えがないから太ったのだと言っている」

    ー金正恩氏の業績についての宣伝が以前と比べて冷静になったとの話もあるが?

    「私には、さほど大きな変化があるように思えない。偉大性宣伝はあいかわらずだ」

    ー政権についた当初は「3歳のときに銃を撃って、5歳のときに漢詩を詠んだ」などと宣伝していた。

    「見ていないから信じない。金正日時代には『金日成主席は松かさで銃弾を作った』と言われていたが、『銃弾を作る技があるなら、なぜコメは作れないのか』『大抵の才能は生まれつき備わっていると言っているくせして、なぜ人民を食わせる才能はないのか』などと言われた。今ではそんな作り話を聞いても『へえ』としか思わず信じる人はいない。そんな宣伝をしている人も、話しながら気まずそうにしている」

    (参考記事:金正恩氏が自分の「ヘンな写真」をバンバン公開する理由が判明した

    ー金正恩氏は「現実を美化するな」と指示し、誇張された宣伝をするなとも言っているが

    「やめろと言われて、やめられるものではない。偉大性宣伝をしなければ、党の宣伝煽動部の仕事がなくなる」

    ー若者は組織生活によく参加する?

    「自主的にはしない。ただし、参加しなければ批判されるので参加はする」

    ー金日成ー金正日主義青年同盟は党の「後備隊」の役割をよく果たしている?

    「役割を果たしているとまでは言えないが、それが青年同盟の当然すべきことだと思う。ただし、最近の若者の中では党員にはなろうとしても、後備隊に甘んじようとする人はあまりいない」

    (参考記事:北朝鮮で超人気の就職先。理由は「銃殺されないから」

  • 「見ただけでも気分が悪い」金正恩氏、またも文在寅政権に痛撃

    北朝鮮の金正恩党委員長が、韓国の文在寅大統領が提唱する南北経済協力に対してダメ出しをした。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は23日、金正恩氏が金剛山観光地区を現地指導したと報じた。金剛山観光事業は、開成工業団地とともに南北経済協力の象徴とされていたが、2008年に韓国人観光客が北朝鮮兵士に射殺される事件が起きて以来、10年以上中断されている。

    昨年9月に行われた南北首脳会談では、金剛山観光事業の再開が合意されている。文在寅氏は南北融和の象徴として早期の事業再開の意思を度々示している。しかし、金正恩氏は「見ただけでも気分が悪くなるごたごたした南側(韓国)の施設」と韓国側が建設した施設を罵倒。さらに、南北関係の象徴ではないとしながら撤収まで指示した。文在寅氏が切実に望む南北協力事業に対する拒否といえるだろう。

    10年以上も稼働していないとはいえ、数百億円の投資をした韓国からすれば極めて無礼な言い草だろう。確かに金正恩体制は韓国の文化に対して厳しい見方をしてきた。例えば、密かに出回っている韓流ビデオを厳しく取り締まっている。時には韓流の動画ファイルを保有していたという容疑だけで、女子大生を拷問し悲惨な末路に追い込んだ。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    興味深いのは金正恩氏の非難が韓国だけでなく、北朝鮮側、つまり内側にも向けられていることだ。金正恩氏は「容易く観光地を明け渡して何もせず利を得ようとした先任者らの間違った政策」「政策的指導を担当した党中央委員会の当該部署が金剛山観光地区の敷地をむやみに明け渡し(後略)」などと述べた。

    金剛山観光事業は2000年に、金正日氏と金大中元韓国大統領との間で行われた史上初の南北首脳会談で合意された。「先任者」「党中央委員会の当該部署」という表現ではあるものの、金正日氏が進めた政策を否定したものといえる。北朝鮮の最高指導者がここまで露骨に過去の政策を非難するのは極めて稀なことだが、それだけ金正恩氏は父の過去の政策、とりわけ負の遺産に不満をもっているのかもしれない。

    金剛山観光事業に限らず、金正恩氏は南北経済協力などの約束を履行せず、米韓合同軍事演習を続ける文在寅政権への非難の声を日増しに強めている。それだけ文氏に対する苛立ちが大きいといえるが、こうした非難に対して何も言い返せず、対処も出来ない文氏を、金正恩氏はもはや見切りつつあるのではなかろうか。

  • 自国経済の現場を破壊する北朝鮮版「紅衛兵」たち

    自国経済の現場を破壊する北朝鮮版「紅衛兵」たち

    北朝鮮の金正恩党委員長の亡父・金正日氏は朝鮮労働党書紀だった1970年代前半、「3大革命赤旗獲得運動」なるものを提唱した。思想、技術、文化の「3大革命運動」を浸透させるために、大学卒業を控えた学生と金日成高級党学校の学生、大学を卒業したばかりの技術者や事務員などの若者が、「3大革命小組」として全土の機関、企業所、協同農場などに数人から数十人単位で送り込まれた。彼らは北朝鮮版の紅衛兵とも呼ばれた。

    彼らは党の決めた政策に反する活動を摘発し、国のすべての組織を朝鮮労働党の指導の下に組み込んでいったが、現実に合わないやり方を現場に強いたり、技術者を責め立てて現場から追放、虚偽報告やワイロが蔓延るなどの著しい弊害を生んだことで、徐々に下火になっていった。

