カテゴリー: 北朝鮮

  • 農業勤労者の詩朗誦会

    【平壌10月8日発朝鮮中央通信】金正日同志の朝鮮労働党総書記推挙22周年と朝鮮労働党創立74周年祝賀農業勤労者の詩朗誦会が8日、平安南道平原郡院和協同農場で行われた。

    朗誦会で各出演者は、朝鮮労働党を百戦百勝の鋼鉄の党に強化して発展させ、革命と建設を勝利と栄光の道に導いた総書記の業績をたたえた。

    朗誦会では、朝鮮労働党を永遠の生の懐、革命の母に格調高く謳歌し、農業生産において大革新を起こしていくという勤労者の思想精神世界を盛り込んだ詩が朗誦された。

    女声独唱「党をうたう」、男声独唱「党よ わたしの母よ」をはじめ、朝鮮労働党に対する賛歌も響き渡った。

    朝鮮農業勤労者同盟(農勤盟)中央委員会の金昌葉委員長、関係部門、農勤盟の活動家、農業勤労者が、これに参加した。---

  • 北朝鮮が「男女の不倫関係」を摘発…あるジャガイモ農場での出来事

    北朝鮮が「男女の不倫関係」を摘発…あるジャガイモ農場での出来事

    北朝鮮当局は昨年初めから、非社会主義的行為の取り締まり――要するに風紀取り締まりに力を入れているが、その対象は男女の不倫関係にも及んでいる。

    最近、取り締まりの舞台となったのは、北朝鮮の北部山間地にある両江道(リャンガンド)の白岩(ペガム)郡だ。平均海抜は1550メートルで朝鮮半島全体で最も高く、冬は極寒の地だ。農耕に適しておらず、住民は長らく極貧生活を強いられていた。

    そんな地を大きく変えたのは、金正日総書記が提唱した「ジャガイモ革命」だ。ジャガイモの一大産地となった両江道(リャンガンド)大紅湍(テホンダン)だ。稲作ができない荒れた土地が広がっていたこの地を開墾、ジャガイモ農場を作らせ、大成功させたというものだ。

    (参考記事:ジャガイモ大豊作も浮かない表情の北朝鮮の農民

    国際社会の制裁で食糧不足が伝えられ、ジャガイモの重要性が増す中、北朝鮮当局は高級幹部を農場に送り込んだ。ジャガイモ栽培の陣頭指揮を取るのが目的だ。農業のことを農民に任せず、中央の官僚が指揮を取るのは、ソ連型の計画経済システムの名残りだが、幹部は仕事そっちのけで贅沢三昧にひたり、挙句の果てには不倫をしていたことが判明し問題になっていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    高級幹部らが農場にやってきたのは今年春のことだ。当局は、農場に負担がかからないようにと彼らに食糧を配給したが、幹部らは農場に豚肉、魚、卵を出せと要求した。そればかりか、宿舎には管理人を置き、掃除と洗濯をさせろとの要求も突きつけた。

    情報筋は詳細に触れていないが、仕事そっちのけで毎晩毎晩宴会を繰り広げていたのだろう。農場はあいつぐ台風の襲来で被害を受けているが、その復旧で忙しいのに幹部の接待に農民を動員せざるを得ない状況だったという。

    (参考記事:「ある母子の貧しさゆえの悲劇」台風18号、北朝鮮でも洪水被害

    仕事もせずに農場に迷惑をかけるばかりの幹部に対して当然のことながら批判の声が上がったが、そんな中で中央党(朝鮮労働党中央委員会)による調査が始まった。それも、身内からの密告によるものだった。

    農場に派遣されたある幹部は、半年に及ぶ派遣期間の間、一度たりとも平壌の自宅に戻らず、電話一本入れなかった。やがて不倫をしているのではないかという噂が立ち始めた。それを聞きつけた妻は、離婚を決心した上で、中央党に信訴(通報)の手紙を送ったという。

    調査の結果、この幹部は農場で働く20代女性と不倫関係にあることが判明した。北朝鮮当局は、「家族は革命的であれ」などと言った高邁な理想を掲げてはいるものの、実際には不倫や、上下関係を利用して女性に性上納を強いる行為などが横行している。

    (参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

    中央党は訴えを受けて、現地で幹部の行動を調査した上で、批判書の作成を指示した。今後、思想闘争(集団批判を受けるなどの厳しい思想教育)を受けるものと思われる。また、近日中に更迭されるとのことだ。

    平壌の機関に勤める幹部が問題を起こした場合、更迭された上で平壌から追放され、山奥の農場などの閑職に追いやられる。問題が政治的なものであれば、収容所に入れられることもある。妻は、自分自身や子ども、実家に累が及ぶのを避けて離婚するのが一般的だ。中には、当局から離婚を勧められることもあるという。

    (参考記事:男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる

  • 「言動を違えれば排斥されて当然」北朝鮮、文在寅氏を説教

    「言動を違えれば排斥されて当然」北朝鮮、文在寅氏を説教

    北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は8日、2本の論評で韓国の文在寅大統領を事実上「名指し」して非難した。

    まず、「言動を違えれば排斥されて当然」という説教調のタイトルの論評は次のように述べ、文在寅氏の国連演説を槍玉にあげた。

    米国から「大目玉」

    「南朝鮮当局が国際舞台で『非武装地帯の国際平和地帯』を云々したのは、米国との北侵戦争演習と侵略兵器購入策動で朝鮮半島の平和を蹂躙してきた犯罪的正体を隠し、民族分裂の悲劇的産物である軍事境界線の非武装地帯を国際化することにその目的がある」

    これは、文在寅氏が9月24日の国連演説で提唱した「非武装地帯内に南北に駐在中の国連機構と平和、生態、文化と関連する機構などが居を構え、平和研究、平和維持(PKO)、軍備統制、信頼構築などの活動の中心地となるならば名実ともに国際的な平和地帯となる」との構想を、冷たく突き放したものと言える。

    もう一本の論評はさらに辛らつだ。9月の米韓首脳会談に非難の矛先を向けた。

    「北南合意への容認できない裏切り行為」と題された論評は、「先日、米国を行脚した南朝鮮執権者(文在寅氏)が米国製兵器購入を強いる主人(米国)の要求を甘受する卑屈な醜態をさらした。(中略)主の要求であれば、心臓も胆嚢も謹んで差し出す南朝鮮当局の親米屈従行為に、驚愕を禁じ得ない」と述べている。

    論評は続けて、「同族を狙った侵略兵器を大々的に購入しようとしている南朝鮮当局の無分別な処置は、北南合意の容認できない裏切り行為」であると非難。「米国製兵器購入によってもたらされるのは、北南関係破綻と朝鮮半島情勢の悪化であり、取り返しのつかない後悔と破滅だけだ」と強調した。

    実際のところ、北朝鮮でなくとも、「文在寅の本音は『平和』なのか『軍拡』なのかどっちなんだ」と思う向きはいるかもしれない。韓国では最近になって、日本に刺激を受けたのか、軽空母導入構想などが持ち上がっている。

    結局のところ、文在寅氏のこうした言動は、政権が「ナショナリズム」と「ポピュリズム」に依存しなければ立ち行かないことを示しているものと言える。そして、これらに偏重する政権は無原則になりがちで自らが犯している逸脱にも鈍感だ。

    日本に報復するつもりで軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を決め、米国から大目玉を食らい右往左往する文在寅政権が、その典型的な姿だ。

    (参考記事:「韓国は腹立ちまぎれに自害した」米国から絶妙な指摘

    実際、GSOMIA破棄で米国の不興を買わなければ、大規模な兵器購入でトランプ氏のご機嫌を取る必要もなければ、そのことで北朝鮮から猛反発を食うこともなかったのではないだろうか。

    (参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く

  • 金正恩氏が「処刑した叔父」を懐かしむ声が聞こえてきた

    張成沢(チャン・ソンテク)。金正日総書記の妹、金敬姫(キム・ギョンヒ)氏の夫で、かつては絶大な権力を誇っていた。ところが2013年12月、金正恩党委員長により処刑された。

    彼氏の粛清に際しては、愛人の元トップ女優をはじめ、一説に1万人もの人々が連座させられた。

    (参考記事:【写真】女優 キム・ヘギョン――その非業の生涯

    それから6年。平壌の高位幹部の間ではこんな話が漏れ聞こえてくるという。

    「張成沢がいた頃は、カネをバラマキながら事業を進める者が多かったのに」
    「張成沢が経済政策を主導し続けていたらどうなっていただろう」

    かつては粛清に巻き込まれることを恐れ、その名前を口に出すことすらはばかられた張成沢氏のことを、親しい間柄での会話に限られるとはいえ、懐かしむ声が上がっていると、北朝鮮の高位幹部がデイリーNKの取材に語った。