    ところが、金正恩氏が政権の座についてから、再び同様の運動が行われるようになり、現場との軋轢を生んでいると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

    (参考記事:北朝鮮で「3大革命赤旗獲得運動先駆者大会」が開幕

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、昨年、朝鮮労働党から3大革命小組員らが清津(チョンジン)の金策(キムチェク)製鉄連合企業所に送り込まれた。技術革新運動を繰り広げるのが目的だ。その結果として、鋼鉄生産の心臓部とも言うべき新しい酸素分離機と溶鉱炉が完成した。

    情報筋は詳細に触れていないが、完成したのはおそらく「チュチェ(主体)鉄生産システムの完成において重要な意義を持つ酸素熱法溶鉱炉の統合オートメ化システムと真空精錬炉コンピュータ制御システムの開発」というものだろう。

    チュチェ鉄とは、燃料(コークス)が少なくても生産できる鉄鋼だが、技術的には失敗したと言われているが、自力更生の象徴として持ち上げられ、研究者は様々な賞を受賞している。

    (参考記事:北朝鮮「2018年国家最優秀科学者・技術者」を発表

    現場に派遣された3大革命小組員らは、この技術を技術革新の成果として上部に報告した。ところが、完成から1年も経たずに酸素分離機と溶鉱炉の内壁に問題が生じ、生産が止まってしまったのだ。

    詳細は不明だが、小組員らが「企業所の経営を党の原則に基づいて指導する」として、現場の技術者の意見を無視して推し進めたことが原因のようだ。

    補修工事を進めるにあたって、現場の幹部は、その場しのぎではなく、耐火れんがを国から供給してもらい、溶鉱炉を元通りにしなければ、鉄鋼生産を続けられないと現実に即した提案をした。ところが、小組員らは「敗北主義に浸っている」として、中央党(朝鮮労働党中央委員会)の3大革命小組事業部に報告し、提案した幹部らが批判を浴びるはめになっている。

    国に耐火れんがの供給を求めれば、炉に問題が生じたことがバレてしまい、小組員らが責任を取らされかねない。また、そんな技術指導を行った小組員らのメンツも潰れる。そういう理由で、現実的な提案をした幹部が批判されるように仕向けたもようだ。

    製鉄所の各部署に派遣された小組員らは「党から派遣された前衛闘士」だと名分を掲げ、生産活動に大して様々な指摘を行うが、それに意見する幹部や現場の労働者は監視対象に分類し、党の指導に歯向かっているという資料を集めた上で上部に報告する。そのせいで更迭される幹部も現れており、幹部らは3大革命小組のことを「特殊保衛部(秘密警察)」だと非難している。

    デイリーNKは昨年、この製鉄所からある技術者が追放されたと報じたが、彼も3大革命小組の犠牲になったのかもしれない。

    (参考記事:世渡り下手な北朝鮮技術者、全責任を負わされ追放の憂き目に

    咸鏡南道(ハムギョンナムド)の別の情報筋によると、1970年代の3大革命赤旗獲得運動の当時に、数多くの現場の幹部や労働者が更迭されたことから、各現場は3大革命小組に対して極度の不信感を持っている。

    「3大革命小組員らは、新世紀の産業革命の斥候兵として工場、企業所の技術革新運動を党の思想のとおりに指導せよという任務を受け、工場、企業所の実務に干渉しており、工場の幹部の間では『工場をまともに運営するにはまず3大革命小組からなくすべき』との声が上がっている」(情報筋)

    各工場、企業所、協同農場の労働党書紀は、それぞれを指導監督する立場にあるが、組織の弱体化によりかつてのような威光を失っている。それを取り戻す一環として、3大革命赤旗獲得運動のリバイバルが行われているわけだが、現場の技術や経験を無視して、技術的裏付けのない要求を押し付け、それに歯向かえばクビにするというやり方では、党の統制力の強化には成功したとしても、生産力のアップには繋がらないだろう。

    (参考記事:「性上納してでも入りたい」は過去の話…朝鮮労働党の没落

  • 「敵性国に使う言葉」で抗議…米国が文在寅政権に激怒か

    「敵性国に使う言葉」で抗議…米国が文在寅政権に激怒か

    韓国・ソウルで18日、親北朝鮮派の韓国人学生ら17人が駐韓米大使公邸の敷地内に侵入する事件が発生した。学生らは全員が警察によって逮捕されるまで、1時間以上にわたりハリー・ハリス米大使の帰国を求めるデモを繰り広げた。当時、ハリス氏と家族は不在だった。

    韓国の警察当局によれば、学生らは「韓国大学生進歩連合(以下、大進連)」のメンバー。侵入した男女17人のほか、敷地外でこれをほう助した男性2人の計19人を共同住居侵入、「集会および示威に関する法律」違反などにより現行犯逮捕したという。

    大進連は最近、北朝鮮の金正恩党委員長を称賛する大会をソウルで開いている。今回の侵入の動機については、米国政府が在韓米軍の駐留経費の負担額を増やすよう韓国政府に要求しているためと説明しているもようだ。

    この事件を受け、在韓国米国大使館は同日、「大韓民国が、全ての駐韓外交公館を保護するための努力を強化することを強く促す(We urge the ROK to strengthen its efforts to protect all diplomatic missions to the Republic of Korea)」との声明を出した。