    (参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

    張成沢氏が進めていた経済特区、外資の誘致、中朝貿易の拡大などが続けられていたら、経済状況は今よりずっとマシになっていただろう、という趣旨である。

    張成沢氏が進めていた経済特区には、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)市郊外にある黄金坪(ファングムピョン)や威化島(ウィファド)がある。中国に食い込んだ中洲という地の利を生かし、開発が進められようとしていたが、その矢先に張成沢氏が処刑され、計画が頓挫してしまっている。

    (参考記事:【写真レポート】田植え戦闘真っ盛りの北朝鮮経済特区「黄金坪」

    別の平壌の情報筋は、高位幹部のみならず商人の間でも張成沢氏を懐かしむ声が上がっていると伝えた。

    「張成沢の存在は大きかった」
    「当時はカネのある人がドル札を気前よくばらまいていたが、今では商売上がったりだ」

    国際社会の経済制裁により、主力輸出品だった鉱物資源や海産物の輸出ができなくなったことで、北朝鮮に流入する外貨が減っていると伝えられているが、国全体のカネのめぐりが悪くなり、深刻な不況として現れている。かつては賑わっていた市場も、商人の数が激減、食べ物などの日常品以外は売れないという。

    (参考記事:北朝鮮の市場に異変「商人の数が激減している」

    そんな中で上がる張成沢氏を懐かしむ声。一般庶民は、彼の具体的な経済政策については知らなくとも、市場経済の進展については肯定的な役割を果たしたと認識しているようだ。

    「一般庶民は経済がなぜよくないのが詳しいことはわかっていないが、それなりの人なら外貨が減ったことが(経済難の)最も大きい理由だと見ている。そのため、張成沢に繋がっていた人々が外国からカネを引っ張ってきて、市場にばらまいたおかげで当時は景気がよかったと考えている」(情報筋)

    当局は、現在の経済的苦境が国際社会の制裁によるものだと宣伝している。それは決して間違っていないが、それのみならず外資の誘致や経済特区に対する消極的態度が経済をより悪化させていると見方をしているということだ。

    韓国のNGO・脱北者同志会の徐宰平(ソ・ジェピョン)事務局長はデイリーNKの取材に対し「北朝鮮で商売がうまくいっていないという話があちこちから聞こえるのは事実」とし、「ただし、張成沢氏がどんな役割を果たしていたのか知っているのは一部の高位幹部に限られていることを考えると、このような話は権力を持った党幹部または資本を持ったトンジュ(金主、新興富裕層)など上層部から出た話だろう」と分析した。

  • 北朝鮮漁民「100年前の船」で無謀な出漁…日本の漁師から同情の声も

    北朝鮮漁民「100年前の船」で無謀な出漁…日本の漁師から同情の声も

    海上保安庁によると、7日午前9時10分頃、日本海の好漁場・大和堆の周辺海域で、水産庁の漁業取締船「おおくに」(約1300トン)と、北朝鮮の漁船が衝突した。現場は、石川県・能登半島から約360キロ北西の日本の排他的経済水域(EEZ)とみられる。

    漁船は衝突から間もなく沈没。漁船の乗員約20人が海上に投げ出され、一部は救助されたもようだが、なお全員の安否が気にかかる。

    大和堆周辺では近年、北朝鮮漁船や中国漁船による違法操業が問題となっていた。その一方、遭難した北朝鮮船と見られる木造船や、北朝鮮の漁民と見られる遺体が相次いで日本の海岸に漂着した。

    遭難の最大の原因は、「日本なら100年前のシロモノ」と言われる粗末な木造船による強引な出漁にあると見られている。サイズが小さすぎ、構造的にも沖合での漁業に向かない木造船は、大波に遭うと簡単に転覆する。海に放り出され命を落とした北朝鮮漁民の数は、漂着が多かった2017年の1年間だけで1000人を下らないと見られる。

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は昨年3月、かつて北朝鮮でイカ漁に従事したことのある脱北男性のインタビューを掲載した。男性はその中で、木の葉のように大波にもてあそばれる木造船の様子を描写。「あの時の恐怖は言葉では言い表せません」と語っている。

    (参考記事:「あの恐怖は言い表せない」北朝鮮の元漁師が体験した「生死の境目」

    また韓国のデイリーNK本社とデイリーNKジャパンは昨年5月、石川・山形・秋田の各県を訪れ、イカ釣り漁師や漂着木造船を取材した。石川県漁協小木支所で行ったインタビューでは、漁師たちから北朝鮮船の漁の実態や、日朝の民間漁業協定が結ばれていた1980年代に北朝鮮の港に避難した体験談も聞いた。漁師たちは北朝鮮の違法操業を批判する一方で、無謀な出漁をせざるを得ない北朝鮮漁民の境遇について、「かわいそうや。あの人らも帰れば妻や子がおるのに」と同情の声を漏らした。

    石川県での取材では、北國新聞の連載記事「戦場の大和堆」取材班からの手厚いサポートを得ることができた。タイトルの通り、日本の国益が脅かされる海の最前線を精力的に追った企画だが、徹底的な取材に基づいた、次のような指摘も見られる。

    「『協調的安全保障』という考え方がある。多国間で幅広い交流を持ち、信頼関係を醸成することで、安全保障上の危機の高まりを予防しようというものだ。もしも漁業協定が結べれば、その一部として機能しうるのではないか。(中略)北風も冷たいばかりではない。大陸から吹き寄せる季節風を、能登人は「あえの風」と呼び、恵みをもたらす吉兆とした。かつて朝鮮半島から人と文化を運んだ風でもある」(同紙2018年2月9日付朝刊)

    まずは今回の事故での北朝鮮漁民の全員の無事を祈り、この出来事が、日朝になんらかの肯定的な結果をもたらすことを期待したい。

  • 「公開処刑」でも止められない北朝鮮国民の占い中毒

    北朝鮮の刑法には、こんな条項がある。

    第256条(迷信行為罪)

    金または物を受け取って迷信行為をした者は、1年以下の労働鍛錬刑に処す。前項の罪状が重い場合には、3年以下の労働強化刑に処す。

    この「迷信」とは占いのことを指す。さらに、刑法附則11条は、罪状が非常に重い者、全く悔悛してしない者に対しては、無期労働刑(無期懲役刑)か死刑を適用できると定めている。占いをしたからという理由だけで死刑になりうるということだ。終末論を流し人心を惑わせるなど、占い師は北朝鮮の体制を脅かす要素と見られているためだ。

    実際、北朝鮮当局はごく最近にも、占いを行った女性らを公開処刑している。

    (参考記事:北朝鮮でまた公開処刑…女性2人を銃殺「占いしたから」

    それでも、国際社会の制裁で経済が苦しくなり、未来が不透明になる中、占いにすがろうとする人が後をたたない。デイリーNKは、平壌市民2人とインタビューを行い、最新の「占い事情」について聞いた。

    首都平壌でも占いをする人がいるが、平壌居住者ではなく、地方からやって来て一時的に平壌の知人宅などに滞在し、占いをする人もいる。一方、地方に住む占い師にとって、可処分所得の多い平壌市民を顧客にするのは魅力だが、リスキーであるため、長期間は滞在しないようだ。

    顧客には一般庶民もいるが、幹部やその妻が多いとのことだ。経済的に余裕がある上に、政治情勢に地位が大きく左右されることから、不安感を少しでも解消するためと思われる。

    (参考記事:【動画】北朝鮮国内で密かに行われている「占い」の現場

    ー迷信行為をする人は多い?

    平壌市民A「迷信をする人は平壌にも多い。チュチェ(主体)思想なんて信じても何にもならない。天から何かが降りてきて話をするらしいが、平壌には占い師はおらず、地方から平壌にやって来る。自分の住んでいるところではやらず、よそに行ってやる。咸鏡道(ハムギョンド)からも来るし、いろんな所からやって来る」

    平壌市民B「よそから平壌に来た人が占っている。平壌に友人、親戚、知人がいれば、そこで占いをする」

    ー迷信行為に対する取り締まりが厳しくなっているというが?

    平壌市民A「親しい人には占い師が来たと知らせるが、知らない人に話すと信訴(通報)される。もちろん取り締まりにひっかかる人もいる。しかし、保安員(警察官)は占い師を取り調べているうちに、占い師の言葉に惹かれて信じるようになってしまう。占い師が保安員に『何か起こるから家内安全で』と告げたらしいが、それが噂になってついには所長の耳に入り、連れてこさせて運勢を見たらしい。そうやってだんだん信じるようになる」

    ー見てもらったことは?

    平壌市民A「先日、友人から『早く家に来てみろ』と言われ行ってみたら占い師がいた。初めて会う人だったが『占うなら10万北朝鮮ウォン(約1300円)を払え』と言われたので、友人が『その程度なら』とカネを払った。言われたとおりに名前と生年月日を書いて渡したところ、本当によく当たった。(友人の)家族は『10月にどこか他の場所に行くことになるだろう』と言われたが、本当に11月にそうなった」

    平壌市民B「運勢を見てくれるところが多い。庶民は『食べるものがない、死んでしまいたい』と言いながらも、運勢を見てもらい、それがよく当たるのでビックリしている。その占い師は、幹部が持ってきたカネを火にくべて占っていた」

    (参考記事:ある北朝鮮の「占い師」が辿った数奇な運命

    ー占ってもらうのは主にどんな人?

    平壌市民A「幹部やその妻が多い。私達のような一般庶民は毎日平凡な暮らしをしているが、幹部は発展のある(置かれた状況の変化が大きい)人たちだから。心の中は苦しいのではないか。平壌には(粛清の風が吹き荒れれば)あっという間にクビが飛ぶような人が多いから、未来のことが気がかりで占いをするのではないか。『うちの夫はクビにならないか』『これからも豊かな暮らしができるか』ということを聞くらしい。ある幹部の妻は、夫の写真を持ってきて名前と生年月日を告げて、占い師にすがるように話を聞いていた」

    平壌市民B「若い人たち、商人、出世するかもしれない幹部やその妻がよく来る。未来のことが気がかりなのは幹部だから。幹部は今後が不安で、経済も苦しく、カネもどんどんなくなり、締め付けが厳しくなる中で、どうすれば出世できるかを聞きに来る」

    (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー

  • 北朝鮮軍「モラル崩壊」でドロボー軍隊化が止まらない

    北朝鮮軍「モラル崩壊」でドロボー軍隊化が止まらない

    全世界で最も長いと言われている北朝鮮の兵役。その期間は10年にも及ぶ。それだけあって、兵士の数も桁外れに多い。米国務省の報告書によると、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の2006年から2016年までの年平均の兵員数は116万人で、総人口(2500万人)に占める兵士の割合も4.8%と世界で最も高い。

    そして毎年、数多くの兵士が兵役を終えて民間に戻っていくが、北朝鮮当局はこれと言った手当を支給していない。それが、民間人に大きな被害をもたらす結果を生んでいることを、 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    その場所は、北朝鮮北東部にある咸鏡北道の清津(チョンジン)。郊外には、数多くの副業地が存在する。副業地とは、不足する国からの食糧配給を補うために、軍部隊が独自に開墾した畑だ。ところが、その周辺にある協同農場で働く農民が切り開いた畑が荒らされ、作物が盗まれる事件が相次いでいる。

    協同農場では、任された土地を責任を持って管理し、収穫の一部を国に納め、残りを自分のものにできるという「圃田担当制」が施行されているが、これがうまく働かず暮らしていけない。そのため、個人用の畑を作って作物を市場で売ることで現金収入を得ている。

    (参考記事:北朝鮮の協同農場、農民に土地を有料で貸し与える

    そんな畑に、副業地で働く兵士たち、とりわけ除隊を控えた兵士たちが、農作業の合間を縫って、あるいは夜中に忍び込み、トウモロコシやトウガラシを大量に盗んでいくのだ。それも、牛車に積んで行くほど大量にだ。

    「除隊を控えた兵士たちは何も恐れず、畑をすべてひっくり返してトウモロコシを盗んでいく」(情報筋)

    彼らは、盗んだ作物を市場で売り払って現金化し、除隊後の生活資金としてためておく。中には、高く売れるからと、盗んだトウモロコシを茹ででから売りに出す者もいるほどだ。

    (参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

    作物を盗まれ貴重な現金収入源を失った農民たちだが、兵士の盗みを目撃しても何も言えず、黙っているしかない。

    北朝鮮では、兵士の犯した犯罪は保安署(警察署)ではなく、警務隊(憲兵隊)が処理する。兵士に作物を盗まれたからと保安署に通報しても、権限がないために何もできない。だからといって、警務隊に押しかけていっても門前払いされるだけだ。

    兵士らは、個人の畑だけをターゲットにし、協同農場は狙わない。かつては、協同農場も同様の大量窃盗の被害に悩まされていた。しかし、今では上級機関に信訴(不正行為の告発)することで対処している。下手をすれば処罰されかねない。もちろん、個人でも信訴することは可能だが、コネや権力がなければ訴えを取り上げてもらうのは容易ではない。そういうこともあって、個人の畑を狙うほうがより安全なのだ。

    (参考記事:経済制裁に苦しむ北朝鮮で「牛泥棒」が横行する理由

    軍当局は、兵士の窃盗を防ぐために、副業地の近隣では軍服を来て行動すること、銃器の携帯や勝手な行動はしないこと、などの指針を下してはいるが、現場の兵士たちが気に欠ける様子は一向にない。それどころか、窃盗に罪悪感など全く持たず、「除隊の準備はうまく行っているか」「どこそこに行けば儲けがあるぞ」などといった会話を交わす有様だという。

    窃盗は犯罪だが、兵士たちにも他人様のものに手を出さざるを得ないそれなりの事情がある。

    朝鮮人民軍は、兵士の除隊に際していくばくかの食糧を渡すだけで、退職金の類は一切支給しない。その貴重なコメを両親に食べさせようと空腹をガマンし、乗っていた列車の立ち往生で到着が遅れ、餓死した兵士もいるほどだから、その量は推して知るべしだ。

    (参考記事:北朝鮮「列車に乗っていたら飢え死に」その理由は

    国境警備隊に配属になれば、脱北や密輸をする人から受け取るワイロを溜め込んで、除隊後の生活資金にできる。また、大都会の近くに駐屯する部隊に配属されたら、市場で何らかの商売ができる。ところが、兵士のほとんどが送り込まれる部隊は山奥にあり、現金収入のチャンスはないに等しい。

    農民の畑で盗みを働き、生活資金を工面しておかなければ、豊かな生活はおろか、生きていくことすら難しいのだ。

    (参考記事:30代男性にガソリンをかぶらせた北朝鮮の「貧困と絶望」

  • 「自分を棚に上げ責任を転嫁するな」北朝鮮が文在寅政権を非難

    「自分を棚に上げ責任を転嫁するな」北朝鮮が文在寅政権を非難

    北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は2日、南北対話が膠着状態に陥っている責任を、韓国政府が北側に転嫁していると非難する論評を掲載した。米国との実務協議再開を目前に控えたタイミングだけに、その意図が注目される。

    論評は「先日、統一部当局者は北南の対話が開かれないのが、まるでわれわれのためであるかのように言い触らした。南朝鮮国防部長官も、われわれの自衛的な国防力強化措置に言い掛かりをつけて、『北が緊張を高調』させているとの妄言を並べ立てた」と指摘。

    そのうえで「北南関係が膠着状態に陥るようになった根本原因は一言で言って、南朝鮮当局の背信的行為にある」としながら、韓国政府が米韓合同軍事演習で「相手を脅かし、緊張をあおり立てる挑発行為を引き続き働きながら、『対話』と『信頼』についてうんぬんするのは、常識外れの欺瞞(ぎまん)行為である」と非難した。

    さらに続けて、「自分のすべきことはせず、むしろ盗人猛々しく北南関係膠着の責任をわれわれに転嫁しようとずうずうしく振る舞っているのは、万人の驚愕をそそるだけである」と強調した。

    内容的には、北朝鮮がこのところ一貫して主張してきたのと同様のものである。韓国の文在寅政権が、約束したはずの南北経済協力に踏み出さず、一方で米韓合同軍事演習を続けていることをなじっているわけだが、過去には文在寅大統領を「ほぼ名指し」してもっとヒドイ言い方をしていることを考えれば、非難の程度は低いと言えるかもしれない。

    (参考記事:「奇怪な醜態」金正恩氏が文在寅氏を罵倒した理由

    このタイミングでこうした論評を出したのは、先月、トランプ米大統領と会談するなどして米朝の「仲介者」としての役割を捨てようとしない文在寅氏を、けん制するためかもしれない。北朝鮮はかねて、「(韓国の)仲介など必要ない」と言明している。

    経済協力を実行し、米韓合同軍事演習を中止しない限りは、文在寅政権にはいかなる「得点」も与えない。おそらくはこれが、金正恩党委員長の韓国政府に対する立場だと思われる。

  • 北朝鮮の女子大生が「ある要求」に耐えきれず選んだ道とは…

    北朝鮮の女子大生が「ある要求」に耐えきれず選んだ道とは…

    北朝鮮ではご法度の韓流ドラマやK-POP。刑法は183条で「退廃的、色情的、醜雑な内容を反映した絵、写真、図書、録画物、電子媒体などを許可なく他国より輸入、制作、流布、保管した者は1年以下の労働鍛錬刑(懲役)に処する」と定めている。また、184条では視聴も禁じている。実際はこれ以上の量刑になることも少なくない。