    これについて韓国紙・朝鮮日報(日本語版)は19日付で、次のように伝えた。

    〈外国公館が接受国の政府に向けて、何らかの措置を「強く促す」というのは、外交的には極めて強い表現だ。元外交官は「urgeという表現は通常、敵性国に使うもので、同盟の間ではあまり使わない」と語った。〉

    ソウルの米大使公邸には昨年9月にも、中国朝鮮族の女性が夜10時ごろ大使公邸に無断侵入する出来事があったというから、米国側の怒りは理解できる。しかしだからと言って、敵性国に用いる言葉が出てくるものだろうか。

    韓国では朴槿恵政権下の2015年3月、マーク・リッパート駐韓米国大使(当時)が刃物を持った反米運動家に襲撃され、頬を深く切りつけられる事件があった。後に弾劾により崩壊することになる朴槿恵政権の内実がどのようなものであったにせよ、少なくとも対米関係は良好で、対北朝鮮でも問題なく共同歩調が取れていた。

    それを反映し、韓国の大衆はリッパート氏の快復を祈るメッセージを(いささか過剰なまでに)積極的に送り、親韓家として知られる同氏はこれに笑顔で応えた。

    当時と現在の雰囲気の落差は、間違いなく、米韓両政権の不信感の深さが背景にある。

    (参考記事:「何故あんなことを言うのか」文在寅発言に米高官が不快感

    チョ・グク前法相の辞任などで窮地に追い込まれた文在寅政権は、米国が北朝鮮との経済協力を認めないことで、膠着した南北対話を打開できないことへの不満が大きいと見られる。

    しかし現実は、米国との強固なパートナーシップなくして、南北対話を前進させることはかなわないことを物語っている。こういうときこそ、余計なアクシデントは絶対に起こしてはならないものなのだが、起きてはならない事件が起きてしまったと言えるだろう。

  • 「公開銃殺」でも効果なし…北朝鮮が情報流出防止に苦慮

    北朝鮮当局が頻繁に行っている政治講演会。金正恩党委員長や朝鮮労働党が示した政策、それを達成するに当たってすべきこと、その他の様々な問題を庶民に伝える思想教育の場だ。

    だが、居眠りしたり、ワイロを払って代返を頼んだりする人が人が続出する。代わり映えのない中身で、時間の無駄だと考えられているからだ。

    (参考記事:北朝鮮の思想教育、出席率悪すぎで関係者やきもき

    その場で配られるのは、講演内容をまとめたレジュメの講演提綱だ。今までは紙に印刷したものを配布していたが、最近では様子が変わりつつあると、北朝鮮事情に明るいデイリーNKの情報筋が伝えてきた。

    最近行われた講演会では、講演提綱のファイルが保存されたUSBメモリを担当者が持参し、パソコンに差し込んでファイルの中身を参加者に見せる方式が取られた。情報筋が説明した理由は次のようなものだ。

    「かつて、講演提綱は紙で配られていたので外部に流出する事件が多かったので、このようにしたようだ。紙を配ると参加者が携帯電話で隠し撮りして外部に送ってしまうので、USBメモリに保存する形にした」

    講演提綱には、当局が国内外の状況をどのように捉えているか、国内でどのような出来事が起きているかなどが、詳しく書かれている。例えば、米朝間の対話が進んでいる状況でも、講演提綱には「米国を信じてはいけない」「核開発を進める」などと書いてある、といった具合だ。

    これが海外に知られると当局としては都合が悪い。だから講演提綱は決して漏れてはならないものなのだが、頻繁に流出してしまう。北朝鮮当局の意図が外部にだだ漏れになってしまうことから、当局は対策に苦心してきた。

    (参考記事:北朝鮮、国内向け思想教育で「核大国」を強調…内部資料を入手

    講演内容を書き留めることを禁止する措置も取ってみたが、これではせっかく話した内容を覚えて帰ってもらえない。

    (参考記事:北朝鮮「思想教育講演会の内容をノートに取るな!」と指示したワケ

    お決まりの「公開銃殺」を含めた厳罰で対処してみたものの、一向に減る気配がない。ちょっとしたものでも高値で売れるからだろう。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    講演提綱は輸送が面倒だという理由もある。講演提綱は、中央党(朝鮮労働党中央委員会)の宣伝煽動部や、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総政治局が印刷して、各地に配布するが、輸送の過程で破損、盗難が起こりうる。

    今年7月、平壌市内の路上で、人民内務軍(民兵組織)8総局所属の兵士が持っていた講演提綱が、別の部隊の兵士に破られる事件が起きている。そこで、当局は紙の講演提綱は管理が面倒なので、USBメモリが良いと判断したようだ。

    ただ、紙からUSBメモリへの全面的な切り替えが行われているわけではない。それは、USBメモリも紙同様に流出する可能性があるからだ。

    実際、ある幹部の子どもが、講演提綱の保存されたUSBメモリに映画のデータを保存して友人に渡したが、それが複数の人の手を経て、他に流出してしまう事件が発生している。

    この事件のせいで当局者の間では『USBメモリの方が紙より流出しやすい』との話が出ており、内部資料を意図的に流出しようとしなくても、事故で流出してしまうことが多いとの懸念が示されたのだという。