    それでも見る人が後を立たないのだが、最近、ある女子大生が韓流ドラマを見ていたといたところを摘発され、悲惨な運命を辿る事件が起きたと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

    平壌に住んでいたある女子大生は、自宅で韓流ドラマや映画などを見ていたところを、韓流取り締まりを担当するタスクフォース「109常務」に逮捕された。

    109常務は、女子大生の両親に対してこんな要求を突きつけてきた。

    「娘の罪をチャラにしたいなら、ワイロとして5000ドル(約54万円)を上納せよ」

    北朝鮮の一般庶民や下級幹部にとって、5000ドルは天文学的な数字と言っても過言ではないだろう。それでも、娘を救いたい一心で両親は金策に走った。しかし、集められたのは要求額の半分にも満たない2300ドル(約24万8000円)。

    取り締まりに関係のある幹部に渡そうとしたが、「俺をバカにしているのか!」と逆上され、暴言を吐かれたという。

    この幹部が額が少ないことに怒ったのか、あるいは「ワイロの仲介などしない」という意味だったのかは不明だ。いずれにせよ、そのことを知った娘は「私にやましいことはない。死んで証明する。カネは取り戻してください」との遺書を残し、裏山で自ら命を断った。

    (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

    この女性は、医大の卒業を控えた優秀な人物だったとのことで、そんな彼女がたかが韓流ドラマを見たくらいで死に追いやられたことに、近所の人たちは涙を流して怒りに震えているという。

    情報筋は、「韓流ドラマを見るには本当に注意が必要だ」として、ワイロの額が上がっていることを指摘した。

    「最近、109常務は5000ドルくらいでは動かない、1万ドル(約108万円)を払わなければならない」

    このように、韓流の取り締まりをネタにして、ワイロをゆすりとろうとする事件が報告されている。

    両江道(リャンガンド)の情報筋によると、今年5月に三水(サムス)郡の協同農場の7世帯が、韓流ドラマを見ていたところを109常務に踏み込まれた。彼らは「14歳以上は教化所(刑務所)に行くことになる」と脅迫した上で、1000元から2000元(約1万5000円〜3万円)のワイロを要求した。

    農民と顔見知りという取締官は「面倒を見るべき甥が3人いる。ノルマもある。500元や1000元では見逃してやれない、少なくとも1500元(約2万2700円)が必要だ」と、使いみちの内訳まで明らかにした上で、ワイロを要求した。

    109常務は通常、保衛部(秘密警察)、保安署(警察署)、検察所などの人員からなるが、協同農場に現れた人員は、パソコンの専門家と地元の青年同盟(金日成金正日主義青年同盟)のメンバーだった。地元の事情をよく知る青年同盟のメンバーが、生活苦を打開するために、隣人を売ったものと考えられる。

    しかし、いくら取り締まりが厳しくとも、一度韓流にハマった北朝鮮の人たちは、あの手この手を尽くして韓流を見ようとする。特に、外の世界の情報に飢えている若者はなおさらだ。

    「大学生たちは、外国映画などを見ているのがバレたら処罰を受けることを知りながら、好奇心を抑えられずに見てしまう。それを防ぐ方法はない」(情報筋)

    大学生たちは、スマートフォンに韓流ドラマなどのファイルを暗号化するアプリを仕込んでいて取り締まりを逃れようとしている。それも機種別にアプリが用意されている。機種別にセキュリティレベルが異なるからだが、これなら109常務がパスワードを解かない限りは、証拠を押さえることができない。

    しかし、デイリーNK取材班で確認した結果、北朝鮮製スマホの最新機種である「平壌2423」には、このアプリがインストールできないことが判明した。つまり、当局もこのアプリへの対策に乗り出しているということだ。

    (参考記事:北朝鮮スマホ最新機種は「韓流拡散防止」装置付き

  • 中朝国境で暗躍する「20代の女性スパイ」の正体

    北朝鮮から脱北を試みた女性たちが、密告者による通報で逮捕される事件が発生したと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    今月初め、中国との国境に面した咸鏡北道の会寧(フェリョン)に住む女性3人が、脱北ブローカーの手引きで国境の川を越えて中国に向かおうとしたが、川岸に降りようとした瞬間、潜伏していた保衛部(秘密警察)の要員に取り押さえられた。

    「ニオイ拷問」が横行

    2人はおとなしく逮捕に応じたが、1人は川に向かって走り出し逃走を図った。保衛部は警告を発した後、拳銃を発射するなどし、結局逮捕した。

    情報筋が保衛部の協力者から聞いた話によると、今回の逮捕劇は、元々一緒に脱北することにしていた女性の密告によるものだった。

    脱北ブローカーは、現地で脱北希望者を募っていた。それに名乗り出たのはいずれも20代の女性だった。ところが、うち1人が途中で脱北を取りやめた。この女性が密告者だったのだ。

    「脱北を諦めた女性は最初から保衛部の指示を受けて接近したスパイだった。彼女らの脱北計画は最初から保衛部に報告されていた」(情報筋)

    保衛部は最近、脱北の計画を事前に察知するために、若い男女を抱き込み、脱北を試みる人やブローカーに接近させ、一網打尽にするおとり捜査を積極的に行っている。

    それは、脱北事件が起きた場合に、当事者だけでなく警備担当者にも責任を問うる風潮が高まりつつあるため、脱北を未然に防ごうと、このようなスパイを活用しているというわけだ。地域住民は「これでは誰が信頼できるブローカーか見分けがつかない」とささやきあっているという。

    以前は、脱北に失敗したり、成功したものの中国で逮捕され強制送還された場合には、過酷な刑罰が待ち構えていた。恐怖のあまり自ら命を断つ人もいた。

    (参考記事:脱北に失敗した北朝鮮人夫婦の「究極の選択」

    ところが、最近になって強制送還された脱北者に対する処罰は多少緩和され、一般の犯罪と同じ扱いにしているというのが情報筋の話だ。とは言え、北朝鮮の教化所(刑務所)の状況は、劣悪極まりないことには変わらない。施設内ではたとえば、若い女性を「ニオイ拷問」で死に至らしめるなどの行為が横行している。

    (参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

    国境地域への訪問も規制が強化されている。

    咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)に住む米政府系のラジオフリーアジア(RFA)の情報筋は、秋夕(チュソク、旧盆)に合わせて国境に近いところにあるお墓参りをしようと旅行証(国内用パスポート)を申請しても、ほとんど発行されない状態だと述べた。その理由は脱北や違法な携帯電話の使用が増えることを恐れてのことだという。

    とりわけ、家族の中に脱北者がいる場合には、理由の如何を問わずに完全に不許可となっている。

    会寧の情報筋は、国境警備隊、保安署、保衛部など、国境地域を警備する人員が2倍に増やされたと述べた。旅行証の確認や荷物検査、身体検査を行うほど厳重な警戒を行っている。地域住民ですら移動が困難となっており、公式に抗議したが黙殺されているという。

    (参考記事:金正恩氏の「風紀取り締まり」に北朝鮮庶民が強く反発

  • 「死んだのは孤児だから…」金正恩体制支える奴隷労働の生々しい現場

    国連人権理事会の第42回定期会合(スイス・ジュネーブ)で20日、北朝鮮の人権状況に対する普遍的定期審査(UPR)報告書が採択された。同報告書には、北朝鮮の人権状況を改善するための262の勧告が盛り込まれている。

    北朝鮮はそのうち、国際労働機関(ILO)への加盟を求める勧告について、即座に受け入れないが拒絶でもない「留意」するとの反応を示している。しかし、表現としては「留意」であっても、本音では拒絶だろう。世界でも最悪の「奴隷労働」国家である北朝鮮が、ILOの基準に従って国家経済を運営することなど不可能だからだ。

    そのような現実を示す例は、枚挙に暇がない。

    韓国の北韓人権情報センター(NKDB)は昨年3月、脱北者からの聞き取り調査を元にして、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が工事に動員され事故に遭っても、まともに補償をしてもらえない実態を告発した。

    (参考記事:「事故死した98人の遺体をセメント漬け」北朝鮮軍の恐るべき人権侵害

    また、声があげられない立場の弱い人ほど、扱いがひどくなる。当局は、両江道(リャンガンド)の白頭山観光鉄道の建設現場に、コチェビ(ストリート・チルドレン)を多く動員し、事故で亡くなっても「死んだのは孤児だから何事もなかったかのような扱い」(現場の声)をしている。

    (参考記事:コチェビ出身の労働者ら「見殺し」…北朝鮮の鉄道建設現場で土砂崩れ

    当局が責任を認め、謝罪した例もあるにはあるが、それは被害者に特権層などがからんでいる場合に限られる。

    (参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

    最近ではあるガラス工場で、大型のガラス板を貨物列車に積み込む作業中に事故が起き、3人が死傷した。ところが、工場は遺族に補償をしないばかりか、「騒ぐな」と脅かす始末だと、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

    事故が起きたのは今月初め、南浦(ナムポ)にある南浦ガラス連合企業所でのことだ。

    北朝鮮を代表するガラス生産工場である同企業所は、黄海南道(ファンヘナムド)夢金浦(モングムポ)の豊富な良質の砂などを使い、板ガラスなど1000種類の製品を生産している。

    この日、労働者は貨物列車に工場で生産した大型のガラス板を貨物列車に積み込む作業を行っていた。本来、ガラス製品を荷積みする際には、フォークリフトや移動式クレーンを使用する。しかしこの日は何らかの理由で機械を使えず、出荷を急ぐ企業所は、列車1両あたり北朝鮮としては破格の100ドルから200ドル(約1万800円〜2万1600円)の報酬で地元の若者を雇い、作業に当たらせていた。

    四隅に木の台座をはめたガラス板を4人で持ち上げ、列車に積み込んでいたところ、ガラス板が急に倒れてきて、3人が下敷きになり、死傷した。

    事故の知らせを聞いて死傷者の家族が現場に駆けつけてきた。3人は若くて誠実な労働者で、幼い子どもを抱えていた。ところが、ガラス工場は家族に対し、次の要求を突き付けた。

    「ガラス破損を弁償しろ。騒ぐな」

    家族は激しく抗議したが、工場側は「労働者が国家的損失をもたらした」との主張を繰り返したという。遺族は一切の補償を受けられないまま、遺体を収拾し、静かに葬儀を終えるしかなかったという。

    このガラス板がどこに使われるか情報筋は明らかにしていないが、国家的プロジェクトに使われるもののようだ。そのような仕事をしていて事故で死傷した場合、当局は通常、手厚い補償はしなくても、見舞金と葬儀代くらいは出すのが一般的だと情報筋は説明した。不平不満が吹き出したり、噂が立つことを恐れてのことだ。

    「ところが、彼ら3人に対しては『カネ儲けをしようとして死んだ』とひどい言葉を投げつけ、あれこれ言うなら責任を取らせると言われ、結局静かに葬儀を済ませた」(情報筋)

    「人間中心の主体(チュチェ)思想」を掲げる北朝鮮だが、事故に巻き込まれ亡くなったり怪我をした人に対する扱いを見ると、到底人間を大切にしているとは思えない。

  • 「ナチス旗と同じ戦犯旗」北朝鮮が“旭日旗論争”に参戦

    「ナチス旗と同じ戦犯旗」北朝鮮が“旭日旗論争”に参戦

    北朝鮮の内閣などの総合機関紙・民主朝鮮は23日、東京五輪・パラリンピックでの旭日旗の持ち込み問題をめぐり、「戦犯旗である『旭日旗』を『平和の象徴』に変身させてみようと企んでいる」と日本を非難する署名入りの論評を掲載した。

    「レーダー照射」問題でも

    日本と韓国が対立している旭日旗の持ち込みをめぐっては、韓国政府が国際オリンピック委員会(IOC)に旭日旗禁止を要請。IOCは明確な態度を示していない。一方、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、持ち込みを禁止しない方針を示した。

    論評は、「『旭日旗』は第2次世界大戦当時、『卍』が刻まれたナチス旗とともに世界人民の胸に永遠に癒せない傷を残した戦犯旗である」と指摘した。

    また、朝鮮労働党機関紙の労働新聞も24日、日本が東京五輪・パラリンピックで「侵略戦争の象徴である『旭日旗』を使用しようと画策している」とする論評を掲載。

    こちらの論評は、旭日旗の五輪会場などへの持ち込みを認めるのは「日帝の侵略で不幸と苦痛を強いられたアジア諸国人民に対する我慢できない冒とくであり、平和と友好を志向するオリンピック理念に対する愚弄である」と強調した。

    このように、北朝鮮が日韓の「対立案件」に参戦するのは珍しいことではない。昨年、韓国海軍と海上自衛隊の間で起きた「レーダー照射問題」に際しても、北朝鮮は口をはさんでいる。

    (参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は

    むしろ気になるのは、北朝鮮の東京五輪・パラリンピックに対する姿勢だ。

    8月、東京都内で20~22日に開かれた東京五輪の参加予定国・地域を対象とした団長会議に、当初出席予定だった北朝鮮の元吉友(ウォン・ギル)体育次官ら3人が、直前になって来日を見送った出来事があった。理由は不明とされる。日本政府は独自制裁で北朝鮮国籍保有者の入国を原則禁止しているが、スポーツ関連の例外扱いとして入国を認める方針だった。

    また同月、東京で行われた柔道の世界選手権も、北朝鮮は直前になって出場を取り消している。

    韓国と北朝鮮は今年2月、国際オリンピック委員会(IOC)との間で、東京五輪にホッケーの女子、バスケットボールの女子、ボートの6種目、柔道の混合団体――以上の4競技で南北合同チームを出場させることで合意していた。しかしこのうちのホッケー女子については、国際ホッケー連盟(FIH)が期限としてた9日の予選抽選会までに南北からの参加申請がなく、事実上、立ち消えとなった。

    ほかの3競技についても、このところの南北対話の断絶のために、調整はまったく進んでいない状況だ。

    北朝鮮の真意は見通せないが、旭日旗の問題だけでなく、本大会の前後に何らかの波乱があるかもしれない。

  • 金正恩氏「女性への性的虐待やめよ」国連勧告を拒否

    国連人権理事会の第42回定期会合(スイス・ジュネーブ)で20日、北朝鮮の人権状況に対する普遍的定期審査(UPR)報告書が採択された。同報告書には、北朝鮮の人権状況を改善するための262の勧告が盛り込まれている。

    米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮は事前に提出した同報告書に対する答弁書で、南北離散家族問題解決のため韓国と協力すべきなどとする132の勧告については受容している。

    女性芸能人を処刑場に

    その一方、国際労働機関(ILO)への登録など56の勧告については留意するにとどめ、国際刑事裁判所(ICC)と関連するものや、性的暴行・人身売買・家庭内暴力など女性に対する暴力に関わるものなど11の勧告については拒否する意思を表明している。残る数十の勧告に対する態度は詳らかでない。

    (参考記事:北朝鮮女性、性的被害の生々しい証言「ひと月に5~6回も襲われた」

    米朝対話のラインが紆余曲折を経ながらも保たれ、トランプ米大統領が金正恩党委員長との「良好な関係」をアピールする現在、なんだか遠い昔のことのように思われるが、北朝鮮は少し前まで、米国をはじめとする国際社会から激しい人権攻勢を受けていた。そして、金正恩氏はそのことを最も苦々しく思っていた。人権こそは、恐怖政治で維持されている金正恩体制の根幹を揺さぶりかねないものだからだ。

    核実験や弾道ミサル実験の連発で国際世論の目を引きつけ、人権攻勢の波を弱めた一点だけをもってしても、金正恩氏の「核戦略」は大成功だと言えるかもしれない。

    それにしても、北朝鮮が百数十の勧告は受容しながら、女性に対する暴力に関する勧告を頑として拒否しているのは、金正恩氏が人権攻勢のどの部分を最も嫌っているかを如実に見せているように思える。

    金正恩氏は、米国との非核化交渉を自国に有利な形で乗り切った後は、世界でも有力な国家指導者として国際社会に地位を占めたいのだ。確かに、あの若さである。大国を向こうに回した外交戦で勝利し、20~30年も国家指導者として君臨し続ければ、それも夢ではないかもしれない。

    しかし国際社会は、女性への暴力の横行を許すような国家の指導者には、そのような地位を決して認めないだろう。

    金正恩氏はそのことを良く分かっているから、国内で女性への暴力が横行する現実そのものを認めないのだろう。だが百歩譲って、仮に北朝鮮国内の現実が変わるなら、国際社会に対して現状を認めなくても構わない。

    (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

    金正恩政権は、女性官僚の活躍が目立っているのが最大の特徴のひとつだ。金正恩氏が祖父や父親と比べてマシな女性観を持っているなら、それはそれで結構なことだ。

    しかし北朝鮮社会の現実を考えると、状況の改善は生易しい課題ではない。公開処刑を女性芸能人たちに「強制見学」させるような金正恩氏の人権感覚に、大きな期待は持てないというのが正直なところだ。

    (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー

  • 「客の大半は韓国人」中国の“ネット性売買”で北朝鮮女性が被害に

    米ニューヨーク・タイムズは13日、中国で脱北した北朝鮮の女性たちが望まないセックスワークを強要され苦しんでいる実態を報じた。これに対し国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が「中国国内の脱北女性たちがうけている残酷な人権侵害の一例だ」と指摘したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