    講演提綱は講演会終了後、講演会が開かれた単位(職場)の政治部や宣伝部で保管し、数カ月後に当局が回収することになっている。

    そもそも、USBメモリは、北朝鮮では固く禁じられている韓流ドラマ、映画の流通、視聴に広く使われている。小さくて取り締まりを受けても隠すことが容易だからだ。逆に言うと、内部情報を国外に持ち出すにも適しているということだ。

    (参考記事:メガヒット韓流映画「神と共に」を見た北朝鮮軍兵士が懲役刑

    前述したとおり、講演提綱の流出は携帯電話によって行われるが、それならばなぜ政治講演会に携帯電話の持ち込みを禁止しないのだろうか。

  • 「韓国に致命的な結果もたらす」対日問題で米の警告に韓国動揺か

    韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は18日の国政監査で、韓国政府が終了(破棄)を宣言した日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、「それもひとつの(安全保障のための)手段であるため、役立つ部分は明確にある」とし、「まだ機会は残っていると思われる」と述べた。

    これを受けて聯合ニュースは、「日本との交渉次第では、決定を撤回する可能性があることを示唆したものと受け止められる」と伝えた。同協定は11月23日午前0時をもって失効することになっているが、それまでは撤回の余地が残されている。

    韓国政府がGSOMIAの破棄を決定したのはそもそも、徴用工問題と絡み韓国に対する輸出規制措置を発動した日本をけん制するためだ。だから、日韓関係が何らかの形で改善すれば、決定が撤回される可能性は当初からあった。

    しかし日本政府は、輸出規制措置などで折れる姿勢をいっさい見せていない。ならば韓国側としても、破棄の撤回を積極的に示唆する状況ではないはずだが、別の部分で何らかの変化があったのだろうか。

    まず考えられるのは、米国からの圧力だ。この間、米国政府は韓国のGSOMIA破棄決定に対し、日本よりもよほど敏感な反応を見せてきた。それもそうだろう。日韓のGSOMIAは北朝鮮だけでなく、中国やロシアを念頭に置いた弾道ミサイル防衛を米国が構築する上で、なくてはならないものだからだ。

    それを知ってか知らずか、韓国政府は日本への当てつけとしてGSOMIA破棄を決め、米国の逆鱗に触れてしまった。たとえば、外交問題評議会(CFR)シニア・フェローで知韓派としても知られるスコット・スナイダー氏は米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対し、「GSOMIAは韓国と日本の2国間関係だけでなく、米国を含む3者の協力とも密接に関係しているだけに、これを解体しようとする行動は、韓国に致命的な結果をもたらす」と指摘している。

    文在寅政権が、こうした米国からの度重なる警告に、動揺を募らせてきた可能性は低くない。この問題以外にも、同政権と米トランプ政権との間では不協和音が響き続けており、同盟の行く末を憂慮する声は韓国政府内にも少なくないはずだ。

    (参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く

    実際、韓国政府の中でも国防省や国家情報院では当初から、GSOMIAは日韓対立と切り離して維持すべきだとの声が強かったとの話がある。それを、大統領と青瓦台(大統領府)が押し切ったというのである。

    だが、チョ・グク前法相の辞任などで、大統領と青瓦台は大きな打撃を受けた。もしかしたら青瓦台のパワー低下が、GSOMIA維持を望む「現実派」の発言力を強めているのかもしれない。

  • 北朝鮮「アフリカ豚コレラ検疫所」が風俗業に変身した理由

    韓国で猛威を振っている家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」(日本で発生している「豚コレラ」とは別のもの)。北朝鮮に面した地域で既に14例の感染が報告されている。また、この地域で見つかった野生のイノシシからアフリカ豚コレラのウイルスが発見されたことから、韓国軍はイノシシ駆除に乗り出している。

    確認はされていないが、ウイルスは中国から北朝鮮を経て、イノシシが媒介となり韓国で広がっているものと思われる。

    (参考記事:韓国でアフリカ豚コレラ発生の裏で、北朝鮮では山羊が大量死

    一方の北朝鮮。首都・平壌に病原菌が侵入することを防ぐ行政機関が、あろうことか風俗業に乗り出していたことが発覚、摘発されたと、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

    摘発されたのは、自動車衛生管理所だ。地方と首都・平壌を結ぶ道の途中に検問所を設置し、病原菌が平壌に持ち込まれるのを防ぐ役割をする一種の検疫所だ。同時に、汚れた車両が平壌に入り、美観を乱すことも防ぐ役割を果たしている。

    検問所では、トラックの検疫と同時に、洗車を行っているが、その費用は車両1台あたり4ドル(約430円)だ。ところが、1円でも節約したいトラックドライバーは、平壌に入る前に車を停めて洗車してから検問所を通過するようになった。困ったのは自動車衛生管理所だ。

    北朝鮮当局は、多くの機関に対して運営予算を交付せず、各機関が自力で予算を調達することを求めている。そればかりか、年間に一定額以上の上納金を納めることを要求している。当局が自動車衛生管理所に納めるよう指示したのは、年間2000ドル(約21万7000円)。