    ニューヨーク・タイムズによると、イ・ジニ(仮名)という脱北女性は中国東北部地域のアパートの一室で一週間、PCの前に座り、正午から翌日午前5時までビデオカメラの前で淫らな行為をさせられ、その様子をネットを通じて客に見せることを強要された。いわゆる「アダルトビデオチャット」だ。

    北朝鮮から中国に逃げ出した脱北女性が、人身売買の犠牲となりセックスワークや「アダルトビデオチャット」を強いられる事例はこれまでも多数報告されている。

    イさんは2年前、中国でレストランの従業員として働くと聞いて脱北したが、中国人のブローカーに引っかかり人身売買の犠牲となってしまった。同紙に証言したもう一人の女性、キム・エナ(仮名)さんは中国でマツタケを採る仕事と聞いて越境したが、中国人のブローカーに引っかかってしまった。

    彼女たちには一定額のノルマが与えられ、それを達成しない限り、食事も取られず体調が悪くてもPCの前で、淫らな行為を行わなければならないと明かす。顧客の大半は同じ言語を使う韓国人男性だという。

    (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

    これまで多くの人権団体が、毎年何千人もの北朝鮮女性たちが人身売買の犠牲となり、中国の田舎で結婚していない中国人男性に売られたり、売春やサイバーセックスを強要されていると指摘している。HRWアジア人権擁護局長のジョン・シフトン氏はRFAに対して次のように述べた。

    「北朝鮮の女性たちは自ら望んで中国に来たとしても、人身売買の犠牲となって人権侵害を受けるという非常に不安定な状況におかれている。(ニューヨーク・タイムズ)の記事は、この恐ろしい事実を示している」

    ニューヨークタイムズに紹介された2人の脱北女性は、セックスワークを強要されていたが、北朝鮮へ帰ることは考えたことがなかったという。韓国へ行ってお金を稼ぎ、北朝鮮に残っている家族を脱北させることが彼女たちの目的だったからだ。

    彼女たちは、運良く韓国のキリスト教の牧師に助けられ、ブローカーから逃れて韓国に入国することができ、自分たちの悲惨な体験を証言した。しかし多くの女性の心の傷は深い。韓国に在住する脱北女性のキム・ジヘさん(仮名)は、次のように述べた。

    「中国に脱北した女性たちはパスポートはおろか身分証を持てない。だから、否が応でも中国にいなければならない。頼る人もおらず、その境遇から抜け出すこともできない。生きていかなければならないので仕方がなく、そうする(セックスワークに従事)しかない。私にもそのような境遇にいた知人がいるが、そうした話は口にしたがらない。女性だからその気持ちがわかる」

    こうしている間にも、多くの脱北女性たちが中国で人権を侵害されている。運良く韓国に入国できたとしても、女性らは中国でうけた深い傷を背負って生きていかなければならない。

    韓国の文在寅政権は金正恩体制との対話には積極的だが、脱北者らの人権問題については及び腰だ。それが事実でないと反論したいならば、こうしたビデオチャットへの韓国からの接続を徹底的に遮断することから、具体的な行動を始めてはどうだろうか。

  • 傷つけたら「公開処刑」も…金正恩一家「聖なる木」のトンデモ伝説

    北朝鮮の山には「スローガンの木」と呼ばれるものがある。日本の植民地支配に抵抗し抗日パルチザン活動を繰り広げていた人々が、森の中の木に祖国独立への想いを込めたスローガンを刻んだとされるものだ。

    1986年、金日成氏が白頭山密営を訪れ、スローガンが刻まれた木を探せとの指示を下した。それをきっかけに、全国的にスローガンの木を探す活動が全国で展開された。発見されたスローガンには朝鮮独立を求めたものもあれば、金日成氏を指導者として称えるものや、金正日氏の生誕を祝うスローガンが刻まれた木まで存在し、金氏ファミリー神格化の材料として使われている。

    そのほとんどは当局がプロパガンダ目的でねつ造したものだとされるが、北朝鮮では文化財同然の扱いを受けている。アルゴンガスを注入したガラスケースに覆われ、メンテナンス費用は1本あたり年間数千ドルとも数万ドルとも言われている。

    故意にせよ事故にせよ、この木を傷つけることは重大な政治的犯罪とされ、犯人が公開処刑された事例もある。

    (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー

    最近では、ある鉱山労働者が木を傷つけたことで懲役判決を受けたと、咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

    端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱業連合企業所に勤める労働者Aは、鉱山のそばの住宅地に暮らしていた。そこから2キロ離れたところには、スローガンの刻まれたカラマツの木がある。

    Aは先月初め、その区域に忍び込み、あろうことかスローガンの木を切り倒してしまったのだ。

    切り株を見つけた山林監督員は、すぐさま保衛員(秘密警察)、保安員(警察官)に知らせ、犯人探しを行った。犯行当時は雨がやんだ直後で地面が濡れており、切った木を引きずった跡が残っていた。それが住宅地の方に続いていた。それをたどったところ、Aの家にたどり着いた。庭からスローガンの木が発見されたため、お縄となった。Aは、切ったスローガンの木を薪として利用していたという。

    実はこのような「不敬事件」は度々発生しているが、「犯行」は木を切る音が聞こえない大雨の中など行われるため、捜査を行っても犯人はなかなか捕まらないという。未解決事件となれば、全責任を警備員と山林監督員が負わされる。

    Aには強化刑(懲役)5年の判決が言い渡された。それも「見せしめとして重罰に処した」とのことだ。かつては「3代が滅ぼされる」(脱北者)と言われるほどの重罪だったスローガンの木の破損だが、理由は不明ながら以前ほどは厳しい処分にならないようだ。

    2010年の9月と12月に、両江道の金正淑(キムジョンスク)郡で、新坡(シンパ)革命史跡館のスローガンの木十数本が放火で焼失し、郡の朝鮮労働党責任書紀、革命戦跡地管理総局長、保衛部(秘密警察)、保安署(警察署)の幹部らが逮捕される事件が起きている。

    (参考記事:北朝鮮でスローガンの木十数本が放火で焼失、地方幹部らが逮捕

    2007年7月には、咸鏡北道の延社(ヨンサ)郡で、スローガンの木を伐採して中国に売り払い、その利益で別荘を建て女性をはべらせてベンツを乗り回すなど、贅沢三昧の暮らしをしていた外貨稼ぎ機関の地方責任者が、公開処刑されている。

    (参考記事:北朝鮮「スローガンの木」を切った幹部を公開銃殺

    一方で、木を守るために命を投げ出した人々は称賛される。

    1998年、咸鏡南道(ハムギョンナムド)にあるムジェボンという山で、山火事が起き、スローガンの木が危機に瀕した。消火活動に投入された海軍兵士のうち、17人が死亡、3人が大やけどを負う大惨事となったが、当局はこの出来事を忠誠心を高めるためのキャンペーンとして利用した。

    (参考記事:人命より「革命の聖なる木」を大切にする北朝鮮

  • 「責任回避ばかりするな」北朝鮮が“新ネタ”で文在寅政権に攻勢

    北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は20日、「12人のわが女性たちはどこに」と題した記事を掲載。韓国に亡命した北朝鮮レストラン従業員らの送還を要求するとともに、文在寅政権の対応を非難した。

    この事件は2016年4月、中国の北朝鮮レストラン「柳京食堂」の支配人と女性従業員ら計12人が集団で脱走、韓国に亡命した出来事で、北朝鮮は当初から「集団拉致された」と主張。また韓国国内においても、朴槿恵前政権下において国家情報院が介入した「企画脱北」ではないかとの疑惑が持ち上がっていた。

    そして今月9日、韓国の政府機関である国家人権委員会は、この事件に関する調査結果を明らかにしている。それによると、脱北の過程で韓国政府の違法・不当な介入があったとする主張については、「客観的な証拠を確認できない」とする一方、一部の従業員が支配人の懐柔と脅迫によって入国を決めた蓋然(がいぜん)性を排除できないとした。

    また、外国の法律家でつくる真相調査団は4日に発表した訪朝調査結果の中間報告書で「12人の女性従業員は欺瞞(ぎまん)により韓国に強制移送された」とし、この事件は「拉致・人権侵害」であると結論付けている。

    事態がこうなった以上、北朝鮮が黙っているわけはない。前述の記事は「朴槿恵保守逆賊一味が敢行した前代未聞の反人権犯罪」であると指摘する一方、文在寅政権にも非難の矛先を向けている。

    「現当局の執権後も変わった点はなく、ただ責任回避にのみ汲々している」としながら、「現南朝鮮当局は、我々の女性たちを強制抑留して戻さずに置きながら、『離散家族の痛み』とやらを論じてはならない」として、従業員らの送還を、文在寅大統領が重視する朝鮮戦争などで生き別れになった南北離散家族の再会事業の前提条件とする姿勢を見せている。