    困った自動車衛生管理所の所長が考え出した商売が売春だったというわけだ。若い女性を雇入れ、検問所を通過するトラックドライバーに声をかけて、20ドル(約2170円)から30ドル(約3250円)を受け取って売春行為を行っていた。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    ちなみに、平壌郊外にある間里(カルリ)駅の周辺には、数多くの売春宿が立ち並んでいるが、これは市内中心部とは異なり、取り締まりがゆるいことを利用したものだ。自動車衛生管理所も立地条件は似通っている。

    (参考記事:風俗街へと変貌を遂げた「金正恩の都」の北の玄関口

    自動車衛生管理所の売上がいかほどだったか、情報筋は言及していないが、やがて市民の間で「あそこは売春をしているらしい」との噂が広がったことを考えると、相当儲かっていたのだろう。

    ところがどういうわけか、保安署(警察署)はそんな噂を聞きつけても、なかなか動こうとしなかったという。市民の間で悪い評判がさらに広がったことで、ようやく地元の党委員会が検閲(監査)を行った。所長は自己批判書を書かされたらしいが、それ以上の処罰を受けたかどうかは確認されていない。

    郊外とは言え、平壌でイリーガルなビジネスを行うには、それなりの財力とコネが必要だ。この所長もおそらく、高官とのコネを使って、もみ消しを図ったものと思われるが、詳しいことは今のところわかっていない。

  • ある「美人女子大生」が金正恩に宛てた遺書の壮絶な中身

    ある「美人女子大生」が金正恩に宛てた遺書の壮絶な中身

    韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)によれば、北朝鮮の首都・平壌で8月中旬、21歳の女子大生が投身自殺する事件があったという。そしてその女子大生は自ら死を選択するに当たり、金正恩党委員長に宛てた手紙形式の遺書を書いていたという。

    平壌で貿易業に従事するLKPの消息筋によれば、この女性は、張鉄久(チャン・チョルグ)平壌商業総合大学の学生だったという。同大学は、レストランやホテルなど観光分野で働く人材の養成機関だ。卒業後は外国人が利用する高級ホテルなどに配属され、中国などの北朝鮮レストランで働く美人ウェイトレスたちも、多くがここの卒業生だ。

    そのため北朝鮮女性の間で非常に人気が高い大学であり、この女子大生も「才色兼備」の人材であったと想像できる。LKPの消息筋によれば、彼女の父親は軍の護衛司令部勤務だったというから、まさにエリート家庭だ。

    しかし、今回は父親の経歴が悲劇の発端になったようだ。

  • 炭鉱の浸水事故で北朝鮮に広がる負の悪循環

    北朝鮮の大規模炭鉱の一つ、安州(アンジュ)炭鉱連合企業所。1911年から操業が始まり、近辺の价川(ケチョン)、徳川(トクチョン)、球場(クジャン)などと共に炭田地帯を形成している。生産した石炭を中国に輸出し外貨を稼ぎ出すと同時に、周囲の工場や発電所にも供給し、北朝鮮の経済を支えてきた重要なエネルギー源だ。

    ところが、この安州炭鉱に属する一部の炭鉱の操業が1ヶ月以上も止まっている。ただでさえ、国際社会の経済制裁で青息吐息の北朝鮮内部で、その悪影響がドミノ倒しのように広がっている。

    平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、操業停止の理由は坑道の浸水によるもので、西湖(ソホ)、汰香(テヒャン)などの海に近い炭鉱ほど被害が著しいとのことだ。1ヶ月以上も操業ができないのは、1990年代後半のの大飢饉「苦難の行軍」の時以来、初めてだという。

    (参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

    情報筋は事故の原因に言及してないものの、おそらく最近、北朝鮮を立て続けに襲った台風によるものだろう。

    (参考記事:「ある母子の貧しさゆえの悲劇」台風18号、北朝鮮でも洪水被害

    北朝鮮の炭鉱は流刑地を兼ねるほど環境が劣悪で、事故が度々起きている。この炭鉱では2009年2月、崩落事故が発生し、労働者29人が閉じ込められたが、7日後に無事救出されたと労働新聞が報じている。

    そのため、炭鉱では事故に備えて揚水機、発電機などの設備を備えている。また、当局も普段の操業や事故発生時の対処のため、炭鉱への電力供給を優先的に行っている。ところが、昨今の電力不足でそれすらも円滑に行われなくなっているというのだ。

    (参考記事:北朝鮮の若者を飲み込む「1カ月に1000人死亡」の恐怖スポット

    今回、浸水被害を受けた安州炭鉱で生産された褐炭は、近隣の清川江(チョンチョンガン)発電所に供給されていたが、それが止まってしまった。発電所は、价川炭鉱から石炭を入手しているが、それだけでは足りずに電力生産に支障をきたしてしまっている。そのせいで、安州炭鉱に電力が供給されず、揚水機が使えないという悪循環を生み出している。

    石炭と電力の供給不足は、肥料を生産している南興(ナムン)青年化学連合企業所にも影響を与えている。肥料の充分な生産ができないとなれば、来年の農業にも悪影響が広がる。

    (参考記事:ないないづくしで田植えを迎える北朝鮮の協同農場

    平壌から幹部が派遣されたものの、浸水が深刻な状況になっており、このまま廃坑にされる可能性が浮上しているという。

    炭鉱で電気技術者として勤務した経験を持つ脱北者は「坑道が浸水すればすぐに排水しなければならないが、浸水がかなり進んだ状況では廃坑の手続きを踏むのが一般的」と証言した。莫大な量の水を排水するのは困難を極め、石炭が濡れてしまっては商品価値が落ちてしまうというのがその理由だ。

    元々、この炭鉱では2万人の労働者が働いていたが、国連安全保障理事会の制裁決議で石炭の輸出が禁止されたことで生産量が減少、多くの労働者がヤマを去ったという。

    情報筋によると残っているのは5000人程度で、人口の急減で周辺の商店から活気が失われるなど、地域経済にも深刻な打撃となっている。そこに加えて今回の浸水事故。北朝鮮経済全体に与える影響は計り知れないだろう。

    (参考記事:餓死、捨て子、孤立…北朝鮮きっての「金持ち地域」が没落

  • 金正恩氏が中国人相手の「客引き」で食指を伸ばす禁じ手

    金正恩氏が中国人相手の「客引き」で食指を伸ばす禁じ手

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は16日、金正恩党委員長が両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)郡内の再開発現場を視察したと伝えた。

    同通信によれば、来年の朝鮮労働党創建75周年(10月10日)の完工を目指して進められている三池淵の再開発は、第2段階工事が終わりつつある。金正恩氏は、「三池淵郡整備の2段階工事が全般的に立派に締めくくられていると述べ、三池淵郡の邑地区は見るほど壮観だ、文字通り大変革を遂げたと感慨無量に語った」という。

    なるほど、同通信が同時に配信した写真を見ると、市街地は少なくとも立派な外観を備えている。

    三池淵郡は北朝鮮で「革命の聖地」として知られるとともに、風光明媚な景勝地でもある。これを再開発し、全国の郡を再開発する上でのモデルにしようというのが金正恩氏が自ら明らかにした計画だ。

    とはいえ、単に街を作り直したところで、それだけで何らかの経済効果があるわけではない。国内での移動が厳しく制限されている北朝鮮では、富裕層が三池淵に別荘やセカンドハウスを購入し、自由に遊びに来られるわけでもない。

    しかも、三池淵郡は北朝鮮の最高峰・白頭山(ペクトゥサン)を擁する高原地帯だ。厳冬期の気温はマイナス30℃を下回る。よほどの物好きでもなければ、冬場にここで過ごそうとは思わないのではないか。

    もちろん、他の場所では味わえない、「三池淵だけの魅力」があるならば、外国人観光客を呼び寄せることも可能だろう。観光それ自体は、国連安全保障理事会の制裁決議の対象にもなっていない。

    となると、朝鮮半島で「民族の霊山」とされる白頭山は大きなセールスポイントになる。訪れてみたいと考える韓国人は少なくないはずだ。問題は、韓国国民が北朝鮮を訪れるためには、自国政府に申請するなど煩雑な手続きがあることだ。これを今、韓国政府がいきなり緩和したら、北朝鮮を支援するための「制裁破り」と見なされるだろう。

    となると当面は、三池淵から距離的にも近い中国からの観光客誘致が有力だ。しかしそれにしても、三池淵にもう少し「特徴」あるいは「面白さ」がなければ観光客は呼べない。

    北朝鮮当局は最近、中国との国境都市である新義州(シニジュ)にカジノホテルを建設しようとして、とん挫した経緯がある。自国民がギャンブル中毒などの被害を受けることを懸念した中国当局が、クレームをつけたためだという。だが正直なところ、カジノを中心とした歓楽街でも出来なければ、三池淵の観光客誘致が大きな成功を生むとは思えない。事実、カジノが中国人観光客を引き付けていた経済特区の羅先(ラソン)では、外国人客相手の売春を始め、様々な「ビジネス」が発達した。

    (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

    金正恩氏は風紀取り締まりに力を入れてきたが、長引く制裁で背に腹は代えられぬとなれば、カジノにせよ歓楽街にせよ、何らかの「禁じ手」を使う可能性はないとは言えないだろう。

  • 「韓国のGSOMIA破棄は北朝鮮と関係ある」元米軍司令官が指摘

    「韓国のGSOMIA破棄は北朝鮮と関係ある」元米軍司令官が指摘

    韓国紙・朝鮮日報によれは、ソウルで15日、「韓米同盟、このままでよいのか」をテーマとするセミナーが開かれた。この席でビンセント・ブルックス元韓米連合司令官は「北朝鮮が『自主』の概念を強調し、韓米同盟を弱体化させるのを阻止すべきだ」と呼び掛けたという。

    米国の強烈な不満

    昨今、韓国の左派世論は「反日」により席巻されているが、彼らの思想の土台にはもともと、より強烈な「反米自主」の意識があった。歴代の保守政権は米国に従属しており、韓国は米国の半植民地であるとの見方をしていたからだ。

    筆者が過去形で述べているのは、近年になってからは運動圏出身の政治家たちの間でも、さすがにこのような発言は見られなくなったからだ。時を経ながら、彼らの米国に対する認識にも変化が起きたのかもしれない。