    他の北朝鮮メディアも、これと同様の記事を掲載しているが、こんなものはまだまだ序の口である。しばらくすれば、北朝鮮当局者が公式に、従業員らの送還を韓国政府に要求するかもしれない。また、国連人権委員会などで、北朝鮮にいる従業員らの家族が、娘の送還を訴えることもあり得る。

    金正恩党委員長はまたひとつ、文在寅政権を窮地に追いやる「ネタ」を握ったと言えるのだ。

    (参考記事:「奇怪な醜態」金正恩氏が文在寅氏を罵倒した理由

  • 日本より徹底的…金正恩氏の文在寅政権に対する「無視」戦術

    北朝鮮の金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領が首脳会談を行い、「平壌共同宣言」に署名してから19日で丸1年となったが、この節目の日に北朝鮮メディアはいっさい、このことに触れなかった。

    今年2月にベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が決裂して以降、北朝鮮は南北経済協力などの約束を履行せず、米韓合同軍事演習を続ける文在寅政権への非難を強めてきた。それでも、昨年4月の南北首脳会談で採択された「板門店宣言」から1周年のときは、対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会が備忘録を発表している。韓国を非難する内容ではあったが、宣言の重要性に対する認識は示していた。

    米国から不快感

    それを考えると、共同宣言から1周年を迎えながらまるで言及がないとは、なかなか驚くべきことと言える。

  • 北朝鮮の要人らを襲う「謎の交通事故」に暗殺計画の疑い

    北朝鮮の要人らを襲う「謎の交通事故」に暗殺計画の疑い

    北朝鮮の国境警備隊の保衛部長(秘密警察のトップ)が交通事故で死亡した。その後、数々の疑問点が浮上、「事故を装った殺人ではないか」との噂が立ち、当局が調査に乗り出したと、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

    亡くなったのは、国境警備隊25旅団の50代の保衛部長だ。彼は、25旅団の252連隊の保衛部長を勤めてきたが、先月初めに25旅団の保衛部長への栄転が決まった。15日ほどの引き継ぎ作業を終え、25旅団の指揮部(本部)がある恵山(ヘサン)に向かっていた途中で、交通事故に遭い、死亡した。

    「走り屋」金正恩氏の危険度

    北朝鮮は非常に道路事情が悪い上に、ドライバーの運転マナーもいいとは言えず、各地で事故が多発している。特に、山間地の両江道では事故が多い。

    (参考記事:母親思いの一家を飲み込んだ「魔の道路」…数百人死傷も

    しかし、今回の事件はどうも様子が異なるようだ。車には保衛部長以外にも運転兵など3人が同乗していたが、いずれも怪我すらしていないというのだ。

    旅団と連隊の指揮部は、単純な事故ではなく「誰かの陰謀により意図的に殺害された可能性がある」と見て、事故当日に車を運転していた運転兵、その他同乗者、側近に至るまで取り調べを行っているが、今のところ何もわかっていないと情報筋は伝えた。

    「交通事故を装った暗殺」という噂は、北朝鮮で非常によくあることだ。

    例えば、官僚機構のトップに君臨する朝鮮労働党組織指導部の第1副部長ら3人が、2010年から2011年にかけての9ヶ月間に相次いで死亡したが、そのうちの一人、2010年6月に交通事故で亡くなった李済鋼(リ・ジェガン)氏を巡っては、後に処刑された張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長の政敵だったこともあり、「交通事故を装った暗殺ではないか」との噂が立った。

    (参考記事:北朝鮮、9ヶ月間で労働党幹部3人死亡のミステリー

    その張成沢氏も2006年9月に交通事故に遭い、5ヶ月の入院生活を余儀なくされている。それ以外にも、金養建(キム・ヤンゴン)氏、金容淳(キム・ヨンスン)氏など、要人が交通事故で死亡した例は枚挙に暇がない。前述の通り、劣悪な道路事情や乱暴な運転などによる単純な交通事故であった可能性もあるが、このような交通事故の多発が「実は暗殺だった」説の根拠になっている。

    (参考記事:2005年の張成沢氏の交通事故は暗殺未遂だったのか

    ちなみに、金正恩党委員長は「クルマ好き」として知られ、「走り屋」であるとの噂も聞こえる。前述した幹部らが暗殺されたのではなく、本当に事故死だったとしても、金正恩氏は彼らと同様のリスクの中にいるとも言える。

    (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

  • 韓国バカ売れ本「反日種族主義」に北朝鮮が猛反発

    韓国バカ売れ本「反日種族主義」に北朝鮮が猛反発

    北朝鮮国営の朝鮮中央通信は13日、韓国のベストセラー書籍『反日種族主義』を「売国的詭弁だ」などと猛非難する論評を配信した。北朝鮮メディアが、韓国の民間人が執筆した書籍に食って掛かるのは珍しい。

    李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大学教授ら6人の研究者が執筆した同書は植民地統治下の朝鮮半島で「日本による土地やコメの収奪はなかった」「従軍慰安婦の強制連行はなかった」などと主張し、韓国で物議を醸している。

    1965年に国交正常化し、請求権協定が結ばれた日韓と異なり、北朝鮮と日本の間では何ら過去清算はなされていない。

  • 第17回平壌国際映画祭のポスターを創作

    【平壌9月15日発朝鮮中央通信】第17回平壌国際映画祭のポスターが創作された。

    各ポスターには「第17回平壌国際映画祭」という文字と共に祭典のマークと期間が記されている。

    「歓迎」という文字の下に花束を形象化したポスターは、今回の祭典に参加するために平壌に来る外国の友人への朝鮮人民の友好の情を見せている。

    世界地図を背景に平和を象徴するハトと祭典の最優秀賞、理念を浮き彫りにしたポスターは第17回平壌国際映画祭の雰囲気を盛り上げている。---

  • 「美女洗車」に給油所増設…制裁下の北朝鮮でカービジネス拡大

    「美女洗車」に給油所増設…制裁下の北朝鮮でカービジネス拡大

    国連安全保障理事会が2017年12月に採択した制裁決議2397号は、北朝鮮への石油製品の輸出を50万バレル以下に制限することを定めている。

    一時期はガソリン不足に陥ったと伝えられていたが、今年に入って不足していることを示す兆候はない。価格も今年に入って下落傾向にあり、1万5000北朝鮮ウォン(約195円)台に達していたガソリン1キロ(1.34リットル)の価格だが、今では8000から9000北朝鮮ウォン(約104〜117円)で落ち着いている。おそらく、ロシアや中国から入ってきているからだろう。

    (参考記事:「ロシアから輸入」で制裁破りか…北朝鮮のガソリン価格が下落

    ガソリンが不足するどころか、ガソリンスタンドが増設され、国と民間業者の間で競争となっていると、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

    両江道の道庁所在地、恵山(ヘサン)には、少なくとも両江道の恵山には、少なくとも4ヶ所の燃油販売所、つまりガソリンスタンドがある。松峯洞(ソンボンドン)、恵興洞(ヘフンドン)に各1ヶ所、郊外の国道沿いの劔山里(コムサンリ)に2ヶ所、合わせて4ヶ所だ。

    いくら合法・非合法の中朝貿易で賑わう恵山とは言え、人口が20万人に過ぎないことや自動車の少なさを考えると、オーバーストア気味と言えよう。ところが、松峯二洞(ソンボンイドン)と蓮峯洞(リョンボンドン)にガソリンスタンドが新たに2ヶ所オープンするというのだ。

    北朝鮮では近年、自動車の増加とともに、「美女洗車」などクルマ関係のビジネスが拡大している。

    (参考記事:「美女洗車サービス」も登場した北朝鮮ニュービジネス

    情報筋は「市内では車も増えて流通も活発なのでガソリンスタンドが増えるのは当たり前」と伝えつつも、個人業者はガソリンスタンドの新規開業の動きに神経を尖らせているとも伝えた。

    ガソリン商人は、得意先との良好な関係を維持し、配達に応じるなどきめ細やかなサービスで、国が運営するスタンドに客を奪われまいと必死だ。

    しかし、消費者はどうやらガソリンスタンドの方を好むようだ。それはこんな理由からだ。

    「市民は信用度の面で、ガソリンスタンド(での給油)を好む。民家でガソリンを売る商人たちは、商売上がったりだろう。彼らが安くてニセモノが混じっていないガソリンを売るのなら、わざわざガソリンスタンドに行く必要はない」(情報筋)

    つまり、今までガソリン商人は、混ぜものをアコギな商売をしてきたしっぺ返しを消費者から受けているということだ。「真面目に商売していては手元にあまり残らない」(情報筋)という、致し方ない理由があるとは言え、消費者の立場からすると、価格に見合った良質なものを選ぶのは当然の選択だろう。

    ガソリン商売は、他のビジネスに比べて楽なものだったが、ガソリンスタンドの相次ぐオープンで商人たちは苦境に立たされている。取り扱う品目を変える動きも出ているが、そう簡単なことでもないため、ガソリン商人の間では不安が広がっているという。