    それでもホンネの部分、深層心理の部分ではわからない。

    「反米自主」の意識が、韓国の左翼政治家たちの意識にDNAのように組み込まれているとすれば、それは容易になくならないだろう。そしてそれは、北朝鮮からの「民族自主」の呼びかけに敏感に反応してしまう。

    ブルックス氏が懸念を表したのは、まさにこのことだ。同氏はセミナーで、「北朝鮮が『米国から独立的になれ』と韓国に圧力を加える意図を持っていることを懸念している」「私はGSOMIA(韓日軍事情報包括保護協定)もこれと関係があると信じている」などと語り、韓国政府がGSOMIAの破棄を宣言した背景にも、北朝鮮からの影響があったとの見方を示したという。

    これは、ブルックス氏ひとりだけの考えではあるまい。米国の政界や軍関係者の間で広く共有されているのではないか。だとすれば米国にとって、日韓のGSOMIA終了は、北朝鮮に対するひとつの深刻な敗北だと映っている可能性がある。

    ただ、GSOMIAは来月22日までは有効であり、それまでに韓国政府が判断を変えれば、延長されることもあり得る。米国はこれまでにも、韓国政府に対して強烈な不満を表明してきているが、GSOMIA延長を求める働きかけを、今後ますます強める可能性がある。

    (参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く

  • 白馬に乗った金正恩「満面の笑み」が誘う不吉な予感

    白馬に乗った金正恩「満面の笑み」が誘う不吉な予感

    北朝鮮の金正恩党委員長が、久しぶりに「彼らしい」写真を公開した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は16日、金正恩氏が白馬にまたがって白頭山頂に登った様子を報じた。写真を見るに、金正恩氏はすこぶる満足した表情を見せているが、「不吉な予感」も覚える。

    金正恩氏は、最高指導者になって以後、公式メディアにひんぱんに登場してきた。あまり人前に出ずミステリアスなイメージを保っていた金正日氏と比べて、金正恩氏は積極的に自分の存在をアピールしてきた。父親への対抗意識なのかもしれないが、ときにはカメラが回っているのも構わず、怒り狂った様子を見せている。「たとえ幹部であろうとミスを許さず、刃向かうことは許さない」という意図を見せつけるためだろう。

    (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導】

    2017年1月には金正恩氏の「ファースト写真集」まで発刊された。金正恩氏を神格化する狙いもあると思われるが、何よりも金正恩氏の自尊心の強さの表れだろう。今回、発表された写真からも金正恩氏の自尊心、もっといえば「派手好き」「目立ちたがり屋」な性格が見受けられる。

    北朝鮮の正史によると、白頭山は金日成主席率いる抗日パルチザンの本拠地であり、金正日総書記が生まれた「聖地」とされている。金正日氏は、実際は旧ソ連(現、ロシア)で生まれた。祖父と父、そして国家そのものにとって聖地である白頭山をわざわざ白馬に乗って登頂する行為もさることながら、その様子を記録して写真で公開すること自体が実に金正恩氏らしい。おそらく、動画でもこの様子は記録されており、遠からず朝鮮中央テレビで公開されることになるだろう。

    果たして、白馬の白頭山登頂は単なる金正恩氏の自己満足なのか、それとも政治的な意図が込められているのか。金正恩氏は「白頭山登頂」に併せて、再開発が進められている麓の三池淵郡を視察している。三池淵郡は白頭山と合わせて「革命の聖地」であると同時に、金正恩体制にとって意味深な場所でもある。

    金正恩氏は2013年、実質的なナンバー2として権勢を振るっていた叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を粛清・処刑した。実は、その直前に三池淵郡を訪れ、張氏の処刑を決意したと言われているのだ。張氏を処刑後、金正恩氏による恐怖政治は猛威を振るい、多くの有力者が表舞台から消え去った。

    米朝、中朝、南北関係が比較的落ち着いているせいか、金正恩氏の恐怖政治はここ2,3年はそれほど目立たない。しかし対外関係の膠着状態が続けば、またもや恐怖政治が復活してもおかしくはない。今回の視察に同行せずに平壌に残った側近たちは今頃、白馬に乗った金正恩氏の満面の笑みに戦々恐々としているかもしれない。

  • 朝鮮がアクロバット体操女子2人造形で金メダル アジア選手権大会

    【平壌10月15日発朝鮮中央通信】朝鮮のチョン・グムファ、ロ・ヘソンが、第11回アジア・アクロバット体操選手権大会女子2人造形で第1位をして大会4連勝を果たした。

    一方、チョ・グムチョン、ヨ・オクリョンはミックス2人造形で銀メダルを授かった。

    10日から12日までウズベキスタンで行われた今大会には、朝鮮、中国、インドなど複数の国・地域の男女選手120人余りが参加した。

    選手たちが15日、帰国した。---

  • 台風の現場で労働者を殺した「金正恩命令」の矛盾点

    台風の現場で労働者を殺した「金正恩命令」の矛盾点

    北朝鮮当局が進めている元山(ウォンサン)―咸興(ハムン)高速道路の建設現場で多くの人命被害が発生していと、韓国のリバティ・コリア・ポスト(LKP)が伝えた。建設現場には刑犯罪者が送られる「労働鍛練隊」の受刑者が大量に動員されており、今年7~9月の3カ月だけで31人が犠牲になったという。

    LKPに情報提供した北朝鮮国内の消息筋は「この数字は高速道路建設に動員された労働鍛練隊だけのもので、軍や道の都市建設事業所から動員された人々の犠牲者数も加えると、はるかに多い」と語っている。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

    死因としては、事故と栄養失調が多いという。

    LKPの消息筋は、「犠牲者のうち7人は、台風18号(レンレン)が襲来した最中で作業に動員され事故死した」と伝えている。だが、「レンレン」の名称が与えられたのは、9月上旬に北朝鮮を襲った台風13号だ。一方、台風18号 の名称は「ミートク」で、今月2日の午後9時過ぎ、韓国南西部に上陸し、南部内陸を縦断して翌朝6時に日本海に向けた。

    時期的な面などから見て、LKPの消息筋が言及したのは台風13号の方だろう。

    それにしても、仮にLKPの報道が正しいとすれば、北朝鮮当局による受刑者に対する人権侵害の酷さに改めて驚かざるを得ない。

    北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会は台風13号の上陸を目前に控えた9月6日午前、非常拡大会議を緊急招集し、国家的な非常災害防止対策を討議。この場で金正恩氏党委員長は、「自然災害によって招かれる破局的な結果を最小限に食い止めて人民の生命・財産と安全を徹底的に守り、国の天然資源と革命の獲得物を守るための緊急対策が必要である」と述べている。

    北朝鮮において最高指導者の指示は、どんな法律にも優先して守られるべきものとされている。ということは、彼が「人民の生命」を守れと命じた以上、そのための対策は徹底されねばならず、台風の中で労働者を建設現場に投入するなど考えらえないことだ。

    ただ、金正恩氏は「革命の獲得物(成果)」も守るよう指示している。つまり北朝鮮当局は、高速道路の建設計画がダメージを受けないよう、危険を知りつつ敢えて「罪人」たちを台風で荒れ狂う建設現場に投入したのではなかろうか。核実験場での作業に政治犯収容所の受刑者たちが動員されているとの情報を踏まえると、このように考えざるを得ない。

    金正恩氏は時々、人命尊重を心がけているかのような行動を取る。台風に備えて対策会議を開き、その事実を公開するやり方も祖父や父の代では見られなかったものだ。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

    しかし北朝鮮の体制は、人民の命を犠牲にしてでも、いわゆる「革命」を守るべきとする体質が根深い。金正恩氏が本当に人命を尊重しているなら、人命が「最優先」であることを明らかにし、「革命の獲得物」をそこに従属させるよう命じるべきなのだ。それが無い限り、金正恩氏の言う人命尊重には、深刻な矛盾がつきまとうのである。

  • 衰弱・文在寅政権に金正恩氏が見舞う「トドメ」の一撃

    衰弱・文在寅政権に金正恩氏が見舞う「トドメ」の一撃

    北朝鮮・平壌の金日成競技場で15日午後5時半から、2022年サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会アジア2次予選の北朝鮮―韓国戦が行われる。韓国のサッカー男子代表の平壌遠征は1990年⑩月の親善試合以来、29年ぶりとなる。

    しかし、サッカー韓国代表戦の名物とも言える熱狂的な応援団「レッド・デビル」の北朝鮮訪問は認められず、韓国へのテレビ中継も行われない。

    大韓サッカー協会はアジアサッカー連盟(AFC)を通じて、記者団と応援団の派遣、テレビ中継を認めるよう要請した。しかし、北朝鮮側からの回答は、選手団を除く人員の入国許可はサッカー協会が決められないとのものだった。韓国政府も北朝鮮側に応援団やテレビ中継などを打診したが、北朝鮮は最後までこれを「黙殺」したもようだ。

    2月下旬のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が決裂して以降、北朝鮮は韓国の文在寅政権を突き放しており、W杯予選までもがそのあおりを食った形だ。民間交流案件までがこのように扱われるのだから、北朝鮮の「韓国はずし」は実に徹底している。

    側近であるチョ・グク法相の辞任で窮地に追いやられた文在寅政権は、看板政策である南北対話がこの有様であることに、いっそう危機感を深めているはずだ。

    先日の米朝実務協議で北朝鮮の非核化に向けた進展があれば、米国の了解の下に北朝鮮がのぞむ南北経済協力に踏み出し、現状を打開したいとの思いが文在寅政権にはあった。それがかなわなかった以上、文在寅政権が能動的に動ける機会はしばらく訪れそうにない。

    ただ北朝鮮は、文在寅政権を非難しながらも、その政敵である野党・自由韓国党にも激しい攻撃を浴びせている。北朝鮮としては、保守派の自由韓国党が政権を取るよりも、文在寅氏と与党・共に民主党に政権を維持させておく方が、「やりやすい状況」であるのは間違いない。

    それでもなお文在寅政権に対する非難が続くならば、これはもう、金正恩党委員長が何らかの理由から、同政権の終焉を願っているとしか思えない。果たして金正恩氏は、文在寅氏に救いの手を差し伸べるのか。あるいはいっそう冷たく突き放すことで、「トドメ」をさそうとするのだろうか。

    (参考記事:韓国は「自滅の道を歩むだろう」…北朝鮮がシビアに予言