    北朝鮮では、トンジュ(金主、新興富裕層)が主導してきた経済を、国の手に取り戻そうとする流れが起きている。その中で、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)もガソリンスタンドの経営に乗り出している。

    (参考記事:北朝鮮軍「ガソリンスタンド経営」に乗り出す…全国チェーン化の動きも

    国から予算を支給されず、自力更生、つまり自分たちで賄うことを要求されている各機関は、系列の貿易会社などフロント企業を使って、有利な条件で民間人から利権を奪おうとしている。これが国家主導の「計画経済への復帰」につながるか、単なる「利権の強奪」に終わるかは、今のところ判然としない。

    (参考記事:資本主義化が進む北朝鮮…秘密警察「ビジネス参入」で民業圧迫も

  • 違反したら「残酷に処刑」も…北朝鮮で「飲み会」禁止令

    違反したら「残酷に処刑」も…北朝鮮で「飲み会」禁止令

    米朝対話が膠着状態に陥り、制裁は一向に解除される気配がない。当局は、締め付けの強化と精神論でこの難局を乗り切ろうとしているようだ。

    平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、先月5日の各機関、企業所、協同農場に指示文が下された。その内容は次のようなものだ。

    「集まって宴会を開いて不平不満を並びたてたり、流言蜚語を広げる現象について積極的に反対する闘争を繰り広げなければならない」

    「酒の席では不満が飛び出すのが常なので、集まることそのものを減らし、体制への不満を言わないように労働者に注意せよ」

    このような指示は、当局が度々出しているものだ。「小人閑居して不善を為す」と考え、集まって酒を酌み交わしていれば、体制への大批判大会になるのが目に見えているので、元から断とうというものだ。極端な例だが、見せしめとして非常に残酷な方法で軍幹部14人が処刑された例もある。

    (参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

    当局は自分たちに都合の悪いうわさ話が急速に広まるたびに、箝口令を敷くなどして抑えつけてきた。ちなみに、噂話は刑法211条の虚偽風説捏造および流布罪で禁じられた違法行為で、1年以下の労働鍛錬刑に処すとされている。

    (参考記事:北朝鮮、世間話にも禁止令…庶民の間で失墜する金正恩氏の権威

    北朝鮮は日本などと比べ、極度に娯楽が少ない。ましてや田舎では、酒を飲むこと以外に憂さ晴らしの方法は皆無に等しい。そこで、当局はこんな提案をした。

    「敬愛する最高指導者(金正恩党委員長)の名言学習をせよ」

    一つ例を挙げよう。

    「われわれの社会主義祖国は、金日成祖国であり、わが民族は金日成民族だ」

    これは金正日総書記の「名言」だが、それぞれの名言には「名言解説」があり、そこに込められた意味が説明されている。以下は2011年の「わが民族同士」の名言解説だ。

    「偉大なる領導者金正日将軍様のこの名言には、われわれの社会主義祖国とわが民族は偉大なる首領金日成主席のご尊名とのみ結び付けられ、呼ぶことのできる偉大なる首領様の国、偉大なる首領様の民族という深い思想が込められている」

    名言は、国や民族といった大きなテーマだけではなく、非常に些細な問題に関するものもある。今回は、金正恩氏の軍需工業、文化芸術、石炭工業などについての指示を学習するよう求められている。

    子どものころからこの手の思想教育を強制されてきた北朝鮮の人々は、表では従順に従うふりをしつつも、裏では適当に聞き流すことでやり過ごすという「生活の知恵」を身に着けている。今更、「名言の学習をせよ」と言われたところで、真剣に取り組む人はそう多くはなく、お上の目を盗んでちびちびと一杯やっていることだろう。

    (参考記事:北朝鮮が「5大教養」を庶民に押しつけ 庶民「今さら聞かなくても中身はわかる」

    思想の引き締めを図り、国際社会の制裁にも揺るがない体制づくりを、というのが目的なのだろうが、匿名を要求した北朝鮮の党機関出身の脱北者は次のように語った。

    「社会的雰囲気を統制するこのような指示は頻繁に下される一般的なものではない。1980年代に経済が苦しくなりはじめたころ、1990年の苦難の行軍のころ、そして2009年の貨幣改革のころなど経済的に苦しかったときに、不平不満を自粛させるための指示文が下されたことがある」

    彼は、今回のような指示が下された背景について、「現在の経済難による住民の不満が大きいことを、金正恩政権が認識している証拠だ」としているが、政権としても、「自力更生」を訴える以外にこれと言った経済対策がないとも指摘している。

  • 北朝鮮のある父親が虐待に耐えられず選んだ道とは…

    北朝鮮の咸鏡南道(ハムギョンナムド)にある15号管理所、通称耀徳(ヨドク)政治犯収容所。最大で約5万人が収容されている、比較的、海外でも内部実態の知られている収容所の一つだ。

    韓国のNGO・北韓戦略センターの姜哲煥(カン・チョラン)代表など、ここで収容された経験を持つ脱北者の多くの証言があるからだ。一時は施設の拡張が伝えられていたが、2017年から施設の一部解体が始まるなど、収容人数が減らされる動きがあった。

    (参考記事:本当にある「地獄の一丁目」…北朝鮮「政治犯収容所」が拡張されている

    この耀徳収容所に入れられた一家4人が無理心中を図る事件が起きたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

  • 全国生物学部門の科学技術発表会

    【平壌9月12日発朝鮮中央通信】全国生物学部門の科学技術発表会が朝鮮科学技術総連盟中央委員会の主催によって11、12の両日、国家科学院生物工学分院で行われた。

    金日成総合大学、金亨稷師範大学、理科大学、国家科学院、農業研究院、中央植物園研究所をはじめとする複数の単位の活動家と教師、研究者、博士院生がこれに参加した。

    生物工学分科、生物学分科、植物学分科、動物学分科、微生物学分科に分けられて行われた発表会では、世界生物学の発展すう勢に合わせて国の生物学を先端水準に引き上げ、自立経済の発展と人民生活の向上に寄与できる190余件の論文が発表された。

    若い科学者らが農業、畜産業、水産業、保健医療、環境保護、食料工業部門で提起される科学技術上の問題を朝鮮式に解決するための研究過程に収めた成果が参加者の関心を集めた。

    また、国の動植物資源を保護し、珍しい動植物を広く繁殖させるための経験も紹介された。---

  • 平壌市の複数の大学の芸術サークル公演

    【平壌9月12日発朝鮮中央通信】平壌機械総合大学、平壌交通運輸総合大学、韓徳銖平壌軽工業総合大学、張哲九平壌商業総合大学が創立60周年を迎えて準備した芸術サークル公演が、10日から12日まで金策工業総合大学で行われた。

    合唱「金正恩将軍に栄光を」から始まった公演の舞台には、ナレーション詩と歌「朝鮮労働党賛歌」、詩物語「不世出の偉人たちとわが大学」「栄光の60年」をはじめ、多彩な演目が上がった。

    出演者は、教育事業を国の興亡を左右する第一の重大事として各大学の創立と強化、発展のためにささげた不世出の偉人たちの業績をたたえた。

    社会主義のわが国家の繁栄を成し遂げていくこんにちの革命的大高揚の先頭に立って旗手、突撃隊の栄誉を力強くとどろかしていくという青年大学生の燃えるような決意を盛り込んだ演目も舞台に上がった。---

  • 「朝鮮式の現代化された生活環境」のテーマで行われた展覧会

    【平壌9月12日発朝鮮中央通信】最近、朝鮮の科学技術殿堂で「朝鮮式の現代化された生活環境」のテーマで行われた全国家具・建築装飾部門の科学技術成果展覧会―2019(8月19日―8月26日)が、人々の関心を集めた。

    今回の展覧会には、従来より木材を少なく使いながらも、軽焼マグネシアをはじめ国内の材料を利用して生産したいろいろな省エネ型、エコ型、機能性製品が多く出品された。

    展示された多くの家具と台所用具は、美学性が高い水準で保たれ、軽量化されており、多目的・多機能用途に合わせて設計されたので、参観者の好評を博した。

    拡大・縮小式になった児童ベッドは、託児所と幼稚園の幼児保育施設を現代化する上で実用的意義が大きいものと評価された。

    新しい蜂の巣型紙圧搾板芯材を利用した軽量化された家具は、内部の構造をさまざまに変更させられるように非対称に設計されたので、実用性ある家具に認められた。

    ナノ化学めっきによる金色塗装方法で形象化した建築照明灯と玉シャンデリア、宝石灯、児童用卓上スタンドをはじめ、いろいろな形態の装飾灯も参観者の関心を引いた。

    同展覧会は、近代的な家具と建築装飾品を開発、生産するための先進技術と経験を交流する有益な契機となった。---